2024年9月7日土曜日

慈善団体アベ・ピエール財団 新たな性加害発覚で名称変更、記念碑撤廃へ

  


 フランスでの慈善活動の大きな柱の一つとなっているエマウスやアベ・ピエール財団を設立したアベ・ピエールの50年以上にもわたる性加害・性暴力事件が表沙汰になったのが、今年の7月の半ば頃のことでした。

 アベ・ピエールは、貧しい人々の救世主的な存在であっただけに、この性加害・性暴力の犠牲者がこの貧しい人々や子どもたちであったことは、さらに衝撃的な話でした。また、これまでも被害者が訴え出たことが少なからずあったにもかかわらず、この財団内で揉み消しのようなことが行われ続け、公にならなかったことも問題を長期化、深刻化させたとして、大きく問題視され、現在のアベ・ピエール財団の代表は、この問題に対して、激しい怒りを表明し、独立した調査委員会を立ち上げ、問題追及、事態の解明に努めることを宣言していました。

 最初の暴露から、ほぼ2ヶ月後、財団は、さらに17件の新たな被害者の証言が認められ、アベ・ピエール財団の名称を変更し、アベ・ピエールが埋葬されている村、エステヴィル(セーヌ・マリティーム県)にある記念碑を撤廃することを発表しています。

 なんといっても、アベ・ピエールはすでに亡くなっているため、本人を告発することはできませんが、このさらなる17件の証言では、「胸への一方的な接触」、「強制的なキス」、「強制的なフェラチオ」だけでなく、「弱い立場の人への性的接触の繰り返し」、「性的挿入の繰り返し」、さらに「子供との性的接触」などの、なかなか重たい内容で、報告書では、50年近くこの行為が続けられてきたとしており、被害者女性は、子どもから成人までに及び、本人が90歳を過ぎて、車椅子で生活するようになっていた時でさえも続いていたとされています。

 これらの証言によると、被害は1950年代にまで遡り、そのほとんどはフランス国内で起こったことでしたが、時には米国、モロッコ、スイスなどでも被害が報告されているとのことで、もう言葉を失う感じです。

 アベ・ピエール財団、エマウス・フランス、エマウス・インターナショナルは「犠牲者に対する全面的な支援」を再確認し、証言者の勇気に敬意を表し、彼らの味方であることを保証することをプレスリリースで発表、サポートシステムは年末までオープンで利用可能であるとしています。

 しかし、逆に、50年も続いたこの性加害行為に対してのサポートシステムが、年末まで利用可能・・ということは年末にはクローズしてしまうとは、どういうことかと思ってしまいます。

 日本のジャニーズ問題は、今、どうなっているのかわかりませんが、長い間、内部で隠蔽されてきたことや、生前は、やたらと本人を奉りあげるような感じがあったり、その実、本人がやってきたことは、えげつないことこのうえなくて、また、アフターケアーや補償についても、どうにもすっきりしないことまで、なんだかよく似ているような気がします。

 そのうえ、アベ・ピエールに関しては、慈善事業の創始者・カトリックの司祭というのですから、つくづくウンザリさせられる話です。

 それでも、彼の作った貧しい人々を助けるためのこの団体やエマウスなどの仕組みは、今でもフランスの中で機能し続けているもの・・、とはいえ、今となっては、おぞましさしか連想できないこの彼の名前の入った団体名を変更するとのことで、それは当然と思いつつ、これまた、ジャニーズを連想させるのでした。


アベピエール


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2024年9月6日金曜日

ようやく首相任命 史上最年少の首相の後は・・73歳 ミシェル・バルニエ氏

  


 突然の国民議会解散選挙から、2ヶ月間、空席になっていた首相の席。ようやく任命されたのは、史上最年少の首相とは正反対?の1951年生まれの73歳という最近の人事からしたら、かなり年長(第5共和政では最年長)のミシェル・バルニエ氏に任命されました。

