2022年4月25日月曜日

マクロン大統領 再選 数年ぶりの満面の笑み

 


 ウクライナでの戦争勃発のために、いつもよりも選挙期間が短く感じられたフランスの大統領選挙でした。

 マクロン大統領が前回の大統領選挙に当選して、大統領に就任して以来、本当にこれでもかというほどの災難続きの5年間でした。黄色いベスト運動による激しいデモや暴動は長い間続き、その後もテロ、そして、パンデミック、さらにロシア侵攻によるウクライナ戦争と人の一生にこんなことが何度も起こり得るのか?というような出来事が立て続けに起こりました。

 今年はフランスの大統領選挙という年の初めは、1月にはフランスでは爆発的な感染の増加を記録し、若干、それが下がり始めたと思ったら、今度はロシアとウクライナの戦争の危機。

 マクロン大統領は、この大統領選挙の選挙戦の予定をこのために大幅に変更せざるを得なくなり、立候補は確実とされながらも公示直前まで立候補を表明しないままに選挙戦が開始されました。

 しかし、結果的には、ウクライナ戦争の悲惨な戦況のために、選挙に関する報道は大幅にカットされ、ほぼほぼ直前までは、選挙報道は通常よりもずっと抑えられ、その間、ロシア・ウクライナ双方の間に立ち、電話会談等を続けてきたマクロン大統領の活躍が前面に表れている時期も少なからずありました。

 

大統領選挙投票用紙

 マクロン大統領は立候補の公示を表明する前から、本命と言われてはきましたが、一時は、対立候補の極右マリン・ルペン氏が追い上げを見せ、最後まで結果はわからないと言われてきました。

 フランスの大統領選挙当日は、日本のような出口調査の結果は公表されず、投票時間である8時から19時(都市によっては20時)までで、その間に投票状況が公表されることはありません。

 そして、いきなり結果が発表されるのが、20時で、19時まで、あるいは20時まで投票が続いている段階で、どのように集計しているのかはわかりませんが、20時の段階で、各局が同時にマクロン58.40%、マリン・ルペン41.60%と公表し、マクロン大統領の再選を発表しました。

 ここ2ヶ月間ほどは、ほぼウクライナ戦争に偏った報道でしたが、この日ばかりは選挙一色の報道。

 結果が発表される数時間前から、マクロン大統領の支持者はエッフェル塔近くのシャン・ド・マルス広場に用意されている巨大スクリーンと舞台を見守り、結果発表とともに大歓声が上がりました。

 マクロン大統領がシャン・ド・マルスに登場したのは、21時30分頃、満面の笑みを浮かべて第九のBGMとともに、夫人と手を繋いで周囲を一般市民と見られる子供や若者たちとともに歩き、その後、夫人と2人で登壇しました。

 壇上に上がったマクロン大統領は、本当に数年ぶりに見る晴れやかな笑顔で、「Merci !」(ありがとう)という一言で挨拶を始めました。ここ数年、厳しい表情ばかりだったマクロン大統領の真の笑顔を久しぶりに見た気がしました。

 彼は、「5年間の変遷を経て、幸せな時と困難な時、そして例外的な危機も。2022年4月24日の今日、我々の大多数は、今後5年間の我々の共和国を統率するために、私を信頼することを選択してくれました」

「より独立したフランス、より強いヨーロッパ、そして投資と深い変革を通じて、私に信頼を寄せてくれたすべてのフランス人男性、女性に感謝したいと思います」

「また、今日、多くの人々が私に投票してくれたのは、私が掲げる考えを支持するためではなく、極右を阻止するためであることも知っています。そして、この投票が今後何年にもわたって私に義務を課すものであることを自覚していることを、ここで伝えたいと思います。私は、彼らの義務感、共和国への愛着、そしてここ数週間で表明された相違への敬意を守る者です」と述べました。

 このフランスの大統領選挙の模様を見るにつけ、摩擦は多々、起こるものの、国民が直接参加して、盛り立てていく様子が民主的な感じで、なんだか羨ましい気がするのでした。

 マクロン大統領はこの結果により、これまでの5年間プラスさらに今後、5年間フランスの大統領を継続することになります。フランスの大統領は、2期までと決められていますから、最大の10年間のマクロン政権が続くことになります。

