2022年10月21日金曜日

コロナウィルス第8波のピークとオミクロンBQ.1.1

  


 フランスのコロナウィルス第8波は、先週に、1日あたりの新規感染者が6万8千人近くの数字を記録したのをピークに若干の減少傾向にあると言われています。しかし、依然として6万人前後の高い水準を維持しています。

 10月20日の時点では、入院患者数は、前日より38人多い20,110人を記録しており、新規感染者の減少とはうらはらに、未だ増加を続けています。感染から発症、悪化の時間差によるものとも思われますが、未だ安心できないのは、オミクロンBQ.1.1というオミクロンの新しい変異種の出現もあります。

 第8波と言われているフランスでは、パリでもメトロの中などは、少しマスクをしている人が増え、それなりに警戒している人もいるのだと思わされますが、この新しい変異種については、あまり騒がれてはいません。というか、コロナウィルスに関する報道はかなり縮小されています。

 しかし、これまでの感染の大半を占めてきたと言われていたオミクロンBA.5から新しい変異種であるオミクロンBQ.1.1に変化しつつあるということは、これまでの感染の波が新しい変異種の出現とともに感染の増加が起こってきたことを考えれば、容易に第8波は過ぎ去ったと言い切れない懸念を残しています。

 BQ.1.1は、すでにナイジェリアで広く流通しており、また、アメリカ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、イタリア、オランダ、イギリスでも増加傾向にあります。フランスも例外ではありません。

 10月16日の時点で、このBQ.1.1の割合は、前週の7%から16%に増加したと、フランスの公衆衛生機関が発表しています。妙な言い方ですが、新たに変異しているだけあって、BQ.1.1はBA.5より成長力があります。

 BQ.1.1は「厄介な変異に満ちている」ため、「我々の免疫系の反応を脅かす可能性がある」とともに、また、多くの科学者がこの新しい変異体が引き起こす症状(下痢や嘔吐を引き起こす特殊性がある)について懸念しています。

 発熱や嗅覚障害よりも、むしろ、消化器系の問題を引き起こす場合、患者はコロナウィルスとの関連性を認識しなくなるため、風邪や他の疾患だと考えて検査を受けずに感染が広がってしまう危険性も懸念されているのです。

 しかし、現在、急成長中のオミクロンBQ.1.1はもちろん懸念される問題ではあるものの、WHO(世界保健機構)では、オミクロンの亜系を全部で300以上リストアップしています。BQ.1.1は、その一つに過ぎないとも言えます。

 今や体調を崩すと、私も、まずは、もしもコロナに感染したかも?とすぐに検査に行きますが、それが消化器系の問題出会ったりした場合は、検査には、行っていなかったと思うので、今やどんな体調の悪化に際しても検査をしなければならないほどコロナウィルスの症状は多岐にわたっているのかもしれません。

 ちょっと風邪をひいたくらいでは、あまり医者にかかったりしませんし、医者に行ったところで治療薬があるわけでもないのですが、周囲の人に感染を広げないためには、具合が悪くなったらまず検査に行くということは必要なわけで、そんな生活はまだまだ終わりそうにありません。


オミクロンBQ.1.1 コロナウィルス第8波


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2022年10月20日木曜日

12歳の少女殺人事件が呼び起こす極右政党の移民叩き

  


 パリ19区で12歳の少女がトランクの中で死体で発見された事件は、あまりに残酷で衝撃的な事件で、先週、死体入りのトランクが彼女が住んでいた建物の近くの中庭で発見され、容疑者と見られる女性が逮捕されて以来、大騒ぎになっています。

 トランクの近くには、2つのキャリーバッグが転がっていたという遺体を隠そうともしない放置の仕方も不可思議です。

 被害者の両親は、彼女が金曜日の午後に学校から帰ってこないことを心配して、娘の行方不明を警察に知らせ、パリ東部にある自分たちの住居にこの見知らぬ若い女性がいることを通報したのです。

