2022年10月17日月曜日

パリのモーターショーと電気自動車購入のためのボーナスとガス欠

  


 今週からモーターショー(自動車国際見本市)が、4年ぶりにパリに戻ってきます。通常は、1年おきに開催されているパリのモーターショーは、2020年にはパンデミックのために開催が中止されたために、実に4年ぶりの開催になります。

 しかし、例年は、2週間で100万人が集まる大規模な人気のイベントでしたが、今年は自動車業界の複雑な状況から規模を縮小して行われ、主催者は、今年の来場者数を1週間で、30万人から40万人とすることを目標としています。

 メインのフランスのプジョーとルノー、シトロエンと共に中国とベトナムの電気自動車ブランドが大きなブースを構えて欧州進出を狙っています。

 ルノーは新型ルノー5と一緒に展示される電気自動車SUV、新型ルノー4を展示、プジョーはジープ、DSの新型車を発表、シトロエンは「サスティナブル」をコンセプトとしたOLIを先行公開します。

 しかし、このモーターショーが盛り上がりにかけるのには、ドイツ車、日本車が出展していないこともあり、BMWとフォルクスワーゲンは、子会社のミニ、シート、ブガッティ、ランボルギーニとともに参加しない予定です、日本車に関しても不参加と噂されており、話題には上がってきていません。

 このモーターショーを前にしたタイミングを図ってのことだと思いますが、前日には、マクロン大統領は、国民に向けて、電気自動車購入の際に所得の低い層の国民に対して(全世帯の約半数)のボーナスを6,000ユーロから7,000ユーロに増加することを、同時に電気自動車の充電ステーションにエネルギー価格の関税シールドを拡張することを発表しました。

 この電気自動車購入のためのボーナスは、電気自動車がガソリンやディーゼル車に比べてはるかに高額であるにもかかわらず、多くの国で市場が離陸する手助けとなってきましたが、このボーナスは、47,000ユーロ以下で販売される車、すなわちルノー メガーヌやプジョー2008などの小型電気自動車やSUVが対象で、テスラは対象外です。欧州製の車の購入に対するメリットの強化を計っています。

 同日、ボルヌ首相はこれまでのガソリン1リットルあたり30セントの援助を11月中旬までに延長することを発表しています。

 しかし、大統領、首相のそれぞれの発表には、国民はさして関心を寄せてはおらず、どちらかといえば、「今ごろ何を的外れなことを言っている!」「まず、給油も満足にできない状態をなんとかしろ!」と、反対に国民の怒りを買う始末。

 ボルヌ首相は現在の製油所のストライキについて、「私たちは、ストライキの権利は尊重しています。しかし、組合とは過半数の同意を得て交渉を締結しているのだから、少数派の意見の人々がいつまでもストライキを続けることは、あり得ない、会社側も従業員を説得する努力をする必要があり、責任がある」「しかし、もしも明日もまた、状況が非常に緊迫していれば、徴発(強制的に仕事をさせる)を行うことができる」などと言及しているものの、彼女の言っていることはいちいちもっともなことではあるのですが、どうも彼女のキャラクター?からか、厳しい学校の先生のような感じで一般庶民にあまり行為的に受け入れられる感じがしないのも残念なところです。

 ガス欠で車が動かなくなる車が多いのか、最近、レッカー車をよく見かけるようにもなり、ガス欠で仕事に行けない、店舗なども品物が届かない、来週から始まる予定のバカンスにも行けない・・状態で、電気自動車購入のボーナスなどの話をされたところで、それどころではない!政府は悉くタイミングがズレている!といって国民の怒りを買うのも致し方ない状況なのです。


パリ モーターショー 電気自動車購入ボーナス ガソリン不足 


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2022年10月16日日曜日

パリ12区で服従拒否の運転手に警察官が発砲 運転手死亡

  