 ウクライナ戦争も続いている現在、これからも険しい道が続きますが、2年後には、パリオリンピックなどの華やかな行事も控えています。これからの5年間がさまざまな面で上向きになってくれますように・・。

 そして、その次の大統領選挙には、彼はもう出馬できないわけですから、彼にはこの5年間の間に後継者を育てるという課題が追加されています。


マクロン大統領再選 フランス大統領選挙結果


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2022年4月24日日曜日

国民健康保険カードCarte Vitalを利用した詐欺と日本のオレオレ詐欺

  


 最近、フランスでは、IT化が進み、これまで、いちいち出向かなけれなならなかった用事が携帯やネットで済むようになってきています。そんな中、ここ数ヶ月の間にSMSを使った通称カートヴィタル(Carte Vitale)国民健康保険カードの詐欺被害が発生しているようです。

 フランス国民及び、フランスに在住する者は、この国民健康保険に加入していますが、この国民健康保険には、緑色のICチップ入りのカードが使用されており、そのカードによって医療は管理されており、ある意味、命綱とも言える大切な存在です。

 医者にかかる時、医者が処方してくれる処方箋による薬をもらいに行く時など、また、今回のパンデミックなどでは、PCR検査を受ける時などもこのカードが活躍しました。

 また、このカードにより、かなり個人個人の健康に関するデータが把握されており、既往症や病歴や年齢などに応じて、必要な予防接種や検査などのオファーが届いたりもしています。

 しかし、このカード、定期的に更新手続きが必要で、時々、その更新手続きをするようにという通知が届きます。更新手続きといっても、薬局などにおかれている専用の機械でチャージするだけで完了するごくごく簡単なものです。もちろん無料です。

 ところが、最近、このカードの更新手続きを装った詐欺が多数発生しており、現在フランスで2番目に多い詐欺なのだそうです。その手口は、契約者の携帯電話に、カードの更新や更新を促すメッセージが届き、リンクをクリックすると、「国民健康保険」のサイトとよく似たサイトが表示されます。そして、新しいカートヴィタルを送るために、住所を聞かれるのです。

 しかし、それを受け取るためには、数ユーロを支払わなければならない。その後、詐欺師は「支払いはお客様のクレジットカードで支払うことができます」と誘いかけます。詐欺師は84セントを支払うようにという話でしたが、数百ユーロが引き落とされるという被害が続出しているようです。

 中には、なかなか巧妙な手口を使う場合もあり、詐欺師は、被害者に銀行員のふりをして電話をかけてきて、「あなたは、こんなところに住んでいて、こんな銀行のカードを持っている、こんな人です」と自分を信用させるための情報をすでに持っていて、さらには、銀行カードの不正利用を逆に彼ら自身から伝えることで、被害者を安心させようとするようです。

 SMSと電話を巧みに利用する新手の詐欺です。フランスにお住まいの方は、くれぐれもご注意を! 健康保険がメッセージでカートヴィタルの更新を依頼することはなく、カードの更新は薬局で完全に無料で行われるもので、決してネット上で行われるものではありません。

 その他、フランスでは、最近、荷物の受け取りに関するSMS上での詐欺を目にしたことがありますが、私の場合、荷物を受け取る予定はなかったために「ん??」と不審に思ったので、調べてみると案の定詐欺であるということがわかりました。

 不審に思ったら、その文面をそのままコビーしてググれば、詐欺被害の情報が出ていますので、調べてみた方がよいかもしれません。

 そういえば、先日、日本に一時帰国していた際に、私は初めて自宅の電話で「オレオレ詐欺」らしき電話を初めて経験しました。日本のオレオレ詐欺は、ずいぶん昔から聞いたことはあったのですが、実際にその電話に出たのは初めてでした。

 電話に出ると、若い男性の声で、「あ〜俺・・」、家の固定電話ですから、勧誘などの電話以外は、だいたい知っている人からしかかかってきません。たまたま弟と連絡をとらなければならない要件があった私は、一瞬、弟だと思い、「あ〜○○!」と弟の名前を言いました。

