2020年10月12日月曜日

マスクの功罪 マスクのおかげでハンサムな男の子が増えた

 

                北斎柄の生地のマスクをしている女性


 フランス人の挨拶には、スキンシップが伴うことが多くて、見ず知らずの人はともかく、少し親しい人とは、ビズーといって、左右の頰を相互に合わせて、チュッチュッと挨拶をします。ビズーの習慣には、いつまでも慣れなくて、今もあまり好きではないものの、親しみを表す挨拶であることには違いなく、ある程度、その人との距離感の判断基準の一つにもなっています。

 また、仕事で人に会う時などでも、初めて会う人などでも、ビズーとまではいかなくとも、少なくとも握手をしたりすることで、少し打ち解けるアクセルになったりもするので、私は、まず最初の挨拶をするのに握手をすることが多いです。

 背筋を伸ばして、握手をしながら挨拶をしている人の様子は、なかなかスマートで、私は、フランス人の習慣の中で、なかなか気に入っている習慣のひとつです。

 ところが、現在は、ビズーどころか握手もできず、おまけにマスクをしているために、相手の表情を見るのが難しく、自ずと相手の目をしっかりと見て会話をすることが増えました。

 目は口ほどにものを言いと言いますが、相手の眼差しだけで表情を読み取り、また目だけで感情を表現するのですから、日頃、スキンシップや、ともすると、フランス人の大げさとも思える表情に助けられていた人との関わりが希薄になった気がして少し寂しい気がするくらいです。

 今は、あまり初めて会う人と接する機会もないのですが、スタージュを始めて、新しい職場で働き始めた娘は、初めて会った時からマスク姿の人ばかりで、逆にマスクを外すと誰だかわからなくなる、人と親しくなりにくい、という少々、新しい環境に打ち解けるのに難しい状況を余儀なくされています。

 マスクを忌み嫌っていたフランス人も、現在は、さすがに公の場では、ほとんどの人がマスクをするようになりましたが、基本的にマスク嫌いであることに変わりはありません。フランス人にとっては、マスクは病気を予防するものというより、病気そのものを連想させるイメージをもつもので、いわゆる普通の白いサージカルマスクではなく、別の色の布のマスクをしている人も少なくありません。

 むしろ、マスクを利用して、今の季節は、コートやマフラーの色と上手に合わせて、おしゃれを楽しんでいる人もいます。

        

               マスクも洋服とコーディネート


 しかし、このマスクも悪い事ばかりではありません。

 ここのところ、メトロに乗っていると、何やら最近は、ハンサムな若い子が増えたな・・とぼんやりと思っていたら、それは、どうやらマスクのおかげ?だったことに気がつきました。鼻から下が隠されただけで、人の印象がこれほど変わるのには、ビックリです。

 フランスに来た日本人観光客の人と接する機会があると、「ご主人は、フランス人ですか? えっ??フランス人!!ステキ!!」などと言われることが多いのですが、決してステキでも何でもなく、正直言って、私は、フランスに来て、20年以上、「うわっ!ステキ!ハンサム!」と思った人に出会ったのは、たった1度だけ・・(これは、私の生活環境が恵まれていないこともあるかもしれませんが・・)、通勤途中に、ほんの一瞬すれ違った人だけで、その後、その人とも二度とすれ違うこともありませんでした。

 フランスでも、ステキな人は、なかなかいないものなのです。

 それが、ここのところマスクのおかげで、ハンサムな男の子を結構な頻度で見かけるようになったのです。実際のところは、別として、なかなかその場、その瞬間は、楽しめるもので、最近のメトロの中では、新しい密かな楽しみになっているのです。

 いい年をして、ハンサムな男の子を見てニコニコしている私の表情は、マスクに隠れて、私のこの密かな楽しみは、バレることがありません。


<関連>「・・・フランス・マスク論争ふたたび」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_17.html 

