2024年8月28日水曜日

夏のバカンスが終わると・・フランス人は・・

  



 8月も残りわずかとなり、バカンスに出かけたパリジャンたちが戻ってくる・・つまり、メトロも混み始めるし、渋滞も戻ってくる・・と覚悟していたのですが、少しずつは戻ってはいるのでしょうが、まだ閉まっているお店も多いし、いつもほどには、メトロの混雑や道路の渋滞もまだまだ本格的には戻って来ておらず、どうやら、みんなギリギリまでバカンスを楽しむつもりなのだな・・と感じています。

 今年はオリンピックがあったり、まだまだこれからパラリンピックが控えていることもあり、パリジャンのバカンスのとり方もイレギュラーだったとは思いますが、とはいえ、学校が始まり、フランスでは9月からが新年度の開始なので、さすがに9月に入れば、多くの人がパリに戻ってくるのだと思います。

 もう一つ、今年の夏がイレギュラーだったのは、今年はオリンピックのために、観光客が増えるどころか、どうやら減ってしまった感じ(オリンピック関連以外)で、いつもは夏の間、パリジャンがいなくなっても観光客がけっこういる感じなのにもかかわらず、例年のようには、観光客が来なかったことです。

 オリンピックが終わっても、観光客はそれほど戻っておらず、メトロなどの交通機関の値上げもパラリンピックが終わるまでは据え置きで、その他、便乗値上げしているところも多いために嫌われたのだと思っています。

 しかし、オリンピックのときから比べると、異常な警戒状態は緩和され、露天商や路上生活者たちは、パリに戻ってきて、スリや置き引きなどの犯罪集団もパリジャンよりも一足先に戻ってきている感じです。

 夏のバカンスが終わると、皆、仕事に戻りますが、それと同時にまたデモが再開されます。まったく現金なもので、通常は、毎週のようにどこかで必ずデモをやっているのに、バカンス期間になると、デモもぴったりと止まり、デモもバカンスに入ります。

 バカンスの終わりを告げるのは、デモの再開でもあり、デモの予定がさっそく告知されたりして、ああ~もうバカンスも終わりだな~という気分になります。

 例外的にヘルスパスがないとどこへも行けないことになった2021年の夏はこのヘルスパス(ワクチンパスポート)反対のデモがバカンス中にも続いたことがありましたが、この年は例外で、通常はフランスのデモはバカンスで休みます。

 昨日、ニュースを見ていたら、燃料費が若干、値下げになるという話をしていて、ガソリンを入れながら、インタビューに答えていた若者が、ガソリン価格が下がることについて、どう思いますか?と聞かれていて、彼は開口一番、「もちろんうれしい!もうすぐノエルなので、少しでも予算ができて助かります!」などと言っているのを聞いて、「ああ~そうそう!フランス人は夏のバカンスが終わると、「もうすぐノエル」のマインドになるんだな・・」と苦笑してしまいました。

 彼らにとって一番大切なイベントは夏のバカンス、そして次はノエルなのですが、いみじくも、この青年は、まだ8月の最終週から、テレビのインタビューに答えて「もうすぐノエルだから・・」などと言っちゃうところが、なんか、素直で可愛いなぁ~と思ったのです。


夏のバカンスの終わり デモ ノエル


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2024年8月27日火曜日

テレグラム社長逮捕報道で疑問に思うこと

  


 このニュースを私が知ったのは、マクロン大統領のXのポストで、「テレグラム社長の逮捕は、進行中の法的捜査の一環として行われたものであって、これは決して政治的な決定によるものではありません」というもので、「えっ?テレグラム社長の逮捕ってなになに?」というか、「テレグラム社長って誰だれ?」とこの件に関しての報道を探し始めました。

 今回の主人公?テレグラム社長は、パーヴェル・ドゥーロフという若手の起業家で、テレグラムのメッセージングの創始者であるロシアの億万長者のようです。

 先週末にアシスタントとボディーガードとともにアゼルバイジャンへから帰国した39歳の起業家は、フランス憲兵隊に伴われて、フランス警察による取り調べのため、ル・ブルジェ空港で逮捕されたとのことです。

 世界中に視聴者を持つソーシャルネットワークの管理者の逮捕は、フランスでは初めてのことで、彼が逮捕されたのがテレグラム社の社長としてだったのか、個人として逮捕されたのかは明らかにされていないものの、しかし、フランス当局には、彼のプラットフォームで盛んに行われている違法行為に関連するいくつかの捜査で彼を尋問する理由があると言われています。

