2021年5月24日月曜日

人気ユーチューバーとの約束を果たしたマクロン大統領のユーチューブ出演 1日で750万回再生突破

 

マクロン大統領が人気ユーチューバーをエリゼ宮に招いて出演している動画

 

 マクロン大統領がフランスの若者に大人気のユーチューバーMcfly et Carlito(マクフライとカーリト)(チャンネル登録者数655万人)にチャレンジ企画を提案したのは、今年2月のことでした。

 マクロン大統領は、彼らに向けて、ソーシャルディスタンスの重要性を訴えかける動画の作成するように、協力を依頼し、その動画の再生回数が1,000万回に達した場合は、彼らをエリゼ宮に招待し、エリゼ宮での動画撮影に参加することを約束していました。

 今年の2月の時点では、マクロン大統領は、とにかくロックダウンを回避するためにできることは、なんでもやる!と必死に様々な試みをしていました。彼らがマクロン大統領に依頼されて作った彼らが歌うパロディソングの動画は、アップされた3日後に軽々と1,000万回再生を突破し、それ以来、マクロン大統領との約束のエリゼ宮での動画はどうなったのだろうか?とずっと思っていました。

  

マクロン大統領に依頼されて作成されたソーシャルディスタンスを訴える動画


 結果的には、4月には、とうとう学校閉鎖にまで至る3回目のロックダウンをせずにはいられないほど、感染状態が悪化してしまいましたが、そのロックダウンもかなり解除された現在になって、マクロン大統領とユーチューバーMcfly et Carlito(マクフライとカーリト)のエリゼ宮での動画が公開され、15分後には10万回再生、あっという間にトレンド1位、1日で750万回再生を突破しました。

 動画の内容は、エリゼ宮でのマクロン大統領が彼らが準備している現場に登場するところから始まっており、彼らとマクロン大統領の「逸話コンテスト・嘘か?ホントか?」という対決企画でした。

 この対決企画が始まる前に、彼らはマクロン大統領と、どちらかが勝った場合には、こうするという約束をします。彼らが勝った場合には、「マクロン大統領が演説をする際、または、7月14日のパリ祭の日にマクフライとカーリトの写真フレームを机上に飾る」ということ、マクロン大統領が勝った場合には、二人は、7月14日にパトルイユドフランスの飛行機の1つに乗って上空を飛行する」というものでした。

 対決は、マクロン大統領からの逸話の提案で始まりました。「キリアン・エムバペ(フランスのサッカー選手)、彼のキャリアの面倒を見るのは私です。したがって、キリアン・エムバペは、今後数週間でマルセイユでのオリンピックに向けてPSG(パリ・サンジェルマン)を離れます」という話をします。

 マクロン大統領は、その場で、自分の携帯からキリアン・エムバペに電話をして、その話が嘘であることを明かします。

 ここでも国民的な人気者を登場させるところなどもマクロン大統領もなかなかです。

 その後、彼らの撮影の話、ドナルド・トランプの話など、いくつかの逸話の対決が続き、結果、4対4の引き分けに終わります。マクロン大統領は、彼らの写真フレームを机上に飾って演説をし、彼らは、パリ祭の日にパトルイユドフランスの飛行機に乗ることになりました。

 この36分のマクロン大統領のユーチューブ出演は、若者に対する身近な存在であり続けようとするマクロン大統領の政策の一つです。若者に人気のユーチューバーに対して、コロナ対策の動画作成を依頼し、チャレンジ企画とし、彼らをエリゼ宮に呼んで、さらに次の企画に参加して、人気サッカー選手まで巻き込んでのユーチューブ出演は、マクロン大統領の次の選挙に向けての大きな選挙活動であるとも言われています。

 今や、政治家も、新しいコミュニケーションモード、ソーシャルネットワークに適応することが不可欠で、他の政治家もTikTokなど、若者が自らアクセスしやすいネットワークにサイトを開設しています。

 もともとフランス人は、政治の話が嫌いではなく、政治の話題が身近に上がることは少なくありません。小さい子供でさえも、親の受け売りなのかもしれませんが、一丁前に政治の話をしたりするのに驚かされたりもします。しかし、若者がニュースにアクセスする手段は、変化しているわけで、発信する側は、それに沿った発信の仕方にスライドしていかなければなりません。

