2025年3月30日日曜日

朝食が好き 最期の晩餐は朝食がいいかもしれない・・

  


 最近のマイブームは朝食で、いわゆる朝食っぽい食事が自分は好きなんだな~と、あらためてそんなことを思っています。

 日本に行ったときに、温泉に行ったりしたときの、温泉旅館の和朝食などは、私にとっては、究極の朝食で、豪華な夕食は温泉の楽しみのひとつなのですが、さんざん食べ尽くした翌朝でも、ごきげんで食べられる朝食もその楽しみのひとつです。

 朝から、こんなにたくさん!と歓呼する旅館の和朝食はもちろんのこと、ふつうの家庭でも食べるような、ごはんとお味噌汁、納豆、お漬物、のり、たまご焼き(それに魚の干物などあったら、すごいですが・・)などの朝食も、海外にいれば、もの凄いご馳走です。

 以前、職場にいた同僚が子どもと日本に帰国していた際に、子どもが、実家のお母さまが用意してくださった、いわゆる、ごくごくふつうの和朝食に、「晩御飯みたいな朝ごはんだね!」と言ったという話には、当時も今も、大きく頷ける感じがしたものです。

 しかし、私は、トーストに簡単なサラダにコーヒーなどの朝食も、これもまた好きです。朝でなくとも食べたくなるような食事です。

 私はフランスでは、朝からお米のご飯を食べることは滅多にありませんが、いわゆる、朝ご飯みたいな晩御飯を食べるときは、とっても贅沢している気分です。

 私が子どもの頃は、父は、1日に一度はお米を食べないと気が済まない人だったので、たいてい父は朝からご飯とお味噌汁、焼き魚と納豆、あるいは、卵焼きなどとお漬物・・という食事で、朝、パンを食べるのは、お休みの日で、スープ(トマトとか、コーンとか、クラムチャウダーとか・・)とツナ缶とか、イワシのトマト煮とかを添えたサラダとトーストというのが定番でした。

 母に言わせれば、パンだと手間がかかるから・・ということでしたが、なるほど、今、思い返せば、今の時代ならともかく、私の子どもの頃ですから、スープといっても、大皿にスプーンで飲むようなスープで、今でもあの頃の食卓が思い浮かびますが、母も大変だったろうな・・と思います。

 今の私がパンにサラダにコーヒー・・なんていう簡単な感じではありませんでしたが、それでも、今、思い起こせば、私が自分で作っているサラダ用のドレッシングは、あの頃、母が作ってくれていたドレッシングと同じ味だと思います。

 そして、これは、今となっては、ほんと、滅多に食べないけど好きなのは、イギリスの朝食で、これは、私がイギリスに留学していた頃、ほんのわずかな期間、ホームステイしていた家庭で出してくれた、いわゆるイングリッシュブレクファストで、薄切りのパンをトーストしたものに、ベイクドビーンズ、焼いたトマト、ソーセージの朝食で、たまにM&S(マークスアンドスペンサー)に行ったりすると、このベイクドビーンズの缶詰を買ってみたりすることもあります。

 当時、最初にこの朝食を見た時は、「なにこれ?朝から、グチョグチョな豆・・」とゲッソリしたのを覚えていますが、その家庭で出してくれる料理の中では、朝食が一番マシ(失礼!)で、それも、ごくごく短期間だったので、今では懐かしい・・私にとっては、なんとなく郷愁を感じる朝食でもあります。

 おかしなことに、なんと一番長く生活しているフランスでは、フランスらしい朝食というものは、あんまり食べずに来たのですが、夫は、よく縦半分に切って、ちょっとトーストしたバゲットにバターなどを塗って、コーヒー(カフェオレ)に浸して食べていたので、これがフランス人の食べ方なのね・・と、一緒にそんな食事をしていたこともありました。

 夫が生きていた頃は、私は日曜日も仕事のことが多かったので、滅多にチャンスがありませんでしたが、ゆったりした日曜日の朝には、夫が「クロワッサンとか、パンオショコラ買ってこようか?」と、ものすごく素敵な提案をしてるアピールをしてくれていたことがあったので、夫にとっては、平日はバゲットにカフェオレ、お休みの朝食はクロワッサン・・そんな朝食が理想だったのかもしれません。