 パリはまことに物騒な犯罪の多い街でもありますが、同時に警察官の検問にも注意を払い、素直に従わないと撃たれる可能性があると言うののは非常に恐ろしい話です。

 今年に入ってから、一体、何件、同じような事件を聞いたか、警察官を見ても、ちょっとそら恐ろしくなるような気さえしてしまいます。

 金曜日の夜7時半ごろ、パリ12区で保険未加入の車両の取締をしていた警察官が車を停めるように促したところ、運転手はこれを無視して逃走をはかり、交通渋滞に巻き込まれた脇道に入りました。

 車がいったん、止まったところで、2人の同乗者は徒歩で逃走し、車内に残った運転手にエンジンを切って、車から降りるように言うと、運転手は警察官に向かって車を発車させようとしたため、警察官が発砲したということです。

 同乗者は依然として逃走中、知人が殺された現在、どんな気持ちで逃げていることやら・・。なぜ、逃げるのだろうか?と一瞬、思いましたが、警察官に拳銃を向けられたら、さすがに怖くなって逃げるのは、普通です。

 運転手はその後、この脇道で店の前に駐車していた別の車両に突っ込み、まもなく死亡したそうです。現場を目撃していた人の証言によると、警察官が発砲したのは、3発、うち1発が命中し、運転手は重傷を負い、現場で心臓マッサージを受けたものの死亡してしまいました。

 この発砲事件で警察官2名が身柄を拘束され、国家警察監察局(IGPN)により「権力者による自発的過失致死」の調査の一環としての捜査が開始される予定です。

 今年に入ってから、服従拒否に関連して警察が発砲し、12人が死亡しています。私がちょっと思い浮かべるだけでも2〜3件はあります。シートベルトのチェックのための取り締まりの際の服従拒否での発砲事件もあったし、車ではなく、空港でのホームレスに向けての発砲事件もありました。

 いずれの事件もその時は、警察官の発砲事件が起こった!と一瞬、報道され、公権力保持者による自発的過失致死で捜査・・とまでは報じられるのですが、その後にその警察官がどうなったのかは、あまり報道されません。

 その度に、法務相などが出てきて、警察官は非常に危険な職務についているなどと、警察を擁護するかのごとき発言をするのがとても気になるところですが、保険未加入で逃走しようとする運転手に向けて、発砲までしなければならない理由がわかりませんし、発砲するにしてもとりあえず車を止めるならば、タイヤに向けて発砲するとか、別の方法があるのではないかと思ってしまいます。

 警察官が危険にさらされる職業であることは理解できますが、あまりに気安く発砲しすぎる傾向がある気がしてなりません。今回、法務相は、「警察官が武器を使用するケースは0.5%に過ぎない」と得意げに話していましたが、警察官や憲兵が1年間に記録した約26,000件の応召拒否のうち、約200件に発砲しています。つまり、0.76%の確率ということです。

 そもそも従わないから殺してしまうというのは、どう考えてもおかしな話です。死刑制度のないフランスは、死刑制度を声高く非難しながらも、微罪の犯人に対しても警察官の手であっさり射殺してしまう一面もあるのです。


パリ12区警察官発砲事件 服従拒否 射殺


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2022年10月15日土曜日

鎖国を解除した日本について 日本に観光客は戻るのか?

  


 「2020年春にパンデミックのために、外国人観光客をシャットアウトしてしまった日本がようやく今週からその扉を開けた!」と、紹介する報道がちらほら上がってきています。

 日本水際対策のためにしいていた外国人に対しての鎖国を段階的に解き、今年6月には、外国人観光客の入国が許されたものの、それは団体旅行や旅行代理店を通じた旅行に限られていました。

 そんな日本にも、10月からは、ようやく68カ国からの旅行者が再びビザなしで入国できる(ワクチン3回接種証明書あるいは、出発前72時間以内の陰性証明書があれば)ようになったことは、フランスのメディアでも取り上げられ始めました。