 今回の動画は、エリゼ宮の庭園でのメタルバンドの演奏で終わっていますが、このユーチューバー二人とのやりとりの中でも、若者との隔たりを感じさせることはなく、(実際、マクロン大統領も若いし・・)非常に和やかなもので、充分に親しみを感じることができる内容になっています。あくまでも動画の編集はユーチューバーがやっているものです。

 私は、日本人なので、ついつい日本の政治家とフランスの政治家を比べてしまいますが、どう考えても、日本の政治家にこのようなことができるとは思えず、そんな政治家が率いている日本の将来を不安に感じることが多いのです。

 日本は、政治家と国民の隔たり大きく、政治に無関心な若者も少なくありません。自分の国を率いている政治に興味がないのは、若者にも問題はありますが、若者を惹きつけようとしない政治家の側にも問題があるはずです。

 日本は時代が変わっても、ちっとも変化していかない。このままの状態でいることは、世界有数の先進国であったはずの日本がどんどん世界から取り残されるのではないかと、この動画を見ながら、日本の現状に思いを馳せるのです。

 関係ない話ですが、この動画の編集には、日本語の効果音が使われていたり、彼らのうちの一人が「こんばんは」などと書いたTシャツを着ていたりして、彼らのスタッフの中に、日本人がいるのかな??なんてちょっと思ったりしました。

 フランス語ではありますが、日本語の字幕も付くので、よかったら見てみてください!

 2日後には、1,160万回再生突破!!



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2021年5月23日日曜日

ボルドーで新しい変異株出現、新変異種で46人のクラスター発生

  


 もの凄いスピードで、すっかり、日常モードにシフトしつつあるフランスは、ちょっと、パリの街を歩いてみても、この一年間以上の何回かのロックダウンの間に変わってしまった場所、変わらない街並みの中に、テラス席のみのレストラン・カフェの営業のために、おしゃれにテラスをアレンジしている新しい風景が生まれて、パリの街を歩く新しい楽しみができました。

 とはいえ、久々になかなかな人数の人の動きの多さを目の当たりにしてちょっとギョッとしてしまう部分もあって、平日の日中でも結構な人で埋まっているメトロやバスなどにも、「そりゃそうだよね・・私だって、こうして動いているんだから・・」と思いつつも、まだ、数日しか経っていないのに、あっという間にメトロも街も汚れて、ゴミも増えていく様子に驚いてもいます。

 それでも、これまでは、なりを潜めていた新しい映画や美術館の催し物の駅の広告などを見ては、そういえば、こんな広告もこれまでなかったもんな・・などと、ちょっと嬉しかったりもす。

  


 しかし、浮かれてばかりは言えない感染際拡大の危険は、まだまだいつも隣り合わせの状況、少しでも気を抜けば、また逆戻りになりかねません。ここのところ、雨が多く、天気がいまひとつ冴えないことも残念ではありますが、反面、ちょっとその天候の悪さに救われるような気がしてしまう部分もあります。

 そんな喜びと不安を抱えたフランスに不気味なニュースが浮上しています。

 ボルドーの北部バカラン地区でこれまでほとんど検出されていなかった新しい変異種が発見され、46人のクラスターが発生していることが、フランス保健当局(Santé Publique France (SPF)から発表されたのです。

 VOC 20I / 484Qと呼ばれるこの新しい変異株は、イギリス変異株がさらに変異したものであると考えられており、ウィルスの伝染性を促進することが疑われるため、現在、スクリーニングを強化し、このクラスターが発生したボルドーのバカラン地区に特に的を絞ったPCR検査とワクチン接種拡大を強化することを決定しています。

 具体的には、この地区に向けて、新たに15,000のワクチン供給が追加され、この地域では、5月31日を待たずして、18歳以上の全ての成人がワクチン接種ができるようになっています。こんなところは、素早いです!(フランス全土では、5月31日から全ての18歳以上の成人がワクチン接種が可能になります。)

 現在のところは、この新しい変異種に感染し、陽性と判断されている人々の中には、入院が必要なほどの深刻な症状に陥っている人はおらず、感染者も若者だけに限られていることから、ワクチン接種を済ませている高齢者は、ワクチンによって、この新しい変異種から守られているのではないかとも言われています。

 そもそも、新しい変異種に関するスクリーニングが充分に行われていない状況で、この変異種がどれほど、拡大しているのかは、未だ定かではない状況に、(本当は、他の地域にも広まっているのかもしれない)まだ未知の事が多く、この変異種究明が開始されたばかりではありますが、また新たな変異種の出現は、充分に警戒する必要があります。

