5月19日から、ロックダウン解除の第2段階に突入したフランス。フランス国民が半年以上も待ち侘びていたレストラン・カフェが再開し、解除初日から、待ってましたとばかりに、悪天候にもかかわらず、多くの人々がカフェやレストランでの食事を楽しみました。
私が見かけたのは、昼食時でしたので、「結構、密だな・・」と思われる場所もあるには、ありましたが、なかなか和やかな感じで、とにかく水を得た魚のように、皆、生き生きと楽しそうにしていて、「あ〜〜パリの日常が戻ってきた!」と私も嬉しく、そんな光景を眺めていたのでした。
ところが、夜の外出禁止もこれまで19時までだった外出制限が21時までに延長され、夕方から夜にかけてのレストランやカフェは、盛況を通り越して、ハメを外しすぎで、大騒動になった場所がいくつかありました。
パリの一部、ボルドー、レンヌなどの都市では、21時にカフェ・レストランが閉店しても、テイクアウトのビールやワインを持って、街に残って大騒ぎ。広場に再集合して、俄かレイブパーティーを始める若者が続出しました。
Une foule de jeunes se rassemble rue de la Soif à #Rennes pour la réouverture la #réouverture des terrasses. (@Timour_Ozturk) #Deconfinementpic.twitter.com/CwhdRYpI4F
— Anonyme Citoyen (images) (@AnonymecitoyenS) May 19, 2021
中でも、レンヌのサンタンヌ広場には、数千人が集まる騒ぎになり、廃材を積み上げて、まるでキャンプファイヤーのように火をつけ炎が立ち登る騒ぎに警察が出動、どうしても帰途につかない若者たちを催涙ガス、ゴム弾まで使って、追い立てるという事態にまで陥りました。
午後10時半、消火のための消防車が到着、ロックダウン解除のために警察だけでなく、消防車までが出動する大騒ぎ。
Grand "feu de joie" avec des palettes place Sainte-Anne à Rennes alors que le couvre-feu est en vigueur depuis 1h maintenant #Deconfinement pic.twitter.com/Xil5DWy7Cv
— France Bleu Armorique (@bleuarmorique) May 19, 2021
ある程度、ハメを外すだろうということは、想像はしていたものの、いきなり外出制限の時間は無視、廃材に火をつけるという大事態にまで発展、法務省は、さっそく、21時以降の外出制限を厳格化することを発表しています。
もともと、時間を守らないフランス人のこと、21時には、シンとして皆、きっちり家に帰るはずもありませんが、アルコールの勢いも手伝って、ロックダウンの段階的な解除がまるで、全面的な解除のような勢いで、騒ぎ出したのですから、たまったものではありません。
念のため、フランスは、感染は、確実に減少してきてはいますが、未だ1日の新規感染者数は1万5千人以上、毎日150人前後の人が亡くなっている状況です。ワクチン接種もかなり進んできたとはいえ、32.25%(5月19日現在)で、アメリカやイギリスのような状況ではありません。
楽観的に考えれば、これを室内でやられるよりは、マシなのかもしれませんが、どちらにしても、この状況は、第4波への危険を容易に想像させられます。
しかも、このような騒ぎを起こしている若者の多くは、ワクチン接種が済んでいない人がほとんどなのです。
この状況を憂慮しての決定かどうかは、わかりませんが、即刻、翌日には、カステックス首相が、5月31日から、18歳以上の全ての国民に対してのワクチン接種の門戸を開くことを発表しました。
当初のワクチン接種の日程よりもかなり、早まった全国民(成人のみ)対象のワクチン接種。フランスでは、ワクチン接種の予約は、ほとんどネットで予約が可能なので、時間帯や裏技等を利用すれば、これは、若い世代の得意とするネット予約。
今後も自由にバカンスに行きたい、コンサートに行きたいとなれば、若者でもワクチン接種の希望者は少なくないはずです。
このロックダウン解除による感染の再拡大にストップをかけるのを警察による行動制限の警戒だけでなく、ワクチン接種予定の前倒しで行おうとしている政府の早急な対応は、非常に賢明だと思います。
フランスのワクチン接種も最初はもたついていましたが、どうやら波に乗ったようで、順調に進み始め、ワクチンの供給量も増加してきたこともこの政府の早急な対応を支えています。
国民を褒めることはあっても、叱ることをしないフランス政府ですが、レストラン・カフェの営業に際しては、ソーシャルディスタンスや、着席義務などの条件を出したものの、これでは、着席どころではありません。飲食の場ゆえ、マスクもほとんどの人がしていません。
初日のこの騒ぎで、せっかく営業を開始することができたのに、この騒ぎに巻き込まれたお店は、衛生管理が取れていないということで、さっそく営業停止をくらった店も出てしまいました。
長いこと、我慢してきた国民をロックダウン解除で、多少?ハメを外しても、苦虫を潰したように怒りきれない上層部。もはや、ワクチン意外に救われる道がないことが如実になったロックダウン解除の初日でした。
しかし、デモなどでの抗議運動でも車やゴミ箱を燃やし、ロックダウンが解除になって嬉しくても、廃材を燃やし、つくづく燃やすことの好きな人たちです。
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