2024年12月26日木曜日

クリスマスイブの衝撃のTGV運転手の飛び込み事故

  


 クリスマスイブの夜、パリ発リヨン行きのTGVが急停車。これは、TGVの自動安全装置のために停車したもので、すぐには、原因はわからなかった模様です。この遅延により、この方向のTGVの運行に大きな混乱が起こり、最大5時間の遅延で4,000人に影響したということです。

 この自動安全装置が作動したのは、運転手が運転席から一定時間以上離れた場合、具体的には、ドライバーは定期的に足でペダルを踏むか、コンタクタを交互に押すことが求められているためで(30秒ごとに圧力を解放しなかったり、5秒ごとにコンタクタを押さなかったりするととても大きな警報が運転室内に鳴り響き、運転手に警告を発するようになっている)、通常ならば、この運転室内の警報装置により、運転手は、この求められている一連の動きを3秒以内に再確認することになっているのですが、この日の場合は、そのまま、自動的に牽引が停止され、同時に非常自動ブレーキ装置が作動したのです。

 このTGVは、このようにして、急停止したのですが、当初はその理由がわからず、停車後の確認作業の間に運転手がTGVが最高速で走行中に電車から飛び降りて、自らの命を絶っていたことが発覚しました。

 TGV走行中は一般乗客には、ドアを開けることはできませんが、運転手は自らドアを開ける術を持っており、彼は運転席から一番近いドアを自分で開けて、飛びおりています。

 非常自動ブレーキ装置によりTGVが急停止したとはいえ、ブレーキがかかってから、すぐに止まったわけではなく、しばらく停車するまでに時間がかかり、運転手が飛びおりてからもしばらく走っているために、TGVの停車したポイントには、飛び降りた運転手の姿はなかったのです。

 自ら命を絶った運転手は52歳の男性だということだけで、この行動をとった原因は、明らかになってはいません。

 それにしても、クリスマスイブという日の夜にTGVの運転手として、最も衝撃的な方法をとって自らの命を絶ったということは、彼の家族はもちろんのこと、彼の周囲の人々にも深い傷を残すことになったと思います。

 SNCF(フランス国鉄)は、この運転手の家族に深い追悼の意を表するとともに、このような事態が起こっても、乗客を危険に晒すことは、全くなかったと、自動緊急停止装置が正常に稼働したことを説明しながらTGVの安全性を必死で訴えています。

 午後7時半頃起こったこの事故により、ストップしたTGVの交通網が正常状態に戻ったのは、翌日午前1時過ぎであったとのこと。

 クリスマスイブを家族と過ごすために家路に急いでいたであろう乗客は、とんだクリスマスイブになってしまい、このクラスの遅延だったら、怒り心頭になるとも思うのですが、この原因を知った時、怒りきれない気持ちになりそうです。

 

クリスマスイブ TGV運転手飛び込み


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2024年12月25日水曜日

ノエルにはブッシュ・ド・ノエルがやっぱり圧倒的に人気らしい

  


 年末年始にかけて、食い倒れ感が満載のフランスですが、ノエルは家族で過ごす人が多く大晦日から年始にかけては、友人たちと・・というのが一般的なようです。

 特に家族の集まるノエル・クリスマスの食卓には、各家庭のそれぞれがメニューには、それなりに頭を悩ませるのですが、やっぱり定番は、フォアグラ、スモークサーモン、生牡蠣などのシーフードプレート、シャポン(去勢鶏)などやジゴー・ダニョ(子羊の骨付きもも肉)などの肉料理、そして、デザートの定番はなんといってもブッシュ・ド・ノエルと呼ばれる丸太型のケーキです。

 今は、食べ物にも季節感が消え失せつつあり、いつでも何でも買えますが、このブッシュ・ド・ノエル(とガレット・デ・ロワ)だけは、一年のうち、この季節だけです。

 このノエルシーズンのブッシュ・ド・ノエルのためにパティスリーは1ヶ月ほど前から準備をして、人気のお店では、冷凍保存しておいて、直前に、ほんのわずかな最後のデコレーションだけして、店頭に並べるという興ざめな話をこの間、テレビでやっていましたが、パティスリーでは、なんと1年のうちの25%の売り上げはこのノエルの季節で売り上げるということなので、全く、エライもんだ!と思います。



 そういえば、ここ1ヶ月くらいは、前夜祭とでもいうべくブッシュがパティスリーに並び始め、ギリギリまでは、わりと小さめのブッシュ(個々)が多く、ピエール・エルメを覗いて見たら、可愛らしくも美しいブッシュが店頭にならんでいて、なんだか上手くデコレーションしているのですが、よくよく見ると、「ちっちゃい!」そして、1個10ユーロ(約1,600円)という値段を見て思わず目を見開いてしまい、思わず「たかっ!」と二度見してしまいました。1ホールではないのです。ちっちゃな一人用のブッシュです。