 ましてや、タイミング的にワクチン接種の拡大以上にロックダウン解除で、一気に人の流れが急増しているタイミング、少しの油断も許されません。この新しい変異種の危険性がどの程度か確認することと同時に、とにかく感染をストップさせることが何より最優先されることでもあります。

 しかし、医療専門家は、今回の新しい変異株について、現時点では、ファイザー及びモデルな製のmRNAワクチンへの耐性や、さらに重症化するリスクを示す根拠はないとしています。

 モグラ叩きのように出てくる新しい変異種の出現に、既存のウィルスとともに、何とか回避し続ける道は取り続けなければならない状態であるのと同時に、とりあえずワクチン接種の拡大を進める以外に私たちができることはありません。

 進化を続けるウィルスと人間の戦いはまだまだ終わりません。


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2021年5月22日土曜日

フランス(ヨーロッパ)でのワクチン接種と日本でのワクチン接種

   


 日本にいる私の従姉妹のご主人が、まだワクチン接種ができていないという話を聞いて、びっくりしています。彼は、歯医者さんで、65歳以上で、とっくにワクチン接種は、終わっていると思っていたのです。

 日本は医療従事者は一番優先だと聞いていたのに・・・。

 従姉妹曰く、「日本の医療従事者の77%は、少なくとも1回目の接種は終わっていて、2回目も43%は終わっているそうなので、どうやら、残りの23%に取り残されたみたい・・」なのだそうです。

 ワクチン接種券というものが送られてこなければ、予約もできないのだとか・・。

 これまで、海外にいて、日本は何でもすばやくて、フランスでは、何かをしようとしてもスムーズに行かないことが多くて腹が立つことも多く、ここは日本じゃないんだから、いちいち日本と比べても仕方ない・・と思ってきたのですが、ことワクチン接種に関しては、どうやら反対のようです。

 1ヶ月半ほど前に日本に本帰国(一時帰国ではなく、日本に引っ越したという意味)してしまった友人が、フランスにいれば、ワクチン接種ができたのに、ワクチン接種を済ましてから、帰国すればよかったと悔やんでいる人がいます。

 これまで日本は、感染もヨーロッパのようには、深刻化していなかったために、ワクチン接種には、慎重で、あまり急いではいなかったのかもしれませんが、ここに来て、オリンピックを控えての日本のワクチン接種状況には、ちょっと首を傾げたくなります。

 世界でワクチン接種が始まったのは昨年の12月、それから、約半年が経って、ワクチン接種の進行状況は、各国によって大きく違い、またその進行状況によって、生活がどんどん変わってきています。

 今年1月に入って、フランスは、他のヨーロッパ諸国から比べて大きく差がついて、遅れていることが発覚してからは、とにかくワクチンワクチンとワクチン接種に躍起になってきました。

 私自身、こんなに早くワクチン接種ができるとは思っていなかったにも関わらず、たまたま薬の処方箋をもらいに、かかりつけのお医者さんに行った時にワクチン接種の予約しますか?と言われて、あっさり予約が完了し、4月の初めにはワクチン接種が済んでいます。

 それでも当初は電話が繋がらないとか、ネットが繋がらないとか、なかなか問題もありましたが、あっという間にワクチン接種の空き状況が確認・予約できるサイトができ、ワクチン接種の予約が簡単にできるようになりました。(これを作ったのは、政府とは無関係の24歳の青年)

 予約していたのに、来なかった人などが出ても、無駄にならないように、ワクチン接種会場には、余ったワクチンを受けるための行列ができ、順次、ワクチン接種の年齢制限の条件などに当てはまらなくても、ワクチンを受けることができています。

 いわば、ある程度、適当な部分もかなりあるのです。

 薬局でも、かかりつけの医者でも、ワクチンセンターでもワクチン接種が受けられます。救急隊員や訪問看護師もやってくれます。

 そして、日頃から、フランスの健康保険制度は、カルト・ヴィタルというカードで、個人個人が管理されているため、そのカードで個人の病歴やこれまで処方されてきた薬等の履歴が管理されているので、ワクチン接種に際してもこれらの情報が役立ち、またワクチン接種の記録もそのカードに記録されています。

