2022年3月18日金曜日

パリのお寿司屋さん ふじた Foujita

   


 今やパリには、どこに行ってもお寿司屋さんがあるようになり、どこのスーパーマーケットに行ってもお寿司を売っているほど、お寿司はフランスに普及?して、SUSHIを知らないフランス人はいないほどになりました。

 しかし、そのお寿司屋さんの多くは、中国系のチェーン展開の元締めのものと思われるようなメニューがならぶお店が大部分で、いわゆる日本のお寿司屋さんを期待して入ると、ちょっと肩透かしを食うかもしれません。

 そんな中で、「ふじた(Foujita)」というお寿司屋さんは、お寿司がこんなにフランス中に広まる前から、比較的、庶民的な値段でそこそこの(失礼!)クォリティーのお寿司が食べられるお寿司屋さんとして、人気のお寿司屋さんでした。

 以前は、パリ1区のわりと近い距離にもう1店舗あったのですが、いつの間にか、1店舗のみの営業になってしまっています。

 昔、よく行っていたサントノーレ通りにあった店舗の方が規模も大きく席数も格段に多く、メニューも豊富で、いつも満員のうえに、行けば必ず知り合いの誰かに会うというほど、パリに長く住む日本人にも人気のお店だったのですが、その大きな支店の方が閉店してしまい(あんなに繁盛していたのに、なんで閉店してしまったのか?とても不思議で残念)、今も続いているのは、席数がせいぜい20席ほどの小さなお店です。

 今、パリに繁殖?しているチーズ入りの焼き鳥もあれば、餃子まであるようなお寿司屋さんとは違い、小さなお店のカウンターの中には日本人ともう一人の板さんが二人、お寿司を握っています。オーナーと思われる日本人の年配の男性がお店全体の流れを調整しながら、回しています。

  


 メニューもお寿司、お刺身、納豆、焼き鮭などのシンプルなメニューに、アラカルトで個別にお寿司を握ってもらう(お刺身も)ことができます。お客さんはフランス人がほとんどですが、ある程度の常連さんと思われる人が多くて、混雑はしていても、どこか落ち着いた感じの人が多いです。

 周囲のお客さんを眺めても、器用にお箸を使えるフランス人が増えたものだ・・と感心してしまいます。「いつものね!」などと注文している人もいます。

 


 何より魅力なのは、日本人経営のいわゆるちゃんとしたお寿司にもかかわらず、お値段がお手頃価格であることで、ラーメン屋さん(パリの)に行くのと大して変わらないお値段でお寿司が楽しめます。

 小さいお店ゆえ、たとえ、混雑していても、すぐに握ってくれて、あっという間に出てくるので、すぐに作りたてのお寿司を食べることができます。

 ちょっとわかりづらいところではありますが、フランスでは珍しいお寿司の食品サンプルがショーケースにならんでいるので、それを目印にして探すとわかりやすいかもしれません。

 何より、てきぱきとお店が流れているので、回転もよく、気持ちよく、あっという間に美味しいお寿司にありつけるので、私は時々、通っています。ランチをその場で食べて、お持ち帰り用にバッテラなどを頼んでおくと帰るまでに作っておいてくれるので、2度楽しめたりもします。

 パリにいらして、気軽にお寿司を食べたくなったら、このお店、おススメです。もちろん日本語でOKです。

 オペラ座、ルーブル美術館、チュイルリー公園などからも歩いて行けます。


パリ日本人経営のお寿司屋さん ふじた Foujita


⭐️ふじた(Foujita)41 Rue Saint-Roch 75001Paris

 メトロ Opéra 3,7,8番線、 Pyramides 7,14番線より徒歩5分

 営業時間 12:00~14:15, 19:00~22:00(月曜休)





