2021年4月14日水曜日

コロナ禍の娘のパリの国立病院の研究所でのスタージュ(インターンシップ)

 

  

 我が家の娘は、昨年、秋から日本の国立大学の大学院に留学する予定にしていましたが、ドタキャンになり、今年の春に延期したものの、結局、2度目のキャンセル、昨年の秋の段階では、本当に飛行機のチケットも買って、出発の目前でのドタキャンだったために、突然とぽっかりと空いてしまったその期間のフランスでのスタージュ(インターンシップ)を見つけるだけでも大変なことでした。

 2回目のキャンセルは、一度、痛い目に合っているために、煮え切らない返事しか戻って来ない日本の大学に早々にある程度は、見切りをつけ(こちらのグランドエコールと日本の大学の人が間に入っているため、直接、交渉ができないために余計に話が進まない)、また、前回のようなギリギリで違うスタージュを探す羽目にならないように、日本留学と同時進行で、彼女は、自宅から通えるパリでのスタージュも探していました。

 結局、最終的な返事はないまま、パリでのスタージュが決まって、4月から彼女は、パリの国立病院併設の研究所でスタージュを開始しました。このパンデミックの中、彼女は慎重にロックダウンになったとしても、リモートワークが可能な研究所を探し当てていたのですが、彼女が仕事を開始するその日から、パリは、3回目のロックダウンが強化になり、学校も閉鎖される絶妙なタイミング。

 彼女は、図らずも3回目のロックダウンが開始されたその日にパリに戻り、そして、今日から仕事という日にロックダウン強化という節目節目にピッタリ合わさるようになっているのが不思議です。

 学校だけではなく、仕事をしている人もできるだけリモートワークに切り替えてくださいという政府の方針から、「恐らく、リモートワークになるだろうけど、とにかく最初は、行かなくちゃいけないから・・」と出かけていったのですが、結局、彼女の仕事はリモートワークにはなりませんでした。

 仕事場が病院内ではないものの、病院に併設された研究所ということで、感染の危険もあるかも・・と、心配していたのですが、研究所内の人は、全てワクチン接種済み、彼女自身もワクチン接種を受ける権利をもらったのでした。

 ワクチン接種は、彼女が働いている病院ではやっていないため、別の病院にワクチン接種に行くのですが、今のところ、何度、電話を入れても予約が取れない状態で、すぐには、ワクチン接種はできそうもありません。

 しかし、今、フランスで、病院以外で全員がワクチン接種済みという職場もなかなかないことで、その上、年齢から行くと、(20代前半)ワクチン接種は、一番、後回しになりそうな彼女がスタージュのおかげでワクチン接種を受ける目処が立ったことは、思わぬ幸運なことでした。

 家にいても、救急車のサイレンが頻繁に聞こえてくるフランスなので、病院では、さぞかし、サイレンが1日中、鳴り続けていると思いきや、意外にもそうではないとのこと。それもそのはず、その病院には、もう空いている病床がないということなのです。(パリを含むイル・ド・フランスの集中治療室の占拠率は154.9%(4月13日現在))

 それはそれで、恐ろしいことです。

 彼女は、その研究所でその病院の医学部の教授の事務所で、研究の助手(データ管理など)をしています。彼女が進路について、考え始めた頃、彼女が理系の道に進もうと決意し始めた頃から訪れ始めた頃から彼女自身にも現れ始めた理系の人々独特の兆候の集団にどっぷりと浸かり始めた彼女の新しい生活が始まりました。

 ある日、夜7時になっても帰って来ない(夜間外出禁止で19時までに帰宅しなければならない)娘に「どうしたの?心配したよ!」と言ったら、「医者には、夜間外出禁止はないから、遅い時間になって、会議を始めたから・・」と。

 彼女(彼女自身は医者ではないので)が、「夜間外出禁止があるから、時間を考慮してください」と言って、初めて、夜間外出禁止に気が付くという浮世離れぶり、全然、悪気はないのですが、やっぱり、一般人とは、違うんだな・・と思わせられた彼女の新しい職場でした。

 悪気は全くないのに思わぬところで、とてもトンチンカンな理系の人にありがちなエピソードがこれからチョクチョク、聞けるかと思うと、私はちょっと楽しみです。しかし、彼女自身がすでにそのお仲間の一人・・彼女がその彼らの不思議な行動に気が付かない可能性もあります。

