2023年5月2日火曜日

年金改革への抗議に捧げられたメーデー 5月1日労働者の祭典

 


 5月1日は、フランスにおける特別な日の一つで、労働者の祭典(la Fête du Travail)と名付けられたメーデーは、伝統的に、働く人々にミュゲと呼ばれるスズランの花を贈りあう日であると同時に大々的にデモが行われる日でもあります。

 とはいえ、フランスではデモはほぼ日常的に行われているもので、デモに関しては伝統的なデモの日ではあるものの、あまり特別感はありません。

 特に、今年は、年金改革問題で、年明けから数えきれないほどのデモが行われており、一応、公式に届け出が出ているデモとしては今回が13回目ということになっているようですが、憲法49.3条(議会での採決をとらずに法案を施行する)発令が発表されて以来、無認可の自然発生的?なデモが数多くおこっているためにこれが13回目といわれても、どうにもピンと来ない状況で、少なくともその倍以上は、デモが起こっている感じで・・ということは、通算では、ほぼ30日くらい・・ということは、ほぼ一ヶ月間がデモに費やされていることになります。

 もう4月も終わり、5月に入ったところで、今年も4ヶ月が経過したことになりますが、4ヶ月のうち、その4分の一はデモをやっていたということで、これは黄色いベスト運動以来の記録的なものではないかと思います。

 なんなら、黄色いベスト運動のときは、かなり破壊行動は酷かったとはいえ、まだ、土曜日以外の日のデモはあまり記憶がないので、今回の方がもっと裾が広く、根深いような気もしています。

 年金改革については、政府のゴリ押しとはいえ、すでに年金改革法案はすでに決定してしまったにもかかわらず、一向にこのデモが冷めやらないということは、逆にこのデモの終わりが見えない状態であるということも言えます。

 今年のメーデーは、天気もあまりよくなくて、夕方から少し晴れ間が見えたとはいえ、なんだか肌寒く、もう普通に出歩くことは、ほぼ不可能なうえに、メトロなどの交通機関もどこが閉鎖されているのか調べるのも億劫なうえに、たいていの店舗などは、閉まっているので、もう観念して、おとなしくしていました。

 フランスでは、普通の日曜祭日などの休日は、会社や店舗も従業員を働かせれば、ドゥーブルペイエといって、倍の給料が支払われるのですが、この日ばかりは、トリプルペイエといって3倍の給料を支払わなければならないため、営業しないのが普通なのです。

 そのうえ、今年のように特に営業することがかなりリスキーであることを考えれば、普通は営業しないと考える方が無難だと思うのです。

 果たして、当日はパリでは昼前から7つの駅が閉鎖になり、デモ隊(組合発表55万人、警察発表11万2千人)はレピュブリック広場を出発し、ナション広場へと向かいました。



 通常なら、炎が立ち上り始めるのは暗くなりかけた時間帯が多いのですが、今回ばかりは、午後の比較的早い時間から炎が立ち上りはじめ、かなり大がかりに、もはや火災といえる規模で建物が燃え、黒煙が立ち上っている映像が流れたり、しまいには、警察官同士が揉みあっているかに見える映像は、実は火炎瓶があたって警察官に着火してしまった炎を消火するために、消火器を使って火を消そうとしている映像であったり、戦争とは言わないまでも、もはや闘いであり、やっぱり今日、出かけないのは正解だったと思わせられたのでした。


 こんな破壊行動に一体、何の意味があるのかと悲しくなりますが、実際の被害額は相当なものだと思われますが、ひとまずパリ市に関しては、この破壊された公共物やその清掃費用、復興費として、市が政府に対して160万ユーロ(約2億4千万円)の賠償金を政府に請求しています。

 それにしても、暴徒化しているデモの警備をしている警察官や憲兵隊も本当に命がけ、この警察官や憲兵隊もトリプルペイエ(休日出勤手当3倍)なのかな?などと思いつつ、これだけの激務、3倍でもやってられないのでは?と思うのです。

 とにかくちょっと手が付けられない状態で、毎日がデモというわけではありませんが、旅行をご検討の方々、まだしばらくの間、限られた日程を思うように動けない可能性も高いため、現在、残念ながら、パリへの旅行は全くおススメできません。


5月1日 メーデー 労働者の祭典 年金改革デモ


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2023年5月1日月曜日

少年院から出て2ヶ月後、5歳の少女を殺害した15歳の少年

 


