2021年6月16日水曜日

6月15日から12歳から17歳の未成年もワクチン接種開始 未成年のワクチン接種の条件

 



 フランスは、現在までに3037万人へのワクチン接種が進み、全国民の45.34%が少なくとも1回のワクチン接種を受けています。(2回終了は、23.37%)

 フランスがとりあえずの目標としている全国民の60%へのワクチン接種まであと14.66%となりました。

 ここへ来て、ワクチン接種は、1回目のワクチン接種をする人と2回目のワクチン接種をする人とが、ほぼ同数になり、このままでは、2回目のワクチン接種をする人が上回り、後回しになっていた年少者へのワクチン接種がずっと先に取り残されることになります。

 このタイミングで、フランスは、12歳から17歳へのワクチン接種への門戸を開きました。もちろん、未成年ですから、両親の承諾書(webサイトでダウンロード可能)が必須で、ワクチンの種類は、現在のところ、ファイザー・ビオンテックのワクチンに限定され、薬局やかかりつけの医者ではなく、ワクチンセンターに出向かなければなりません。

 また、承諾書を書いた両親のどちらかは、ワクチン接種に立ち会うことが義務付けられています。

 また、これまでにコロナウィルスに感染後、小児多系統炎症性症候群(PIMS)を発症した子供は、重度の炎症反応のリスクを回避するために、ワクチン接種を受けることができません。

 これは、夏のバカンス後の学校再開時にの9月・10月に学校がクラスターとなる第4波を懸念しての対応でもあります。

 また、6月も半ば過ぎになってくると、2回目のワクチンがバカンス中に重なってしまうために、1回目のワクチンをしなくなる人が出ないように、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「7月にバカンスに行くために、今、一回目のワクチン接種をするのを躊躇ってはいませんか?」「1回目ののワクチン接種から21日から49日(3週間から7週間)の間に2回目のワクチン接種をスケジュールできるように、予約システムを変更しています。」とバカンス最優先のフランス国民の動向を慮る対応と説明を前もって発信しています。

 フランス人の夏のバカンスがいくら長いとはいえ、普通は、せいぜい1ヶ月のことです。3週間から7週間の間隔をあけられることがわかれば、バカンス前に1回目のワクチン接種をして、バカンスから戻って、2回目のワクチン接種をすることができます。

 また、フランスでは、ワクチンを少しでも無駄にしないために、1回でもコロナウィルスに感染して抗体を持っている人は、1回のみの接種で済ませられるため、ワクチンセンターにおける接種においては、ワクチン接種前の問診とともに、簡易の抗体検査を実施し始めました。

 この検査の実施により、すでに自分でも気づかないうちに感染して、抗体ができている人に対しては1回のワクチン接種で済ませることができ、ワクチンの節約と副作用の回避への対策にもなります。

 現在のところ、カナダ、イスラエル、イギリスなどの国々では、全国民の60%以上のワクチン接種率に到達しており、アメリカは、52%、イタリア、ドイツ、フランスが45%〜50%の間でスペインがそれを追う感じです。

 ワクチン接種開始当初は、大きく遅れをとったフランスですが、ワクチン接種に関しては、その後の追い上げでフランスは珍しく頑張りました。いつも、何をやってもグズグズと時間がかかるイメージなのに、こんなに遅れを取り戻せるなんて、やればできるんじゃないか!という上から目線で、その頑張りを讃えたくなります。

 当初は予約の電話が繋がらなくて、大変だったワクチン予約は、今では、高齢者でリスクの高い人から、ワクチン未接種者に保健所からワクチンの予約を促すために、一軒一軒、電話をしているというのですから、驚きです。

 ここで、「バカンスに出る前にできるだけワクチン接種をしてバカンスを安心して楽しもう!」キャンペーンをすれば、フランス人にとってはバカンスが鼻先にぶら下げられた人参になってさらにワクチン接種も進むかとも思いますが、ワクチンをしてもしなくともフランス人は、楽しくバカンスを過ごすに違いありません。


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2021年6月15日火曜日

フランス政府が若者に発行したカルチャーパスがMANGAパスになった!