 それでも、ラファイエットグルメなどだとこれが飛ぶように売れていました。

 私は、あまり、ブッシュには思い入れがないために、常日頃から目をつけていたケーキなどをちょっとずつ(正確に言えば一つずつ)買いに行って楽しんでいるのですが、この時期、目をつけていたいつものケーキはブッシュのために姿を消しており、寂しい思いをして帰ってきました。

 しかし、このノエルという行事、華やかな食卓を彩る高価な食材が飛ぶように売れ、もちろん、ブッシュ・ド・ノエルも売れまくり、そのうえ、みんなが家族用のプレゼントを揃えてクリスマスパーティーに臨むというフランス人がバカンスの次にお金を使う行事。

 フランスの経済効果には欠かせない行事だな・・とつくづく思います。

 24日のクリスマス・イブには、夕方には、早々に店じまいしてしまうところも多く、街中はシンとしてしまいます。伝統的な食事や家族での集まりを考えれば日本のお正月に近いものなのかもしれません。


ブッシュ・ド・ノエル


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2024年12月24日火曜日

一般診療26.50ユーロから30ユーロに値上げ

  


 12月22日から、一般開業医を含む複数の診察料金が値上げになりました。一般診療に関しては、これまでの26.50ユーロから30ユーロ(約5,000円)になります。

 これらの増額は、健康保険と民間医師組合が2024年から2029年までの見通しを定義するために、すでに6月に署名した新たな協定に基づくものであるとされています。この協定は、インフレを考慮したうえでの必用な医療従事者への大幅な増額も含まれています。

 しかし、多数の国民にとっては、これまでと同様に健康保険(70%)とミューチュエル(健康保険で補われない分を補償する保険)(30%)によって支払われるため、あまり影響はないと言えばないのですが、当然、この値上げに連れてミューチュエル(相互保険)の保険料も値上げになり、こちらは、保険会社により差があるものの、平均6%の値上げが予定されているようです。

 フランスでは、雇用主がこのミューチュエルを負担しなければならないことになっているため、このミューチュエルがカバーしているケースが多いと思われるのですが、それでも全体の4%は、この補完的な医療保険の恩恵を受けていないために、これらの人々に対しては、値上げがダイレクトに響く結果となり、これらの人々にとっては、医療へのアクセスが厳しくなることは避けられない状況です。

 また、値上げするのは一般診療だけでなく、一般開業医からの紹介による専門医の診察は、60ユーロに、また、児童精神科などの特定の専門分野に関しては、2回に分けて(次回の値上げは7月1日)予定されています。(54.70€→67.00€→75.00€)

 その他、婦人科医は現在の33.50ユーロから40ユーロ、老年病専門医は31.50ユーロから42ユーロ、神経内科医は51.70ユーロから57ユーロに値上がりします。

 いずれにせよ、高齢化と科学の進歩により、増え続ける国家医療費の支出は保険システムを構造的に見直さない限り崩壊すると言われる中、医療費の値上げと、この直接には、見えにくくなっているミューチュエルが補完する割合を増加させていくことが、医療の民営化の一歩であるとも言われています。

 一方、私自身、年齢を重ねていっているからか? 年に数回、様々なガンに関する検診(無料)のお勧めのような通知を頂くのですが、この予防医療という部分がどのくらい医療費の支出を軽減しているのかも知りたいところでもあります。

 また、同時に値上げはともかく、一般診療は(私の場合は)別として、専門医となると、値段云々の前に予約が取れないのが実状で、まず、診てもらうまでに数ヶ月、待たなくてはならないので、これにも、もう慣れましたが、この予約が数カ月先・・と言われるたびに、本当に重篤な病気だった場合は、死ぬな・・と思うのです。


医療費値上げ


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2024年12月23日月曜日

環境活動家 ポール・ワトソン フランスに亡命申請と国籍申請

 


 国際環境保護団体「シーシェパード」の創立者であるポール・ワトソンがグリーンランドで逮捕されたのは、今年7月21日のことでした。主に捕鯨を非難しているこの活動家には、日本からの国際手配申請を受けてインターポールの赤通知が出ていました。

 この環境活動家の身柄をグリーンランド(デンマーク)が引き渡すのかどうかは、当初は8月15日には、明らかになると言われながら、様々な方面からの賛否両論があがり、長い間、その行方が注目されていましたが、結局、デンマークは彼の身柄の引き渡しを求める日本の要請には応じませんでした。

