2023年3月7日火曜日

フランスの大人気ユーチューバー Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)燃え尽き症候群 休業宣言

 


 720万人の登録者を持つフランスの大人気ユーチューバー(デュオグループ) Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)は、加熱し、エスカレートしすぎていたユーチューブの活動に燃え尽き、疲れ、ユーチューブの動画制作をしばらく休業することを発表しています。

 彼らがユーチューブの動画投稿を始めてから、10年が経過し、彼らは単なるユーチューバーではなくなり、忙しい家庭生活を送りながら、本を書き、映画に出演し、アルバムをリリースし、ツアーに出かける生活を送っていました。

 ユーチューブの動画自体も10 年前、自分の部屋で携帯電話を使い、チームも機材もなく、最も基本的な編集で自分自身を撮影していたシンプルな喜びや楽しみが消え去り、 今日は、制作チームが組まれ、スポンサーがつき、ゲストは、次から次へと名声を上げており、彼らの動画で一堂に会するダイナミックなものになりました。

 パンデミックの際には、マクロン大統領に依頼されて、ソーシャルディスタンスを呼び掛ける動画を作成したり、その後には、マクロン大統領とエリゼ宮で「逸話大会」を行ったり、トム ホランドとボード ゲームをしたり、地中海をボートでコルシカ島まで横断したりしました。

 次から次へと彼らのユーチューブはダイナミックになっていき、それがどんどんエスカレートしていき、また、エスカレートすることがあたりまえのようになってしまったとき、彼らは疲れてしまったのです。

 エリゼ宮で大統領と動画を回したり、パリ祭の軍事パレードの飛行機に乗ったり、大スターと共演してアドべんチャラスな挑戦をしたりと、それはもう、ちょっとしたテレビ局以上の規模の企画です。

 マクフライは休業を発表したメッセージの中で、「一歩下がって自分自身を見つめなおし、友人間でより簡単にコンテンツを作成する純粋な喜びを再発見したい!」と述べており、「私たちデュオにはすでにいくつかのアイデアがあります」と記しています。

 彼らは自分たちの家庭、子供の教育もとても大切にしており、2 人は、新しい世代の父親の一員であることに誇りを持っており、子供たちの教育により多く貢献もしてきました。

 今回の休業宣言は、カーリトに3人目の子供が生まれたことを機に、決定したものでもあると言われています。

 ユーチューブは楽しいコンテンツではありますが、作成する側としたら、動画を撮影して、編集して投稿する・・この一見、単調な作業も長く続けていくのは、大変な努力が必要です。

 彼らほどの規模ではなくとも、ユーチューバーが動画内でネタ探しに苦しんでいるというようなことを告白している人も少なくありません。

 彼らのように成功すればするほど、それを取り巻く世界は大きなものになり、ネタ自体も生半可なものではない規模になっていき、エンドレスにエスカレートしていきます。

 彼らは今、過度に作りこまれた動画、ゲスト、コンセプトの競争があたりまえになってしまっていることを非難しています。 

 それだけの収入や知名度がついてくるとはいえ、この先、ただただ消耗していくことを選ばずに、一旦、活動を休止するという決断というものも、できそうでいて、そんなに簡単ではなかったはずです。

 しかし、私は逆に、そんな風に、完全に消耗しきってしまうまえに、休業宣言した彼らは、すごいな・・と思うのです。

 もうおそらく、十分に稼いだと思われても、もっと、もっと・・となるのが人間です。

 そこを一時休業して、登録者数を失うことがあっても、自分たちを見つめなおす機会を持つということは、とても賢明なことなのではないかと思うのです。

 そして、それはユーチューバーだけではなく、私たち一般人にとっても、一度、立ち止まって、自分自身を見つめなおすことが大切な時もあるのだということを教えてくれているような気もするのです。


Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)休業宣言


<関連記事>

「マクロン大統領のユーチューバーとのチャレンジ企画 Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)」