2020年10月11日日曜日

1日の新規感染者数2万6千人突破 感染拡大が止まらないフランス


 ここ数日、夜に発表される1日の新規感染者数は、毎晩、想像を上回る数字で、これでもかというくらい驚かされます。まさに思わず息を呑んでしまう・・そんな感じです。

 もう1万人を超えたあたりから、だんだん、もう驚かないな・・などと思っていたのですが、先週の水曜日に1万8千人を超えて、さすがにビックリしたと思ったら、みるみる数字は上がっていき、一昨日は、とうとう2万人を突破・・と思ったら、昨日は、26896 人と、ほぼ2万7千人です。

 もはや数字に対して麻痺してきたと思いつつも、これが1日(24時間)の感染者数ですから、もう、ちょっとどう受け止めたらいいかわかりません。

 他の国と見比べてみても、ヨーロッパでは、もちろん、ダントツ1位、フランスの上を行くのは、もはや、インド(60686人)とアメリカ(31990人)だけです。(1日の感染者数)

 しかし、実際には、アメリカの人口は、フランスの5倍もあり、インドにあたっては、20倍の人口を抱える国で、人口に対する1日の感染者数を見れば、フランスは、事実上、世界一、感染が拡大している国なのです。

 こうして見ると、私は、なんて恐ろしい国に住んでいるんだろうと思います。

 先週から、フランスでは、パリをはじめとする数都市が最大警戒地域に指定され、バーやスポーツジムの閉鎖や大学などに対する制限を強化していますが、そんなそばから、60平米のアパートで若者150人がパーティーで大騒ぎしているニュースが流れたり、バーを閉店しただけでは、追いつかない意識の低い人々の存在が感染を拡大させているのです。

 しかも、こんなに深刻な状況にも関わらず、まだまだ政府の対応も国民の意識も低く、逼迫してきている病院の状況にも、ICU(集中治療室)は、1万床以上拡大できる準備があるなどと発表しています。

 しかし、実際の病院の状況は、すでに入っていた手術の予定を延期するなどの措置を取りながら、病床を開け始めている状況で、他の病気の人を押し退けなければ、病床を増やせない事態。

 昔の日本の映画で、「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」というセリフがありましたが、政府と病院の実態のズレは、まさに、そんな感じなのではないか?と思います。

 実際に、ベッドや機械だけが用意できても、それを活用するには、人手が必要であり、3月から続いているこのコロナの対応で、医療従事者の疲労も不満も募りまくり、慢性的な人手不足の状態。

 その上、日本に住んでおられる方は、「また??」と呆れ返るかもしれませんが、フランスは、あと一週間もすれば、またバカンス(Vacance de la Toussaint)に突入し、現在のところ、政府からは、都市間移動制限の話は、出ていません。

 制限しなければ、必ず、バカンスに出かけるフランス人。何も制限をせずにいれば、今後も感染者記録を3万人、4万人と増やしていくことになりかねません。

 同時に、フランスで、感染回避のために行なっていると思われることでも、間違っていると思われることも、生活のあちこちで見当たります。

 先日、行った歯医者さんでも、診察の際に身につけさせられたプラスチックのガウンや頭につけるキャップが使いまわしだったり、手を洗った後に使うハンドドライヤーが未だに使用されていたり(菌の拡散に繋がる)、地べたに座り込んだり、荷物を平気で地べたに置いたり・・日頃の衛生観念の欠如と緊張感のなさが目につきます。

 今回の感染拡大は、間違いなく、すでに感染拡大の第二波に乗ってしまい、波は上昇を続けていますが、第一波と違って、対処の方法がある程度、わかっているから第一波のような悲惨な状況に陥るとは考えにくい、と政府は発表しています。

 しかし、逆に、第一波がある程度、限定した地域のみの感染拡大であったために、比較的余裕のある地域から応援部隊が飛んで行ったり、患者を移送したりすることが可能だったのに比べて、今回の感染拡大は、広範囲に渡っているため、他の地域から応援に行くということも不可能で、呼吸器等の機械があっても、人手不足のために稼動できません。

