2022年1月23日日曜日

WHO(世界保健機構)「海外渡航制限の解除・緩和」の勧告に日本はどう対応するのか?

  


 WHO(世界保健機構)が新型コロナウィルスをWHOの最高警戒レベルである「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言したのは、2020年1月30日のことでした。

 それから、今まで、発表されたWHOの新型コロナウィルスに関する見解や勧告は、どちらかといえば、後出しジャンケンのような気がするものが多かった印象があります。

 しかし、今回、WHOが発表した勧告は、世界中で感染の度合いが違うとはいえ、オミクロン株という、これまでとは桁違いの感染力や特異な特性を持つウィルスの拡大により、世界各国がそれぞれの感染対策をとり、また、感染対策を移行しつつある中で、一つの指標となり得るものであったのではないかと思っています。

 今回の発表で、WHOは、「世界各地でオミクロンの感染者が増え続ける中、オミクロン変異体の感染拡大の抑制に効果がないとして、海外渡航制限の廃止・緩和」を呼びかけています。

 WHO国際保健規則緊急委員会は、2022年1月13日に開催された新型コロナウィルスに関する第10回会合の終了後、本勧告を発表しました。委員会は、パンデミックはWHOの最高レベルの警戒態勢に値するほど深刻であると考え、「海外旅行禁止は何の価値もなく、締約国の経済的・社会的ストレスを圧迫し続けているため、解除または緩和されるべきである」と勧告しているのです。

 国連の世界保健機関によると、包括的な渡航禁止の実施は「国際的な広がりを抑制する効果はない」とし、「懸念される新変異種に関する透明でタイムリーな報告を阻害する可能性がある」と説明しています。

 委員会は、パンデミックについて「世界中の人々の健康に影響を与え続け、国際的な広がりと国際間交通への干渉の可能性を持ち、国際的に協調した対応を必要とする異常事態である」ことに「全員一致」で合意しています。

 フランスは、昨日、感染上昇が続いていた日々から、初めて感染者の減少が見られましたが(1日の感染者数が38万人まで下がった)、依然として、圧倒的な感染者数を出し続けているにもかかわらず、集中治療室の患者数が若干減少し始めたこともあり、ワクチンパスの施行を機に、感染対策の規制の緩和を開始することを決定しています。

 もともとフランスは、あまり入国制限に対して、厳しい措置をとっていないので、このWHOの勧告どおりの状態(逆にもう少し、慎重にすればと思うくらい)ですが、これ(フランス)はあまりに極端な例ではありますが、日本の水際対策は、この世界の潮流から、取り残されている感が拭えません。

 これまでも、日本の鎖国については、海外からは、「日本の内向きな対策」などと、厳しい声があがっていましたが、このウィルスがパンデミック・世界中を巻き込んでいる感染であり、しかもオミクロン株という強烈な感染力で拡大し続けている今、WHOは、「国際的に協調した対応を必要としている」と述べているのです。

 日本が国を守るためにしていることが、国際的にも、経済的にも取り残される危険を孕んでいます。

 このWHOの勧告に対して、日本がどのように対応するのかを期待しています。


WHO海外渡航制限解除または緩和の勧告


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2022年1月22日土曜日

学校の検査と隔離と子供のワクチン接種 子供もワクチンしないと結構、ややっこしい

   


 学校は、できる限り閉鎖せずに、検査と隔離を繰り返しながら、継続しようとしているものの、感染者数や教員の欠員のために、現時点で、19,000近いクラスが学級閉鎖になっています。これは、全国の学校の3.56%に相当します。

 そして、全国の学校の0.25%に相当する152校が休校となっています。

 先日のカステックス首相のワクチンパススタートとともに、いくつかの感染対策の制限解除の日程が発表されましたが、学校については、冬休みのバカンス明けに、(冬休みの期間は、3つの地域ゾーンごとにずらされて設定されています)、この時間を利用して状況を確認し、全ての地域のバカンスが終わる頃に再び保健当局と連絡を取り、どの程度までシステムを適応させることができるか確認する "と述べています。