 いずれにせよ、今は朝食を抜いてしまったりすることも多いのですが、朝食を朝、食べないだけで、昼に食べたり、夜に食べたりしていて、あらためて、私は朝食というものが好きなんだな・・などと思っています。

 よく最後の晩餐というか、人生の最期に何が食べたい?なんていうことを言うことがありますが、私は、和食にせよ、洋食にせよ、簡単な「朝食」が最期に食べたい食事かもしれません。


朝食


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2025年3月29日土曜日

久々のギャラリーラファイエット・グルメには、ピエール・エルメのパワーを感じた!

  


 久しぶりにギャラリーラファイエット・グルメに寄ってみたら、パック(イースター)を前に、チョコレートの彫刻のようなものが、あちこちに出ていました。

 なにかにつけて、チョコレートを別のカタチで売る感じは、毎度のことですが、イースターともなると、イースターエッグのたまごの形のチョコレートやにわとりの形のチョコレート、また、うさぎや、その他の小動物の形のチョコレートだったり、まさに手を変え、品を変えという感じです。

 ギャラリーラファイエット・グルメの地上階は、正面入り口を入ると、まず、スイーツのお店がウワッと目に飛び込んでくるのですが、入口、正面を陣取っているのは、ピエール・エルメ、入口を入って右手は、長いことダロワイヨが入っていたのですが、とうとう、その座(ダロワイヨが長年陣取っていた場所)は他のお店に入れ替わっていました。

 そして、入口を入ってすぐの左側のスペースは、だいたい今、注目のパティスリーだったり、ブーランジェリーだったり、アイスクリーム屋さんだったりが、期間限定で入っています。

 その期間限定のスペースには、現在、「ピエール・エルメ」のチョコレートが陣取っていて、その正面には、常設の「ピエール・エルメ」のスイーツ(マカロンやケーキ類など)があり、入口付近の大部分を「ピエール・エルメ」が占めています。

 この「ピエール・エルメ」の存在感というか、パワーというか・・そんなものをひしひしと感じます。



 この期間限定のスペースは、ショコラティエとしての「ピエール・エルメ」のスペースで、これまた、「サロン・ド・ショコラ」??と思うような、大きなオブジェのような芸術作品というか、一見すると、なんだかよくわからない(失礼!)芸術作品のようなチョコレート。

 これまで、どちらかというと、マカロンで有名になったといってもよいピエール・エルメ・・実はショコラティエでもあります。


 それが、ピエール・エルメといえば、かなりのお値段なのは、間違いないのですが、ちょっとだけ覗いて見ると、すかさずお姉さんがやってきて、「今、これを買うと、このタブレット(板チョコ)がついてきます!」と、商売っ気もバッチリです。

 大きなチョコレートは、正面のものは、どうやら売り物ではないようですが、両隣は79ユーロ、39ユーロとわかるようなわからないようなお値段でした。

 その他のブーランジェリーやスイーツなどのお店は、Nicolas Pciello(二コラ・パシエロ)のお店が新登場していたくらい?でここ最近で大きな変化はありません。



 それにしても、老舗的存在だったダロワイヨが消えたのは、けっこう驚きで、長いこと、ダロワイヨって、もう、あんまり流行ってないのにな・・と思ってはいたものの、実際に姿を消してしまえば、それはそれで、ちょっと寂しいような気もします。

 ダロワイヨの代わりのスペースを勝ち取ったのは、CYRIL LIGNAC(シリル・リニャック)という、昨年、期間限定のスペースに登場していたパティスリーです。

 本店にも行ってみたことがありますが、とてもキラキラで、私などは、少々居心地の悪い感じがしたくらいです。

 