「人気ユーチューバーとの約束を果たしたマクロン大統領のユーチューブ出演 1日で750万回再生突破」

「登録者数1200万人のフランスの人気ユーチューバー 未成年者強姦で身柄拘束」

「未成年強姦容疑で身柄拘束されたフランスの人気ユーチューバー YouTube広告収益撤廃」

「インフルエンサーに届く報酬2,000ユーロのファイザー・ビオンテックネガティブキャンペーン依頼メール」

 





2023年3月6日月曜日

大手スーパーマーケットチェーン「カーフール」が提案する「アンチインフレバスケット」

  


 止まらないインフレに、「赤い3月」などと、さらなる価格の上昇が見込まれている中、大手小売業者は、消費者に対して、購買力をサポートするための措置を講じる準備をしています。

 大手スーパーマーケットチェーン「カーフール」は、3 月 15 日から6月15日まで、フランス国内の5,945店舗において、選ばれた200の商品価格をブロックし、固定価格として、値上げしないまま販売することを発表しています。

 2ユーロ未満で販売されるカーフールが選んだ200 の商品は、100の食料品と100の日用品の大きく2つのカテゴリーに分けられています。

 ヨーグルト、卵、新鮮な野菜、缶詰または冷凍野菜、パン、シリアル、牛乳など、リストは長く、このリストには、栄養スコア A または B、バランスの保証がついている製品であることという共通点を持っています。

 あらゆるものの価格が上昇する中、今までよりも食料品のランクを落として買い物をする傾向にある、国民が摂取する食料の質の低下が問題視されている中、これを十分に考慮に入れた選択がなされています。いわゆる「安かろう悪かろう」というわけではない、安いものを安くしているのではないという設定です。

 日用品については、赤ちゃんのおむつなどの衛生用品、スプレッド、小麦粉、さらにはクッキーなどを挙げています。

 具体的にその商品を見ていないので、あまりピンとこないところもありますが、とりあえずは、最低限必要なものが選ばれているとは思うので、ありがたいと言えば、ありがたい措置であるとは、思います。

 しかし、これを素直に受け取って安心しているわけにはいきません。

 このような200の商品の値上げしない宣言をする理由は、顧客を繋ぎとめておこうとする彼らの戦略にほかなりません。実際にカーフールなどの大手のスーパーマーケットが1店舗で扱う商品はおよそ、5万点と言われ、たとえ、200の商品が値上げしないとしても、残りの49,800の商品はこの200の商品の値上げをしない宣言を隠れ蓑にして、着々と値上げしていくのです。

 消費者は、その値上げしない200の商品のうちの何かを買いに行くと同時にしっかり値上げしている商品にも手をのばすことに繋がるのです。

 私などは、だいたい何か必要なものを買い物に行っても、結局は買い物の8割がたは当初予定していなかったものを結局、買ってきてしまうのであって、それを無駄にするわけではなくとも、差し迫って必要でもないものを買ってくるということをするのが常です。

 ということは、節約をするためには、少しでも買い物に行く回数を減らすことが一番よいのではないか?と最近では思うのです。

 いずれにしても、セイフティラインと言われるものの価格上昇を止めてくれるのはありがたいながら、それ以外は、確実に値上げするという宣言でもあるのです。

 残念ながら、現在のところ、価格が下がる要素は何もないのです。


カーフール アンチインフレバスケット 2ユーロ未満 200品目


<関連記事>

「「赤い3月」3月にはさらに値上げ 2月のうちに買い物をしていた方がよいのか?」

「ダイナミックプライシング 日曜日には商品価格が値上げされていた⁉」

「インフレにつれてスーパーマーケットでの万引きが急増」

「2月1日から変わること・・は、ほぼ値上げのお知らせ」

「肉や魚の価格高騰でたまご人気が急上昇している!」


2023年3月5日日曜日

モンパルナス駅でお買い物 M&S カヌレ ヨーグルトソフトクリーム

  


 最近、私の個人的なお気に入りスポットの一つは、パリ・モンパルナス駅なのです。TGVも発着する大きな駅はパリには他にいくつかあるのですが、私が最近、時々、モンパルナス駅に出向くのは、いくつかの私のお気に入りのお店があるためなのです。

