2021年5月21日金曜日

5月31日から全ての成人がワクチン接種が可能になるフランスの事情

                                                                                                                                

Après les scènes de fête à Rennes bien au delà du couvre-feu imposé, Gérald Darmanin a promis de durcir le ton.


 5月19日から、ロックダウン解除の第2段階に突入したフランス。フランス国民が半年以上も待ち侘びていたレストラン・カフェが再開し、解除初日から、待ってましたとばかりに、悪天候にもかかわらず、多くの人々がカフェやレストランでの食事を楽しみました。

 私が見かけたのは、昼食時でしたので、「結構、密だな・・」と思われる場所もあるには、ありましたが、なかなか和やかな感じで、とにかく水を得た魚のように、皆、生き生きと楽しそうにしていて、「あ〜〜パリの日常が戻ってきた!」と私も嬉しく、そんな光景を眺めていたのでした。

 ところが、夜の外出禁止もこれまで19時までだった外出制限が21時までに延長され、夕方から夜にかけてのレストランやカフェは、盛況を通り越して、ハメを外しすぎで、大騒動になった場所がいくつかありました。

 パリの一部、ボルドー、レンヌなどの都市では、21時にカフェ・レストランが閉店しても、テイクアウトのビールやワインを持って、街に残って大騒ぎ。広場に再集合して、俄かレイブパーティーを始める若者が続出しました。


 中でも、レンヌのサンタンヌ広場には、数千人が集まる騒ぎになり、廃材を積み上げて、まるでキャンプファイヤーのように火をつけ炎が立ち登る騒ぎに警察が出動、どうしても帰途につかない若者たちを催涙ガス、ゴム弾まで使って、追い立てるという事態にまで陥りました。

 午後10時半、消火のための消防車が到着、ロックダウン解除のために警察だけでなく、消防車までが出動する大騒ぎ。


 ある程度、ハメを外すだろうということは、想像はしていたものの、いきなり外出制限の時間は無視、廃材に火をつけるという大事態にまで発展、法務省は、さっそく、21時以降の外出制限を厳格化することを発表しています。

 もともと、時間を守らないフランス人のこと、21時には、シンとして皆、きっちり家に帰るはずもありませんが、アルコールの勢いも手伝って、ロックダウンの段階的な解除がまるで、全面的な解除のような勢いで、騒ぎ出したのですから、たまったものではありません。

 念のため、フランスは、感染は、確実に減少してきてはいますが、未だ1日の新規感染者数は1万5千人以上、毎日150人前後の人が亡くなっている状況です。ワクチン接種もかなり進んできたとはいえ、32.25%(5月19日現在)で、アメリカやイギリスのような状況ではありません。

 楽観的に考えれば、これを室内でやられるよりは、マシなのかもしれませんが、どちらにしても、この状況は、第4波への危険を容易に想像させられます。

 しかも、このような騒ぎを起こしている若者の多くは、ワクチン接種が済んでいない人がほとんどなのです。

 この状況を憂慮しての決定かどうかは、わかりませんが、即刻、翌日には、カステックス首相が、5月31日から、18歳以上の全ての国民に対してのワクチン接種の門戸を開くことを発表しました。

 当初のワクチン接種の日程よりもかなり、早まった全国民(成人のみ)対象のワクチン接種。フランスでは、ワクチン接種の予約は、ほとんどネットで予約が可能なので、時間帯や裏技等を利用すれば、これは、若い世代の得意とするネット予約。

 今後も自由にバカンスに行きたい、コンサートに行きたいとなれば、若者でもワクチン接種の希望者は少なくないはずです。

 このロックダウン解除による感染の再拡大にストップをかけるのを警察による行動制限の警戒だけでなく、ワクチン接種予定の前倒しで行おうとしている政府の早急な対応は、非常に賢明だと思います。

 フランスのワクチン接種も最初はもたついていましたが、どうやら波に乗ったようで、順調に進み始め、ワクチンの供給量も増加してきたこともこの政府の早急な対応を支えています。

 国民を褒めることはあっても、叱ることをしないフランス政府ですが、レストラン・カフェの営業に際しては、ソーシャルディスタンスや、着席義務などの条件を出したものの、これでは、着席どころではありません。飲食の場ゆえ、マスクもほとんどの人がしていません。

