2020年6月12日金曜日

フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスは、デモの国


           Des policiers réunis devant le commissariat du 3e - LyonMag


 いつものことですが、フランスは、ロックダウン解除以来、どうにも騒がしい事ばかりが続いています。ロックダウンという厳戒態勢が徐々に解除されて、当初は、国民も恐る恐るウィルスがまだ残る世界に出ていくことに、どのような体制をとったら良いのかを手探り状態で、子供を学校に通わせる親もごく一部に限られていました。

 しかし、時間が経ち、感染の状況が改善していくにつれ、ロックダウン解除の第2ステージに突入すると、堰を切ったように、アメリカでの人種差別の問題を孕んだ警察の暴力に抗議する動きに触発されて、フランスでも同様の被害にあった問題についての抗議のデモが始まりました。

 それにつれて、同様の被害にあったという人たちが次々と名乗りをあげ始め、訴えを起こすケースが続き、昨日は、14歳の少年をはじめとする4家族が警察の不法逮捕と警察から受けた暴力への訴訟を始め、警察の暴力が公になり、暴力を受けた少年がテレビのインタビューに、ボコボコに殴られて、腫れた顔をさらして答えたことから、事は大きくなりました。

 その少年が暴力を受けた事件は、アメリカのジョージ・フロイドの事件で世間が騒いでいる時期に起こっており、どうにも、理解ができません。ある程度の権限を持った立場である警察官のマイノリティーに対する暴力は、やはり見過ごすことは、できません。

 今の時代、事件が起これば、どこかで誰かが必ず映像を残しており、次々と出てくる映像がすぐにSNSからマスコミに広がります。

 相手が未成年の少年であることもあり、騒ぎが大きくなれば、これでは、またデモが起こるのでは・・と思っていたところに、世間の反応を鎮めるつもりで、内務大臣・クリストフ・カスタナー氏が、記者会見で、警察官の職務権限等に対する見直しを行うと発言したところが、今度は、全国の警察官の反感を買い、全国規模での警察官による抗議運動が始まりました。

 フランス各地の警察で、警察官が並んで、次々に自分の前に手錠を捨てていくというパフォーマンスで自分たちの怒りと正義の訴えを始めました。

 このような芝居じみた?パフォーマンスと抗議は、フランス人のオハコとするところで、最後は、マルセイエーズ(フランス国歌)をみんなで歌いながら、志気を高めるというおきまりのコースです。

 国に抗議しつつも、マルセイエーズを歌うのは、あくまで、フランスは、こうではあってはならないという、それぞれが、それぞれの正義を掲げて、それぞれが、上から目線の愛国心の表れであることも、フランスらしいところです。

 特に、今の時期のデモは、控えてほしいけど、抗議はしつつも、その根底には、揺るがない愛国心があるっていいもんだな・・とも思います。デモは、人権に関わる権利であり、これを禁止する事はできません。フランス人にとって主張する事は、食事をするのと同じくらい当然のことなのです。

 決して、黙ってはいない、いつも誰かが何かを訴え、戦っている、デモの国・フランスが、ロックダウン解除とともに戻りつつあることを日々、感じています。

<関連>
「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

「日本人は、黙って我慢すると思われている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

 

2020年6月11日木曜日

ロックダウンの我が家の収穫 ベランダでの野菜の栽培のコツ

昨年、咲いたきゅうりの花


 我が家は、毎年、春から夏にかけて、日本の野菜をベランダで育てるのが、もう、ここ何年もの毎年の恒例行事のようになっています。初めは、アフリカに住むことになった時、日本のものがどの程度、手に入るかもわからずに、全く知らない異国の地に行く際に、「手に入らないならば、自分で作ればいいじゃない!」と言って、母が持たせてくれた枝豆のタネをアフリカのベランダの一角で育て始めたのが最初でした。

