2020年7月24日金曜日

フランスでの一日の新規感染者数1000人突破と暴力事件増加


File d'attente devant un laboratoire à Paris pour un test coronavirus, le 18 juillet 2020


 ここ1〜2週間ほどで、フランスのコロナウィルス新規感染者数は、ぐんぐん増加して、一週間前までは、500人前後を行ったり来たりしていると思っていたら、今週に入って、800、900、1000と、とうとう1000人の王台に乗り、1062人になってしまいました。

 今は、バカンスに出ている人が多くて、思うように検査が捌き切れないと言いながら、この数字、近隣のヨーロッパの国々は、どうかな? と覗いてみると、イタリア306、ドイツ661、イギリス769、スペイン2615といずれも上昇中で、フランスは、スペインに続いています。

 スペインは、もうすでに、数カ所の地域でロックダウンの措置を取っているので、かなり危険な状態であると政府が判断していたと思われますが、フランスは、今のところ、屋内スペースのマスク義務化だけで、それ以上の措置は、取られていません。

 だいたい、一度、ロックダウンを解除したら最後、マスクを義務化するだけでも大変な騒ぎで、家族4人で一枚いくらのマスクを一ヶ月使うとこれだけの負担になる!などと騒ぎ出し、洗えるマスクが配布されることや、心臓疾患、糖尿病などの持病を抱えた人には、サージカルマスクが全額保険適用になることになりました。

 バカンスには、平気でお金を使うくせに、マスクとなると、途端にお金がかかって負担になると騒ぎ出す。要は、なんだかんだと難癖をつけては、マスクをしたくないのです。3万人以上の死者を出して、2ヶ月もロックダウン生活をして、さらに現在の一日1000人を超える感染者を出しても、まだ駄々を捏ねるフランス人には、呆れ返ります。

 1000人以上の新規感染者に加えて、一日で10件以上のクラスターも発生しているのです。また、感染者の増加とともに、これまで下がり続けてきた集中治療室の占拠率が下がらなくなったことが発表されています。つまり、一定の人数が毎日、亡くなったり、治癒して出て行くとともに、新しく、集中治療室に入る人が増え始めたということです。

 イルドフランス、グランエスト、オードフランス、ガイアナでは、集中治療室の71%が埋まっている状態です。

 だいたい、コロナウィルスの第一波が来た時は、最初の症例は前年の11月に見られており、そこから全国に蔓延するまで3〜4ヶ月、それを考えると、5月のロックダウン解除から現在2ヶ月半が経っていますが、この数字の上昇の仕方は頷けるような気がするのです。

 おまけに、7月からヨーロッパ内の国境が、解禁していて、国外から来る、例えばフランス以上に感染が広まっているスペインなどからも毎日、たくさんの旅行者が入ってくるのに、空港では、なんの検査もせずに野放し状態なのです。

 さらに、バカンスに入って、デモも休暇状態に入ったと思ったら、フランス国内各地では、リヨンで通行中の若い女性が車で500メートルも引きずられて殺されたり、ニースでのドラッグを巡ってのいざこざから発砲事件が起こったり、高速を走行中の車が突如炎上したり、暴力事件、しかもかなり過激な事件が次から次へと起こっています。

 ロックダウンのストレスとバカンス突入の開放感からか、タガが外れたような人が増えているのです。

 ロックダウンの最中から、外から聞こえてくる救急車のサイレンには、ずいぶんと慣れましたが、今は、コロナウィルスの患者さんだけでなく、他の事故や事件もあるわけで、どうにも止まらないフランスの混乱状態、頼みの綱がマスクだけというのは、あまりにも心細いではありませんか?