 テレグラムは新しい会社ですが、これまでにもフランスでは数々の話題に上がってきました。例えば、バタクラン攻撃の際、テロリストが攻撃の準備のためにテレグラムで通信していたことが発覚したときなどは、かなり話題になりました。

 新しい会社ながら、注目されるのは、その躍進の速さで、あっという間にこのプラットフォームには現在、世界中で約10億人のユーザーがいると言われており、ヨーロッパでは4,100万人がこのプラットフォームを利用しており、来年にはニューヨーク証券取引所でのIPOを計画しているそうです。

 彼はいわゆる自称リバタリアンであり、最大限主義的な意味での表現の自由の支持者であり、検閲に反対し、個人のプライバシーの権利を擁護し、読まれずにメッセージを交換する自由を保証することを目的としてこのテレグラムのメッセージングサービスを行っています。当然、これが麻薬密売、児童ポルノ画像、リベンジポルノ、フェイクニュース、武器販売、テロリズム、詐欺などのさまざまな違法行為にとって重要な通信手段にもなってしまい、国家間、特に戦時下にある現在、双方の通信手段としても利用されているようで、彼の逮捕が政治がらみのものではないか?という疑問が湧いたのもわからないではありません。

 しかし、彼の逮捕は未成年者保護局からの捜索令状の対象であるとも言われており、同組織はプラットフォーム上での児童ポルノコンテンツの拡散を懸念して、2023年から調整していた予備調査により組織犯罪、詐欺、テロリズムに対する謝罪、サイバーハラスメントなどのいくつかの犯罪に対する広範な司法調査が開始されることになったという話もあります。

 一方で、彼の逮捕で問題になっている一面というのが私は、気になっています。彼は、サンクトペテルブルク生まれのロシア人でありながら、彼は3年前にフランス国籍を取得しています。ここまでならば、そこまで不思議な話ではないのですが、彼のフランスでの国籍取得名は、ポール・デュ・ローヴという名前で、しかも不可解な条件のもとであると言われている点です。

 しかし、調べてみると、フランス国籍を申請する際に、正当な理由があれば、出生証明書に記載されている姓名の変更をも申請できることになっています。その正当な理由の中には、侮蔑的であると認識されているため、受け入れるのが難しい姓名である場合、また、メディアで有名になり、悪い評判を持っている場合・・というのもあります。

 しかしながら、彼のようなケースの場合、結局は、元の名前で出ているわけで、この名前を変えて国籍申請した意味がよくわかりません。

 いずれにせよ、今回の彼の逮捕は、たとえハイテク億万長者であっても、法を超越する者はいないという見せしめ的なものもあるのではないか?という声もあります。


テレグラム社長逮捕


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2024年8月26日月曜日

日本を褒めてくれるのは、いつでも嬉しい

  

 

 先日、買い物から帰ってきたら、家のエレベーターの入り口あたりで、アパートの住民の女性に呼び止められました。

 彼女は同じアパートの住民の女性で、顔見知りとはいえ、顔を顔を合わせれば、挨拶をする程度で、実際に彼女が何階に住んでいるのかも、どんな家族構成なのかもよく知らないような感じなので、特にアパートで何か問題があったりした場合(そんなことも、まずないけど・・)くらいしか話をすることは、ありません。

 一応、ああ同じアパートに住んでいる女性だな・・という認識はあるという程度です。

 私が現在、住んでいるアパートは、私たちが引っ越してきて以来、20年くらいの間に、考えてみれば、ずいぶん住民もいつの間にか入れ替わって、わりと親しくしていた隣人のおばさんも引っ越してしまったし、あとは、たまに会えば、少し話をするのは、娘と同じ幼稚園に通っていた男の子のママくらいなもので、最近では、同じアパートの住民の人とは顔を合わせれば、挨拶する程度になっています。

 なので、誰かに呼び止められることなど、滅多にあるものではないので、先日、ちょっと食い気味に彼女に呼び止められたときには、「えっ?なんかあったの?」とドッキリしたのです。

 なんか揉め事?と思った私に彼女は、「あなた日本人ですよね・・」と・・。「実は私の息子が今、日本に行っていて(旅行で)、とにかく日本が素晴らしい!って大感激しているのよ・・!」と。