 最終ゾーンのバカンス終了は3月7日なので、それまでに、学校での感染状況を考慮しながら、制限の緩和は検討するとしています。まだ少し、先のことです。

 そして、同時に、子供のワクチン接種についても、義務ではないものの、ワクチンの有効性が確認されてきていることから、これまでリスクの高い既往症等のある子供に限られていた12歳〜17歳の年齢層に向けてのブースター接種を来週24日から、全ての子供(12歳〜17歳)に向けて解禁することになりました。

 すでにこの年齢層の2回のワクチン接種は400万人近く行われているため、ブースター接種を急ぐことで、学校の安全対策を確保しようとする動きです。

 学校の検査と隔離のルールは、大変、複雑で、感染した場合、接触者の場合、そして、それぞれ、ワクチン接種済みの場合と未接種の場合は、それぞれにルールが違います。

 例えば、感染した場合、ワクチン接種をしている子供は7日間の隔離(5日目の検査結果が陰性ならば、5日で隔離終了)、ワクチン未接種の子供は、10日間の隔離(7日目の検査結果が陰性ならば、7日で隔離終了)になります。

 また、接触者になった場合、ワクチン接種をしている子供は隔離なし(即日、2日後、4日後のオートテストをする必要がありますが・・)、一方、ワクチン未接種者は、接触者になった場合は、7日間の隔離が必要です。

 検査と隔離の繰り返しに辟易している子供たちも保護者たちも、子供とはいえ、ワクチン接種が進めば、感染のリスクだけでなく、この検査と隔離の繰り返しのリスクを軽減することができるようになります。

 まだ開発されて間もないワクチンで、将来的にこのワクチンが子供に及ぼす影響を心配するのは、充分、理解できます。ましてや子供は重症化するリスクが低いとなれば、子供のワクチンは、子供自身のためというより、周囲に感染を広げないためです。

 我が家には、もう小さい子供がいないので、そのワクチン接種の将来的な影響を心配することは、ありませんでしたが、今、もしも娘が、まだ未成年の段階であったらば、どうしただろうか?と考えてしまいます。

 検査や隔離の作業の煩雑さや、そのために学校に行けずに学業にも影響を及ぼすとなったら、やはりワクチン接種に踏み切るのも止むを得ないかもしれません。

 学校のストライキ・デモも初回からは、動員数が減少したものの、2週連続で続いています。この学校のストライキやデモでさえ、子供のワクチン接種で感染が減少すれば、消滅するはずのものです。

 いずれにせよ、結局、現在頼れるのは、ワクチンだけで、ひたすらワクチン接種にこだわり、ワクチンパスまで起用する政府の方針は、やっぱり妥当なのかもしれません。

 近隣のオーストリアでは、ワクチン接種の義務化(オーストリアのワクチン接種率は、現在72%)が決定し、ワクチン未接種者には、3月中旬以降、罰金3,600ユーロ(約46万円)が課されることになるそうです。

 でもこれは、いくらなんでもフランスでは、絶対、ありえないこと。こんなことをしたら、フランスだったら、暴動が起こりかねません。


子供のブースター接種解禁 子供のワクチン接種 学校の検査と隔離

 

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2022年1月21日金曜日

1月24日ワクチンパススタートと感染対策規制緩和の日程

  


 カステックス首相は、20日、ワクチンパスによる制限を1月24日からスタートすることを発表しました。これにより、ワクチン未接種者は、これまでヘルスパスでアクセスできていた場所には、入場できなくなります。

 しかし、ワクチンパス自体よりも、それと共に発表された他の制限解除の日程の方に注目が集まり、ワクチンパスによるワクチン未接種者への締め付け(締め出し)には、これまでさんざん議論が続けられてきたこともあるのか、同時に発表されたその他の規制解除の日程と内容に注目が集まりました。

