2024年1月10日水曜日

フランス新首相にガブリエル・アタル氏就任 史上最年少34歳の首相

  


 エリザベス・ボルヌ氏の首相辞任が伝えられていた日の段階で、次期首相は翌日、発表されるとのことでしたが、大方の予想では、彼が新首相に任命されるであろうとの予想でしたが、そのとおりになりました。

 若干34歳という若い首相は、フランスでは、以前37歳で首相になったローラン・ファビウスの記録を大幅に更新する若さです。しかも彼はどちらかといえば童顔で、歳よりも若く見えなくもありません。



 エリゼ宮での首相交代のセレモニー?で、どちらかといえば、年齢よりも老けて見えなくもないエリザベス・ボルヌ氏と並んでいる様子を見ると、親子?ともすると、孫?くらいの年齢差に見えなくもありません。

 彼が、2018年の国民教育・青少年大臣の国務長官として政府の中枢に登場したのは、若干28歳の時です。その後、政府報道官などを経て、首相に任命される前までは、昨年7月から国民教育・青少年大臣として、学校内でのアバヤ着用問題や、いじめ問題などに、かなりわかりやすい形で、どんどん新しい取り組みを進めていました。

 私が彼の存在を認識したのは、2020年、彼が政府報道官として公の場に立つことが増え始めた頃でしたが、当時は、「なんだか生意気そうな男の子だな・・」という印象でした。

 しかし、そのようにして、公の場に立つ機会が増えるにつれて、彼の言葉の力強さやエネルギッシュな姿勢、特に、その後、別の報道官に代わってから、逆に、「あら?彼の方が話が上手だったかも・・?」などと、私が言うのもおこがましいのですが、なんとなく、彼を見直すような感じを受けたのを覚えています。

 なんといっても、彼はマクロン学校の優秀な生徒と言われるほどの人物で、大統領の大筋を外れることはないところが、彼が首相に任命された大きな理由の一つでもあると言われていますが、一方では、彼は、現在、世論調査によると、フランスで最も人気のある政治家と言われており、マクロン大統領が今後の任期を遂行するために、彼の人気を取り込もうとしたという見方もされています。

 発信力、行動力も抜群で、力強く、エネルギッシュではありますが、若いだけあって、どこか危うさを感じないでもありませんが、とにかく若い人材が力強く国を動かしていく人材として登用されるフランスが日本人としては、非常に羨ましい気持ちです。

 また、彼は同性愛者であることを公表している政治家でもあり、先代の女性の首相登用に続いて、LGBT問題に対するマクロン大統領のアピールもあるかもしれないとも思うのです。

 これから新しい政権の人事(大臣級クラスの人事)が続々と発表されますが、間違いなく、彼のもとに続く大臣の面々は、間違いなくほぼ全員、彼よりも年長なはず。

 内心では、おもしろくない気持ちのある人もいるだろうし、嫉妬もあるかもしれません。

 しかし、若い人材が政府の中枢に入り、様々なことを学びながら、力強く将来のフランスを担う一人になってくれる機会が得られたことは喜ばしいことだし、日本も少しは、若い人材が活躍できる政治の場を築いてくれたらいいのに・・と思うのでした。


ガブリエル・アタル首相 34歳


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2024年1月9日火曜日

エリザベス・ボルヌ首相辞任 

  


 女性として2人目のフランスの首相に就任したエリザベス・ボルヌ氏の辞任が発表されました。年が明けて、内閣改造を目論んでいるとされていたマクロン大統領は首相を交代させるという噂はありましたが、現実のものとなりました。

 フランス初の女性首相エディット・クレソンはミッテラン政権のもと、それまでの数々の大臣経験や率直な発言が評価されて、1991年に首相に指名されましたが、首相になるや否や、性差別的な非難や物議を醸す発言で安定した地位は保つことができず、10ヶ月ほどで辞任に追い込まれています。

 特に、ABCニュースのインタビューで、「同性愛は「ラテン」よりも「アングロサクソン」の風習に近い」と説明したことは致命的で、同性愛を認めるフランソワ・ミッテラン大統領を飛び上がらせたという逸話に加えて、同インタビューの中で、「フランスには日本のような黄色いアリはいらない」と答えたという話も日本人としては看過できない話でもあります。

 それから約30年後にエリザベス・ボルヌは首相に就任したわけですが、これは、彼女自身の力はもちろんのことですが、女性を首相に据えてイメージアップを図りたかったマクロン大統領の思惑が作用していたように思います。