 とはいえ、前回のスタージュと違って、彼女の希望に近い職場が見つかって、その上、ワクチンまでできて、よかったな・・と少しホッとしていますが、彼女自身は、もう今年の秋からの次の学校への試験やスタージュ先を探す次から次へとなかなか忙しい娘です。

 しかし、フランス政府のコロナウィルスによる経済被害対策の一環として、加えられたスタージュ等の採用をすると、企業側が税金の控除を受けられるなどの対策のため、スターじゅの求人は、昨年よりも増えているようで、少しは余裕を持って探せる状態になっているようです。

 この時期、進路も色々と計画どおりには、ならなかったり、就職も大変だったりする人も多いと思いますが、諦めずに頑張っていって欲しいと思っています。


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2021年4月13日火曜日

パリ16区で起こった銃撃事件で1名死亡、1名重症の衝撃



 昨日、私が、パリ16区で起こった銃撃事件を最初に知ったのは、日本大使館からの一報でした。「報道によりますと、12日午後1時40分頃、パリ市16区アンリデュナン病院(ミケランジュ通り)の前で、銃撃事件が発生し、1人が死亡、1人が重症とのことです。犯人は、スクーターで逃走中とのことであり、邦人の皆様におかれましては、以上を念頭に外出は十分ご注意下さい」という内容のメールでした。

 このメールが届いたのは、この事件が起こった約2時間後の15時35分で、1日中ニュースを注意して見ているわけではない者にとっては、貴重なお知らせでした。

 パリ16区といえば、東京で言えば、田園調布のような高級住宅街で有名な場所、日頃、治安が決して悪くない場所で、銃撃事件が起こるということは、かなり衝撃的なことです。

 今年の3月にも、パリ16区の高校(Lycée Jean de la fontaine)前で、数十名が関与するグループ間の乱闘から3人が負傷し、1人が刺されるという事件が起こっています。

 この高校が公立高校でありながら、日本語セクションがあり、正課で日本語が学べる高校であることから、その存在を知っていただけに私にとっても、ショックはことさら大きなものでした。

 しかし、今回は、単なる暴力事件ではなく、銃が使われた犯罪で、その恐ろしさは、ひとしおです。

 目撃者の証言によると、犯人の男は、被害者の頭のかなり至近距離で数発の弾丸を発射して、かなり落ち着いた様子で、そのまま何事もなかったように去り、スクーターに乗って逃走したそうです。

 頭を至近距離で撃たれた男性は、死亡、そばにいた病院警備にあたっていた女性は、重症を負っていますが、この死亡した男性とは無関係の女性だそうです。

 この事件が発生した前の病院は私立で、赤十字が運営しており、予防接種センターとして機能している病院の前で起こったことから、ワクチン接種等へのテロ行為であることも疑われていましたが、パリ16区の市長は、この事件は、病院に対する反抗や無差別テロ行為ではないことを発表、被害者がこれまで何度も標的として狙われてきた経緯などから、犯人と見られる男は、1時間以内に以前から警察がマークしていた33歳の男であると特定、即時に指名手配されています。

 パリ検察庁は、これを組織的なプロのグループによる殺人事件、殺人未遂事件として、捜査を開始しています。

   

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 今年に入ってからも、パリでは1月に15区で14歳の少年に対する集団襲撃事件、2月に17区で日本人に対する塩酸襲撃事件」、3月に16区でグループによる乱闘事件など、パリの治安の悪化が叫ばれ続けてきました。

 今回は、再びパリ16区、よりによって16区で銃撃事件まで起こるとは、さらなる治安の悪化の象徴的な出来事である気がしてなりません。

 とはいえ、16区は、富裕層が多いこともあり、かつての日本大使の家族が路上で車に乗っていたところを強盗に襲われたなどという事件もあり、狙いうちされる危険は、少なくない場所でもあるのかもしれません。


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2021年4月12日月曜日

パリの闇営業レストラン、捜査強化を受けて続々、発覚・検挙

 


 先日のパリ・中心部にある「パレ・ビビエンヌ」での超高級レストランの闇営業事件がM6(フランスの民放テレビ局)によるスクープで暴かれて、大騒動になって以来、パリ、イル・ド・フランス地域の闇営業レストランの警戒と捜査が強化され、続々とパリの闇営業レストランが発覚しています。