 初日のこの騒ぎで、せっかく営業を開始することができたのに、この騒ぎに巻き込まれたお店は、衛生管理が取れていないということで、さっそく営業停止をくらった店も出てしまいました。

 長いこと、我慢してきた国民をロックダウン解除で、多少?ハメを外しても、苦虫を潰したように怒りきれない上層部。もはや、ワクチン意外に救われる道がないことが如実になったロックダウン解除の初日でした。

 しかし、デモなどでの抗議運動でも車やゴミ箱を燃やし、ロックダウンが解除になって嬉しくても、廃材を燃やし、つくづく燃やすことの好きな人たちです。


<関連記事>

「半年ぶりのレストラン・カフェのテラス席営業 ロックダウン解除パート2」

「やっぱり嬉しい! 街が動き出すフランスの景色」

「フランス人の熱量」

「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」

「年末から年を超えて引き続くフランスの犯罪 車を燃やす競争??」

「フランス全土で13万3千人超のデモで大荒れ パリ・フランス銀行まで燃やされる大惨事」

 

2021年5月20日木曜日

半年ぶりのレストラン・カフェのテラス席営業 美術館・映画館・劇場再開 ロックダウン解除パート2

  

もはやこれがテラスかと思われる万全の雨対策のテラス席


 フランスは、とうとうロックダウン解除の第2段階に突入、半年以上、テイクアウト以外、営業が禁止されていたレストラン・カフェがテラス席のみですが、営業を再開し、美術館、映画館、劇場、生活必需品以外の商店、コマーシャルセンターも制限付きではありますが、一斉に再開しました。

 半年以上もの間です。時短営業ではなく営業停止(テイクアウト以外)ですから、政府の援助はあったとはいえ、そりゃあもう、大変なことだったと思います。倒産したお店も相当数にのぼります。

 フランス国民が待ちに待ったこの日は、年が明ける瞬間にも似ている感じがしたほどの盛り上がり様でしたが、この日のパリは、あいにく朝から雨、気温も10℃程度と低く、テラス席での食事には、厳しい天候となりました。

 にもかかわらず、朝一から、マクロン大統領自ら、パリ市内での朝カフェしている動画をツイート。カフェ再開をアピールしていました。おっと、相手は一体誰???と思ったら、カステックス首相でした。最初は、マスクをつけたまま話しながら、待っていたところ、カフェがやってきたら、マスクを外すと言うパフォーマンス付き、ギリギリまでマスクしてろよ!アピールも含まれていました。

 


 昼近くなると、一時、雨も上がったので、私も、散歩がてら、街中の様子を見に出かけました。

 少々の雨なら、傘もささないフランス人のこと、予想どおり、寒くても、多少の雨でも、やっぱり多くの人で、賑わっていました。半年以上もの長い間、営業できなかったレストラン・カフェは、多少の雨なら回避できるように、もはやオープンエアーとは言い難いような屋根付き、囲い付きのテラスをしっかり用意している店も少なくありませんでした。

 それがまた、おしゃれに作られていて、そんなところは、よしよし、パリはやっぱりカッコいいぞ!とちょっと嬉しくなります。

 

黒を基調としたシックなテント


 昨年のレストランのテラス席からの再開時同様に、テラス席は大幅に拡張され、ここ、お店?と思う場所(通路・元来は、歩道の部分)にまでテーブルと椅子が置かれています。

 

本来、ここは通路です

 また、お店に面した道路の反対側にまで、パラソル付きのテラス席を用意し、本来の店内の席数よりも多くなっているのでは・・?と思われる店舗もありました。

 

お店の反対側までのテラス拡張で、むしろ、より開放的で気持ちよさそう

 

 もともと店内よりも開放的なテラス席が好きなフランス人、日常の一部を取り戻した満面の笑みでテーブルを囲み、中には、この寒い中、一人でコーラを飲みながら、カフェのテラスで本を読んでいる結構、年配の女性なども見かけました。

 しかし、人気のお店は、悪天候にもかかわらず、ほぼ満席。食事が運ばれてくるのを満足そうに子供のように得意気に目の前にしている人々の様子には、こちらまでにっこりしてしまいそうです。

 

相変わらず、食べるだけでなく、喋りまくるフランス人の食事風景

 