 締め付けとともに、規制解除を発表するのは、前日のイギリス首相の「多くの感染対策に関わる規制を終了する」という発表も影響していると思われますが、同時にワクチンパスでの締め付け感を和らげる意向も感じられます。

 以前にマクロン大統領が、ロックダウンの延長とロックダウンを徐々に解除していく日程を同時に発表したことがありましたが、あの時と同じやり方です。

 1月24日にワクチンパスが施行され、その1週間後には、屋外でのマスク着用義務化とリモートワークの義務化が撤廃され、さらに、その2週間後には、ディスコ、カフェやバーでの立ち飲み、スタンディングコンサートが解禁される予定です。

 とはいえ、ワクチンパスというワクチン未接種者への締め付けと、正反対とも思える感染対策のための制限緩和という、一見、矛盾しているような対応策は、フランスでの感染者数は、ここ数日、40万人を超える状況でありながら、感染者の97.8%がオミクロン株による感染(2.2%がデルタ株による感染)に置き換わっていることが理由の一つに挙げられています。

 感染力は強くても、重症化するケースが低いこともあり、また、このオミクロン株がワクチン接種をしている人でさえ、感染するとはいえ、ワクチン接種者の場合は、4.5倍感染を回避し、25倍重症化を回避する効果があると説明しています。

 イギリスでの制限解除では、1日あたり未だ10万人以上の感染者が出ているものの、感染は減少傾向にあり、医療体制は、安定してきているためであるとしていますが、フランスの場合は、未だ、顕著な減少傾向は示しておらず、時期尚早であると不安の声も上がっていますが、フランス人が規制の緩和に反対するケースは一般的には考えづらく、今後、さらにワクチン接種を強化し、コロナとの共生に進んでいく方針だとみられます。

 ただ、屋外マスク義務化の解除や、リモートワークの義務化の解除とはいっても、実際に義務化が徹底しているわけでもなく、正直、大した変化があるという気はしません。先日、ランチをしにレストランに行ったら、店内は、ぎゅうぎゅう詰めの大混雑で、ヘルスパスのチェックはあったものの、食事の場ゆえ、マスクをしているのは、店員さんだけで、なんだか、これで屋外マスクの義務化してもなぁ・・と違和感を感じたのも確かです。

 つまり、多くの規制があるものの、現実のフランス人の生活は、すでにあまり規制されていないということです。

 政府はどちらかといえば、ワクチンパスに対する国民の反発を恐れていて、この発表の際にも、此の後に及んで、「これは、ワクチン接種の義務化ではない」などと言うのは、おさまりの悪い感じも拭えないのです。

 このワクチンパスと感染対策の規制緩和は、ワクチンパスによる効果をかなり楽観的にとらえている内容で、カステックス首相は、「ワクチンパスの導入が発表されて以来、100万人以上のフランス人が予防接種に踏み切った」と語っており、ワクチンパスが実際にスタートすれば、さらにこのワクチン接種率は上昇すると見込んでいるようです。

 そして、現時点でのワクチン未接種者への救済措置として、一定の条件のもとでワクチン接種の全スケジュールを取得する(現在から2月15日までに1回目の接種をする人は、1ヵ月後に2回目の接種をすること、その間に24時間以内の検査で陰性であることを証明することで仮ワクチンパスの恩恵を受けられるようにする)ことを提案し、ワクチン未接種者に手を差し伸べています。

 規制緩和で注意が逸されているものの、これは、あくまでも国民をワクチン接種に導くものであることがわかります。

 つまり、感染力が高いとはいえ、ワクチン接種をしていれば、かなり重症化を避けられる状態で、ワクチン接種率があがれば、もはや感染者数は問題にするべきではない考えられているということでもあります。

 しかし、現在蔓延しているウィルス(オミクロン株)に対しては、ある程度は許容できるものかもしれませんが、パンデミックは終わっておらず、ウィルスは常にそこにあり、変異を繰り返していることを考えれば、決して油断できるものではありません。