 フランスに引っ越してからも、当初は、パリ郊外の街に住んでいたために、通勤にも一時間近くかかっていましたし、娘もまだ小さくて、通勤と送り迎えと娘の教育とで、いっぱいいっぱいで、とても家庭菜園などをしている時間はありませんでした。

 少しずつ思い出したように、ベランダ菜園を始めたのは、今のアパートに引っ越してきてからでした。日本に行くたびに、野菜のタネを手に入れて、最初から変わらずに植え続けているのは、紫蘇と三つ葉や小ねぎ、ニラなどの薬味類が中心で、これまでに、ナスやシシトウなど、色々なものに挑戦してきました。

 しかし、結局のところ、一番、育てていて、楽しいのは、夏のきゅうりで、育ち始めると、成長が著しく、ジャックと豆の木のようにグングン大きくなって、夏の間の日除けになるくらいベランダをいっぱいに緑が覆ってくれるので、毎年、5月に入った頃に、きゅうりの種まきを始めるのです。

 基本、フランスでは、手に入りにくいものを育てるのが、我が家の鉄則で、フランスにもきゅうりは売っていますが、日本のようにカリッとした歯ざわりの良いきゅうりは、簡単には、手に入らないのです。フランスのきゅうりは、やたらと大きくて、日本のきゅうりのようなカリッとした食感がないのですが、フランス人の主人に言わせれば、日本のきゅうりは、水分が足りない・・などと言います。なるほど、そういう解釈もあるのね・・と思わせられますが、まあ、人の好みはそれぞれです。

 今年は、思わぬことで、3月中旬からロックダウン状態になり、初めは、恐怖と戸惑いで、気持ちの余裕もありませんでしたが、4月に入った頃から、やたらと気候が良くなり、外出せずともこの太陽を使えるではないか!?と、いつもより早くにベランダ菜園を開始したのです。

 種まきは、焦って早すぎる時期に植えると失敗するので、きゅうりを植えるには、まだ早く、手持ちの野菜のタネから、フランスの気候でも早めに植えても大丈夫そうな、水菜、春菊、小かぶ、小松菜などを植え、少ししてから、スナックえんどうを植えました。

 外出ができない中で、思いのほか、天気だけはやたらと良く、野菜は、グングン育って行きました。毎日、たくさんの人が亡くなるニュースばかりを聞く毎日で、狭いベランダで土をほぐしながら、野菜が育ってくれるのを毎日、見ることが、私の気持ちを穏やかにしてくれていました。毎朝、毎晩、野菜の苗に水をやる規則正しい生活もロックダウン中の生活の習慣作りには、とても有効でした。

 いつもは、5月の連休が過ぎた頃に始めるきゅうりの種まきの前に、我が家のベランダは、すでに緑で埋められていました。しかし、毎年のハイライトであるきゅうり栽培を諦めるわけには行かず、今は、これまでの水菜や春菊のスペースは縮小し、きゅうりのスペースを拡大しています。

 それでも、今年は、ついつい色々なタネが育つのが嬉しくて、また、いつもより、たっぷり時間があったので、調子に乗って、枝豆なども育て始めたため、ただでさえ狭い我が家のベランダ(畳一畳半くらい?)には、場所がなくなり、家にあった板を組み合わせて、棚がわりにしたり、ついには、プランターや植木鉢まで足りなくなり、いらなくなったお鍋や花瓶にまでタネを撒いてみました。今のところは、お鍋や花瓶に植えられた枝豆もちゃんと芽を出して、育っています。

 夏、暑くなり、きゅうりも大きくなり始めると、鳩が日除けにやってきて、巣を作ろうとし始めるのが恐怖ですが、風鈴を吊るしたり、アルミホイルを細く切ってぶら下げたり、鳩よけ対策もできるようになりました。