 この日常からの国が共通に管理している健康保険のカードが有効活用されています。

 とにかく、今は、ワクチン接種を拡大していくことは、人の命を守るためにも、日常を取り戻すためにも、大変、重要な問題です。

 それをワクチン接種券が送られてこなければ、予約もできないなんて、どれだけ間に人が介入し、手間暇かけて、時間をかけているのかと思うと外から見ていても、もどかしくて仕方ありません。

 ちなみに私の実家がある市町村の予約を厚生労働省のサイトで見てみたら、「現在、65歳以上の8月末までの予約を受付中です」と出てきました。日本は、65歳以上の割合が多いとはいえ、8月末以降でなければ絶対に無理ということで、これは、気が遠くなる話です。

 何でも、きちんときっかりと規則正しく、順番どおりに事を運んでいく日本のきっちりしたところが、仇になっている印象も受けます。逆に、ちゃんと並ぶことのできない、横入りが当たり前のようなフランスのような緩さがワクチン接種拡大のスピードアップには、逆にプラスに働いているかもしれません。

 フランスでは、夏には、全ての国民にワクチン接種を終了すると言っています。(アンチワクチン派も一定数いるので、予定どおりになるとは限りませんが・・)

 ワクチンは、完全な防御には、なりませんが、それさえもできていないとなれば、ヨーロッパと日本のコロナウィルスの状況は、完全に逆転してしまう可能性もあるのではないかと心配しています。

 少なくとも、今年の秋から冬ごろには、日本へ行けるかもしれない・・と淡い期待を抱いていた私は、この日本のワクチン接種の状況を見て、今年いっぱいは、ダメかもしれない・・と思い始めています。


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2021年5月21日金曜日

5月31日から全ての成人がワクチン接種が可能になるフランスの事情

                                                                                                                                

Après les scènes de fête à Rennes bien au delà du couvre-feu imposé, Gérald Darmanin a promis de durcir le ton.


 5月19日から、ロックダウン解除の第2段階に突入したフランス。フランス国民が半年以上も待ち侘びていたレストラン・カフェが再開し、解除初日から、待ってましたとばかりに、悪天候にもかかわらず、多くの人々がカフェやレストランでの食事を楽しみました。

 私が見かけたのは、昼食時でしたので、「結構、密だな・・」と思われる場所もあるには、ありましたが、なかなか和やかな感じで、とにかく水を得た魚のように、皆、生き生きと楽しそうにしていて、「あ〜〜パリの日常が戻ってきた!」と私も嬉しく、そんな光景を眺めていたのでした。

 ところが、夜の外出禁止もこれまで19時までだった外出制限が21時までに延長され、夕方から夜にかけてのレストランやカフェは、盛況を通り越して、ハメを外しすぎで、大騒動になった場所がいくつかありました。

 パリの一部、ボルドー、レンヌなどの都市では、21時にカフェ・レストランが閉店しても、テイクアウトのビールやワインを持って、街に残って大騒ぎ。広場に再集合して、俄かレイブパーティーを始める若者が続出しました。


 中でも、レンヌのサンタンヌ広場には、数千人が集まる騒ぎになり、廃材を積み上げて、まるでキャンプファイヤーのように火をつけ炎が立ち登る騒ぎに警察が出動、どうしても帰途につかない若者たちを催涙ガス、ゴム弾まで使って、追い立てるという事態にまで陥りました。

 午後10時半、消火のための消防車が到着、ロックダウン解除のために警察だけでなく、消防車までが出動する大騒ぎ。


 ある程度、ハメを外すだろうということは、想像はしていたものの、いきなり外出制限の時間は無視、廃材に火をつけるという大事態にまで発展、法務省は、さっそく、21時以降の外出制限を厳格化することを発表しています。

 もともと、時間を守らないフランス人のこと、21時には、シンとして皆、きっちり家に帰るはずもありませんが、アルコールの勢いも手伝って、ロックダウンの段階的な解除がまるで、全面的な解除のような勢いで、騒ぎ出したのですから、たまったものではありません。

 念のため、フランスは、感染は、確実に減少してきてはいますが、未だ1日の新規感染者数は1万5千人以上、毎日150人前後の人が亡くなっている状況です。ワクチン接種もかなり進んできたとはいえ、32.25%(5月19日現在)で、アメリカやイギリスのような状況ではありません。