 とはいえ、長引くパンデミックを規制に縛られながら暮らし続けることは、これもまた、経済的にも精神的にも不可能なことであり、結果として、新規感染者数が毎日40万人を超える事態でも、このような決断に踏み切ったと思われます。

 ワクチンパス施行開始の宣言とともに、感染状況が改善し、特に病院での病床圧迫が恒久的に減少した場合、(集中治療室で数週間も新患が来なくなったり、医療逼迫が最低レベルまで下がったら)ワクチンパスは中断される可能性があるとも説明しています。

 このワクチン接種への追い込みと規制への緩和ムードに傾きつつあるフランス、ヨーロッパですが、日本の鎖国は、いつまで続くでしょうか?


フランス1月24日ワクチンパス開始 感染対策規制緩和


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2022年1月20日木曜日

ヘルスパスの評価と自動的に有効期限切れになり失効するワクチンパス

  



 ワクチンパスが議会で多くの議論を呼び、自由剥奪の声が途絶えない一方で、ワクチンパスの兄貴分である「ヘルスパス」が今、評価され始めています。

 Conseil d'analyse Economique(CAE)(経済分析諮問委員会)が発表したOECDとブリューゲル研究所の協力による調査によると、ヘルスパスによって、フランスでは4,000人、ドイツでは、1,100人、イタリアでは1,300人が死亡せずに済んだとしています。

 この研究では、同じような状況にありながら、ヘルスパスの導入の時期、またヘルスパスの導入をしなかった国、フランス、イタリア、ドイツの3カ国を分析、比較しながら、「フランスに、もし、ヘルスパスがなければ、入院は30%増え、死亡者も4,000人以上増えていただろう」と分析しています。

 まず、フランスでは、ワクチン接種率の上昇が、ヘルスパスのシステムにかなり影響を与えたことは、明白であり、また、ロックダウン状態から、人々が外に出始めた時には、おっかなびっくりであった一部の国民もヘルスパスによってリスクの高いと言われる場所での社会的な交流を持つことへの恐怖心が薄れ(現在では、薄れすぎですが・・)、ワクチン接種率の上昇とヘルスパスによって経済活動が想像以上に回復し始め、60億ユーロの損失を逃れたと試算しています。

 直接的な影響は、国民が社会活動を行えるようになったことにありますが、もしも、ヘルスパスがなければ、ワクチン接種率は停滞したままで、医療体制は飽和状態を迎え、政府は再び、ロックダウン、外出禁止、特定の場所の閉鎖といった制限を課さざるを得なくなっていたであろうという見解です。

 これからヘルスパスはワクチンパスへと移行しますが、これは、ワクチン接種済みの人にとっては、アプリを入れ替える必要もなく、そのままワクチンパスとして使用できるようになるので、とりたてて何もする必要はありません。

 しかし、一方では、2回目のワクチン接種から7ヶ月後には、3回目のブースター接種をしない場合は、ワクチンパスは自動的に失効してしまいます。

 保健省の発表によると、先週末には、約56万人がヘルスパスを失ったと言われています。

 7ヶ月後という期間をうっかりしていると、知らないうちに失効していることがあり得るようです。慌てて、ブースター接種を受けに行っても、接種後、ワクチン接種が有効化されるまでは、7日間待たなければならず、1週間は、ワクチンパスが必要な場所にはアクセスできなくなってしまいます。

 また、2月15日からは、2回のワクチン接種から、ブースター接種までの最長期間が4ヶ月に変更になるので、ワクチン接種からワクチンが有効になる期間を考慮すれば、4ヶ月経過する少なくとも1週間前までにワクチン接種を受けなければ、レストランやカフェ、文化施設、娯楽施設、スポーツ施設などには、アクセスできない1週間以上を過ごすことになります。

 ひとまず、ヘルスパスからワクチンパスへ移行するタイミングで、ヘルスパスの効果は絶賛されていますが、ワクチンパスへの移行による効果については、現在では、ワクチンを接種していないフランス人はごく少数派のため、ワクチンパスの効果は、このごく少数派の人々にどの程度、響くのかは、未知数です。