 幸いにも、我が家のベランダは、陽当たりが良く、毎年250本くらいのきゅうりが収穫できます。

 きゅうりのシーズンが終わると、長くツルを撒いたきゅうりの茎や葉っぱが枯れると、結構なゴミになりますが、これも細かくして、夏の間、きゅうりを育ててくれた土をほぐしたものと一緒に大きなバケツの中に少し入れ、家庭の野菜のくずや揚げ物に使った油などを少しずつ入れては、夏の間に使った土をかぶせて、来年用の土を作っていきます。

 翌年、新しい土も買い足しますが、一年の間にすっかり新しい土になった昨年からの土も一緒に使います。昨年からの土に少し肥料を混ぜて、新しい土と混ぜます。私は、野菜の栽培は素人なので、全くの自己流ですが、これで、何年もたくさんの野菜を育てています。

 野菜が育っていくにつれて、土が少しずつ沈んでいくので、そこには、土を足してあげます。あとは、毎日、朝晩、欠かさず水をやるくらいで、太陽と土と水で野菜は育ってくれます。太陽と土と水のチカラは、本当に偉大です。

 ロックダウンのような、特別な環境で、買い物にもなかなか行けない中で、自分で黙々と野菜を育てるのは、人間が自分で食べるものを自分で作る、余計なものを削ぎ落としたシンプルな生活の一部ができていることに、妙な落ち着きと、静かな気持ちと、満足感があるのでした。

 ロックダウンが解除になっても、これから夏にかけて、ますます青々としてくるベランダを楽しみたいと思っています。

 ベランダやお庭のある方、野菜を育てるのは、楽しいですよ!


<関連記事>「コロナウィルス・ロックダウン生活と海外生活」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_19.html

 

 

2020年6月10日水曜日

ロックダウン解除・ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ エッフェル塔も再開決定




 フランスは、6月2日から、ロックダウン解除の第二ステージが始まって、その日に2万人規模のデモが起こり、それからは、一ヶ所に2万人とまではいかずとも、毎日のようにデモが続いています。

 それでも、現在のところは、デモの影響で、感染が拡大した兆候は、現れてはおらず、テレビのニュースでも、これまでのように、コロナウィルスの感染による死亡者数や重症患者数がトップで扱われることは、なくなりました。

 ここのところ、コロナウィルスの影がどんどん薄れていくことを感じます。(実際には、昨日の一日の死者数は87名(6月9日)という状況なのですが・・)

 これまで、閉鎖されていたメトロの駅も新たに31ヶ所が再開することになり、6月25日午前10時には、第二次世界大戦以来、最長期間(3ヶ月以上)閉鎖されていたエッフェル塔も、一部ではあり、マスク着用義務(11歳以上)という条件付きではありますが、再開されることになりました。

 私にとっては、エッフェル塔は、家の窓から、夜になると、ライトアップされた姿を眺めるだけなので、ロックダウン中も変わらず、キラキラ輝いていたエッフェル塔で、再開されたとて、あまり感慨は、ありませんが、やはり、フランス・パリのシンボル的な存在であるエッフェル塔の再開は、フランスのロックダウン解除の象徴的な出来事の一つであるに違いありません。

 それにしても、今のところは、解除の度に、条件の一つに加えられるマスク着用の義務化ですが、もともとマスク嫌いのフランス人にとって、今後、マスクは、今まで以上に、ますますコロナウィルス下の体験を連想させる、忌み嫌われる存在になりそうです。

 現在のところは、一応、タテマエのように掲げられている10名以上の集会の禁止の中で大々的に行われているデモでさえ、すでにマスクをしていない人も多く、フランスでは、3万人近い人が亡くなっているというのに、全く恐れることなく、どれだけ、マスクが嫌いなんだ!と思います。

 買い物の際に店内で義務付けられているマスクのために、ショッピングの気がそがれると、売り上げの減少も、マスクが影響しているとさえ言われています。

 現在のところ、パリのレストラン・カフェでは、テラスのみの営業しか許可されていないことも、ここ数日の悪天候で、業を煮やし始めているレストランの経営者から、6月22日を待たずして、再開させて欲しいという声が上がり始めています。もちろん、飲食を伴うレストランでは、マスクは、店員以外は、誰もしていません。