 この闇営業レストランの捜査には、通常、街をパトロールしている制服に身を包んだ警察官とは別に、UPA(行政警察ユニット)、いわゆる私服警察官も多く動員されています。

 残念なことに、この捜査の強化により、パリ市内及びイル・ド・フランス地域では、続々と闇営業レストランが検挙され始めました。

 中でも、先週末、金曜日の夜には、パリ19区のレストランの闇営業夕食会の最中に地方警備局(DSPAP)の警察官が突入し、110人以上もの顧客が集まっていた夕食会が検挙されました。


 

 警察は、110人以上の顧客に対して罰金を課すとともに、この夕食会の主催者とレストランのオーナーの二人を闇営業と多くの人の命を危険に晒したという理由で逮捕しています。

 また、パリ2区をパトロールしていた警官が、シャッターは閉められているものの、レストラン内に顧客がいることに気付き、レストラン内に突入しようとしたものの、彼らは警察の介入、捜査を拒否し、警察を攻撃し始めたため、警察は、援軍を呼び、大掛かりな警察突入劇に発展し、警察を攻撃した人を含めたレストランのオーナー、主催者5人が逮捕、拘留され、現場の顧客30人に対して罰金が課せられました。

 特に、超高級レストランの闇営業が問題視されたことで、これまで口をつぐんで来た、知ってはいたけれど黙認してきた闇営業レストラン近隣の地域住民からの通報が後を絶たず、このような闇営業レストランが次から次へと(この他にも、パリ12区、13区、18区なども・・)検挙され始めています。

 しかし、このレストランの闇営業問題の突破口を開いた超高級レストランの闇営業に対しての捜査は、この超高級食事会の主催者であるピエールジャン・シャランソン氏は、当初は、「エイプリルフールのジョークだった」とか、「民主主義社会の中、やりたいことをやっているだけ・・」とか、「あれは、企業が会場の下見をするためのもの・・」など、言っていることが、二転三転していたものの、結局は食事会であったことがバレて、警察からの呼び出しに弁護士同伴で応じたものの、「警察の事情聴取は、緩いインタビューを受けているような丁寧なものであった・・」などと、富裕層・特権階級ならではの特別な扱いを警察からも受けたことを吹聴し、今度は、入れ替わり立ち替わり証言者が表れて、「しかし、あれは、私邸、プライベートスペースであり、レストラン営業ではない」という弁明を毎日のように続けています。

 ただでさえ、映像で流された超豪華で、しかも全くソーシャルディスタンスなどのコロナの予防対策は全く無視された、きらびやかな食事会の様子は、一般庶民の大反発を呼び、上流階級への反感も合間って、ヒートアップしています。

 しかし、それが贅沢な食事会であろうと、一般庶民の食事会であろうと、今のフランスのコロナウィルスの感染状況では、とても許されるものではないのです。

 ましてや、現在は、子供の学校まで閉鎖状態。子供が充分な教育を受けられない状況で、大の大人が隠れて行っている夕食会は、許し難いものです。

 ましてや、上層階級の人がお金と権力で、今回のスキャンダルを封じ込めることができてしまえば、それこそ、警察・法治国家の在り方までもが問われる大きなデモや暴動にまで発展してしまう危険もフランスには、あることを忘れてはなりません。

 コロナウィルスは、人を差別せずに全ての人に感染します。警察、国家権力も貧富の差別なく、平等に対処してもらいたいものです。

 内務省によると、「昨年、10月30日から7,345軒のレストランがチェックされ、約300軒のレストランが検挙され、1,000人以上の顧客に罰金が科せられた」とのことです。

 これでは、フランスの感染は、減るわけはないです。


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2021年4月11日日曜日

大寒波によるワイン農家の被害とカーフールのワインフェア

    

   

 4月に入ってから、大寒波に襲われたフランスのブルゴーニュなどのワイン農家は、作物の大部分を失うという大惨事に見舞われています。葡萄の小さなつぼみが全てタバコのように茶色になり、触るとカサカサと音がするような壊滅状態にワイン農家は、必死の対応に追われ、多額の対策費を投じるも、その被害状況は、壊滅的です。

 これまで、30年に一度と言われていたワインの生産地での、この被害が、今年に入ってからだけでも、3回もマイナス5℃以下の気温に見舞われているそうで、政府は、農業災害に対する補償の活性化を求められています。

