2025年10月14日火曜日

サルコジ元大統領 10月21日パリ・ラ・サンテ刑務所へ収監決定

  


 サルコジ元大統領に懲役5年の実刑判決が下って約2週間、予定どおり、サルコジ元大統領は、国家財務検察庁(PNF)からの召喚状を受け取り、その日程と場所を告げられました。

 元大統領は、判決を不服として控訴したものの、仮執行猶予付きの拘禁命令により、収監されることになります。

 彼が収監されるパリ・ラ・サンテ刑務所は、パリ14区にあり、6年前に全面改装されて、2019年初頭に再開したばかりの比較的、新しい刑務所で、脆弱な立場にある人々の安全を確保するために隔離された「脆弱者区画(QPV)」があることで知られています。

 これまでにもピエール・パルマード、ベルナール・タピ、パトリック・バルカニーといった著名人も受けいれたことでも有名な場所でもあります。

 刑務官によれば、いかなる人物も優遇措置を受けることはないとのことではありますが、元国家元首ともなれば、刑務所側が優遇というよりも、中での争いごとを避けるための配慮が必用になることは言うまでもありません。

 とはいえ、彼は、他の受刑者と同様に、個人収監通知書、つまり比較的個人的な質問票への記入を求められました。内容は、「うつ病ですか?」、「監視すべき自殺の危険性はありますか?」、「治療や投薬が必用な依存症はありますか?」などの質問です。

 彼が入るのは、9平方メートルの個室。ベッド、ワードローブ、シャワーに加え、テレビと冷蔵庫も利用可能(利用料を支払った場合のみ)。他の受刑者と同様に、週3回の面会室と24時間利用可能な携帯電話の利用権が与えられますが、利用できる電話番号は裁判所が許可した番号に限られます。

 それでも、刑務所内で携帯もテレビも冷蔵庫も利用可能とは、驚きです。

 ただし、個室から出ることは元大統領という立場場、制限を受けるとのこと。このいわゆる社会的脆弱者区画では、1日に2回、専用の中庭に出て、他の受刑者と会うことなく独りで過ごすことができます。

 これは、携帯電話を持ち込んだ他の受刑者がサルコジ氏の動画を撮影したりするリスクを避けるためとしています。

 しかし、サルコジ元大統領は、収監後、ただちに彼の弁護団は、釈放を求める申し立てを請求することができるようで、審査は最大で2カ月以内に行われるというので、彼がノエルまでには、出られる可能性もあり得るという見方もあります。

 この申し立てに対して、70歳以上の高齢者は減刑の恩恵を受けられる可能性が高いともいわれているものの、これは、最終的な有罪判決が下された場合に限られます。しかし、サルコジ元大統領は、控訴しており、6ヶ月以内に再審が開かれる予定になっているため、この控訴がこの申し立てを遮るものになる可能性もあります。

 しかし、なんとかして、逃れるかと思っていましたが、とにかく一度は、お入りになることになりそうです。


二コラ・サルコジ元大統領 パリ・ラ・サンテ刑務所


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2025年10月13日月曜日

認知症ってそんなに急激に悪化してしまうものとは驚いた・・

  


 イタリア旅行中に、従姉妹にLINEで、脳天気にイタリアの美しい海や現地で食べた美味しいものの写真などを送っていたら、「バカンス満喫中に悪いんだけど、ママの体調が急激に弱って、ここ1週間くらいで急に歩けなくなってしまって、トイレにさえも一人で行けなくなってしまって、入院させたところで、バタバタしています・・」という返事が返ってきて、なんだか申し訳ない気持ちになってしまいました。

 実は、今回、娘がパリに来るときに、従姉妹には、一緒に来ない?などと、誘っていたのですが、「ママを長期間、2日以上、家に一人で置いてくることはできないから、ちょっと無理だな~」と言っていたのです。

 今年の夏頃から、叔母は、急激に弱り始め、その時も、従姉妹によると、「もうほとんど、一日中寝てばっかりいるの・・」と言っていたのですが、まだ、その頃は、食事は自分で取れるし、思い出したように起きてきて、食事する・・けど、トイレなどは、自分で行っている」という話だったのです。

 それが9月に入ってから、急激に弱ってしまって、とうとう一人で歩くことができなくなり、もう一日、何回もトイレに連れて行くだけでも大変になってしまって、そんな一週間が過ぎて、とうとう音を上げて、入院することになったのです。

