2021年3月5日金曜日

変異種61%に拡大・感染悪化もまだまだ粘るフランス 週末ロックダウン1県追加・特別警戒地域23カ所に拡大 

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 もはや、ここ数週間、首相の定例会見になっている木曜日の夜、新たにフランスでは、パ・ド・カレー県(オー・ド・フランス地域圏)での週末ロックダウン(ニース、ダンケルクに続いて3県目)と、これまでの20地域に加えて3地域(エーヌ県、オーブ県、オー・ド・アルプ県)を特別警戒地域に追加することが発表されました。

 今回、週末ロックダウン地域に加えられたパ・ド・カレー県では、感染率はもちろん、集中治療室の占拠率が102%と医療崩壊を起こしています。

 国内の感染状況については、毎日のニュースで伝えられており、今週末には、パ・ド・カレー県と並んで、イル・ド・フランスも週末ロックダウンになるのではないかと言われていました。

 しかし、イル・ド・フランス(特にセーヌ・サン・ドニ県)では、感染率は、今回、週末ロックダウンに加えられたパ・ド・カレー県とほぼ同等の感染率ではあるものの、集中治療室の占拠率は75%とされているため、また、人口も多く、影響も甚大なイル・ド・フランスを週末ロックダウンにすることは敢えて回避したとも見られます。

 これに対して、セーヌ・サン・ドニ県(イル・ド・フランス)の医療従事者は、「75%の占拠率とは、コロナウィルスによる患者だけをカウントした数字で、他の患者も大勢いる中、この75%という数字は、現実的な数字ではなく、もうとっくに100%を超えている状態なのだ!週末だけでもロックダウンをして欲しい!」

と訴えています。

 しかし、フランス政府は、あくまでも、できる限り、ロックダウンは回避するという方針は頑として崩さず、カステックス首相は、「ロックダウンは不可能なことではないが、必然でもない」としています。

 しかしながら、フランスの感染状態が、悪化している状況は続いており、先週には、50%を超えてしまったと言っていたイギリス変異種の割合も、今週には、61%まで増加しています。

 変異種が確実に拡大している中、これまで2地域の週末ロックダウンが加わったのみで、他の地域は、取り締まりが厳しくなったというだけで、制限自体は強化されたわけでもなく、感染が減少する理由は一つもありません。

 ただ一つの朗報は、ここ2週間ほどで、全ての年齢層での感染が増加している中(平均14%増)、80歳以上の感染率だけが17%減少しており、これは、80代以上の人口の28%がワクチン接種が済んでいる結果として、ワクチン接種の効果が具体的な数字に現れ始めたとしています。

 ロックダウンをしない以上、頼みの綱はワクチン接種しかないわけで、ワクチン接種の拡大の一手段として、ワクチン接種の条件を満たしている人に対しては、3月15日から、薬局でのワクチン接種が可能になります。

 また数日前に政府報道官の一人であるガブリエル・アタルが、「4月中旬には、コロナ以前の日常に近い生活を取り戻すことができる」と発言したことから、この発言に対しての質問が上がりましたが、これは、4月中旬までには、ワクチン接種がかなり進むであろうことからの希望的観測で、現段階で、日程を指定しての予測は、不可能であるとしています。

 当然です。

 また、感染が悪化しているのにも関わらず、ロックダウンをしない、むしろ感染悪化の更なる悪化を待っているような状況について、厚生相オリヴィエ・ヴェランは、「周囲のヨーロッパの国々で厳しいロックダウンをして、もう2カ月間も学校も閉鎖し、お店も営業しないでいる国でも、感染は、一時、減少しても、また増加したりしている。ましてや、現段階で、ゼロコロナは不可能で、これだけ長期間に及ぶのであれば、何とかロックダウンせずにワクチン接種が進んでいくまで、乗り切るべきだ。」と説明しています。

 しかし、今年に入ってからのフランスのコロナウィルスによる死亡者は、23,203人。一ヶ月に1万人以上の命が失われています。パンデミック以来、フランスの死亡者総数は、87,835人(3月4日現在)。今年に入ってからの人数は、この全体の26%にも及んでいます。

 ワクチン接種の効果が見えてきたとはいえ、ワクチンの供給も接種も政府の理想どおりには、進んでいないフランスです。医療従事者に対してのワクチン接種も現段階では3人に1人しか済んでいません。一番危険な現場で働いてくれている医療現場での、このワクチン接種の現状は、深刻です。

 これまでに接種が進められているファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンに加えて、3月中旬には、1回の接種で済むと言われているジョンソンアンドジョンソンのワクチンが認可され、4月中旬には、このワクチンでの接種も開始される予定になっています。

 感染拡大のスピードとワクチン接種の拡大のスピード、このどちらが勝つかが、フランスの今後の鍵を握っています。

 しかし、私の印象では、一時、「ロックダウンをする用意はいつでもある」としながら、踏ん張ろうと揺れていた時期もありましたが、そのころに比べて感染は悪化しているにも関わらず、政府には、ロックダウン回避の方向で進むさらに強い意志が感じられます。