<関連>
「マスク義務化のフランスは、コロナウィルス第2波を避けられるのか?」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_21.html

「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html

2020年7月23日木曜日

親子関係・家族関係 私が海外生活をしている理由





 私は、人が生きていく上でのその人の軸となる部分を作るものは、家族、主に親子関係だと思っています。それは、経済的に恵まれているとか、いないとか、そういう問題ではなく、絶対的な信頼感とでもいうのでしょうか? 自分は確かに愛されているという感覚を子供が成長過程において、感じることができるかどうか? そのことが、子供にとって、その子がどんな道に進んだとしても、その人の軸となる部分を強く持ち続けることができるかどうかを大きく左右すると思っています。

 家柄とか、経済的にとか、そういうことではなく、家族の絆がしっかりある家庭で育った人は、強いです。そして、それは、何よりの財産です。

 自分の恥部を晒すようで、躊躇いもあるのですが、私は、それを持たずに育ちました。一見、何不自由ない暮らしをさせてもらってきました。しかし、私の育った家庭では、父は、わがままで気分屋で、身体的な暴力を振るわれたことはありませんでしたが、気に入らないと暴言を吐く、家族中が父の機嫌を常に伺う、ピリピリした家庭でした。母の愛情は、感じていましたが、父には逆らえない母にしっくりしないものもありました。

 時代もあったのでしょうが、母も父に刃向かうことはできず、ただ、その場を凌いで紛らわせることを積み重ねてきたのです。

 表向きは、ごくごく普通の家庭に見えるし、母はもちろんのこと、私も弟もそれを特に他の人に深刻に訴えることもせずにいたので、親戚でさえも我が家の実情は、よく知りません。ただ、私と弟は、何度も母に離婚を勧めました。しかし、世間体やそこまでの勇気が母にはなく、そのまま、なし崩しに暮らしてきました。

 弟が大学に入った頃に、とうとう弟は父と衝突し、ほとんど家に帰らなくなりました。当然、家の中の雰囲気は最悪です。私は、自分の気持ちが不安定なことを逆に追求したくて心理学の勉強をしてきました。

 母が小さい頃から英語を教えてくれていたこともありますし、好きになった相手がたまたまフランス人であったり、弟も海外に出て仕事をしたいという目的も確かにありましたが、私も弟も海外で生活しているのは、そんな家族から少しでも遠くに離れたい気持ちがどこかにあったことも否めません。

 私も弟も独立して、それぞれの家族を作って、たまに里帰りするくらいになって、どうにか、自分の育った家庭を外から眺められるようになりました。しかし、ピリピリした環境で育った私の自分自身の軸が弱いこともよくわかっています。

 私が、心理学に続いて、死生学を学んでいた過程でイギリスのホスピスで働いていた時、そこで出会ったたくさんの患者さんたちと話をして、まさに死にゆく瞬間に思う人生にとって大切なものとは、何なのか?・・私が感じたのは、家族でした。

 その後、私は、私自身の家族を作ろうと思い、実際に家族を持ち、子供も生まれました。私は、何よりも娘に対して、「何があってもママは自分を愛してくれている」と感じられるように接してきました。(だからと言って、娘が何をしてもいいというわけではありませんが・・)夫が娘に対して理不尽なことを言っても、決して黙って我慢することは、ありませんでした。とことん、話してきました。

 私は、そんなに口数が多い方ではありませんが、言うことはきっぱりと言います。これは、特に夫に対してだけというよりも、海外生活では、言うことは、はっきりと言わないと暮らしていけないということもありますが・・。

 私がこれまでで自分がすごく幸せだと感じた瞬間は、まだ娘が小さかった頃にお休みの日に朝、なかなか起きてこなかった夫を起こしに行って、3人でベッドでゴロゴロ戯れていた、なんのたわいもない時間でした。家族での心底リラックスした時間を感じた瞬間に私は、このまま死ねたらどんなに幸せだろうと思ったくらいです。

 海外での生活ということで、難しいことは、たくさんありましたし、特に娘は、自分が選択したわけでもないのに、フランスと日本と両方の国の間で生きることになったのです。そうでなくともアイデンティティーの所在が不確かになりかねません。