 今回、可愛い小動物のチョコレートなども並んでいましたが、このパリのスイーツ業界もなかなか競争が激しいようです。

 とはいえ、一応、ラファイエットグルメに出店できているということは、それぞれの店舗にとって、一定のステータスでもあります。

 その中でも、これだけの存在感を示している「ピエール・エルメ」をあらためて、恐るべし・・と感じたのでした。

 スイーツの世界は甘くないのかも・・。


ギャラリーラファイエット・グルメ ピエール・エルメ


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2025年3月28日金曜日

最近、見つけたパリの美味しいケバブ屋さん GEMUSE berliner kebap Paris

 

 

 日本に一時帰国していて、帰仏して以来、しばらくはフランスの食べ物に食指が動かなくなっていて、その後、検査のために入院したり、その後の対応などもあったりして、とんと、外食や美味しいものへの探求心が損なわれていました。

 先日、たまたま夜のニュース番組を見ていたら、最近(今に始まったことではないと思いますが・・)、ケバブが人気を増している・・というニュースをやっていて、ケバブ屋さんに行列ができている様子を流していました。

 その番組の中でチラッと写っていたケバブ屋さんがちょっと気になって、「ケバブくらいだったら、行ってみようかな?」とふと思い立ち、行ってみました。

 とはいえ、以前にとても美味しいケバブ屋さんを見つけて、感動してしまっていたので、あのケバブを越えるケバブは、なかなか難しいかも・・?と、あまり期待はせずにいたのです。



 行ってみると、やっぱり、行列ができていて、周囲のレストランなどが、ガラガラだったり、昼時にもかかわらず、そこまで混んでいないことに、他のお店がちょっと気の毒に感じたくらいです。

 混んでいるといっても、テイクアウトがほとんどで、小さいお店には、イートインのスペースはなく、外に簡単なテーブルとベンチが2セットあるのですが、ほとんどの人が持ち帰るようでした。


 小さなお店は、人気店ならば、もうちょっと小綺麗にしてもいいんじゃない?と思うほどの外観ではありますが、無駄がなく、店内では、5人の男性が忙しそうに働いていて、1人が注文を受けて会計、もう一人は、サンドイッチを作りながら、お客さんに渡していく人、他の3人は中で調理を担当しています。

 メニューは多くないのですが、恐らく最も人気なのはクラッシックというケバブです。ここのお店のケバブは、鶏肉であり、ともにパンに挟まれている野菜の種類がとても多くギッシリなのが特徴です。



 通常ならば、ケバブといえば、子羊肉だったり、牛肉だったりするのですが、ここのお店は鶏肉。マリネされた鶏肉がケバブ用の大串で焼かれていて、それを削ぎ落していきます。

 とにかく、ものすごく回転が速いので、行列ができていても、そこまで長時間待つことはありません。

 スパイシー(といっても、辛いわけではなく、色々なスパイスがミックスされている感じ)な鶏肉がたくさんの種類の野菜に挟まれているのですが、この野菜もグリル野菜(パプリカ、人参、ズッキーニ、ナス、ジャガイモなどなど)と生野菜(レタス、トマト、きゅうり、レッドオニオン、パセリ、マリネされた赤キャベツなどなどが層になっており、その上から、ちょっとフィタみたいな感じの生タイプのフレッシュチーズがパラパラとかかっており、好みのソース(ブランシュ、ガーリック、アルジェリアン、サムライ、アリサルージュ(辛)、アリサグリーン(辛)など)の中から選んでかけてくれます。

 パンは、その日の朝に焼かれたものというトルコのピデパン(ゴマつき)と薄めに焼かれたピタパンのようなパンでロールするタイプがあります。私は、このピデパンを選びましたが、この焼き具合が最高で、7㎜ほどの厚さのパンの外側がカリッとサクッとしており、中は、具材の旨味をしみ込んでくれる役割を果たしてくれているフワッとした部分で構成されています。

 前回のケバブでいたく感動したので、あれ以上の感動は難しいと思っていたのですが、今回は、鶏肉(前回のお店は牛肉)、そして、挟まれている野菜の種類はおそらく今回のお店の方が種類が多いうえに、グリル野菜、そしてグリルされたスパイシーな鶏肉、そして爽やかな生野菜が見事に調和しています。

 つまり、再び感動しました!