 釈放後に彼が明らかにした内容によると、彼がグリーンランドに拘留中には、彼は4,000通以上の手紙を受け取っていたが、そのうちの3,000通はフランスからのものだったと明かしています。

 それだけ、この環境活動家に対するフランス人の関心と支持は大きく、マクロン大統領は、彼の身柄の日本への引き渡しに対して、デンマーク当局に圧力をかけていたと言われています。

 今年の10月の段階で、ポール・ワトソンは、マクロン大統領に直接宛てた書簡の中で、彼のフランスへの亡命を申請しています。彼の家族はフランスに在住しており、今回、釈放された後、すぐにフランスに到着しています。

 フランスでは、この環境活動家を支持する声が大きく、彼のグリーンランドでの逮捕は、このフランスの環境活動家たちの団結を高めたとも言われています。

 フランスに到着後の彼は、「自分は海の熱烈な擁護者であり、海のためには命を賭ける用意ができている!それだけの価値のあることだ!」としつつ、「ここまで、長期間、拘留されることは、自分にも予想外のことであったし、日本に身柄を引き渡されることも厭わない覚悟ではあったが、日本に行けば、家族に会うこともかなわなくなる、もう帰ってこれないと思った」ことも同時に明かしています。

 彼は調査捕鯨という名目で日本が捕鯨をし続けていることを非難し続けており、逆に自分の逮捕は、日本がどれほど違法行為を行っていたかを示す機会となったとも述べていますが、これは日本国民に対して何ら敵意を持っているわけではないことも付け加えています。

 ポール・ワトソンがフランス到着後にパリ・レピュブリック広場では彼の釈放を祝った集会が開かれ、そこで彼は、「フランスでのサポートは信じられないほど素晴らしかった!私をサポートしてくれるだけでなく、私の大義をサポートしてくれる多くの人々に出会えて、非常に興奮した!」と挨拶しています。

 実際にこの彼の処遇に対するデモは、かなり頻繁にパリでも行われ続けていたのは、事実で、一定数のこの種の環境活動家はフランスにはいるもので、また、その環境活動家が逮捕され、また、家族と会う権利も剥奪される日本に身柄を拘束されかねない!という事実がこの人々を団結させたというシナリオは、フランスには充分起こり得ることであったと思います。

 彼は、フランスに亡命申請と国籍申請をしているそうで、彼は現在、アメリカ、カナダの国籍を保有していますが、これにフランス国籍が追加されるかもしれません。

 釈放された74歳のポール・ワトソンは、来年もアイスランド、オーストラリア、そして日本の海に向かう準備ができていると意気揚々としています。

 日本はこの一連の動きに対して、どう反応するのか?知りたいです。


ポール・ワトソン釈放 国際手配反故


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2024年12月22日日曜日

フランスの債務 3兆3,030億ユーロの記録的な水準

  


 フランスの財政が大きな赤字を抱えていることは、もうここのところ、頻繁に話題にのぼっていたので知らない人はいないくらいの話なのですが、具体的な数字「3兆3,030億ユーロ」と聞くと、もはや数字が大きすぎて、逆にピンとこないくらいの桁違いの数字であっけにとられています。

 来年度の予算作成に600億ユーロの財政赤字を削減案の審議中に不信任になった前首相ですが、3兆3,030億ユーロの債務と600億ユーロの削減・・それでさえ、ペンディングになっているので、今後、どうするんだろう?どうなるんだろう?と心配になります。

 先週末に、複数のメディアが伝えたINSEE(国立統計経済研究所)の発表によると、フランスの公的債務は2024年第3四半期末時点で3兆3,030億ユーロという目もくらむような額に達する見通しで、この記録的な水準はフランスの経済健全性について、多くの懸念を引き起こしています。

 このフランスの債務は、GDP(国内総生産)の113.7%に相当(6月末時点では、112%だった)し、わずか3ヶ月間で710億ユーロ以上増加しています。

 2,000年初頭以来、フランスの公的債務曲線は上昇し続けており、この20年間でその額は、3倍以上にも膨れ上がり、悪いことにこのペースは近年、明らかに加速の一途を辿っています。特にマクロン大統領が就任した2017年から2024年の5年間だけでも、その額は1兆億ユーロ以上増加しています。

 この原因のひとつとして挙げられているのは、金利上昇と債務膨張による複合効果により、債務返済コスト(利息)も爆発的に増加し続けている点が指摘されています。債務返済コスト(利息)が雪だるま式に増えているというのは、憂慮すべき状況です。