 最大警戒地域などを指定しても、実際のところ、社会が動いている状態でのロックダウン時のような緊張感をフランス国民が感じるのは、とても難しいことで、今から思えば、フランスは、ロックダウン解除の仕方を大きく間違えていたと思います。

 今となっては、一度、緩んでしまった緊張感がフランスに戻ってくるのは、本当に医療崩壊を起こすような状況になるか、軍でも出動して、再び取り締まりを行うか、罰則をもっと厳しくするか・・どちらにしても、当分、明るい兆しは難しそうなフランスの雲行きです。


<関連>「コロナ禍中のフランスの歯医者」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_9.html






2020年10月10日土曜日

フランスの税金 住民税廃止

                                                                                                                                    



 数年前から、郵便受けというのは、まったくもって、何かが入っていることが、まるでありがたくないことばかりで、入っているものと言えば、何かの請求書か、何やら面倒な書類を提出しなければいけないという通知がほとんどで、家に帰ってきて、郵便受けを覗いて、何も入っていないことがホッとするようになっていました。

 今どき、家族や友人で手紙をくれる人はほとんどおらず、連絡は、全てメールかラインやメッセンジャーなので、郵便受けから嬉しい楽しい便りは、ほとんどと言っていいくらいないのです。

 それでも最近は、そんな通知も大方、メールに移行しています。

 フランスでは、税金に関しても、今は、全てメールでお知らせが来て、オンラインで税金の申告をして、必要事項を入力すると、その場で、概算が出てきて、正式な通知は、後日やってくるので、そのとおりにオンラインで支払うことができます。

 もちろん、希望者は、自分で手書きで記入して、税務署に届け出ても良いのですが、圧倒的に時間と労力がかかる上、ヘタに人の手を介するよりは、間違いが少ないので、私は、もうここ数年は、全てオンラインでの申請に切り替えています。

 以前は、全て手書きで記入して、期限までに税務署に提出することになっていたので、いつまでも、ぐずぐずしている人たちが、山のようにいて、期日前日の夜中、午前0時前には、税務署に多くの人が殺到する様子を、これもフランスの社会の風物詩だとか言って、主人と夜中に税務署に書類を出しがてら、そんな様子を見に行ったこともありました。

 一年に一度は、所得税の申告、そして、もう一度は、住民税ですが、住民税の方は、引越しでもしない限り、特に申告をすることはなく、所得税の申告を元にダイレクトに通知書が送られてきます。

 一度、駐車場を解約した時に、解約したはずの駐車場の分まで住民税が加算されていることを訂正してもらうために、税務署に行ったことがありましたが、それ以降は、ずっとオンラインでの支払いです。一度、メールで通知が来ていたのを見過ごしていて、住民税を払い忘れて、後に、再度、通知が来て、追徴金まで払わされたこともありました。

 全てにおいて、ぐずぐずしていて、トラブルも多いフランスですが、この税金の支払いに関してだけは、まず、漏れなく通知がやってくるのには、どうして税務署だけは、しっかりしているんだろう?と思います。

 そして、今年は、一週間ほど前、国から、「住民税についてのお知らせ」というメールが届きました。

 内容は、「ご存知のように、政府は共和国大統領の要請により、特に主要な住宅に対する住宅税の段階的な廃止により、地方税を大幅に改革しました。具体的には、世帯の80%が、2018年に本拠地の住宅税を30%削減し、2019年に65%削減したことで恩恵を受けました。2020年には、人口の80%が本拠地の住宅税を完全に廃止し、あなたもその恩恵を受けています。この強力な政府の措置を通じて、共和国大統領は世帯の購買力を促進したいと考えていました。マダム、私たちの最高の配慮の保証を受け入れてください。」というものでした。

 何年か前から、住民税が廃止されるという話は、聞いていましたが、いつになることやら、毎年、「え〜??まだ、なくならないんだ〜〜」と思いながら、昨年までは、住民税を払っていました。そして、今年、このメールで、とうとう住民税を払わなくてもいいんだ!とにんまり・・・。