 メニューには、今回、私が選んだ Classique(クラッシック)のほかに、ベジタリアンと「Halloumi」(ハルーミ)というメニューがあり、これには、鶏肉の代わりにグリルしたハルーミチーズ(キプロスのチーズ・熱に溶けにくく焼いて食べられるのが特徴)が使われているものがあって、これは、そのうち、絶対に試してみたいメニューです。

 その他、フライドポテトやドリンク類などは、別売りか、セットメニューにもなっていますが、とにかくサンドイッチだけで、すごくボリュームがあります。

 これは、絶対、すぐに食べた方が美味しいと思って、外のベンチとテーブルの一画を陣取って、さっそく、ひとくち・・がぶっと行ったところで、思わず目を大きく開けてしまう感じ・・伝わるでしょうか? そして、今、感じたことを確認するかのごとく、もうひとくち、もうひとくち・・と進みながら、うん!うん!とニッコリ顔になりながら納得していく感じ・・ちょっと味見のつもりが、止まらなくなりそうでした。


 スパイシーなチキンに「これは、どんなスパイスがミックスされているのだろう? 他には、あんまりないかも・・」とか思いながら、一方では、パンのごくごく表面のサクッとした感じに感動したり、グリル野菜の多様さに、えっ?こんなに?これも?と思ったり、また、その下に敷かれている生野菜のシャリッとした食感や爽やかさ・・これもいいなぁ~と思ったり、一瞬のうちに、あれこれと頭が回転した感じがしました。

 半分くらい食べたところで、あとは、家に持って帰って、ゆっくり食べよう!と思って、持ち帰ったのですが、歩き出すと、もうかなりお腹がいっぱいで、これ・・ずっと食べ続けていたら、本当はお腹がいっぱいになっているのに、全然、楽勝で食べきってしまっただろうな・・と思いました。

  気になるお値段ですが、お店のサイト上では8ユーロとなっていましたが、値上げしたようで、8.5ユーロになっていました。セットメニュー(ケバブ+フライドポテトまたはデザート+ドリンク)だと、12ユーロ~のようです。

 帰りにいくつかのケバブ屋さん(パリにふつうによくあるタイプ)を覗いて見たら、だいたい8.5ユーロというお店が多いようだったので、それだったら、このクォリティーでこのお値段、なるほど行列はだてにできるものではない・・みんな正直、良く知っているもんだ・・と感心した次第です。

 前回、ご紹介したケバブ屋さんと、双肩する感じの感動でした。あっちは牛肉、こっちは鶏肉、また野菜のミックスの仕方も微妙に違いますが、どちらもかなりのものです。

 鶏肉の分だけ、ちょっとはヘルシーかも?と思ったりもするのですが、どちらも捨てがたい逸品です。

 パリで10ユーロ以内で食事をすることはなかなか簡単ではありませんが、探せば美味しいものは、あるものです。

 機会があったら、ぜひ、お試しください。


🌟GEMUSE berliner kebap Paris  61 Rue Ramey 75018 Paris 日曜休

パリのケバブ


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2025年3月27日木曜日

2025年6月から偽造病気休暇証明書に対応するための新しい病気休暇証明書

  


 CNAM(Caisse Nationale d’Assurance Maladie)(国民健康保険基金)が発表した年次報告書によれば、病気休暇補償の費用が過去1年で2倍以上に増加しており、2023年の1,700万ユーロと比較して、2024年には、4,200万ユーロとなっており、この大きな原因になっているのが偽造病気休暇証明書が激増してることを挙げています。

 この報告によれば、現在、偽造病気休暇証明書はWebサイトで販売されているそうで、しかも、同様のサイトは増加傾向にあり、この偽造された証明書が横行しているのだそうです。ル・パリジャン紙によれば、現在、この偽造証明書はTelegram、Snapchat、TikTokなどのサイトで20ユーロで販売されており、注文すれば、1時間以内に配送されると報じています。