 


 新型コロナウィルスにより停滞した文化事業推進・支援と若者への文化と芸術への好奇心を喚起させるために、マクロン大統領は、5月半ば過ぎに、現在、18歳(2003年生まれ)の若者、約80万人に対して、300ユーロのカルチャーパスを付与することを発表しました。

 マクロン大統領は、同時に、彼のTikTokアカウントでも、申請書のアカウントに名前を登録するだけで使うことができるカルチャーパスは、「映画、小説、マンガ、ビデオゲーム、劇場、ラップ、メタルなどなど・・あらゆる文化的な目的に使用することができます」と若者向けに拡散しています。

 若い世代には、若者の通信手段に向けて、自らのアカウントから直に発信するあたり、しっかりと時代を把握している感があります。

 このカルチャーパスの実現には2年以上の月日が費やされており、劇場、映画館、美術館、音楽、ショーのチケット、映画のサブスクリプション、芸術・美術材料、楽器のコースまでも提供しています。

 しかし、それには、ある程度の制限がかかっており、書籍は、書店からの購入に限られ、Amazonから配送することはできません。また、音楽の面では、SpotifyではなくDeezer、映画等の配信サービスは、Netflix、Amazon Prime、DisneyではなくCanal +、Madelenなど、フランスの産業を盛り立て、活性化するように意図されています。

 また、2022年1月には、このカルチャーパスは、中学生に年間25ユーロ、高校生にそれそれ50ユーロが割り当てられます。これは、一人当たり合計200ユーロで、若者が18歳になった時の300ユーロを加えると、500ユーロになります。

 この時点で、カルチャーパスは、中学生以上、400万人が該当する特大案件に膨れ上がります。18歳のカルチャーパスに関しては年間1億6000万から1億8000万ユーロが見積もられています。

 しかし、もともとフランスでは、ルーブルなどの主要国立美術館などに関しては、26歳以下は無料で、このカルチャーパスを使うまでもありません。 

 そして、いざ、蓋が開いてみると、これは、意外な?方向に偏り始めたのです。

 このカルチャーパスでは、本を購入することができるのですが、このうち、4分の3はMANGA(マンガ)で、日本の漫画コミックが爆発的に売れているのです。若者たちが、10 冊、20 冊、さらには 50 冊のマンガを抱えて店を出てきます。

 マンガを扱う書店におけるコミックの売上高トップ 40は、ほぼすべて日本語のタイトルで構成されています。書店においては、今や、「カルチャーパス=マンガパス」と呼ばれているほどです。

 「大多数は、普段は購入する余裕のない大規模なシリーズものを購入する」のだそうで、一人で10冊、20冊、50冊のマンガを抱えて店から出てくるのも頷けます。

 カルチャーパス運用のベストセラーマンガは、すでにトップセラーとなっているマンガです。フランスで2年間で200万部以上を売り上げた「鬼滅の刃」は、記録を塗り替え続けています。これは、先日、映画館の再開とともに、封切りになった映画「鬼滅の刃」の大ヒットも後押ししています。

 また、「進撃の巨人」の最終巻は10月13日に発売予定になっていますが、すでに、シリーズのすべての巻で在庫が落ちしています。

 フランスのカルチャーパスがまさかのマンガパスになるとは、フランスの文化継承に貢献することを見積もっていた政府の意向をよそに日本のマンガという文化がこれほど、フランスの若者に根付いていたことに驚きを隠せません。

 数年前から、フランスでは、普通の書店に行っても、当たり前のようにマンガが置いてあるようになり、メトロの中でもマンガを読んでいる若者を見かけたりすることに意外な驚きを持って眺めていましたが、このカルチャーパスにより、そのフランスの若者文化のほとんどをマンガが占めているということがさらにはっきりと浮き彫りになった形です。

 フランスで広まった日本食ブームの一旦は、マンガが担っていたとも言われており、日本のマンガの中に登場する日本のラーメン・餃子などの食べ物を食べてみたい・・と思って、最初は、パリにある日本食屋を訪れた・・という人も少なくありません。

 以前、家に遊びに来た女の子が「日本のラーメンを食べてみたい・・」というので、パリのラーメン屋さんに連れて行ったことがありましたが、「なぜ?ラーメン?」と聞くと、その子も日本のマンガが好きで、「マンガに出てきたラーメンを食べてみたかったから・・」とのことで、とても満足そうにしていました。