 フランスのワインといえば、フランスの文化とも言えるフランスの農産物の代表格であるひとつ。国がかりでの支援は、必須です。

 ただでさえ、ここのところ、若者のワイン離れが叫ばれ、ワインの売り上げが低下している中、この新型コロナウィルスによるパンデミックにより、フランスのレストランは昨年の3月以来、まともに営業できた期間の方が短いくらい、レストランの営業停止は、ワインの売り上げに大きく影響します。

 また、人との集まりやアルコールの販売なども時間制限、人数制限がされていることもあり、ますます売り上げ減少に拍車をかけられています。 

  


 そんな中、先週、近所にあるカーフールに買い物に行ったところ、いつもは、年に一度、秋頃に行われるワインフェアを今頃、やっており(ロックダウン中とはいえ、なかなか良く売れていました・・)、そういえば、少し前にワインフェアの招待状と割引券が来ていたことを思い出し、その日は、下見だけして、カタログをチェックして、割引券を持って、後日、出直して、ワインを箱買いしてきました。




 以前は、ザルと言われるほど、お酒が大好きだった私も、最近は、あまり飲むことも減ったのですが、それでも染み付いた酒飲みの習性は、たくさん並べられた酒瓶、酒樽、積み上げてあるワインの木箱などを目にすると、なんだか自分の内側からムクムクと湧き上がってくるものがあり、なんだか一人でウキウキと嬉しくなってしまうのです。


 

 とはいえ、私は、特にワインが大好きというわけではなく、詳しいわけでもないのですが、フランスでは、ワインが圧倒的にコスパがよく、別にコレクションをしているわけでもないのに、毎年、良さそうなワインを買い貯めていたものが、もう相当数あり、最近は、たまにお料理によっては、ワインが飲みたくなったり、友人が家に来て一緒に食事をするときぐらいしかワインは開けないので、あまりストックも減らなくなり、そうそう、もういらないかも・・と思っていたにもかかわらず、このワインフェアのワインの瓶や木箱が積み上げられている様子に思わず興奮して、ついつい買わずにはいられないのです。

 ワインフェアに行くと、熱心なワインファンと思われるおじさま方に混ざって、ワインフェアのために、現地からワインを売りに来ている恰幅の良いおじさまなどに教えて頂きながら、ワインを選ぶのは、なかなか楽しいものなのです。

 最近は、高級なワインではなく、お手頃価格のワインの中から、思わぬ掘り出し物を見つけることが楽しくなり、失敗しても、お料理に使っても惜しくはない程度のワインに照準を合わせています。

 日本に一時帰国した際に日本でワインを飲むことは、まずないので、(せっかくだから、日本に行った時には、日本酒や焼酎などを飲みます)日本でのワインの価格がよくわかりませんが、本当にお手頃価格のものばかり、今年は、26本(3箱プラス2本)買いました。

 私は、個人的には、ボルドーの赤が好きなのですが、娘が白ワインが好きだというので、「そんなに高くなくて、辛口で美味しいもの」と言って、お店のおじさんに紹介していただいたのがこちら↓↓↓です。


     
      4.5 €と 8.5 €(600円〜1,100円程度)とお手頃価格のものです。


 そして、私が今回、買った赤ワインは、2020年パリ農業コンクール、リヨンインターナショナルコンクールで金賞を受賞したというボルドーのワイン、なんと一本 2.64 €(約300円)でした。(箱買い価格)↓↓↓
          
金賞メダルの二つ付いたワイン・・ワインのボトルって美しい・・


 まだ、味見はしていませんが、ワインを飲むには、チーズが欲しい・・今度は、お気に入りのチーズ(コンテ18ヶ月)を買って来よう!と思っている次第です。

 この値段ならば、もしも今ひとつであったとしても、お料理用に使っても全然OK!です。
私は、お料理にも結構、ワインを使います。和食を作る際にも、特に日本酒やみりんなどが手に入りづらく、高いので、白ワイン+お砂糖少々で、代用することが多いです。

 今は、旅行にも行けず、レストランにも行けず、ワインを買うくらいの楽しみしかないので、ワインくらい、箱買いしてもいいよね・・。安いし・・。

 ワインを箱買いするときは、フランスにいてよかった・・と思うひとときなのです。


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2021年4月10日土曜日

イル・ド・フランスの集中治療室の占拠率150%突破 医療崩壊と実世界のギャップ

  