 この見知らぬ若い女性は、彼女が学校を出てから数分後、姿を消すまでの間、建物の監視カメラに少女と一緒に映っていた人物でした。

 発見されたトランクの中の遺体には、喉に複数の傷があり、体は布に覆われ、縛られて丸まっていました。検死の結果、死因は窒息死と判定され、被害者の両足の下に赤で0と1が書かれていたと検察庁は発表しています。

 容疑者は24歳のアルジェリア出身の住所不定の女性で、2016年に学生ビザで合法的にフランスに入国していましたが、2022年9月21日以降、フランス領から退去する義務を負っていたと伝えられています。

 彼女は8月21日にフランスの空港で滞在許可を取得していないため、フランス領からの出国義務(OQTF)を課されていますが、前科がないため、行政拘置所には入れず、30日の帰国期限付きで自由にしてもらったという経緯があったようです。  

 彼女は警察からは、ノーマークの人物で、2018年にDVの被害者として警察に記録されていたといいます。

 彼女の姉がこの被害者と同じアパートに住んでいたということ以外、彼女と被害者との接点はなく、なぜ彼女が殺されなければならなかったのか? 犯行の動機などは、解明されていませんが、犯行前後の彼女の動向を目撃した人々の証言からも、到底、普通の精神状態ではなかったことは明らかで、彼女は「15歳未満の未成年者の殺害」と「拷問と野蛮な性的行為を伴う強姦」の罪で起訴されていますが、彼女が供述を度々、翻すことで、事情聴取はが難航している模様です。

 彼女は、当初「少女を、同じ建物に住む姉のアパートに引きずり込んだ後、シャワーを浴びさせ、死に至る性的犯罪やその他の暴力を行った」と話していましたが、その後、「子供を殺すなんて有り得ない」とか、「夢を語ったのであって、現実は違う」とか、「幽霊と戦った」とか、「私もレイプされ、目の前で両親が死ぬのを見ました」と、一貫しない供述を続けており、同時に精神鑑定が行われているようです。

 地域の住民の目撃者は「彼女はトランクを持ち歩いていて、カフェの前でトランクを置いて、向かいのパン屋にクロワッサンを買いに行って、何事もなかったかのように戻ってきた」と証言しています。

 死体の入ったトランクを持ち歩いてクロワッサンを買いに行くという神経も信じがたいのですが、彼女は、荷物を持ったまま近所に戻り、ローラと同じアパートに住む姉のベルを鳴らし、姉に詰め寄られた結果、アパートの中庭にトランクを捨ててしまったとも言われています。

 この衝撃的な事件は、地域の住民にも深いショックを与え、彼女のアパートには、多くの住民が訪れ、花を供え悲しみと恐怖の感情をあらわしています。

 彼女が在籍していた学校と周辺の学校の生徒と職員のために、心理的サポートのチームが設置されました。19区の市長は住民の感情がピークに達しているため、精神科医を派遣することを発表しています。

 週明けにはマクロン大統領がこの被害者の両親を迎え入れた・・という話が流れ始めてまもなく、この事件は火曜日に国民集会(RN)と共和党(LR)の主導で国民議会で政治的な展開となり、極右と右派が「不法移民との戦いにおける政府の無力さ」を糾弾しています。

 不法移民に対しては、例えば、彼女がフランス領からの出国義務(OQTF)を課されているにもかかわらず、猶予期限の1ヶ月を過ぎているのに、追跡していないことは、解せない話ですが、極右と右派の不法移民の排除、しいては移民自体の排除問題にまで発展しかねない感じもあり、この無惨な12歳の少女の殺人事件が政治に利用されているようで、痛ましい気がしてなりません。

 

 公開されている容疑者を見ると、本当にどこにでもいそうな若い女性であることに、なおさら恐ろしさを感じずにはいられません。

 彼女の姉の証言によると、「妹は社会になじめず、夜中に目を覚まして支離滅裂な発言をすることもあった」と語っています。

 フランスでは、わりと事件があっても、加害者の家族や被害者の家族がマスコミに顔出ししたりすることもあるのが驚きですが、今回はさすがに両者ともに、マスコミには登場していません。
 