 しかし、どうも、声が少し若いようで、いや、でも国際電話(弟は海外にいる)だからなのかな?と一瞬思ったものの、どうにもおかしい・・「え〜ほんとにあなたなの?」というと、「そうだよ・・」と、「今、どこにいるの?」「仕事中だよ」「仕事中ってどこよ?」ここまで言って、相手が適当な日本の地名を言えば、絶対に違うことがわかると思ったのです。

 そこまで来て、相手はそれには答えずに「やだな〜疑ってるの?」とばかり、繰り返すだけ・・これが本当に弟ならば、疑ってるの?などとは言いません。結局、相手は要件を伝えないままに諦めたようで、電話は切ってしまいましたが、「オレオレ詐欺ってほんとにオレオレって言うんだな・・」などと思ったものの、若い人がこんなことを昼日中に必死にやっていることが情けなくて、とても嫌な気持ちになりました。

 しかし、これほど有名な詐欺も、もう私が海外に出る前からあった話ということは、もう20年以上も前からあったこと。凝りもせず、こんなことが続いているということは、それなりに騙されている人がいるということです。

 最近は、日本のATMにも、そのような被害に気をつけてくださいなどという張り紙もあり、少しまとまった金額の現金を窓口でおろそうとすると用途などもうるさく聞かれると叔母などが嘆いていました。

 フランスの場合も日本の場合も少しの隙をついて、騙そうと企む人は後を絶たないようです。見慣れないものを見かけたら、まず疑ってかかることが、必要なのかもしれません。


Carte Vital 詐欺 オレオレ詐欺


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2022年4月23日土曜日

フランス司法当局 カルロス・ゴーンに国際逮捕状発行

   


 夜、テレビをつけたら、カルロス・ゴーンがインタビューに答えているところでした。

 ウクライナでの戦争開始以来、ニュースの大半は戦争関連の話題に切り替わり、一時は大統領選挙さえも、一掃されていました。さすがに現在は、大統領選挙が目前に迫ってきて、選挙関連の報道が増えましたが、まさか、このタイミングでカルロス・ゴーンが登場するとは思ってもみませんでした。

 彼が日本から逃亡したのは、2019年の年末のこと。当時は、思いもよらない逃亡劇にフランスでも盛んに報道され、年明け早々にレバノン到着後に彼が世界中のマスコミを集めて行った記者会見なども生放送で報道され、ドキュメンタリー番組まで作られていました。

 当時は、フランス人の知人から、「日本、逃げられてやんの・・」みたいな嘲笑を受けたりしてムッとすることもありましたが、その後、まもなく起こったパンデミックにより、彼についてのニュースもすっかり影を潜めていました。

 この間、一度、彼のフランスの税務当局が彼のフランスでの資産を差し押さえたというニュースが流れたこともありましたが、当の本人はレバノンにいるままで、話題がそれ以上、盛り上がることもなく、すっかり忘れていました。

 それが、ここへきて、このウクライナ戦争と大統領選挙の間に、「フランス司法当局がカルロス・ゴーンに国際逮捕状を発行した」というニュース。

 フランス司法当局の判事は、すでに2度、ベイルートを訪問し、カルロス・ゴーンの尋問を5日間にわたって行っていました。しかし、その内容が報道されることはなく、彼がレバノンにいる限り、如何ともし難い状態なのだと思っていました。

 これまで、フランス司法当局には、レバノン当局にカルロス・ゴーン氏への「告発通知」(フランスでは起訴に相当)を求めるか、あるいは逮捕状を発行するかという選択肢があると言われてきました。 司法関係者によると、最終的に裁判官たちが保持したのは、より「法的安全性」が高いと判断したこの第2の選択肢であったと言われています。

 今回、フランス司法が発行した逮捕状は、企業資産の乱用とマネーロンダリングに関する容疑で、RNBVとオマーンにおけるルノーの販売代理店であるスハイル・バフワン・オートモービルズ(SBA)との間で、1500万ユーロに及ぶ不審な支払いについての容疑を中心とした逮捕状5件とされています。