 フランス北東部ヴォージュ県(グラン・テスト地域圏)の人口5,000人の小さな村で5歳の女の子が行方不明になり、届け出がだされて数時間後には、ビニール袋に入った状態で遺体で発見されるという衝撃的な事件が起こっています。

 この衝撃をさらに大きくしているのが、容疑者として拘留されたのが15歳の未成年の少年であったうえに、彼には過去にも、10歳前後の子供に対してのレイプや暴行などの犯罪歴があり、約1年間、閉鎖された教育センター(少年院のようなもの)で司法監督下におかれており、今年の2月に出てきたばかりだったことです。

 彼は青少年司法保護局の監督の下、少年院からこの村に戻った後も引き続きケアと生活訓練を受ける義務があり、彼の教育にあたる者たちが定期的に彼の家を訪問しており、彼の更生に関して教育関係者が作成した報告書には、彼は閉鎖された教育センターの枠組みの中で、また自宅においても前向きな更生を遂げたと結論づけられていたことがわかっています。

 しかし、結果的には彼は全く更生していなかったどころか、以前よりもさらに深刻な犯罪を起こしてしまったわけで、この青少年司法保護局の審査や監督状態についても疑問が持たれています。

 事件直後、早々に警察と憲兵隊により始まった5歳の少女の捜索に、最初、この少年はこの捜索隊にみずから近寄って行って、捜査を攪乱させるために実際とは反対の方向で女の子を見かけたというウソの証言をしたようですが、彼の身元もすぐに割れたことから(同様の犯罪歴があることなど)、突き詰められて、話のつじつまが合わなくなった結果、警察官が彼の自宅のアパートに立ち入ったところ、ビニール袋に入れられた少女の遺体を発見したということです。

 彼はひとりで遊んでいた少女を「猫をあげる」と言って誘い出したと言われていますが、犯行の詳細については、彼は黙秘権を行使して、多くを語ってはいないようです。

 数日後に行われた解剖の結果、遺体にはレイプの痕跡は見られなかったとのことでしたが、レイプどころか殺されてしまったことだけは確かなことで、その後、死因に関してはまだ発表されていません。

 彼女の遺体は自宅の100メートルほどの容疑者の自宅でみつかったわけで、ほんのちょっと目を離した隙に子供を連れ去られて殺された被害者の両親は打ちひしがれています。

 少女の母親が泣き叫びながら、テレビの取材に対して訴えかけていたのには、本当に言葉がありませんでしたが、今回は加害者の少年の家族、家庭環境に関しては、母親と二人暮らしであったということ以外、ほとんど知らされていません。

 どうしたら、こういう子供に育ってしまうのかについては気になるところでもあります。

 我が家は娘が10歳の時に夫が他界したために、母子家庭となったわけですが、私も娘も何の犯罪を犯したわけでもないのに、誰が通報したのか、児童裁判所に呼び出されたことがあり、おそらく、私一人で子供を育てていけるかどうかの審査のためだったと思われますが、市の児童裁判所の判事の面接を受けたことがあり、その時は子供を取り上げられるのではないかと非常に危惧して、夫の元同僚のフランス人の女性に付き添ってもらって、事なきを得ましたが、娘が成人するまでは、一応、裁判所の監督下におかれることになり、非常に定型的で儀礼的ではあったものの、毎年、報告書のようなものを提出しなければなりませんでした。

 しかし、一方では、娘には専任の判事がつき、「何か困ったことがあったら、私たちが彼女を守りますから、いつでも連絡してください」というちょっと頼もしい気もした部分もあったのです。

 そんなこともあったので、私には、「娘が成人するまでは、私も娘も本当にしっかり生きていかなければいけない!ちゃんとしていなければならない!」という気持ちがとても強くあって、絶対に娘を一人に放置したりすることはできないし、何がなんでも娘が成人するまでは死ねないと思ってきました。

 なので、今回のような加害者の状況を見ると、一度、少年院に入っていた子供をその親がどのように育てていたのかというのは、非常に気になるところでもあり、また、その地域の児童裁判所や青少年司法保護局がどのような体制で彼の社会生活を監督し、バックアップするという対応をしていなかったのだろうか?と疑問に感じながらも、そのフォローアップが家に送られてきていたような儀礼的?な報告書だったのではないだろうか?と思ってしまったりもするのでした。