 私もこの事件を見て、やはり、フランスでは送り迎えが必要なんだな・・と思ったりもしましたが、これが移民問題に飛び火していく様子には、ちょっと納得いかない気がしてなりません。
 
 何よりも被害者家族にとって、深い悲しみの中、正義をふりかざしながら、被害者感情を捨て置くだけでなく、真相も解明されていないうちから、鉄は熱いうちに打てとばかりに事件を利用して騒ぎ出すのは、あまりに忍びなく、やるせない気がするのです。

 被害者の少女の両親は、書面にて、「恐怖と苦痛の中にいる私たちは、平和を願い、嘆くために瞑想しています。娘のために、私たちは葬儀が政治やメディアの扇動から遠く離れて、静けさと穏やかさの精神で行われることを望んでいます」と声明を発表しています。


12歳少女殺人事件 移民問題


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2022年10月19日水曜日

バゲットの値上げとお金のない人のお金の使い方

  


 INSEE(統計経済研究所)によると、昨年平均90セントで売られていた標準的なバゲットの価格は、1.20ユーロ(約175円)に近づく可能性があると言われています。欧州全体では、パンの価格が1年で18%上昇したと言われているので、フランスはまだマシな方なのかもしれません。

 しかし、そう言われても、すでにかなり前からバゲットの値段は1ユーロを超えていたような気がするのですが、あくまでも平均価格での話なので、スーパーマーケットで10本5ユーロとかいうようなバゲットも当然入っているわけで、最近、気のせいか、スーパーマーケットで、この10本セットなどのバゲットを抱えている人が増えたような気がします。

 上の写真の10本セットのバゲットは、1本だと52セントで10本セットだと5.20ユーロで、たくさん買ったところで別に安くなるわけでもないんだ・・と思いきや、10本買うと1本オマケについてくるらしい・・つまり1本あたり47セント(70円くらい)になる計算です。

 なかなかギリギリな感じですが、5人家族が多いフランスの家庭ではこの10本のバゲットもあっという間に消費してしまえる量なのでしょう。

 一般的には、バゲットはフランス人家庭にとっては、主食であり、毎日、確実に消費する食品なので、バゲットの価格はある程度の経済指標の一つになるのです。バゲットはフランス人の家庭にとっての主食であり、おやつでもあり、子供のグーテ(学校に持っていったりするおやつ)には、バゲットにチョコレートクリームや時には板チョコを挟んだりして持たせる親も少なくありません。簡単だし、いつも家にあるもので、安上がりなフランス人の子供のおやつです。

 バゲットを焼くオーブンは、ガスや電気で稼働しているので、そもそも値上がりしたと言っても高くない単価のバゲットなどのパンに関して、このエネルギー価格の高騰は大変な痛手で、原材料価格の小麦、バター、卵、人件費、パンを包む紙袋まで、全ての価格が上昇し、小さいパン屋さんなどには、とても持ち堪えられない事態。

 おまけにスーパーマーケットなどの大量生産で価格を下げる戦法には、とても太刀打ちできません。2023年度予算では、従業員10人未満の企業には来年度も関税の軽減措置が適用されることになっており、これは多くのパン屋さんに関係します。

 私自身は、それほど定期的にバゲットを食べているわけではないので、この値上げにあまりピンと来てはいないのですが、最近、レストランに行くと出てくるパン(バゲット等のハード系のパンが多い)の量が減ったな・・と感じています。(足りなければ、頼めば追加で出してくれるとは思いますが・・)

 そもそもレストランでは日本だと、パンは行くとまず出てくる水のようなもので、パンは頼まなくてもまず出てくるものなので(食事の場合)、なんか、これでもか!というくらい山盛りで出てきていたイメージがあるのですが、それが、最近、このパン山盛り感が減った気がしています。

 まあ、パンを目当てに行っているわけではないし、パンばかりでお腹を膨らましては残念なので、私にとっては、全然OKなのですが、やはりパンがないと食事にならない・・という人もいて、夫の友人のパン好きの人は、ピザを食べてもパンが欲しいとか、日本食も好きなんだけど、日本食のレストランはパンが出てこないから行かない・・などという人もいるのです。