 フランスのエリートにありがちな恵まれた家庭環境とは言い難い境遇に育ち、非常に努力してのしあがってきた彼女は、いわゆる真面目な優等生タイプの印象でしたが、首相就任に際して、女性として首相に任命されたことをとても喜んでいました。しかし、当初はやはり風当りが強く、早々に辞任届を提出か?などという噂も流れましたが、結局のところ、彼女は20ヶ月間、首相というポストを務めました。

 その間の道はとても険しく、特に年金改革に際しては、大暴動を引き起こした49.3条を採決せずに、首相の権限において発令するという大変な任務を結局は乗り越え、今から思うと国会において、青筋をたてて、がなり立てる彼女の姿は忘れられません。

 また、つい最近、改正された移民法についても、かなり反発も多かった中、どうにか、取りまとめた感じで、どちらもフランスにとって、大変な決定を大統領の盾となって成し遂げてきた感じがあります。

 マクロン大統領は、彼女の辞任に際して、「私たちの国への奉仕におけるあなたの仕事は毎日模範的でした。 あなたは、国家女性の勇気、献身、決意をもって私たちのプロジェクトを実行してくれました。 心から感謝します」と敬意を表しています。

 現在、停滞気味のマクロン政権ではありますが、これからのフランスも大きな問題が山積みのうえ、オリンピック・パラリンピックという一大イベントも控え、ここで仕切り直しをして、新しい年に挑みたいというマクロン大統領の思惑が透けて見えて、とりあえずの大問題であった年金改革や移民法改正という最も困難な問題の影を引きずる彼女は、ここで終わりだったというなんだか損な役割を引き受けることになった彼女がなんだか少々気の毒だった気もします。

 しかし、辞任を発表した彼女の表情は、これまで見たこともないような晴れやかな表情で、解放された喜びに溢れているような笑顔であったことは、素直に「お疲れ様でした・・」と言ってあげたいホッとするような気持ちになるのでした。


エリザベス・ボルヌ首相辞任


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2024年1月8日月曜日

フードバウチャー配布の取りやめと値下げの約束

  

 

 フランスの経済・財務・産業・デジタル大臣は、マクロン大統領が大統領選挙中に約束した低所得者層へのフードバウチャーを取りやめることを発表しています。

 これまで、フランスはインフレ対応として、低所得者層に向けて、インフレ手当やエネルギーチケットなどを配布してきており、インフレ手当やエネルギーチケットの配布方法も少しずつ形や条件を変化させてきました。

 今回、取りやめになったフードバウチャーに関しては、マクロン大統領の選挙公約のようなものであったため、該当者の間では、昨年から今か今かと待たれており、年末になって、現在は、セーヌ・サン・ドニで試験的に該当者に毎月50ユーロを6ヶ月間配り、その効果を検討中というような話も伝わってきていましたが、2024年までは配布されないということだけは発表されていました。

 それが、年明け、経済・財務・産業・デジタル大臣が、テレビ番組「ディマンシュ・アン・ポリティク」でのインタビューに答える形で、マクロン大統領が選挙中に公約したフードバウチャーを取りやめることを発表しました。

 これまでこのフードバウチャーに関しては、インフレ危機のさなか、低所得世帯が食品価格の高騰にうまく対処できるようにするためとされ、同時に環境問題や国内製品需要を考慮するものでもあり、低所得者層が新鮮な地場産品を購入できるよう支援することを目的とした資金援助がなされてきました。

 数度にわたり、その方法や条件が見直されている間に、その制度の複雑さに直面し、低所得世帯を支援する食糧援助団体やフードバンクへの6,000万の基金などに切り替える方向に進め、フードバウチャーは正しいやり方ではないと指摘しています。

 同時に、彼は、2024年には一部の食品価格が下落することに自信を持っていると述べ、「特定の価格は確実に下落するだろう」と明言しています。

 そして、「私の責任は、できるだけ多くの製品の価格を下げることです。単に価格を安定させるだけでなく、バ​​ター、油、一部の肉などの価格を確実に引き下げることになります」と彼は断言しています。

 値下げはともかくとして、フードバウチャーのとりやめが、どんな反発を呼ぶかは、今のところわかりませんが、この大臣、話し方も整然としていて、明瞭簡潔で、威圧的な感じもなく、どこか上品で政治家らしいギラギラした感じがなくて、他の人が言ったら、大変なことになりそうなところをサラッと受け入れられてしまうようなところがあるように感じるのですが、聞く人が聞いたら、やっぱり怒り狂うのでしょうか?