 彼は現段階では一応、未成年暴行・殺害の罪で起訴されている容疑者ですが、15歳という未成年であることから、成人であれば終身刑となるところを最高で懲役20年になる可能性があると言われています。

 一応、未成年という括りがある以上、本人には責任を取り切れないということでもあり、彼自身も児童保護法により、ある程度、守られてしまっているために、判決は難しいものになると言われています。

 しかし、そもそも少年院を出る段階で彼が更生していなかった、その後の日常生活をまともに送れていなかったことは明白で、彼が社会生活を送る判断を下した機関や保護者にも問題があったのではないかと思われます。

 フランスの刑務所や少年院が超満員なのはわかりますが、やはり社会に放っておいては危険な状態の人間については、しっかり監督をしてもらはないと困ります。少なくとも彼がまだ少年院にいたのならば、一人の少女の命が奪われることはなかったのですから・・。


ヴォージュ 5歳少女殺害 15歳の少年


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2023年4月30日日曜日

クープ・ド・フランス フランスカップの決勝戦はサッカー以外のレッドカードとホイッスル問題でゴタゴタ・・

 


 サッカーをこのうえなく愛するフランス人にとって、クープ・ド・フランス(フランスカップ)の決勝戦といえば、大変な盛り上がりを見せるところです。

 今回の決勝戦は、ナントVSトゥールーズの試合となり、おそらく大変に盛り上がっているのだとは思いますが、サッカー以外のことで、ごたごたして、試合以外のことばかりに注目が集まる妙な決勝戦となりました。

 現在のフランスは人が集まる場所には、鍋を叩いたりする抗議行動が発生することが多く、今回のこのフランスカップの決勝戦には7万8千人の観客が予想されていたために、この場で抗議行動がヒートアップすることが、かなり過剰に警戒されていたようで、当日、決勝戦が行われるスタジアムには、3,000人の警察官と憲兵隊の動員に加えて1,400人のセキュリティー要員が配置されていました。

 フランスカップの決勝戦にはマクロン大統領も夫人を同伴して選手を激励し、観戦することが予定されており、このマクロン大統領の参加がさらにこの警戒をヒートアップさせた感じがしないでもありません。

 当然、これだけの観客を動員するサッカーの試合の決勝戦、しかも、そこにはマクロン大統領まで登場し、その模様が全国に生中継される機会とあれば、現在、年金改革問題について抗議を続けている組合にとったら、多くの人に注目される絶好のステージに違いありません。

 この決勝戦に臨むにあたり、組合側は64歳引退と書かれた「レッドカード」3万枚とホイッスル1万個を用意し、試合中49分3秒(年金改革問題を国会の採決をとらずに通過する憲法49.3条にちなんで)にこのレッドカードを掲げてホイッスルを吹く抗議行動を呼び掛けていました。なかなかお金もかけて準備周到だったようです。

 当日、組合側はこのレッドカードの配布を開始しましたが、スタジアムの入口ではこれが回収されていることがわかり、どうやらこれはパリ警察長官がこの抗議行動(デモ)を禁止する命令を発令しているためであったことがわかりました。

 その後にこの命令が一時停止され、パリ行政裁判所に判断が委ねられることになり、結局、試合開始後までも、結局、良いの?ダメなの?やるの?やらないの?と情報が錯綜しており、試合そのものよりも、49分3秒に何が起こるのか?に注目が集まることになりました。

 結局、キックオフの数時間前に裁判所は組合側に有利な決定を下していたようですが、その決定が浸透していなかったようです。

 また、本来は試合前にフィールドで選手を激励したりするマクロン大統領ですが、安全のためにマクロン大統領はフィールドに登場することはなく、舞台裏の廊下で選手との対面が行われていたようです。

 結局、皆が注目していた49分3秒には、もともとの歓声と大して変わらない程度にしか、騒ぎが起こることはありませんでしたが、今後、このような大きなスポーツの試合や催し物のたびに、このような騒ぎになりかねないことには、フランスの混乱ぶりが表れています。

 そもそもスポーツの場に政治を持ち込むのはナンセンスだという意見もありますが、それに過剰に反応して、警察がビラ配り(今回の場合はレッドカード)を禁止したり、デモ行為を禁止したりするのも余計に反発を買うことにもなりかねません。