 お気に入りのお店といっても、それはすべて食料調達なのですが、他には、あまりないお店がどういうわけか、モンパルナスにはいくつかあることで、最近は、定期的に行っています。

 パリで買い物をしたいなら、総合的には、Chatelet(シャトレ)の駅に隣接しているショッピングセンターやその界隈に行けば、まぁまぁ、たいていのメーカーはほぼ全て網羅していると思われるほど、何でも揃うとは思うのですが、このシャトレは、規模も大きく、人も多くて、年齢層も比較的若くて、元気な時には、悪くはないのですが、個人的にはあまり好きではありません。

 若者が多いこともあるのか、近辺のお店、レストランなども比較的、リーゾナブルなお店が多いような気もします。

 しかし、私がモンパルナス駅に行くのには、正直、いくつかの私が行きたいお店があるからなのです。これまでは、駅というのは、旅行に行く際の通過地点でしかありませんでしたが、現在はちょっと違っています。

 まず、私がモンパルナス駅に行く理由の一つは、M&S(マークスアンドスペンサー)というイギリスのスーパーマーケットが入っていることです。以前は、パリ市内にいくつもあったM&Sは、ブレグジットとともに姿を消していきました。




 そんな中で、かろうじて店舗が残っている一つがモンパルナス駅なのです。現在は、MONOPRIX(モノプリ)とジョイントしているような感じ店内の一部でしかありませんが、M&Sの商品はクッキーやケーキなどのお菓子類、パン、紅茶類の一部だけです。

 クッキーなどは、私はフランスのものより、イギリスのものが好きで、これまでも定期的に買っていたもので、私にとってはテンションがあがるお菓子類です。(モノプリと提携しているだけあって、モノプリのポイントカードが使えます)



 そして、2つ目の理由は、「カヌレ」です。モンパルナス駅には、ボルドーでは有名な「La Toque Cuivree」というカヌレ屋さんのスタンドがあり、これがびっくりするほど安いのです。カヌレはフランスではポピュラーなお菓子で、どこのブーランジェリーやパティスリーなどでもたいていおいているものではありますが、これが中途半端に高いのです。



 例えばPAULなどで売っている1個2.4ユーロの大きさのカヌレはこのお店では0.70ユーロです。このお店はボルドーには何軒もある大人気のカヌレ専門店で、逆にパリで他のお店でカヌレをなぜ、こんな高い値段で売っているのか不思議なぐらいです。




 外側はカリッとしていて、中はもっちりしている独特の風味がたまらない逸品です。パリには、このお店はモンパルナス駅にしかないので、(ボルドーからのTGVがモンパルナスに入るからだと思いますが・・)ここでしか買えません。ちょっと、他のお店とは離れた場所にあるものの、知る人ぞ知るといった感じで、いつでもお客さんが並んでいます。

 そして、最近、もう一つ見つけたのが、「Yogurt FACTORY」というヨーグルトアイスクリーム?のお店で、ここのムースのようなソフトクリームのようなヨーグルトアイスクリームが感動的に美味しいのです。




 最初、私は、このお店を知らなくて、トッピングのために並べられているチョコレートやクッキーやマシュマロなどが、ヨーグルトのヘルシーさとは、かなり不釣り合いだなぁ~と思いながら眺めていたら、お店の人が「試食してみませんか?」とヨーグルトアイスを試食させてくれました。

 すると、これが感動的に美味しく、全く期待していなかっただけに衝撃も大きく、「えっ??美味しい~~!」と思わず声をあげてしまいました。

 こうして書いていると、若い頃は全くの辛党で甘いものはどちらかというと苦手だった私がパリに来て、すっかり甘いものが好きになったもんだ・・と我ながら、ちょっと信じられない気持ちではありますが、「美味しいものは甘くても辛くても美味しいのだ・・」と開き直りたくなります。

 この他にも、ちょっと可愛い小物を扱っているようなお店がピンポイントで入っているし、最近は日本のお菓子なども扱いだした「normal(ノーマル)」という日用品や化粧品などをメインにしたディスカウントショップなども入っています。