 私の住んでいる地域は、なぜか、住民税は、結構な金額だったのです。(住民税の計算の仕方というのは、詳しくは、わかりませんが、住んでいる地域、また、アパートの広さや窓の数で決められるとのことでしたが・・)

 そして、またさらに昨日、住民税の通知書がメールで届いたので、「へへ〜〜ん!ゼロだよ〜ん!」と思いながら、それでも、色々な手続きに税金の通知が必要になることも多いので、一応、届いた通知書をダウンロードして、パソコンに保存しようとしてファイルを開いて、ビックリ!住民税の通知は、ゼロではありませんでした。

 そこには、金額138ユーロが記載されており、11月16日までに払ってください・・と書いてあります。ゼロだと思っていたのに何??また、何かトラブル?間違い??と思って、ウンザリしながら、よくよく見ると、それは、オーディオビジュアル(いわゆるテレビの受信料)の料金でした。

 数年前からなぜか、テレビの受信料は、住民税に追加されて請求されていて、住民税は、なくなったものの、テレビの受信料だけは、据え置きだったのです。

 フランスでは、テレビを買った時点で、このテレビの受信料請求のために、自動的に税務署に通知が行くようになっていて、この受信料を逃れるために、家族や友人の住所を使ってテレビを買う人もいると聞いたことがあります。

 コロナ以来、やはり、色々な状況が心配で、テレビでニュースを見るようになりましたが、それまでの何年もの間、テレビというものは、ほとんど見ることはなく、ひたすらDVDを見るための機械としてしか使っていなかった我が家では、安くはないこの受信料を支払うことを苦々しく思っていたのです。

 まあ、ともあれ、住民税が今年はなくなって、大変、助かりました。国が言ってきたようにその分を消費に回してください・・と、回したいのも山々ですが、大好きな旅行も今のところ、できそうもなく、外食もできれば避けたいような状況で、家でちょっと贅沢なものを食べるくらいしか思いつきません。

 そして、一見ありがたいこの住民税の撤廃ですが、もともと、決して税金は安くないフランス。この住民税の税収がなくなる分がどこかに加算されていると思うとそうそう気安く消費というわけにもいきません。素直に住民税の撤廃も喜びきれません。

 今回の住民税の廃止は、全体の80%だそうですが、残りの20%については、2023年までに廃止される予定です。


<関連記事>

「フランス人の金銭感覚 フランス人は、何にお金を使うのか?」


  

2020年10月9日金曜日

コロナ禍中のフランスの歯医者 ①

 


 以前に治療してもらった歯がぐらぐらしているのが、ず〜っと気になっていました。しかし、ロックダウンから・・、ロックダウンが解除された後も、このコロナ渦中、他の病院はもちろんのことですが、口の中を扱う?場所である歯医者さんに行くことは、なんだかちょっと腰が引けていたのです。

 もう今の家に引っ越して以来、15年以上通い続けている近所の気心の知れたサバサバしている素敵な女性の歯医者さんですが、やはり、歯医者さんであることには、変わりなく、まあ、せいぜいお世話になるのも2〜3年に一度くらいで、できればお世話になりたくない歯の治療・・おまけに歯の治療は、なかなかの出費、保険である程度カバーされるものの、結構な金額になることを思うと、ますます足は遠のきがちになり、いつも、どうしようもなくならないと行かないのです。

 ぐらぐらしていた歯がなんとか持ちこたえてくれていたのに、この感染拡大の第2波の波がグングン大きくなってきてしまった今になって、とうとうポロっと落ちてしまったのです。

 奥歯なので、目立ちはしませんが、奥歯が一本ないだけで、口の中は、荒れ始め、食べることが大好きな私にとっては、口の中の不具合は、この上なく不快でたまりません。

 仕方なく、意を決して、予約を入れて、とうとう歯医者さんに行ってきました。



 入り口には、もはや見慣れたマスク着用義務のステッカーがドーンと貼られ、歯医者さんも助手の人も重装備、マスクにフェイスシールドをしています。(考えてみれば、歯医者さんはいつもマスクをしていますが、フェイスシールドが追加されています)