 パンデミックのためには、これまで日本人でさえも海外からの入国には、72時間以内の陰性証明やワクチン接種証明書、入国後の検査や強制隔離施設での隔離期間など様々なハードルが設けられていましたが、それ以上に外国人であるというだけで日本入国には、特別な場合にしか入国は認められず、ビザを取得しなければならなかったため、事実上、不可能に近く、またそのビザ取得のためには、日本から書類を取り寄せなければならなかったり、大使館には常にそのための長蛇の列ができて、通常業務にも差し障りが出る大変なことだったのです。

 外国人というだけで入国を拒否し続けてきたことに関しては、その意味は未だもって納得はできませんが、このビザが必要なくなるという発表前にビザを申請するために支払った料金も返金されることはなく、もやもやが残る鎖国解除でもあります。

 パンデミック前の2019年には、3,180万人の海外からの観光客を受け入れ、それに匹敵する経済効果(同年4兆8000億円、現在の価格で約340億ユーロ)を記録しましたが、日本はこの鎖国のために、2021年の訪日外国人旅行者は25万人未満にまで落ち込み、2022年も現時点では、50万人強で、以前の記録には遥か及びません。

 しかし、この鎖国解除の発表以来、日本の航空会社JALの予約は3倍に跳ね上がり、折りしも、記録的な円安を更新し続ける日本は海外からの観光客にとっては、またとないチャンスでもあり、日本は今なお人気の高い観光地であると伝えています。

 そんな日本に行く人のために、海外のメディアが現在の日本について、伝えていることの中で、「ほ〜っ!なるほど・・」と思ったことをお伝えします。

 まず、「コロナウイルスにより、人口1億2600万人近いこの国で約45000人の死者を出したが、これは他の多くの先進国に比べてはるかに少ない。 これは、日本の徹底した衛生管理によるものでもあり、日本ではまだまだ衛生習慣が厳しいので、それを遵守しなければならない。交通機関や店舗では今でもマスク着用が制度化されており、屋外でも厳しく監視されていおり、国は室内ではマスクを着用し、大きな声で話すことを控えるよう促しているので、日本に入国した場合は、この日本人の習慣に適応しなければならない、日本政府は、パンデミック発生時に、ホテルが管理体制に従わない宿泊客を拒否できるようにする規制強化策を承認している」と注意喚起を促しています。

 次に「ほ〜っ!」と思ったのは、「日本はこの鎖国期間に電子決済サービスを拡張し、現金の使用率が依然として高いこの国においては、ちょっとした革命が起こっている」という点です。

 私が2年ぶりに日本に行ったのは今年の4月でしたが、あまりに現金を使う人が多いのにはビックリさせられたばかりでした。銀行のATMなどに行列している人々に、なぜ?こんなに銀行に行列ができるのかを不思議に思ったばかりでした。

 やはり海外から見れば、現金を使うという人がこんなにも多いということは、驚きだということなのです。

 そして、円安と同時に航空運賃が爆上がりしていることにも言及しています。航空運賃は、燃料費の高騰、2020年以降に航空会社が被った多額の損失、ウクライナ戦争によりヨーロッパからのフライトがロシアを迂回せざるを得なくなったことなどで膨れ上がり、日本への観光客への抑止力にもなっています。

 大手オンライン旅行会社MisterFlyによると、日本への航空券の平均価格が83%上昇しているとしており、日本の鎖国解除は、フランス人旅行者の間で大きな関心を呼んでいるものの、この破壊的な航空券の価格上昇は大きな障壁となっていると言っています。

 日本政府は、年初から対ドルで25%値下がりした円安が観光客を呼び、経済活性化につながるものと期待していますが、83%の航空券の価格の上昇とどう折り合いをつけて日本へ行く選択をするかは、決して楽観視はできない状況ではないでしょうか?