 駅といえば、単なる通過地点に甘んじてしまう傾向にありますが、最近、私はお買い物をしに、モンパルナス駅に時々、行っています。もっぱら、食べ物ばかりの買い物ですが、ここでしか買えないものが一同に会しているため、ごきげんで通っているのです。


パリ モンパルナス駅 M&S カヌレ ヨーグルトファクトリー


<関連記事>

「モンパルナスにできた新しいコマーシャルセンター Les Ateliers Gaîté とモンパルナス駅のM&Sとカヌレ」

「ブレグジット(Brexit)がもたらす混乱 M&S(マークス&スペンサー)がパリから消えていく」

「メイク用品・スキンケア・ヘアケア・日用品・お菓子・日用品がびっくりするほど低価格なお店「NORMAL(ノーマル)」」

「パリにも広がりつつある日本のお菓子」

「娘の卒業式」

2023年3月4日土曜日

冷凍ピザ食中毒死亡事故から1年 ブイトーニのコードリー工場閉鎖へ

  


 ちょっと見るだけでもおぞましいピザ工場から生産された大手食品メーカーのピザから、溶血性尿毒症症候群(HUS)と毒素産生性大腸菌(STEC)が検出され、75件の食中毒症状を発症したと報告され、そのうち2人の子供が死亡した事件から、約1年が経過しています。


 この事件により、このピザを製造していた工場は生産を一時停止し、「過失致死罪、14人に対する過失傷害罪、人や動物の健康を害する製品に関する偽装、食品に使用される食品が偽造または破損して健康を害する展示または販売、健康を害する製品を市場に出して他人を危険にさらす容疑」として捜査が進められてきました。

 それから、かなりの時間が経って後、昨年12月には、ようやく衛生管理の改善や調理済みの生地を使用したピザのラインのみという条件付きで、一部の生産再開の許可が下りて、生産を再開していたようですが、ここへきて、当該工場が閉鎖されることが発表されています。

 このピザはイタリアンの食材を扱っているBuitoni(ブイトーニ)のブランドの大手食品業界ネスレ・フランスの冷凍ピザ工場での話で、このたび、ネスレ・フランスがフランス北部コードリーにあるブイトーニピザ工場の操業を停止することを決定したものです。

 これは、この食中毒事件のスキャンダルのために冷凍ピザ市場は1年で20%減少したことによる売り上げ減少によるものとしています。

 この工場は当事者なわけで、この冷凍ピザの消費が減少したのは、そもそもこの会社のスキャンダルなのですから、仕方ない話でもあり、これに影響された同業他社は全く大変なとばっちりを食ったことになります。

 ネスレの広報によると、「2022 年 12 月に最高の状態で工場を再開できるようにあらゆる努力を払ったにもかかわらず、受注見通しの悪化により、ネスレ フランスは対応を余儀なくされました」とのことですが、これは、事件後の被害者への対応等、危機管理にも大きな問題があったためでもあると私は思っています。

 この事件の後、実際に被害に遭った子供の家族などからは、ブイトーニ、ネスレの塩対応の様子が伝えられており、再三の問い合わせにも、なかなか連絡がとれなかったり、ようやく連絡が取れても、会社からの十分な説明が得られなかったり、被害者へのお詫びは、ブイトーニのピザを買える金券が送られてきただけだった・・とか、信じられない誠意のなさがいくつも伝えられていました。

 この事件は結果として、民事事件と刑事事件の両方で裁判が行われていますが、調査が終わらないということで、裁判は再三におよび延期されているのも被害者の怒りをさらに膨らませているようです。

 この被害者の一人である少女は、この冷凍ピザを食べた後、嘔吐と下痢に苦しみ、緊急治療室で 3 週間昏睡状態に陥り、2 回の心停止に見舞われ、2 か月間入院。その後も彼女は後遺症に苦しみ続け、心臓の薬を飲み続け、週に3回理学療法を受けています。 