 カルロス・ゴーンは、すでに日本からの要請でインターポールの逮捕状の対象となっていますが、2018年11月に東京で逮捕された彼は、「不正から逃れたい」と逃亡を正当化し、日本当局の「陰謀」を糾弾していました。

 そして、その時点で彼は、フランスの司法制度を信頼していると繰り返し述べていました。

 昨日のフランスのテレビ局のインタビューで、カルロス・ゴーンは「容疑に関して、全て説明できる用意はできている。いつか、フランスに戻れる日が来ると信じている」と語っています。

 しかし、現実には、このような令状が発行されても、第三国の当局にそれを執行する義務はなく、さらに、レバノンはフランスと同様、自国民の身柄を引き渡さない。具体的には、レバノン当局にはカルロス・ゴーン氏をフランスに引き渡す義務はない、ということです。彼はレバノン国籍とともにフランス国籍(同時にブラジル国籍)も持っているので、フランスとしても自国民の身柄を要求することはできないのだろうか?とも思います。

 68歳の彼は普通の人間ならば、引退する年齢ではありますが、今年、2月の段階では、ベイルートにおける仏紙Le Parisienの独占インタビューで、自分のイメージを「再確立」する決意を述べ、「これまで私が何をしてきたか、私が誰であるかについての意見を操作する試みがあまりにも多かったので、自分のイメージを再確立することが重要だと思う」と語り、まだまだ復活する心積りでいたと思われます。

 彼が本当に、全てを説明できる準備ができていて、フランスの司法を信頼しているのであれば、堂々とフランスに出頭すれば良いはずなのですが、彼の算段としては、おそらく、自分のイメージを再確立して、ある程度の世論を味方につけてからというものであったかもしれませんが、現在の世界の状況は、戦争にかき消されて彼の発言などに注目は集まりません。

 パンデミックのために彼の罪は世間からは、忘れ去られようとしていましたが、その後、ウクライナ戦争という大事件が起こっても、フランス司法当局は、決して忘れていないどころか、着々と次の段階への準備を続けてきていたのです。

 もともと日本で逮捕されたカルロス・ゴーンではありますが、日産とルノーという日本とフランス両国に関わる人物であっただけにフランスとて黙っているわけはありません。

 お役所仕事は何かと滞るフランスも税務署、財務司法となると他とはわけが違います。先日もロシアのオリガルヒの資産凍結をあっという間に行ったばかり・・日本が取り逃したカルロスゴーンを今度はフランスがとことん追求してもらいたいものです。

 

カルロスゴーン国際逮捕状


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2022年4月22日金曜日

ドイツ・ポルトガル・スペイン首脳が異例の声明発表 フランス大統領選挙はもはやフランスだけの問題に留まらない

  


 フランス大統領選挙目前の最終候補2人の直接対決の討論会の翌日、ドイツ・ポルトガル・スペインの首脳が仏ル・モンド紙面で、フランス大統領選挙に際して「民主的な候補」の選択を求める声明を発表しました。

 ドイツのオラフ・ショルツ、スペインとポルトガルのペドロ・サンチェスとアントニオ・コスタの政府首脳は木曜日にル・モンド紙に掲載した記事で、フランス大統領選挙の第2ラウンドで、名前は出してはいないものの、エマニュエル・マクロンへ投票を行うよう暗に呼びかけています。 

 同紙によると、彼らは「フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要である」「ヨーロッパ共通の価値を守ることができる主導者が必要である」と述べています。

(以下 声明内容)

 「ヨーロッパは時代の転換期を迎えています。歴史を塗り替えようと、ウラジーミル・プーチンはウクライナとその国民に残忍な攻撃を開始しました。マリウポリ、ブチャ、クラマトルスクの映像は、ヨーロッパの最も暗い時代を思い起こさせます。しかし、プーチンの侵略はさらに進んでいます。彼は、欧州の平和秩序の最も基本的なルールを破りました。血塗られた過去に何度も行ってきたように、力による国境線の引き直しを行わせないためにヨーロッパ全体の連帯が必要な時です。この戦争は、フランスと私たちの国が守る価値観、すなわち民主主義、主権、自由、法の支配の秩序を揺るがすものです。」