日本鎖国解除


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2022年10月14日金曜日

EUがロシアの核兵器使用に対して警告「ロシアの核攻撃は、ロシア軍が全滅するほど強力な西側の軍事的対応に繋がる」

  


 最近のロシアのウクライナへの侵攻に関しては、ぼちぼちフランスでも、「プーチンは負けたのか?」という内容にシフトしつつあります。10月に入って以来のキエフへのミサイル空爆などに関しても、「この調子でミサイルを使い続ければ、ロシアの武器は枯渇し始める・・」とか、プーチンによる部分的動員でほぼ強制的に動員されている人々はほぼ素人で、何の訓練も受けずにすぐに白旗を揚げているとか・・もはやロシアに勝ち目はない・・という見方に変わっています。

 しかし、ロシア勢が劣勢になればなるほどプーチン大統領が核兵器を使用するリスクは上がっているということでもあるものの、ロシアが核兵器を使用する決断をすることは、そう簡単なことではなく、プーチン大統領の健康状態や精神状態などを併せながら語っています。

 先日もマクロン大統領が核兵器使用については、話題にし過ぎることは、信憑性がなくなることになるので、あまり多くを語らないと言っていたばかり。

 その翌日に、EUの外報部長は、ブルージュでの講演の中で、「ロシアによるウクライナへの核攻撃は、ロシア軍が全滅するほど強力な西側の軍事的対応につながる」と警告しています。

 彼は「プーチン大統領は、核の脅威に対してハッタリではないと言っています。そして、ウクライナを支援する国、EUとその加盟国、米国、NATOもハッタリではないことを理解する必要がある」と述べています。

 これではますます「ハッタリではない」と言い合う脅迫合戦ですが、言われるまでもなく、どんな種類の核兵器であろうと一度たりとも使用することがあれば、EUやNATO、アメリカなどのウクライナを支援している国々が軍事行動を起こし、紛争の性質を根本的に変えることになることは、ロシアもわかっているからこそ、さんざんの脅しをかけながらも踏み切れずにいるのです。

 「核兵器の使用は、たとえ小さなものであっても大変な結果をもたらすものであり、ロシアもそれを承知している」としながらも、「NATOが核兵器を使用しなければならないような状況は極めて稀である」とNATO事務総長は述べていいます。

 NATOが核兵器を使用するには、NATOの同盟国に対する攻撃が行われた場合で、ウクライナに関する限り、当事者ではない。NATOの核抑止力は、同盟国への攻撃を抑止するためのものだ」と述べ、NATOによる核兵器の使用を暗に否定しています。

 EU、NATOなどの国々は核兵器を保ちつつも核兵器を使うことなくロシア軍を全滅させるほどの軍事対応をするということになります。

 また、 米国防長官は、「彼らは非常に危険で無責任だ」と警告し、「ロシアが核態勢を変えたという兆候は今のところないが、我々は365日24時間監視している」と述べています。

 核兵器の使用をチラつかせながらハッタリではないと脅し続ける一方で、占領した地域をどんどん奪還され始め、軍事的に劣勢になってきているロシアは、軍事力ではなく、わけのわからない選挙という茶番劇で無理矢理、領土を併合しようとしたり、そんなことあり得ないでしょ!という非常に子供じみた方法を取ったり、やはりどう考えても勝ち目はありません。

 ロシアが攻撃すればするほど、ウクライナは諦めるどころか、さらに強力に対抗し、EUやNATO、アメリカ、G7などの国々との連帯を強め、「北風と太陽」の話を彷彿とさせます。

 しかし、そもそもあり得ない形で始まった、このロシアのウクライナ侵攻は何をしでかすかわからないロシアの現在の状態で、そのうえ最初の数週間で占領できなかった時点で、もはやロシアには勝ち目がないにもかかわらず、多くの自国民でさえも犠牲にしながら侵攻を続ける建設的な意味はまるでなく、たとえ自国が滅びようとも、このやぶれかぶれに何をするかわからないロシアがハッタリではなく、本当に脅迫どおり、パリ、ロンドン、ベルリンを攻撃するようなことだって、ありえないとは言えないのです。