 それでも、結果、娘は、ちょっと鼻持ちならないほどの自己肯定感の強い、軸がしっかりした人になりました。それは、これから、彼女が生きていく上で、とても大切なことだと思っています。

 先日、三浦春馬さんという日本の俳優さんが自ら死を選んで亡くなったというニュースを見て、人の軸の強さと家族の関係について、少し考えたので、今日は、こんな話題になりました。

 人は、自らの意思で生まれてこられないように、自らの意思で命を断つことは、あってはなりません。少なくとも、娘は、彼女が自ら命を断つようなことがあったら、私が死ぬほど苦しい思いをすることを知っていてくれると思っています。


<関連>
「ハーフの娘の祖国 アイデンティティーの帰属」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_28.html

「ハーフだって楽じゃない・・・ハーフの子」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_4.html

2020年7月22日水曜日

まさかのパリ・プラージュとコロナウィルス検査

Paris Plages 2017 - Parc Rives de Seine © DR


 パリ・プラージュ(Paris-Plages)は、2002年にスタートしたパリのセーヌ川岸に、夏の間だけ、多くの人がバカンスに出る時期にバカンスに出られない人や、パリを訪れる観光客のために、川の土手にある車道が封鎖され、人工的なビーチが作られ、デッキチェアが置かれたり、様々なイベントを開催したりして、毎年、盛況で、パリの風物詩のようなものになっています。

 私もパリ・プラージュができた年に一度だけ、娘を連れて、行ったことがあります。その頃は、まだ、セーヌ川の右岸に設置したビーチだけでしたが、物珍しいこともあり、まだ、小さかった娘は、水着でビーチをスキップして歩き、砂で遊んだり、出くわした子供と水遊びをしたり、ボルダリングをしたりして、楽しいひと時を過ごしました。

 しかし、今年は、コロナウィルスがおさまっていない状況で、パリ・プラージュは、中止だとばかり思っていました。ところが、今年もパリ・プラージュがオープンしたというニュースを見て、ひっくり返りそうになりました。

 普通のビーチを解禁するのとは、わけが違い、人工的なビーチを作るのです。それをわざわざ、この状況でオープンするとは、やはり、フランス、侮れません。

 人混みを作りたくないのではないですか? 屋外だから、良いのですか? そもそも、ロックダウン解除以来、いくつも起こってきた数千人単位のデモなどの人出を考えれば、可愛いものかもしれませんが、どうにも理解しがたいことです。


Un village santé a été installé sur le parc des quais de Seine à l\'occasion de Paris-Plages
パリ・プラージュにあるコロナウィルス検査スペース


 しかし、今年のパリ・プラージュは、いつもと違う工夫もされているようです。
パリ・プラージュの中には、2カ所のコロナウィルスの検査が無料で受けられるスペースが設けられ、気軽にテストが受けられるようになっていて、行列ができているようです。
これは、とても良い試みだと思います。自覚症状のない人も気軽に明るい雰囲気で検査を受けることができて、結果、スクリーニングが可能です。


C'est une première à Paris
パリ・プラージュの一貫のセーヌ川の上で楽しめるシネマ
                     
 また、川岸のボートから、映画を楽しめるシステムなども導入しています。これなら、ソーシャルディスタンスを保ちながら、また、夕暮れ時のパリの景色の中で映画を楽しむことができます。これは、なかなかロマンチックではありませんか?

 やはり、是が非でも、バカンスを快適に楽しく過ごそうとするフランス。そのためには、なかなか、色々と知恵が回るものだと・・ちょっと、感心しました。
 
 これから当分の間、コロナウィルスと共存して生きていかなければならないのは、ただ、ダメダメというばかりではなく、こうした試みも必要なのかもしれません。


<関連記事>「夏にバカンスで閉めるフランスのプールとラーメンを出さないラーメン屋」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_29.html


 

 

 

 

2020年7月21日火曜日

マスク義務化のフランスは、コロナウィルス第2波を避けられるのか?