 ところが、あいにく、昼食時にちょっと傘無しには歩けないほどの雨に見舞われ、慌てて席を移動する事態にまで追い込まれましたが、大して気にもかけずに移動して、そのまま続行。

 夢中になって食べるというよりは、夢中になって喋るという相変わらずの食事風景に、やっぱりフランスには、黙食はあり得ない・・と思ったのでした。

 レストラン・カフェが立ち並ぶ、この辺りは、この半年以上、静まりかえっていましたが、これまで営業を許されていた、それ以外のお店までもが、今日は、朝から休む間もなく、働き通しだ・・と店番をしていたおじさんが、嬉しそうに話していました。

 近くにあった映画館にも立ち寄ってみましたが、もはや、平日というのに子供連れの人も多く、映画館を入ったところにあるポップコーンなどの軽食や飲み物を売っているお店は閉店したままでしたが、上映中と表示された電光掲示板を懐かしく眺めてきました。

  

上映中の映画の掲示板

 

 もはや、レストランもカフェもほとんどのお店もようやく開店したフランスは、当日、ようやく集中治療室の患者数が5月9日にようやく5,000を切ったと思ったら、ここまでの10日間であっという間に3,862人にまで下がりましたが、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の集中治療室の占拠率は、未だ104%(国全体では、76%)なのです。

 もうレストランにも、カフェにも行ける、どこでも買い物もできる、映画も見れる、美術館にも行ける・・これまで行けなかった多くの場所に一気に人が溢れ出すことに、不安はあります。

 ゆるゆるなロックダウンだと思ってはいましたが、考えてみれば、ものすごい制限下の生活が続いていたのです。満面の笑みをたたえながら、「テラスセラピーだ!」(テラスセラピーはここのところ、言われ始めたニューワード)などと言いながら、日常生活を謳歌し始めたフランス人に、これまでよく頑張ってきたね・・と共感する気持ちも湧いてきます。

 しかし、おそらく、未だに日本以上に感染は蔓延している状態のフランスが、第4波を迎えることなく、このまま乗り切れるかどうかは、疑問です。

 どう考えても、これまで半年以上の鬱憤が溜まっているこの解き放たれた人々が街に出る勢いは、ワクチン接種が拡大する勢いよりも大きいのは、明らかです。

 イギリスやアメリカなどで、日常生活を取り戻し始めているニュースは見ていますが、フランスは、感染が減少状態であることは明らかですが、フランスは、そこまでワクチン接種が拡大しているわけでも(現在31.54%)、感染が充分に減少しているわけでもないのです。

 ロックダウン解除とともに、すぐそこには第4波が待っているような気がしてなりません。



<関連記事>

「コロナ禍で、日本では可能でもフランスでは不可能なこと フランス人に黙食はあり得ない」

「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」

「フランスは、ワクチン接種を進めても、イスラエルやイギリスのような劇的な変化は期待できない」

「パスツール研究所が示すフランス第4波のシナリオ」

「コロナウィルスによる死亡者10万人突破と5月中旬にテラス・美術館再開を模索するフランス」

「やっぱり嬉しい! 街が動き出すフランスの景色」

「ロックダウン解除・抑えきれないデモとレストラン・カフェの営業制限の矛盾」



   

2021年5月19日水曜日

娘の親友が結婚! 娘がブライズメイドを頼まれた!

 


 先日、娘が家で珍しく、電話で誰かと話している様子だったので、そういえば、彼女が電話してるって最近、珍しいな・・と思っていました。最近は、家の電話はもちろんのこと、大抵の連絡?は、LINE(フランスでは、What's Upの方が多い)のメッセージで済ませることが多いので、彼女が家で電話をしているというのは、珍しいことでした。

 すると、娘が数分後に私のところにやってきて、「エステールが結婚するんだって!」というので、びっくりしました。娘は、小学校から高校まで同じ私立の学校に通っていて、高校卒業後は、それぞれ別の道に進みましたが、高校までの学校からの交友関係が続いている数少ない友人の一人でした。

