2021年5月31日月曜日

数年ぶり?にギャラリーラファイエットに行って再確認したこと

         

ギャラリーラファイエットの天井はいつもどおりに綺麗でした


 私は、ズボラな性格で、買い物というものが好きではないので、デパートというものもあまり行きません。

 コロナとは関係なくとも、人混みというものが嫌いなので、大抵、混雑しているデパートというものもあまり好きではないのです。

 しかも、デパート(ギャラリーラファイエットやプランタン)で扱っているような高級ブランド品にも、もはやほとんど興味もないので、たまに行くとしても、食料品を扱うギャラリーラファイエットグルメなので、本体のデパートは、ラファイエットグルメに行く道すがら、地上階の店内をすり抜ける程度です。

 このパンデミックで、デパートも長いこと閉鎖状態だったために、どんな様子だろうか?と思いつつ、今は、こんなブランドがこんな商品を出しているのか・・とちょっと眺める程度で、いつもなら大行列ができているシャネルやルイ・ヴィトンのお店を横目に通りつつ、さすがに、あまり行列はないんだな・・と思いながら、通り過ぎたのでした。

 

私が用があるのは、こっち・・ラファイエット・グルメ(食料品館)


 ラファイエット・グルメとて、そんなにいつも贅沢な食品を食べているわけでもなく、たいていは、日本に一時帰国する際のお土産にする食料品などを物色する際に、あちこち、歩き回らずとも、美味しいものが揃っているし、また、これまで気がつかなかった良さそうな食品にも出会えたりするので、手っ取り早く買い集めるには、便利なのです。

 お店に入ると正面には、ピエール・エルメがドーンと店を構え、華やかなスイーツの店舗が軒を連ねています。また、アラン・デュカス、ジャン・ポール・エヴァン、ピエール・マルコリーニなどのショコラティエ、トリュフやフォアグラの専門店、スパイスを扱う店、マリアージュ・フレールなどの紅茶のお店などは、これまでとあまり変わることなく営業されていました。

 ただし、現在のところは、イートインのコーナーは、屋内であるため、営業はテイクアウトのみでした。

 地下は、生鮮食料品を含む広いスペースになっていて、ここには、持ち帰りができるお惣菜や、チーズ、バター、生ハムなどに加えて、ある程度、保存の効くいわゆるお土産にもできそうな商品を数多く扱っています。

 ところが、今回、地下に降りてみて、そのスペースは、商品がいつものようには揃ってはおらず、どこかガランとしていて、ちょっと唖然としたのでした。

  

いつもなら、もっと多くの棚に加えて、台やバスケットが置かれていて商品はぎっちり


 「そうなんだ! ここのお客さんも、普段は、観光客がほとんどなんだ!」このガランとした地下の店内を見て、改めて、今はパリには観光客がほとんどいないことを再確認したのでした。

 「今は、観光客がいないから、ルーブルに行っても、オルセーに行っても、いつもでは信じられないゆったりした空間が楽しめる!」などという話を聞いて、これは観光客が戻る前にぜひ、美術館に行かなければ・・などと思いつつ、まだ行けてなかったのですが、観光客がいないことで影響を受けているのは、こういったデパートや高級食料品を扱うお店でもあったのだということを目の当たりにしたのです。

 今回は、私は、先日、従姉妹が色々と日本の食料品を送ってくれたので、お礼に何かこちらからも送ろうと思って、滅多には来ないラファイエットグルメにやってきたのですが、ここは、一般的な庶民が来るところではないのです。

 以前にノエル前にヴァンドーム広場のあたりに出かけて、お店は開いているものの、軒を連ねる高級ブランド品街は、見ているのも気の毒になるくらい、店内はガランとしていて、ああ、パリは観光地だったんだ・・と思ったことを思い出しました。

 高級食材を扱うこんなお店も、やっぱり観光客なしには、成り立たないのです。ましてや食料品、そんなに長くお店にストックを抱えるわけにもいかないのです。

 とはいえ、さすがに高級な店舗だけあり、お店の人もフランスなのに、感じの良いことこの上なく、色々、教えてくれたり、試食させてくれたり、マリアージュ・フレールなどでは、新製品の紅茶の香りを一つ一つ丁寧に説明しながら、香りを嗅がせてくれました。