 この選択が良かったか悪かったかは、ずっと後にならなければわかりませんが、これまでもいくつもの場面で失敗しているはずのフランス、でも終わってみれば、「俺たちは、よくやった!」となるところもフランスなのです。

 


<関連>

「全く懲りないフランス人 ロックダウンを回避したい政府の気持ちは伝わらない」

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「このままロックダウンせずに乗り切ることは可能なのか?」

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「ロックダウンしないフランス政府の決断は正しかったか?」

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2021年3月4日木曜日

久々にメディアに堂々登場 カルロス・ゴーン テレビ生出演

                              

   Carlos Ghosn sur LCI : son évasion lui a rappelé "Midnight Express"


 カルロス・ゴーンがフランスのニュースチャンネルLCIの19時からのニュースのインタビューに答えるために生出演するというので、彼が今、何のために、何を話すのか? 注目していました。

 カルロス・ゴーンが日本から信じられない逃亡をしたのは、2019年の大晦日のこと、それから、すでに一年以上が経過しています。

 逃亡中の身でありながら、公共のテレビに出演するなど、なんと太々しいことかと思いますが、逃亡先のレバノンに到着の数日後には、全世界からメディアを集めて記者会見まで行ったのですから、今さら、中継とはいえ、フランスのニュース番組に生でインタビューを受けることなど彼にとっては、何のことはないことかもしれません。

 とはいえ、インタビューということもあったのでしょうが、いつもの饒舌な彼の印象とはちょっと違い、かなり気をつけて話している印象で、あまり、フランス語が流暢とも言えない彼の妻が話す場面も多かったのです。

 というのも、彼にとっては、これは、最近、彼が妻との共著という形で出版した、彼の逮捕から逃亡劇、その後の様子を綴った内容の本(「Ensemble Toujours」(いつも一緒に))の宣伝であり、インタビューもその本の内容に沿ったものであったためです。

 彼は、このインタビューの中で、すでに聞いたことのある逮捕時の話や、日産やルノーには失望したこと、調べれば、調べるほど自分の逮捕が計画的に図られた陰謀、裏切りであったこと、裁判を待ち続けて日本に滞在し続けることは、彼にとって「死」を意味することであり、当時、自分には、死ぬか生きるかの選択肢があり、生きることを選んだ。そのことに躊躇もなかったし、後悔もないと語りました。

 また、彼は、日本の司法制度に対して、「これは策略であり、自分のケースは多くのケースの一つでしかなく、私と同じ経験をしている人が何千人もいることを忘れないでください」と述べています。

 しかし、多くの人が興味を持っている逃亡劇の詳細については、その時の自分の心情、まるで大手術を受ける医者に身を任せる麻酔を打った患者のように恐る気持ちはなかったことや、映画「ミッドナイトエクスプレス」のようだと思ったことなどを語りましたが、具体的な方法について、また容疑にあげられているお金の流れについては、ルノーや日産とのそれぞれの会社の事情もあるために話せないとかわしました。

 日産やルノーに対しても、「失望した」とこの期に及んで、どこか、上から目線。さすがというか、「失望した」のは、どっちがどっちへ?という話です。

 また、彼の逃亡のために、すでに5人が逮捕されていることについても、自分が今、彼らに対して何かを語れる言葉を持ち合わせていないと述べたのみで、すぐに話をすり替えてしまいました。

 結局、都合の悪いことに関しては、話をすりかえて、はぐらかす、いつもの手法です。

 そして、フランス国籍も持っている彼に対して、フランスに戻ることは考えていないのか?という問に対して、日本の司法のやり方はわかっている、リスクは冒さないと答えました。

 彼の日本での逮捕後に彼の妻がエリゼ宮に大統領宛てに助けを求めて、手紙を送ったにも関わらず、全く返事もなく、対応がなされなかったことも話しています。当然ですが・・。

 そもそも、彼は、日本からだけでなく、フランスでも、ルノーでのお金の流れや、彼の資産に関して、税金逃れのための工作に目をつけられており、すでにフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえていると伝えられています。

 これは、彼が税法上の住居を2012年にオランダに移してたことが、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したことによるものです。

 彼は、日本の司法のために、フランスに入国するリスクは取らないとフランスに入国できないのは日本のせいのように語っていますが、実のところ、フランスでも、いくつもの容疑がかけられているためにフランスに容易に入国することはできないのです。

 彼は、「国や企業に太刀打ちができるものではない」としながらも、「自分は無実であり、あくまでも真実を回復する」と述べ、現在は、今までにない自由な時間の中で自分の人生を再構築するための生活を送っている」と説明しました。

 そのインタビューの3時間後に、彼はまた、別のニュースチャンネル(BFMTV)に、出演、これまでの彼の逮捕から、逃亡、逃亡後の記者会見、逃亡を手伝った人々の逮捕の様子までがまとめられたショートビデオが流された後に登場しました。

