ヨーロッパ周辺のオミクロン株感染者が確認されている国々(オレンジ) |
未だはっきりとした情報がないままに、特性がまだわかっていない新しい変種の脅威に直面して、これまでにない激しい変異が見られ、他の変異株とは非常に異なり、予想以上の大きな進化を遂げていると言われているオミクロン株は、WHO(世界保健機構)から、早々に、警戒度が最も高い分類の「懸念される変異株(VOC)」に指定され、多くの国が緊急の対策を取り始めています。
フランスはこの情報が流れてすぐに、南アフリカをはじめとする周辺7カ国からのフライトを停止するという措置をとり、まだフランス国内で感染者が確認される前からオミクロン株感染者が確認された場合は、感染者だけではなく、感染者に接触した者に対して、ワクチン接種の有無にかかわらず隔離措置をとるということを発表していました。
これがほんの数日前のことで、最初の時点では、ベルギー、イスラエルのみだったオミクロン株感染者は、今やヨーロッパでは、かなりの国で感染者が確認され(イギリス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、ベルギー、オランダ、デンマークなど)、イギリス・スコットランドの感染者の中には、海外渡航歴のない者まで含まれており、もはや市中感染が始まっていることが確認されています。
フランスでは、オリヴィエ・ヴェラン保健相が「すでにフランス国内にもオミクロン株感染者が存在する可能性が高い」と述べていますが、現在のところ、フランスでは、オミクロン感染が疑われる者が8人とだけ発表されており、その確認結果が発表されていないままのため、フランスでのオミクロン株感染はカウントされていません。
すでにデルタ株の感染拡大で、第5波の大きな波を迎えているヨーロッパですが、各国のこのオミクロン株対応には、かなり注目しています。
ヨーロッパ内での対応は、特定地域からの入国停止など、大まかには似たり寄ったりの南アフリカ対応ですが、日本の「11月30日から世界中からの外国人の新規入国をすべて禁止する」とする発表はかなり衝撃的に報道されています。
フランスでの報道では、「日本政府は、金曜日には、南アフリカ、ボツワナ、エスワティニ、レソト、ナミビア、ジンバブエからの訪問者が日本に到着した人に対して、強制隔離施設での隔離期間を10日間に延長することを発表していましたが、週末には、マラウイ、モザンビーク、ザンビアがそれに加わったばかりでした・・」
「日本政府は、国境の制限を緩和したわずか数週間後、さらに厳しい鎖国措置をとることになり、緩和はたった3週間しか続かなかった・・」と、まるで日本の感染状況が悪化しているかのごときの書きようには、少々、違和感を感じるものでもありました。
「そして、日本の政府首脳はまた、アフリカ南部の9つの国、およびオミクロン変異体の確認された症例が記録されている国から帰国する日本人は、「厳格なリスクベースの隔離措置」を受ける必要があると述べている。」とも伝えています。
他にイスラエル、モロッコ、オーストラリアなども同様の外国人旅行者との国境を閉鎖する措置を発表し、オミクロン株鎖国をする国々として、一括りにしていますが、どういうわけか、日本が必ずその筆頭に挙げられているのは、「鎖国」という形態が過去の日本の歴史からも、島国である「日本」のイメージに近いことからくるのかもしれません。
すでに、地続きであるヨーロッパ諸国では、デルタ株の拡大とともに、オミクロン株がかなり蔓延している可能性が高い状況であり、日本が早い時点で、未知なるこの新しい変異株の侵入を必死で食い止めようとするのとは、そもそも、別次元の問題なのかもしれません。
しかし、海外在住邦人からしてみれば、日本に入国できないわけではないとはいえ、少々隔離期間が短縮され始めていたところが、フランスからの日本入国も再び、強制隔離施設での隔離期間が設けられ、ちょっとだけ近くなりつつあった日本が再び遠のいてしまった・・そんな気持ちです。
とはいえ、外国人であれ、日本人であれ、同じ人間、感染を日本に持ち込むリスクは同じはずで、南アフリカからとはいえ、陰性証明を持って飛行機に搭乗した人間がオランダに到着時には、多数が感染していたことを考えれば、現在の渡航は控えるべきであることは、明白です。
想像以上に早く、なかなか衝撃的な日本のとった「鎖国」対策、これが吉と出るか否かはわかりませんが、個人的には、妥当な対応であるような気がしています。
オミクロン株 日本鎖国
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