 全てが値上がりしているため、パン屋さんだけでなく、レストランなども緊縮財政での営業なのだと思いますが、価格の高騰を嘆くわりには、フランス人は外食が好きで、価格の高騰で生活苦を訴えるデモに数万人動員・・などと言っているわりに、こんなものにこんなに払ってまで外食する?また、ランチタイムなどのテイクアウトのサンドイッチやサラダなどが結構な値段にもかかわらず、けっこう売れているのは不思議です。

 自分で稼いでいるお金、何にどう使おうと勝手といえば、勝手なのですが、午前中の休憩時間などに、毎日のように、たむろして、クロワッサンとカフェなどを食べたり飲んだりしている決して高給取りとは思えない人々になんだかモヤモヤするのです。まあ、これが中途半端に高いのですよ・・。

 先日、日本では、「貧因層ほどコンビニで割高の買い物をしている」などという報道を見かけましたが、細かいながらも蓄積される消費を抑えないのは、フランスでも同じなのかな?と思ったりもします。

 ましてや、フランスは一般的に外食は高く、10ユーロ(約1,450円)以下で食事ができることは、かなり稀なのです。

 もともと私はケチなので、支払う金額に対してそれなりの価値がなければ、外食をする気にはなりません。外食をする場合は、家で自分で作れないもの、またお店の雰囲気や空間が心地よいと感じられる場所に限られるので、そんなに外食する機会が多いわけではないのです。

 しかし、「貧因層ほど無駄なお金の使い方をする」というのは、フランスでもまた、同じかな?と感じるのです。


バゲット値上げ 貧因層


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2022年10月18日火曜日

些細なもので、感動できる「海外生活のおタカラ」の日本食

  


 日本に一時帰国する際には、入念に日本で買ってきたいものをリストアップ(ほぼ食糧)し、日本に滞在している間は、躍起になってそのリストアップされた食糧を探し回ることになるのですが、もう久しぶりに行く日本のスーパーマーケットは、欲しいものだらけで、大変な興奮状態になります。

 賞味期限等もあるので、ものによっては、買うタイミングを図りつつも、買い物に行けば、セールになっていたりすると、ついつい手が伸びてしまい、荷物をパッキングする際には、通常スーツケース1個あたり23キロに制限される荷物をギリギリ、プラスマイナス1キロ以内にまで調整するのに汗だくになり、期間中に頂いたものなどを併せると、結局、いつも泣く泣く置いて帰らなければならないものがでることになります。

 しかし、フランスに帰ってきて、山のような荷物を納めるところに納めてしまうと、案外あっけなく、何もなかったように納まってしまうのも、ちょっと寂しい気さえするほどなのですが、それでも日本から持ち帰ったものでいっぱいになっている冷蔵庫などを眺めるにつけ、自然と笑みが溢れてくるものです。

 なまものに関しては、賞味期限が短いので、案外あっさりとなくなってしまうのですが、逆にインスタントラーメンなどは、賞味期限も長いために比較的長いこと保管していることになるのです。

 今やインスタントラーメンなどは、パリでは行くところに行けば、買えるものではあるのですが、種類もそんなに多いわけではなく、日本から持ち帰ったものというのは、やはり特別な思い入れがあるわけで、ここぞと言う時の「ご褒美」、落ち込んだりした時の「元気の源」になるわけで、「とっておき」のおタカラとして、抱え込むのであります。

 そうなってくると、案外、忘れて賞味期限切れになってしまう場合も少なくないのですが、海外生活では、賞味期限にもかなり寛容になり、少々の賞味期限切れなどは意に介すこともなくなり、おおよその目安と化しています。

 そのとっておきのラーメンなどを食べるときには、本当にそれで、かなり癒されるもので、この喜びは海外生活ならではの感動だな・・とむせび泣く思いでラーメンを啜るのです。

 このささやかな喜びは日本に住んでいたら、ごくごくあたりまえの普通のことになり、なんの感動もなくなると思うとラーメン一つでこんなに感動できる海外生活というのも、悪くないな・・と思うのです。

