2022年11月25日金曜日

パリの公立病院の救急治療室で起こった強姦事件

   パリの治安の悪さは承知しているつもりでも、まさかの救急搬送された病院で強姦事件が起こるとは、まさに世も末としかいいようがありません。 事件は10月末に起こっていたようですが、この強姦事件について、被害者の34歳の女性が「生命の危険に晒された」と病院を告訴したことから、この事件が公になりました。 事件当日夜、セーヌ川沿いのバーで過ごしていた女性は気分が悪くなり、バーを後にして外へ出て、ふらついて転倒し、地面に頭を打ち付けてしまったようです。ここまでならば、酔っ払いの女性がふらついて転んで怪我をしたのですから、自業自得と思われても仕方ないことです。 しかし、この女性は転倒後、反応がなく、頭に怪我を負っていたために、午前1時20分に救急隊によって救助され、パリ市内の公立病院に運ばれ、個室に収容されました。 女性は気を失ったまま、病院の個室に寝かされていましたが、午前4時頃、暴行を加える加害者に与えられた痛みで目を覚まし、悲鳴をあげたために、看護師がかけつけたのを機に、犯人は病院から逃走しました。 この犯人の犯行は、ある程度、計画的だったようで、現場での目撃者の証言によると、女性が最初に体調を崩したバーの近辺をうろついており、地面に倒れた女性を飢えた目をして、執拗に眺めていたと言われており、バーのオーナーは警備員の一人にこの男を追い出すように依頼したと証言しています。 しかし、驚くことに、この男は、1時間後にアルコールで昏睡したふりをして、救急車を呼んで、救急隊はこの男を彼女と同じ病院に搬送し、歩けないと言いながら、看護師に車椅子に乗せられて、被害者の病室と同じ廊下沿いの部屋に連れていかれました。 容疑者はまんまと被害者のいる病院に潜り込んだのです。 看護婦が立ち去ると、この容疑者は部屋を出て、個室から個室へと移動して彼女を探し回り、途中で看護師に遮られていましたが、結局、彼は看護師の目を縫って、犯行に及んでしまったのです。 しかし、その後、被害者が驚いて悲鳴をあげたことによりかけつけた看護師に見つかり、逃走したのです。 病院は直ちに警察に通報し、容疑者は、逃走する際に盗んだ被害者のクレジットカードで1時間後に食料品の買い物をしたところで逮捕されました。 逮捕後、警察の留置場で行われた検査の結果、容疑者からはアルコールは検出されなかったかわりに、大麻とコカインの陽性反応が出たと言われています。 この容疑者は非正規滞在者(不法移民)で22歳のヨルダン人であると名乗っているそうですが、彼は窃盗、盗品受け取り、薬物使用などで何度も逮捕されており、IDをいくつも(少なくとも13の身分を持つ)持ちながら、違法滞在を続けてきたようで、2020年に未成年者を強姦した容疑をかけられていたものの、事件は未解決のまま放置されたと言われています。 容疑者の供述によると、2019年にフランスに不法入国し、すでに3回のフランス領土からの退去命令(OQTF)を受けており、最後のものは、昨年7月であったものの、この3つのOQTFは、それぞれ別のIDで発行されたもので、追跡されていなかったようで、昨年9月からは、亡命申請を行ったため、追放の可能性が保留されていたということです。 この事件は、単なる強姦事件には留まらず、病院の安全管理に対する問題や不法移民の退去命令(OQTF)の管理の難しさなども含まれており、多くの問題を投げかけています。 もちろん、一番、罪があるのは、この不法滞在の容疑者であるには違いありませんが、普通、病院に搬送されれば、ひとまず安心するのが普通で、病院でこのような危険な目に遭うとは思いもよらないことです。 被害者の女性の弁護士は彼女は強姦されたという事実とともに、安全なはずの病院でこのような被害に遭ったという二重のトラウマを抱えてしまったと訴えています。 ただでさえ、人手不足の病院で、病院内で看護師が警察の警戒のような役割まで果たさなければならないことには、閉口してしまいますが、現在のところ、Assistance...