<関連記事>

「フランス人と日本食」

「フランス人のビックリする日本食の食べ方」

「今、パリで人気のうどん屋さん 喜心 Kisin」

「パリで見つけた美味しいお蕎麦屋さん あぶりそば Abri Aoba」

「フランスで日本の餃子(GYOZA)が浸透し始めた!」

「パリの日本の食パンブームの波 Carré Pain de Mie カレ・パン・ドゥ・ミの日本の食パン」

「パンの国フランス・パリで大成功した日本のパン屋さん・ブーランジェリー AKI(アキ) Boulangerie AKI」


2022年3月17日木曜日

マクロン大統領のゼレンスキールック

   


 今週の始めにマクロン大統領がSNSに、明らかに今やウクライナの英雄的存在となっているゼレンスキー大統領を意識したと思われるラフな出立ちで登場したことが話題になっています。

 目の周りの隈、髭も剃らずに乱れた髪、ジーンズと黒いパーカー姿のマクロン大統領は少なくないインパクトを国民に与えています。

 共和国大統領の公式カメラマン、ソアジグ・ドゥ・ラ・モワソニエール氏が自身のインスタグラムアカウントで、エマニュエル・マクロンの一連の写真を「日曜日 13/03/2022 - 夜遅く - エリゼ宮 - 国際電話中の @emmanuelmacron」というキャプションとともに公開したのです。

 マクロン大統領は、オルレアン近郊に拠点を置く空軍第10軍(CPA10)のロゴが入ったパーカーを着ています。

 パリッとしたシャツにダークスーツという、マクロン大統領に慣れ親しんでいるクラシックなスタイルとはかけ離れたカジュアルな服装には、いろいろな憶測が飛び交い、大統領選の第一ラウンドまで1カ月を切った今、選挙戦に臨むアピールとも思われ、何よりも、この彼の出立ちは、最近、SNSを巧みに利用し、世界に向けて発信を続け、英雄的な存在となっているウクライナのゼレンスキー大統領を彷彿とさせるものがあり、「ゼレンスキールック」と揶揄する人もいます。


 このSNSの投稿には、「ゼレンスキーを気取っているつもりか!」「バカバカしさの極み!」「2日前はEUのVIPたちとヴェルサイユ宮殿で宴会をしていたのに、今度は3ヶ月間雪の下で戦っていたかのように振る舞っている!」「フランスを動かしているのは、この知恵遅れでナルシスト!」などなど、厳しい非難の声も多数、上がっています。

 かねてより、コミュニケーションの達人と呼ばれ、自らツイッター、インスタグラム、TikTokのアカウントを持ち、あらゆる発信を続け、人気ユーチューバーのチャンネルに登場したりと、SNSを広範囲で利用してきたマクロン大統領ですが、戦渦で命を狙われながら鬼気迫る強力な発信を続けるゼレンスキー大統領にのっかるようなこのゼレンスキールックの発信には、反発を感じる人も少なくなかったようです。

 しかし、実際に、これは、休日であるはずの日曜日の夜のこと、戦渦を逃げ回ることはなくとも昼夜、休日問わずに働き続けているマクロン大統領の目の下の隈は、リアルなのではないか?と思います。

 いずれにせよ、これだけ話題をさらうということは、彼のアピールにはつながっているのだし、口の達者なマクロン大統領なら、「ウクライナとの連帯の気持ち」などと、容易にかわせるものであるでしょうが、彼自身は、沈黙を保っています。

 このような反応にいちいち応えているほど、彼も暇ではないでしょう。

 私は、むしろ、このような休日のラフなスタイルが逆にしっくり似合っている若くてエネルギッシュな大統領を単純に羨ましく思っています。

 以前、コロナウィルスの感染対策のためにステイホームを呼びかけるために、日本の元首相が流したSNSでの発信に比べたら、どれだけカッコいいか?と思ってしまうのです。

 しかし、休日には、ゼレンスキールックに身を包んでいるマクロン大統領のもとには、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ前大統領からキエフへの招待状が・・。

「マクロン大統領のキエフ訪問は、非常に大きな連帯の象徴となるであろう」「彼が勇者であることは知っている」と・・。

 激務に追われるマクロン大統領が危険を冒してキエフを訪問することは、あまり現実的な話ではありませんが、こんなSNSが流された直後のことで、なんだか、ちょっと皮肉な感じも受けてしまう結果となりました。


ゼレンスキールック マクロン大統領の休日



<関連記事>

「フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la République」

「現在のウクライナ戦争へのフランスの対応とマクロン大統領のウクライナ・ロシア首脳との電話会談」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「マクロン大統領が書面で出馬表明した理由」

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」




2022年3月16日水曜日

キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!