 やはり、日本食と見れば、大興奮で一時帰国の際には、テンション高く私と買い物をしていた娘は現在は、日本で仕事をしているので、さぞかし食生活には満足しているかと思いきや、やはり、毎日の日常になれば、さしたる感動も失せ、しらっとしていることに、なんだか目を輝かしながら一緒にスーパーマーケットを回っていた同士を失ったようで、今後は一人でやたら興奮しながら買い物をするであろうと思いつつ、なんか、彼女はあの感動を失ってしまったことが気の毒な気さえしてくるのでした。


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2022年10月17日月曜日

パリのモーターショーと電気自動車購入のためのボーナスとガス欠

  


 今週からモーターショー(自動車国際見本市)が、4年ぶりにパリに戻ってきます。通常は、1年おきに開催されているパリのモーターショーは、2020年にはパンデミックのために開催が中止されたために、実に4年ぶりの開催になります。

 しかし、例年は、2週間で100万人が集まる大規模な人気のイベントでしたが、今年は自動車業界の複雑な状況から規模を縮小して行われ、主催者は、今年の来場者数を1週間で、30万人から40万人とすることを目標としています。

 メインのフランスのプジョーとルノー、シトロエンと共に中国とベトナムの電気自動車ブランドが大きなブースを構えて欧州進出を狙っています。

 ルノーは新型ルノー5と一緒に展示される電気自動車SUV、新型ルノー4を展示、プジョーはジープ、DSの新型車を発表、シトロエンは「サスティナブル」をコンセプトとしたOLIを先行公開します。

 しかし、このモーターショーが盛り上がりにかけるのには、ドイツ車、日本車が出展していないこともあり、BMWとフォルクスワーゲンは、子会社のミニ、シート、ブガッティ、ランボルギーニとともに参加しない予定です、日本車に関しても不参加と噂されており、話題には上がってきていません。

 このモーターショーを前にしたタイミングを図ってのことだと思いますが、前日には、マクロン大統領は、国民に向けて、電気自動車購入の際に所得の低い層の国民に対して(全世帯の約半数)のボーナスを6,000ユーロから7,000ユーロに増加することを、同時に電気自動車の充電ステーションにエネルギー価格の関税シールドを拡張することを発表しました。

 この電気自動車購入のためのボーナスは、電気自動車がガソリンやディーゼル車に比べてはるかに高額であるにもかかわらず、多くの国で市場が離陸する手助けとなってきましたが、このボーナスは、47,000ユーロ以下で販売される車、すなわちルノー メガーヌやプジョー2008などの小型電気自動車やSUVが対象で、テスラは対象外です。欧州製の車の購入に対するメリットの強化を計っています。

 同日、ボルヌ首相はこれまでのガソリン1リットルあたり30セントの援助を11月中旬までに延長することを発表しています。

 しかし、大統領、首相のそれぞれの発表には、国民はさして関心を寄せてはおらず、どちらかといえば、「今ごろ何を的外れなことを言っている!」「まず、給油も満足にできない状態をなんとかしろ!」と、反対に国民の怒りを買う始末。

 ボルヌ首相は現在の製油所のストライキについて、「私たちは、ストライキの権利は尊重しています。しかし、組合とは過半数の同意を得て交渉を締結しているのだから、少数派の意見の人々がいつまでもストライキを続けることは、あり得ない、会社側も従業員を説得する努力をする必要があり、責任がある」「しかし、もしも明日もまた、状況が非常に緊迫していれば、徴発(強制的に仕事をさせる)を行うことができる」などと言及しているものの、彼女の言っていることはいちいちもっともなことではあるのですが、どうも彼女のキャラクター?からか、厳しい学校の先生のような感じで一般庶民にあまり行為的に受け入れられる感じがしないのも残念なところです。

 ガス欠で車が動かなくなる車が多いのか、最近、レッカー車をよく見かけるようにもなり、ガス欠で仕事に行けない、店舗なども品物が届かない、来週から始まる予定のバカンスにも行けない・・状態で、電気自動車購入のボーナスなどの話をされたところで、それどころではない!政府は悉くタイミングがズレている!といって国民の怒りを買うのも致し方ない状況なのです。