 娘は、高校卒業後、プレパー(グランゼコール準備のための学校)に進み、彼女は、医学部に進学し、彼女の方は一年後に医学部は断念し、法学部に進んでいました。

 娘が彼女ととても親しくなったのは、高校生の頃で、小さい頃の友人は、親が学校に出向く学校行事やお稽古事が一緒になったり、お誕生日会などが開かれたりすると呼ばれて行ったりしたので、娘の友人とも面識はあったのですが、大きくなるにつれ、娘から話を聞くだけで、しかも、成長した子供たちは、親たちと違って、再び会っても、誰だか気付かなくなってしまっていることも多いくらいなので、娘の友人とはいえ、私が彼女に会ったのは、1〜2度くらいで、実際には、私は、彼女のことはあまり知りません。

 それでも、あまり友達の多くない娘にとって、バカロレア(高校卒業の際の国家試験)の結果を一緒に見に行ったり、家に泊まりに行ったりする数少ない、気の合う友人で、彼女の家の結構、騒がしい事情(お父さんに女ができて、家を出て行ってしまったとか、そのお父さんがいつの間にか戻ってきていた・・とか)を娘から話を聞いていました。

 彼女の家庭は、そんな調子で結局、両親は別れてしまったのですが、両親ともに既に、新しいパートナーがそれぞれいるということや、つい最近、彼女が引っ越したという話は聞いていました。引っ越したと言っても、彼氏と一緒に生活を始めたというので、まあ、実家の方も色々、騒がしそうだし、そうなのかな・・くらいに思っていたのです。

 しかし、その一緒に暮らし始めた彼氏ともう結婚!というニュースには、思わず、「なんで?」と言ってしまいましたが、結婚するというのに、何で?というのも失礼な話ですが、それだけ、急展開だったのです。

 まさか?妊娠?とも思ったのですが、そういうわけでもなさそうです。

 彼女は一時、韓国にハマっていて、韓国へ旅行したり、韓国語のレッスンを受けたりしていたのですが、その韓国語の授業で出会ったフランス人の男性なのだそうです。(彼の方は元カノが韓国人だったので、韓国語の授業を受けていたという微妙なタイミングではあったらしい・・)

 考えてみれば、彼女たちは、もう今年で23歳、まあ、今の時代としたら、早い方ではありますが、結婚してもおかしい年齢ではありません。けれど、彼女は、高校卒業後、一年間、医学部に行ってから、翌年に法学部に学部を移っているので、まだ卒業の年ではありません。学生結婚です。娘の友人には、まだ学生がほとんどなので、彼女が友人の中で初めての結婚です。

 彼氏の方もまだ学生で、Ph.D取得中だとか・・。少なくとも彼女の方の家庭は、経済的には、かなり恵まれた家で、運転免許を取る前から彼女の車は用意されているような家なので、両親の援助ありきの上の新しい生活を出発したばかり、結婚もその延長線のような形で始まるものと思われますが、結婚という形をすぐには、取らない(フランスでは、事実婚という選択をする人も少なくない)人も多い中、突然の結婚宣言に驚かされたのでした。

 しかも、両親が長いことゴタゴタしていた渦中にいた彼女がこんなに早く結婚に踏み切るのも意外でした。(彼女の両親は、事実婚で、彼女には、同じ両親で弟と妹がいます)

 しかし、パンデミックの影響で、結婚式をできずにいるカップルが溜まりに溜まっているため、会場を抑えるだけでも、結婚式は、一年以上先になるようですが、娘は、「彼女のブライズメイドを頼まれちゃった!」と、ちょっと戸惑っていました。

 まあ、まだ、結婚式の場所も確定してはおらず、どの程度の結婚式になるかも全くわからず、一年以上先の話ですから、戸惑いと言っても、まだ漠然としてはいますが、親の私からしたら、娘ももうそんな年齢になったんだということを再確認して、愕然とさせられたのでした。

 そういえば、ロックダウン解除にあたって、「結婚式の招待客は、会場の定員の35%まで・・」などという項目も制限の中に加えられていたので、度重なるロックダウンで、さぞかし、結婚式が延期を何度も重ねて、できないでもどかしい思いをしている人がたくさんいたのだろうと身近な娘の親友の結婚のニュースから、こんなところにもパンデミックの影響があった・・と思い知らされました。

 結婚というのは、難しいもので、努力したから良い相手に巡り会えるというわけでもなく、あまり考え過ぎてもできないし、ある程度、勢いのようなものも必要だとも思うのですが、結婚も多ければ、離婚も多いフランスです。