 医師によると、彼女はいつか腎臓を失うと宣告されていますが、すでに、感覚や運動能力が失われています。

 民事レベルの裁判においては、すでにネスレに対して身体的傷害の補償として、20,000ユーロの支払いが命ぜられていますが、将来のある子供がこれだけの障害を負って20,000ユーロとは、大企業ネスレにとって何の痛みもない20,000ユーロという金額も信じられない話です。

 また、フランスでは業績悪化という理由があるにせよ、工場を閉鎖したりするのは、そう簡単な話ではなく、今回の工場も180人の従業員が雇用を失うわけで、労働組合も国も黙って、ハイソウデスカ・・と従うわけではありません。

 とりあえず、ネスレ側は、この工場閉鎖が正式に決定するまでは、従業員の給与は補償すると発表していますが、この工場のあるコードリー市の市長は、「ネスレは、世界中で数十億ユーロの利益を上げているグループであり、責任を負い、代替生産を見つけてもらいたい」と、この従業員が引き続き就業できることを望んでいます。

 ネスレ フランスは、2,000 以上のサンプルを採取し、生産ラインとその環境 (壁、グリッドなど) で細菌を検出しなかったことを示していましたが、実際には、2021 年 10 月から 2 月までの間に生産された冷凍ピザで細菌が検出されていました。

 過去に何度か警告があり、従業員からの非難の証言の後、清掃や衛生状態なども問題視されてきました。

 今日、「非自発的殺人」の捜査の一環として、北部のコードリーにあるブイトーニ工場と、オー ド セーヌ県のイシ レ ムリノーにあるネスレの本社の捜索は続いていますが、まだまだこの事件が解決するのには、時間がかかりそうです。

 ネスレ フランス社長は 昨年7 月、被害を受けた子どもたちの家族に「お詫び」を述べ、「被害者支援基金」の創設を発表していますが、食品会社としては致命的な食中毒事故に対しての対応を、この会社はちょっと甘くみていたような気がするのです。


ネスレ フランス ブイトーニ 冷凍ピザ食中毒 工場閉鎖


<関連記事>

「冷凍ピザ死亡事故に見るフランスの食品衛生管理」

「冷凍ピザの次はサラミソーセージにサルモネラ菌 真剣にどうにかしてほしいフランスの食品衛生管理」

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①」

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ②」

「パリで食べられる世界一のピザ PEPPE PIZZERIA ピッツェリア・ペッペ」



2023年3月3日金曜日

12歳の娘を70歳の老人に売る親

 


 子供を食い物にする親というのはいるもので、フランスの場合、子供に対して結構、補助金が出て、親が低収入の場合は住宅手当まで出たりもするので、子供にお金をかけずにいれば、それなりにその補助金で家族もろとも生活をしているような人もいるのです。

 子供にかける費用というのは、それこそピンキリで、とても補助金どころでは足りないと私などは思うのですが、公立の学校に子供を行かせて、特別に他の教育をせずに、あらゆる補助金の伝手を辿って、それを手繰り寄せていけば、なんとかやっていけてしまうのも事実なようです。

 そんな風に、やたらと子供で生活しているような人の話は聞いたことがあったのですが、今回の事件は、ちょっとそれを上回る、親が12歳の子供にパパ活のようなことを無理強いしていたという事件でしかもその相手が70歳の年金生活者というのに、言いようもない不快感を覚えました。

 先週、パリ12区の映画館で老人が10代の少女の「胸を愛撫」し、「唇にキス」している不審な行動に映画館の従業員が気付いたことから、この事件が発覚していきました。

 従業員はその後、同じ列に座っていた少女の父親と母親に警告しようとしましたが、両親は老人の行動に驚きもショックも受けていないことにさらに驚き、少女の母親も、老人は単に「友達」であると従業員に話しました。

 ますます不審に思った映画館の従業員は警察に通報し、警察は小児性愛者の老人と被害者の母親を逮捕しましたが、父親は娘を連れて逃亡、警察に拘留された老人は事実を認めましたが、それは「愛情のしるし」に過ぎないと語ったと言われています。