 同時にこの一連のビデオを彼自身も見ていたはずです。4分ほどにまとめられたこのビデオ、とてもわかりやすく上手くできていましたが、これを同時に見ていた彼が、何を考えていたのか? インタビューの内容以上に気になりました。

https://twitter.com/BFMTV/status/1367237699485261827



 彼が逃亡直後に行った記者会見から、一ヶ月ほどで、世界はコロナウィルスによるパンデミックに襲われ、衝撃的な彼の逃亡劇は、あっという間に影を潜めてしまいましたが、そんな期間にも着々と本まで出版するカルロス・ゴーン。

 レバノンを出国するリスクは冒さないと言っていますが、まさか、正直に○○へ行きますとは公言するわけもなく、また、別の計画を着々と練っているのではないか?と思ったりもするのです。

 いずれにせよ、まんまと逃げられて、一年以上、治外法権とはいえ、手が出せないのをいいことに、堂々と会見を行ったり、本を出版したり、その宣伝のためにテレビ出演したり、常人では理解できない精神構造と執念。

 しかし、フランスでも、彼が潔白であると思っている人はいません。


 <カルロス・ゴーンが最近出版した本>               


カルロスゴーン

<関連>

「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

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「フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ」

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2021年3月3日水曜日

フランス・「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」に指定

  


 フランスは、日本から「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」に指定され、3月5日午前0時以降にフランスから日本に入国する場合は、到着後、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設)に3日間隔離、3日後に改めて検査を行い、陰性と判断された場合は、入国後14日間の残りの期間を公共交通機関の利用を避けて、自宅等、別の場所で待機することが求められることになりました。

 さすがに、これまでヨーロッパのようには感染が拡大していない日本だけあって、非常に厳しいです。

 これまでの14日間の隔離だけでも、充分にハードルは高かったのですが、ここまででは、「はいはい、もう帰りませんよ・・」と、ちょっと不貞腐れる気分ですが、日本の措置は賢明です。

 実は、私が知らなかっただけで、これまでも、すでに「新型コロナウィルス変異種流行国・地域」に指定されていたイギリス、南アフリカなどの変異種先進国?からの入国に関しては、すでにこの措置が取られていたようです。

 今回、フランスが仲間入りさせていただいたようですが、イタリア、オーストリア、オランダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギーなど、ヨーロッパのほとんどの地域からの入国に対して、同じ措置が取られるようです。

 出発前72時間以内の検査証明書に加えて、入国時の検査、その上、3日間の完全隔離、プラス14日間の自宅(あるいはホテル)隔離とその間の健康状態のチェック(SNSや電話による追跡確認)までですから、もうこれ以上はできないだろうと思うくらいの徹底ぶりには、ただただ、脱帽です。

 これは、日本が島国であるため、可能であるとも言えるのですが、肝心の「新型コロナウィルス変異株流行国・地域」本国であるフランスでは、未だ、充分な隔離対策はされていません。

 そもそも、特にこの「変異種流行国」の巣窟であるようなヨーロッパでは、陸続きのために、国境を超えて通勤している人も少なくなく、先日から出入国制限を儲けたドイツ⇄モゼル県(フランス北東部)の往来には、48時間以内の検査証明書が求められたことで、毎日通勤している人にとって、2日に一度の検査はやっていられないと悲鳴が上がっています。

 モゼル県(フランス北東部)では、2月に入って以来、南アフリカ変異種の感染拡大が深刻になっており、年末からロックダウンまでして、感染を抑えてきているドイツにとっては、充分に警戒すべき地域、ドイツの言い分は最もなところです。

 しかし、たとえ地続きの越境に関してのフランス入国に関しては、日本のような隔離は無理としても、空路による入国、空港でのチェックと隔離に関しては、不可能なことではありません。

 実のところ、フランスの感染対策は、ほぼ一年にわたるパンデミックにも関わらず、この隔離問題が実に甘く、海外からの入国に関しても、日本のような強制隔離はなく、日常の検査に関しても陽性者の隔離を徹底する動きもほとんど無いのです。

 一年近くも同じ問題に取り組みながら、ロックダウンや夜間外出禁止などを繰り返しながら、肝心な隔離問題は、一向に改善されず、検査で陽性になってもマスクさえすれば出かけて良いとか、まるで甘々な状況が続いているのです。

 せっかく検査を拡大しても、その効果は激減です。

 もっとも、フランスの場合、検査結果が陽性ならばともかく、検査の結果が陰性にも関わらず、「強制隔離」などと言えば、また、「人権問題だ!」とか言って、騒ぎ出す人もいそうです。

 どうにも、いつもフランスでは、何かにつけて、問題になったり、ことがスムーズに運ばなかったり、騒動になるのは、いつもこの「権利」と「自由」の問題で、だったら、まずちゃんとしてから言えよ!と思うのですが、とにかく「とりあえずは言うことは言う国民」。