2022年11月24日木曜日

いつのまにか、また感染増加 フランスのコロナウィルス第9波

  パンデミックが始まって以来、もう大小さまざまの波が訪れて、なんとなく定期的にコロナウィルスの感染者数をチェックする習慣がついてしまいました。当初は毎日のように仰々しく感染者数がテレビでも発表されていたりしましたが、今やもうそんな報道もなくなり、自分から探しにいかなければ現状は把握しにくくなりました。 私はこれまで15万人以上のコロナウィルスによる死亡者を叩き出しているフランスで生活しながら、今まで、一度も感染せずに生き延びてきました。コロナウィルスによるパンデミックが騒がれ始めたのは、2020年の2月頃のことでした。 それから3月にあっという間にロックダウンという前代未聞の事態に陥りまし...

2022年11月23日水曜日

子どもの学校のバカンスの多さに追いまくられるフランスでの子育て

   「家族で旅行に行きたいけれど、平日に小学生の子どもを1日だけ学校を休ませて行ってもいいものだろうか?」という疑問を投げかけている人がいて、ヤレヤレ・・子どもの学校とバカンス問かか・・と、子育てが終わった今でも、思い出すたびに、ウッとくる気持ちです。 私は日本で子育てをしたことがないので、今の日本の事情はわかりませんが、私が子どもの頃は、母も日常的に通勤が必要な仕事はしていなかったので、特に学校がお休みであっても、母が子どもの処遇に苦労していた記憶はありません。 しかし、そういえば、私には、田舎というものがなく、夏休みにはおじいちゃん、おばあちゃんのいる田舎に行くという友達をう...

2022年11月22日火曜日

パリオリンピック オフィシャルショップ オリンピックオフィシャルグッズと値段

  2024年パリオリンピックのマスコットキャラクターが発表され、オリンピックオフィシャルショップがパリにオープンしたというので、見てきました。  ショップは、パリ1区のレ・アール フォーラムの一画にあり、マスコットキャラクター「フリージュ」のぬいぐるみをはじめ、Tシャツ、トレーナー、キャップ、キーホルダー、マグカップ、ピンバッチなど、様々な商品が陳列されています。 レ・アール、シャトレの駅からすぐのところにあるので、雨に濡れることもなく、迷うこともなく容易に行くことができます。 見ようによっては、パリにあるお土産屋さんと変わらないような気もしますが、商品の一つ一つには、オリンピックの公式マークが入り、中には、数量限定のプレミアがつきそうなものもあるのは見逃せません。 そんなに広いお店ではありませんが、一つ一つの商品を丁寧に見ていくと、なかなか工夫されたものなどもあり、楽しく過ごせますし、これからオリンピックまでの間という期間限定、今だけのものでもあり、パリのお土産としたら、なかなかお手頃な値段のものもあるので、記念に買っておきたいものなどもあるかと思うので、見てきた商品とお値段をご紹介します。  まずは、マスコットキャラクターのぬいぐるみは、小、中、大、特大(13€、30€、50€、150€)の4種類で特大は抱き抱えるほどの大きさです。 Tシャツ25€、子供用Tシャツ20€、トレーナー45€、キャップ25€             また、記念コインなどは、Monnaie...

2022年11月21日月曜日

2022年のシャンゼリゼのイルミネーションは節制モード Sobrillance(ソブリランス)

   毎年、ノエルの時期には、一度は見に行くシャンゼリゼのイルミネーションですが、今年は、去年までの赤いイルミネーションと打って変わって、シャンパンをイメージしたという黄金色に輝いています。 今年は、エネルギー危機、節電が叫ばれている中、さすがにシャンゼリゼのイルミネーションは中止ということはないだろうと思っていましたが、時間・期間ともに短縮になったようです。 とはいえ、凱旋門を中心に広がる沿道の400本の木々が数百万のLEDで華やかにライトアップされて飾られる風景は、やはり、毎年のことながら、息をのむ美しさです。 それでも、今年は節電の必要性から照明の数を大幅に減らしているため、...

2022年11月20日日曜日

離婚率も高いが再婚率も高いフランス 子育て期間も長くなる

   フランス人の友人、知人、同僚などには、子供の年齢が結構、離れていることがある場合があって、私とそんなに年齢が変わらないと思っていた人に意外とまだ小さい子供がいたりして、驚かされたりすることがあります。 彼女たちと世間話をしていると、子供の話題になることも少なくないのですが、そんな子供の話になって、「えっ?まだ、そんなに小さい子がいたんだ・・」と驚くと、「私だって、ほんとは、もう子供はいらなかったんだけど・・」などと、こちらが恐縮するようなことを言い出したりするので、びっくりさせられるのです。 また、そこまで詳細な家族構成がわからずにいて、子供は現在、同居している子供だけだと思...