 離婚は結婚よりも大変だという話もよく聞きます。

 そして、フランスは、離婚しても懲りずに再婚する人も少なくありませんが、彼女には、幸せになって欲しいし、できれば、一回で済むといい・・とこっそり思っています。


<関連記事>

「フランス人の結婚観」

「できる女性ほど、ダメ男に引っかかる説 フランスでの離婚」

「日仏カップルの離婚と親権問題について」

「フランス人の離婚と再婚 ママ母の気持ち」

「フランスの職場でのイジメと嫌がらせから、悲惨な結果になったリンダちゃんの話」




2021年5月18日火曜日

フランスのニュース番組を見ていて思うこと フランスの政治家の話すチカラ

  Image


 昨年のパンデミックが始まって以来、フランスは、第1波、第2波、第3波と、引いては押し寄せる波をいくつも経験してきました。フランスのコロナウィルスの感染状況の経過は、世界的に見ても、決して誇れる状況ではありませんでした。

 そして、この間に、私には、毎晩、いくつかのチャンネルのニュース番組を見る習慣ができました。特に第1波のロックダウンの際は、ほとんど外に出ることはできませんでしたし、かつて経験したことのない命に関わる深刻なウィルスの蔓延に、現在のフランスの状況を知らずにいることは、不安で仕方なかったからです。

 ネットで調べれば、今は、世界各地の色々な媒体の情報を収集することが可能ですから、色々な情報を調べて、どの情報が正しいのか、色々な情報を見ながら、自分はどうするべきなのかを選択することができます。

 しかし、手っ取り早いのは、やはりテレビのニュース番組ですが、ある程度の情報を自分で調べていれば、これは違うだろ・・などと、全てを鵜呑みにすることもなくなります。

 フランスでは、コロナウィルス関連のニュースだけでなく、毎日のように陰惨な事件が起こっていますが、ここのところ、フランスのニュース番組を見ていて特に感じるのは、大臣クラスの政治家が実に頻繁にニュースの生番組に登場し、国民と向き合おう、国民に少しでも寄り添おうとしている姿です。

 昨日もオリヴィエ・ヴェラン保健相が、BFMTV(フランスのニュース専門の公共テレビ局)の番組に2時間近くも生出演し、直に国民からの質問に答えながら、今後のロックダウン解除の見通しや、ワクチン接種に関してなどの話を専門家を交えて話すようなプログラムでした。

 中には、「わざわざ、大臣にこんなこと聞くのか?」と思うような質問もありましたが、かなり厳しめな質問も容赦なく問いかけられます。予め、ある程度は、準備している項目もあったでしょうが、一つ一つの質問に自分の言葉で、しっかりと答え、少しでも国民の理解を不安を取り除き、政府の政策を説明し、説得している様子は、日本の政治家には、ないことだろうな・・と思いました。

 フランスでは、コロナ関連だけでなく、次から次へと起こる事件に関しても、ここのところ、特にカステックス首相をはじめ、保健相、法務相など、大臣クラスの人が頻繁にニュース番組に出演して、問題に対するフランス政府の対応を語っています。

 フランスのお国柄というのもあるのでしょうが、現在の政権の政策の一つであるとも思われます。彼らは、とても話すことが上手で、ある程度のスクリプトはあるにせよ、自分の言葉で、しっかりと語り、説明します。質問者への理解も示しながら、時には笑いを誘うようなことも交えながら、実に見事に答えていきます。

 フランスの一般市民とは違って、「これは、私の仕事ではない」などと、回答を逃れることもありません。

 今、日本では、コロナウィルス感染に対する緊急事態宣言云々の話やワクチン問題、オリンピック開催問題に対して、日本国民は、大きな不安を抱えていると思います。それに対する日本政府の対応や説明に納得していない人は多いのではないかと思います。

 フランスとて、このような番組があるとはいえ、国民を説得しきれているわけではありませんが、少なくとも国民の不安に答えようとしている政府の姿勢は感じることができます。

 日本にもこんな番組があって、首相でも大臣でも、政府のある程度の責任者がしっかりと答えてくれる機会があればいいのにな・・視聴率だって、かなり取れるだろうに・・しかし、しっかり話のできる大臣はいるだろうか?などと、フランスのニュース番組を見ながら思ったのでした。