 楽観的に考えれば、これを室内でやられるよりは、マシなのかもしれませんが、どちらにしても、この状況は、第4波への危険を容易に想像させられます。

 しかも、このような騒ぎを起こしている若者の多くは、ワクチン接種が済んでいない人がほとんどなのです。

 この状況を憂慮しての決定かどうかは、わかりませんが、即刻、翌日には、カステックス首相が、5月31日から、18歳以上の全ての国民に対してのワクチン接種の門戸を開くことを発表しました。

 当初のワクチン接種の日程よりもかなり、早まった全国民(成人のみ)対象のワクチン接種。フランスでは、ワクチン接種の予約は、ほとんどネットで予約が可能なので、時間帯や裏技等を利用すれば、これは、若い世代の得意とするネット予約。

 今後も自由にバカンスに行きたい、コンサートに行きたいとなれば、若者でもワクチン接種の希望者は少なくないはずです。

 このロックダウン解除による感染の再拡大にストップをかけるのを警察による行動制限の警戒だけでなく、ワクチン接種予定の前倒しで行おうとしている政府の早急な対応は、非常に賢明だと思います。

 フランスのワクチン接種も最初はもたついていましたが、どうやら波に乗ったようで、順調に進み始め、ワクチンの供給量も増加してきたこともこの政府の早急な対応を支えています。

 国民を褒めることはあっても、叱ることをしないフランス政府ですが、レストラン・カフェの営業に際しては、ソーシャルディスタンスや、着席義務などの条件を出したものの、これでは、着席どころではありません。飲食の場ゆえ、マスクもほとんどの人がしていません。

 初日のこの騒ぎで、せっかく営業を開始することができたのに、この騒ぎに巻き込まれたお店は、衛生管理が取れていないということで、さっそく営業停止をくらった店も出てしまいました。

 長いこと、我慢してきた国民をロックダウン解除で、多少?ハメを外しても、苦虫を潰したように怒りきれない上層部。もはや、ワクチン意外に救われる道がないことが如実になったロックダウン解除の初日でした。

 しかし、デモなどでの抗議運動でも車やゴミ箱を燃やし、ロックダウンが解除になって嬉しくても、廃材を燃やし、つくづく燃やすことの好きな人たちです。


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2021年5月20日木曜日

半年ぶりのレストラン・カフェのテラス席営業 美術館・映画館・劇場再開 ロックダウン解除パート2

  

もはやこれがテラスかと思われる万全の雨対策のテラス席


 フランスは、とうとうロックダウン解除の第2段階に突入、半年以上、テイクアウト以外、営業が禁止されていたレストラン・カフェがテラス席のみですが、営業を再開し、美術館、映画館、劇場、生活必需品以外の商店、コマーシャルセンターも制限付きではありますが、一斉に再開しました。

 半年以上もの間です。時短営業ではなく営業停止(テイクアウト以外)ですから、政府の援助はあったとはいえ、そりゃあもう、大変なことだったと思います。倒産したお店も相当数にのぼります。

 フランス国民が待ちに待ったこの日は、年が明ける瞬間にも似ている感じがしたほどの盛り上がり様でしたが、この日のパリは、あいにく朝から雨、気温も10℃程度と低く、テラス席での食事には、厳しい天候となりました。

 にもかかわらず、朝一から、マクロン大統領自ら、パリ市内での朝カフェしている動画をツイート。カフェ再開をアピールしていました。おっと、相手は一体誰???と思ったら、カステックス首相でした。最初は、マスクをつけたまま話しながら、待っていたところ、カフェがやってきたら、マスクを外すと言うパフォーマンス付き、ギリギリまでマスクしてろよ!アピールも含まれていました。

 


 昼近くなると、一時、雨も上がったので、私も、散歩がてら、街中の様子を見に出かけました。

 少々の雨なら、傘もささないフランス人のこと、予想どおり、寒くても、多少の雨でも、やっぱり多くの人で、賑わっていました。半年以上もの長い間、営業できなかったレストラン・カフェは、多少の雨なら回避できるように、もはやオープンエアーとは言い難いような屋根付き、囲い付きのテラスをしっかり用意している店も少なくありませんでした。

 それがまた、おしゃれに作られていて、そんなところは、よしよし、パリはやっぱりカッコいいぞ!とちょっと嬉しくなります。

 