   


 2月の段階で予約していた3月中旬のパリ発日本行きの直行便が欠航となって、已む無くキャンセルしました。その時点では、先方の要望で、直行便でという指定であったために、当分、欠航が続きそうな状況に、いつ再開するのかもわからないパリー日本行きのフライトを予約するわけにも行かなかったからです。

 パリ発日本行きの直行便はエールフランス、JAL.、ANAの3つの航空会社のみで、エールフランスは、今回のウクライナ問題が勃発して早々に、運航を停止していたので、日本の航空会社を選択せざるを得ませんでした。

 実際に、日本に行く時は、たいていこの3社のいずれかを利用しているのですが、エールフランスは、以前に予約していたフライトがストライキになって、急に帰りの便を他の経由便に変更されて往生したことがあって以来、避けるようになっていました。

 今回、フライトの予約をしたのは、戦争が勃発する直前のことで、その時は、飛行機も普通に運航していたので、少々不安ではあったものの、その頃に懸念していたのは、どちらかというと、コロナウィルス感染対策の検査や隔離についてで、まさか、戦争がこんなことになり、フライトがキャンセルになるとは、思ってもいなかったのです。

 ところが、戦況は日々、悪化、いったん欠航になったフライトもそのうち空路を変更して運航するのではないか?と甘い期待を抱いてもいたのですが、その期待は全く甘いもので、1週間前になって、チケットを購入した会社から、「あなたの予約したフライトは、欠航になりましたが、フライトを変更しますか?それとも返金手続きをしますか?」という連絡が入り、とにかく見通しがたたないので、キャンセルをして、返金手続きをしてもらうことにしていたのでした。

 今回、予約していたのは、JALの直行便でしたが、JALで直接、購入したわけではなく、少しでも安くと、旅行会社のサイトで購入していたので、JALに直接、キャンセルできるわけではなく、その旅行会社にキャンセルを申し込んで、返金をお願いするという心許ないことをするハメになったわけで、一応、即時の対応はあまり期待していなかったものの、キャンセル確認の返信をお願いしますというメッセージを送ってありました。

 このご時世、キャンセルも立て込んでいるだろうと、そんなにすぐに返事が来ると期待はしていませんでしたが、数日経って、キャンセルの確認の通知がきて、返金には時間がかかる様子でした。

 この際、もう全く紙切れになってしまう覚悟もしていただけに、あまり期待はしていなかったのですが、先日、JALのパリ支店からキャンセルの確認のお電話を頂き、しっかりキャンセルされていることや、旅行会社を通して購入したチケットに関しての返金手続きなどについて、ご丁寧に説明してくださいました。

 考えてみれば、今まで何十回も利用しているものの、予約したチケットを自分から変更したり、キャンセルしたことは一度もありませんでしたが、この非常時に日本の航空会社のこの丁寧な対応に、やっぱり日本の会社は親切で安心・・とあらためて、感激した次第です。

 最近、日本・・大丈夫かな?と思うことも多かったのですが、久しぶりに「やっぱり日本の会社のサービスはさすがだ・・」と思える出来事でした。

 次回、予約する時は、JALにしよう!と思いました。


JAL 航空券キャンセル 返金 払い戻し


<関連記事>

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「コロナウィルスのためのキャンセル料金 ANA変更手数料無料の航空券販売」

「コロナウィルスで日本が遠くなった」

「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

「娘の留学ドタキャン コロナウィルスによる被害」


2022年3月15日火曜日

マスク着用義務撤廃とフランス人の同調圧力

  



 フランスでは、一部の例外(公共交通機関や医療施設、高齢者施設等)を除いて、今週からマスク着用義務とワクチンパスポートが撤廃されました。

 フランス人の気質から考えると一気に「やった〜!!!」とマスクを外す人が多いと思っていましたが、思ったよりは今はまだ、屋外でさえもマスクをしている人はいるな・・という印象です。