 一先ず、この隔離問題に関しては、現在は、それよりも「ロックダウンか否か」ばかりが争点で、あまり話題にはなっていないのです。

 もっとも、感染拡大が深刻で、もはやロックダウン??に話題が集中するのも仕方ないかもしれません。ロックダウンになれば、全員否応なしに隔離状態ですから・・。

 昨日もフランスの新規感染者数は22,857人、集中治療室の患者数3,586人とヨーロッパの中でも堂々1位です。


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「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

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「コロナウィルスで日本が遠くなった」

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2021年3月2日火曜日

ゴミの捨て方に見るフランス人のモラル フランス人には、箱を潰して捨てようとか、そういう観念はない

  


   フランス人には、箱を潰して捨てようとか、そういう観念はありません。滅多に箱を潰して、ゴミを出している場面は見かけることはありません。

 商店などで、大量の段ボールを捨てる場合は、箱を潰している場面を見かけることもありますが、これは、上の写真のようなゴミ収集の箱一つあたりで、ゴミ収集の料金が設定されている場合があるためです。

 私の住んでいるアパートでは、地下にゴミの収集場所があり、ゴミは、ビン類、資源ごみ、燃えるゴミの3種類に分けられていますが、それぞれに違う大きなごみ収集箱が置かれているだけで、特にゴミの捨て方に対する指導はなく、住民は、その箱の中に一応、それなりにゴミを分別して捨てています。

 しかし、資源ごみに関しては、細かく分類されることもなく、ダンボールなどの箱も潰されることなく、そのままガッサリと捨てられています。ダンボールもアルミ缶もプラスチックボトルも一緒です。とてもざっくりとした分別です。

 「箱は崩して捨てましょう」という呼びかけや張り紙なども見たことはありません。

 それでも、資源ごみと燃えるゴミを分別しているだけ、また、ゴミをゴミ箱に捨てるだけ、まだマシなのかもしれませんが、地球環境についての厳しい対応を始め、「スーパーマーケットでは、プラスチックの袋を使わない」などの試みを始めた国が、このゴミ問題を放置しているのは、よくわかりません。

 多分、このゴミ処理については、あまり問題だとも思っておらず、疑問さえ抱かない人が多いのだと思います。

 以前、娘がシェアハウスに住んでいた時に、同じシェアハウス内の共有スペース(キッチンなど)での、周りの住民がゴミを分別しない!箱を崩して捨てない!など、ゴミの捨て方がなっていないと、彼女より年上の他の住民にゴミの分別や捨て方などを指導しなければならなかった・・とこぼしていて、あっという間に彼女はシェアハウスの寮長のようになっていて、苦笑してしまったことがありましたが、たしかに同じ生活空間で生活する場合は、結構、煩わしい話かもしれません。

 だいたい、箱を潰してゴミ箱がすぐにいっぱいにならないようにしようとか、他の人の迷惑にならないようにしようとか、そういう観念がフランス人には、ないのです。

 むしろ、ゴミ処理の仕事、分別の仕事をしている人がいるのだから、その人たちの仕事を奪ってはいけないなどと言い出しかねないのがフランス人です。

 一方、最近、私が日本へ行くと、まずチェックするのがゴミ出しの曜日の確認です。日本のゴミ出しは、非常に厳しく、複雑?で、燃えるゴミ、資源ごみ、ビン、缶、ペットボトル、ダンボール、新聞紙など、細かくて、日頃、フランスで大雑把なゴミ捨てに慣れている私にとっては、大変な注意が必要です。ダンボールや新聞紙など、きっちり縛られていなければ、持って行ってくれません。

 また、前の日にゴミを出しておくということもできないし、ゴミの種類によっては、やけに朝早く収集にやってくる場合もあるので、大変、気を使います。スーパーマーケットに行けば、きちんと洗われ、ラベルを外し、キャップをとったペットボトルや、食料品などに使われたトレイまでもがきれいに洗われて捨てられています。考えてみれば、こんなにきれいにゴミを捨てられる国もそうそうないと思います。

 ゴミ一つをとっても、こんなにレベルが違うのです。人の迷惑にならないように・・とか、周りの人が快適に過ごせるように・・とか、一人一人が少しずつ努力を積み重ねることで、環境問題に取り組もうとか、日頃から、そういう心くばりをしながら生活している日本は、コロナ対策に関しても同じく、人の迷惑をかけないように、周囲の人も感染が避けられるように対応できていて、それは、感染の被害の拡大の仕方にも現れているのだと思います。

 死亡者だけを比べても、フランスは日本の11倍、フランスの人口は日本の約半分なので、人口との比率を考えれば、22倍です。もはや、むしろ、2倍3倍、という方がピンとくるぐらい、10倍以上だと逆に響かないような非現実的な差です。

 フランスでの生活も長くなって、もはや、当たり前のように見過ごしていた山積みになっているゴミ箱を、「さすがに、これって、やっぱり酷いよな〜・・」と思って眺めながら、同時に「日本ってやっぱり、スゴイよな〜・・」とも思うのです。