 ところが、その後の捜査の結果、この老人はこの少女の両親に、その代償として年間90,000ユーロ(約1,300万円)を支払っていることが発覚。身柄を拘束された老人と母親は「15歳の未成年者への性的暴行と未成年者に対する人身売買」の罪で起訴されています。

 子供を売るようなことをしていながら、両親揃って、その場に立ち会うというのも解せない話ではあり、また、なぜ、映画館のような場所を選んでいたのかも疑問ではありますが、考えようによっては、年間90,000ユーロを稼ぐ娘はその両親にとっては金の卵、しっかり監督する必要もあったのではないかとも考えられ、また少女本人がこの金銭のやり取りを知らなかった場合に、老人の行状には両親は気づいていないことを装っていたとしたら、映画館という場所を選んだことも頷けないでもありません。

 それにしても異常な大人たちに食い物にされていた少女がどれだけ傷ついていたかと思うといたたまれませんが、父親が彼女を連れて逃亡中ということは、彼女はまだ苦しみから解放されていないのです。父親は、指名手配されています。

 フランスは児童保護については、なかなか厳しいを態度をとっていると思われ、私も一度、全然、見当違いに「子供を学校に行かせていない」などとでたらめの通報されて、児童保護団体が家に調査にやってきたりして、ビックリしたことがありましたが、そんなことは娘の学校を調べてもらえばすぐわかることで、学校に行かせていないどころか、休みの日には、お稽古事のハシゴの送り迎えでヘロヘロなのに・・とあきれ返りましたが、実際に、そんなめちゃくちゃな通報をする人がいることの方が不気味で、児童保護団体には、誰が通報したのか聞きましたが、結局、教えてもらえませんでした。

 しかし、児童虐待にしても、家で子供に暴力をふるったり虐待をしたりするやり方とはまた異なる、このような子供を売り物にするやり方は、なかなか表面化することは難しいと思われます。

 この老人は、小児性愛者で、若い女の子のTikTokアカウントに頻繁にアクセスしていることがわかっていますが、これがTikTokへのアクセスだけにとどまっていないところが、恐ろしいことで、不特定多数の人がアクセスできるSNSがこのような犯罪の入口にもなりかねないのです。

 国民議会は昨日、TikTok や Snapchat などのプラットフォームがユーザーの年齢を確認する義務を確立することを可決しました。 この条文によると、15 歳未満の子供の登録には保護者の同意が不可欠であり、違反した場合は罰則が課されるとされています。

 もっとも、この事件の両親のような場合、保護者の同意は逆に恐ろしいのですが・・。


12歳の娘を売る親


<関連記事>

「恐怖の家 子供の児童手当を食い物にして子供に虐待を続けてきた親 逮捕」

「日本のニューワードに疎くなる 「片親パン」の巻」

「フランスの児童保護機関から子供を守るために日本へ帰った男性の話」

「フランスのベビーシッターと子供のお迎え」

「フランスでの児童保護、親権などに関する怖い話」



 






2023年3月2日木曜日

ハードディスカウントショップの新ブランド「トゥージャスト」 



 

 止まらないインフレの中、これまであまり見ることのなかったハードディスカウントショップが続々と登場していますが、このハードディスカウントショップの中でも、新しいビジネスモデルを構築しようとしている新しいブランド「トゥージャスト」の1号店がアレス(ガール県・オクシタニー地域圏)にオープンしました。

 この新しいブランドは、「他の市場よりも10%安い」価格を提供することで、他のディスカウントストアと競争しようとしています。

 これまでハードディスカウントショップといえば、どちらかといえば、日用品をメインに取り扱っていたイメージがありましたが、今回は、スーパーマーケット寄りというより、まさしくスーパーマーケットです。

 また、それ以前からのディスカウントショップ(低価格帯のスーパーマーケット)としては、Lidl(リドル) や Aldi (アルディ)(ドイツ資本のスーパーマーケット)がありましたが、このリドルやアルディよりも少なくとも5%は安くなることを公言しています。