 しかし、価格の引き下げ対象になっているのが、「バター、油、肉・・」と、あまり健康的ではない感じの食料が並んでいるのは、どうにもいただけない気もするのですが、考えてみれば、フランス人の食卓には、欠かせない食品が選ばれているとも思われます。

 いずれにしても、価格を引き下げてくれるというのは、良い話ではありますが、しかし、彼の説明には、「ただし、元の価格に戻るわけではない・・」という一言が付け加えられており、あんまり期待しないで様子を見たいと思います。


フードバウチャー


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2024年1月7日日曜日

アラン・ドロンの人生終盤の泥沼劇

   


 昨年から、アランドロンの家族間のゴタゴタ劇が報道されていましたが、気の毒なことにその騒ぎは、おさまっておらず、さらにヒートアップしているようです。

 現在、88歳のアランドロンは、どう考えても幸せそうではありません。

 2019年に彼の長年の映画界への功績を讃えてカンヌ国際映画祭で名誉パルムドール賞が贈られたその壇上で、彼は「これが自分が公に出る最後になる」といったような発言をしていましたが、恐らく彼は自分の体調の変化から感じていた率直な心情であったと思われます。

 彼はそれから約2ヶ月後に脳卒中を発症し、以後、療養の日々が続いています。

 アランドロンは、長年、彼の仕事のスタッフでもあり、また友人関係から徐々に恋愛関係に発展したといわれている日本人女性をパートナーとして選んで暮らしており、特に病に倒れてからは、彼女が彼の身の回りの世話、介護を全て行っていたようです。

 しかし、昨年になって、長男を中心とした彼の子供たちがこの女性を彼らを父親から切り離そうとしていると、「モラルハラスメント」で告訴、彼女を追い出してしまいました。

 この時点ですでに、おかしな話・・日常は寄り付かずに、介護は全て彼女に押し付けておいて、気に入らないことがあれば、家族で話し合えばいいことだし、なんといってもアランドロン自身が一喝すれば、済むことなのに、なぜ、告訴までして、長男がメディアにまで登場して、マスコミに公表する必要があるのか? 告訴状を受け取った検察も迷惑な話だろうな・・くらいに思っていました。

 しかし、あれから、またしばらくたって、今年に入ってから、今度は、長男が長女に対して、「父親がスイスで行った認知機能の検査の結果が著しく悪化していたことを妹が隠していた」と、妹を告訴するつもりであると告白。

 どう考えても、この長男、一応、俳優でもあるため、マスコミ慣れしているのか?やたらとインタビューに答えたりして、テレビにまで登場しますが、どう考えても一家をひっかきまわしている「困ったちゃん」です。

 また、この家族の事情をメディアの雑誌やテレビの取材を受けて、ペラペラと話していることに、アランドロン自身が激怒して、今度は彼が長男を名誉棄損で告訴するつもりがあると彼の弁護士が発表しています。

 アランドロンは、彼がこのような息子が展開するメディアに対して妹を攻撃したり、自分の老いを強調して世間に公表することに耐えられないと言っています。

 彼には正式に認知している子供は3人いますが、一番関係が近いのは、娘であり、彼の遺産も彼女が50%、息子2人には、25%ずつに分配する証書がすでに作成されているそうです。

 アラン・ドロンは、「アヌーシュカ(娘)とは異なり、息子アンソニー(長男)については、一度も彼のことを心から信頼したことはなく、今でも彼とはほとんど会ってはいない・・」、「彼は再び自分の名前を利用して、自分に不利な本を出版して知名度を上げようとしている・・」、さらに、「私を放っておいて、私の娘も放っておいてほしい」とも語っています。

 すると、今度は、この長男、父親の認知症を理由に「現在、検察が彼を司法的保護下に置くことを検討している」とし、検察官が署名した書類をインスタグラムに公開。この書類には「アラン・ドロンの医学的専門検査の結論によると、彼の識別能力は完全に廃止されたため、私は彼を司法の保護下に置く手続きを開始することを検討している」とあります。

 なぜ?この長男は、ここまで父親の名誉を傷つけるようなことを公表するのか? アランドロンの認知機能の低下がどの程度なのかは、具体的にはわかりませんが、あまりに思いやりがなく、哀しいことです。

 アランドロンは、最初の妻と結婚するときに、自分の人生にはどうしても自分の子供が必用だと語っていたと言われており、家族や子供への思いはことさら強かったと思われます。しかし、この子供たち(とはいっても異母兄弟)と自分をめぐるいざこざには、あまりにむごいことです。

 輝かしい功績を積んできた偉大なスターであった彼の人生の最終ページは、どう考えても幸せそうではないのです。富も名声も手にしても幸せとは限らない、むしろ、富と名声があったからこその今のこの事態なのかもしれません。


アラン・ドロン


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2024年1月6日土曜日

警察官6人が電磁パルス銃使用で30歳の男性死亡 電磁パルス銃ってなんだ?