 しかし、ヘルスパスの起用が発表になった時は、少なからず衝撃的な内容で、反発も多くありましたが、結果的に見れば、こうして絶賛され、大いに評価される結果となったわけですから、ワクチンパスもしばらく時間が経過しなければ、一体、どんな評価が下されるのかはわかりません。

 とはいえ、大多数のフランス国民は、ワクチン接種済みなので、大勢に影響はないと思われますが、それでも感染がおさまらなければ、結局は、残すところは、マスクや手洗いやソーシャルディスタンスなどの基本的な感染対策しかありません。


ヘルスパスの評価 ワクチンパス有効期限


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2022年1月19日水曜日

フランスの1日の新規感染者数46万人突破と子供の検査を放棄し始めた保護者

 


 一昨日のニュースでは、いくつかの地域では、どうやら、感染が下降し始めたので、どうやらピークを越えたかもしれない・・とか、どこかのラボ(検査施設)では、おそらく1月13日がピークだったようだ・・などと言いつつも、全国的には、決して減少しているわけではなく、ただ、上昇が緩やかになってきている・・と感染のピークはいつか?という話ばかりしているような気がします。

 日曜日はラボも休みのところが多く、月曜日の数字はいつもかなり少なくなるのですが、それでも10万人超え、逆に、その分が若干のっかる感じで、火曜日の数字が少し多くなる傾向があるのですが、それにしても火曜日の1日の新規感染者数は、464,769人でした。

 先週は、だいたい1日の新規感染者数は、ずっと30万人前後だったので、いくら月曜日の分が多少のっかったとしても、いきなり46万人超えとは、ちょっと、いくらなんでも増え過ぎです。

 そう言われてみれば、思い当たらないこともなく、ここのところ、毎日のように感染者追跡アプリのアラート(感染者と近距離で接触しています・・ただちに検査し、ワクチン未接種者は隔離してください・・という通知)が入ります。

 アラートには感染者と接触したという日付が入っているのですが、日付が前後して通知されてくるので、検査したと思ったら、その前日の分のアラートがその翌日に来たりするので、もうなにがなんだかよくわからなくなってきましたが、外出した日は、もれなくアラートが入っているので、それだけ感染者が増加しているということなのでしょう。

 アラートの日付の一つに友人とランチをした日が入っていたので、一緒にランチをした友人にも一応連絡すると、彼女のところにもアラートが来ていたのに、気付いていなかった模様。「これが来たら、検査しなくちゃいけないのかな?」などと言うので、「だって、もし、感染していたら、他の人に感染させてしまうかもしれないでしょ!」と念を押すと、「あ〜そうか・・そうだよね・・」と、もはや、感染者接触のアラートにも少々、麻痺している感じ。

 検査に、そして検査することの意味に麻痺してきているのは、おそらく最も頻繁に検査をしているのは、小学生以下の子供たちとその保護者たちで、ただでさえ、感染者が多いなか、ワクチンという鎧を着ていない状態の子供たちには、感染者も多く、学校を継続するためにクラスメートに感染者が出た場合は、すぐに検査、その2日後、4日後に3回検査しなければならないのですから、大変な作業です。もしも、続けてクラスに感染者が出た場合は、毎日のように検査するハメになります。

 現在、子供の検査は、薬局や検査場などでの検査以外に、オートテスト(セルフテスト)のキットが無料で受け取れるようになっており、家で検査をして、検査の結果は、保護者が書面に書いて証明書を提出することができるようになっていますが、「感染例が多過ぎて、もういちいち子供の検査はしていられない。検査はしないで、とにかく学校に行かせる!」

 「毎日の検査は、頻度が多過ぎて、子供にとって苦痛すぎる・・検査時に子どもが痛がるので、何度も繰り返すとトラウマになる」というのです。気持ちはわからないではありませんが、これでは偽ヘルスパス(偽ワクチンパス)ならぬ偽の陰性証明書を親が子供に持たせることになります。