 このブランドの特徴は、できる限り仲介業者を省き、生産者と直接取り引きしています。

 例えば、このブランドで扱っているガスパチョなどを例に挙げると、通常は、生産者と流通業者の間に仲介業者が存在するために競合他社の間で6.5ユーロで販売されているものを彼らは「2.50 から 2.95 ユーロの間」で販売することができると説明しています。

 トゥージャストのもう1つの特徴は、利益の一部をサプライヤーに支払うことを約束していることです。これらの製品の大部分は消費者に知られていないホワイトラベルであり、あまり知られていない製品を扱うことは、店舗側にとってはある意味リスキーなことでもあるのですが、その代わりに製品の仕入れをギリギリの低価格に抑え、利益が上がった場合にその一部を支払うという新しいビジネスモデルになっています。

 ホワイトブランドにとっては、何よりも製品が売れて、消費者に少しでも知ってもらう機会にもなり、利益が出た場合に追加の報酬も得られるわけですから、生産にもより、真剣に取り組むことになるでしょう。

 また、日頃、食料品などに関しては、ついつい、決まりきった長いこと慣れ親しんでいるメーカー(ブランド)のものを選びがちなのですが、この止まらないインフレが、あまりこれまで見かけたことがなかったブランドのものに手をのばそうとするきっかけになりつつあるということでもあります。

 これまでフランスでは圧倒的に大きなブランド(認知度が高いメーカー)の製品がかなり独占して出回っているイメージがあって、逆に言えば、よく飽きないな・・と思うと同時に、彼らの好みがかなり保守的であることを感じていましたが、このインフレを機に、より多くの小さなブランドがこのようなお店を足掛かりに進出できるチャンスでもあるのかもしれません。

 このお店は、現在1号店をオープンしたばかりですが、2023年末までには、約40店舗に拡大される予定になっています。

 また、当然?割高なフランス産のものばかりではなく、スペイン産のオレンジ ジュース、ポーランド産の鶏もも肉、イスラエル産のクレマンチン(みかん)、さらにはケニア産のサヤインゲンなど、より低価格を追求するために海外からの輸入品も多く扱っています。

 このインフレを機にホワイトブランドに目をつけて、より低価格で仕入れるかわりに利益が出た場合にその一部をディストリビューターに支払うという新しいビジネスモデルがこの先、どう他のマーケットにまで影響するのかはちょっと楽しみなところです。

 今後、パリにもこの店舗ができるかどうかはわかりませんが、より低価格なのは嬉しい限りですが、それ以上に今まで目にしたことのない製品が並んでいるというだけでも、なんだか楽しそうです。

 これが成功すれば、今後、同等のお店ができていくと思いますが、すでに昨年末にオープンしているスペインのプリマプリ、春にはドイツのTEDi、9月にはカーフールの子会社でアタカドンがフランスに上陸する予定になっています。

 いつか日本の「業務スーパー」がフランスに来てくれるかも?と期待しています。


ハードディスカウントショップ トゥージャスト


<関連記事>

「最近フランスに繁殖するハードディスカウントショップ アクション Action」

「メイク用品・スキンケア・ヘアケア・日用品・お菓子・日用品がびっくりするほど低価格なお店「NORMAL(ノーマル)」

「パリにも広がりつつある日本のお菓子」

「パリのワンコインショップ 全商品2ユーロ C'est duex euros(セ・ドゥユーロ)」

「フランスで爆発的な売れ行きのリドル(Lidl)のスニーカー」





2023年3月1日水曜日

俳優ピエール・パルマードの自動車事故が炙り出した薬物による転落人生

 


 ここのところ、フランスのマスコミは、毎日のように、俳優・ユーモリストであるピエール・パルマードの起こした自動車事故によって明らかになった彼の人生の転落ぶりを報じています。

 この事故が起こったのは、パリ近郊の彼の家からそんなに遠くない場所で起こっていますが、この事故が、車の原型をとどめていないほどのかなり大事故であり、車に乗っていた人々が重症を負ったことや、車を運転していた彼からコカインの反応が出たことで、騒ぎは一層、ヒートアップしていきました。