 パンデミック前には、日本行きの飛行機に乗ると、その大半はフランス人だったくらい、日本に行く(観光で)人が多くて、その頃には、日本に行ってみた感想を述べてくれ、日本を大絶賛してくれる人にけっこう出会う機会もあったのですが、ここのところ、最近は、あまりそんな話を耳にすることも少なくなったので、なんか、この日本を褒めてくれる感じが久しぶりな気がしました。

 彼女の息子さんは夏休みのバカンスでアジアを旅行しているらしく、台湾に行った後に日本に行って、もう、とにかく、何もかもが近代的で、きれいで清潔だし、メトロはピカピカだしパリよりもずっときれいで、きちんとしていて、人は親切だし・・食べ物は美味しいし、安いし・・色々な種類のものがあって・・!」と、まるで自分が行ってきたみたいに興奮して、その日本の素晴らしさに触れて感激している様子を私に伝えてくれました。

 その彼女が私に伝えてくれる一つ一つの、人々が親切とか、清潔、近代的とかいうことに、一つ一つ、「そうだろそうだろ・・」と内心思いつつ、しかも、「パリよりも・・」、とつくところで、さらに大きく頷きたくなるのでした。

 彼女の息子さんは、今、東京にいて、この後、京都などもまわるということで、今さらのなから、フランス人にとって、日本は非常に近代的な面と歴史が共存するフランスとは全くの異文化を感じられる魅力的な国であったということを思い出させてくれた気がしました。

 おそらく多くの日本人がフランスを異文化と感じる以上に実際に日本に行ったフランス人が感じる日本のインパクトはすごいんだろうな・・と思います。

 最近は、オリンピックのおかげ?もあって、パリのメトロもずいぶんきれいな路線などもできましたが、そうでないところも、まだまだ多く残っていて、未だに手動ドアのメトロなんかもあって、それはそれでよいとは思いつつ、清潔さという面から言えば、清潔であったのは、オリンピックの一時だけで、その時でさえも、むしろ、あまりの清潔さにパリジャンがびっくりしていたくらいです。

 東京は、人の多さも桁違いで、にもかかわらずあの清潔さを保ち続け、また、どこでも人が親切に対応してくれる奇跡のような街なのです。それでも、東京で生まれ育ち、今でも定期的に日本に行っている私などからしたら、最近、なんかトゲトゲしている感じの人が増えたな・・などと思うこともあるのですが、それでも、パリと比べれば桁違いに皆、感じよくて親切で、清潔で安全できちんとしていて・・と、あらためて、フランス人から賛辞を受けて、なんかやっぱり、日本って良い国なんだな・・となんか、嬉しくなってしまったのでした。

 逆に考えれば、そんないつもみんなが無意識にあたりまえのことと意識していない、親切で感じよい日本の中で生活している日本の人々がパリに来たら、「フランス人ってほんと感じ悪い!」と思うのも当然といえば、当然かもしれません。

 何をきっかけに彼女の息子さんが日本に興味を持ったのかは聞くのを忘れましたが、日本語の勉強もしているそうで、もしかしたら?マンガやアニメ?がきっかけなのかな?と思ったりもしました。

 うちの娘も今、日本に住んでいるの・・と言いながら、なんとなく、彼女との距離が少しだけ縮まったような気がしたのでした。


 

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2024年8月25日日曜日

ラ・グラン・モットのシナゴーグでのテロ 深刻化する反ユダヤ主義

  


 ラ・グランド・モット(モンペリエとニームの間あたりの都市)のシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の前で2台の車両が放火され、うち1台の車には、ガスボンベが入っていたため、車は爆発炎上するという惨事になりました。

 内務相は、フランスの全知事に対し、「ユダヤ教の礼拝所の前での警察の静的な駐留を直ちに強化する」よう要請し、国家対テロ検察局はテロ暗殺未遂事件の捜査を開始しました。

 ガブリエル・アタル氏(首相を辞任しているものの、次期首相が未だ定まらないために、任務を留任中)はこの事件を「反ユダヤ主義的攻撃」と表現し、「私たちは絶対的な悲劇を免れた」と宣言したものの、「この襲撃者からは決意が極めて強いことが感じられる」と語りました。

 「もし当時シナゴーグが礼拝者でいっぱいだったら、最初の数分で人々が建物から降りてきて、おそらく多くの犠牲者が出ていただろう」とも付け加えました。

 しかし、思うに、襲撃者はむしろ、人の集まっていない時間帯を選んで警告の意味で爆発を起こしたとも考えられ、絶対的な悲劇を免れたのではなく、襲撃者は、むしろ、そのように計画をしたのではないかという気がしないこともありません。