2022年11月19日土曜日

原子力発電所の生産量低下で、極寒の1月には停電のリスク 

    フランスの送電システム運用会社であるRTEは、この冬は、フランスの原子力発電所が歴史的な原子力発電の生産量低下などにより、寒さが厳しくなると見られる1月には、停電のリスクがあることを発表しました。(例年、電力消費のピークは寒波時1月前後に集中) RTEと環境エネルギー管理庁(Ademe)は消費者が国内の電力供給量や必要に応じて停電のリスクをリアルタイムで参照できるようにするために「エネルギー天気予報」として考案された「Ecowatt」(エコワット)ツールを共同開発しています。 ここのところ、なにかといえば、天気予報のようなマップ・・コロナウィルスマップ、ガソリンマップ・・そして、今度はエネルギーマップ・・それだけ、わたしたちの生活がリスクに見舞われているということです。 このエコワットでは、グリーン「通常の消費」、オレンジ「緊迫した電力システム、エコアクション歓迎」、レッド「非常に緊迫した電力システム、消費を抑えなければ停電必至」の3段階のグラデーションが予定されています。 RTEは、この停電のリスクを回避するために、「利用可能なすべての生産手段を用いる」と断言し、環境汚染度の高い石炭火力発電所重要な役割を果たすことになると説明しています。 これまでも、政府は国民や企業に向けての10%の節電目標をかかげ、夜間の電気広告を禁止したり、エッフェル塔のライトアップの時間短縮をしたり、暖房の温度は19℃までなどと呼びかけ、中には、冬の2週間を臨時休校にしたり、マクロン大統領自らタートルネックを着てアピールしたりと、節電を呼びかけてきました。 私などは、停電のリスク以前に電気・ガス料金の値上げにより、値上がりしている分は、電力消費を抑えなければ・・と細かな努力ですが、こまめにコンセントを抜いたり、冷凍庫の霜取りをしたり(フランスの冷蔵庫は霜取りが必要な場合が多いのです)、暖房はできるだけ使わないようにしたりしていますが、そもそも大した電力消費をしていない我が家にとっては、これ以上、節電のしようがない感じもします。 これから、12月の冬至までは、日に日に日も短くなり、電気をつける時間も長くなるので、これ以上節電するとしたら、早寝するくらいしかありませんが、残念ながら、朝、明るくなる時間も遅いので、夏に日が長い反面、冬はとても暮らしづらいところです。 しかし、この停電のリスクは、この冬、電力需給が不均衡になった場合、家庭向け電力削減が行われる場合の具体的な停電対策が発表されていることから、ますますこの危機が現実感をもってきました。 なお、エコワットシグナルがレッドサインを示した場合でも、病院、警察、研究所、安全上必要不可欠とみなされる公共道路信号および照明設備、特定の産業施設(特に国防関連の施設)は、停電の対象とはなりません。 また、自宅療養中の生命に危険のある病人のいる世帯に対しては、PHRV登録(資格)を地域保健医療機関(ARS)に申請していれば、停電時の具体的な情報提供通知、停電予定日時の5日前に情報を得ることが可能になり、停電時に機器を動作させるための自律的な電力供給(発電機やバッテリーなど)の手配をすることができるとしています。 停電といっても、計画的に電力消費負荷分散のために、地域ごとに、時間帯を区切って(朝8時〜13時、夕方18時〜20時)停電させるということで、この計画停電の情報を的確に得るためには、ECOWATTのアプリを入れ、アラートをセットすれば、通知を受け取ることができるので、ある程度は、備えることはできるのかもしれません。 しかし、ひと月まえくらいまでは、このまま節電していけば、停電は避けられるということだったのに、まさかのこの事態・・。「例外的な状況を除き、夜間は決して行わない」としていますが、混乱は必須です。 我が家のアパートはガスはなく、オール電化、停電は本当に困るのです。 フランス1月停電<関連記事>「エネルギー危機が疑問を投げかけるクリスマスのイルミネーションの是非」「この冬の暖房費節約努力を示すシンボル タートルネック タートルネックは今年のモード?」「ストラスブール大学 節電のためにこの冬の15日間の臨時休校を決定」 「電気料金値上げによるエネルギークーポン再び配布」「ロシア...