 また、他のケースでは、「偽の証明書を書いて、誤魔化すことはしない。しかし、検査に疲れてきたので、7日間学校に行かせず、検査はしない。」という親もいます。

 しかし、一方では、「ルールを守らない人が増えれば増えるほど、それが長引き、みんなが疲弊していくので、クラス内で感染者が出た場合は、しっかり検査を続けるべきだ!」と訴える人もいます。

 「ルールを守らない人が増えれば増えるほど、それが長引き、みんなが疲弊していく」というのは、まさに子供の検査に限ったことではなく、大人の感染対策についてもまさに同じことが言えます。

 先週は、1日あたり30万人だった新規感染者数は、今週には、46万人まで増加してしまいました。ワクチン接種をしているから、ヘルスパスがあるから、ワクチンパスがあるから大丈夫という気の緩みがこの、ちょっと目を疑うような数字を叩き出しています。

 この数字のわりには、入院患者数や集中治療室の患者数は劇的には増加しておらず、このまま増加していけば、もはや集団免疫も夢ではなくなるかという気もしてきますが、一方で、感染が蔓延すれば、新しい変異種が登場する危険もあるわけで、やはり、検査と隔離は続けなければならず、基本的な感染対策は、しっかりと続けなければなりません。

 しかし、ここまでくると、数字の感覚が麻痺してきて、46万人って何人だったっけ?と思ってしまいそうになるほどで、もはや感染者数をカウントする意味はないのではないか?という声もありますが、やはり、全く薄れきっているフランス人の危機感をかろうじて保つためにも感染者数は知るべきではないかと思うのです。


フランス1日の新規感染者46万人突破


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2022年1月18日火曜日

ワクチンパスポート施行とコロナウィルス感染証明書

   


 毎週のようにデモが起こり、反対の声は常にある中、フランスは国会でワクチンパスポート法案を採択、憲法評議会の承認を経て、今週末にもワクチンパスは施行されることになりました。

 ヘルスパスとアクセスできる場所は、基本的には変わらないものの、これまでヘルスパスでは、PCR検査・抗原検査の陰性証明書が使用できたものの、これが一切、通用しなくなります。

 このワクチンパスは、16歳以上の全国民に対して適用されることになります。ですから、ワクチン接種をしない限り、レストラン・カフェ、文化施設、娯楽施設、スポーツ施設、イベント会場へのアクセス、長距離電車やバス、(家族以外の相乗りなどの特定の交通手段も含まれる)、飛行機などの公共交通機関は利用できなくなります。

 また、偽ワクチンパスの流通を防ぐために、ワクチンパスのチェックには、ワクチンパス自体の整合性を確認することが必要な場合には、本人確認として、写真つきの公的書類(IDカードなど)を求めることが許されるようになりました。

 そして、偽のワクチン証明書に関する罰則が強化され、他人のワクチンパスを使用した場合、または、他人にワクチンパスを譲渡した場合は、現行の135ユーロから1,000ユーロの罰金になるとともに、偽のワクチンパスポートを不正に入手した場合(偽造、第三者からの借用を問わず)は、3年の禁固刑と45,000ユーロの罰金が課されることになり、複数の偽ワクチンパスポートを不正に所持した場合には、5年の禁固刑と75,000ユーロの罰金に引き上げられることになりました。

 しかし、このワクチンパスポートには、例外もあり、12歳から15歳の未成年に関しては、これまでどおり、ヘルスパスが(PCR・抗原検査の陰性証明書)がワクチンパスポートと同じ効力を持ちます。

 また、前回のワクチン接種から7ヶ月経ってもブースター注射を受けていない人について、有効期間を超えてからの予約しか取れなかった場合、あるいは、医療上の理由で3回目の接種ができていない人に関しては、仮のパスポートを受け取ることができますが、その間は、本来はワクチンパスが求められる施設にアクセスする場合には、PCR・抗原検査の陰性結果を提示する必要があります。