 今回のフランスカップの場合は、ナントやトゥールーズから大勢のサポーターもシンプルにサッカーの応援に来ている人も多く、抗議活動は二の次だという人も少なくなかったとも思うのですが、結果的に裁判所が警察の決定を退けたことは、さらなる反発を生まずに済んだのではないかと思っています。

 暴力的でない抗議に対して警察が過剰に抑えつけるのは、逆効果のような気がしてなりません。

 しかしながら、今後、どんな機会に国民の怒りに火が付くかは、わからない状況で、気を緩められない政府としては、火種は少しでも消しておきたいと思う気持ちもわからないではありません。

 とりあえず、公然とデモを行えるデモの祭典である5月1日のメーデーが次の抗議運動のピークとなることは間違いありません。


クープ・ド・フランス フランスカップ レッドカード ホイッスル


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2023年4月29日土曜日

メトロ6号線の死亡事故 運転手の過失致死起訴に同僚が抗議のデモとストライキ

  


 先週の土曜日に起こったパリのメトロ6号線の死亡事故は、ちょっとあり得ない、いや絶対あってはならない悲惨な事故でした。降車時にコートがドアに挟まってしまった乗客の女性がそのまま発車してしまったメトロに引きずられて身体の一部がホームと線路の間に挟まれて死亡してしまった事故でした。

 この事故直後にアルコール・薬物検査を受けた運転手は陰性の結果が出ていますが、今週末にこの運転手が「過失致死」の罪で起訴され、拘留されたことにRATP(パリ交通公団)6番線の同僚およびエージェントが怒って抗議のデモ・ストライキを行いました。

 デモの当日、メトロ6番線が止まったのは半日ほどだったようですが、彼らはこの事故を起こした運転手について「彼は10年以上にもわたって真面目に仕事に取り組んできた人間で、犯罪者ではない!この拘留は間違っている!彼が警察で夜を過ごさなければならないなどということは、あり得ないことだ!」と息巻いているそうです。

 また、「私たちは悲劇的に亡くなった女性とその家族には心からの哀悼の意を表します。しかし、私たちは年中無休の公共サービスを提供しています。私たちは暗殺者ではなく、乗客を安全に運ぶために働いているのであり、乗客を引きずり殺すために働いているわけではありません。私たちは敬意をもって扱われたいと思っています。事故を起こしたとはいえ、運転手がこのように犯罪者のように扱われるのをこれまで見たことがない!」と、FO-RATP組合の呼びかけにより、「撤回権」を行使しようとしています。

 たしかに、駅のホームや電車の構造などの安全対策にも問題はあり、この事故の責任を個人に負わせるのは酷な気がしないでもありませんが、しかし、実際に乗客が死亡してしまった電車を発車させたのは運転手で、意図的に行ったものではないとしても彼に過失がなかったとは言えないのではないかと思うのです。

 不幸な事故ではありますが、彼が起訴・拘留されるのは、何も凶悪な犯罪者であると烙印を押していることとは違って、あくまでも「過失致死」なのです。

 それを「運転手は犯罪者ではない」とか、「自分たちをもっと敬え!」などと言いだすのは、同僚としてはまことに連帯を感じる抗議であるとはいえ、なにかちょっと違うのではないか?と思ってしまいます。

 運転手本人は、事故後、相当なショックを受けていて、ケアが必要であったというような話が流れてきていたので、彼自身がこの起訴・拘留について、抗議しているかどうかは、わかりませんが、組合の同僚の運転手たちが、同じ運転手として、こんな扱いをされることは、許せない!と言っているのです。

 しかし、許せないとは、被害者とその家族が言いたいことで、責任や罪についての言及云々以前にやるせない思いに打ちひしがれているのではないかと思われます。

 パリ検察庁は、この事故に関する調査は警察だけでなく、陸上交通事故調査局が捜査を開始し、死亡事故に至ったすべての状況を分析すると発表しています。 

 いずれにしても、5分おきに発着するメトロのホームの乗客の乗降状態を監視カメラだけで運転手が一人でチェックするというのは、今回のような事故もあり得ないことではありません。