 90を過ぎている叔母ですが、とても社交的な明るい性格で健康そのものの人でした。

 ところが、この入院によって、10日くらいの間にあっという間に認知機能が低下してしまったらしく、そのまま同じ病院に入院させておくことが不可能になり、介護施設探しに奔走した結果、ちょうど今月オープンしたばかりの施設に入ったばかりとのこと。

 ずっと家で介護してきた従姉妹にとっては、何よりも、このあまりに急激な母親の認知機能の低下が何よりもショックだったようで、「ほんとに、こんなに急激に悪くなっちゃうものなの?」とその事実が受け入れがたいことのようで、今まで、「どんなことがあっても家を動きたくない!死ぬまでこの家にいる!」と言っていた叔母も、もう自分がどこにいるのかも、ほとんどわかっていない様子だとのこと。

 最初に、歩けなくなってしまって病院に入院した時には、まだまだ自分で携帯で電話してきたり、持って行った差し入れを自分で食べていたりもしたようなのですが、1ヶ月の間に、もうすっかり、介護なしには無理な状況になってしまったらしいのです。

 まだ施設には入ったばかりらしいのですが、これがまた、費用が1ヶ月40万円程度かかるということで、大変そう・・。でも、もうお金には代えられないし・・とのことでしたが、当然のことながら、誰もがそんな金額を払えるわけではないし、やっぱり老後は大変なのだなと実感した・・一方、でも、お金持ちっているものだな・・まさに入ってくるご老人たちの身なりも全然、違うもん・・昨日、入ってきたおじいさんなんて、ハットにステッキ姿で現れた・・と感心していました。

 上には上がある高級介護施設ですが、これが区の特別養護介護施設だと、費用はだいたい半額以下・・だけど、2年待ちとかなのだそう・・。それは無理な話でしょう。

 従姉妹にとっては、この1ヶ月、激動の1ヶ月だったようですが、ずーっと母親と二人暮らしだった彼女には、新しい生活にまだまだ慣れなくて、別居生活をしていると思うようにしている・・と言いながらも、日々、母親のところに行っては、一生懸命、話しかけたり、面倒をみたりして、なんとか回復してくれないか・・と頑張っている模様。

 しかし、今の状況では叔母が自宅に戻ることは絶望的な感じで、それも辛くてたまらない様子でした。

 老いて、弱っていく家族の状況を受け入れることは辛いことです。


認知機能の急激な低下



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2025年10月12日日曜日

娘との旅行で・・・Googleってこんなに便利だったのね・・

  


 こんなこと、今さら書くのもデジタル世代の人にとったら、つまらない当然の話なのかもしれませんが、どうにもデジタル機器に苦手意識が拭いきれず、実際に、上手く使いこなせていない私にとっては、娘と旅行していて、彼女が自由自在にGoogleのあらゆる機能を見事に使いこなしている様子には、毎度のことながら、驚かされます。

 行く先々の地図は、もちろんのこと、オンタイムのあらゆる情報が入ってくるのは、今の旅行には、素晴らしく便利な機能です。

 今回のイタリア旅行では、車を借りて、移動したのですが、携帯を車のナビに繋いで、道にも一切、迷うことがなく、また、その時の渋滞の情報から、警察がどこで、検問をしているだとか、今、事故が起こったから、道を変更した方が良いですよ!とか、そんなオンタイムの情報が入ってくるので、すごいもんだと、驚くばかりです。

 娘に、「日本で運転するときも、Googleのお世話になっているの?」と聞くと、日本だと、Googleをナビにしている人は、ヨーロッパほど多くないから、利用者からの情報も少ないから、これほどの精度には、ならないのだとか・・。まあ、日本は日本で別のナビがいっぱいあるけどね・・とのこと・・なるほど・・です。

 ちょうど、高速道路を走っていたときに、大きな事故に遭遇し、ちょうど、渋滞がはじまりかけ?くらいのところで、その情報が入ってきたので、私たちは、横道に逸れたのですが、隣に見える高速は、全く動かない状態になっていて、皆、諦めて、車を降りて、歩いたりしていたりするのが見えました。

 10分ほど走ったところで、高速道路でかなりの大型トラックが横転しているのが見えて、すれ違いにチラッと見えただけですが、まだ、トラックの中の人を救出している最中で、炎天下の中、この渋滞にまともにハマってしまっていたら、大変なことになっただろう・・とゾッとする思いでした。