 フランスの首相は、大統領によって任命されますが、通常、国会の過半数に属する政党の出身の者が選ばれるのが通例です。大方は、大統領陣営の人間が務めることが多く、任命もスムーズにいくのですが、今回は、選挙の結果、過半数に達する政党が不在となり、そのうえ、過半数には達しないとはいえ、第一党となったのは、新人民戦線(NFP)であり、少なくとも、最大勢力となったこの党から首相が任命されるものと思われていました。

 パリオリンピックを理由になかなか首相任命に踏み切らなかったマクロン大統領は、オリンピックが終わるころには・・と、当初は説明していましたが、オリンピックが終わっても、ずるずると決まらず、新人民戦線(NFP)はルーシー・カステッツという女性を首相に推薦しており、これには、マクロン大統領も依存はなく、エリゼ宮は彼女を首相に迎える準備ができている・・などという報道が流れましたが、結局、マクロン大統領はこの提案を却下。

 その後、次から次へと様々な人の名前が挙がっていましたが、噂ばかりで、マクロン大統領は、口を閉ざしたままで、もうニュースを追うのも疲れてきた・・と思っていたところでした。

 前任のガブリエル・アタル氏が任命された時は、彼はマクロン学校のミルクを飲んで育ったマクロンベイビーなどと言われるほどのマクロン直結の人物で、当時、甘いマスクで人気者だった彼の人気に乗っかり、そのうえ史上最年少の首相ということで、話題を呼びました。史上最年少の首相は、8ヶ月間でその任務を終えました。

 しかし、今回は最年少とか、人気に乗っかるとか、そんな悠長な話が通用するような政情ではなく、考えてみれば、これほどやりにくいタイミングというか立場の首相というのもそうそうない気がします。

 結局、マクロン大統領が選んだのは、第一党の新人民戦線(NFP)でも、マクロンの政党でもなく、議会選挙で最下位だった政党の議員です。

 ミシェル・バルニエ氏は、ここ最近には、あまり前面に出て話題をさらうことはなかった人物ではありますが、1993年にエドゥアール・バラデュール政権の環境大臣として初の大臣職に就き、その後、シラク大統領とサルコジ大統領の下で大臣を3度務めた経験豊富な人物とのこと。

 英国のEU離脱の時には、ブレグジットの交渉担当者として、難しい交渉に臨む非常に難しい仕事が注目されネゴシエーターとしての力量が注目され、今回の任命もそのあたりの能力に期待がかけられたのかもしれません。

 しかし、常識的に考えれば、第一党である新人民戦線(NFP)から、首相を任命するのがまあまあ、妥当なところと思いきや、それをしないことで、当然、新人民戦線(NFP)は「マクロン大統領は議会選挙の結果を公式に否定した!」と真っ向から否定、このミシェル・バルニエ氏本人の評判は、そこそこなのに、この首相任命については、かなり炎上しています。

 とはいえ、首相は大統領が任命することになっているため、首相が任命された以上、その首相を中心に内閣が組閣されていくものとみられます。

 それでも、「マクロン大統領は、独裁を続けようとしている!」とか、「マクロン大統領は「ジュラシック・パークをやっている=化石を探しに行っている」とか、「化石であるだけでなく、政界の化石となった人物を首相に任命した!」などと非難の声も上がっており、73歳で化石扱い・・と、ちょっと啞然としてしまいました。

 もう、話がヒートアップしすぎて、話は2027年の大統領選の話まで出てきて、まだ3年先のことなのに、今後のマクロン政権、どうなっていくのか?全く先が見えないどころか、いつもは、饒舌すぎるくらい国民の前に出て話すマクロン大統領が全く出てこないのは、どうしたことなのか?と思います。


フランス首相任命


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2024年9月5日木曜日

突然の停電の理由

  


 昨日は、午前中に仕事を済ませて、食事してから外出しようと思っていました。

 ところが、仕事が一区切りついたところで、突然、ネットが繋がらなくなり、「えっ??」と焦ったのですが、まあ、ネットがなぜか繋がらなくなることは、そんなに珍しくもなく、しばらく待っていれば、勝手に復旧するので、「またか・・」と思って、余裕で構えており、じゃあ、続きは食事の支度をしてからにしようと思っていました。