 日本のマンガを読んで、日本に行ってみたい!と、思う若者も少なくありません。コロナ前までは、日本行きの飛行機は、いつ乗っても、フランス人でいっぱいでした。

 残念ながら、現在は、日本へは簡単には、行ける状態ではありませんが、このカルチャーパス=マンガパスで、さらに日本を知る人が増え、パンデミックが終息したら、また多くのフランス人に日本を訪れて欲しいものです。

 それにしても、フランス文化の継承を目論んでいた政府が目の当たりにしたのは、「フランスの若者の文化=日本のマンガ」というフランスにしたら、ちょっと残念、でも日本人の私としては、フランスの若者から日本が愛されているような、ちょっと嬉しい現実でした。



カルチャーパス

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2021年6月14日月曜日

モンブランってフランスではマイナーな存在  アンジェリーナのモンブラン

 


 先日、数年ぶりにルーブル美術館へ行って、帰り道、あまりに閑散としているリヴォリ通り沿いのお店を気の毒だなぁと思いながら、それでも、久々に通るこのあたりの風景に、そういえば、ここには、こんなお店があったとか、もうちょっと行くとサン・ロック教会だな・・とか、サン・トノーレ通りだな・・とか、少しずつ思い出し、「あぁ・・そう言えば、もうちょっと行くと、アンジェリーナがある!」と思い出して、「久しぶりにアンジェリーナに寄って、モンブランを買って帰ろう!」と名案を思いついたのでした。

 本当は、ルーブルの中をさんざん歩いて、本当は、もう歩きたくはなかったけれど、モンブランのためだと思うと、元気に歩けるから現金なものです。

 私は、特にモンブランが好きで堪らないというわけでもないのですが、アンジェリーナのモンブランは、別です。というか、私は、アンジェリーナのモンブランを食べて以来、モンブランが大好きになりました。

 アンジェリーナは、1903年以来、パリのリヴォリ通りにある、今年で創立118年を誇る老舗の洋菓子のサロンです。店内は、ベル・エポックの有名な建築家、エドワード・ジャン・ニールマンスによってデザインされたもので、その装飾は、優雅さ、魅力、洗練を兼ね備えています。

                         
    


 歴史あるこのお店は、パリの貴族にとって欠かせない有名なお店で、プルースト、ココ シャネルなども通った場所として知られており、ことに「モンブラン」と「ホット・チョコレート」で有名なお店です。

 モンブランは、メレンゲの上にのった濃厚な生クリームがマロンクリームに包まれているだけのシンプルなものですが、小細工してない分だけ、生クリーム・マロンクリームそのものの味が引き立つ絶品です。

 一見、しつこいような感じもしますが、しっかり固まっているのにふわっとしているクセのない生クリームとマロンクリームは、素晴らしく相性がよく、上品な口どけに、後味もよく、あっという間に食べてしまいます。

 しかし、不思議なことに、フランスでは、モンブランを置いている洋菓子店は、そんなに多くありません。一般的なフランスの洋菓子店は、どこへ行っても、まるで決められているかのようにミルフィーユとかエクレアとか、タルトとか、同じものばかり・・モンブランを知らないフランス人も少なくないのではないかと思われます。

 意外なことですが、もしかしたら、モンブランという洋菓子自体の認知度は、日本よりフランスの方が低いかもしれません。

 我が家の近くの洋菓子店でも、まずモンブランを見かけることはなく、ようやく見つけても、どうしてもアンジェリーナに及ぶものではありません。

 一度、冷凍食品のお店PICARD(ピカール)でモンブランを見つけて、喜び勇んで買って帰りましたが、まあ、この値段なら、これで仕方ないか・・と思う程度のもので、また買おうとまでは思いません。(ゴメンねピカール!)

 ネットで調べてみたら、アンジェリーナのお店は、フランスで、10店舗。日本に7店舗、シンガポール、上海、ニューヨークにそれぞれ1店舗ずつ。日本にいかに美味しいものが入っているかが伺われます。

 フランスの洋菓子店などが海外進出をする場合、まずは、日本に出店して、様子を見る・・フランスにとって、日本は海外進出における大きなマーケットなのがわかります。

 しかし、日本に進出するような高級店舗や高級食料品は、フランスの一般庶民には、意外と知られていないのも皮肉なことです。
 
 以前、日本であれだけ高価な値段にも関わらず人気なエシレバターをフランス人は意外と知らないことにびっくりしたことがありましたが、とうとうとフランスの食べ物を語るわりには、意外と美味しいものを知らないフランス人は、食べ物に関しても意外と保守的で、質素です。