 また、短期的な予算調整に加えて、何よりも必要なのは、公共支出がGDPの65%を占めると言われているフランスの社会経済モデル・構造改革とも言われています。フランスは戦後当初から、高レベルの社会保障と再分配を基盤としてきましたが、それが立ちいかなくなっているのです。

 経済成長の鈍化、極度の財政赤字、制御不能の公的債務の間で行政は苦渋の決断を迫られています。

 ただし、現在のように、すでにかなりの緊張状態にあり、不安定な政府では、この舵取りは、国会内のみならず、国民との間のコンセンサスを見つけるのは、至難の業です。

 実際にこの状況に、「今、フランスには何が必用か?」との問いに、財務省高官や財務専門家などがコメントを寄せたりもしていますが、なぜか?匿名を条件に答えており、それだけ、緊張状態であることがうかがえます。

 いずれにせよ、これを何とかしなければいけないフランス政府の課題は、財務調整を急ぎすぎると景気回復が中断され、遅すぎれば市場制裁にさらされるという状況下で微妙なバランスを保ちながら適切なペースを見つけることだと言われています。

 現在の状況は、数十年にわたる予算の変動と改革拒否の結果でもありますが、それにしても、「こんなになるまでに何とかならななかったの?」と思うばかりです。


フランス債務記録 3兆3,030億ユーロ


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2024年12月21日土曜日

モディリアーニ展 ザッキン美術館 exposition MODIGILIANI/ Musée ZADKINE

  


 美術館や博物館に行くのは、最近のちょっとした私のマイブームで、若い頃は本当に歩くのが嫌いだった私が、ここのところ、健康のためにとにかくできるだけ歩くことを心掛けていて、ふだんは、もっぱら、美味しいものを探して歩いていることが多いのですが、だんだんパリも寒くなってきて、寒い中、外を歩くのもだんだん辛くなってきて、美術館や博物館の中だったら、適温で、しかも退屈することなく、けっこう歩けるので、ここのところ・・といっても、たまに・・ですが、美術館や博物館に行くようになっています。




 といっても、そんなに美術的な見識があるわけでもなく、なんとなく、この絵好きだな・・とか、私の好きな小説家の話の中に出てくる美術館とか・・比較的、家から行き易い場所を選んで行くことが多いです。




 先日、散歩には、歩いてまわるのに、ちょうどいい大きさ?のオランジュリー美術館に行ったら、モディリアーニの絵があって、「やっぱりモディリアーニの絵は、けっこう好きだな・・」と思って、同時に、そういえば、どこかのメトロの駅に広告が出ていて、どこかでモディリアーニ展やってたな・・と思って、探して出かけました。




 美術的な評価とか、価値とか、そういったものはよくわかりませんが、単純に好きか?嫌いか?という程度ですが、好きなものを眺めて歩くのもまた、楽しいことです。



 現在、モディリアーニ展をやっているのは、パリ6区にある「ザッキン美術館(Musée ZADKINE)」モンパルナスの近くにあります。とてもこじんまりとした美術館だし、ちょっとわかりにくい場所だし、そんなにメジャーでもないし、と思いきや、平日、昼間でもけっこうな人が集まっていました。とってもいい感じの美術館です。


 モディリアーニとザッキンの友情に焦点をあてた展覧会とかで、両者の作品が上手く融合していました。

 驚いたのは、美術館というのは、それぞれにずいぶん趣が違うもので、また、この展覧会の客層は、けっこう落ち着いた感じの人が多く、それも心地よさのひとつでした。



 モディリアーニの絵は、顔と首の長い肖像画が特徴的ですが、彼自身がどんな顔をしている人なのか?どんな人だったのか?ということは全く知らなかったのですが、彼は35歳という若さで亡くなっており、彼自身の写真も展示されており、あまりに若くて、今でもどこかにいそうな感じでビックリしました。

 どんなかたちでさえ、どの程度であれ、知らなかった世界やしらなかったものを見たり、知ったりすることは楽しいことです。

 このモディリアーニ展は、2025年3月30日までやっています。




モディリアーニ展 ザッキン美術館 exposition MODIGILIANI/ Musée ZADKINE

 Musée ZADKINE 100 bis rue d'Assas 75006 Paris


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2024年12月20日金曜日

当分、無理だと諦めていたノートルダム大聖堂 あっさり入れました!