ロシア核兵器使用の場合はロシア軍全滅 EU警告



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2022年10月13日木曜日

マクロン大統領1時間のインタビュー生番組 圧倒的な話すチカラ

  


 フランスでは、そんなに珍しいことでもありませんが、先日、マクロン大統領が夜のニュース番組の中で、1時間近くにわたり独占インタビューに答えて語る番組が生放送されました。

 様々な国際問題について、ロシアのウクライナ侵攻について、フランスのウクライナへの武器供与、ロシア・プーチン大統領との交渉について、核兵器について、エネルギー危機について、ガソリン不足問題、原子力発電について、ベラルーシ、イランやアルメニアの問題について、などなど、これでもかというくらい喋りまくりました。

 ジャーナリストのキャロライン・ルーとの1対1の対話、途中ウクライナからのジャーナリストの質問などを挟みながらの生番組で、おおよそのテーマは決められていたであろうし、その一つ一つに対する話の内容については、用意はしていたとは思いますが、どちらもかなりのテンションで話が進んでいく中、おそらくかなり自分の中で練り込まれているであろう内容を自分の言葉で巧みに語っていく様子には、毎度のことながら、お見事と感心させられます。

 ロシアのウクライナ侵攻については、フランスが戦争をしているわけではなく、ウクライナを守るために武器供与を行なっているのであり、ロシアは2月24日、ロシアはウクライナに対する戦争の開始を選択しましたが、今月に入ってからのロシアによるウクライナへの一般市民を巻き込んだ空爆による攻撃はさらなる段階に突入したと見ており、このことから、さらに6台のシーザー砲を追加供与することを決定しました。

 今月に入って以来激化しているロシアによるウクライナへの攻撃について、マクロン大統領は、たとえロシアがこれを戦争ではなく「特別軍事作戦」と言ったとしても、国際的な武力紛争であるため、戦争の規則が適用され、民間人に対する攻撃は、国際法上、戦争犯罪とみなされると明言しています。

 数週間前にプーチン大統領と話したという彼は、必要ならばいつでも話をする用意があるが、いずれ話し合いのテーブルにつかなければならないのは、ロシアとウクライナであることも強調しています。

 また、国内の問題については、これまで欧州はロシアのガスに依存しすぎており、以前は購入するガスの約40%がロシアからでしたが、現在は7.5%。「ロシアはガスを戦争の道具に変えてしまった」と語り、フランスの原子力発電所については、「56基のうち30基が稼働している状態。あと数週間で、40基が稼働され、1月には45基にするのが目標であり、この目標は達成される見込みであることを発表しました。

 ロシアの核兵器の使用については、非常に警戒が必要であるとしつつも、核兵器への脅しに煽られて話題に上げすぎてはいけない、あまり多くを語らない方が信頼性が高まると述べ、フランスも核兵器保有国であるということだけを語りました。

 そして、現在フランスで起こっているガソリン不足問題については、これは戦争によるものではなく、製油所のCGTの社会的な問題であり、首相が決定した製油所労働者を徴用する(最低限社会生活に必要なガソリン供給のために働くことを強制し、従わない場合は懲役6ヶ月、罰金1万ユーロという罰則つき)ことについて、夜中にガソリンを探すために行列している人々のことを思うと、頭が下がる思いであり、これ以上、国を封鎖したままにしておくわけにはいかない、フランスの燃料価格が他のヨーロッパ諸国と比べて圧倒的に上昇していないのは、国が差額を支払っているからで、誰もが自分の立場をわきまえ、すべての責任を負わなければならないと述べました。

 おそらく、この場に臨む以前に何度も話し合いが続けられてきた内容ゆえ、台本なしになめらかに力強く語り続けることができるのでしょうが、この他にベラルーシ、イラン、アルメニア問題なども語りつつ、最後にインタビュアーが締めの言葉に入ろうとしたのを遮って、最後にもう一つ言わせて欲しい!と彼自身の納得のいく言葉で「たしかに難しい局面ではあるが、わたしたちにはチカラがある。必ず乗り越えられる」と締めくくりました。