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「フランスのシェアハウスでいつの間にか寮長のようになっていた娘」

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「フランスのシェアハウスで二年目を迎えた娘は、今年も寮長を続けているのか?」

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「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

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「枯れ葉舞うパリのゴミ」

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2021年3月1日月曜日

銀行乗り換えで久々に遭遇した典型的な嫌なフランス人

 


 これまでフランスで使っていた銀行の口座管理料があまりに高いことに気がついて(年間で200ユーロ以上(約25,000円)(クレジットカードの手数料等は別)、銀行の乗り換えをしようと手続きを始めたのが1月半ばのことでした。

 私が今まで使っていた銀行は、少々、特殊?な銀行だったため、近くに支店もなく、銀行を変えようかな?と思っていたにも関わらず、色々な引き落としや入金などの変更の手続きがスムーズに行かないだろうな・・と思うと、ついついあと伸ばしにしてきてしまったのです。

 しかし、昨年分の口座管理料の請求書を見て、これはいくら何でも高い!と決意して、私の滞在許可証が半年以上かかって、ようやく更新できたタイミングで、銀行の乗り換え手続きを始めたのです。

 最近は、ネットで申し込みできるので、そんなにややこしいことにならないと思いきや、ネットでの申し込みをしてから、しばらく何とも言って来ませんでした。しかし、私も特に急いでいたわけでもなかったので、何となく「遅いな〜」くらいに思っていたのです。

 少しすると、私が申し込んだ銀行(フランスでは誰でも知ってる大手の銀行)の近所の支店から、電話がかかってきて、「足りない書類を持って、一度、支店の方に来てください」と言われ、予約をとって、担当者のところに出向いたのが、1回目。

 私の方も色々、前の銀行からの普通預金や数種類の定期預金のお金の移動や新しい口座への振り分けや、引き落としや入金の変更など、しっかりとなされるのかという不安もあり、一度、直接、会って、ちゃんと確認しておきたいと思っていたので、1回くらいの面談はまだ良かったのです。

 その時に会った担当者は、比較的、若い女の子で、サバサバしていて、感じの良い人で、一通りのことを確認して、来週初めには、口座開設の確認の電話をするからということで、すんなりと済んだのでした。

 ところが、その確認の電話は週の初めには来ず、SMSで次回の面談の予約が入って、しかも、どういうわけか、担当者は別の人の名前に変わっていました。

 とにかく約束の時間に銀行へ行き、迎えてくれた女性の顔を見て、「あれ?この間の人と違う・・」と、ちょっと怪訝な顔をした私に気がついたその人は、「この間は、私が休みだったから、別の人が対応しただけで、本当はあなたの担当は私なのよ・・あなたのお嬢さんも私が担当してます」と言ったのです。

 前回、来たときに会った女性にうっかり、「うちの娘もここに口座を持っていて・・」と口を滑らしたら、彼女は、すぐに調べて、「ああ、お嬢さんは私の担当ではないわ・・」と言っていたので、明らかに私の担当は、変えられたようなのですが、ただ、なぜ彼女が、「前回は、私が休みだったから・・本当は、あなたの担当は私・・」などと、そんなつまらない嘘をつくのかな? と、ちょっと嫌な気がしたのです。

 担当者が変わったので、もう一度、確認のため、こちらのお願いしたい前の銀行からの送金や普通預金以外の定期預金の口座の開設について、話しました。前の銀行からの口座の移動に関しては、手紙を書いてくれて、これを送ればいいから・・と言ってくれました。

 しかし、銀行業務に関しての話は、早々に、彼女の話は、医療保険(ミューチュエルと言って、国民健康保険ではカバーしきれない医療費をカバーしてくれる保険)のことに切り替わり、現在、あなたが入っている保険よりもうちの保険の方が安くなるという見積もりを出してきて、その話題に終始したのです。

 私は、軽い気持ちで、まあ、条件次第では、変更してもいいかな?くらいに思っていたので、半ば、適当に話を聞いていたのですが、特別な割引は2月中にしかできないので、この見積もりを検討して、できるだけ早く返事してほしいと、私をせかし始めたのです。

 数日後に、また彼女に会う予約をとったものの、肝心の銀行の手続きは全く進まないままで、おまけにネットのサイト上の自分の口座に入るためのパスワードも郵送すると言っていたのに、ずっと送られてこないままで、私の方もイライラし始めたのです。

 私の目的は、保険の変更ではなく、銀行の口座の開設と前の銀行からのお金の移動なのです。肝心のことが、滞っているのに、もはや、保険の話しかしない彼女には、完全に不信感を抱き始めていました。

 前回の彼女との面談の数日後にとった次回の面談の予約は、キャンセルするメッセージを送ると、すぐに彼女から電話。彼女は、「早くしないと、割引ができなくなっちゃうわよ!」と保険の契約を急かすので、「口座のパスワードも送ってこないし、保険の方は二の次だから・・」と言いつつ、週末に約束を入れ直しました。その時点でもパスワードを送ってこない場合は、直に言おうと思って・・。