パリ モーターショー 電気自動車購入ボーナス ガソリン不足 


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2022年10月16日日曜日

パリ12区で服従拒否の運転手に警察官が発砲 運転手死亡

  


 パリはまことに物騒な犯罪の多い街でもありますが、同時に警察官の検問にも注意を払い、素直に従わないと撃たれる可能性があると言うののは非常に恐ろしい話です。

 今年に入ってから、一体、何件、同じような事件を聞いたか、警察官を見ても、ちょっとそら恐ろしくなるような気さえしてしまいます。

 金曜日の夜7時半ごろ、パリ12区で保険未加入の車両の取締をしていた警察官が車を停めるように促したところ、運転手はこれを無視して逃走をはかり、交通渋滞に巻き込まれた脇道に入りました。

 車がいったん、止まったところで、2人の同乗者は徒歩で逃走し、車内に残った運転手にエンジンを切って、車から降りるように言うと、運転手は警察官に向かって車を発車させようとしたため、警察官が発砲したということです。

 同乗者は依然として逃走中、知人が殺された現在、どんな気持ちで逃げていることやら・・。なぜ、逃げるのだろうか?と一瞬、思いましたが、警察官に拳銃を向けられたら、さすがに怖くなって逃げるのは、普通です。

 運転手はその後、この脇道で店の前に駐車していた別の車両に突っ込み、まもなく死亡したそうです。現場を目撃していた人の証言によると、警察官が発砲したのは、3発、うち1発が命中し、運転手は重傷を負い、現場で心臓マッサージを受けたものの死亡してしまいました。

 この発砲事件で警察官2名が身柄を拘束され、国家警察監察局(IGPN)により「権力者による自発的過失致死」の調査の一環としての捜査が開始される予定です。

 今年に入ってから、服従拒否に関連して警察が発砲し、12人が死亡しています。私がちょっと思い浮かべるだけでも2〜3件はあります。シートベルトのチェックのための取り締まりの際の服従拒否での発砲事件もあったし、車ではなく、空港でのホームレスに向けての発砲事件もありました。

 いずれの事件もその時は、警察官の発砲事件が起こった!と一瞬、報道され、公権力保持者による自発的過失致死で捜査・・とまでは報じられるのですが、その後にその警察官がどうなったのかは、あまり報道されません。

 その度に、法務相などが出てきて、警察官は非常に危険な職務についているなどと、警察を擁護するかのごとき発言をするのがとても気になるところですが、保険未加入で逃走しようとする運転手に向けて、発砲までしなければならない理由がわかりませんし、発砲するにしてもとりあえず車を止めるならば、タイヤに向けて発砲するとか、別の方法があるのではないかと思ってしまいます。

 警察官が危険にさらされる職業であることは理解できますが、あまりに気安く発砲しすぎる傾向がある気がしてなりません。今回、法務相は、「警察官が武器を使用するケースは0.5%に過ぎない」と得意げに話していましたが、警察官や憲兵が1年間に記録した約26,000件の応召拒否のうち、約200件に発砲しています。つまり、0.76%の確率ということです。

 そもそも従わないから殺してしまうというのは、どう考えてもおかしな話です。死刑制度のないフランスは、死刑制度を声高く非難しながらも、微罪の犯人に対しても警察官の手であっさり射殺してしまう一面もあるのです。


パリ12区警察官発砲事件 服従拒否 射殺


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2022年10月15日土曜日

鎖国を解除した日本について 日本に観光客は戻るのか?