 また、ワクチンパスポートの代わりにコロナウィルス感染、回復証明書(6ヶ月間有効)(11日以上6ヶ月未満の感染)を提示することも可能ということになっているようです。

 このワクチンパスポート施行は、ワクチン未接種者に圧力をかけて、ワクチン接種に向かわせるためのものであることは言うまでもありませんが、感染した場合にどの程度の免疫ができているのか?ワクチン接種同様の効果?があるのならば、ワクチン未接種者でも感染していれば、6ヶ月間、ワクチンパス証明書はいらないということになります。

 ワクチン接種の有効な期間が短くなり、3ヶ月後にブースター接種が可能ということになっているのに(ワクチンパス自体は2回目のワクチン接種から7ヶ月以内にブースター接種をということになっています)、感染した者に関しては、6ヶ月間感染証明書が有効というのも疑問です。

 そうでなくとも、フランスには、毎日、30万人程度の新規感染者がいて、1月前半(1日から15日まで)だけでも、累計で4,153,835人の感染者がいます。

 こうなってくると、ワクチンパスポートを施行して、ワクチン未接種者を接種に向かわせるということが、なんだか虚しい気もしないではありませんが、現在のフランスは、初回接種から3回目のブースター接種を合わせて、毎日50万人程度がワクチン接種を受けているようで、かろうじて感染者よりは多い数字です。

 そもそも、ワクチン接種で感染を防げていたのはデルタ株までの話で、オミクロン株は、ワクチン接種だけでは感染は防ぎきれず、重症化は防げるとされていますが、この変異株の性質上、ワクチンパスの意味合いが、なんだかずれてきてしまっているような気がしています。

 ワクチンパスを持っているからといって、感染していないとは言いきれず、これまでワクチンで感染から守られている人のみがアクセスできる場所は、ある程度、安全であると思ってきましたが、必ずしもそうではないわけです。

 つまり、現在の状況では、感染そのものを避けることはできないが、感染しても重症化する可能性が低いという人だけがアクセスできる場所がワクチンパスによって、限定されるということです。

 そして、それらの場所にアクセスできなくなることから、ワクチン接種をする者が増えるという算段です。

 ヘルスパスが施行された時は、画期的なシステムで、感染のリスクが高いと思われる場所でも、少し安心して行けるようになり、感染者も一時、減少しましたが、今回、コロナウィルスの変異によって、そこまで決定的な手段とは思えない気がしてきました。

 とはいえ、少しでもワクチン接種が進んで重症化する人が減少すれば、それはよいことに違いありませんが、なんだか少し、期待はずれになってしまった気がしないではありません。

 必死にヘルスパス施行に向けて突き進んでいた間に、コロナウィルスの変異により、いつの間にか、少し状況は違ってしまいました。

 フランスでは、毎日のように、ピークはいつか?ピークはもうすぐ・・と、ひたすら感染がおさまるのを待っているようで、一部の地域では、感染者数が下がり始めたと言っていますが、ヘルスパスの施行によって、画期的な感染の減少を期待するには、まだまだ時間がかかりそうな気がしています。


フランスワクチンパスポート施行


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2022年1月17日月曜日

フランスで継続するアンチワクチンパスデモとジョコビッチの全豪オープンからの強制退去

   


 ワクチンパス施行を目前とするフランスでは、相変わらず、ワクチンパス反対のデモが続いています。とはいえ、前回のデモに比べると、デモ参加者は大幅に減少し、内務省の発表によると、前回の約105,200人に対して、今回は、約54,000人に減少しています。

 彼らのデモでの訴えは、「ワクチンパス反対」「ワクチン接種そのものに反対」「自由」「政府の強行策に反対」など、毎週のことで、掲げられているプラカードや訴えの内容は、ほぼ同様の内容です。