 とはいえ、まだマスク撤廃は始まったばかり、公共交通機関などは、未だにマスク着用は義務化のままなので、その度に、マスクをつけたり、外したり・・というのが面倒だということもあるのかもしれません。

 しかし、会社内など、1日中、同じ場所で過ごす人々にとっては、マスクの義務化が撤廃されたことは、息苦しさとコミュニケーションのとり辛さから解放されたと喜ぶ人は少なくありませんが、依然として、マスクをしている人も思ったよりは少なくありません。

 実際に現在のフランスの感染状況は、オミクロンBA2による、ちょっとしたリバウンド状態にあり、正直、本来ならば、きっと解除はしていなかった状況なはずで、マスク義務化が撤廃されることを疑問視する声もあり、また、このマスク義務化撤廃の決定がマクロン大統領の大統領選挙立候補公表の前日に行われたこともあり、選挙のキャンペーンに利用されたという声まであがっており、マスク義務化の撤廃を手放しで喜べる状況ではありません。

 実際には、当初、予定されていたマスク撤廃のための基準値には達していない段階で、このマスク義務化の撤廃に踏み切ったのは、ウクライナ戦争のための緊張状態や物価の高騰などの人々の不安や不満を少しでも軽減することや、このウィルスの変異による感染形態などを考慮してのものとは思われますが、個人的には、とても、マスクを外す気にはなりません。

 マスク義務化の撤廃は、マスクを禁止されたわけではなく、義務化がなくなっただけなので、引き続き、マスクをし続けることは自由ですが、そんな中で、早くも一部で登場しているのが同調圧力とも思われる「マスクをしている人に対する嫌がらせ」問題です。

 元来、あまり周囲と違うことを厭わず、日本と比べると、服装などに関しても比較的自由で、誰がどんな服装をしていようと、フランス人は、我関せずの印象があるのですが、このマスクに関しては、また違う一面もあるようです。

 もともとマスク嫌いのフランス人、マスクをしている人がいるだけでも、せっかく解放された気分が損なわれて不愉快だという部分もあるのかもしれませんが、そもそも同調圧力というものは、少々、自分に自信がない場合に、他人を引きずり込んで自分を正当化して安心したいという気持ちのあらわれでもあり、そうでなければ、他の人がマスクをしようがしまいが、関係ないはずなのです。

 不安が人を攻撃的にするという意味では、このパンデミックが始まった頃、コロナウィルスの根源となったのは、中国で中国人=アジア人とばかりに、ネットなどで、「アジア人狩り」が呼びかけられて、アジアの人を攻撃しようとする人々が現れたことを思い出します。

 現在は、1年半も続いたマスク生活に慣れてしまって、マスクをしないで歩くことに、どこか心許ないような、違和感さえ感じるとかいうフランス人もいますが、マスクなしの生活が定着して、もとどおりの生活に戻るのには、きっと時間はかからないと思います。

 マスクを外せば、きっと、挨拶がわりのビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)もすぐに復活するでしょうし、エスカレートするのは目に見えるような気もします。

 この中途半端な状況でのマスク義務化撤廃がマスクをしている人に対する嫌がらせが横行する原因の一端でもあります。

 これまで、フランス政府は、感染対策規制の緩和を段階的に行なってきたのですが、ここへきて、ワクチンパスもマスク義務化も一気に撤廃するということを、私はちょっと疑問に思っているのです。

 せめて、今、まだ感染の懸念があるうちは、マスクをしづらくなる風潮にはなってほしくないのですが・・。


マスク義務化撤廃 同調圧力 


<関連記事>

「コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」

「災害に免疫のないフランス人がパニックになり、アジア人全体を傷つけている」

「80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾」

「フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由」

「3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準」


 

2022年3月14日月曜日

そういえば、同窓会というものに行ったことがない私

   