  


 「2020年春にパンデミックのために、外国人観光客をシャットアウトしてしまった日本がようやく今週からその扉を開けた!」と、紹介する報道がちらほら上がってきています。

 日本水際対策のためにしいていた外国人に対しての鎖国を段階的に解き、今年6月には、外国人観光客の入国が許されたものの、それは団体旅行や旅行代理店を通じた旅行に限られていました。

 そんな日本にも、10月からは、ようやく68カ国からの旅行者が再びビザなしで入国できる(ワクチン3回接種証明書あるいは、出発前72時間以内の陰性証明書があれば)ようになったことは、フランスのメディアでも取り上げられ始めました。

 パンデミックのためには、これまで日本人でさえも海外からの入国には、72時間以内の陰性証明やワクチン接種証明書、入国後の検査や強制隔離施設での隔離期間など様々なハードルが設けられていましたが、それ以上に外国人であるというだけで日本入国には、特別な場合にしか入国は認められず、ビザを取得しなければならなかったため、事実上、不可能に近く、またそのビザ取得のためには、日本から書類を取り寄せなければならなかったり、大使館には常にそのための長蛇の列ができて、通常業務にも差し障りが出る大変なことだったのです。

 外国人というだけで入国を拒否し続けてきたことに関しては、その意味は未だもって納得はできませんが、このビザが必要なくなるという発表前にビザを申請するために支払った料金も返金されることはなく、もやもやが残る鎖国解除でもあります。

 パンデミック前の2019年には、3,180万人の海外からの観光客を受け入れ、それに匹敵する経済効果(同年4兆8000億円、現在の価格で約340億ユーロ)を記録しましたが、日本はこの鎖国のために、2021年の訪日外国人旅行者は25万人未満にまで落ち込み、2022年も現時点では、50万人強で、以前の記録には遥か及びません。

 しかし、この鎖国解除の発表以来、日本の航空会社JALの予約は3倍に跳ね上がり、折りしも、記録的な円安を更新し続ける日本は海外からの観光客にとっては、またとないチャンスでもあり、日本は今なお人気の高い観光地であると伝えています。

 そんな日本に行く人のために、海外のメディアが現在の日本について、伝えていることの中で、「ほ〜っ!なるほど・・」と思ったことをお伝えします。

 まず、「コロナウイルスにより、人口1億2600万人近いこの国で約45000人の死者を出したが、これは他の多くの先進国に比べてはるかに少ない。 これは、日本の徹底した衛生管理によるものでもあり、日本ではまだまだ衛生習慣が厳しいので、それを遵守しなければならない。交通機関や店舗では今でもマスク着用が制度化されており、屋外でも厳しく監視されていおり、国は室内ではマスクを着用し、大きな声で話すことを控えるよう促しているので、日本に入国した場合は、この日本人の習慣に適応しなければならない、日本政府は、パンデミック発生時に、ホテルが管理体制に従わない宿泊客を拒否できるようにする規制強化策を承認している」と注意喚起を促しています。

 次に「ほ〜っ!」と思ったのは、「日本はこの鎖国期間に電子決済サービスを拡張し、現金の使用率が依然として高いこの国においては、ちょっとした革命が起こっている」という点です。

 私が2年ぶりに日本に行ったのは今年の4月でしたが、あまりに現金を使う人が多いのにはビックリさせられたばかりでした。銀行のATMなどに行列している人々に、なぜ?こんなに銀行に行列ができるのかを不思議に思ったばかりでした。

 やはり海外から見れば、現金を使うという人がこんなにも多いということは、驚きだということなのです。

 そして、円安と同時に航空運賃が爆上がりしていることにも言及しています。航空運賃は、燃料費の高騰、2020年以降に航空会社が被った多額の損失、ウクライナ戦争によりヨーロッパからのフライトがロシアを迂回せざるを得なくなったことなどで膨れ上がり、日本への観光客への抑止力にもなっています。

 大手オンライン旅行会社MisterFlyによると、日本への航空券の平均価格が83%上昇しているとしており、日本の鎖国解除は、フランス人旅行者の間で大きな関心を呼んでいるものの、この破壊的な航空券の価格上昇は大きな障壁となっていると言っています。

 日本政府は、年初から対ドルで25%値下がりした円安が観光客を呼び、経済活性化につながるものと期待していますが、83%の航空券の価格の上昇とどう折り合いをつけて日本へ行く選択をするかは、決して楽観視はできない状況ではないでしょうか?


日本鎖国解除


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