 室内に入るとすぐに非接触式の体温計で体温のチェックをされて、待合室に入りました。いつもは備え付けられているミネラルウォーターやゴミ箱、雑誌類などは、全て撤廃されていて、待合室で人と出会わすこともありませんでした。

 少しして、診察室へ案内されると、プラスチックの身体を覆うガウンと頭にかぶるキャップをつけてくださいと言われ、マスク、セキュリテソーシャル(健康保険)のカード、支払い用のカード、携帯電話以外の荷物は、お預かりしますということで取り上げられ、少々、心もとない気分で治療が始まりました。

 面倒なことをと思いつつも、これだけ衛生管理に気を配っていてくれることは、やはり安心でもあります。

 しかし、いつも思うのですが、歯医者さんというのは、治療中で、こちらが口を開けているというのに、なぜ話しかけるのか?と思います。こちらは、口を開けたままで、おまけに麻酔を打たれて、口が腫れたような感じで、痛みに耐えながら、もう、おしゃべりどころではないのです。

 顔をライトに照らされて、時々、薄眼を開けながら、痛みに耐え、あの歯の治療独特のギ〜んという音をなんて嫌な音なんだろうと思いながら(あの音がしない機械ができないものかといつも思います)身を硬くして、意識は、半分、遠い感じで、ライトに照らされている歯医者さんの腕に光るブレスレットがキラキラ光って、キレイだな・・などと、ぼんやり思いながら、ひたすら早く治療が終わるのを待っているのです。

 レントゲンを撮ったり、歯の一部を削ったりして、1回目の治療は終わり、全身ぐったり・・支払いのカードの機械の調子が悪く、午後に支払いに来てくれないか?と言われましたが、そのためにまた、出向くことはあまりにバカらしく、こちらの不備でもない事から、次回に今回の分も合わせて払うことにしてもらいました。

 治療が終わって、次回の予約を入れるときに、お医者さんに「ロックダウン中はどうしていたの?」と聞くと、3月半ばから2ヶ月間くらいは、閉めていた・・と、しかし、彼女は、たたみかけるように、「でも、今度、ロックダウンになっても、もう、うちは、閉めないわよ!なぜなら、今は、もう、どうやって、感染回避をできるかがわかっているから・・」と、強めに宣言していました。

 たしかに、病院だってやっているんだから、感染対策さえ万全にすれば、営業は可能なのです。

 そして、私は、着せられていたプラスチックのガウンと頭に被っていたカバーを外して、それを返して診察室を出ると、ちょうど、次の患者さんがやってきたところでした。そこで、私は、思わず、絶句、ちょっと前まで私が来ていたガウンと頭にしていたカバーを次の患者さんに身に着けるように促したのです。

 もしかして、感染回避のために着せられていたプラスチックのガウンと頭のカバーは使いまわしだったのでしょうか??? こういうものは、普通、使い捨てではないのでしょうか??

 最後の最後に不安にかられながら、家路に付き、帰ってからも、それが気になって仕方ありませんでした。念の為、歯医者さんに着て行った服は全て洗濯しながら、次回に行った際に、ガウンを着るように言われたときには、それが使い回しではないかどうか、しっかり確認しなければ・・と、強く思ったのでした。

 これだから嫌だ・・フランス人の衛生観念・・全く、気が抜けません。


<関連>「ロックダウン解除・約5ヶ月ぶりで、かかりつけの医者へ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_5.html

 


2020年10月8日木曜日

災難続きのフランス アルプ・マリティーム県の大洪水の大被害

 

 Image        

 先週末に起こった暴風雨の被害により、フランスのアルプ・マリティーム県(プロヴァンス・アルプ・コートダジュール地域圏)は、55の市町村が壊滅的な被害を受けています。