 灯台下暗しで、フランスにある本当に美味しいものを意外とフランス人は、知らないのです。

 お値段もなかなかで、モンブランは1個7ユーロ(現在のレートで約930円)、そうそう気軽に買える値段ではありませんが、モンブラン1個だけ買っていくという人も少なくないらしく、全然、気兼ねすることなく、「モンブラン1つ下さい」と言えるし、モンブラン1個用の箱や紙袋も用意されています。

 ここ数年、近くに寄ることがなくて、食べたいと思いつつも食べ損ねていたモンブランは、変わることなく、美味しくて、大満足。以前と全く変わることなく、変わったことといえば、「一緒にスプーン、つけますか?」と言われて、つけてもらったスプーンがプラスチックではなく、木のスプーンになっていたことぐらいでした。

 久しぶりのモンブランに寝た子を起こされた気分の私。

 また近いうちに、買いに行くつもりです。


アンジェリーナ本店 226 rue de Rivoli 75001 PARIS  10:00~19:00 無休
東京では、日本橋三越に入っているようです。



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2021年6月13日日曜日

パリ1区マドレーヌにオープンしたIKEA(イケア) IKEA City Paris


メトロ・マドレーヌ駅上がってすぐの抜群のアクセスにできたIKEA City Paris


 IKEA(イケア)は、スウェーデン発祥の家具量販店で、これまでIKEAといえば、パリ近辺でもちょっと郊外の車なしには、行きづらいような場所にある広大な敷地の中に建つ倉庫のようなお店が普通で、まだフランスに来たばかりの頃に数回、行ったことがありましたが、そのIKEAがパリ・マドレーヌにできたと聞いて、「あんな場所にIKEA?」とちょっと意外な気がしていました。

 IKEAといえば、その倉庫のようなお店のイメージからも、あまり高級品のイメージではなく、(中には、高級品もあるけど・・)車で行って、倉庫のようなお店で組み立て式の家具や、大量生産品の食器やカーテン、クッションなどが比較的安く買え、ショッピングの合間に簡単でお手軽な値段の食事もできるスペースなどもあったりして、今で言う、コストコの家具バージョンのお店のようなイメージだったからです。

 パリ・マドレーヌといえば、パリ1区と8区の境界線あたりで立地条件も良く、家賃だけでも高そうで、IKEAのような広いスペースが必要なお店ができるなんて、思ってもみないことでした。

 マドレーヌ近辺は、マドレーヌ広場を中心として、今は閉店してしまったFAUCHON(フォション)の本店やエディアール(総合高級食料品店)の本店やトリュフの専門店やキャビアの専門店、有名なショコラティエなど、高級食料品店がたくさんある場所で、個人的には、他についでの用事がなくても、時々は、なぜかわりと行く機会も多い場所です。

 先日、どうしても美味しいチョコレートが食べたくて、その近辺に行った際に、IKEAを見かけて、ちょっと様子を見によってみたのでした。

 平日の昼間にも関わらず、結構なお客さんが入っていて、思わぬ人気ぶりに興味津々にお店を覗いてみたのでした。


 店内は、あのIKEA(家具の量販店)でありながら、地上階(日本でいう1階)には、調理器具や食器や、どちらかというと家の中のデコレーションや植物、照明器具、テーブルアートなどがメインで、比較的、値段もお手頃でなかなか可愛いものもあったりして、楽しいスペースになっていました。



こんな和食器っぽい湯呑みも・・


 あってもなくてもいいけど、あったら、ちょっと便利、ちょっと可愛いもの・・下手をすると爆買いしてしまいそうな・・そんな感じです。

 2階、3階は、キッチンやベッドルーム、子供部屋、サロンなどのショールームのようなスペースもあり、クッションやテーブルクロス、ベッドカバーやシーツなどの持ち帰れるものとともに、インテリアデザイナーに相談してキッチンや部屋をアドバイスを受けながら、コーディネートして作り上げることもできるサービス(要予約、有料)も行っています。

 この近辺は、数年前のテロ事件から、一昨年の黄色いベスト運動の暴徒化(黄色いベスト運動のデモの通り道になった)による被害を大きく受けてしまったこともあり、フォションを始めとして、多くの店舗が閉店に追い込まれてしまった場所でもあります。