 結局、パスワードは、その約束の前日に送られてきて、さっそくサイトに入ろうとしたところが、エラー、翌日、ようやくサイトが見れて、前の銀行からの送金を確認できたのは、ギリギリのタイミングでした。

 約束の日に行くと、夕方、6時までに家に帰らなければならないというのに、延々、待たされ、しかも、待たせたことには、全くもってなんの挨拶もなく、開口一番、「見積もりをもう一つ出してみたんだけど・・」と彼女の頭の中には、保険のことしかない模様。

 私もスムーズに運ばない銀行の口座の移動に半ばイラついているところに保険の契約のことしか頭にない彼女にカチンときて、「私は、保険の契約ではなくて、銀行の口座のことで来てるのです。保険は、銀行の手続きが全て済んでからのこと!」と言ったら、まさかの逆ギレで、「この見積もりも週末の時間を割いて作ってきた!」とか、「前の銀行に出す手紙を作ってあげたでしょ!あんなこと、ほんとは自分ですることなのよ!」とか、「前の銀行が、顧客を取られて悔しいから、わざとグズグズしてるのよ!」とか、「だったら、高い保険を払い続ければいいでしょ!」などと興奮し始めました。

 私は、内心、久しぶりに会うな・・この手のフランス人・・と思いつつも、充分に気分が悪くなり、ここの保険には、決して入るまい!と決めたのでした。

 まず、やるべきことをきちんとやらないで、自分の要求だけをいかにも苦労して、人のためのようにやっているような言い方や、責任転嫁、終いには私の仕事ではないなどと主張するやり方はいかにもフランスにありがちな対応なのですが、少なくとも、こっちは、顧客。

 どんなに彼女が週末に見積もりを作ろうと(それも嘘っぽい)そんなことは、私の知ったことではありません。そもそも、保険の見積もりなど私が頼んだわけでもありません。

 結局、興奮する彼女に、こんなに面倒な人はごめんだと、「だったら、銀行の口座開設もやめるけど・・」と言ったら、大人しくなりました。

 しかし、久しぶりに気分の悪いことこの上ない人に会いました。

 フランスに来たばかりの頃は、こういう人に遭遇する機会がもっと頻繁だったのですが、それなりにこう言う人に対する交わし方も覚えたためか、ここのところ、あまりこういう人に会うことがなかったので、久々の気分の悪さでした。

 そういえば、こういう人・・女の人の方が多いかもしれません。

 その銀行の全ての人が彼女のようなわけではないと思うし、一旦、手続きが完了してしまえば、あとは、ネットで全て済むので彼女のお世話になることは、そうそうはないと思いますが、できれば、担当を変えてもらいたい! もしくは、まだ、開設できてない定期預金の口座は、他の銀行に変えようか?などと思い始めているのです。


<関連>

「実践よりも、まず、理論のフランスの教育」

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「フランスの銀行と日本の銀行」

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2021年2月28日日曜日

全く懲りないフランス人 ロックダウンを回避したい政府の気持ちは伝わらない

 

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  ニース・アルプ・マリティーム県(プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏)とダンケルク(オー・ド・フランス地域圏)では、今週末から週末のみのロックダウンが始まりました。

 平日の18時以降の夜間外出禁止に、週末のロックダウンが追加されて、完全なロックダウンにはならないまでも、この地域の人々は、かなり窮屈な生活を強いられることになりました。

 中には、「平日をロックダウンして、週末は、ロックダウンをやめろ!」なんて言っている人もいて、いかにもフランスな感じだと苦笑してしまいました。

 しかし、週末ロックダウンと正式に決まったこの地域は、さすがに人出もなく、しんとした感じでしたが、ロックダウンにはなっていないパリなどの週末は、晴天だったこともあって、うんざりするほどの人出でした。

 しかも、もうすでに昨年に多くの人出で問題になった同じ場所で、同じような人出には、この人たちは、全く学習能力がないのか?と思わせられます。

 まるで、この映像は、昨年のものを使っているのではないか?と錯覚するほどです。

 長いことフランスでは、レストランもカフェも閉鎖されているため、人が集まって、気持ちよく過ごす場所といえば・・セーヌ川沿い(セーヌ川は、パリを横断して流れているため、パリ中どこでも、セーヌ川沿いはすぐそこ・・)、サンマルタン運河、グランパレ近くの広場、あちこちに散らばっている公園などなど、晴天も手伝って、もの凄い人・人・人・・・。

 しかも、この期に及んで、マスクをしていない人が急増しています。


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 「マスクがどこでも義務化されて・・」などと、今頃、言っている人もいて、これまでも義務化されてただろうーが!!と突っ込みたくなります。

 先週は、もはやロックダウンか???と戦々恐々としていたはずの人々とは、とても思えません。しかし、この人出は、想像できなかったことでもなく、むしろ、多分、たくさんの人が外出するんだろうな・・とも思っていました。