 通常は、この病気休暇証明書があれば、病欠の期間開始の3日後からの支払いになるので、ちょっと風邪をひいて1日~2日休んだ・・などの場合は、意味がないので、どちらかといえば、長期間の病気休暇に対する補償になります。

 この病気休暇証明書を提出すると、少なくとも1日あたり半額の給与が補償されるので、長期間にわたる休暇の場合は、少なくありません。

 このため、国民健康保険基金は、2025年6月からは、紙幣のような透かし模様、特殊紙、ホログラフィックラベル、磁気インク、処方医の識別機能等を用いた証明書に切り替えると発表しています。まったく、病気休暇証明書にまで紙幣なみの細工をしなければならないとは、嘆かわしいことです。

 今や、ネットで何でも注文できる時代。でも、まさか、こんなものまで売っていたとは、正直、驚きで、また、こういうものがあるとなると、あっという間に拡散されて、売れてしまうという驚くべき時代。

 この病気休暇証明書は、子どもの病気の際にも親が書いてもらうことができるありがたいもの(ただし、子どもの病気の付き添いの場合は限度があり、年間〇日までと決められている)ですが、私などは、どうにも日本人っぽいというか、この突然、休んだり、長期間、バカンスでもないのに、病気休暇を取るということにとても、抵抗があり、職場に迷惑をかけたくないという方が先にたってしまうため、一度、職場で、階段を踏み外して怪我をして、その結果、足に血栓ができたとかで、無理矢理、ドクターストップをためらい、病気休暇を断ろうとした私は、医者から「あなた、死にたいの?」とまで脅され、しぶしぶ1ヶ月半近く休んだことがありました。

 あの時は、職場での怪我だったので、単なる病欠ではなく、労災扱いになったので、100%給与分は補償されたのですが、私としては、申し訳ない気持ちで、いっぱいでした。

 今、思えば(現在、かなりフランス人マインドになりつつある)、当然の権利なんだから、大きな顔して休んでいれば、よかったとも思うのですが、わざわざ、この病気休暇証明書を購入してまで、休む人が多いとは、やはりフランスです。

 とはいえ、これは、れっきとした違法行為で罰金や懲役刑なども発生することもあります。


偽造病気休暇証明書


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2025年3月26日水曜日

統一教会解散命令 フランスでの統一教会についての報道は安倍元首相襲撃事件とセット

  


 統一教会はフランスでは、Secte Moon(セクト・ムーン)と呼ばれていますが、先日の「日本の司法が統一教会に解散命令を出した」というニュースは、フランスでも、もっと大々的に扱われるかと思ったら、新聞各紙は一応報道しているものの、ほんとに「まあ、一応・・」といった感じで、あんまり大きくは扱われていません。

 そもそも、フランスでは、皆無とまではいかないまでも、そこまで浸透していないというか、反セクト法のおかげで、日本ほどの悲惨な被害が出ていないこともあって、あまり知名度はないかもしれません。

 統一教会といえば、最近で、最もその名を知らしめたのは、安倍首相がこのセクトを応援していたことにより、一家が崩壊してしまった家族の一員がその恨みを持って、公衆の面前で銃撃?したという事件によるもので、今回も統一教会解散の報道は、この「安倍元首相銃撃事件をきっかけに、統一教会は解散になった・・」というような説明の仕方です。

 まあ、この暗殺事件がなければ、未だに解散命令という運びにはなっていなかったかもしれないので、この暗殺事件がきっかけになったことは、事実だと思うのですが、私個人としては、「反セクト法」を制定しているフランスとしては、統一教会がこの「反セクト法」にばっちりひっかかる宗教団体であることが認められたために、解散命令が出たのだということ・・そして、フランスには、この「反セクト法」があるから、日本のように甚大な被害に拡大することがなかったんだよ・・ということを、しっかり説明してほしかったと思いました。