 RATPは、この運転手が犯罪者であるかどうかではなく、どうしたら、このような事故が怒らないような対策をとれるかどうかを考えてもらいたいと思います。


メトロ6号線死亡事故 運転手 過失致死起訴


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2023年4月28日金曜日

割引、おまけ、それ、あげます・・最近の私のお買い物と食生活

  

マルシェで買ったイチゴとメロンとおまけの生姜 全部で6ユーロ


 最近の私の食生活はベジタリアンというわけではありませんが、野菜や果物を多く摂るようになりました。もともと、どうしてもお肉が食べたいというタイプでもなく、家の近所にマルシェが立つようになってからは、ことさら新鮮な野菜が比較的お手頃価格で手に入るようになったことが大きいかもしれません。

 我が家の近所にはカーフールという大きなスーパーマーケットがあるのですが、インフレのためか、以前のような勢いがなくなり、また、あからさまな値上げぶりと並んでいる商品も若干減り、魅力が一段と欠けた気がして、いつもいつも同じような商品に飽き飽きしてきた感じもしているのです。

 日本に一時帰国してフランスに戻ってきた後に、日本から大量の食料を持ち帰っても、やはり生鮮食料品が必要になって、スーパーマーケットに行った時に、全ての商品が色あせて見えて、物悲しくなる感じにちょっと似ています。

 もうフランスの食料品に嫌気がさしてきて、何をする気もおこらなくなると、バゲットなどのパンを買いにいくか(買い置きができないため、普段はあまりバゲットは買いませんが・・)、ピカールの冷凍食品(といっても主には素材)などに頼ってしまいます。

 このあいだ、たまには、バゲットでも食べようかな?と思い、夕方、「ドゥミバゲット(バゲット半分)ください~」とパン屋さんに行ったら、もうすぐ閉店時間?(といっても16時半くらいだったけど)なのか? たまたま半分にしたバゲットが残っていたからかわかりませんが、半分のバゲットを袋に入れてくれて、お金を払おうとしたら、「お代は結構ですよ!」と店員さんがにっこりパンの入った袋を渡してくれました。


なぜかタダでもらったバゲット


 えっ?売れ残っちゃうからかな?と思ったけれど、普通に売ればいいものをくれちゃうあたり、そんな緩い感じがフランスのいいところだな・・と思いながら、私はバゲットの入った袋をもらって、ごきげんになって家に帰りました。

 バゲット半分でごきげんになる私もずいぶん安いもんですが、ちょっとした優しさで、人は気分が明るくなったり、ほっこりしたりするものです。

 また、その翌日、マルシェで何か目ぼしいものはないかな?と覗いていると、きれいなイチゴが目に入り、「2パックで3ユーロにしとくよ!」と威勢のいいお兄さんに声をかけられ、おもむろにプラスチックの袋を渡されました。どういうわけか、今年はやたらとイチゴを食べることになっている年らしく、ここ1ヶ月ほどで、もうイチゴを一人で何パック食べたかわからないほど食べています。

 なぜか、今年のイチゴは甘くて美味しいです。

 昨年末あたりに、お気に入りのケーキ屋さんをみつけて、ひたすらケーキ屋さん通いをして、ひととおり、そのお店のほぼ全ての種類のケーキを食べつくした後は、なんだか甘いものを食べる習慣がついてしまっていて、「血糖値高めになったかも・・?」などと、今さらのようにちょっと反省して、お菓子はやめて、せめて果物にしようと思った結果、イチゴをやたら食べているのです。

 安い!と思いつつも、いじましくもできるだけきれいなイチゴのパックを選ぼうとイチゴの品定めをしていると、今度はそのお兄さん、「これ!食べてみて!」とメロンを切ってくれたのです。

 メロンは甘すぎて(さんざんケーキを食べておきながらおかしな話ですが・・)普段はあまり食べないのですが、お兄さんが切ってくれたメロンは香りもよく、想像以上に美味しくて、ちょっとびっくりして目を丸くしていたところに、お兄さんが「メロンも2個で3ユーロにしとく!」と言うので、思わずメロンまで買ってしまいました。

 2パックのイチゴと2個のメロンを抱えて、お金を払おうとしていたところに、ちょうどよく生姜が置いてあって、そういえば、生姜が切れてた!と思って、「この生姜いくらですか?」と聞いたら、「生姜はカドー(プレゼント)にする!」と、これまた威勢よく言われて、今度は生姜をタダでもらってきました。