 「我々の国も同様にポピュリストや極右の政治家は、現在は、ロシアから距離を置こうとしているような姿勢を見せてはいても、彼らの基本的な姿勢はプーチンを思想的・政治的モデルとしており、彼の民族主義的主張に共鳴する部分を持っていることを忘れてはなりません」

 極右(マリン・ルペン候補)は過去にクリミア半島の併合を容認しており、現在はロシア侵攻を非難している立場をとってはいるものの、この3首脳は、「今、彼女がロシアから距離を置こうとする姿勢をみせていても、過去の発言を決して忘れてはいけない」と警告しています。

 「これらの要素を考慮すると、フランス大統領選挙の第2ラウンドは、私たちにとって、他の選挙とは異なるものです。フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要です。強力で自立した欧州連合(EU)においてフランスはより強くなると信じる民主的な候補者と、フランス啓蒙主義から直接もたらされた基本的価値である自由と民主主義を攻撃する人々の側に公然と立つ極右の候補者の間の選択です」

 「フランスは欧州プロジェクトの中核を担う国であり、民主主義の旗手となり、常にリーダーシップを発揮してきました。近年のパンデミックにおいて、さらに強化されたヨーロッパ全体の連帯は、現在、ロシアのような権威主義的な国の侵攻を許さないために、国家主権を制限することなく、各国が繁栄し、さらに強力な統一が求められている重大な局面にあります」

 「我々は、フランスを必要としています。我々の共通の民主的な共通の価値を守るフランスは、我々が自らを認める欧州において、自由で世界に開かれ、主権があり、強く、同時に寛大な国です」とし、「フランス国民がこのヨーロッパ共通の価値を守る選択をしてくれることを望んでいます」と締めくくっています。

 EU(欧州連合)加盟国の首脳が他国の内政に干渉するような声明を発表することは、極めて異例なことで、現在、ロシアのウクライナ侵攻により、ヨーロッパ全体が極めて重大な局面に置かれているかということが、フランスの大統領選挙を目前にして、3国の首脳が他国の大統領選挙に口を出すという声明発表に現れています。

 現在、フランスはEUの議長国でもあり、それがもしも、極右の大統領が取って代わるとなれば、ヨーロッパ全体の連帯が揺らいでしまうことに繋がりかねないと彼らは非常に懸念しているのです。

 今回のウクライナ戦争に際しても、プーチン大統領ともゼレンスキー大統領とも頻繁に連絡を取り続けてきたマクロン大統領に対して、ゼレンスキー大統領は、一昨日行われた仏BFMTVのインタビューで、「マクロン氏とルペン氏のどちらの大統領を望みますか?」という質問に対して、これは私が決めることではないと苦笑いしながらも「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と答えています。

 どうやら、海外においては、決して他人事としては、捨ておけず、マクロン大統領を望む声が多い様子のこの大統領選挙。

 フランス国民はどんな選択をするのでしょうか?

 選挙権がないことをこれほど残念に思うのは、初めてです。


ドイツ・ポルトガル・スペイン3国首脳 フランス大統領選挙


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2022年4月21日木曜日

フランス大統領選挙目前のエマニュエル・マクロン VS マリン・ルペンの討論会

   


 フランス大統領選挙・最終投票を目前に控えて、最終候補に残った2名、エマニュエル・マクロンとマリン・ルペンが直接対決する討論会が行われました。

 これは、フランスでは以前から大統領選挙の前には必ず行われている伝統的なもので、5年前にマクロン氏が当選した際の選挙前にも、同じ2人がこの討論会に参加。5年の歳月を経て、奇しくも同じ2人が再び対決することになりました。