 最近、学生時代の友人というものは、いいものだなぁ・・とあらためて感じています。学校を卒業してから、長い時間が経っている私ですが、その後に色々な国での生活も体験し、たくさんの人にも出会ったけれど、学生時代の友人というものは、瞬時に時間を超えて、打ち解けられる・・そんなチカラを持っているものだな・・と思います。

 昔、母が急に同窓会を始めた時期があって、何やらとても楽しそうに友人と連絡をとりながら、「じゃあ、男子には私から連絡しておくから・・」などと言っているのをそばで聞いていて、「いい年して、男子・・ってなに?」などと苦笑しながらも母が楽しそうに同窓会に行く様子に、当時の私は、「そんな子供の頃の友達に会うのって楽しいのかな???」と不思議な気持ちでした。

 日常は、子育てと家事と仕事に追われて、滅多に友人と遊びに行くということもなかった母でしたが、ある時期を境に同窓会には、そんなふうに積極的に出かけていたことを今になってわかるような気がしています。

 しかし、私は、20代に一度、留学のために日本を離れ、その後30代になってから本格的に海外での生活を始めたために、同窓会というものには一度も行ったことはなく、以前に実家の方に同窓会の連絡をいただいたりしていたこともあるのですが、それこそ、海外で子育てと仕事に追われて生活していた私には、同窓会に合わせて帰国するなどということはできるはずもなく、また、あまり興味もなかったのです。

 しかし、子育ても一応、一区切りがついて、ましてやこの数年間、パンデミック、そして戦争とまさかの異常事態が続く中、あたりまえのように、無駄なことやバカなことをたくさんしてきた学生時代がとても貴重なものであったと感じるようになったのです。

 もう3年目に入るパンデミックのために、そんなあたりまえだったはずの学生時代を過ごせずにいる子供たちも、3年間マスクで学校に通い、マスクを外した顔を知らないなどという話を聞くと本当に失われている時間の大きさを思います。

 ほんの小さな子供たちも10代の青春を謳歌するはずの年代の子供たちも、現在、通常以上に大変な思いをして子育てをしている人々にも、そしてあとどれだけ、元気に残りの人生を送れるかわからない年長の方々にとっても貴重な時間をパンデミックに引き続いて今度は戦争という事態に身動きがとれなくなっている時間が過ぎていくことに焦燥感を感じています。

 もちろん、戦禍の真っ只中にあるウクライナの人々の状況とは比較にもならないほどですが、ヨーロッパ内でのこの戦争に対する緊張感は、日々高まっています。

 スイス連邦政府は、核戦争が発生した場合に住民を保護する実際の対策となる一連のガイドラインをウェブサイトに公開し、スイス国民に向けて「十分な食糧と水を蓄えておくように」と政府が警告したり、他のヨーロッパ諸国でも食糧備蓄のための買い占め対策のために、スーパーマーケットが購入制限をかけ始めるといった事態にまで及んでいます。

 誰も望まない戦争が一体、いつまで続くのか?いつまで私たちの時間が失われ続けるのか?はたまた、核戦争にまで発展してしまうのか? 不安な生活が続く中、ふと思い出されて幸せな気持ちになる学生時代の何気なく過ごしてきた友人たちとの時間の貴重さを、最近、あらためて噛みしめているのです。

 


同窓会 学生時代

 

<関連記事>

「海外に出ることで離れてしまった家族と友人」

「好きと嫌い 感覚的なものに頼る選択」

「親子関係・家族関係 私が海外生活をしている理由」

「海外生活と日本の家族 母からの最期の手紙」

「海外在住者が母を看取る時」





2022年3月13日日曜日

80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾

 


 フランスでは、コロナウィルス感染がリバウンドし始めていることを受け、ジャン・カステックス首相が、3回目のブースター接種から3ヶ月以上経過している80歳以上の人々への4回目のワクチン接種を開始することを発表しました。

 このコロナウィルス感染のリバウンドの現象は、フランスだけではなく、フィンランド、イギリス、オランダ、スイス、イタリア、ドイツなどの周囲のヨーロッパ諸国でも起こり始めている見過ごすことのできないものでもあります。