 私もオリヴィエ・ヴェラン保健相に聞いてみたかったです・・「東京オリンピックに関してどう思いますか?」と・・。


<関連記事>

「コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと」

「コロナウィルスに対する各国首脳のスピーチ」

「開催が迫った東京オリンピックについてフランスで報道されていること」

「ワクチンが驚くほど進んでいないのにオリンピックを開催する日本 オリンピックは「やった者勝ち?行った者勝ち?」


2021年5月17日月曜日

やっぱり嬉しい! 街が動き出すフランスの景色

  


 

 急に用事ができて、天気も良かったので、散歩がてらに出かけたら、今週の水曜日からロックダウン解除がワンステップ進む気配を街のあちこちに感じました。

 ここのところのフランスは、着々と感染が減少してきているのが、数字からも感じることができて、ワクチン接種も2,000万人(フランスの人口の30%程度)を突破し、ロックダウンの段階的な解除が発表された時点での目標値は一応、達成し、少しホッとし始めてはいるものの、集中治療室の患者数も未だ4,255人、イル・ド・フランスの集中治療室の占拠率は113%と決して油断は許されない状況でもあります。

 このロックダウン解除が進んで、糸の切れた凧のような状況が一番危険かもしれない・・などと思っていた私でも、やっぱり街が動き出す気配が想像以上に嬉しいことは、自分でもちょっと意外なくらい、なんだか自分の内側から沸き起こってくるワクワクした感じに驚いています。

 この気持ちは、昨年の最初のロックダウンが解除された時とは、全然違うことも、自分でも興味深く、昨年のロックダウン解除時には、もっと緊張感があったわりには、ここまでパンデミックが長引き、後から後から変異種が登場して、その後に第2波、第3波と続くことも予想しておらず、今回ほどの感慨は正直ありませんでした。

 しかし、結果的に1年以上も長引いたパンデミックで、ゆっくりとはいえ、ワクチン接種が拡大していく中でのロックダウンの解除に際しては、なんだか全く違う気分なのです。

 まだ、オープンはしていないものの、コマーシャルセンターの中の店舗が再開する準備のために店内に灯りがともっていたりすると、別に買い物がしたいわけではなくても、なんとなくホッと暖かい気持ちになったりします。

 また、昨日、用事で出かけた帰り道、散歩がてらに公園を通って歩いていたら、緑の公園の中のメリーゴーランドが動いているのを見つけて、なんだか嬉しくなって、思わず子供のように駆け寄ってしまいました。

 まだ、準備の試運転の状態で、あまり人は乗っていませんでしたが、こんなことでもウキウキした気持ちになる自分に、やはり、閉ざされた生活が寂しかったことをあらためて思いました。

  

今や見慣れたカフェの中に積み上げられた椅子 これも見納めになるといいけど・・


 テラス席のみのオープンとはいえ、長いこと閉店されていたカフェやレストランの窓際に椅子が積み上げられた今では見慣れた光景も、これで見納めかと思うと感慨もひとしおです。

 とはいえ、ロックダウンが解除された後に、第4波が来る・・という心配もあるのですが、昨年と大きく違うところは、なんといってもワクチンがあるということで、最初は、もたついていたワクチン接種もフランスにしては、思いのほか、システマティックに進み始めていることです。

 現在は、ネットを使って、空きを確認して、ワクチンを無駄にしないように、キャンセルが出た場合や、余裕があるところでは、若者でさえ、予約に割り込むことができています。

 この辺りは、日頃から、規則がきっちりし切らないフランスの緩さが幸いしているような気がします。ワクチンを無駄にすることなしに進めていくには、ある程度の規則の緩さも必要なのです。きっと・・。とにかく、1日も早く、一人でも多くの人がワクチン接種を受けることが大切なのですから・・。

 ワクチンは、万全ではありませんが、感染の減少には、大きな力となっていることは、世界のワクチン接種が進んでいる国の現状から見ても明らかです。

 あたりまえだったはずの日常が戻ることに、こんなに感動できることは、嬉しいことです。

 どうか、このまま減少を続け、安心してレストランで食事ができる日が来ることを私は心の底から待ち望んでいます。今度こそは、今度こそは・・とそんな気持ちなのです。


<関連記事>

「ロックダウン解除第一段階で、もう夏には、屋外でのマスク義務化撤廃の話題」

「ロックダウンの段階的な解除日程 マクロン大統領がプレス公開とツイッターで発表した理由」

「パスツール研究所が示すフランス第4波のシナリオ」

「フランスは、ワクチン接種を進めても、イスラエルやイギリスのような劇的な変化は期待できない」

「コビット・トラッカー Covid Tracker ワクチン接種の空き状況が確認・予約できるサイトを作ったのは、政府とは無関係の24歳の青年」

 