  

キッチンのショールームのスペース




 
  
ちょっとしたスペースのデコレーションの展示


 実際に、現在、IKEAができた場所が以前、何の店舗であったかは思い出せないのですが、比較的、高級品を扱うお店が多いイメージだった場所にIKEAという量販店がデコレーションをコンセプトにした新しい趣きのお店をオープンしたことには、パリも少しずつ変化していることを感じさせられます。

 とはいえ、IKEAのすぐ隣には、すでにDECATHLON(デカトロン)という、大型スポーツ品店もあったりするので、その延長線の流れと考えられないでもありません。

 なにしろ、これまでアクセスが悪く、IKEAは、実際に行くよりも、カタログを見て、注文して・・ということが多かったのですが、この場所にできてくれることは、なんかグッと身近になった気がします。

 何よりも、家具ではなくて、ちょっと可愛くて安いキッチン用品やデコレーションなどは、パリ市民だけでなく、観光客にも、もしかしたら意外とウケるかもしれません。

 簡単な食事ができるスペースもあって、またそれが安く、1ユーロのソフトクリームや、50セントのベジタリアン用ホットドッグなど、テイクアウトでもその場で食べることもできます。

 6月23日には、このIKEA City の2号店がパリの中心地・サマリテーヌの向かい(144 rue de Rivoli 75001)にオープンします。

 パリにいらした際には、ちょっとIKEA City を覗いてみるのも楽しいかもしれません。


⭐️IKEA City Paris Madeleine(イケア・シティ・パリ・マドレーヌ)

 23 Boulevard de la Madeleine 75001PARIS

    メトロ 8・12・14番線 マドレーヌ駅 出口Rue Duphot

  月〜土 9:00~19:00,  日11:00~19:00



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2021年6月12日土曜日

ネット上で広まる偽のワクチン接種証明書・QRコード販売に、パリの病院の看護師が加担していた!

  



 以前、偽のPCR検査の陰性の証明書が出回っていたことがあったので、偽のワクチン接種証明書なるものも、きっと出てくるだろうと思っていたら、やっぱり出てきました。

 パリのサンタンヌ病院で1月から臨時職員として働いていた看護師が、ネット上で販売されていた偽ワクチン証明書の発行に加担していたことが発覚し、衝撃を呼んでいます。

 これは、偽のPCR検査の証明書と同じようにネット上で販売されています。

 例えば、スナップチャットでは、「ワクチン接種を希望せず、ワクチン接種済みとみなされたい人は、私に連絡してください。もちろん、無料ではありません。生理食塩水は 400 €です。」と、こんな文言が流されています。

 これからのバカンスシーズンに向けて、ワクチン接種証明書がなければ、色々と行動が制限されることが必須である現在、ワクチンを受けたくないアンチワクチン派の人にとっては、買ってでも欲しいものであるかもしれませんが、感染拡大回避のために広げているワクチン接種に偽のワクチン接種証明書なるものが横行すれば、何の意味も持たなくなります。

 この疑惑は、予防接種センター内での「1日10人以上の患者さんに対して、この患者さんは、自分の担当だ!」と固執する彼女の不自然な行動の変化を不審に思った同僚の密告から、彼女の行動が数週間にわたって観察され、発覚したものです。

 まさか、医療従事者の中から、このような不正が起こるとは、許し難い気持ちです。

 本来、フランスで、ワクチン接種を予約した場合、ワクチンの種類や接種場所は、指定できますが、それを誰が接種するかまでは、予約はできません。それを私の担当だなどと言い張ることが、どれだけ不自然なことか? 現在、次から次へとワクチン接種に訪れる人がいる中、ワクチン接種をする側とて、患者を選んでいる場合ではありません。

 同僚の密告を受けて、彼女の行動を追跡した医師は、彼女が自分の患者だと抱え込んだ患者は、同様に一度は、コロナウィルスに感染したと主張し、1回だけの接種でワクチン証明書を受け取っていることに気がつきます。

 しかも、その1回の接種さえ、行われておらず、通常、そのワクチンセンターでは、予防接種を受ける人々の皮膚はオレンジ色の消毒剤を使っていますが、彼女が担当した患者には、消毒剤の痕跡はなく、ワクチン接種が行われなかったことを示しています。