 これまでに4名の死亡者が発見されており、行方不明者も多数いる模様です。

 家が崩壊し、住居を失い、停電状態が48時間続き、水や食料の供給も滞り、地域の人々は、不安に震える日々を過ごしています。

 大規模な洪水が起こり、家が崩壊したり、流されただけでなく、墓地までが決壊し、暮石だけでなく、壊れた棺までが流されてきた光景に、これまでの人生で見たことのない光景だったと村の人々は恐怖の体験を語っています。

 フランスは、土葬の文化のため、遺体の入った棺が流れてくる光景は、衝撃的なものに違いありません。この洪水により、墓地に埋葬されていた150体が流されました。

 家が流され、電気も食料もない中、棺までもが流れてくる光景、もはや、コロナウィルスだマスクだなどとは、言っていられない壮絶な状況です。

 昨日は、マクロン大統領も被害を受けた地域の中で最も壊滅的な状態にある3つの市町村を訪れ、被害に遭った人々と直に接し、地元の住民の話を受け止めていました。

 マクロン大統領に間近で対面し、「家も財産も何もかも失った人の気持ちがわかりますか?私たちを見捨てないで・・」と、半泣き状態で訴える女性に、マクロン大統領は、「私たちは、絶対にあなたたちを見捨てません。救済に当たってくれている全ての人々の連帯に感謝します」と語りかけていました。

 コロナウィルスだけでも、精神的にも疲弊している状況に加えて、この自然の大災害。このような自然の大災害を見るたびに、底知れぬ自然の力に脅威を感じます。フランスには、地震はありませんが、洪水の被害は、度々、起こります。とはいえ、これほどまでの大洪水は、なかなかありません。しかもコロナの蔓延する状況下で・・。

 山に囲まれたこの地域は鉄道も道路も分断され、食料などの物資の支給もヘリコプター、電気もなく、食料が運ばれてくるヘリコプターをひたすら待ち、配給を列に並んで待たなければならない生活を強いられることになったこの地域の人々。

 いつか、東日本大震災が起こった時に、周りのフランス人がフランスでこんなことが起こったら殺し合いが起こるかもしれないと言っていたことを思い出しました。災害には、あまり免疫がなく、ストレスに弱い、我慢が苦手な人々の精神状態も心配です。

 マクロン大統領は、同時にこの地域の復興に1億ユーロを用意することを発表しました。このコロナウィルスで逼迫している経済状況の中、追い討ちをかけるような大出費です。

 今や、フランスのコロナウィルスの感染拡大は、誰もがこれが第2波であると認めることを躊躇わない感染状況、昨日の新規感染者数は、とうとう1万8千人を超え(18746人)、もはや、数字の感覚がマヒしてくるような数です。

 イル・ド・フランス(パリ近郊地域)の病院の病床の40%以上はコロナウィルスの患者で占められている状況、検査陽性率は9.1%にまで上昇しています。つい数日前にパリが最大警戒地域に指定され、さらに厳しい規制が敷かれたばかり、この規制の効果が表れるのには、少なくとも2週間は様子を見なければなりませんが、それを待たずして、さらに厳しい規制が追加される可能性も出てきました。

 コロナ、火災、テロ、デモ、大洪水と、人災も天災も含めて、これでもかというくらい災難続きのフランス、本当に大丈夫だろうか?と不安が募ります。


<関連>

「災害に免疫のないフランス人がパニックになり、アジア人全体を傷つけている」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post.html









2020年10月7日水曜日

OSHIBORI - 日本のおしぼり文化がフランスにやってきた!