 どの国も、程度の差はあるにせよ、感染対策を緩和しつつある中で、その結果が感染のリバウンドとしてあらわれているものと思われますが、第1波の際に壊滅的な被害を受けた謂わば前科者のヨーロッパとしては、十分に危惧すべき状況でもあります。

 この「4回目のワクチン接種開始」のカステックス首相の発表も、先日、オリヴィエ・ヴェラン保健相がリバウンド状態にあることに警鐘を鳴らした発表と同様にどこか、しっくりこない中途半端な印象が拭えず、80歳以上という限定された年齢層向けとはいえ、同時に「マスク着用義務化の解除やワクチンパスポート解除は予定どおり行う」という、ともすると矛盾した内容を確認したうえでの発表であったことに、疑問を感じずにはいられません。

 「最も重症化のリスクの高い弱い立場の人々を守りたい」と4回目のワクチン接種開始を説明していますが、そもそも、4回目のワクチン接種に関しては、これまでは、かなり慎重な態度をとっていたはず、最も早くに4回目のワクチン接種を開始したイスラエルの免疫学者も、その「有効性と安全性に関するデータ」が不足していることを認めており、「疑問点も多く、ちょっとした賭けであり、必ずしも推奨できるものでもない」と述べています。

 それをワクチンパスポートや多くの場所でのマスク着用の義務化を撤廃しながら行うというのは、どうにも納得のいかないものです。しかも、もともと「ワクチンパスポートや多くの場所でのマスク着用の義務化などの制限撤廃」は、「流行の進行がなく、コロナウィルスによる集中治療室の患者数が1500人未満になった場合」という一定の条件を満たした場合という条件つきだったにもかかわらず、その条件を満たしていないにもかかわらず、撤廃に踏み切ったことも腑に落ちません。

 思いもよらぬ形でウクライナでの戦争が勃発し、ロシアへの経済制裁のために、燃料費をはじめとする物価の急上昇や原子力発電所や核兵器への脅威からの国民の反発や動揺を考えて、少しでも国民のストレスを軽減するためであると思われますが、コロナウィルスは戦争の有無に関係なく感染を拡大させます。

 最も弱い立場の人々を守るために、安全性が疑問視されている4回目のワクチン接種を開始することにするくらいなら、せめて、マスクぐらい義務化しておけばよいものの・・と思うのです。

 戦争による混乱状態であることはわかりますが、この戦禍に再び、コロナウィルス感染が深刻に悪化すれば、さらなる混乱を引き起こすことは必須です。

 これまでも、感染は最悪の状態を脱したとはいえ、今年に入ってからも、コロナウィルスによる死亡者数が100人を下回った日はほとんどないのです。


80歳以上に4回目のワクチン接種開始


<関連記事>

「フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘」

「3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準」

「フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由」 

「「フランスのワクチンパスポートは3月末から4月には解除できる」と政府が発表した理由」

「ワクチンパスポート施行とコロナウィルス感染証明書」

「ヘルスパスの評価と自動的に有効期限切れになり失効するワクチンパス」




2022年3月12日土曜日

フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘

 

 

 フランスのコロナウィルス感染状況は、最悪の時期を過ぎて、以来、段階的に着々と感染対策措置を緩和してきました。

 2月に入ってテレワークの義務化が撤廃され、2月16日からはディスコ・ナイトクラブの営業が再開され、2月末には、ワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所(公共交通機関や医療施設・高齢者施設は除く)でのマスク義務化が解除されました。

 それでも、しばらくの間は、感染率も減少し続け、以前の予定を前倒しにして、3月14日からは、あれだけ騒いで施行したワクチンパスポートは、一部の場所(公共交通機関や医療施設、高齢者施設など)を除いて、撤廃されることになっています。

 ところが、ここに来て、フランスの感染者数は一転して増加傾向に転じはじめ、11日には、1日の新規感染者数が72,399人を記録しています。これは、1週間前と比較すると25%増加している数字です。