 彼女は、少なくとも1日あたり、10名に対して、実際にワクチンをせずにワクチン接種証明書を渡していたことがわかっています。彼女がいつからワクチンをせずに証明書を渡す闇の仕事に関わっていたのかはわかっていませんが、すでに相当数の実際はワクチン接種を受けていない証明書が出回ってしまっていると思われます。

 病院は直ちに看護師の契約を打ち切り、国家看護師団、検察官、地域保健局にもこの事実を通知しました。

 偽のワクチン接種証明書とQRコードを偽造するのではなく、実際には、ワクチン接種はせずに本物のワクチン接種証明書が配布されていたわけです。

 この看護師からワクチン接種証明書を買い取った人が追跡され、それが剥奪されるかどうかは、現在のところ、不明です。

 実際には、ワクチン接種を受けるのは、無料なのに、400ユーロ払って、不正をしてまで受け取りたいワクチン接種のQRコードと証明書。感染する危険と感染させる危険を軽減させるはずのワクチンをそこまでして、受けたくない、しかし、自由に行動するパスポートは欲しい。

 これは、「義務を果たさずに権利だけを主張しようとする」ダメなフランス人の傾向にも通ずるところがあります。

 ワクチンがそこまで嫌なら、せめて、感染しないように、自分自身で行動を規制すべきところです。

 そして、それを利用し、闇で商売をしようとする人々とそれに加担する医療従事者。

 また、驚くことに、この看護師を非難するよりも、病院スタッフの一部のメンバーは、ワクチン接種体制の機能不全を非難しているという、「それは私のせいではない」という責任回避のをする、いかにもフランスには、ありそうな、その後の騒動の発展の仕方なのでした。


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2021年6月11日金曜日

ガラガラのルーブル美術館なんて今だけ! 一人ぼっちのミロのヴィーナス


一人ぼっちのミロのヴィーナスの後ろ姿


 パリのルーブル美術館といえば、世界最大級の規模を誇るフランスの世界遺産の一つで、パリの中心地にありながら、総面積66,000㎡、収蔵品38万品以上の中から、歴史的美術品35,000点以上が公開されているフランスの国立美術館です。

 コロナ前までは、年間来場者数は、1,000万人を超える大人気スポットでもあります。

 美術館は、展示品はもちろんのこと、その建物自体が、もともとは王宮として使われていたもので、ありきたりの美術館とは一線を画す豪華絢爛さと、荘厳な趣きを放っています。

 もちろん、通常は、入場者のほとんどは、海外からの観光客で、以前は、ルーブル美術館の入り口には、協賛企業として、これは日本の美術館なのかと思うほど、日本の企業の名前もデカデカと掲げられていました。(現在は、以前のような名前の出し方はされていません)

 行けば、必ず感動し、来ようと思えば、いつでも来れる距離に住んでいることを幸せだなどと思うのですが、実際には、ルーブル美術館には、なかなか足を運ぶことはありません。

 一時、娘が小さい頃に美術館通いにハマったことがあり、その時に数回、それ以外は、誰かが日本から来た時に一緒について行ったりするくらいで、20年以上もフランスに住んでいるのに、5〜6回しか行っていないかもしれません。

 それは、あまりの広さに、ちょっと気軽に立ち寄るような規模ではなく、大理石の階段を登ったり降りたり、まあ相当の距離を美術館内を歩くことになり、それなりに時間もかかることになるからです。

 もう一つは、いつでも、もの凄い混雑で、数年前(コロナ前)から完全予約制になったものの、いつ通りかかってもスゴい行列。以前の私の勤務先がルーブルに近かったこともあり、その近辺はよく歩き、ルーブルを外から眺めることも多かったのですが、あの行列には、全くもって、行く気が起こらなかったのです。

 なにしろ、年間1千万人の来場者ということは、閉館日を除いて計算してみても、1日あたり3万人以上の人が訪れるのですから、いくら広い館内とはいえ、人気の展示品などの前には、館内でさえ、行列して見学するという状況に足が遠のいてしまっていたのです。