 

   


 コロナウィルス感染による経済の停滞が著しい中、明らかにコロナをターゲットにした商売も登場しています。

 ここ数日前からフランスのテレビコマーシャルに登場し始めた「OSHIBORI CONCEPT(おしぼりコンセプト)」のCMには、突如、テレビから聞こえてきた「おしぼり」という言葉に、「ん・・???」「なに・・???」「今、おしぼりって言ったよね・・聞き違い?? いやいや、おしぼりだ・・」と、思わず、二度見してしまいました。

 ゴールド、シルバー、ブラック、ホワイトのパッケージに香水の香りづけのされた高級イメージのおしぼり・・(いやいや実際に高級、高価です)おまけにコマーシャルの最後には、なぜか、made in france というナレーションが入ります。

 これを、フランスのテレビでコマーシャルを流して、一体、誰向けのコマーシャルなのだろうか?と思います。

 このおしぼりは、99.9%以上の細菌やウィルスを除去する抗菌性を売りにしており、現在、消毒といえば、もっぱらアルコールジェルが使われているフランスで、日本で言うところの除菌シートをすっ飛ばして、いきなりこの高級路線の OSHIBORI には、ちょっと驚きますが、おそらくターゲットは、一般大衆向けではなく、サイズやパッケージなどもカスタマイズができるとしているので、高級ホテルやレストランなど向け、あるいはフランスでもブルジョア階級向けと思われます。(この会社もパリ16区にあります)

 お値段も、1パック(50包入り)90ユーロ(約12000円)となかなかなもので、現在、厳しい営業制限が敷かれて、売り上げが激減している一般のレストランなどで、アルコールジェル以上に経費のかかる OSHIBORI (おしぼり)が使用されるとは思えません。

 また、この製品に、OSHIBORI という日本語が使われていることもとても興味深く、なんだか日本人の私としては、ちょっと嬉しい気持ちです。

 日本のレストランでのおしぼりは珍しいことではありませんが、ここへ来て、改めて、日本には、おしぼりという日本独特の文化があったんだ・・これも日本人の身を清潔に保つ衛生的な習慣の一つだったことを思い出しました。

 「おしぼり」という日本語を使ったネーミングがフランス人に覚えやすいネーミングであるかどうかは疑問ですが、日本に対するリスペクトが感じられるこのフランスの OSHIBORI の行方が気になります。

 いっそのこと、この  高級な OSHIBORI made in france は、日本へ輸出した方が売れたりするかもしれません。

 しかし、一般的には、ケチなフランス人にこのおしぼりが浸透するとは考えづらく、今ではあちこちに設置されているアルコールジェルを使うことはあっても、ポケットティッシュなどのティッシュペーパーでさえも、一度、鼻をかんでも、ポケットにしまって、再び使うフランス人が、このおしぼりを有効に使えるとは信じ難いのです。

 

<関連>「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_6.html

2020年10月6日火曜日

最大警戒地域に指定されたパリ レストランは新しい衛生基準で営業する



 とうとうパリ市及び、周囲3県(オー・ド・セーヌ、セーヌ・サン・ドニ、ヴァル・ド・マルヌ)が最大警戒地域に指定されました。むしろ、先週の段階でマルセイユやグアドループが最大警戒地域に指定された時点で、なぜ、パリが指定されないのか? 疑問なくらいだったので、パリの住民も、恐らく、そのこと自体に驚いた人はいないと思います。

 これにより、1000人以上のイベントが禁止となり、公道、公園等における10人以上の集会の禁止、スポーツジム、プール、カフェ、バー、ディスコの閉鎖されます。(展示会、見本市、サロンなども禁止)

 今回のパリの様々な制限措置の特徴の一つは、大学、大学生についての措置です。これは、現在のイル・ド・フランス(パリ近郊)の 203件のクラスターの40%が学校、及び大学が起源となっていることによります。これにより、大学の授業の参加は、50%に制限されます。(これまでにリモート授業になっていなかったことが驚きですが・・)

 パリの住民10万人あたりの発生率は200を超えていますが、ウイルスが最も活発に循環しているカテゴリーである20〜30歳の年齢層では500を超えています。若者がいかに感染を広げているかがわかります。この数字を受けて、今回は、これまでの規制の上に、特に若者に対しての規制(大学生のパーティー、夜の外出禁止など)が加えられています。