 フランスは、ニースやダンケルク以外にも感染状態が深刻な場所は、たくさんあり、3月8日までの猶予付きで、とりあえずは、20の地域(イル・ド・フランス・パリももちろん含まれている)で取り締まりを強化すると発表されたばかり・・感染状態が悪化すれば、さらなる制限が加わり、ロックダウンになる可能性も高いのです。

 晴天の週末ともなれば、この人出も、この場所も、充分に想像の範囲内、取り締まりを強化するという発表は何だったのか? 理解に苦しみます。

 ワクチン問題にしても同じですが、どうにも政府の希望的観測と国民の意識には、大きな乖離があると思わずにはいられません。

 「喉元過ぎれば・・」と言いますが、喉元を過ぎたのは、ロックダウンの発表(しかも延期されただけ)だけで、現状の感染状況は、過ぎ去っていないどころか、現在も沸騰状態なのです。

 禁止されなければ良い・・のでは、禁止するしかない=ロックダウンするしかないのではないか?と思います。フランスは、これまでに86,332人が死亡しており(2月27日現在)、散々の惨状を経てきているのです。

 いくらなんでも、学習能力がなさすぎる!子供かよ!と腹立たしい気持ちです。

 まるで得体のしれないウィルスであった昨年の状態ならば、想像力の欠如とも言えたでしょうが、これだけの負の実績を記録してきた現在では、控えめに言って記憶力の欠如か学習能力の欠如。

 むしろ、「若者は大丈夫という間違った神話」やこれまで感染しなかった人や感染しても無症状だった人がウィルスを舐めくさっている分だけ、さらに始末が悪いかもしれません。

 経済、教育、心理的な負担を考えて、できる限りロックダウンしないと「ロックダウン回避」の方法を試行錯誤している政府の親心は、国民には全然、通じていないのです。

 むしろ、国民は、「来週から週末ロックダウンになるんだったら、今週末は出かけておこう」と、制限(ロックダウン)されることが前提の外出。

 ロックダウンを必死で回避しようとする政府とは、全く噛み合っていないのです。


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「コロナウィルス騒動の中のテロとバカンス気分のパリ・サンマルタン運河」

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「フェット・ド・ラ・ミュージックでまた、群衆 飲んで踊って大騒ぎのフランス人」

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「コロナウィルス・ロックダウン解除・初日のフランス パリ・サンマルタン運河は早くもアルコール禁止の措置」

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2021年2月27日土曜日

混乱状態のフランスのワクチン接種 コロナウィルスワクチン接種の申し込みをした!

   


 そろそろ、処方箋をもらって、いつも飲んでいる薬をもらっておかなければと、たまたま、私はかかりつけのお医者さんに予約をとっていました。

 もう今の家に引っ越して以来のかかりつけの女医さんなので、私の健康状態はもちろんのこと、体調の変化や我が家の歴史などを全て知っていてくれて、気心も知れているし、特に今、体調が悪くて行くわけでもないので、本当に気楽にちょっと彼女の顔を見に行くような気分でした。

 私の方もいつもお願いする薬は、リストを作っていて、血圧を測ったり、軽い診察をしてもらって、いつもどおりの処方箋をもらってくるだけのつもりでいました。

 「今日はどうしたの?」「いつもの薬の処方箋を書いてもらいに来ました」と彼女と話し始めて、彼女の目元を見ると、なんだか、老けた?いや、疲れているのかな?と思いました。

 軽い診察を受けながら、彼女は、「あなたは、いつも飲んでいる薬(血圧の薬や他数種類の薬)もあるし、ワクチン接種をしますか?」とおもむろにワクチン接種の話を始めました。

 まさか、医療従事者や高齢者優先だと聞いていたし、以前に私が、「もしかして、私は、リスクの高い人(ワクチンが優先的に受けられる)に入りますか?」と聞いた時に、「あなた程度の人はリスクの高い人には入らないわよ!」と言われていたので、私が今のフランスのワクチン接種が滞っている状況で、まさかワクチン接種の話が出るとは思ってもみませんでした。

 とにかく年明けから、ワクチン接種の遅れが大バッシングされて以来、フランス政府のワクチンへの焦りと必死さは伝わってくるものの、実際には全く、予定どおりには、進んで行かないために、どんどんワクチン接種のできる枠を広げ、終いには、オリヴィエ・ヴェラン保健相みずからがワクチン接種をしているところを報道してアピールしたりして、政府の記者会見の度に、何日までには、どれだけのワクチン接種をするとか、目標値ばかりをやたら掲げている印象がありました。

 しかし、身近なところから、聞こえてくるのは、「とにかく電話は繋がらない!」「予約サイトがダウンしてる!」「予約が取れない!」「予約が取れても、家から車がないと行けないものすごく遠いところ!」などなど、およそ政府の発表とは、全く異なるものだったので、だいぶ、混乱しているな・・私の順番が来るのは、多分、まだまだ先の話で、まあ夏頃になるのではないか?と、のんびりと構えていました。