 また、行く先々でのレストラン探しも娘がGoogleで探してくれるのですが、このチョイスがこれまた素晴らしく、私など、同じ画面を見ても、一体、どのお店を選んだらいいのか全くわからないのですが、彼女の勘は天才的で、本人曰く、値段と点数とあとは、写真で選んでいるというのですが、今回の旅行も1つもハズレはありませんでした。

 イタリアなので、そうそうハズレはないと思うのですが、それにしても、差はあるわけで、あまりにたくさんあるレストランで、ちょっと繁華街を外れたような場所にあるお店でも、娘の選ぶお店は見事に賑わっていて、味も確かなのです。

 そうなってくると、もう海外旅行でも携帯は必須のアイテムなので、その代わりに地図というものを持つ必要もなく、ガイドブックですら、必用ないわけです。

 どおりでパリでもガイドブック片手に・・という旅行者もあまり見かけなくなったはず・・。私は、知らず知らずのうちに、なんだか取り残されている感がします。

 私は娘のおかげで、かろうじて、そんな時代の変化を垣間見てのっかることができていて、その恩恵にもあずかれているわけですが、同時になんとなく自分が情けない気もしてくるのでした。


Google Googlemap


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2025年10月11日土曜日

セバスチャン・ルコルニュ首相再任 大混乱中の政治・・フランスにしても、日本にしても・・

  


 フランスでは、昨年の欧州議会の選挙の右派が大勝を果たした頃から、政治の混乱は激しくなり始めました。これに危機感を感じて誰もが驚く突然の国民議会解散と総選挙で、マクロン大統領にとっては、さらに悪い状況に陥り、大統領の派閥が議会の過半数を失うどころか、第一党でさえもなくなってしまいました。

 それからというもの、首相が決まっては、ほぼほぼ、何もできないまま辞任・・ということが続き、昨年末も、今年度の予算案が決められないままに、年を越すという最悪の事態を迎え、それからも、また数人首相が交代し、現在は、次期首相の指名が誰になるのか?とずっとテレビなどでも、喧々囂々と激しい討論が続いています。

 日本にしても、自民党が国会での過半数を失って以来、外から見ていても、なんか、似たような状態だな・・と思っていますが、日本とフランスは政治の仕組みも違い、フランスは、首相といっても、大統領の下にいる立場。そして、その首相は、大統領が任命するというかたちなので、現在、もっぱら、非難の的になっているのは、マクロン大統領です。

 当面の差し迫った課題は、来年度の予算をまた年内に決められなくなること、そして、その予算案に際しての財政赤字をどうやって縮小していくか?何を削るのか?ということなのですが、インフレが進み、生活が苦しくなっている国民が悲鳴をあげているという意味ではフランスも日本も同じことです。

 一般市民というか、国民の立場からすれば、国の言われたとおりに高い税金をきちんと払い、まじめに働いて、生活しているというのに、お金が足りなくなったから、おまえたちの補償を減らすとか、先延ばしにするとか、さらには、余計に税金を徴収するとか・・横暴といえば、横暴なはなしです。

 これまで、赤字が累積されるまで、放っておいたのは、政治家で、ウクライナなどの他国には、気前よく大金を投じて、フランスの場合は、ド派手なオリンピックなどまでやっておいて、自分たちが使うお金を見直したらどうなんだ!と思うのも当然の話です。

 フランスに関して言えば、もう話はどんどんこじれていくようで、これがカップルとか、夫婦などだったら、しばらく距離をおいて、冷静に見直そう・・などと言うことになりそうな気もしますが、国の政治となれば、待ったなしです。

 少なくとも、年に何回にもなる首相交代劇で、政府が停止状態になるたびに、国の政治は中断状態。今回の首相交代劇に関しても、9月の初めに就任して、組閣が26日間も据え置き状態の挙句に組閣発表の直後に辞任。約1ヶ月間は、またフランスの政治はストップ状態です。

 先日の辞任するセバスチャン・ルコルニュ首相は、来週の月曜日が予算案を年末までに決める時間的リミットだと言っていましたが、これも絶望的な感じです。

 すったもんだの挙句に辞任したセバスチャン・ルコルニュ首相が首相に再任されたということで、また大論争が起こりそうです。


セバスチャン・ルコルニュ首相再任


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2025年10月10日金曜日

南イタリアのビーチの若者たちになんだかホッコリさせられた・・

  