  


 モンフェルメイユ(セーヌ・サン・ドニ イル・ド・フランス地域圏)の真夜中過ぎの食料品店で30歳の男性が従業員を襲おうとしていたところ、18人の警察官が出動し、尋問を行おうとしたところ、この男性が反抗して警察官の手に嚙みついたり、顔を殴ったりして暴れ、極度の興奮状態にあり、アルコールの過剰摂取に加え、薬物を摂取していると判断した警察官は、電磁パルス銃を使用して逮捕に踏み切りました。

 電磁パルス銃を使用したのは、18人の警察官のうち6人で、10発以上だったと言います。そもそもは、興奮状態にある男性を落ち着かせるために、男性に一時的ショックを与え、自由を奪うために、一般的な銃ではなく、電磁パルス銃を使用したと見られていますが、なんと、この男性、その後、パリ市内の病院に入院したものの死亡してしまいました。

 私にとって、電磁パルス銃とは、あまり聞きなれないもので、「なにそれ?、そんなものパリ近郊の警察官が持っているの?」とちょっと恐ろしい気もしましたが、この電磁パルス銃とは、別名テーザー銃とも呼ばれるスタンガンのようなものなようです。

 そもそも、この電磁パルス銃は、逃亡を図ろうとしたり、好戦的であったり、潜在的な脅威を持つ人物と対峙する際に一般的な拳銃のような殺傷能力の高い武器に代わるものとして開発されたもので、非致死性兵器と呼ばれていましたが、実際には、重症を負ったり、死亡した例が起こったために、その後、低致死性兵器に分類されているようです。

 今回の事件でも、目的は、あくまでも、局所的な激痛と一時的に筋肉を麻痺させ、その間に暴れる男性を逮捕することが目的だったと思われますが、結果的にこの男性は、死亡してしまったわけです。

 ただ、今回の電磁パルス銃は、6人の警察官により、約10発射たれており、そこまで必要であったのか?は疑問なところでもあり、また、この男性がアルコールによる酩酊状態であったうえに、薬物を使用していた状態でこの電磁パルス銃を受けたことが影響していたとも考えられます。

 いずれにしても、そもそもの事件を起こした本人が死亡してしまったことで、検察は、公権力を有する人物に対する故意の損害、反乱、暴力行為と、公権力を有する人物による暴力行為に関する2件についての捜査を開始しています。

 この男性は、以前から、薬物犯罪、暴力、窃盗、侵入、誘拐、犯罪歴があることが知られていた、いわば札付きの人物だったと言われてはいますが、それが電磁パルス銃で寄ってたかって結果的には撃ち殺してしまうというのも、なんだかな~?と思います。

 このような警察官による被疑者への発砲事件による死亡事件?が起こるたびに思うのですが、死刑制度のないフランスですが、死刑はなくても、現場で警察官が被疑者を殺してしまうって、どうなのかな?と、少々、矛盾を感じるうえに、あまりに多すぎないか?こういう事件・・とも思います。

 パリには色々な種類の警察官がいて、地域の警察官や国家警察、憲兵隊、特殊部隊など、どれがどれだか、よくわからないのですが、気を付けてみてみれば、それぞれ、持っている武器は違い、いわゆる拳銃から、ライフルのような銃身の長いものを担いでいるのを見かけたりすると、思わず、これ?ホンモノだよな・・などと思ったりもするのですが、この電磁パルス銃なるものも持っている場合もあるのだ・・と、いずれにしても、その武器の種類の多さだけでも空恐ろしい気がすると同時に、こういうものを携帯している必要がある治安の悪さがやっぱり一番怖いな・・と思うのでした。


電磁パルス銃 スタンガン テーザー銃


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2024年1月5日金曜日

マクロン大統領と岸田総理の年頭会見

  


 各国首脳が年始にあたって、演説や会見を行うことは、フランスでも日本でも同じですが、その方法は、かなり異なる印象です。

 私は、日本人ですが、フランスに住んでいるので、どうしてもマクロン大統領と岸田総理を比べてしまうのですが、今年の総理の会見は、日本人としては、どうにも、聞くにも、見るにも耐えないとしかいいようがない気持ちになりました。