 前回の大統領選挙の際には、パンデミックも戦争もなく、現在の世界状況と比べてみれば、格段に平和だった時で、正直、私はそれほど注目していませんでしたが、今回、同じ2人が再び対決するにあたって、5年前の討論会の映像が流されるのを見るにつけ、マクロン大統領は若かったんだなぁ〜と、逆に言えば、歳とったなぁ〜と思うのです。この5年間の彼の苦労がスベスベだった顔に皺を刻み、顔つきも厳しくなった気がします。

 今回の討論会は、前回に比べると、途中、数回、緊迫し、語気を荒げる場面はあったものの、比較的穏やかに進んだような印象を受けました。実際に討論会の中で本人同士がそんなことを呟きあっている場面もありました。

 討論の内容は、現在のインフレに対応する購買力問題について、ウクライナ戦争を中心とする国際外交について、財政問題について、環境問題について、定年の年齢設定・年金問題について、安全保障について、国際競争力について、移民問題について、教育問題について、環境問題についてなど多岐にわたり、とても2時間50分の討論では語りきれない内容で、司会者が途中で話題を遮り、進行していきましたが、全体的には、マリン・ルペン氏は、国民が喜びそうな減税や定年の年齢の前倒しなどの抱負を語ったものの、一体、そのお金はどこから出てくるのか?と素人の私でさえ感じてしまうものでした。

 具体的な数字の提示も曖昧で不明瞭なものが多く、たびたびマクロンが厳しく訂正する場面が見受けられ、逆にそれが、マクロンの現職の大統領としての説得力を際立たせ、これまでの功績をアピールさせるきっかけとなる感じでした。

 この討論会は、生放送で放映され、この中継は、両者が会場に到着する前から、カウントダウンされ、まるで、この放送で大統領が決まるかのように盛り上げるように演出されていましたが、実際に相当の視聴率をとっているものと思われます。

 この討論会の始まる直前の世論調査によると、すでにどちらに投票するかを決めているという人が87%、まだ検討中という人が13%と発表されていましたが、この放送直後の視聴者の支持率は、エマニュエル・マクロン59%、マリン・ルペン39%と発表されました。

 フランスの厳しいところは、この放送直後から、すぐにこの討論会を振り返り、一言一句を検証しなおし、この討論会に臨んだ両者の態度、視線の送り方から、身振り手振りについてまで、厳しく評価し合うジャーナリストが再びこの討論会について、討論しなおすところで、そんなところは、議論好きのフランス人の様子がまざまざと見えるところ。この討論会についての討論会でも、誰もがよく喋ること喋ること・・。

 最初は、今回は、相手を尊重しながら話を進め始めたな・・と思われたエマニュエル・マクロンも、途中から、話が白熱していくに従って、彼が一定の層に嫌われる「偉そうな感じ(傲慢な感じともとれないではない)」が現れ始め、「おまえ・・全然、わかってないな・・」とでも言いたげな感じでかなり強引な説明をし始める場面には、このマクロンを嫌う層には、ますます嫌われるように映ったのではないか?とも思われます。

 フランス大統領選挙は、数日後。外国人である私には選挙権はありませんが、それでも、政権によっては、大きく状況は変わっていくので、この結果を見過ごすことはできません。

 ましてや、ウクライナでの戦争中、フランスだけでなく、ヨーロッパ全体にも、国際的にも影響していくであろう大統領選挙です。

 フランスは大統領選挙も国民投票で行われることもあると思いますが、この国民の政治に対する関心の強さ・・日本にも少しはあったらな・・と思うのです。


マクロン VS ルペン討論会


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2022年4月20日水曜日

海外在住者の日本での国民年金支払いについて私が勘違いしていたこと

   


 そもそも私が海外に出ても、日本の国民年金の支払いを続けてきたのは、「けっこう長い間、日本で会社勤めをしていた分の厚生年金を無駄にしてしまうのはもったいないわよ・・」という母の助言があったからで、しかし、後になって考えてみるとその後の支払いの方がずっと長かったわけで、今となっては、支払い続けた方がよかったのか?それとも、支払い続けていてやっぱりよかったのかは、よくわからないな・・と思ったりもします。

