考えてみれば、年がら年中ストライキをやっているフランス。今年に入って覚えているだけでも、夏のバカンス時の空港や航空会社のストライキ。エネルギー危機が叫ばれる中のガソリン供給会社、RATP(パリ交通公団)、SNCF(フランス国鉄)などなど、一つがおさまると、また別がストライキともぐらたたきのように、必ずどこかがストライキをやっている感じがします。
そして、一年の年末の締めくくりは、お医者さんたちが一週間のストライキをするようです。
ガソリンや公共交通機関のように、皆が毎日毎日、お医者さんにかかっているわけではないので、社会全体を揺るがすようなストライキになるとは思えないものの、現在、コロナウィルスはまだ蔓延中なのに加えて、細気管支炎やインフルエンザなどの3大ウィルスが同時に流行しているといわれている中、お医者さんのストライキは、まさかの事態には、大変、困ったことになると、少々不安になります。
特に小さい子供や高齢者を抱える家族にとっては、より一層、心もとないことに違いありません。ストライキをする権利というものは、誰にもあるのだということはわかりますが、お医者さんに至っては、時には命にかかわることも起こりかねないだけに、少々、複雑な思いもあります。
今回のストライキでは、リベラル派の開業医が中心となって行うもので、フランス医療連盟は、現行の基本診察料25ユーロ(約1,400円)を50ユーロに倍増することや、労働条件改善を求めています。
いきなり倍増という要求には、驚きますが、たしかに診察料が20ユーロから25ユーロまでに上がるまでは、なんだか少しずつでも、「えっ??また値上げ?」と思った記憶があるのですが、それもけっこう昔の話で、そういえば、25ユーロになってからは、かなり値上げしないままだった気もします。
我が家は比較的、医者にはよくかかる方であったのは、私が仕事を休めなかったためで、なんとしてでも娘に病気になられては困るし、私としても病気になるわけにはいかなかったので、ちょっとでも体調が芳しくないと思えば、早め早めに先手を打ってお医者さんにかかる感じで、また、フランスでの子供の予防接種などについても、必要な予防接種やタイミングなど私はわからなかったので、すべてかかりつけのお医者さんに相談していました。
フランスでは、医療費(診察料や薬など)は、国民健康保険でかなりカバーしてくれるうえに、多くの人がその国民健康保険ではカバーしない分をカバーしてくれる保険(ミューチュエル)に入っているため、結局は全額カバーされるために、私などは、医者にかからずに薬を買うよりも、医者にかかってちゃんと診てもらって、薬を処方してもらう方が合理的なので、診察料が高いとか安いとか、あまり考えずに医者にかかっていたので、診察料について、あまり考えたことはありませんでした。
しかし、現在、医者になりたい若者が減り、医者不足が叫ばれる中、専門医などはまた別かもしれませんが、一般の開業医などの場合は、考えてみれば、医者になるための勉強がかなり大変なわりには、超高給というわけでもなく、優秀な学生にとって、金銭的には、あまり魅力的な職業ではないかもしれません。
特にパンデミックを機に、医療体制には、様々な問題が浮き彫りになってきていますが、一般の開業医もまた、社会全体の医療制度とともに見直さなければいけない時が来ているのかもしれません。
今回の医療費値上げ要求をはじめとするストライキを呼び掛けている医者たちは、「明日のための医師団」と銘打って、運動を起こしていますが、この改革が確実に医者が不足すると見られているそう遠くない未来のために、医師という職業が少しでも魅力的な職業で、尊重される職業であるべきだとしています。
これらの要求のための動きは今回の年末の一週間のストライキだけでなく、1月5日の大規模なデモも予定されています。
開業医ストライキ 明日のための医師団
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