 あくまで、表向きは、慎重に・・という態度をとっている政府ですが、次回のロックダウン解除のステージは、6月22日に発表されることが決まっていますが、その発表を待たずして、次なるステージが7月10日であるということが、発表されました。これは、いよいよバカンスシーズン突入と、7月14日のパリ祭(フランス革命記念日)でのコロナ払拭モードへの切り替えの大きな区切り、緊急事態宣言解除では?と考えられています。

 ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ、このまま、本当にマスクを取ることができるのか? 日常が戻ってくることは、嬉しい反面、私にとっては、今のところは、マスクを取りたい気持ちよりも、マスクをしない恐怖、皆がマスクをしないで感染爆発をしたトラウマの方が大きいのです。


<関連>「私はウィルスではない フランスでのアジア人差別」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_31.html

 









 

2020年6月9日火曜日

マスクのポイ捨ては、罰金135ユーロ でも、フランス人は、ルールは守らない


Jeter son masque par terre pourrait bientôt coûter très cher


 フランスでは、6月7日、環境担当国務長官が、マスクのポイ捨て(実際には、マスクだけでなく、タバコやゴミも含まれる)に対する罰金を現行の68ユーロから、135ユーロに引き上げることを発表しました。

 しかし、おそらく、現行犯ではなければ、捕らえられないマスクのポイ捨てのための取り締まりが行われるとは、考えづらく、実際には、何の効力もないと思っています。そんなルールなど、「そんなの関係ない!」とばかりに無視されることでしょう。

 テレビの報道などでも、道路に捨てられたマスクを問題視する報道が取り上げられていましたが、果たして、実際に街を歩いてみると、やはり、マスクが捨てられているのを度々、見かけます。

 フランス人が日本へ行くと、街中のゴミ箱が少ないのに驚くと言いますが、実際には、ゴミ箱の少ない日本の方が、街にゴミが少なく、清潔なのも事実です。

 先日、日本では、政治家が、欧米の国に対して、「オタクの国とは、民度が違うと言ってやるとみんな絶句する」という発言が炎上していましたが、彼の物の言い方や、そのことを公的な場所で発言することは、何かと物議を醸すのはわかりますが、「民度が違う」という、そのこと自体は、事実です。

 フランスの学校では、道徳教育というものもなく、道徳心やモラルというものの概念がとても薄いのです。

 何事にも罰金を課さなければ、徹底しないのは、今回のコロナウィルスの完全なロックダウン状態にして、不要の外出を取り締まり、罰金を課さなければ、国民を治められなかったことからも、明らかです。

 それは、日頃からの生活のあらゆるところで、見られることで、海外生活をしたことのある人には、何かと心当たりがあることだと思います。ルールを守るとか、清潔を保つとか、周囲の迷惑を考えるとか、郵便物がなくならないとか・・(挙げればキリがありませんが・・)日本では、あたりまえのことがあたりまえでないことに、海外に出たことがある人ならば、誰もが最初は、困惑した経験があると思います。

 それでも、普通の日常ならば、一つ一つの事柄を裏返しにして、自由な「文化」という言葉に置き換えることができる点もありますが、それは、自分の行動を正当化する詭弁にすぎません。

 しかし、今回のような有事に、それは、通用しません。

 もはや、フランスは、マスクのポイ捨てどころか、マスクをしない人が大多数で、皆がマスクをしているのは、取り締まりが厳重で、罰金を課される公共交通機関を利用する際くらいです。