 その際に、「マスクを取らなくても、充分、香ることができます!」と自信満々に言われたのには、恐れ入りました。

 もう現在のパリの街は、カフェでもどこでも、多くの人が行き来している様子に、すっかり日常を取り戻しつつあるなぁ〜などと思っていたのですが、パリは、観光地でもあり、観光客が戻ってくるようにならない限り、元のパリには、戻らないのだということをあらためて、再確認させられたのでした。

 フランス政府は、今年の夏以降のフランスへの観光客に対しての、「PCR検査は無料」と発表しています。それだけ、フランスは、パリは、海外からの観光客を心待ちにしているのです。


ギャラリーラファイエット


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⭐️2019年に撮ったものですが、ラファイエットグルメを紹介しています



 

2021年5月30日日曜日

パリ・ベルシーで5,000人参加の実験コンサート開催

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 パリで屋内コンサートが行われたのは、2020年3月以来、およそ14ヶ月ぶりのことでした。この1年以上の間に、もはや、この人混みの映像を見るだけで、思わずギョッとするようになってしまいました。

 このコンサートは、フランスの人気ロックバンド・アンドシーヌというグループのコンサートですが、感染状況が改善している傾向にあり、ワクチン接種も拡大していく中、このような屋内コンサートがどの程度、どんな状態ならば、開催可能であるかを実験するAP-HP(パリ公立病院連合)後援の実験コンサートでした。

 今回のパンデミックで甚大な被害を受けているエンターテイメント業界にとっては、この先、どのような状態で再開が可能なのかを知ることができる非常に期待されている実験です。

 コンサートは、感染した場合のリスクの少ない(肥満、高血圧症などのない人)年代18歳〜45歳の20,000人集められたボランティアの中から、3日間にわたるPCR検査の結果、陰性であった人7,500人が選ばれ、5,000人がコンサートに参加し、2,500人が在宅を義務付けられています。

 これまで、5月19日以来、着席状態、一定のソーシャルディスタンスを配慮した屋内での催し物は再開できるようになっていましたが、このようなライブコンサートは、初めてのテストケースです。

 コンサートは、5,000人の観客が全員マスク着用を義務付けられたものの、通常のライブの感覚により近い着席しない(ソーシャルディスタンスを取らない)スタイルで行われ、場内のカメラでコンサート中のマスク着用も測定されています。

 この実験に参加した人々は、一週間後に再びPCR検査を行い、コンサートに参加できなかった(2,500人)のケースと比較されることになっています。このテストにはTousAntiCovid(フランスの感染者追跡アプリ)のテストも含まれています。

 これまでスペインやイギリスでも同様のテストコンサートが行われていますが、深刻な感染には至っていませんが、各国、感染状況もワクチンの接種状況も異なる中、フランスは、フランスでの実験が必要であったと思われます。

 それにしても、20,000人が集められて、結果5,000人+2,500人にも及ぶ壮大な人体実験には、驚かされますが、これも今後の日常生活再開に不可欠なリスクを最大限控えてのもので、個人的には、とても重要なものであったと思っています。

 結果は、6月に発表され、今後の衛生対策に反映されるということですが、このような科学的な実験結果の数字は、どちらに転んだとしても、国民に対しては説得力のあるものになると思われます。

 これまでパンデミック以来、禁止されているにも関わらず、いくつものコンサートが行われてきたフランスですが、人々がそうまでして参加したかったコンサートをどのようにすれば、開催することが可能になるのかをフランス政府も必死に模索しています。

 東京オリンピックはこのような実験が不可能なことを非常に残念に思います。


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2021年5月29日土曜日

フランス生活の修行の一つ 「届くはずの荷物を待つ」

   


 母は、生前(といっても元気だった頃)は、毎月、一回、日本の食料や娘の洋服など、何かしらの小包を送ってくれていました。平日の日中は仕事で留守なので、大抵は、すぐに受け取ることができずにいつも不在通知を持って、休みの日には郵便局に取りに行くことが多かったので、娘が小さい頃には、お休みの日に娘に「今日はどこへ行きたい?」と聞くと、「ゆうびんきょく!」というくらいでした。

 しかし、母も亡くなり、荷物を送ってくれる人もいなくなり、私自身もここのところは、年、1〜2回のペースで日本に帰国していたので、必要なものは(ほぼ食料品ですが・・)ほとんど、その際に買ってきているので、欲しいものを言えば、キリがありませんが、まあまあ、パリで買えるものを工夫して、併せて使いながら、なんとかそれらしいものを作りながら、次に日本へ行ける時まで凌いで生活しているのです。