2021年5月16日日曜日

「デモ禁止」がさらにデモをエスカレートさせたパリの「イスラエルとパレスチナ紛争」に関するデモ

                                                                                                                               

Un manifestant à terre à Paris, lors d\'un rassemblement en faveur des Palestiniens interdit par les autorités, le 15 mai 2021.

 デモはフランスのお家芸と言っていいかもしれません。しかし、ここのところのフランスのデモの暴力的な様子は、ちょっと目を覆いたくなります。必ず、負傷者が出て、何かが破壊され、逮捕者が出ます。

 イスラエルとパレスチナの紛争に抗議するデモはこの日、世界各地で起こっていました。しかし、パリでは、過激な紛争に対するパレスチナの人々を支援するデモは暴徒化の危険を回避するために、数日前に禁止される通達が流されていました。

 にも関わらず、この「デモ禁止」は、さらに「私たちはパレスチナ人との連帯を沈黙させることを拒否し、デモを妨げることはない!」と、かえってデモ隊を煽る結果となり、パリは、デモ隊と警察の間で、大変な騒ぎになりました。

   

なぜ、パリだけがこうなるのか???という映像


 フランス内務省の発表によると、この日のデモはフランス全土で22,000人の参加者を記録し、51人(うち44人がパリ)が逮捕されました。

 パリは、この日のデモを禁止はしたものの、この禁止措置が守られるとも到底考えてもおらず、4,200人以上の警察と憲兵隊が動員され、デモ隊が構成されると「即時解散」の指示が出されていました。

 しかし、「即時解散」を求める警察に対して、一時解散しても「即時再構成」を続けるデモ隊との応戦が続き、それがエスカレートしていくうちに、デモ隊の一部は発射体の投擲、ゴミ箱の放火などと暴徒化し、それに応戦する形で、警察も放水砲、催涙ガスを発砲、近隣の駅は閉鎖され、大変な騒ぎになりました。

 テレビで流されているこの物々しい映像に、警察車両は、どれほどの種類のものがあるのだろうか?と妙な感心をしてしまいました。

 平和を訴えるはずのデモから、終いには、パリの街中が戦争状態のようになり、また、この「デモ禁止」に対するデモのような様相が、デモをさらに盛ってしまった感があります。

 この「デモ禁止」に抗議する訴えがCAPJPO (Coordination des appels pour une paix juste au Proche-Orient )(デモを禁止する命令の調整を求める協会)によって、起こされていましたが、国務院は、「協会の控訴を裁定する必要はない」と却下しています。

 フランスの他の数カ所の地域では、いくつかの(静的な)集会または、デモが承認され、リヨン、モンペリエ、マルセイユ、ナント、レンヌ、ストラスブール、トゥールーズ、リールなどでも、デモは行われていました。

 フランス人にとっての「デモの権利」は、相当なもの、権利であるとともに、義務であり、彼らの誇りでもあるのです。それを禁止したのですから、騒ぎが余計大きくなるのは、必須であった気もします。

 これは国内の政治家の間でも物議を醸し出し、「フランスは、パレスチナ人への支持へのデモと極右のイスラエル政府に対する抗議が禁止されている世界で唯一の国だ!」とするこのデモ禁止が不当であったとする人々と、「安全確保のために、デモ禁止は賢明な措置であった」とする左派と右派の議論にまで発展しました。

 「平穏と平和」を求めるはずのデモが別の紛争を生んでいる困った事態なのです。


<関連記事>

「コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張」

「驚異的な数の警察・治安部隊を配置してでもデモをする権利を守るフランス」

「雪でもコロナでもデモはやる でも、18時以降の外出禁止を守るために急ぐフランス人」

「フランス人にとってメーデーは特別な日 2年ぶりの5月1日メーデーのデモ」

「フランス全土で13万3千人超のデモで大荒れ パリ・フランス銀行まで燃やされる大惨事」

 