 マクロン大統領の年頭会見は、年頭ではなく、大晦日の夜に一年を振り返りながら、新たな一年について語るという感じでしたが、意味合いは同じこと。しかも、会見というカタチではなく、一方的な演説のようなもので、エリゼ宮からの配信です。これは、毎年、同じです。

 まあ、どちらの国もどれほどの人が注目しているのかはわかりませんが、時間的には、双方ともに12分程度で同じではありますが、岸田総理はかなりゆっくり話しておられるので内容的には、少ないような気がします。もっとも、岸田総理の場合は、会見であるために、その後、記者からの質問に答えているので、少し補填されているので、一概には、判断できません。

 フランスでも国民がどの程度、この年末年始の大統領の演説を聞いているのかはわかりませんが、少なくとも、テレビのニュース番組などでは、このマクロン大統領の発言は一言一句といっていいくらい、考察され、これはどういう意味を持ち、どうなっていくのか?などという討論などが行われます。

 今年の日本は、元旦から起こった大震災のために、かなりイレギュラーなものとなったとはいえ、相変わらず、原稿をチラ見しながら、語る様子は、毎度のことながら情けない限りで、そもそも、最初に総理が登場したときに、スーツではなく、作業着のような姿で現れたので、これは、震災の話が中心になるのか?と思わないでもなかったのですが、総理が作業着が必用なような作業をするはずもなく、これは、単なる震災対応アピールの装いに過ぎないことは明白で、しかも、震災については、お悔やみやお見舞いなども含めて、冒頭1分ほどで、震災については他に会見も行われているという理由で、政治への信頼回復や憲法改正などについての話が中心になっていました。

 「装う」というのは、その場に応じた服装を身に着けるという意味と同時に、「ふりをする」という意味もあり、まさに、総理の装いは、震災対応やってますアピールに感じられて、空々しい印象の方が強い気がしてしまいました。

 やはり、国民が政治への信頼を失っているということは、ご自覚なさっているようですが、もしも、信頼を本気で回復したいのなら、今は、震災対応について、全力投球をするべきで、今、国民がしてほしいことは、今の瓦礫の下にいるかもしれない人や避難所で困難な生活をしている人にどうやって政府が救いの手を差し延べようとしているのかを説明し、国民全体が連帯して、この危機を乗り越えていこうと強く引っ張っていくリーダーとして、ぐんぐん進んでいく姿を見せてくれることの方がよっぽど信頼回復に繋がるのではないか?と思ってしまいます。

 作業着を着ただけでは、全然、伝わらないし、それこそ装っているようにしか見えません。

 マクロン大統領も、震災から数時間後には、お見舞いの言葉とともに、物的、人的支援を申し出ていましたが、フランスだけでなく、G7各国、中国、台湾など数十国からの支援の申し入れを受けているにもかかわらず、「態勢構築の作業や現地の状況を鑑みて、人的・物的支援は現時点で一律に受け入れていない」とのことで、何よりも、今、一時も早くに支援が必用なものを、上手く整理して、できるだけ支援を受け入れることができるように調整していくべきなのに、せっかくの申し入れを断ってしまうなど、信じられないことです。

 時間が経てば絶つほど、生存の可能性が薄れていってしまうというのに、いちいち、時間がかかり、「迅速に取り組む」などと言いながら、立派なのは言葉、口先だけ。

 総理は会見の中で、「世界が日本の安全と外交力の発揮を求めている」とおっしゃっていましたが、大震災というこの危機的状況の中で、総理がどのような対応をとっているかも注目されているわけで、それを作業着だけを着て、「国民の政治への信頼を回復する」と言いながら、海外からの支援をストップしているというのは、どうにも納得のいかない話で、これらも含めて、海外からの日本の外交力が欠如しているという烙印を押されかねないことです。

 一番、見るに堪えなかったのは、地震にまつわる原発問題について、記者からの激しい質問が投げかけられたところで、無理矢理、時間がないという理由で、無回答のまま、薄笑いを浮かべながら逃げるように立ち去ってしまったことで、「こんなこと、フランスだったら、あり得ない!」と、やっぱり思ってしまうのでした。

 この最後の質問を投げかけた記者の叫びのような「総理、聞く力はどこへ行ったのですか?」という言葉をスルーしてしまうなど、本気で国民の信頼を取り戻そうとしている態度には、どうしても見えないのです。