 しかし、今回のデモで気になったのは、そのプラカードの中に「ジョコビッチは私たちの旗手である!」というものが、混ざっていたことでした。

 このデモが行われた時点では、ジョコビッチの全豪オープンの出場可否に対する最終的な決定が出ていなかったため、これは、ジョコビッチが全豪オープンに出場することになれば、アンチワクチン論者を正当化するものになってしまうのではないか?と、オーストラリア裁判所の決定を不安な思いで、見守っていました。

 フランスのデモ隊にまで影響を及ぼすとは・・ジョコビッチ、恐るべし⁉︎です。

 フランスでも、テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手の一連のワクチン未接種での全豪オープン出場可否の騒ぎは、連日、報道されていたので、その影響力の大きさは、テニス界だけでなく、フランスで「アンチワクチン論者の旗手」として、まつりあげられるのは、当然といえば、当然だったかもしれません。

 しかし、今回のジョコビッチ選手のワクチン接種に関しての一連の報道では、「ワクチン未接種の発覚」から、彼のビザは、取り消し、その後、同選手の弁護団から異議申し立てがなされ、「彼自身が12月16日にコロナウィルス陽性であったこと」が申告されましたが、その直後に「隔離もせずに、公の場にマスクなしでマスコミに対するインタビューや公的イベントに参加していたことの発覚」そして、「ビザ申請書は、本人が記載したものではなかった」など、見苦しい応酬が続いて、最終決定は、オーストラリア裁判所の決定に委ねられていました。

 世界ランキング1位のトップアスリートである彼は、彼自身の健康管理についての強い信念をもっていることは、理解できますが、どの選手も同じ条件をクリアして参加している大会に、たとえ、彼が世界ランキング1位であろうとも、例外を認めることは、あり得ないことだと思っていました。

 スポーツマンシップという言葉が適当かどうかはわかりませんが、大会が定めた(大会開催国が定めた)ルールを個人的な理由で守らないというのは、テニスのトッププレイヤーとしては、ガッカリさせられるものでした。

 彼が信念をもって行なっていることなら、姑息なごまかしをせずに、なぜ、堂々とワクチン未接種を公表しなかったのか?と思ってしまいます。

 結局、オーストラリア裁判所は、「オーストラリア社会に健康上のリスクをもたらす可能性がある」という理由で、ビザの撤回を支持する判決」を下しました。

 この決定は、彼自身のウィルス感染のリスクよりも、この世界ランキング1位のジョコビッチの入国、大会出場が「反ワクチン感情を助長すること」や「国民の不安を増大させること」などの社会的な影響を考慮してのものであったことは、言うまでもありません。

 正直、フランスのアンチワクチン論者は、助長されかかっていました。

 オーストラリアは、パンデミック開始以来、感染拡大に対して世界で最も厳しいとされる規制を敷いてきた国の一つでもあります。この事実をジョコビッチが知らなかったはずはなく、ましてや大勢のスタッフを引き連れている彼の周囲の人々もどう考えていたのか?疑問は残ります。

 また、パンデミック以来、テニスの世界大会はいくつも行われてきたにも関わらず、選手のワクチン接種に関するチェックをしてこなかったのかも疑問です。

 次のメジャー大会は3月にインディアンウェルズ(3月10日~20日)とマイアミ(3月23日~4月3日)で開催されるマスターズ1000です。アメリカへの入国には、やむを得ない理由がない限り、完全なワクチン接種のパスポートが必要です。

 フランスにおいても全仏オープンは、まだ先ですが、ワクチンパスポートの施行が始まれば、当然、テニスの試合会場などでは、ワクチンパスポートなしでは、入場できなくなります。

 これで彼がワクチン未接種者であることは、全世界の周知の事実になり、今後の彼の行く先には、大きな壁が立ち塞がることになりました。

 今回のオーストラリアの決定で、どんなタイトルを持つ権力者であっても例外は認められないとされたことは、少なくともアンチワクチン論者を助長させることにはならなかっただけでも正しい決定であったと思っています。

 そもそも、ウィルスは、国籍も権力も地位も差別することはありませんから。


ジョコビッチオーストラリア退去


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