 

 フランスで、公共の屋内スペースでのマスクが義務化になって、もしかしたら、ロックダウンの時のように、警察がウロウロして、コントロールをしているのかも??と思いながら、買い物に出かけると、街中は、いつもどおりで、警察がコントロールしている場面には、出会いませんでした。

 しかし、コマーシャルセンターの中に入ると、ビックリするほど、みんながマスクをしており、135ユーロの罰金の威力、恐るべし!と思いました。(みんながマスクをしていてビックリするところが何なんですが・・)

 これも、初日のことですから、これが、いつまで続くのかは、甚だ疑問です。多くの人がコロナウィルスが怖くてというよりも、罰金が怖くて仕方なくマスクをしているからです。警察のコントロールが緩いとなれば、マスク率も一気に下がると思われます。何と言っても、今は、警察の人もたくさんの人がバカンスに出ていますから、どうしても警戒は、緩くなります。

 しかし、マクロン大統領をはじめ、政府の官僚たちも、これまでマスクなしで経済復興アピールをしているのかと思われるほど、公の場でも、マスクをしていなかったのに、一斉にマスク姿でそれぞれの場に登場して、マスク着用をアピールしていました。

 マスクを着用していない場合は、入店(もしくは入場)できないわけですから、また、それなりの軋轢も生まれそうで心配です。いみじくも、先日、マスクを着用していなかった乗客に注意して殺されたバスの運転手さんの埋葬がマスク着用義務化初日と重なったことは、とても皮肉なことです。

 これだけマスクの義務化の必要性を訴え、実際に罰則付きの義務化が施行されても、フランスでは、15%の人は、マスクの義務化に反対しています。(18歳〜34歳の人たちの間では、22%の人が反対)

 街に出てみれば、若い子でも、洋服と素敵にコーディネートして、マスクをファッションの一部として楽しんでいる人もいるし、ブティックなどでもおしゃれなマスクを売り始めているのですが、残念ながら、それは、ごく一部のことです。

 
ジャケットの赤とパンツとマスクとバッグの黒がいいな


 先日のバスの運転手さんが殺された事件や、注意すると逆ギレして、店員に食ってかかったりする人がいるフランスでは、マスクをするように注意することさえ、命がけです。店舗の人も、「これ以上、感染が広がって、再びロックダウンになっては堪らない・・マスクをするのは、仕方がない・・」と、渋々、受け入れているのがわかります。

 屋内でマスクをしていない人がいた場合は、当然、当人はもちろん、その店舗や商業施設等も管理責任を問われるわけで、注意をすること自体がリスクである国では、規制は、ありがたいはずは、ありません。

 そのような事態を予測してのことか、店頭に、「マスク着用は義務です」「納得いかない人は、下記にご連絡を!と、大統領官邸と首相官邸の電話番号を書いてあるお店もあるほどです。

 しかし、手段はいかにしても、これで少しでもマスクをする人が増えてくれるのは、少しでも感染の拡大を防げます。

 先日のパリ祭では、いつもどおりの軍事パレードは、行われず、いつもは目にすることのない戦車などの軍用機を見ることはできませんでしたが、今は、どんな勇ましい軍事兵器をもってしても勝つことができない目に見えないウィルスにマスクで立ち向かっているのは、力(チカラ)とは、何なのかを考えさせられます。

 実際に、フランスは、第2波を避けるためにと言っていますが、もはや、感染状況を見れば、第2波は、始まっている状態です。先週の週末は、3日間続けて、新規感染者数は、800を超えています。ですから、第2波は避けられなかったわけで、始まってしまった波をどれだけ低く抑えることができるのか? 