黒を基調としたシックなテント


 昨年のレストランのテラス席からの再開時同様に、テラス席は大幅に拡張され、ここ、お店?と思う場所(通路・元来は、歩道の部分)にまでテーブルと椅子が置かれています。

 

本来、ここは通路です

 また、お店に面した道路の反対側にまで、パラソル付きのテラス席を用意し、本来の店内の席数よりも多くなっているのでは・・?と思われる店舗もありました。

 

お店の反対側までのテラス拡張で、むしろ、より開放的で気持ちよさそう

 

 もともと店内よりも開放的なテラス席が好きなフランス人、日常の一部を取り戻した満面の笑みでテーブルを囲み、中には、この寒い中、一人でコーラを飲みながら、カフェのテラスで本を読んでいる結構、年配の女性なども見かけました。

 しかし、人気のお店は、悪天候にもかかわらず、ほぼ満席。食事が運ばれてくるのを満足そうに子供のように得意気に目の前にしている人々の様子には、こちらまでにっこりしてしまいそうです。

 

相変わらず、食べるだけでなく、喋りまくるフランス人の食事風景

 

 ところが、あいにく、昼食時にちょっと傘無しには歩けないほどの雨に見舞われ、慌てて席を移動する事態にまで追い込まれましたが、大して気にもかけずに移動して、そのまま続行。

 夢中になって食べるというよりは、夢中になって喋るという相変わらずの食事風景に、やっぱりフランスには、黙食はあり得ない・・と思ったのでした。

 レストラン・カフェが立ち並ぶ、この辺りは、この半年以上、静まりかえっていましたが、これまで営業を許されていた、それ以外のお店までもが、今日は、朝から休む間もなく、働き通しだ・・と店番をしていたおじさんが、嬉しそうに話していました。

 近くにあった映画館にも立ち寄ってみましたが、もはや、平日というのに子供連れの人も多く、映画館を入ったところにあるポップコーンなどの軽食や飲み物を売っているお店は閉店したままでしたが、上映中と表示された電光掲示板を懐かしく眺めてきました。

  

上映中の映画の掲示板

 

 もはや、レストランもカフェもほとんどのお店もようやく開店したフランスは、当日、ようやく集中治療室の患者数が5月9日にようやく5,000を切ったと思ったら、ここまでの10日間であっという間に3,862人にまで下がりましたが、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の集中治療室の占拠率は、未だ104%(国全体では、76%)なのです。

 もうレストランにも、カフェにも行ける、どこでも買い物もできる、映画も見れる、美術館にも行ける・・これまで行けなかった多くの場所に一気に人が溢れ出すことに、不安はあります。

 ゆるゆるなロックダウンだと思ってはいましたが、考えてみれば、ものすごい制限下の生活が続いていたのです。満面の笑みをたたえながら、「テラスセラピーだ!」(テラスセラピーはここのところ、言われ始めたニューワード)などと言いながら、日常生活を謳歌し始めたフランス人に、これまでよく頑張ってきたね・・と共感する気持ちも湧いてきます。

 しかし、おそらく、未だに日本以上に感染は蔓延している状態のフランスが、第4波を迎えることなく、このまま乗り切れるかどうかは、疑問です。

 どう考えても、これまで半年以上の鬱憤が溜まっているこの解き放たれた人々が街に出る勢いは、ワクチン接種が拡大する勢いよりも大きいのは、明らかです。

 イギリスやアメリカなどで、日常生活を取り戻し始めているニュースは見ていますが、フランスは、感染が減少状態であることは明らかですが、フランスは、そこまでワクチン接種が拡大しているわけでも(現在31.54%)、感染が充分に減少しているわけでもないのです。

 ロックダウン解除とともに、すぐそこには第4波が待っているような気がしてなりません。



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2021年5月19日水曜日

娘の親友が結婚! 娘がブライズメイドを頼まれた!