 ところが、食事の支度をしようと冷蔵庫を開けてみたら、冷蔵庫の中が真っ暗で、その時、初めて停電していることに気が付きました。

 昼間なので、部屋の電気をつけていたわけでもなく、テレビをつけていたわけでもないので、まさか停電とはすぐには、気が付かなかったのです。

 そこで、ブレーカーが落ちているのか、見て見たら、そういうわけでもなく、特に電気を使っていたわけではなかったので、何で突然、停電したのかがわからず、アパートのどこかで工事でもしているのか?とか、地域の停電?なのか?とそれでも、まだ、少し、様子を見て見ることにしました。

 幸いにも、急ぎの仕事は片付けていたので、焦ることもないか?と思いつつも、停電となると、とりあえず一番、心配なのは冷蔵庫の中身で、今はそんなに暑くないとはいえ、やっぱり、そうそう余裕で構えているわけにもいかず、すぐに管理人さんにSMSを送りましたが、すぐに既読になりません。

 少しベランダの野菜の手入れなどをしたりして待ちながら、それでも連絡がないので、今度は、彼女に直接、電話をして、それでも留守電になったので、メッセージだけ残して、待ちました。

 平日の日中なので、夜までにはなんとかしなければ・・と少々、焦り始めると、やっと、「OK!あと15分で行きます!」と返事がきて、一安心。

 うちのアパートの管理人さんは、とっても感じのよい女性で、これまでも幾度か助けてもらってきました。彼女が来ると、ブレーカーを確認し、キッチンの電源タップコンセントをチェックすると、「たぶん、これだと思う!」と、そのコードを外して、電気をつけてみると、あら不思議、あっという間に電気は繋がりました。

 問題だった電源タップコンセントが古くなり、汚れなどで、危険な状態になると、電気が繋がらなくなるそうで、すぐに、カーフールかルロワメルランにいって、新しい電源タップコンセントを買ってきなさい・・できれば、赤いランプをつけたり消したりできるものの方がよい・・と。Action(アクション)はやめておいた方がいいと・・。つまり、この類のものは安物は避けた方がよいという意味だと思いますが、あまりに具体的に店名を言うので、少々、笑ってしまいました。

 電気製品は、壊れたら、仕方なく買い替えるし、どのくらい使っているか、だいたいの記憶はあるのですが、電源タップのコンセントは、壊れていることに気が付かないので、気をつけないと、火事になったりするから、気を付けて、時々、意識的に取り換えたほうがよいとのこと。

 電気のコードなど、そういえば、もうずっと取り換えていないし、おおもとのコンセントがどこだったかも家具に隠れてわからなくなっているくらいで、慌てて、コードを買いに行って取り換えようとすると、もうそれは、恥ずかしいほど埃だらけで、このタイミングに掃除しないでどうするの?という感じで、2ヶ所のコードを変えるのに家具をずらしたりしながら、大格闘して埃まみれになりながら大掃除。

 彼女のおかげで電気は復旧し、午後半ばの時間には、どうにか、もと通りになりました。

 電気系統などのトラブルには、めっぽう弱く、今までは夫や娘に頼りきっていたのですが、二人ともいなくなってしまったので仕方ありません。

 こうして、電源タップコンセントにも寿命があることをまた一つ、学んだ・・と思い、これからは、定期的に交換し、コンセントの電源まわりも、こんなに埃だらけにならないように掃除しなければ・・と思わせられたのでした。

 この電源タップコンセントというの名前が日本語でよくわからなかったので、ネットで調べてみたら、この電源タップコンセント・・日本のものは、そもそも電源のコンセント自体も小さくてスッキリしていることもあり、実にスマートで便利そうなものがたくさんあって、「へえ~~さすが日本!いいなぁ~」と思いました。

 しかし、それにしても、結果的には大したことをしたわけでもないのに、ハプニングでグッタリ疲れた一日でした。


停電 電源タップコンセント


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2024年9月4日水曜日

治安のよい日本におぼれている娘

  


 フランスで育った娘が日本で就職して、早や2年が経ちました。生まれた時から、日本語はしっかり教えようと、私としては、かなりしつこく娘への日本語教育だけは諦めずにずっと続けてきたので、その日本語も使えて、フランス語も英語も使いながら、現在、彼女が仕事ができていることは、私にとっては、何より嬉しいことです。