 彼が運転していた車は、正面からやってきた対向車に衝突し、対向車の損傷は特に激しく、救出のためのヘリコプターも出動したようです。

 対向車に乗っていた男性と6歳の子供は重症で、同乗していた女性は妊娠中で、彼らが病院に搬送された後に、お腹の中の子供は、亡くなったということで、胎児が殺人罪に該当するのかどうかも論争の種の一つになっていました。

 しかし、後日、妊婦は事故後に病院で帝王切開の手術を受け、出産していたことが明らかになり、子供は、その約30分後に死亡宣告を受けていることが明らかになり、殺人罪に該当することが確認されています。

 当の本人も事故のために命に別状はない状態とされつつも、負傷しており、入院状態にありましたが、ある程度、回復した段階でまた、同地方の病院内の薬物中毒ケアユニットに電子ブレスレット(身柄追跡のため)を着装された状態で入院していましたが、後に脳卒中を起こして、その治療中(命の危険はないとのこと)とのことで、事件に関する公聴会も欠席しています。

 さらに問題なのは、彼の薬物中毒がかなり重度なものであったことで、事故を起こした当日もその日の昼頃から、事故を起こす30分前まで(事故は午後7時頃発生)、コカイン、アルコール 2 杯、3MMC(コカインと同様の効果を持つ違法薬物) を 8 回摂取しており、薬物の影響で過去3日間、眠っていなかったことが発覚しており、ほぼ薬漬けのような生活であったことがうかがい知れます。

 当局の自宅捜索で、これらの薬物の痕跡と注射器を発見されており、彼の血液検査の示す数値からも、かなりの量のコカインが認められ、重度の中毒状態であったことは明白で、本人も事実を認めたと言われています。

 こうなってくると、根掘り葉掘り彼の行状が深掘りされていくなか、このほかにも、警察への通報を受けて児童ポルノ画像の所持で捜査が開始され、 彼のパリの自宅とセーヌ・エ・マルヌの家が家宅捜索され、コンピューター機器が押収されています。 

 一昨日、パリ控訴裁判所は、彼を「殺人および不随意傷害」の罪で起訴し、自宅軟禁について検察からの異議の申し立てにより、公判前拘留(裁判の前に投獄)が決定しました。

 彼の投獄に関しては現在のところドクターストップが出ていて、まだ彼は収監されていないようですが、超有名人の投獄ということで、マスコミは、これまでに収監経験のある人の証言をとったりして、彼の刑務所の生活のリスク(フランスの刑務所はかなり怖いところらしい)を明らかにしており、ある程度、刑務所内で保護された状態でない限り(一般の囚人と一緒の場合は彼の命は5分もないと言う人もいる)、彼は塀の中で大きな危険にさらされることになると言われています。

 かねてから薬物問題で苦しんでいた彼は、2年前にコカインと同様の効果を持つ合成薬物 3MMC に出逢い、それ以来、新たな薬物の中毒反応のために、もはや仕事もできない状態に陥っていたと語っているそうです。

 この事故の当日だけを見ても、もはや彼の生活は普通ではなかったのは明らかで、それが薬物のためであることは明白ですが、どう考えても幸せそうではありません。

 世間にも広く認知されていた彼は、俳優・ユーモリストとして、フランスではある程度、成功者であったはずなのに、仕事の上での成功と個人の生活が幸福であるかどうかは、全く別ものであるのだと、つくづく思い知らされてしまうのです。


フランス人俳優 ピエールパルマード薬物中毒 自動車事故


<関連記事>

「いつからフランスは銃社会になったのか? アヴィニョン警察官射殺事件」

「殺害された麻薬取締りの警察官の追悼式に全国から1万人近く集まるフランス人の温情と、ますます危険度が高まるフランスの警察官」

「マルセイユではパン・オ・ショコラを買うようにカラシニコフを買うことができる マルセイユ14歳少年銃殺事件」

「クラック(コカインを含んだ違法薬物)常用者溜まり場の中毒者の強制締め出し」

「幸せの感受性 海外生活でみつけた幸せを感じる方法」