 そんなわけで、敷居の高いルーブルも、誰かがパリに来たとか、それなりの理由がないとなかなか行く気にもならずに、ず〜っと長い期間を行き過ごしてきたのです。

 最近は、誰かが来たとしても、「ルーブルは、まあ、外からだけでいいわ・・ガラスのピラミッドを見られればいいわ・・」などと言う人も多くて、行かないことも多かったのです。

 今回のパンデミックでルーブル美術館も長いこと閉館状態が続いていましたが、ロックダウンが徐々に解除されて、美術館も再開し、しかし、まだ海外からの観光客は、戻ってきていない今、「ルーブルがこんなに空いている!」という情報を聞きつけ、恐らく、今後、私の生きている間に、こんな絶好のチャンスは二度とないのではないか?と、数年ぶりに重い腰をあげて、ルーブルに行ってきたのです。

 

本当はこんなに並ぶはず・・

 それでも、どうせなら、できるだけ人が溜まっていない朝にしようと出かけたところ、やはり、本当に館内は、ガラガラで、人が集まって喋っていると思えば、美術館で働く人々、外国語(フランス語以外)が聞こえてくることもありません。

  

館内の地図もダウンロードで・・

 そんなに頻繁に来ていたところではないため、もはや、ここは、この程度の人の入り方をする場所だったのではないか?と勘違いしそうになるほど。しかし、モナリザの前など、行列を促すためのテープが張られた通路などは、以前のままになっていて、やっぱり、ここは、本当は、こんなじゃないんだ・・と思いなおすのです。


こんなモナリザの部屋見たことない


 




 とりあえずの有名なモナリザやサモトラケのニケ、ミロのヴィーナスなどを見るだけでも相当歩くのですが、やはり、ほとんど人のいないこれらの展示品の光景は、おそらく、今後、そうはあり得ない(あっても困るけど・・)光景で、やはり感動的でした。

           

サモトラケのニケも一人

 私は、特に美術品に詳しいわけでもないのですが、見たことのある有名な絵画などを見つけながら、ゆっくりとその絵に登場する人々の表情を細かく見てみたり、また、何よりもこの豪華で贅沢な建物内の装飾や天井、空間に身を置く心地よさを味わうことができたのです。

  

 

  

   

ナポレオンの権力が伺い知れる豪華絢爛な部屋


 しかし、ここは、貧乏根性が頭をもたげ、せっかく来たんだから、あれも見ておこう!とか、通り過ぎた後から思い出して、また戻ったりしていると、もう数時間後には、クタクタで、いい加減、あまりに膨大な数の彫刻や絵画などに、もうお腹いっぱいな感じになってきて、到底、1日で見ることなど不可能、とりあえず、今日のところは、この辺にしておこう、また、来よう!と、半日だけで帰ってきたのでした。

    

ガラスのピラミッドの一つの下になる光の入る心地よいマルリーの中庭 


 ルーブルを出ると、美術館前の庭園では、晴天も合間って、ピクニックをする人や犬の散歩をさせる人など、極めて平和な雰囲気。パンデミックを忘れそうになりました。

 しかし、帰りにルーブル近くのリヴォリ通りなどを歩いてみると、観光客目当ての土産物店などは、軒並み閉店したままで、やはり、私が「ルーブルが空いている!」などと浮かれているのも憚られるようなさびれ様に、パリは、このままでいるわけには行かないのだ・・と思い知らされました。

 現在のところ、パリ市内にあんなにあったはずの観光バスなども戻ってはおらず、ルーブルの地下にある団体客を運ぶバスの駐車場などもガラガラ状態でした。

 実際に、年間1,000万人という観光客を呼ぶルーブル美術館は、美術館だけでなく、その近辺の商店や、それにまつわる観光業に多大な影響を及ぼす大変な存在なのです。

 しかし、ルーブルに行くには、健脚でなければならないことをあらためて痛感。家に帰ると足はガクガク。携帯のウォーキング距離を見ると、10.8㎞、上がった階数26階となっていました。


Muséé du Louvre ルーブル美術館

Metro ①⑦Palais Royal Muséé du Louvre 9:00~18:00 火曜日休館 

入場料17€、当日券(空きのある場合)15€ 18歳以下、26歳以下(EU在住)失業者 無料

ルーブル予約サイトはこちらから


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「半年ぶりのレストラン・カフェのテラス席営業 美術館・映画館・劇場再開 ロックダウン解除パート2」