 まあ、あまり知名度のない団体に関しては、あまりニュースバリューもないのかもしれないので仕方ありません。

 ただ、ここのところ、あれから30年・・という話がよく出てくる気がするので、ついつい言いたくなるのですが、オウムの地下鉄サリン事件以降、それをきっかけにして、参考にして、議論されたセクト(新興宗教)についての問題に対応して、数年後に「反セクト法」を制定したフランスと違って、日本では、オウム真理教には、解散命令は出たものの、その他の新興宗教に関しては、特別な対応を取らずに放置した結果、被害者は増え続けてしまったのです。

 今回、ようやく解散命令が出たといっても、まだまだ実際に解散に至るのは、先のことでしょうが、まず、ようやく遠くに光が見えたというところかもしれません。

 ただし、信仰というものは、そう生易しいものではないはずなので、このおかしな資金の集め方や勧誘の仕方、政治とのかかわりなどとは、また別。

 そのうえ、あまりに長い年月が経過しているために、この信仰のもとに家族を育んで、育ってきた子どもたちも、もう大人になっているような複雑な問題(宗教2世の問題)になっています。

 信仰は尊重されるはずのものなので、この解散命令と信仰の心の問題は、同時にしっかりと対応し続けなければならない問題でもあります。

 そういう意味でも、この宗教がらみの問題は、他の詐欺事件などとはまた、別の意味でより罪深いものであったと思わざるを得ないのです。

 実態は、解散命令が出されるような団体に政治家がかかわり、相互に利用しあっていたことは本当に許されざることで、統一教会だけ成敗するのでは片手落ち、それを利用していた政治家も成敗してもらいたい気持ちです。


統一教会解散命令


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2025年3月25日火曜日

SNCF(フランス国鉄)管制官 4月17日から6月2日までのストライキを警告

  


 SNCF(フランス国鉄)のストライキと聞いて、なんだか久しぶりな気がすると思いましたが、ストライキが行われなかったのは、ここ数ヶ月だけのことだそうです。

 それくらい、ストライキは頻繁にあること(特にSNCFやRATP(パリ交通公団)等の公共交通機関)なのですが、大概は、多くの人々がバカンスに出かけようとするタイミングで行われることが多いです。

 それこそ、ストライキをやるからには、もっともインパクトがあるタイミングを狙うのは、当然といえば、当然なのですが、今回は、4月、5月の週末と祭日ということで、この中には、パック(イースター)のバカンスの期間が入っています。

 日本でいえば、ゴールデンウィークの時期ですが、フランスは日本のようには連休とはなりませんが、祭日の多い月でもあり、いわゆるフランス人のいうところのPONT(ポン)をして(橋をかけるという言い方をする)、祭日と週末の間に橋をかけて休みを取って、ちょっとしたプチバカンスにしてしまうというやり方をする人も多く、とかくお休みが多い時期でもあります。

 今回、SNCF SUD(南) RAIL 労働組合は、4月17日から6月2日までの春休みの期間と5月の週末、祝日にストライキを行うと警告しています。

 彼らの要求は、賃金増額、労働ボーナス(最低100ユーロの増額)、および、「労働時間の尊重」を訴えていますが、彼らの代表によれば、「交渉はすでに開始されており、経営陣にはもう数週間にもわたり、訴え続けているにもかかわらず、彼らは私たちの訴えに耳を傾けず、要求には応じていない」、「我々は、痛いところを強く打つつもりだ!」と戦闘態勢を見せています。

 これに対して、経営陣は、比較的、現状では楽観的な態度を見せており、「すべてのストライキの警告が実行されるわけではない」としているものの、実は、今回のストライキの根源は、すでに2022年年末にストライキに動員されていた監査役の集団だそうで、時間を積み重ねている分、問題は根深く、訴えの根強さが感じがします。

 どちらにしても、私は、このストライキが嫌で、これまで子どものバカンス期間中にSNCFを利用する旅行というものをほとんどしたことがなく、ただでさえ、値段が高く、混雑し、スケジュールもずらしにくいタイミングでこのストライキに遭遇したら、わざわざ、大金を支払って、疲れに行くようなもの。たとえ、返金してくれるとしても、その手続きなどには、予約よりもずっと手間暇がかかり、戻ってくるまで、嫌な気分がずっと続くことになるのです。