 この間はバゲットをもらったし、今日は生姜をもらっちゃって、せこい話ではあるけど、なんか、最近、ついてるな・・などと、スーパーマーケットではありえない割引やおまけに恵まれるマルシェやお店での買い物を最近、ちょっと見直すようになった自分の単細胞ぶりに、ちょっと苦笑しながらも、今後はカーフールに行く機会はずっと減るだろうな・・となんだか、人が掛け合いをしながらする買い物が楽しくなっている今日この頃です。


パリのマルシェ おまけ


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2023年4月27日木曜日

ファミリーサイズ詐欺 大量パッケージは安いとは限らない

  


 フードウォッチ(Foodwatch)(消費者保護団体)の調査によると、ファミリーサイズなどの大きなパッケージの商品は実は既存のサイズのものよりも、割高の価格で販売されているケースが少なくないことを警告しています。

 一般的な消費者の心理としては、ファミリーサイズや大きなパッケージで同じ商品が大量に入っている場合、当然、お得で割安な印象を受けてしまうので、このファミリーパッケージは思わぬ落とし穴で、「ファミリーサイズ詐欺」などとも呼ばれています。



 これは、かなりショッキングというか、悪質なやり方で、このインフレで何もかもが値上げされている中、原料費、燃料費、人件費など全てが値上がりしているため、商品の値上げは必然だという話もよく聞きますが、このファミリーサイズ詐欺に関しては、全く違うものです。

 我が家は、大家族ではないので、ファミリーサイズなるものをほとんど買ったことはないのですが、そんな落とし穴があるとは知らずに、むしろファミリーサイズは多すぎて買えないな・・などと、ちょっと残念な気さえしていたのです。

 そもそも、スーパーマーケットなどには、他にも落とし穴があって、半額!などと書かれていても、その横に小さな文字で「2つ買うと3つ目が半額」などというのも結構あって、結局は、どの程度安くなっているんだか、すぐには、わからない感じの落とし穴もあります。

 もともと、そんなに大量に買っても仕方がないのですが、たまに買い置きをしておいても間違いなく消費するものなどの場合は、一瞬立ち止まって計算してみて、その結果、本当にお買い得の場合は買うこともありますが、迷った挙句に、結局レジでは、割引されていなかったりもするので、一応、表示してある価格の写真を撮って、レジで金額を間違えられた時のために備えたりするくらいです。(常に戦闘態勢)

 そもそも、フランスに来て以来、ほぼ全てのことに関して信用しておらず、トラブルに遭った場合に備える癖がついています。

 しかし、このファミリーサイズ詐欺は実は2020年から問題視されていて、フードウォッチが警告を続けていたそうなのですが、3年経った現在も現状は変わっていないようです。特に昨年から止まらないどころか加速を続けるインフレの中、消費者は一層、値段に対して注意深くなり、また、ファミリーサイズなどの商品を手にする大家族は、比較的、経済的にも弱い立場にある人々であることも多いことから、弱いものを獲物にした悪質な商売の仕方が非難の対象となりつつあります。

 これは食品メーカー側の卸価格によるものなのか?最終的な価格設定をしている小売店(スーパーマーケット)がやっていることなのかはわかりませんが、いずれにせよ、悪質なことにはかわりありません。

 スーパーマーケットが「アンチインフレバスケット」などと選定された商品に対して価格を値上げしない宣言をしたりしていますが、その陰でこんな詐欺まがいのことをしているとしたら、嫌悪感を感じずにはいられません。

 これは、表示している価格どおりに商品を販売しているわけで、厳密にいえば、これは違法ではありませんが、「ファミリーサイズなどの大きなパッケージは割安である」という消費者の先入観を利用した詐欺まがいの商法でこれに騙されるわけにはいきません。

 それが、しかも、あまり目にしないようなメーカーのものでもなく、むしろ、誰もが知っているようなメーカーの有名な商品であったりするのは、そんなやり方までして儲けようとするところがうんざりさせられるところです。

 そもそも、このインフレも恐らくインフレに乗じて上乗せ値上げをしている商品も少なくない感もしないではなく、こうなったら、マルシェのような売り手と買い手が直接、交渉しつつ買い物ができる場所の方がむしろ信用できるのではないか?と最近、思うようになりました。


ファミリーサイズ詐欺


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2023年4月26日水曜日

医者の予約がとれない! 病院・検査機関にインフレは関係なし

 