 


 先日、娘が家で珍しく、電話で誰かと話している様子だったので、そういえば、彼女が電話してるって最近、珍しいな・・と思っていました。最近は、家の電話はもちろんのこと、大抵の連絡?は、LINE(フランスでは、What's Upの方が多い)のメッセージで済ませることが多いので、彼女が家で電話をしているというのは、珍しいことでした。

 すると、娘が数分後に私のところにやってきて、「エステールが結婚するんだって!」というので、びっくりしました。娘は、小学校から高校まで同じ私立の学校に通っていて、高校卒業後は、それぞれ別の道に進みましたが、高校までの学校からの交友関係が続いている数少ない友人の一人でした。

 娘は、高校卒業後、プレパー(グランゼコール準備のための学校)に進み、彼女は、医学部に進学し、彼女の方は一年後に医学部は断念し、法学部に進んでいました。

 娘が彼女ととても親しくなったのは、高校生の頃で、小さい頃の友人は、親が学校に出向く学校行事やお稽古事が一緒になったり、お誕生日会などが開かれたりすると呼ばれて行ったりしたので、娘の友人とも面識はあったのですが、大きくなるにつれ、娘から話を聞くだけで、しかも、成長した子供たちは、親たちと違って、再び会っても、誰だか気付かなくなってしまっていることも多いくらいなので、娘の友人とはいえ、私が彼女に会ったのは、1〜2度くらいで、実際には、私は、彼女のことはあまり知りません。

 それでも、あまり友達の多くない娘にとって、バカロレア(高校卒業の際の国家試験)の結果を一緒に見に行ったり、家に泊まりに行ったりする数少ない、気の合う友人で、彼女の家の結構、騒がしい事情(お父さんに女ができて、家を出て行ってしまったとか、そのお父さんがいつの間にか戻ってきていた・・とか)を娘から話を聞いていました。

 彼女の家庭は、そんな調子で結局、両親は別れてしまったのですが、両親ともに既に、新しいパートナーがそれぞれいるということや、つい最近、彼女が引っ越したという話は聞いていました。引っ越したと言っても、彼氏と一緒に生活を始めたというので、まあ、実家の方も色々、騒がしそうだし、そうなのかな・・くらいに思っていたのです。

 しかし、その一緒に暮らし始めた彼氏ともう結婚!というニュースには、思わず、「なんで?」と言ってしまいましたが、結婚するというのに、何で?というのも失礼な話ですが、それだけ、急展開だったのです。

 まさか?妊娠?とも思ったのですが、そういうわけでもなさそうです。

 彼女は一時、韓国にハマっていて、韓国へ旅行したり、韓国語のレッスンを受けたりしていたのですが、その韓国語の授業で出会ったフランス人の男性なのだそうです。(彼の方は元カノが韓国人だったので、韓国語の授業を受けていたという微妙なタイミングではあったらしい・・)

 考えてみれば、彼女たちは、もう今年で23歳、まあ、今の時代としたら、早い方ではありますが、結婚してもおかしい年齢ではありません。けれど、彼女は、高校卒業後、一年間、医学部に行ってから、翌年に法学部に学部を移っているので、まだ卒業の年ではありません。学生結婚です。娘の友人には、まだ学生がほとんどなので、彼女が友人の中で初めての結婚です。

 彼氏の方もまだ学生で、Ph.D取得中だとか・・。少なくとも彼女の方の家庭は、経済的には、かなり恵まれた家で、運転免許を取る前から彼女の車は用意されているような家なので、両親の援助ありきの上の新しい生活を出発したばかり、結婚もその延長線のような形で始まるものと思われますが、結婚という形をすぐには、取らない(フランスでは、事実婚という選択をする人も少なくない)人も多い中、突然の結婚宣言に驚かされたのでした。

 しかも、両親が長いことゴタゴタしていた渦中にいた彼女がこんなに早く結婚に踏み切るのも意外でした。(彼女の両親は、事実婚で、彼女には、同じ両親で弟と妹がいます)

 しかし、パンデミックの影響で、結婚式をできずにいるカップルが溜まりに溜まっているため、会場を抑えるだけでも、結婚式は、一年以上先になるようですが、娘は、「彼女のブライズメイドを頼まれちゃった!」と、ちょっと戸惑っていました。

 まあ、まだ、結婚式の場所も確定してはおらず、どの程度の結婚式になるかも全くわからず、一年以上先の話ですから、戸惑いと言っても、まだ漠然としてはいますが、親の私からしたら、娘ももうそんな年齢になったんだということを再確認して、愕然とさせられたのでした。

 そういえば、ロックダウン解除にあたって、「結婚式の招待客は、会場の定員の35%まで・・」などという項目も制限の中に加えられていたので、度重なるロックダウンで、さぞかし、結婚式が延期を何度も重ねて、できないでもどかしい思いをしている人がたくさんいたのだろうと身近な娘の親友の結婚のニュースから、こんなところにもパンデミックの影響があった・・と思い知らされました。