 それがフランスの課題=マスク着用義務化なのです。

<関連>
「マスクのポイ捨ては、罰金135ユーロ でも、フランス人はルールは、守らない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_9.html
 

 










 

2020年7月20日月曜日

ナント大聖堂の火災で思い出したナントの役所での娘の国籍申請



 フランスの西部、ロワール川湖畔に位置する Nantes(ナント)にあるサンピエール・サンポール大聖堂で18日、火災が発生し、ステンドグラスの窓やパイプオルガンなどが破損しました。

 大聖堂の中心から赤い火が登る光景には、誰もが、昨年に発生したパリのノートルダム寺院の火災を彷彿とさせるものを感じたことと思います。今回のナントの大聖堂の火災では、短時間での消火活動により、ノートルダム寺院ほどの被害には、至りませんでしたが、出火現場が3ヶ所に渡ることから、放火の疑いがあり、国家警察が捜査に加わることになりました。

 大聖堂は、15世紀建立のナント市民にとっては、シンボル的な存在であり、また、教会でもあることから、心の拠り所でもあり、大きなショックを受けています。

 この報道で、インタビューを受けている市民を見ていると、人の良さそうな、おっとりしている感じの人ばかり・・パリ・パリ近郊の人としか、接することのない私は、彼らの表情や話し方を見ていて、パリジャン・パリジェンヌが嫌われるわけだな・・と妙なことを考えていました。

 ナントといえば、まだ、フランスに来たばかりの頃に、娘の国籍などの手続きがなかなか進まず、夫と娘と義理の兄夫婦とで、車でナントのお役所に出向いたことがあったことを思い出しました。外国で生まれたフランス人の国籍等の管轄は、なぜか、全てナント扱いとなっていて、一日がかりで、長い道のりを車で手続きに出かけたのでした。

 結局、娘の出生証明書(アフリカ生まれなので、アフリカで発行してもらったもの)に不備があり、アフリカから、出生証明書を取り寄せ直して送るということで、方はついたのですが、せっかく来たのに、手続きがすぐに済まないことに、フランスのお役所仕事に慣れていなかった私は、大いにショックを受けたのでした。

 長い道のりになるので、ランチ用にと大人4人分のサンドイッチを山ほど作って、出かけるときは、ピクニック気分で出かけたのに、結局、事がうまく運ばずに、海辺に出て、暗い気持ちでサンドイッチを食べ、義理の姉に、時間がかかるけど、大丈夫だから・・と慰められたことを思い出しました。

 手続きにとても手間取ったこともあり、その上、どんよりとした天気で、なんだか、とても暗いイメージしか残っていないので、私にとっては、あまり良い印象がない場所で、ナントにこんな大聖堂があったことも全然、覚えていませんでした。

 今から思えば、何かとスムーズには、運ばないフランスのお役所仕事、ましてや、アフリカからの案件など、すんなり事が運ぶ方が不思議なくらいなことは、充分にわかるのですが、その頃は、かなり絶望的な気持ちになったものでした。

 せっかくナントまで行ったのに、観光も何もしなかったことを何も思わないほど、当時の私には、余裕がなかったのです。

 今の私だったら、たとえ、手続きが進まなくとも、せっかく来たのだから、ちょっと街を見ていこうくらいの図々しさがあるのに・・と、火災前の大聖堂を見れなかったことを残念に思うのでした。

 それにしても、最近のフランス、ノートルダムの火災や、ナント大聖堂の火災、規模は違いますが、先日は、オルリー空港でシャトルバスが炎上する火事が起こり、大騒動になりました。コロナ渦で警戒状態の中、火災までがあちこちで起こるって、何なんだ??