 現在、すでに年金を受給できている人々はまだ、マシとしても、将来、年金をもらえる年齢に達した時には、一体、どれほどの年金がもらえることやら、この高齢化社会に拍車がかかっている日本では、期待ができないのが正直なところでもあります。

 しかし、すでに、あまり考えることなく、自動引き落としにして、支払い続けてきてしまった私としては、これまで支払ってきた期間よりも、この先支払う期間の方が短いわけで、もうこの際、今さら支払いをストップするまでもないと思ってきました。

 なんだか、エンドレスに支払いが続くように感じていた国民年金の支払いも60歳の誕生日の1ヶ月前には終了するという話を昨年、友人から聞いたので、それが終われば、すぐに受給できなくても、とりあえず支払いからは解放されるだけでもいいな・・などと、お気楽に考えていたのです。

 しかも、フランスは日本と社会保障協定を結んでいるので、フランスでの就労期間分と合算して計算してくれるという話も聞いていたので、今回、日本に一時帰国した際に年金事務所に出向いて、色々と説明を受けてきました。

 私が年金事務所に行ったのは、3月末で、まずは、見当たらなくなってしまった日本の年金手帳を再発行してもらい(今年4月からは年金手帳は不要になり、基礎年金番号さえ自分で控えておけばよいことになったらしい)、現在の私の年金の支払い状況やフランスとの合算の話を聞いてみました。

 すると、それ以前にショッキングなことは、海外在住者の年金支払いの場合は、任意加入のために、そのまま放置しておくと支払いは65歳まで続いてしまうとのこと。もちろん、任意加入を停止すれば、その時点で年金の支払いは終わりますが、その分、受給額はそこまでの分で計算されるために、当然、65歳まで支払った場合と比べると年間にして10万円程度少なくなりますとのこと。

 つまり、これまで海外に在住しながら年金を支払い続けてきた場合、60歳になった段階で、支払い停止の手続きをしなければ、自動的にさらに5年間の支払いは続くということです。

 年金事務所の人の説明によると、「年金の支払いは年額約20万円、それを5年間続けて支払ったとすると100万円、その後、10年間受給できれば、元が取れます」「日本女性の平均寿命は87歳ですから、恐らくお支払いになっても元は取れるかと・・」「しかし、任意ですから、すでに最低期間はお支払いになっておられますから、ご希望になられれば、いつでもお支払いを停止することはできます」とのこと。

 はっきり言って、そんなこと言われても、自分の寿命なんてわからないし、もともと、年間10万円増えたところで、どれほどのものなのかもピンとこないために、これについては、まだ先のことでもあり、保留することに・・。

 次にフランスの就労期間分との合算については、「あなたの場合、日本の分だけで受給資格に達していますので、日本で受給することに関してはフランスの分を合算する必要はないので、フランスの方で受給期間が達していない場合はフランスの方でお問合せください」という、どうにも両国内での合算に関しては消極的な回答。

 わかったような、わからないような、私自身もまだ先のことで、あまり具体的に考えていなかったこともあるのですが、それぞれに受給資格に達している場合は別々に受給して下さいということなのでしょうか?

 日本もフランスも年金が受給できる年齢は年々、上がっていくので、一体、いつのことになるのやら・・。

 フランスでは、大統領選挙を目前に控えていて、選挙前の大統領候補者の公約には、定年の年齢の設定が必ず入っていますが、私が定年を迎えるまでに、あと何回、大統領が変わるのかわかりません。フランスとて定年の年齢が早まることは考えづらく、どちらにしても、今から色々と考えても、結局は、どんどん制度は変わっていくし、なるようにしかならない・・という結論に達するのです。

 「あなたの場合、この国民年金の受給額プラス厚生年金の分が加算されますよ」とのことでしたが、いずれにしても、日本の年金だけで生活できるような額になるとは到底、思えないわけで、今さら年金のことをあれこれと考えるよりも、その他の手段を考える方が賢明のような気がしてしまったのでした。


海外在住者の日本の国民年金支払い


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2022年4月19日火曜日

ウクライナに招待されているマクロン大統領 ジェノサイドという言葉

  