 夜22時以降のアルコールの販売、路上での飲酒も禁止です。夜、若者が飲んで歌って大騒ぎしていましたが、それも禁止されます。当然です。

 恐らく、今回の規制の中で、一番、注目されていたレストランの営業については、前回、一足先に最大警戒地域に指定され、営業禁止(レストラン・バー)となったマルセイユで大反発が起こったこともあり、今回の規制では、パリでは、最大警戒地域となっても、1テーブル最大6人、客の連絡先記録、席での支払い、立食い禁止等の衛生基準を満たしていれば、レストランは営業が許可されることになりました。

 これがもし、前段階でのマルセイユの営業停止の措置がなければ、パリのレストランでのこれらの衛生管理に関する規制には、もっと反発があっただろうと思います。マルセイユの例を見て、よもやパリのレストランも営業停止では・・と多くの人が案じていたところに条件付きではあれ、営業許可が出て、もはや、営業停止よりはマシ・・と、思っているのか、今のところ、それほどの反発も聞こえてきません。

 特に客の連絡先の記録に関しては、フランスでは、客の側もスンナリと受け入れる人ばかりではなさそうですが、そこは、レストラン側もそれをやらなければ営業できないとなれば、何らかの対策をとって、何としてでもやっていくと思います。

 そもそも、ヨーロッパの中でも、ドイツやベルギーなどでは、レストランの利用客の連絡先の記録は、すでに行われていることで、それほど難しいことではないように思いますが、フランス人の国民性から、今のこの逼迫した感染状況にまでならなければ、受け入れられにくいことだったかもしれないとも思います。

 何かにつけて、とりあえず反抗する、この連絡先の明記にしても、プライバシーだの何だのと文句をつけるフランス人が目に浮かぶようです。しかし、今回ばかりは、レストラン側も後には引けないので、ゴネる客がいても、何とか説得するでしょう。

 フランス人は、何か新しいこと、例えば、こうすれば、もっと便利になるのに・・とか、もう少し工夫してみれば・・などと新しいことを提案したりしても、すぐに、「セ・コンプリケ!(ややっこしい!)」と却下しがちです。そんなに複雑だと思えないことでも、すぐに、「セ・コンプリケ!」・・。

 彼らは、習慣を変えることが嫌いで、いちいち抵抗します。とにかく自己主張することを美徳とするフランス人にとっては、抵抗することが彼らのプライドを支えているかのようです。

 今回のコロナ対策では、習慣を変えなくてはならないことがたくさんで、フランス人には、新しく対応しなければならないことがたくさんあって、(別にフランス人だけに限ったことではなく、どこの国でも新しい生活を強いられているのですが・・)、一見、言いたいことを言って、ダイナミックに見えても、基本、保守的なフランス人には、ことのほか厳しい事なのかもしれません。

 しかし、ロックダウンまでして、せっかくおさまりかけていたコロナウィルスの感染をまた、悪化させてしまったのも彼ら自身、ダメな学校の校則がやたらと厳しくなるように、フランスでの規制もどんどん厳しくなっていきます。

 しかしながら、感染が悪化すれば営業停止、少し改善すれば、また営業・・を繰り返していれば、このサイクルは永久に続いてしまいます。なんとか、この厳しくなった規制に順応して、この悪循環を断ち切ってほしいものです。

 現在のところは、本来なら、特別に規制しなくても、自主規制ができるはずのことですが、規制されなければできない、ちょっとデキの悪い子供のようです。

 この新しい規制のもと、フランス人もこれからコロナと生きる新しい生活に少しは慣れるようになって、「やれば、できる子なのよね・・」と言えることができるようになってくれればいいなと思っています。

 それでも、この感染下で、経済活動が少しでも止まらないように、会社はリモートワーク推奨に留められています。

 これらの規制は5日から、とりあえず15日間、10月19日まで続けられます。

 

<関連>「フランス人のプライド」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html