<関連>「フランス人の夫との離婚の危機」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_28.html







2020年7月19日日曜日

拡張しているテラス席でのパリのレストランでのランチ


アントルコット(牛肉)と手前がアニョ(子羊)

 私は、日頃から、友人に会ったりする時も、ゆっくり時間を過ごしたくて、家においでよ!と、自分でお料理を作って、延々と食べて、飲みながら、おしゃべりすることが多くて、(もしくは、友人宅に押しかける・・)あまり外食はしないので、ロックダウンになっても、あまり、外食が恋しいとはなりませんでした。

 しかし、さすがに、これだけ、閉じこもりの生活が続くと、少しは、街の景色を眺めながら、誰かが作ってくれる食事をしたくなり、久々に友人とランチに出かけました。

 彼女は、庶民の私と違って、まことに優雅な暮らしをしていて、パリのマレ地区に、ここにこんな空間があるの??と思うようなアパートに住んでいるので、彼女と会う時は、マレ地区が多く、今回も彼女の馴染みのレストランでのランチになりました。

 マレ地区は、日頃から、デザイナーのアトリエや、アートのショールームのような場所も多く、比較的、お店の入れ替わりが激しいので、今回のコロナ渦によって、特に変わったな〜という感じは、ありませんでした。

 しかし、どこのカフェやレストランも大幅にテラス席を拡張し、自分のお店の前だけでなく道路を挟んで、向こう側の歩道沿いにまで、テラス席を作っているので、通り全体がテラス席のような印象の通りもあったりして、全くの通行止めになっている通りもありました。もともと、この辺りは、細い通りも多く、ピザ屋さんなども、「配達は、自転車でやっています」というお店などもあります。


通りの向こう側までテラス席

 私は、いつもなら、何となく落ち着かないし、人が行き交うテラス席は、あまり好きではないのですが、今は、さすがに店内の席は、やはりちょっと躊躇われて(店内も営業していましたが)テラス席を選びました。

 そのレストランは、普段は、狭い場所に小さめのテーブルと椅子がたくさん並び、かなり密になる店内ですが、(パリのレストランは、こんな感じが多いのです)その小さめのテーブルがそのまま外のテラス席に並べられ、相変わらず小さいテーブルでお皿の置き場がギリギリのテーブルでの食事です。

 お料理は、基本、フレンチですが、アジアティックのテイストが入ったアレンジになっています。私たちは、普段、あまり食べないからと、二人ともお昼から、ガッツリお肉を注文しましたが、メニューには、魚介を使ったブロシェット(串焼き)や、日本風生のまぐろのミルフィーユなんていうものもありました。

 アジアティックのテイストというだけあって、フレンチにしては、比較的、さっぱりとしたソースで、シンプルで何より素材が抜群で、付け合わせの野菜などもフランスにありがちなグニョグニョではなく、程よい茹で加減、私は、滅多に食べない子羊肉を注文しましたが、臭みもなく、あっさりしているわりには、しっかりと肉の味がひきたつように焼かれていて、バジルとガーリッククリームを使ったソースも、決して勝ちすぎておらず、肉にピッタリマッチしていて、しっかり堪能しました。

 その日は、朝、早くからついでに色々と用事を済ませるために歩き回ったこともあり、空腹で、出てきた、白と茶色のバゲットも全部、完食!友人とも久しぶりで、おしゃべりしながら、延々と長いランチタイムを過ごしました。お店の人にも、一番最初に来て、最後までいたわね!と言われてしまいましたが、全く嫌味がなく、楽しそうでだったね!美味しかった!と、笑って、また来るね!と言って、レストランを後にしました。

 狭いパリの中でも、地域によっては、行き交う人が、全く違うのですが、さすがに若い子でもおしゃれで可愛い子が多く、年配の人でも、ちょっと気の利いたおしゃれをしている人などが多いので、街行く人を眺めるながらの食事も楽しいものです。

 コロナ渦で、今まで敬遠していたテラス席が、思いの外、心地よく、開放的で自由でもあり、他のお客さんとも程よく距離が取れていて、まるで、コロナなどなかったように、外で、楽しそうに食事する人々の様子をちょっと離れたところから、心地よい風景のように眺めていました。