 加齢につれて、例にもれず、私もお医者さんにかかる機会が増えている残念な現実ですが、フランスの場合は、お医者さんと検査機関、薬の処方と全て分業体制なので、ちょっと風邪をひいたり、簡単な疾病の場合は、かかりつけのお医者さんで済むので、薬の処方箋を書いてもらって、薬局に薬を取りに行く程度のことで、大した手間ではないのですが(それでさえ、慣れるまでは面倒くさいな・・と思いましたが・・)、もう少し、厄介な病気の場合は、まずは医者に行ってから、必要な検査の処方箋を書いてもらって、それから、それぞれの検査機関に検査をしに行って、そのうえで、検査結果を持って、専門の医者にかかるということになるので、とても1日で済む話ではありません。

 私の場合は、持病のために飲んでいる薬の処方箋を書いてもらうために、定期的にかかりつけのお医者さんにはかかっているのですが、その他には怪我をした場合など以外は、あまり検査にも行かないし、専門医にかかることもありません。

 私は心臓疾患があり(そんなに深刻な状態ではありませんが・・今のところは・・)、これまでに心臓専門医には数回、行ったことがありましたが、かかりつけの主治医に、しばらく心臓専門医にかかってないから、チェックしてもらいに行った方がいいと言われて、そのためのいくつかの検査の処方箋を書いてもらっていました。

 まずは血液検査ですが、しばらく行かない間にこれまで通っていた?検査施設が閉鎖になっており、別の場所へ行くと、これがもう、こんなに健康に問題のある人がいるのか?と思うくらいに大混雑、それでも血液検査の場合は予約なしに当日受付で検査をしてくれるので、健康保険のカードを渡して、ミューチュエルの書類などを提出して受付すれば、少々、待たされるものの、その日のうちに検査してくれて、結果はその日のうちにネットで送ってくれるので、まだマシなのですが、これが別の検査となると、話はまた別で、レントゲンを撮ってくるように言われていたので、また別の場所に検査に行くと、これには予約が必要で、しかも1ヶ月くらい先になるとのことで、絶句しましたが、仕方ありません。

 最後に心臓専門医に予約を取ろうと電話したら、これがなんと約3ヶ月後になるとのことで、もしも私の病状が深刻だったりする場合は、手遅れになるだろうと思います。

 そうでなければ、もう定期的にあらかじめ予約を取っておくしかないのですが、そこまで医者に通いたくもありません。

 フランスでは、医者不足が問題になっていて、特に若い世代の医者が充分に増えていかないことから、数年後には、フランスの医者の25%は60歳以上になり、遠くない未来には、医者の数が一気に減少する状態になることから、「医者に定年後も働いてもらうためのシステム」が国会でも審議されていたりして、話には聞いていましたが、いざ、こうして自分が検査に行ったり、専門医にかかろうとしたりすると、本当にこの医者不足の現実を身に染みて感じることになります。

 私自身は、フランスの病院に入院したりするほど本格的にお世話になったことはないのですが、夫が入院した時のことや、友人が入院・手術した時のことなどを見ていると、どうにも、できれば避けたいと思うような現状でもあります。

 インフレによる消費者の買い控えなどから、経営危機を迎えて閉店してしまうお店も相次ぐなか、どんなに浪費を控えようとも、健康維持のための医療を控えることはできないようで、病院・検査機関はこんなにも混雑していることが、なんとなく悲しく感じられます。

 私自身は、両親もすでに他界し、夫にも先立たれ、娘ももう社会人として自立したので、いつ死んでもいいと思ってはいるものの、生きている間はできるだけ快適に過ごしたいために医者にかかっているのですが、これがもし、差し迫った病気で余命数ヶ月・・とかになった場合は、もう完全にアウトです。

 まあ、それも運命と受け入れるしか仕方ありませんが、来月、もう一つの検査を受けて、再来月に心臓専門医にかかるという、実際に医者にかかるころには受けていた検査結果とはまた身体の状態も変化しているかもしれない妙な診察になるわけです。

 今後、おそらく劇的にこの医療体制が改善されることはあり得ないことで、むしろ悪くなっていくに違いないのは、これからますます医者にかかることが増えるであろう私にとっては、心もとない状況なのです。


医者の予約 検査予約 医者不足


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