 今週の木曜日は、久しぶりに政府の記者会見もなく、今週のフランスには、コロナウィルス感染対策に関する大きな変化はありませんでした。

 結局のところ、イースターの週末までは、ギリギリ国内の長距離移動も認められていて、フランスにとっての3回目のロックダウンが実質的に始まったのは、今週に入ってからのこと、まだ、その効果を期待するのは、時期尚早であるとしか言いようがありません。

 今回のロックダウンは、学校のバカンス期間に重ねての学校閉鎖(バカンス+リモート授業)と数種類の店舗が営業禁止になったものの、街中に、まるで緊張感はなく、晴天も合間って、すこぶる平和な光景。

 しかし、街中で見える平和な光景とはうらはらに、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)の集中治療室の占拠率は、とうとう150.5%にまで達し、フランス全体でも113.8%までに上昇しています。

 医療に関しては、全くの素人の私は、集中治療室が150%超えの状態ということは、どういうことなのか、わかりませんが、恐らく、他の病室の患者を移動させて、器材を揃えて、仮の集中治療室として使っているのだと推察しますが、これでは、コロナウィルスだけでなく、他の病気の人も助かる命が助からなくなっている状態で、これが医療崩壊ということではないかと思っています。

 手術の予定等を組み直しているという話は、聞いていましたが、ここまで集中治療室の占拠状態が膨れ上がれば、そうそう手術の予定をずらせる患者ばかりのはずもなく、加えて緊急を要する患者は、どうなっているのでしょうか?

 長引く、制限下の生活に、こんな深刻な数字にも、国民は鈍感になり、(ある程度は、鈍感でなければ、精神的に参ってしまうのもわからないではありませんが・・)ロックダウンがどんどん、その言葉の重みを失っている気がします。

 つい先日、パリの超高級レストランの闇営業のスクープが大スキャンダルになったばかりですが、これに続いて、昨日は、サン・トゥアン(セーヌ・サン・ドニ地域圏=イル・ド・フランス)の闇営業レストランが摘発されました。

 先日の超高級・闇営業レストランの摘発により、警察の警戒が厳しくなっている結果とも言えますが、昨日、摘発されたサン・トゥアンのレストラン(こちらは、庶民的なレストランでしたが・・)は、警察が突入した時には、店内には、62人もの客がおり、ソーシャルディスタンスもまるでなし、食事中ということでマスクもなしの大繁盛状態だったそうで、いかに危機感がないかが、伝わってきます。

 セーヌ・サン・ドニは、イル・ド・フランスの中でも、最も感染状態が深刻な地域。子供たちが学校へ行けない状態になっているというのに、ここまで他人事でいられる大人が情けないとしか言いようがありません。

 この日のこのレストランの客は、62人全員、135ユーロの罰金を課せられました。

 一方、先日の超高級・闇営業レストランの主催者とシェフは、弁護士同伴で、警察の事情聴取に応じているようですが、「これは、あくまで私的な空間での集まりであり、レストランではない」と主張しているようです。

 しかし、昨年の10月末にレストランの営業停止が再開して以来、招待状などから、少なくとも15回の食事会が開催されていたことがわかっており、それぞれのメニューには、決して少なくない金額が記載されており、場所はどこであろうと商売であることには変わりありません。

 恐らく、闇営業は、これだけではなく、想像以上に存在しているのではないかと思っています。

「あくまでも学校閉鎖は最終手段、その前にやれることは全てやる!」と頑張っていたフランス政府ですが、これらの闇営業のレストランの摘発は、その前にやれることの一つであったに違いありません。

 昨年末にもパリには、昼時になると、超満員になるレストランが今でもあるという話が聞こえてきたりしていましたが、警察も見て見ぬふりをしていると言われていました。

 将来のある子供の学校生活を犠牲にしても続けられている闇営業のレストラン、今からでもせいぜい、力を入れて摘発してほしいと思っています。

 子供たちに大してだけでなく、真面目に営業停止のままで、ずっと耐えている同業のレストランのオーナーに対しても、酷すぎる話です。


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フランス 再びロックダウン・・少なくとも12月1日まで

 

2021年4月9日金曜日

進んでいそうで、結構、進んでいないフランスのオンライン・リモートシステム

  


  

 パンデミック以来、盛んに推奨されているリモートワーク、オンラインシステムです。

「仕事もリモートワークを最大限に!」「現在閉鎖中の学校もオンライン授業に・・」と、オンラインシステムが急速に拡大した・・と思いきや、意外に浸透しきっていないことに、最近、いくつかぶつかっています。