 場所にもよりますが、私も今後、テラス席にハマりそうです。

 
食事のあとのカフェに付いてきたのは、チョコレートではなくヌガーでした


<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」


<この話に出てくるレストラン>
 ★ Le Petit Marché
       9 Rue de Béarn, 75003 Paris



 

2020年7月18日土曜日

フランスと日本のコロナウィルスに対する危機感の大きな隔たり




 フランスのル・モンド紙(フランスの大手新聞)は、日本でのコロナウィルスの感染が増加していることを7月17日の紙面で報道しています。報道では、「日本のコロナウィルスの症例は、首都・東京や米軍基地で増加しており、病院は、財政的に追い詰められ、低所得に不満を抱く医療介護者の山に直面しています。」

 「7月17日金曜日、日本の首都は新規感染者数293と発表しました。これは1日の感染者数としては、パンデミックが始まって以来の記録的なものです。 5月と6月に停滞した後、7月の初めから毎日の感染が増加しています。東京感染症専門委員会のメンバーである大曲典男氏は、「感染経路が不明なケースは、1週間で2倍になった」と語っています。
 パンデミックの発生以来、死者数は、1000人を超えていません。

 東京都知事の小池百合子氏は、7月15日に、国民は、予防策が効果を発揮するために状況の緊急性を理解しなければならない・・と、レベル4の最高警戒態勢を敷きました。 住民は再び動きを制限し、距離の測定とマスクの着用を尊重し、外出を避けるように求められました。東京都は、現在3,000件に対して、毎日10,000件のテストをすることを約束しています。新たな汚染の多くは歌舞伎町と池袋の夜間地区のバーやナイトクラブで記録されており、当局は施設の入口で検温テストを受けることを勧めています。

 さらに、7月22日に開始予定の「Go Toキャンペーン」(割引で旅行するためのクーポン)は、地域で広がるリスクを減らすために、東京を除外することに決めました。」

 この報道を見て、どの口が言っているのか・・と私は、思いました。事実?を報道しているといえばそれまでですが、他国のことを言っている場合なのか・・と。

 フランスのコロナウィルスの死者数は、30152人(7月17日現在)、日本の死者数が1000人に迫ろうとしているとしても、30倍以上です。(ちなみにフランスの人口は、日本の約半分です)

 また、日本の新規感染者数がパンデミック以来の数字を記録したといっても、300人前後、フランスの新規感染者数は、836人(7月17日)で、全体の感染者数は、ロックダウン中のピークの期間の数字をすでに超えているのです。7月に入って以来、毎日の感染増加の度合いは、フランスの方が明らかにヤバいのです。

 それなのに、この事実を棚上げしての、日本の感染者数増加の報道には、何を余裕こいてんだよ!と思ってしまいます。

 日本は、この段階で、警戒態勢を敷くのは、賢明だと思います。フランスは、マスクが義務化となったものの、今日もパリのメトロには、スーツケースを持った人がたくさんで、バカンスに出る人の多さが伺えます。

 また、街中も、レストランなどは、テラス席がかなり拡張されて、外のスペースで食事をしている人がほとんどですが、これは、テラス席好きのフランス人にとっては、テラス席が増えただけで、ほとんど、いつもの日常で、レストランのスペースでは、食事をすることもあって、マスクをしているのは、店員さんだけです。

 現在は、多かれ少なかれ、どこの国も綱渡りの状態、特にフランスは、ほとんどサーカスのような状態です。

 早め早めの対応が大事なことは、多くの犠牲者を出したフランスがわかっていないはずはないのに、マスクが義務化されただけで、大騒ぎのフランス。300人の新規感染者で最高警戒態勢を敷く日本と836人の新規感染者が出ても、みんながバカンスに出かけるフランス。この危機感の違いに、もはや、ため息も出ません。

 まさか、また、国民のショックを考えて・・などとしていることなら、少しは、ショックを与えてもらいたいくらいです。

<関連>「バカンスを、何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html