 マクロン大統領は弁が立つことで有名で、時にはそれが嫌われる原因ともなるのですが、なんといっても、その言葉は力強さには、もしかしたら騙されているかも?と思いつつも納得させられてしまうようなところがあり、何よりも、なに一つ国民に対して満足に説明できない日本の首相の様子を見ている限り、国のリーダーとして、羨ましい気持ちを拭いきれないのでありました。


マクロン大統領インタビュー生番組


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2022年10月12日水曜日

必須アイテムになったガソリンスタンド検索アプリ pénurie mon essence

   

ガソリンスタンドを探すためのマップ


 ほどほどなところで解決すると思われていたフランスのガソリン不足問題。

 そもそもガソリンの供給も危うい状態に製油所のストライキが重なって、日々、問題は拡大し、深刻化している上に、危機感を煽られる人が続出。中には、ポリタンクを抱えて過剰にガソリンのストックを始める人までいたり、どこのガソリンスタンドでも、長蛇の列・・と思っていたら、もう列ができる以前にガソリンスタンドのタンクも空になって補給されなくなり、今やガソリンのあるガソリンスタンドを探すことが難しくなり、ガソリンスタンド検索アプリなるものが必須アイテムになっています。

 9月の時点で、すでに政府が軽油やガソリンを置いているガソリンスタンドをリストアップし、燃料の種類、ブランドの種類、部署や町単位での検索が可能なサイトを提供し、定期的に更新しています。フランス政府のガソリンスタンド検索サイト

 また、ユーザーによって開発された« pénurie mon essence »(ペニュリー・モン・エッセンス)のサイトは政府のサイトよりもさらに便利で、利用可能なガソリンスタンドを一覧できるマップを搭載しています。何よりも政府のサイトよりも優れている点は、その情報が常にリアルタイムで更新されている点です。« pénurie mon essence »

 こちらの方は、探したい場所の市町村の郵便番号を入れるとその地域から近くの利用可能なガソリンスタンドが出てきます。《Essence & CO》

 通勤に車が必須な人や運転の仕事をしている人(タクシーや運送会社など)には切羽詰まった状況で、ついには、「警察、消防、救急などの車両用が最優先」などという話までし始めたのには、ますます危機感が煽られる感じがしますが、煽られるというよりも実際にガソリンを探すのが困難な状況に陥ってしまっているということなのでしょう。

 価格の高騰だけでなく、あたりまえのように使っていたものの供給が止まる・・普段、ガソリンに有り難みなど感じませんが、考えてみれば、ガソリンがないと、あらゆることがストップしてしまうことを今更のように思い知らされるのです。

 ガソリンスタンド、または、すでにガソリンの入った車からのガソリンの盗難事件なども起こり始めているようです。

 何にせよ、パニックが起こった時には、似通ったことが起こるのでしょうが、パンデミックの当初にマスクが足りなくて、輸入されたマスクが病院に優先的に運ばれるそばから、盗難事件が起こり、最後には、マスクが国内に到着すると、大変な護衛隊に先導されて運ばれていたことを思い出しますし、コロナウィルス対応に政府が最初に作っていたサイトよりも、結果的に、大いに活躍したのは、政府とは無関係の24歳の青年が作ったサイト「コビット・トラッカー」(ワクチン接種の空き状況が確認・予約できるサイト)だったりしたことも、なにかと共通点を感じます。

 後にこの「コビット・トラッカー」は政府のサイトと連携するようになりましたが、より便利なツールを自分自身で自由自在に築いていくZ世代の力強い活躍を感じました。

 このガソリンスタンド検索アプリによって、無駄にガソリンを探し回る必要はなくなりましたが、供給量が絶対的に不足していることを解決できているわけではなく、このガソリンの大元の供給に加えて、ストライキによる供給量の低下には、一部の政治家までがストライキを動員したりしているのには、閉口してしまいます。