2021年5月15日土曜日

パリでの私の日常に「旬の魚」は存在しない


心優しい私の従姉妹は私たちが日本に行くと素晴らしいお魚を用意してくれる


 ツイッターを見ていると、数々の飯テロなる投稿が登場し、海外暮らしで思うように材料が手に入らず、簡単には食べられないものが多数登場する中で、日々、私は、ヨダレを垂らしながら、拝見しているのですが、こと魚、特にお刺身等の生魚に関しては、特別な場所にでも行かない限り、もうほとんど、まともな食材には、そうそうお目にもかかれないので、もはや、あまりに高すぎる雲の上の存在には、何だかかえってあまり反応しなくなりました。

 昨日、ツイッターでどこかの日本のお寿司やさんのツイートだと思われるものの中に、見事に透明に光り輝くお刺身の写真とともに、「旬の魚」をご用意しております・・というものがあり、はて??そういえば、私のパリでの日常には、「旬の魚」というものは、存在しなくなっていることに気がつきました。

 まだ、パリに来た当時は、そんなことが非常に残念で、「海は繋がっているはずなのに、なぜ?」などと、訳のわからないことを考えたりもしましたが、そもそもあまり、フランス人は魚に興味のない人々で、肉に比べると圧倒的に需要がないのです。

 そんなわけで、我が家の近くにはマルシェもなく、日常の食料品は、大抵は、近所のスーパーマーケットで済ませている我が家には、「旬の魚」などはないのです。マルシェに行ったところで、その顔ぶれは、そんなに変わるわけでもありません。

 そもそも、需要と供給の問題なのでしょうが、私の行くスーパーマーケットに魚売り場はあるものの、ほとんど、その魚売り場に季節感はなく、いつもいつも、あるのは、サーモン、鱸(スズキ)、鯛、たら、ヒラメ、メカジキ、マグロ、イワシ、赤く茹でられたエビなど、一年を通して、大体、同じ顔ぶれで、しかも、それらは、基本、加熱して食べることが前提の、あまり新鮮さの感じられない魚たちで、滅多に食指が動くことはありません。

 たまに、珍しい魚を見つけて、これ、生で食べられる?と確認したにも関わらず、あたって食中毒になり、死ぬほどしんどい思いをしてからは、ことさらです。

 強いて季節感があるとすれば、それはノエル前になると登場する生牡蠣や貝類やカニやロブスターなどのプレートなどで、それにもあまり感動はありません。

  

我が家で一番食べる魚はピカールの鯖


 一年を通して、一番、我が家の食卓に上がることが多いのは、安定した品質を保っているピカール(PICARD・フランスの冷凍食品の会社)の鯖のフィレで、これだけは、いつ買っても絶対に間違いはなく、オーブンでそのまま焼いたり、鯖の味噌煮にしたり、しめ鯖を作ったり、鯖寿司にしたりと大活躍。しかし、冷凍ゆえ、いつもあるもので、「旬の魚」と言えるものではありません。

 現在は、フランスで、どこのスーパーマーケットでも売っており、「SUSHI」を知らない人はいないほど、広まったお寿司で、フランス人も生魚を食べるということにも抵抗はなくなってきたとはいえ、生魚を買って自分で作るという人などほとんどいないはず。しかも、フランスで売っているお寿司の主役は、おそらくサーモンです。

 サーモンがどれだけ好きなんだ!と思うこともありますが、もともとフランス人にとっては、サーモンは身近な魚で、スモークサーモンというほぼ生の状態でこれまでも食べていた魚で、食べやすいのかもしれません。

 どこか、海辺の街にでも住まない限り、日本で言うような「旬の魚」というものには、なかなかお目にかかれないかもしれません。

 パンデミックのおかげで日本にももう、1年以上も行けていない私にとって、「旬の魚」は、夢のまた夢の儚い存在になりつつあるのです。


<関連記事>

「もうカーフールで魚は買わない」

「やっぱりフランス人は、肉食だなと思わされるパリのスーパーの魚売場」

「日本に帰ると猛然と食べまくる!帰国時の海外在住日本人の姿」

「PICARD(ピカール) のお世話になってます・私のピカールのおススメ商品」