 フランス大統領選挙が間近に迫ってきて、一時はウクライナ戦争一色になっていたフランスの報道もさすがに大統領選挙に関わる報道も同時に報道されるようになってきました。

 政治の話題が大好きなフランス人にとって、また国民投票で採択される大統領選挙は、本来ならば、もっと全面的に報道されているはずの話題です。

 自らがロシアに出向き、プーチン大統領との直接会談に及んだにも関わらず、ウクライナ戦争が勃発し、その後もほぼ毎日のように、ロシアとウクライナ双方の大統領との電話会談を続ける中で、選挙の立候補の公示はギリギリまで行わず、書面にて立候補を表明したマクロン大統領は、このウクライナ戦争への外交対応が評価されたこともあり、当初は圧倒的に優勢な状況だと見られてきました。

 ところが4月に入ってからは、対抗馬のマリン・ルペン氏の追い上げを受け、マクロン氏も、いよいよ本格的に最後の追い込みをかけ、現在のところ、依然としてマクロン大統領が優勢だと見られています。

 2月末から3月にかけては、大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la Républiqueにも、連日のように、ロシアやウクライナをはじめとする世界各国の首脳との電話会談の内容が記されてきましたが、4月に入ってからは、国内の閣僚会議の内容がポツポツと記されているのみに留まっています。

 実際に彼が何もしていないわけはないのですが、大統領選挙を目前にして、また、戦況も沈静化せずに、ロシアとウクライナの仲介も進展しないことから、記載を控えているものと思われます。

 先日、ウクライナでの悲惨な映像が公開されたことから、米国バイデン大統領がロシアのウクライナ侵略への残忍性を訴え、「ジェノサイド」という言葉を使ってロシアを非難したことについて、マクロン大統領は、「国の指導者は、言葉に注意を払うべきだ」という発言をしたことが話題になりました。

 このマクロン大統領の発言は、少なからず、電話会談を続けてきたウクライナのゼレンスキー大統領を失望させたようで、同大統領は、マクロン大統領に「実際に目の当たりにすれば、これは戦争ではなく、ジェノサイド以外のなにものでもないことを納得してもらえるだろう」と、機会があれば、ウクライナを訪問してほしいとお願いしたと語っています。

 しかし、現在のマクロン大統領は、大統領選挙を目前にしたタイミング。日程的にも無理なだけでなく、彼自身は、ジェノサイドという言葉は、国の指導者としては、慎重に使わなければない言葉で、この言葉を使って非難することが、戦争終結のためにならないと考えています。

 マクロン大統領は、このロシアが一方的に残忍な戦争を仕掛けたことや、ロシア軍が虐殺行為、戦争犯罪を行っていることは狂気の沙汰であり、信じがたいほど残忍な行為だという事実自体は認めているものの、現時点で欧州の一国の国家元首として、このジェノサイドという言葉を使って非難することは、プーチン大統領を追い詰めて、さらに戦争を悪化させると考えているのです。

 これは、プーチン大統領がウクライナに対して戦争を始める理由にも自分たちが被害者として使っていたワードでもあり、かなりプーチン氏の中でもキーワードになっている言葉でもあるからです。

 現在はどの程度の頻度で話しているのかは、わかりませんが、一時は毎日のように、4時間、5時間とプーチン大統領と会談し続けてきたマクロン大統領にとって、ジェノサイドという言葉は、プーチン氏を過度に刺激させないためのNGワードなのだと思われます。

 実際にあのプーチン氏を怒らせず、言いたいことを伝えようと電話会談を続けてきたマクロン大統領がとる当然の姿勢のようにも感じています。

 どちらにしても、もしも、マクロン大統領が再選されなければ、ウクライナ訪問もあり得ないことであり、もし、訪問したとしても、彼の発言の重さはまったく違うものになります。

 もし、彼が再選されて、ウクライナを訪問して、実際の戦況を目の当たりにしたとしても、ジェノサイドという言葉を使ってロシアを非難することは恐らく、ないであろうし、だからこそ、現段階で、彼がウクライナを訪問することもないのではないか?と私は思っています。


ジェノサイド マクロン大統領ウクライナ訪問


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