 今は国内で争っている場合ではないと思うのですが、やはりアプリだけでは解決できない問題で、どうにか、これ以上の混乱が起こらないためにも、おおもとの問題が解決してくれることを願っています。


ガソリンスタンド検索アプリ


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2022年10月11日火曜日

コロナウィルス第8波 公共交通機関(閉鎖空間)でのマスク義務化検討中

     


 フランスでは、今年の5月半ばに公共交通機関内でのマスク着用義務化が撤廃されて以来、夏の間は、ほとんどマスクをしている人がいなくなっていました。それでも、マスクをしている人が決してゼロにならなかったのも事実で、これまでマスクを忌み嫌っていたフランス人、よほど痛い目にあったか、恐怖が植え付けられた人なのか・・と思っていました。

 3月の段階で、屋内でのマスク義務化が撤廃されて、最後まで残っていたのが公共交通機関でのマスク着用義務でした。

 そして、7月末で、2020年3月から施行されていた保健衛生上の緊急事態の期間が終了し、それとともにコロナウィルス感染対策のためにとられたすべての例外措置が終了したので、現在は、これまで行われてきたロックダウンや行動制限措置等が必要になれば、政府は国会と一つ一つ交渉して、対策を講じなければならない状態になっています。

 秋の訪れとともに、第8波を迎えているフランスは、1日の新規感染者数は着実に増加し、先週の1日の新規感染者数の平均は56,000人程度、入院患者数は16,000人を超えています。

 個人的には、想像していたよりは、増加の速度は遅いような気がしますが、確実に波の高さが上昇中であることに違いはありません。

 この状況を受けて、科学技術評議会は公共交通機関(閉鎖空間)でのマスク義務化再開を検討中であることを明らかにしています。

 しかし、大多数の人がマスクをしていないとはいえ、最近では、メトロの中などでのマスクをしている人は、少し増えた感じがあり(といっても車内1両中に5〜8人程度)、なんといっても、マスク義務化が撤廃された当初のようにマスクをしている人に対して怪訝な顔をしたり、いちゃもんをつけたりする人がいなくなり、必要だと思う人はマスクをつけ、必要がないと考える人はしないというバランスの良さというか、それぞれの棲み分けが健全にできている感じで悪くないな・・と思っています。

 私自身は、現在は、屋外ではマスクはしていませんが、公共交通機関の中ではマスクをするように、マスクはいつも持ち歩いています。

 一時は、「マスクをいつまでもしてるなよ!」的な人がいて、嫌な思いをしたこともあるのですが、今はマスクをしている人もしていない人もそれぞれに尊重している感じです。

 3月末に屋内でマスク義務化が撤廃された時に、スーパーマーケット内(パリ)で「いつまでマスクしてるんだ!」と他人に絡んでいるおじさんがいて、ゾッとしたり、4月に日本に行った時に、外を歩いていた時に、誰もいない屋外の空間だったので、マスクを外したら、どこからか人がひょっこり出てきて、すっごい怖い顔で睨まれたりして、「うわっ日本人怖い!」と思ったりしたことがありましたが、現在のフランスのマスク事情に関しては、そのようなどちらに対しても、同調圧力というものがなくなり、ちょうどいいというか、バランスがとれて健全になった気がしています。

 今後は、急激に感染状況が悪化することがあれば、再び義務化も致し方ないとも思うのですが、今の必要だと思う人はマスクをつけ、マスクをしている人に対しても嫌な顔をしないという状況がちょうどよいのでは?と思っています。

 現在は、インフレやエネルギー危機、節電など、他方面からの生活の締め付けられる場面も多く、抑圧されることに溢れているので、マスク義務化はこれまで以上に慎重になっていると思われます。

 でも、今のところ、フランスのマスク事情、いい感じです。

 

コロナウィルス第8波 公共交通機関マスク義務化


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