 これまでの感染の推移を考えると、感染対策措置の緩和から、感染増加には、2週間程度のタイムラグがあり、この経緯を見る限り、2月半ばのディスコ・ナイトクラブの営業再開ならびに2月末のワクチンパスポートの提示が義務付けられている場所でのマスク着用義務化の撤廃の影響が表れ始めていると考えることができます。

 また、ウクライナ戦争が始まり、国民の関心は一気に戦争に集中し、コロナウィルス感染についてもほとんど報道されなくなり、感染に対する注意も自ずと軽減しているのかもしれません。

 昨日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、このコロナウィルス感染のリバウンド状態に関して、病院の負担は引き続き減少しているものの、この減少のペースは鈍り始めており、非常に警戒が必要な状態であることを発表しています。

 感染者数の増加が病院の医療状態に影響してくるのは、これもまた、2週間ほどのタイムラグがあり、この感染者の増加が再び、どの程度まで医療状態を逼迫させてしまうのかは、わかりませんが、現在の段階では、すでに発表されている3月14日からのワクチンパスポートの提示義務やマスク義務化撤廃は、公共交通機関などの一部の場所を除いて、予定どおり行われるとしています。

 この感染のリバウンドという事態に直面し、警鐘をならしつつも、フランス政府が予定どおりのワクチンパスポートやマスクの撤廃に踏み切るのには、このウクライナの戦争によるヨーロッパ全体の緊張状態や現実的に燃料費、電気料金などの高騰(特にガソリンの値上げ率はコロナの感染の増加率以上)により、国民の生活が圧迫されていることも理由の一つです。

 フランスではデモが行われない土曜日はないといってもよいほどで、ウクライナ戦争反対のデモなどもかなりの人数を動員していますが、そのデモの内容がウクライナ戦争反対のデモ以上に「黄色いベスト」による呼びかけのガソリン・燃料費・電気料金値上げ反対のデモの割合が増加しはじめ、このデモが過激化することが心配され始めています。

 暴走するロシアへの経済的制裁といえば、理解できないことではありませんが、実際にその経済的制裁の結果の煽りを受け、国民の生活に跳ね返ってくることに対して政府の対策が何もとられないことに国民が怒り始めているのです。

 この国民の社会不安に対する状況をおさえるためにも、政府はできるだけ、国民を締め付けることから解き放ちたい思いと、一方では、本来ならば、今一度、感染対策をきっちりとる必要があるこのリバウンド状態への懸念が、この中途半端な警告を生んでいます。

 正直、戦争が始まって以来、戦禍の悲惨な映像とともに、原子力発電所まで占拠され、核兵器までちらつかせられている、決してウクライナからも遠くはないヨーロッパの人々は、正直、今は、コロナウィルスよりも「核兵器」を恐れる状態で、このオリヴィエ・ヴェラン保健相の警告がどの程度、国民に響いているのかといえば、ほとんど響いていないのが現状です。

 マクロン大統領が「我々は戦争状態にある」とパンデミックの始まりとロックダウンを宣言した時には、これまで経験したことのない異様な光景が広がり、「これが、戦争というものなのか・・」と思ったりもしましたが、実際に本当の戦争の映像が流されているのを見ると、それは、想像をはるかに超えた悲惨なもので、コロナウィルスへの恐怖とは桁違いのものであることを感じます。

 たしかにコロナウィルスも依然として、脅威ではありますが、ワクチン接種である程度は、病状の悪化は防げるようですし、感染対策により、ある程度は感染を回避できます。

 あまりの戦争の悲惨さを目にして、コロナウィルスへの危機感を忘れそうになっていることもこのリバウンドの一因であるかもしれません。実際に話題になっているのは、ワクチン接種以上に核兵器により被爆した場合の「ヨウ素剤」について・・コロナウィルスに対する危機感が薄れるのも致し方ないのかもしれません。


フランス コロナウィルス感染リバウンド


<関連記事>

「フランスが3月14日からのワクチンパスポート廃止を発表した理由」

「3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準」

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」

「現在のウクライナ戦争へのフランスの対応とマクロン大統領のウクライナ・ロシア首脳との電話会談」