 車内のガスシリンダーが爆発した衝撃で突き飛ばされ、地面に投げ飛ばされた市の警察官1人が負傷し、モンペリエ大学病院の緊急治療室に搬送されていますが、生命に別条はなく、夕方には帰宅できたと言われていますが、近隣住民の証言によれば、建物が倒壊するのかと思ったほどの爆発と火災だったようで、犠牲者が出ていないとはいえ、衝撃の大きさは計り知れません。

 容疑者は指名手配されていますが、パレスチナ国旗を掲げている姿が監視カメラで撮影されており、明らかに反ユダヤ主義の抗議の意味を明確にした攻撃であることは、明白です。

 ここのところ、次期首相をはじめ、選挙後の内閣がなかなか組織されずに大統領と各党の間で不穏なムードが続いていますが、この反ユダヤ主義行為に対する非難は全会一致であり、左から右まで、政治家全員が列をなして、深くショックを受けたユダヤ人コミュニティに対する今回の攻撃を非難しています。

 このように、即刻の対応が必用な事件が次々と起こるのですから、一刻も早く、内閣はしっかり結束してほしいものです。

 それにしても、反ユダヤ主義の事件は明らかに増加しているようで、つい先日もパリのメトロの中で暴言を浴びた女性が危険を感じて、告訴状を提出したことから、大小併せて、反ユダヤ主義の事件がかなり増加していることが公になったばかり。

 今回の事件は、その中でもテロとして捜査が開始される規模の大きな事件が起こってしまったわけで、今から考えれば、オリンピックの時のここまでする?という警戒ぶりや、イスラエルの選手団だけは、24時間体制で警備がついていたという話などにも頷けてしまうような気がします。

 指名手配されている今回の事件の容疑者は、現在のところ逮捕されていませんが、たとえ、この人物が逮捕されたとしても、その反ユダヤ主義の裾野はかなり広いものと思わずにはいられません。


反ユダヤ主義テロ


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2024年8月24日土曜日

コカ・コーラとシュウェップスのプラスチック微粒子混入問題

  


 Acting for the Environmental (APE) (住みやすい地球を求める声を広めることを目的として環境保護を支持する市民動員のためのフランスの団体)が行った調査結果によると、現在、販売されているコカ・コーラ オリジナルの 1 リットルボトルとシュウェップス インディアン トニックの 1.5 リットルボトルから6種類のプラスチックの微粒子が発見されたことを公表し、消費者が無意識にマイクロプラスチックを飲むことは容認できないと考えており、「これは厳格に規制されていないため、フランス当局はこの問題を取り上げ、公衆衛生と環境保護の優先課題とすべきだ」と訴えています。

 このActing for the Environmental (APE)という協会は、協会と市民の大規模なネットワークを結集してキャンペーンを主導することで、政治的および経済的な意思決定者に圧力をかけています。活動の独立性を維持するため、公的機関からの資金提供を一切拒否しています。

 今回、この協会が挙げているのは、ポリエチレン (PE)、ポリエチレン テレフタレート (PET)、ポリ塩化ビニル (PVC) に加えて、少量のポリアミド (PA)、ポリプロピレン (PP)、ポリウレタン (PU) も含まれており、メーカーが飲料と接触するポリマーは2種類のみと発表しているのに対して、6種類の異なるポリマーが特定されたことに警鐘を鳴らしているのです。

 そして、ボトルの開け閉めの回数が増えるほど、ボトルに含まれるプラスチックの量が増えることが確認されています。

 さらには、ボトルに混入されているのはプラスチックの微粒子だけではなく、微粒子より小さいナノ粒子が大量に存在することを指摘。このナノ粒子は非常に不規則な輪郭を持ち、非常に大きな総表面積を持ちます。これにより、いくつかのポリマーの効果が組み合わされて、他の粒子との相互作用が促進される可能性があります。さらに深刻なのは、摂取後にヒトの粘膜の細胞との接触と細胞への取り込みを促進する可能性があることを伝えています。

 これに対して、コカ・コーラ社は、自社の安全性と品質基準が「業界で最も厳格なものの一つ」であり、製品の安全性を保証していると断言。 「当社では、飲料の組成に使用される水から不純物を除去するために高度な濾過システムを使用しています」とただちに反論しています。