 パリは9月の記録的な寒さを記録しているというのに、南イタリアは、9月下旬というのに、まだまだ泳げるくらいの気温で、当然、ビーチも真夏の賑わいほどではないにせよ、日中は、パラソルがないとちょっときついくらいの陽ざしで、けっこうな人が水着姿で子どもを遊ばせていたり、ビーチに寝転んで読書していたり・・とそれぞれが太陽の光と海を楽しんでいました。

 今回、私が訪れたプーリア地方・・イタリアの東側・・イタリアをブーツで例えるとちょうどかかとの部分にあたる地域で、私は、なんといっても美味しい食べ物(特に魚介類)はもちろんのこと、美しい海を見たい・・美しい海を眺めていたい・・と思っていました。

 このあたりの海岸線には、無数の美しいビーチがあって、車でちょっと走ると、次々とビーチがあって、本当に、このあたりだったら、ひとつずつビーチをめぐっても、相当な日数がかかると思われます。

 ビーチも場所によって、様々で、多くは砂浜のビーチなのですが、そのビーチの手前は、ちょっと珍しい感じの少し赤っぽい(オレンジっぽい)色の土が続いていて、ちょっとどこか、かつて、私がいたアフリカの土地(アフリカ・・私のいたアフリカはもっと赤っぽい土でしたが・・)を彷彿とさせる感じもありました。

 その赤土には、たくさんのオリーブの木が植わってて、これまで見たことのない種類の美しい景色でした。

 その無数にあると思われるビーチは、場所によって、差があるものの、そこそこ人がいて、人が少なめ(ハイシーズンにはいっぱいなんだろうけど・・)だな・・と思われる場所には、地元の人っぽい若者たちが、本当に日常の延長なんだろうな・・という感じに、遊びに来ているのも、なんか羨ましい光景でした。




 そのビーチには、海に沈む夕日が見たい・・ということで出かけたビーチだったのですが、地元の若者たちが戯れていて、サッカーボールを蹴っているかと思うと男女がビーチに並んで座って、何やら黙々と、それぞれが下を向いて、雑誌?とペンを持って、一生懸命にやています。

 そもそも私は、この暑い場所で読書したりするのもよくわからないのですが、ビーチでサングラスをして本を読んでいるという人はけっこう多いのです。しかし、そういうのは、どちらかといえば、年配の人が多くて、こんな若者たちがビーチで何をやっているんだろう?と、妙に目にとまったのです。

 よく見てみると、彼らは、「SUUDOKU」をやっているらしく、かなり熱中してやっています。しかも、それぞれが、小さな雑誌のような「SUUDOKU」本を持って・・。

 この「SUUDOKU」、10年くらいまえ?いや?もっと前かもしれない・・は、フランスでもけっこう流行っていた時期があって、メトロの中などで、よく、この「SUUDOKU」本を筆致にやっている人をよく見かけたものです。

 今は、携帯ばかりで、紙の本でさえも読んでいる人がずいぶん減ったし、久しぶりに見たな・・「SUUDOKU本」そんな感じでした。

 なんだか、ビーチでこの「SUUDOKU」に夢中になったり、ビーチでボールを蹴ったりして遊んでいる南イタリアの地元の若者たちに、妙にアナログな感じで、なんだか妙にホッコリさせられたのでした。

 なにもビーチでやらなくても・・とも思うのですが、逆に考えれば、彼らにとっては、ビーチがそんなに特別な場所ではないということで、とても羨ましい感じがしました。


SUUDOKU


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2025年10月9日木曜日

辞表提出済みのセバスチャン・ルコルニュ首相がインタビューで語ったこと

 

    

 史上最短記録を樹立したセバスチャン・ルコルニュ首相に対して、マクロン大統領からは、2日間の間に最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を課せられていました。

 この48時間の間、フランス国内は政界のみならず、世論も荒れに荒れ、各政党がここぞとばかりにマクロン大統領を攻め立て、もはや内閣というよりも、「大統領辞任」を求める声が強くなり、これまでマクロン大統領の腹心と言われていた人々からも、彼を否定するような発言が飛び出し、特にマクロン大統領を支持しているわけではない私でも、ちょっと見るに堪えない惨状となっていました。

 これまでも、「マクロンやめろ!」の声は、けっこう上がっていたのですが、今回ばかりは、なかなか真実味が増してきたような気がしたのも事実です。

 こんな混乱状態の中では、誰と誰が会ったとか、何を話したか?とか、憶測に過ぎない話なども、盛沢山に出没するわけで、全てを真に受けてはいけないと思っていましたが、そんな中、エリザベス・ボルヌ(元首相)が年金改革を一時停止にしてはどうか?というような発言をしたため、また、それが新しい火種になったりもしていました。