 それが、今回ばかりは、日本に行けなくなってから、もう一年以上、私は、それでも奇跡的にパンデミックになる直前の昨年の2月後半に用事があって、日本に行っていたので、その時には、「今度は、いつ来れるかわからない?」と、いつも以上に気合を入れて食料を持ってきていたために、せこせことその食料を使いながら、何とか生き延びてきました。

 一時は、日本はおろか、フランス国内でさえも、ちょっと買い物に気軽に出かけるのも憚られるくらいだったので、ベランダで野菜を育てたりしながら、何とか食べ繋いできました。

 日本にいる友人や親戚などからも、さすがにもう日本の食べ物なくなったでしょ!いるものがあったら送るよ!と、言ってもらってはいても、もう言い出したら、キリがないし・・と特にお願いをすることもありませんでした。

 そうこうしているうちに、先日、心優しい私の従姉妹の一人が食料品を送ってくれたという連絡をくれて、内心、ワクワクしながらも、郵便事情のあまりよくない(それでも最近はずいぶんマシになった)フランスで、荷物がちゃんと届くかどうかが不安でもありました。

 それが、昨日、朝8時頃にクロノポストから「あなた宛の荷物が今日、配達されます」というメッセージが入り、しかも、メッセージには、「今日の18時までに・・」というおまけ付き・・8時から18時まで・・という大雑把なお知らせに、もう今日は、荷物が届くまで、一歩も家を出まい!と心に誓うも、家にいても不在票を入れて行かれてしまう場合もあり、下まで降りて行って待っていようか??(我が家は8階なので)などとも思ったのですが、さすがに10時間の開きがあるお知らせにそういうわけにもいかず、家で用事を済ませつつ、耳を済ませて、配達の人が来るのをひたすら待っていたのでした。

 人一倍、食い意地の張った我が家では、その荷物を送ってくれた従姉妹は神のような存在で、私たちが日本に行った際に彼女が食べさせてくれるものや、お土産にと持たせてくれるものは、それはもう、選りすぐりの逸品ばかり、絶対に間違いのないもので、大変な貴重品に間違いないのです。

 彼女は、食べることを真剣に追求している人で、あらゆる場所の美味しいものを知っていて、旅行先などで美味しいものを見つけたら、そこに通い詰めて仲良くなったお魚屋さんだとかが全国にあって、パリでさえも彼女に美味しいお店を教えてもらったりするくらいな食通なのです。

 そんな彼女が高い送料を払って送ってくれたものは、絶対になくされたりするわけにはいかない!とこちらも、いざという時には・・などと、なくされる前から戦々恐々としていたわけです。

 これまで、フランスに来て以来、色々な人から色々なものを送ってもらってきましたが、なくされてしまった(盗まれた)荷物も数知れず、箱がボロボロになって、ようやく息絶え絶えになって、よくぞ、これで届いたな・・とか、もうダメだと思っていたら、忘れた頃になってやってきたこと・・など、トラブルは山のようにあったので、久しぶりの荷物到着に、何だか半分、戦闘態勢で待っていたのです。

 10時間でも待つつもりだった荷物は、難なく昼頃に到着し、ドアホンがなって、アパートの下のドアのロックを解除して、インターホンで、「お宅は何階ですか?」と聞かれたので、「8階です。セ・ボン?(大丈夫?)」と聞き返したら、「セ・パ・ボン(大丈夫じゃない)」というので、慌てて、「じゃあ、下まで降りましょうか?」と言った時には、もう応答なし・・それから、数分の間は、下に降りようか、どうしようか迷いながら、エレベーターの前でソワソワと待つことになりました。

 それから、ほんの2〜3分、待っていたエレベーターが開き、荷物は無事に到着しました。彼の「セ・パ・ボン」は、ほんのジョークだったようですが、お宝を前に余裕のない私には、通じない冗談でした。