 小さい頃から、学校の長いお休みの時には、毎年、日本に連れて行っていたので、ある程度は、日本のことをわかっていたとは思いつつ、日本で生活を始め、しかも日本で仕事をするとなると、フランスとは習慣も文化も違うことがたくさんあり、さぞかし、困惑することもあるかも? そして、日本人の生活に馴染めるのだろうか?と親としては、心配なこともありました。

 彼女の仕事は、リモートワークが多いのですが、会議などで、「「お疲れ様でした・・」と言われるけど、何と答えればいいのかな?ほんとに疲れてはいるんだけど・・」などと聞かれて、「ああそうそう・・それは、挨拶みたいなもので、本当に疲れているかどうかの問題じゃないよ・・お疲れ様でした・・と言われたら、同じようにお疲れ様でした・・と言えばいいよ・・」と答えながら、そういえば、そういった、日常では何気なく使う言葉というか習慣のようになっている言葉があるんだな・・と苦笑した覚えがあります。

 最初に日本で生活を始める時には、家のことやら、最初に生活を始める最低限の手続き等のお手伝いをして・・と思って。一瞬だけ、ついていったのですが、習うよりは、慣れろ・・と言う感じで、彼女は仕事をしながら、そして、少しずつ友人を作りながら、遊びながら、少しずつ日本の生活に慣れていき、短い間に彼女は、転職までして、さらに良い条件の仕事を見つけ、日本での生活を存分に楽しんで、また、しっかり仕事もしているようです。

 彼女とは、たまに電話で話をしますが、そんな時、一応、尋ねることがあるのですが、「最近、なにも失くしていない?」ということで、我が娘ながら、本当にしっかりしている子なのに、なぜか、以前から、物を失くすことが多く、もう「え~~また~~??」ということが、時々、あります。

 まあ、人生の大事な部分がしっかりしていれば、よいのですが、やはり、日本に行っても、たまに思い出したように、「最近は、なにか失くしてない?」と聞くと、まあ、相変わらずやらかしているようで、ため息をつくしかありません。

 ただし、日本の場合だと、それが見つかる可能性が高いため、だいたいは、お財布だったりするのですが、最後に使った場所はどこだったか?を思い出して、聞きに行ってみると、たいていはでてくるため、もう慣れてしまって、最近では、「また、やっちゃった!」と思いつつも、「えへへ・・」くらいな感じになっていて、自分でも全然、焦っていないことに気が付いて、「えへへ・・じゃないよな・・」と自分で自分に突っ込みを入れているのだそうです。

 本当に「えへへ・・」じゃないです。そんなことがまかりとおるのは、世界広しと言えども日本だけ、「もうフランスでは生活できないよ・・」と。フランスだったら、失くさなくても盗られたりして失うこともあるというのに、そんなフランスで育った娘が今や日本の治安モードにどっぷり浸かってしまっているようです。

 もちろん、ふつうに日本人がそんなに娘のように忘れ物などをするというわけではないでしょうが、忘れ物を見つけても、ちゃんと取っておいてくれたり、しかるべきところに届けてくれるという・・こういうところは、日本人の倫理観の高いところです。

 日本の生活にしっかり馴染んでるかと思いきや、そんな慣れ方をしてしまっているとは、まったく想像外の慣れようです。

 私はフランスでも、落とし物を見つけたら、受付等に届けに行くようにしていますが、「えっ?なんで?」というような顔をされることさえあるので、届けたところで、後から探しに来た人の手に渡るかどうかも微妙な気がしてしまいます。まったくそんなフランスで育ったというのに、娘ときたら・・。


日本の治安


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2024年9月3日火曜日

新年度の始まりで開始される制服導入と携帯電話禁止のテストケース

    


 フランスにおいて、ここ数年、話題にのぼっていた小・中学校の制服導入の試験的試みが70校を含む90の施設で開始されているようです。

 2年くらい前に、最初に公立小・中学校での制服導入の話が上がり始めたときには、「フランスの学校で制服?冗談でしょ!」と思ったくらいあり得ないだろうと思っていたことが、あっという間に実現に向けて、とりあえずは試験的にとはいえ、開始されたことに驚いています。