「香取慎吾 ルーブル美術館 パリ個展」

2021年6月10日木曜日

夜間外出23時まで延長 レストラン屋内営業開始 フランスのロックダウン解除 パート3

                                                                                                                         


 すでに、フランスは、5月19日から、レストラン・カフェのテラス席の営業が始まり、映画館も美術館もデパートも再開し、すっかり日常モードになってきた感じではありました。

 その間、感染が再び、増加するのではないかとの心配もありましたが、5月19日の時点から比べてみても、感染は減少し続けていて、コロナウィルスによる死者数も、5月19日には、141人だったのが、現在(6月9日)には、65人、集中治療室の患者数も3,862人から2,326人に、1日の新規感染者数も19,050人から5,557人へと確実に減少を続けています。

 6月9日からは、レストラン・カフェの店内営業も許可され、(とはいえ、本来の収容人数の50%だけという制限はあり)、夜間外出禁止もこれまでの21時から23時までに延長されました。

 今の季節のパリは、21時には、まだ充分に明るく、気温も25℃という気持ちの良い陽気で、むしろ屋内よりもテラス席の方が気持ちが良いような気候ではありますが、必ずしもどこのレストラン・カフェも充分なテラス席を確保できるところばかりではなく、やはり店内営業ができないままでは厳しい店舗も多かったのです。

 もともとパリのレストランやカフェは、小さいテーブルをいくつも並べて、ぎゅうぎゅう詰めの状態で営業している店舗が多く、収容人数の50%といっても、そんなにスペースをとっている感じはありません。

 外出禁止が23時以降にずらされたことで、店舗の営業時間も長くなり、映画館や劇場なども20時からの上映が可能になり、仕事を終えた人々が映画を見て帰るということも可能になったわけです。

 これに加えて、これまで7ヶ月以上も閉鎖状態だったスポーツジムやプールなども営業を再開、どの場面ではマスク着用か? さすがにプールの中では、マスクは無理としても更衣室ではマスク・・プールの中でも、人が集まらないように・・などとなかなか面倒なことになっています。

 そして、屋内イベント、1,000人以上のコンサートや展示会などの催し物に関しては、現在のところ、入場は、ワクチン接種の証明書、あるいは、48時間以内のPCR検査、あるいは抗源検査、免疫を持っているという証明書がある人に限られます。

 今後、ワクチン証明書がないと、いちいち検査を受けたり、なかなか面倒なことになりそうな気がしています。

 外国からの観光客に対しても、国別に入国の条件を設定して、受け入れを開始。日本の他、ヨーロッパ、オーストラリア、韓国、イスラエル、日本、レバノン、ニュージーランド、シンガポールなどからの入国に関しては、ワクチン接種済みの人、72 時間以内に遡って陰性の PCR または抗原検査の陰性結果を提示すれば、入国後も監禁生活を送る必要なく、観光を楽しめることになっています。

 今後、次のステップは、6月30日になりますが、グングンと進んでいく日常復活に頼みの綱は、ひたすらワクチン接種の拡大です。

 現在のところ、確実に減少を続けているため、このままワクチン接種の拡大で、乗り切ってくれるかな?と期待していますが、こればかりは、目に見えないウィルスとの戦い、どうなるのかは、まだわかりません。

 しかしながら、段階的なロックダウンの解除に一年のうちに何回も年明けのようなワクワクした気分を味わえるのも悪くないな・・などと思っています。

 ワクチン接種の拡大のスピードがこの人の動きに間に合わなければ、状態は、再び悪化することも充分に考えられるわけで、今のうちに充分にこの少しずつ自由になってきた生活を思い切り楽しもうとしている人々が街に溢れています。

 さすがに、これまで長いこと我慢を続けてきただけに、楽しそうに戯れる人々の様子には、言いようのない感慨を感じます。

 しかし、ウィルスは、決して消え失せたわけではないことを知らしめるかの如く、カステックス首相が、彼の妻がコロナウィルスに感染したことにより、彼自身は、検査の結果、陰性ではあったものの、濃厚接触者として、一週間の隔離生活に入ることを発表しました。

 彼自身は、感染はしていないものの彼の隔離は、3回目。

 ウィルスは、まだまだそこにいる・・まだ感染の危険は充分にあるということを首相自らが警告を鳴らしつつ、フランスのロックダウン解除の新たなステージが始まったのです。


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