 とはいえ、荷物は思ったよりもずっと早くに無事到着し、喜びを分かち合おうと娘が帰ってくるのを待って開封しました。

 海外とはいえ、パリは比較的、日本食は行くところに行けば、手に入るとはいえ、やはりそれは、限られたものであり、もうずっとフランスにいるのだから、いい加減、いつまでも未練がましく日本食品を諦めようと思いつつも、久しぶりにお目にかかったパリではお目にかかれない食品の山に我ながら、いつになく、ハイテンションなのが自分でもわかるくらいで、その日は、1日ウキウキで過ごしました。

 それにしても、これまでの郵便事情のトラブルの後遺症ともいうべく、手元に届くまで、一切、信用せずにギリギリまで最悪の事態に備えてしまうこの姿勢。以前、アマゾンの配送で、届くはずの荷物を待っていたら、いつの間にか、サイト上では、荷物が到着済みとなっていたので、慌てて外に出てみたら、隣の家の玄関の前に(地べたに)置かれていたこともあったのです。その時は、まだ、届いただけ、マシだと思いましたが・・。

 最近は、アマゾンやモンディアル・リレー(自宅ではなく中継地点に荷物の配送を委託するシステム)などができたためにフランスの郵便事情も以前よりはずいぶん、改善されてきました。

 とはいえ、トラブルがいつも隣り合わせの生活に、特に郵送品(特に日本からの荷物)というと、異常に警戒してしまう悲しい習慣がついてしまっているのです。


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2021年5月28日金曜日

東京オリンピックについて、フランスでは、日本国民の80%以上が反対していると報道している

  


 

 「開催予定がもうすぐそこまで迫っているのに、これほど、盛り上がらないオリンピックがあるだろうか? 日本国民の80%以上がオリンピック開催に反対している」とフランスでは、報道しています。

 これは、最近、朝日新聞が社説として取り上げた、菅義偉首相が国民の声を無視してオリンピックを開催しようとしていると批判した記事で取り上げられた世論調査を元にした内容です。

 この朝日新聞が行った世論調査によると、43%が中止を、40%がさらに延期されることを望んていることが明らかになっているとし、合計83%がひとまず今年のオリンピック中止を望んでいるという報道になっているのだと思います。

 また、共同通信の発表している世論調査から、87.7%の日本国民がオリンピックによるウィルスの流入を恐れていること、71.5%が政府のオリンピック対応の衛生対策に不満を持っていることも伝えています。

 また、この朝日新聞の社説が国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副委員長の「東京が非常事態宣言を発していたとしてもオリンピックは開催される」という発言に対してもIOCの利己的な性質を批判についても触れています。


 つい2週間ほど前にも、フランスでは、これまでほとんど報道されていなかった東京オリンピックについて、「国民の半数以上が反対している。東京オリンピックの主催者は、地元の観客の有無の決定を6月まで延期した。これは、7月23日から開催されるこれらのオリンピックの準備に伴う不確実性のさらなる象徴である。」と報道されていたばかりでした。

 半数以上が反対・・よりもさらに、今回の「80%以上が反対」=10人のうち8人が反対という報道は、なかなかインパクトがある内容で、それに加えて、世界ランキングトップのテニス選手・ジョコビッチやナダルなどが、東京オリンピックに出場するかどうかについては、現在の段階では、まだ保留している旨を併せて伝えています。

 とはいえ、東京オリンピックに反対しているというわけでもなく、開催については、不確実だということを伝えているのみです。とても客観的です。

 正直なところ、一般のフランス国民は、日本の状況について、それほど承知しているわけでもなく、興味があるわけでもなく、「やるなら行くけど、本当にやるのかな?」という程度のものです。

 しかし、国民の80%が反対しているのに、政府がこれを無視して、「オリンピックは安心、安全に開催できる」と繰り返すのみで、国民を説得する姿勢もなく、オリンピックを強行するという事態は、フランスではあり得ないことです。

 フランス政府は、そんなに国民に阿るか?というくらい、国民感情を常に意識し、政府の考えを必死に説明し、国民を説得しようとする姿勢が基本です。そうでなければ、すぐにデモや暴動が始まります。

 だからと言って、今の日本の状況をフランスに置き換えて考えるということも、あまりありません。いつか、私は、「日本人は黙って我慢するからバカだ!」と職場の同僚のフランス人に言われたことがありましたが、今のオリンピックを巡る状況に、フランス人は、そんな風に思っているのかもしれません。