 結婚というのは、難しいもので、努力したから良い相手に巡り会えるというわけでもなく、あまり考え過ぎてもできないし、ある程度、勢いのようなものも必要だとも思うのですが、結婚も多ければ、離婚も多いフランスです。

 離婚は結婚よりも大変だという話もよく聞きます。

 そして、フランスは、離婚しても懲りずに再婚する人も少なくありませんが、彼女には、幸せになって欲しいし、できれば、一回で済むといい・・とこっそり思っています。


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2021年5月18日火曜日

フランスのニュース番組を見ていて思うこと フランスの政治家の話すチカラ

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 昨年のパンデミックが始まって以来、フランスは、第1波、第2波、第3波と、引いては押し寄せる波をいくつも経験してきました。フランスのコロナウィルスの感染状況の経過は、世界的に見ても、決して誇れる状況ではありませんでした。

 そして、この間に、私には、毎晩、いくつかのチャンネルのニュース番組を見る習慣ができました。特に第1波のロックダウンの際は、ほとんど外に出ることはできませんでしたし、かつて経験したことのない命に関わる深刻なウィルスの蔓延に、現在のフランスの状況を知らずにいることは、不安で仕方なかったからです。

 ネットで調べれば、今は、世界各地の色々な媒体の情報を収集することが可能ですから、色々な情報を調べて、どの情報が正しいのか、色々な情報を見ながら、自分はどうするべきなのかを選択することができます。

 しかし、手っ取り早いのは、やはりテレビのニュース番組ですが、ある程度の情報を自分で調べていれば、これは違うだろ・・などと、全てを鵜呑みにすることもなくなります。

 フランスでは、コロナウィルス関連のニュースだけでなく、毎日のように陰惨な事件が起こっていますが、ここのところ、フランスのニュース番組を見ていて特に感じるのは、大臣クラスの政治家が実に頻繁にニュースの生番組に登場し、国民と向き合おう、国民に少しでも寄り添おうとしている姿です。

 昨日もオリヴィエ・ヴェラン保健相が、BFMTV(フランスのニュース専門の公共テレビ局)の番組に2時間近くも生出演し、直に国民からの質問に答えながら、今後のロックダウン解除の見通しや、ワクチン接種に関してなどの話を専門家を交えて話すようなプログラムでした。

 中には、「わざわざ、大臣にこんなこと聞くのか?」と思うような質問もありましたが、かなり厳しめな質問も容赦なく問いかけられます。予め、ある程度は、準備している項目もあったでしょうが、一つ一つの質問に自分の言葉で、しっかりと答え、少しでも国民の理解を不安を取り除き、政府の政策を説明し、説得している様子は、日本の政治家には、ないことだろうな・・と思いました。

 フランスでは、コロナ関連だけでなく、次から次へと起こる事件に関しても、ここのところ、特にカステックス首相をはじめ、保健相、法務相など、大臣クラスの人が頻繁にニュース番組に出演して、問題に対するフランス政府の対応を語っています。

 フランスのお国柄というのもあるのでしょうが、現在の政権の政策の一つであるとも思われます。彼らは、とても話すことが上手で、ある程度のスクリプトはあるにせよ、自分の言葉で、しっかりと語り、説明します。質問者への理解も示しながら、時には笑いを誘うようなことも交えながら、実に見事に答えていきます。

 フランスの一般市民とは違って、「これは、私の仕事ではない」などと、回答を逃れることもありません。

 今、日本では、コロナウィルス感染に対する緊急事態宣言云々の話やワクチン問題、オリンピック開催問題に対して、日本国民は、大きな不安を抱えていると思います。それに対する日本政府の対応や説明に納得していない人は多いのではないかと思います。

 フランスとて、このような番組があるとはいえ、国民を説得しきれているわけではありませんが、少なくとも国民の不安に答えようとしている政府の姿勢は感じることができます。

 日本にもこんな番組があって、首相でも大臣でも、政府のある程度の責任者がしっかりと答えてくれる機会があればいいのにな・・視聴率だって、かなり取れるだろうに・・しかし、しっかり話のできる大臣はいるだろうか?などと、フランスのニュース番組を見ながら思ったのでした。

 私もオリヴィエ・ヴェラン保健相に聞いてみたかったです・・「東京オリンピックに関してどう思いますか?」と・・。


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