 以前に比べれば、やはり、オンライン化で、まず、銀行などに行くことは、特別なことでもない限りなくなり、振り込みや支払いなども全てオンラインでできるようになったりして、ずいぶん楽になっていることもたくさんあるのですが、それは、コロナ前からのことで、フランスは、1回目のロックダウンから1年経って、この一年間という準備期間があって、さぞかし進歩しただろうと思われるのに、やはり、フランスの本領発揮、何をやるのにも時間がかかるのが常であったということを再確認させられる気にさせられています。

 まず、学校が閉鎖になって、再度、リモート授業になるというスタートから、まず、サイバー攻撃にあったとかで、初日からシステムがダウン。再スタートを切るのに数日を要するという失態。

 そして、個人的なことではありますが、今年に入ってから銀行を変えるという銀行乗り換え作業に乗り出した私は、オンラインでできるはずのことを数回にわたり、銀行に呼び出され、自動振り込みなどの銀行変更手続きも、全て乗り換え先の銀行がやってくれるはずだったのに、そうは行かないところもあり、自分で手続きするにせよ、その機関(公的機関)によっては、オンラインではダメ!RIB(銀行口座ナンバーなどの情報)とIDカードを本人が持参しなさい!というところまであって、オンラインで済むところもある中、わざわざ、それを届けに出かけなければならないという信じられないことがあるのです。

 IDカードをわざわざ持参しろというのだから、本人確認のためかとも思わないでもなかったのですが、マスクは当然の如くしたままで、顔もロクに見るわけでなし、やっぱりそのためでもなかったのです。

 フランスの公的手続きというものは、昨年から今年にかけてのビザ(滞在許可証)の更新手続き(これもオンラインではできない)で、さんざん嫌な思いをしていることもあり、間に人の手が介入すればするほど、書類を失くされたり、ミスやトラブルが起こる可能性が高まるので、全く信用していないので、「書類を持参せよ!」などと言われると嫌な予感しかしないのです。

 無駄に人の手が介入せず、オンラインで機械的に済んだ方が、書類を失くされる心配もなく、ずっと安心していられるのです。

 ましてや、このコロナ禍・・どこかへ出かけて、人と接触する機会はできるだけ減らしたいのに・・持って来い!というからには、そのための人員もリモートワークではなく、出勤しているということですから、思うほどには、リモートワークは浸透しきっていないことを思い知らされるのです。

 浸透しないと言えば、2度にわたって、フランス政府が作り直した#TousAntiCovidというコロナウィルス感染者追跡アプリも結局、使う人が少なくて、ほとんど役に立っていません。

 そして、我が家には、もう一人、オンラインで済まないことを嘆いているのが娘です。彼女は、3月までやっていたスタージュのレポートを現在、在籍しているグランドエコールに提出しなければならないのですが、その40枚ほどのレポートをファイルにして、ネットで送れば済むものを、学校側は、「それを印刷して、郵便で送れ!」と言うのだそうです。

 そのような大量なレポートを印刷する手間と費用と、そして郵便局まで行って送るという、手間と費用と外出の機会の増加とに、どうにも納得がいきません。

 昨年のロックダウンの際のリモート授業で、プリンターが売れに売れたという話は聞いていましたが、それには、小さな子供がプリントして、勉強するだけではなく、こんなことも含まれていたのです。

 まさか、グランドエコールの教授がネットで送られたレポートを開けられずに読めないはずもなく、単に、以前からの習慣から脱却できないだけなのです。この期に及んでも・・。

 フランス人は、変化を嫌う国民である上に、何をするにも時間がかかる(工事などの工期も守られないのが普通)国民ではあります。システムを加速して、進めるパンデミックという絶好の機会でさえも、それは全く活かされていないのです。

 フランス人には、この危機的状況でさえも、「お尻に火がつく」ということはないのです。

 

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2021年4月8日木曜日

新規感染者数2,000人の日本と60,000人超えのフランス どちらが幸せか?