 シュウェップスブランドもまた、同社が市場に出すすべてのパッケージは、PETプラスチック素材を含めて「フランスとヨーロッパの保健当局が定める厳格な食品グレードの品質要件を満たしている」、さらには、問題は炭酸飲料だけに限定されるものではないとし、「プラスチックは、飲料水、果物、野菜から、あるいは合成繊維の衣服を着ているときでも、日常的に摂取されており、毎週、一人当たり 0.1 g から 5 g を摂取しますが、これは銀行カード 1 枚分に相当する」と開き直っているかの回答もしていますが、同時に、微粒子の健康への影響はまだ十分に解明されていないとも説明しています。

 話は逸れますが、コカ・コーラはともかく、シュウェップスというのは、不思議な会社で、アメリカでは、ドクターペッパーが、また、イギリス、アイルランド、ブラジル、香港、ニュージーランド、ルーマニア、日本ではコカ・コーラ社が、フランスでは、なんとサントリーグループ・オランジーナ・シュウェップス社が販売しているという不思議な会社です。

 今年の初め頃にネスレグループのミネラルウォーターが違法精製水を販売していたということが明らかになり、大スキャンダルとなったことがありましたが、フランスでは「水の次はソーダかよ!」と騒ぎになっています。

 個人的には、これらのソーダ類は飲まないので、関係ないといえば関係ないのですが、プラスチックボトルのキャップの開け閉めにより、よりプラスチックの微粒子が多く混入するというのなら、なにもプラスチックボトルに入っているのは、コカ・コーラやシュウェップスだけではないわけで、なんなら、問題はコカ・コーラやシュウェップスの飲料そのものよりもプラスチックボトルに問題があるのではないか?と思わないでもありません。

 

コカ・コーラとシュウェップスのプラスチック微粒子混入問題


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2024年8月23日金曜日

アラン・ドロンは日本での驚異的な人気を誇りにしていた

  


 アランドロンの訃報が聞こえてきて以来、アランドロンに関する逸話が続々と語られているなか、アランドロンが日本で驚異的な人気があったということについての話があったので、少し興味深い気がして読みました。

 実のところ、アランドロンの全盛期、日本で最も人気のあった頃を私は知らないのですが、それでも、なんとなく美形の代名詞のように語られている感じは知っている・・それくらいだったので、当時の日本でのアランドロン人気について、彼の没後にフランスで語られているのを見て知るという、不思議な感じでした。

 私の記憶にはなんとなく彼の全盛期のイメージの面影があったので、フランスに来たばかりの頃、初めてフランスのテレビ番組(なんかのトークショーのような番組だったと思う)で彼を見かけて、あまりの変貌ぶりに驚いた記憶がありますが、それも20年くらい前の話、今から考えれば、あの時は、まだまだ良い方だったのです。

 ある、フランスの番組でのインタビューで、「あなたは、世界的なスターですが、とりわけ日本では驚異的な人気があることについてどう思いますか?」などと尋ねられたりもしていて、彼はフランスでも日本で驚異的な人気を得ていることが有名であったことがうかがえます。

 フランスでは、一時、彼はフランスよりも日本での方が人気があると言われることもあったようで、また、彼自身も自分を「日本における生きる神」のような存在であることを公言することを好んでいたとも言われています。

 彼自身はインタビューの中で、自分が日本で人気がある理由について、「日本人にはある種の白人に対する憧憬のようなものがあり、それに自分の美貌と理想的な男性像、映画の成功が重なった結果であり、人々は私の手に触れるだけで、私が指にキスするだけで、大きな喜びを感じている・・」というようなことを語っています。

 これだけ冷静に聞くと、ちょっと小馬鹿にされているというか、鼻もちならない嫌みな感じがしないでもありませんが、彼はまた、映画「太陽がいっぱい」の成功によって、その容姿と神秘的で野心的な側面だけでなく、哀しく孤独で冷笑的でもある暗い側面が、敗者を励ますことを好む日本の観客にとって非常に魅力的に映った結果でもあると、日本人の国民性も考慮した分析もしています。

 彼は日本での人気を映画の興行だけではなく、ビジネスとしても充分に活用し、1970代には、日本で販売するフレンチ シックの大使のような存在となり、日本のメンズスーツブランド・ダーバンやマツダ車のCMに登場し、後には、自身のブランド「アラン・ドロン」を立ち上げ、ファッションアイテムやアクセサリーを自分の名前で販売しました。