 どちらにせよ、日本を好意的に思っている人が増えたとはいえ、フランスにとって、やはり、日本は遠い国、我関せずの人が大多数です。

 今は、フランスは、ワクチン接種拡大と、ロックダウン解除で半年以上ぶりの日常を取り戻し始めたばかり、パリの街を歩いていても、ロックダウン解除直後のいささか高揚した感じも薄れ始め、極めて元どおりの生活を穏やかに楽しみ始めています。

 フランスでは、5月30日から全仏オープンテニス(ローランギャロス)が開催される予定です。(ちなみにフランスの現在の1日の新規感染者数は、13,000人、集中治療室患者数3,206人です。)

 また、一方では、インド変異種がイギリスから入ってくることを警戒して、イギリスとの往来にも制限がかかり始めています。

 そんな状況の中で、世界中から人が集まるオリンピック後の日本の状況については、検証してはいません。

 

 

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2021年5月27日木曜日

イギリスからの全ての旅行者に課せられる強制隔離 ヨーロッパが恐れるイギリスでのインド変異種拡大

 


 イギリスは、ロックダウンと、何よりもワクチン接種のめざましい拡大により、感染状況が劇的に減少し、世界で、アメリカと肩を並べて、いち早く日常生活を取り戻しつつありました。

 我が家でも、「ワクチン接種が2回済んだら、ロンドンくらいなら、行けるかもしれないね・・」などと話していたのです。

 しかし、ここへ来て、イギリスで今度はインド変異種が拡大し始めた(一部の地域で)というニュースに、ようやく日常生活を取り戻し始めたフランスは、イギリスでのインド変異種の感染拡大を警戒し始めました。

 インド変異種への警戒政策のスタートを切ったのは、まずドイツでした。ドイツは、今週の日曜日(5月23日)の段階で、すでにイギリスは、アジア、アフリカ、アメリカの11か国とともに、再び高リスクゾーンに指定され、イギリスとの貿易を制限し、イギリスからは、現在、航空会社、バス、電車は、ドイツ国民またはドイツに住む人々の入国のみが許可されており、イギリスからのすべての旅行者は2週間の強制検疫の対象になっています。

 フランスは、ドイツに続いた形になりますが、26日(水)に、ロンドンから戻ったフランス人は、急に自分が隔離状態に置かれることになったことを知り、驚きを隠せないほど、急な決定になりました。

 以前にイギリス変異種が拡大し始めた頃、あの時も突然の国境閉鎖で、国境付近で荷物を運ぶトラックが何百台も足止めを食い、大変な騒ぎになりました。

 インド変異種は、イギリス変異種に比べて50%も感染率が高いと言われている一方で、現在、イギリスでインド変異種に感染している人々は、ワクチン接種をしていない、あるいは、1回しかしていない人に限られており、ワクチンはある程度、有効であると言われています。(イギリスの研究によると、ファイザーの2回投与はインドの亜種に対して88%効果的だとされています)

 とはいえ、歴史的背景もあり、インド・パキスタンコミュニティが一定数存在するイギリスでは、インドとの往来も多く、イギリスでのインド変異種は3月から始まっていたと思われますが、ここ6〜7週間で、イギリス変異種を上回り、インド変異種が優勢になってきています。

 せっかく劇的な感染減少を遂げてきたイギリスは、ここ一週間でこのインド変異種のために160%感染が増加しているとイギリスGuardian(ガーディアン)紙が、発表しています。

 フランスでのインド変異種は、現在100例程度、38のクラスターが発見されていますが、今のところ、そこまで深刻化はしていないようです。しかし、なんといっても、日常生活がようやく再開され始めて、一気に人が外に出始めたタイミングだけに、ここで再び問題が拡大することを恐れて、今回のドイツよりは少し緩い、イギリスからの旅行者に対しての強制隔離という措置に踏み切ったようです。

 この措置を取っている間に、とにかく少しでもワクチン接種を拡大していくことがさらに、必須になってきます。とにかくワクチン!ワクチン!ワクチン!です。フランスでは、このタイミングで、同時に一部の職業に携わる人に限って、ワクチンを義務化する方向で検討が始められています。

 イギリスは、EUを離脱し、島国であるとはいえ、実際には、フランスとは陸続きも同然、ユーロスターや海峡トンネルもあり、貿易も人の往来も多い、下手をするとフランス国内の地方都市よりも人の行き来は多い国です。