   


 現在、3回目のロックダウン中のフランス。フランスにとっては、ロックダウンは、回を重ねるごとに、緩くなっていく感のあるロックダウン。しかし、今回は、学校も2週間のバカンス期間を含めた約1カ月間の閉鎖状態で、今週からは、リモート授業がスタートしています。

 しかし、一度目のロックダウンで、開始されて、環境整備や準備が整っているのかと思いきや、スタートと同時にサイバー攻撃か?などと、問題が起こり、多くの生徒がリモート授業を受けられない大混乱状態。

 リモートワークになるだけで、子供のモチベーションを保つのは、難しいところにきて、最初のスタートからのこのつまづきの痛手は、バカンス期間を挟む日程だけに、余計に難しいのではと思ってしまいます。

 ゆるゆるなロックダウンとはいえ、多くの店舗は、営業停止になっているものの、街中やメトロなども、なかなかの人が移動していて、平日にも関わらず、なかなかの人出。

 そういう私も用事があって、昨日、久しぶりに渋々メトロに乗って、パリの中心地域に出かけたのですが、本当に恨めしいほどの晴天で、朝晩は、少々、肌寒いくらいですが、日中は、もうサングラスが欲しいかな?と思うほどの日差しで、街の中の花も美しく咲き乱れ、あらためて、パリは美しい街だと思いながら、歩いていました。

 ちょうど、昼食時だったので、テイクアウトのサンドイッチなどを楽しそうに食べている様子は、平和そのもので、想像以上に楽しそうなランチタイムの光景です。

 フランスの1日の新規感染者は、6万6千人を突破したというのに、この平和な感じは、何なんだろうか?と思います。

 パンデミック以来の犠牲者も97,000人を突破(4月6日現在)、これでは、「コロナと共に生きる」などと言っている場合ではないのではないのではないか?と、私は、内心、思っていました。

 しかし、もうここまで来ると、同時にもうこれは、これで彼らの生き方で、仕方がないのではないか?という気もしてきているのです。

 たしかに感染回避のために必要な努力を怠っている面も多々あり、自分が知らぬ間に感染して、さらに他人に感染させてしまうことは、許されないことだと思いますが、どんな時にも、人生を楽しもうとしている、フランス人がよく言う「la vie est belle ラ・ヴィ・エ・ベル(人生は素晴らしい)」(たしかに、最近、さすがに、あまり聞かなくなった言葉ではありますが・・)の精神は、パンデミックの現在でも、彼らの本質に染み込んでいるものなのだと、つくづく思うのです。

 それが、今だからこそ、余計にそんなことを感じるのかもしれません。それが命がけでやることなのか?と思う、人と戯れ楽しく時を過ごす毎日の積み重ねが彼らの人生そのものなのです。

 ラテン系と言ってしまえば、それまでですが、華やかなパリのイメージとは裏腹に、実のところは、(ほんの一部のセレブ階級の人を除けば、)彼らの生活は、とてもシンプルで質素です。

 こんな時だからこそ、彼らの生き方、死に方が余計に浮き彫りになって、感じられるのかもしれません。

 言いたいことを言う権利はあくまで認められ、このロックダウン下でもデモは行われるし、警察が介入して罰金を課せられなければ、人の集まりは止められないし、それでさえ、厳しい規則をかいくぐって、プライベートクラブを運営したり、本当にどうしようもないと思うのですが、この彼らの楽しむことに貪欲な姿勢には、呆れるかえるだけでなく、どこか、もう彼らは、こういう風に生きてきたのだから、仕方ないのではないか?と思う気持ちも湧いてくるのです。

 たしかにコロナウィルスに関しては、現在は、確固とした治療法もなく、フランスでも、何とかして命を救おうと医療体制も破綻寸前ながら、長い人は、何ヶ月も集中治療室で治療することになったりしていますが、一般的に他の致命的な病気に関しては、あまり無駄な延命治療などは、しない印象です。

 これは、フランスの医療システムにも関係があることですが、フランス人の死生観も大きく関係のあることだと思っています。

 フランス人に対して、「これだからダメなんだよ!」と思う反面、あくまでも楽しく生きることを全うしようとしていることが、なんだか、ちょっと羨ましい気さえしてきてしまうのです。

 とはいえ、フランスよりも倍近い人口の日本は、未だに1日の新規感染者は2,000人程度とフランスの30分の1で感染を抑えられ続けているということは、ものスゴいことです。衛生観念は日本人の日常から植え付けられているもので、個々が自分を律することができる日本はやはりすごいのです。

 しかし、1日の感染者が6万人を超えているような状況でも、それなりに文句を言いながらも、ささやかに楽しむことを決してやめない人々もそれなりにスゴいなとも思うのです。


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