 年金改革案を49.3条(首相の権限において、採択せずに法案を通すこと)を発令して、大暴動まで起こして、通した年金改革です。「自分たちの身が危うくなれば、あんなに強引に押し通した年金改革でさえも、あっさり取り下げるのか?結局は、自分が可愛いだけじゃないか!」などの声もあがって、これがまた逆効果になったのです。

 そして、48時間が経過する間に、辞表を出しておいて、結局は続投するのではないか?とまで言われたセバスチャン・ルコルニュ首相は、夜のニュース番組で、この48時間と今後の展望を語りました。

 彼は、予定どおり、首相は辞任すると断言。今後48時間以内に次の首相が任命される予定であると発表しました。彼は今日までの48時間の間の各政党の党首との話し合いから、「複数の政党が共通予算案で合意する用意があると考えている」、「特に左派政党はフランスの安定と予算を望んでいるが、条件を付けている」、「とても困難な状況ではあるが、道はまだ開けている」と大統領に伝えたことを説明しました。

 首相は「党派的な思惑によって、政権構成は行き詰っている」と認め、ほんの14時間で終わった自分が行った組閣に関しては「いくつかの点を見落としていた」、「政権構成に関して一つ後悔があるとすれば、それは、次期大統領選への野心とは無関係なチームでなければならなかった」と告白しています。

 実際に、そう遠くはない2027年の大統領選挙が今回の政治的混乱に無関係ではないことは、今回の騒動を批判して声を挙げている政治家の面々を見ても思い当たる発言がけっこうあります。

 彼は、自分がもう首相を辞任しているということからか、どこかスッキリした顔つきでもありましたが、予算案は月曜日に提出されると話しています。

 しかし、その前の大問題は、48時間後に任命されるであろう首相が一体誰なのか?どの党派の人物なのか次第で、また、問題はぶり返されることは確実。

 また、マクロン大統領の陣営を置いたのでは、問題は繰り返され続けることは確実です。


セバスチャン・ルコルニュ首相


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2025年10月8日水曜日

新型コロナウィルス感染急増と新たな変異株「フランケンシュタイン」

  


 秋の深まりとともに、今年も新型コロナウィルスの感染者が増加する季節になってきたようです。9月の最終週のデータによると、この9月末の1週間の新規感染者数は、33,461人を記録しているそうです。

 これは人口10万人あたり50人の感染率です。

 このコロナウィルス感染の急増により、フランス国内の薬局では先週1週間で15万個の検査キットが売れに売れ、現在、セルフ検査キットが品不足に陥っているそうです。セルフ検査キットの中で最も売れているものは、子どもと高齢者用の検査キットとのこと。

 今回の新型コロナウィルス感染の急増には、「フランケンシュタイン」というニックネームを持つ新型変異株が大きく影響していると言われています。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、この新たな変異株は、9月初旬に記録された感染者の80%以上を占めていました。

 この新たな変異株の学名は「XFG」で「フランケンシュタイン」というのは、ニックネームのようなもので、2つのオミクロン亜変異株が融合したため、「フランケンシュタイン」と呼ばれています。

 つまり、2つの異なる変異株が融合して出来上がった変異種であることから、人間の身体の一部から作られた、あの有名な架空の生き物を彷彿とさせるハイブリッドウィルスということでこのニックネームがつけられたようです。

 このフランケンシュタインは、感染力が非常に強いものの、危険性は高くないと言われてますが、専門家によると、ここ数週間、高齢者施設で依然として感染拡大が確認されており、重症化による入院も増加しているということで、高齢者や化学療法を受けているガン患者、慢性的な肺、心臓、腎臓の感染症など健康上の問題を抱え、感染リスクが高い人は、一層の注意が必用だと警告しています。

 しかし、フランス公衆衛生局は、今回の新型コロナウィルス感染の流行は、ワクチン接種キャンペーンの開始を早めるほどではないという判断を下し、ワクチン接種キャンペーンは、従来の予定どおりの10月14日から、インフルエンザワクチン接種と併せて開始すると発表しています。

 一時は、少し具合が悪いと「もしかして?コロナ?」と不安に思ったものですが、そんなことはすっかり忘れていました。しかし、忘れた頃にやってくるコロナウィルスとインフルエンザ・・という感じになっています。

 キャンペーンが始まったら、ワクチン接種に行ってきます。


新型コロナウィルス感染急増 新型変異種フランケンシュタイン


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