 これは、全国的にこの試験的な試みを行う学校を募集したうえで、学校側の賛同が得られた学校で行われ始めたことで、自治体と州がこの費用を負担しており、保護者には、一切、資金的な負担がかかっていないそうです。

 この制服の組みあわせについては、以前の段階では、多くはポロシャツ、パンツ、スカート、セーターなど比較的ラフな感じと聞いていたのですが、地域によっては、これにジャケット、ブレザーなどが追加されており、一人につき、合計9点の衣服が支給されているところもあるようです。


      


 男女別でもあり、また、季節を考慮しなければならないこともあり、またサイズ合わせなど、また一年の間の成長の過程などもあり、その生徒一人一人用に合わせた制服キットを用意するだけでも大変な予算と労力が必用となり、労力の面は特に、これをフランスの学校の先生がよく了承したな・・とも思います。

 この制服導入のテストケースの運営には、最大50%がコミュニティによって資金提供され、残りは国家が担うことになっており、国の教育機関が発表した費用は制服キット1個あたり(1人当たり)200ユーロと言われています。

 各自治体は、地元のコミュニティと対話しながら、制服を定義し、細かい衣装ひとつひとつは、教師チームと生徒の保護者の間で数回の会議を経て選ばれているそうです。

 このテストケースに参加している自治体は、「学校の制服は単なる規制上の服装ではなく、教育環境においても重要な役割を果たすものでもあり、規律上の側面を越えて高品質の衣服としての紛れもない利点も備えている!」と胸をはっています。

 このテストは、少なくとも2年は継続される予定だそうで、これが成功すれば、2026年には、一般化する可能性があると言われています。

 また、この制服導入とセットのように語られているのが、「学校内での携帯電話使用禁止」の流れで、これには、具体的な予算等は、さほどかからないうえ、ネットによるイジメ問題の深刻化などからも比較的、好意的に受け取られています。

 今や小中学生、特に中学生ともなれば、携帯を持っていない子を探す方が大変なくらいですが、学校に入る際に学校側が携帯を預かり、まとめてロッカーに保管。子どもたちが帰る際に子どもたちに返却するという方法をとる学校が多いようです。

 これには、保護者側も、子どもたちの登下校の際に所在確認ができればよいので、校内にいる間に携帯を使用せずに、学校での授業や他の活動に集中できることは、よいことだ・・と受け入れている人が多いようです。

 携帯電話に関しては、そもそも、10年、いや15年くらい?前までは、そんなものは取り上げるまでもなく、子どもたちは、携帯など持っていないのがあたりまえだったのですから、本来ならば、全然、問題ないはずどころかじゃまなもので、学校にいるときくらい、携帯を覗かずに、授業に集中し、友だちと話したり、遊んだりする時間は、必要だと思います。

 私は、ほぼ日本で教育を受けて育ちましたが、制服のある学校に行ったことがないので、余計に制服というものに、ピンと来ないのですが、とりあえず、これが良いのか悪いのか?試してみるというのは、よいかな?とも思います。


新年度の小中学校制服導入と学校内携帯電話禁止


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2024年9月2日月曜日

オリンピックが終わってもエッフェル塔の五輪マークは据え置きになる?

  


 現在は、パラリンピックが開催中なので、オリンピックで彩られたパリの街は、なんとなくオリンピックムードのまま、なんとなく華やかで、ついこの間、オリンピックが終わって、このオリンピックモードの看板や表示やマスコットなどが消えたら、なんか寂しく感じるかもしれないな・・とちょっと思っていたところでした。

 しかし、オリンピックはオリンピック、いつまでもその特別なデコレーションが変わらないままなのも、それはそれで、また別の新しいもので彩られることが妨げられるので、お祭りはお祭り、期間限定だからこそ、よかったというのもあるだろうな・・とも思っていました。