 人口の55.7%がワクチン接種を済ませているイギリスでこのような劇的な感染の再増加が見られている限り、まだ、人口の33.48%しかワクチン接種が済んでいないフランスは、少しでも早く、このインド変異種をシャットダウンしなければ、再びロックダウン状況に逆戻りです。

 ようやく取り戻し始めた日常生活を全力で満喫しているフランス人ですが、一度、解放されたものを、それこそ夏のバカンス前に逆戻りなんてことになれば、彼らは、感情を爆発させるに違いなく、なんとか今の段階でインド変異種は食い止めてもらいたいものです。

 世界がこの開けたり、閉めたりしている状況で、日本のオリンピック・・どうなることやらと思います。


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2021年5月26日水曜日

インフルエンサーに届く報酬2,000ユーロのファイザー・ビオンテックネガティブキャンペーン依頼メール 

    


 

 莫大な数のフォロワーを抱えるインスタグラム・YouTube・TikTokなどのいわゆるインフルエンサーと呼ばれる人々に2,000ユーロ(約27万円)の報酬でファイザー・ビオンテックのワクチンを非難・中傷することを依頼する連絡が届いていると言います。

 依頼内容は、「ファイザーワクチンによる死亡率がアストラゼネカワクチンの3倍であるという内容の詳しい資料を送り付けてきて、この事実を公表してほしいということ、この情報が報酬によって開示されている事を開示しないで下さい。」といういかにも怪しい内容です。

「アストラゼネカの利益のためにドイツ系アメリカ人のワクチンを批判するというロンドンの代理店からの財政的提案を受けました。」「ある機関から、報酬と引き換えに、ファイザーワクチンの信用を傷つける記事を共有し、その死亡率について話すように連絡がありました。」などの様々な媒体のインフルエンサーからの証言が続々と、上がってきています。

 このネガティブキャンペーンに注目が集まったのはYouTuberのレオグラッセからのメッセージでした。科学チャンネルDirtyBiologyの作成者である彼は、ファイザーのワクチンを中傷するために受け取った電子メールのスクリーンショットを投稿しました。 

 この電子メールは、ファイザーワクチンがアストラゼネカのワクチンよりも3倍も致命的であることを説明するビデオ(サポートする数字)を作成するようにこのユーチューバーに勧めています。

 ルモンドの記事へのリンクと、アストラゼネカの血清を接種した人の方がアストラゼネカの血清を接種した人よりも致死率が高いことを示す、アストラゼネカ社の内部メールの交換から得られる表も添付されていました。

 

 これらの依頼を多くのインフルエンサーに送っている代理店のFazzeという会社は、ロンドンを拠点とするマーケティング会社を名乗っていますが、しかし、それはクライアントや合法的な存在ではなく、グーグルマップをすばやく検索すると、そのサイトにリストされているアドレスが一致しません。


 このいかにも胡散臭いメールを受け取ったインフルエンサーが逆にこのような依頼を受けたことを拡散し、物議を醸しています。

 この論争に直面して、アストラゼネカ(スウェーデンとイギリスの製薬グループ)の広報担当者は、「ワクチンへの信頼を損なうことを目的としたイニシアチブを強く非難し、そのような活動への関与を推測するソーシャルメディアへの明らかに違法なコメントを断固として否定する」と述べ、このファイザーワクチンに対するネガティブキャンペーンへのいかなる形の関与も否定しています。

 これは、現在も一定数存在するアンチワクチン論者はもちろんのこと、ワクチンに対して不安を抱き続けている人々には、拡散されれば、不安材料ではあるところですが、幸いにも、このファイザー誹謗中傷キャンペーンは、逆方向に拡散したので、フランス政府も現在のところは、「あまりにお粗末で危険で無責任な話で、現在の段階では、フランスではワクチンを希望する人が大多数で、ワクチン接種をする意思をそらす威力があるとも思えず、究明する価値もない」と一括しています。

 とはいえ、現在、フランスでは、アンチワクチン論者による「ワクチンパスポート反対」デモなども起こっており、決して油断もできません。

 しかし、だいたい、ストーリーも幼稚な上に、報奨金2,000ユーロというケチな金額、それほどのフォロワーを抱えるインフルエンサーが危険を冒して引き受ける金額ではあり得ないことからも、このネガティブキャンペーン計画のお粗末さを物語っています。