 このため、子どもとバカンス期間には、その多くはコロニー(様々なアクティビティの合宿のようなもの)や、そうでなければ、飛行機でヨーロッパの近場の国に行くことが多かったです。

 子どものバカンス期間にバカンスに行かなくてもよくなった今は、個人で旅行などを計画する際には、このバカンス期間は極力避けるようにしています。

 

SNCFストライキ


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2025年3月24日月曜日

地下鉄サリン事件から30年 フランスの反セクト法

  


 日本で1995年3月20日に起こった地下鉄サリン事件から30年ということで、日本では、あの事件を忘れてはいけない、風化させてはいけない・・と振り返る番組や報道がなされていたようですが、フランスでもこの事件を振り返る報道が出ています。

「サリン」という、当時はあまり耳慣れなかった化学物質をあの東京の霞が関を中心とした地下鉄内の数ヶ所で散布されるという驚愕の事件は、平和で治安の良いはずの日本だからこそ、余計に海外諸国には、衝撃的だったと思います。

 当時、私は、まだ日本にいたので、その当時のフランスがどの程度、騒いで報道していたのかは、わかりませんが、30年経った現在でも、それを振り返る報道がなされている(しかも、写真が何枚も使われているけっこう長い記事)ということは、当時はそれなりの衝撃的なニュースだったことと思われます。

 私は、この恐ろしい宗教が拡大していった「新宗教ブーム」のようなもののすぐ隣にいた世代だったので、今とは、全く違うバブルに浮かれた人々が大勢いる中で、それに疑問を感じていた人々などが、宗教に意味や希望を繋ごうとした気持ちもわからないでもなく、未だにキッチリ解明されていないこの事件、事象には、興味を持ち続けています。

 当時、私は通信社にいたため、ニュースの一部始終を目にしていたし、今は亡きフランス人の夫も、当日、たまたま霞が関駅近辺にいて、何が起こったのか?野次馬で見に行こうとして警察に必死に止められたと言っていたので、なんだか全く他人事な気がしないのです。

 今回のフランスの記事では、当時の事件の概要を説明し、13人の犠牲者(2020年には14人目の犠牲者)と5,800人以上の負傷者が出て、負傷者の多くは後遺症に苦しんでいることを伝え、負傷者たちが「政府がこの事件の負傷者の後遺症の医療支援にもっと積極的に取り組んでほしい」と訴えていると伝えています。

 個人的には、安倍元総理暗殺事件の時に問題視された「統一教会問題」が浮上した際に書いた記事が最近、またけっこう読まれていたりするのを知って、そういえば、フランスがこの地下鉄サリン事件から得た教訓をきっかけに「反セクト法」に本格的に着手し始めるきっかけになったのがこの地下鉄サリン事件だったのだということを思い出しました。 

 この事件を機に反セクト法制定に着手し始めたフランスは6年後の2001年6月には、しっかり「反セクト法」を制定し、「宗教の自由は奪わずに、国民の精神の自由を守る」とし、「精神の不安定を導く行為」、「法外な金銭要求」、「本来の環境からの隔離」、「公権力への浸透の企て」などを禁止し、これに該当する団体(宗教に関わらず)に対しては、裁判所が団体解散権を持つようになっています。

 よって、統一教会は未だにフランスにも存在していますが、日本のような問題には、至らなかったと言われています。

 このフランスの「反セクト法」のきっかけとなったのが、オウム真理教の「地下鉄サリン事件」だったのですが、今回の「地下鉄サリン事件から30年を振り返る」記事では、フランスでも、そこまでは触れていないものがほとんどです。

 日本でも、「地下鉄サリン事件から30年 この事件を風化させてはいけない」などの記事が散見されますが、実は、何も解決していないままであることこそ忘れてはいけないのです。

 オウム真理教は、以前のような規模ではありませんが、名前を変えて、未だ存在しているし、解決しないどころか、未だに統一教会と関わっているであろう政治家が多数存在しているのは、本当に信じられないことです。


フランス  反セクト法


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