 ところが、なんとパリ市長が「エッフェル塔に備え付けられた五輪マークはオリンピック終了後も据え置きにする」と発表し、ちょっと驚いています。

 すでにもうIOC(国際オリンピック委員会)の了承を得ているとパリ市長は説明しているものの、これには、賛否両論が起こりそうな気配です。

 そもそも、エッフェル塔はフランスのモニュメントとして、シンボル的な存在です。パリオリンピック開催にあたって、エッフェル塔に五輪マークが設置されたことは、なんら異論はありませんでした。

 しかし、それをオリンピック終了後も残すとなれば、モニュメントとしてのエッフェル塔の姿を変えるということになります。

 私もこのオリンピックにあたって、今しか見られないパリの景色の一つとして、期間限定の特別な姿として、今だけ!と、五輪マーク付きのエッフェル塔の写真を撮りに行ったりもしましたが、まさか、その前のオリジナルのエッフェル塔の方が貴重な姿になってしまったとは・・なんか、少々、残念な気もします。

 また、このアイディアは、観光客にも必ずしも評判がよくはないようで、「現在、オリンピック開催中のエッフェル塔の五輪はいいと思うけど、ずっとこのままのエッフェル塔を見たいとは思わない・・」という意見もあります。

 最終的には、誰が決めるのかはわかりませんが、オリンピックが終わればもう終わり・・と言う方が潔い気がします。



 一方、個人的には、エッフェル塔の五輪マークよりも、チュイルリー公園にできている気球の聖火台の方を残してほしいと思うし、こちらの方は新しくできたもので、何より、とても美しいし、こチラの方が、オリンピックの記念碑として、新たな観光名所になるのではないか?と思っています。

 こちらの方は、国有地であるために、決定権は大統領にあるそうです。


エッフェル塔の五輪マーク


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2024年9月1日日曜日

非番の警察官3人が空中発砲で逮捕

  


 警察関係者によると、午前8時ごろ、パリ19区のビルの4階のバルコニーで3人の男が拳銃で空に向けて発砲しているのが目撃され、警報が出されました。 BRI(Policier de la brigade anti-gang )(暴力団対策の警察官)が現場に派遣され、3人を逮捕したところ、彼らは非番の警察官でであることが判明しました。

 「警察の介入は事故や怪我もなく行われた」と警察は発表していますが、この非番の警察が警察官用の拳銃を発砲したかどうかや弾丸の性質については明らかにしていません。

 警察官が非番の時に職務中に携帯する拳銃をどのように保管しているのかはわかりませんが、職務用の拳銃を非番の時に携帯しているとしたら、それも怖い話ですが、さりとて、それ以外の拳銃をプライベートの警察官が持っているということも、ちょっと恐ろしい話でもあります。

 彼らは酔っぱらっていていた・・とのことですが、どちらにしてもあり得ない話、彼らは、即時停職処分になったそうです。


 それにしても、非番とはいえ、午前8時から3人揃って酔っぱらっている状態というのも、なんだかすごい話で、バルコニーからふざけて拳銃を発砲してふざけている様子は、よく言えば、無邪気な子どものようでもありますが、やっぱりあり得ない話です。なんといっても、本物の拳銃ですから・・。

 この夏はオリンピックのおかげ?でやたらと警察官を目にする機会が多く、街中を塊になって練り歩く、銃器を携帯しつつ、厳つい恰好をして練り歩く警察官や憲兵隊をちょっと怖いな・・と思うこともあったりして、あるとき、私が恐れている顔をして見えたのか、その警察官の一団の一人から「わっ!」と大きな声でふざけて脅かせられて、悲鳴をあげてしまい、彼らと一緒にいた女性警察官に「大丈夫?」と声をかけられたこともありました。

 まったく、小学生みたいなことをする警察官もいるもんだ!と呆れましたが、なんだか今回の拳銃の発砲事件もそれにちょっと似ている子どもじみた行いだと思います。しかし、今回の事は、拳銃という人を殺すこともできる武器を使ってのことで、ちょっとレベルが違います。

 日本の警察官は、職務中にちょっと飲み物を買いにコンビニに入るのもはばかられるくらい厳しいそうですが、こちらの警察官の緩い様子は、ちょっと目に余るというか、限度を超えています。


非番の警察官の発砲事件


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