  


 12月8日に一般公開を再開したパリ・ノートルダム大聖堂は、「当分は、大混雑が予想されるため、「予約が強く推奨されます」とのことだったので、じゃあ、予約取ってみようか・・と何回かチャレンジしたのですが、結局、全然、予約がとれなくて、まあ、どこかに行ってしまうわけでもなく、まあ、少し落ち着いてからでいいや・・と諦めていました。

 ところが、X(旧Twitter)で、予約がなくても入れた!そんなに待たなくてもよかった・・などという投稿が上がり始めて、「えっ?なら、行ってみようかな?ノエルのバカンスに入ると、さすがに混むかも・・?」と急に思い立って、とりあえず出かけてみました。

 朝はあんまりお天気がよくなかったのですが、うっすら晴れ間が広がる中、久しぶりのノートルダム大聖堂。といっても、この間、オープンの前日に寄ってみたのでそんなに時間は経っていませんが、祝賀セレモニーのために囲われていたスペースは全て取り払われ、いつもの広場のような場所に戻っており、以前のように、正面入り口から入れました。

 入口の少し手前には、「予約ありの方」、「予約なしの方」という2つの通路ができていましたが、私が行った時には、どちらも数人しかいなくて、待ち時間ゼロで入れました。

 なんと、拍子抜けしたことか・・。




 正面の壁の彫刻などを仰ぎながら、いよいよ久しぶりに足を踏み入れる段になって、なんだか急に感慨が沸き起こってきて、うるうる涙があふれだしそうになり、自分でもビックリしました。



 私は別にクリスチャンでもないし、特別の思い入れがあるわけでもなかったので、自分でも意外でしたが、歳をとって涙もろくなったのかもしれませんが、「よくぞ、ご無事で・・」というか、「ご無事じゃなかったから、5年も閉まっていたのよね・・」とか、一人で心の中で思いながら、つい先日、テレビで見たノートルダム大聖堂に足を踏み入れたのでした。

 いずれにせよ、想像外な感情に思わず涙が溢れてしまうような心を揺さぶられる経験は、滅多にないことで、遥か昔の若い頃、留学したばかりのロンドンのセントポール寺院の礼拝い遭遇した時にあったことで、信仰のあるなしにかかわらず、教会というものは、不思議な力があるものだと、思いました。



 テレビの中継では、あの日は照明も特別であったためか、なんだかやけに真っ白な感じがしたのですが、そこまででもなく、でも、火災のあとは、全く感じられず、それこそ、中にある彫刻や特に奥の方にある壁画や祭壇近くの古い木造の彫り物の絵などは、「よくぞご無事で・・」という感じでした。




 ところどころに、ノートルダム再建に関わった人々を讃える展示物や全世界から寄せられた寄付への感謝などがつづられている場所も見られました。



 この中でも、おそらく今だけなのは、クレッシュ(キリストの誕生シーンを表現した模型で馬小屋の中に、赤ちゃん(イエスキリスト)とマリア様、父ヨセフ、牛、ロバ、羊飼いなどがいる模型のようなもの)の飾り物なのですが、これが、なかなか見事で、主要人物以外の登場人物がたくさんいて、おまけに、そのクレッシュが置かれている背景には、大聖堂そのものの彫り物が上手く活きるように飾られていて、なかなか見事です。

 これは、クリスマスのための飾りなので、今時期にしか見られないので、これを見たい方は、年末年始のうちに行った方がよいと思います。


 正面右側の奥には、宝物展のようなスペースがありますが、この中は有料(一般10€)です。せっかくなので、入ってみましたが、19世紀からノートルダムに保存されている宝飾品、金銀の食器類や衣類、彫刻品や礼拝堂の一部など、ついこの間、再開のセレモニーの時に司教が着用していた色鮮やかな祭服や最初にノートルダムの正面扉を叩いていた杖のようなもの?も一緒に飾ってありました。



 念のため、大聖堂そのものの入場料は無料です。

 大聖堂の中は、そんなに混雑しているという感じでもなく、私が滞在している途中に礼拝が始まりましたが、さすがに、礼拝の席はほぼ満席。とても穏やかで和やかで、ここで礼拝を受けている人々にとっては、ようやく日常が戻ってきたという静かな感じがしました。

 どうか、この本来は神聖な祈りの場である大聖堂が政治に汚されることがありませんように・・と思うのでした。

 大聖堂をゆっくり一回りして、外に出ると、さきほど私が入ったときには、なかった行列ができていました。私はとってもラッキーだったようですが、わりと列は早く動くので、けっこう並んでいるようでも、そこまで待ち時間はないのでは、せいぜい20分程度なのではないかと思います。

 サクレクール寺院などでは、けっこう厳重な荷物チェックがあるのですが、今のところ、ノートルダム大聖堂では、そんなこともやっていませんでした。


ノートルダム大聖堂


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