岸田総理年頭会見


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2024年1月4日木曜日

パリの美術館 軒並み過去最高来場者数記録

  


 パンデミックのために、一時はほぼ観光客が来なくなり、また、ロックダウンや感染対策のために、閉館になっていたパリの美術館も、すっかり活気を取り戻し、2023年は、概ね、どこの美術館も少なくとも前年を大きく上回る来場者を記録しています。

 なかでも、オルセー美術館は、年間来場者数390万人という歴史的記録を樹立しています。オルセー美術館の来場者数激増に大きく貢献したのは、「ゴッホ展」の開催で、この特設展は、高く評価されていました。

 また、オランジュリー美術館も120万人の来場者を記録しています。

 そして、なんといっても、パリで一番は、ルーブル美術館で、1日あたりの来場者数が3万人といわれ、こちらは桁違い、そもそも美術館自体の大きさも桁違いに大きいので、一度に入れる人数も全然違うので、簡単に比較することはできませんが、こちらは、年間来場者数が390万人と、過去最高記録とまではなりませんでしたが、前年比で14%増になっています。

 しかし、これらの美術館の来場者数の増加は、アメリカやヨーロッパからの観光客が大半を占め、依然として、アジア人観光客(日本、中国、韓国など)は戻ってきておらず、アジア人来場者は、ルーブル美術館来場者の 2.5%に過ぎないと言われています。

 かつては、日本人を含めたアジア人がかなりの割合を占めていたので、大きな変化です。

 パンデミック前にも、すでに日本人の観光客は、かなり減少傾向にありました。

 それまでは、大手旅行代理店のツアーで観光バスで大人数で押し寄せていた団体旅行客がいつのまにか姿を消しました。考えてみれば、以前は、パリの中心部には、観光バスがあちこちに停まっているのをみかけたし、ルーブル美術館の地下駐車場などには、ちょっとギョッとするほどの観光バスが常に停まっていたのです。

 それが、パンデミックを機にパッタリと止まり、それ以降も日本は長いこと感染対策が厳しかったこともあり、日本人が海外に出づらくなったうえに、戦争のために、ヨーロッパに来るには、一段と長い時間がかかるようになり、また、航空運賃も大幅に値上がりしたために、ますます日本人観光客の足は遠のいてしまいました。

 私が友人たちに、「パリにおいでよ!」などと誘っても、ただでさえ、休暇がとりにくい日本で、以前以上に往復移動の時間がかかるようになり、そのうえ、大幅な値上がりとなれば、足は遠のくのも当然かもしれません。

 パリには、大小併せて、約130以上の美術館があると言われていますが、うちの夫は、子どもを美術館に連れていくのが趣味という感じ?で、娘などは、一時、もう美術館には、食傷気味で、子どもの頃は、「また、ミュゼー???」と嘆く声をよく聞いた気がします。また、学校の美術の授業などで、ルーブル美術館に行ったりもしています。

 今から考えれば、我が夫にしては、なかなか上等な趣味で、あとから考えれば、つくづく贅沢な話だったと思いますが、身体を動かすことの方が楽しかった娘にとっては、厳しい修行だったかもしれません。

 しかし、小さい頃のそんな体験が役立ったのか、夫が亡くなった後でも、親戚や友人がパリに来てくれた時などで、私が仕事で休めなかった日などは、一緒に美術館に行って、案内をしてくれたりもしていました。

 娘も他人を案内したりして以来、一時、再び、美術館熱が高まって、やたらと美術館に行きたがり、しばらく、お休みのたびに、美術館巡りをしたこともありました。

 ルーブル美術館は、とにかく広いので、なかなか重い腰があがりませんが、それこそ、一度、パンデミックでしばらく閉館していて、やっと開館したばかりの頃、そして、まだ外国人観光客がパリに来ていなかった頃に、多くの人に、「行くなら今しかないよ!」と言われて、入場者よりも学芸員(美術館で働いている人)の方が多いような時期に行ったことがあり、ミロのヴィーナスを一人で鑑賞するという贅沢な体験もしました。

 しかし、後にも先にも、あんなことは二度とないだろうし、あってもらっても困ります。

 実際に、パリに観光に来る友人などは、ルーブルは広すぎて、時間もかかるし、大変なので、一応、外からだけ眺めるだけで、せいぜい、オルセーか、オランジュリーくらいにしておこうという人も多いです。

 今年は、いよいよオリンピックの年。オリンピック開催期間中も、パリの美術館は、通常どおりに、観光客は受け入れる予定にしているということです。


パリの美術館


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