 彼は度々、訪日していますが、当初は映画の宣伝のためであったものが、のちには、彼自身の人気を日本で維持し続けるために、また彼自身のブランドを盛り立てるために、テレビのバラエティ番組や社交イベントに参加、1980年代と1990年代には、日本の旅行会社が企画したアランドロンも出席するパリでの晩餐会​​ツアーなどもあり、有料オプションとして、花束を贈ったり、一緒に記念写真を撮ったりできるサービスもあり、これには、5万人以上の日本人が参加したと言われています。

 当時は日本も景気が上向きの時代で、彼の人気は日本のそんな時代にハマったのだなぁと思います。

 彼の没後、彼の子どもたちの間の諍いの種の大きな原因の一つであると思われる彼の巨額な遺産の詳細については、公表されないながらも、相当なものであると思われますが、彼が築いた財産の一部は確実に日本で稼いだ部分も大きいのではないか?と思ったりもします。


アランドロンと日本


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2024年8月22日木曜日

新千歳空港でハサミ紛失のための欠航・遅延についてのフランスの報道

 


 「日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺した!」というニュースの見出しに驚きました。というより、このことがフランスで複数の報道機関で取り上げられていることに驚いたのです。

 「先週末、日本の新千歳空港の国内線の出発待合室にある店舗からハサミが紛失し、数時間フライトが中断されました。合計 36 便が欠航し、200 便以上が遅延しました。日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺したのです」と報道内容の大枠はこんな感じです。

 この事件により、空港では数時間にわたる捜索が行われ、その結果、36便が欠航し、201便が遅延し、出発ラウンジの乗客は再び保安検査を受けることを強制されたと報じています。

 考えてみれば、空港では、国内線、国際線に関わらず、保安検査場で手荷物や金属探知機などを通されて、最近では時には、靴まで脱ぐように命じられたりすることもあったりもして、窮屈な思いをすることも多いですが、一方、空港内にある店舗やレストランなどでは、ハサミだって、ナイフだってあるのですから、この新千歳空港の保安当局が懸念したように、テロリストがこれらのハサミを入手し、飛行機内で武器として使用するという可能性は、考えられないこともない話ではあります。

 飛行機が定刻どおりに出ないことは、むしろ、日本よりも海外の方が多いような印象がありますが、今回の新千歳空港の件のような理由でフライトが遅延、またはキャンセルになったという話は聞いたことがありません。

 この事件?の発端は、出発待合室にある店舗から「ハサミ紛失」の警報が発せられたことによるものだと言われていますが、そもそも、日本の空港の店舗には、ハサミ等の凶器になり得るものを紛失した場合には、届け出なければならないというマニュアルがあるのでしょうか? だとしたら、かなり徹底した管理体制をとっているところは、さすがに日本、すごいな・・と思うのですが、おそらく、フランスなどの空港内の店舗でもし同様の紛失事件が起こったとしても、そんなに大騒ぎをしないのではないか?というより、そんなに厳重に管理をしていないのではないか?と思ってしまいます。

 だからこそ、今回の新千歳空港の事件がこんなに報道されているのだろうと思うし、それが良いとか、悪いとかのジャッジは報道の中ではしていません。

 むしろ、今どき、ハイジャックのような割に合いそうもないことをやらかすことも少なかろうと思う反面、テロや諍いが世界中で起こっているなか、まったく危険性がないとも言えないし、今回の報道では、むしろ、その手があったか!と思いついてしまった人がいそうな気もしないでもありません。

 空港運営者は声明で「店舗従業員の適切な使用、保管、管理体制の欠如が原因で事件が発生したと認識している」とし、謝罪したそうですが、この夏休みの最も多くの人が交通機関を利用する時期に、フライトをキャンセルされた人々からしたら、お金を返してもらうだけではおさまりのつかない思いをしているのではないか?と思います。

 結局、ハサミは、翌日、同店舗内で見つかったそうですが、大した人騒がせなことです。非難ごうごうなことはもちろんですが、一方では、 「乗客として、安全を確保するためにこれほど厳格な措置を取ってくれていることに感謝しています」と空港の判断は正しかったと支持する声も上がっているとのこと。

 次回、空港に行ったら、保安検査を過ぎたところにある店舗にハサミなどの凶器になりうるものはあるかどうか?探してしまいそうです。


新千歳空港


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