 たとえデマであっても、一瞬のうちに世界中に広がってしまう現在のSNSの社会、つい先日、マクロン大統領とフランスの人気YouTuberの動画がすごい勢いで拡散され、話題になりましたが、情報を受け取る側も、色々な媒体に目を通し、自分である程度は、その情報の整合性について、判断することができる下地を築き、情報は鵜呑みにしてはいけないという戒めになりました。


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2021年5月25日火曜日

「日本へ行かないで下さい!」 アメリカ国務省が日本を「警戒レベル4」に引き上げた波紋

 


 日本は、既に、かなりの数の国からの外国人の入国について、「特段の事情がない限り」アジア、北米、中南米、欧州、中東、アフリカなどの約160カ国の国からの上陸を拒否することとしています。

 この「特段の事情がない限り」という特段の事情についてのくくりはよくわかりませんが、この上陸拒否対象国をざっと見ても、フランスはもちろんのこと、ほとんどの国からの上陸(少なくとも観光客など)は、できないことになっているようです。

 しかし、アジア(中国や韓国、シンガポールなどは入っていない)は比較的少なく、全く、外国人をシャットアウトしているわけでもないようです。

 日本人の入国でさえも、3日間の強制隔離やその後14日間の自主隔離等を考えても、日本への入国は、かなりハードルが高く、移動中のリスクを考えても、そうそう簡単に行けるものでもありません。

 ところが、ここへきて、アメリカ国務省が新型コロナウィルス感染が新たに広がっていることを理由に、日本への渡航警戒レベルを最大級の「レベル4」に引き上げ、日本への「渡航中止」を勧告しました。

 コロナウィルスに関連するリスクをより適切に、また効果的に公表するために、アメリカ国務省に加えて、米国疾病予防管理センター(CDC)からも、「日本の現在の状況を踏まえると、ワクチン接種を受けた人であっても新型コロナ変異株に感染し、感染を広げるリスクがあるため、日本への全ての渡航を控える必要がある」という警告をほぼ同時に発表し、足並みを揃えています。

 このアメリカ国務省指定の「レベル4」は、スリランカと同レベルの警告です。

 これまで、日本から、「来ないでください」としていた海外からの入国制限だけでなく、海外からも、「日本へは行かないでください」が加わってしまったことは、かなりショッキングなことです。

 アメリカ国務省は、7月23日に開幕が迫っている東京オリンピックについての言及はしておらず、この決定がオリンピック大会の準備とアメリカの代表団の参加に影響を与える可能性があるかどうかは触れていません。

 アメリカ国務省のこの発表は、フランスの一部のマスコミでも取り上げており、在日アメリカ大使館のウェブサイトでは、「アメリカ人が日本に入国できる可能性は、現在、非常に限られている。観光やその他の短期的な理由で旅行することは許可されておらず、これがすぐに変わる予定はありません。ビザなしの旅行は中断される。また、これらの措置は、ワクチン接種を受けた人に対しても受けていない人に対しても区別はしていません。」と記されていることを伝えています。

 加えて、フランスの報道では、「国民はオリンピック大会の開催に強く反対しているが、主催者は、非常に厳格なウィルス対策と海外からの観客の禁止で「完全に安全に」開催することを可能にすることを繰り返し言い続けている」と付け加えています。

 しかし、アメリカ国務省が日本を「警戒レベル4」にしたということは、かなりショッキングなことで、日本に住んでいないとはいえ、日本人としては、「日本に来ないでください」と日本が言っているのと、外から「日本へは行かないでください」と言われるのとは、また違うレベルのことで、そこまで海外からも日本の状態を危険視されているということが、とてもショックだったのです。

 ただ、アメリカ国務省の判断基準はわかりませんが、日本の感染状況はもちろんのことですが、ワクチン接種の浸透具合と今後、オリンピックに関わる入国者の増加を鑑みての上での日本の危険性ということなのだろうか?とは思います。

 たしかに必死になってワクチンを拡大している国にとって、ワクチンは完璧な防御ともいえず、ワクチンが拡大していない状態の国、さらに多くの人が集まることがわかっている国は、恐怖でもあり、危険国として判断されるのも致し方ないのかもしれません。

 いずれにしても、ウィルスというかたちではありますが、「世界で最も安全な国・日本」の神話が崩壊し始めていることを感じずにはいられません。


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