 それが、2月の半ば頃になって、ワクチン接種の現場が回らなくなったためか、一般開業医でもワクチン接種が受けられることになったのです。もちろん、ワクチン接種をすることを受け入れている開業医に限った話ではあります。

 彼女(私がかかっているお医者さん)は、ワクチン接種をすることを受け入れて、実際に開始しようとしたところ、「一向にワクチンが届かない!」「手続きが何重にも往復するので時間がかかる!」といつもは、エレガントで冷静な彼女が見るからにやつれて、怒り心頭の様子。

 普段は、あまり感情を露わにするタイプではない彼女が「まったく、フランスはこれだからダメなのよ!」とイライラモード。

 私は、突然のワクチン接種の話に、「でも、医療従事者でも高齢者でもない私みたいなのが、ワクチン接種を受けてもいいのかしら? 私に権利あるの?」と聞くと、「あなたは、いつも飲んでいる薬もあるし、受け付けられると思う」「それに、ワクチンは1パックに10回分のワクチンが入っているから、それを時間内に使い切らないといけないから・・」と言うのです。

 なるほど、一般の開業医での接種となれば、ワクチン接種に来る人ばかりではないため、ある程度、人数をまとめて行う工夫もしなくてはならないのです。つまり、ワクチンを受け取った時にセキュリテソーシャルから許可が下りている10人のワクチン接種希望者を同じタイミングで集めなければならないのです。

 個人でやっている開業医には、その手続きや人とワクチンの調整だけでも結構な負担です。彼女は一般の診察を一人でやりながら、それをやらなければならず、届かないワクチンの問い合わせなどまでしなければならないのですから、テンパっているのも頷けます。

 「とにかく申し込みをしてから、ワクチンが来るまでは、もの凄く時間がかかるから、申し込みは、早くした方がいいわよ!」と、申し込みをするための問診を受ける予約を3月18日に入れて帰ってきました。

 この予約は、問診とともに開業医がデータを入力すると、セキュリテソーシャル(国民健康保険)がすぐに、この予約に対するコードを発行し、セキュリテソーシャルの許可が下りるとこのコードに対してワクチンが振り分けられてくるシステムになっているようです。

 このコードは、セキュリテソーシャルのナンバーとも連携しているため、その後のワクチン接種の有無の追跡(ワクチンパスポート)なども、そのコードによって、作られていくものと思われます。

 私は、急なワクチン接種の話にびっくりしていましたが、その日の夜になって、珍しく彼女から電話があり、「届くはずのワクチンが今日も届かなかったし、思っている以上に時間がかかるし、予約だけは入れられるから、明日、問診をするから、もう一度、来てくれる? 時間はかからないから・・」と彼女も少々、混乱している様子でした。

 あいにく、彼女が言う時間には、私は、すでに他の予定が入っていたため、彼女は昼休みの時間を割いてまで、少しでも早く予約を入れたかった模様。問診の内容は、簡単なもので、「薬に対して特にアレルギー反応を起こしたことがありますか?」とか、「過去、3ヶ月以内にコロナウィルスにかかりましたか?」程度のことで、後の私の体調に関するデータはすでに彼女の方が細かく記録しているので、本当に簡単で、私は、すぐにセキュリテソーシャルからのワクチン申し込みのコードを受け取りました。

 国の混乱状態から、思わぬことで、医療従事者でも高齢者でもない(若くもないけど)私が、ワクチン接種のウェイティングリストに乗ったわけです。

 ワクチン接種が開始されたのは、昨年の12月の初め、当初は、高齢者施設の老人から、高齢者へと予定が組まれていました。フランスには、当時、アンチワクチン論者の人も少なくなく、私自身もどうしようか?様子を見ながら考えようと思っていました。

 しかし、そろそろパンデミックから一年が経ち、フランスは、その間、何回も感染拡大をしては、ロックダウン、そして現在もまた、感染爆発が目前の状況。もういい加減、うんざりです。日本にだって行きたいし、友達と食事もしたいし、ビクビクしないで外出したい!

 実際に、リスクを考えるなら、ワクチン接種をしてアレルギー反応を起こす可能性よりもコロナウィルスに感染する可能性の方が遥かに高いのです。

 「もうワクチン接種をして、少しでも早く元の生活に戻りたい」というのが、私の正直な気持ちです。

 そして、ワクチン接種をするのだったら、その後にもしも具合が悪かったりしても、ワクチン接種をしてくれた彼女にすぐに相談できるのは、心強いこと、他の見ず知らずのセンター等でワクチンを受けるよりは、私にとっては、ありがたいのです。

 しかし、思いもよらず、予約を入れることができただけで、実際にいつできるのかは、まだわかりません。ワクチン接種ができたら、また報告します。

 フランス在住の方でワクチンの予約が取れない方は、地元の開業医に相談するのが意外な早道かもしれません。

 

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