 そして、何より怖いのは、人々が、もはや、警察など恐れていないことです。もともと、フランスでは、よほどのことをしない限り、刑務所行きなんてことはないのです。

 この時期のデモでさえ、警察が抑えることができません。今は、特にアメリカで起こったジョージ・フロイドの事件で、人種差別問題から、なぜか、問題は、警察の暴力問題に置き換えられつつあり、(フランスには、アメリカのような人種差別は存在しない、これは、警察の暴力問題であるとフランスのマスコミは人種差別問題を政府が認めない)、ますます、警察が国民を取り締まることに慎重になっています。

 小さい頃から、日本とフランスの両方を見て育っている娘は、「あたりまえのことがなぜできないのか?」「でも、あたりまえのことができないのがフランス」と二つの国を冷静に見ています。

<関連>
「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_6.html

「パリでは、日本ではあり得ないことがたくさん起こる・・」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_11.html



 

 




2020年6月8日月曜日

パンデミックによる留学・スタージュ・インターンシップのキャンセル




 6月のフランスは、年度末に当たる月で、娘の通っている学校などは、5月末には、授業は、終わってしまっていました。というのも、本当ならば、学校のプログラムにより、6月1日より、スタージュ(日本でいうインターンシップのようなもので、スタージュ先は、海外、国内ともに、個人個人で選択します)で、イギリスの大学の研究室に行くことになっており、それが、今回のコロナウィルスのパンデミックの影響で、イギリスには、行けなくなってしまったのです。

 彼女のクラスでは、フランス国内だけでなく、海外でのスタージュの予定をしていた人も多く、半分以上の人のスタージュの予定がキャンセルになってしまい、今も必死にスタージュ先を探し続けている人が大勢おり、7月の半ばまでにスタージュが決まらない場合は、それに変わるプログラムを学校側が用意して、夏のスタージュに行くはずの期間は、そのプログラムを消化することによって、一応、その期間をスタージュをしたと同じような換算をすることになっているそうです。

 そもそも、スタージュどころか、国内・海外共に、失業者に溢れているわけですから、普段、スタージュを受け入れている会社等にとっても、それどころではないのです。

 彼女の通っているエコールは理系のエンジニア養成のエコールで、エンジニアのライセンスを取得するには、企業や大学の研究室、研究機関等でのスタージュの経験がトータルで10ヶ月間、必要になっています。

 娘は、昨年、すでに、フランスの大手の製薬会社でのスタージュを2ヶ月間、経験したものの、彼女にとっても、残り8ヶ月間のスタージュの義務が残っているわけです。幸いにも、彼女の行くはずだったロンドンにある大学の研究室は、リモートワークを受け入れてくださり、彼女は、今のところ、パリの自宅で、ロンドンの大学の研究室の仕事をさせていただいており、3ヶ月間のスタージュは、どうやら消化できそうです。

 彼女のイギリスでのスタージュが決まったのは、昨年のクリスマス、その時点で、スタージュの始まる日と終わる日はわかっていたので、早めに取った方がユーロスターのチケットも安いから・・と早々に往復のチケットを予約していたのですが、それもキャンセルせざるを得なくなりました。当然、今回のようなキャンセルの場合は、全額返金だとばかり思っていたのに、クーポンでの返金という拍子抜け。別に予約していた宿泊施設は、全額返金されるとのことですが、未だ、返金されていません。

 とはいえ、何より、リモートワークとはいえ、スタージュが全くのキャンセルにならなくて、幸いでした。彼女のスタージュの予定は、6月から8月末までの3ヶ月間の予定なので、今後、パンデミックの状況が改善されれば、途中から、実際にロンドンへ行ける可能性もまだゼロではないのです。

 しかし、考えてみれば、この時期に留学などの予定にしていた人も大勢いるわけで、逆にフランスに留学に来ていた学生の多くも母国に帰国してしまっています。パンデミックにより、多くの人の人生が変わってしまいました。

 今年、就活をしている人にとっても、ここ何年間かで最も厳しい年になってしまったことでしょう。この不況がいつまで続くのかは、わかりませんが、娘も本来ならば、今の学校卒業、就職まで、あと一年です。今の不況が年単位で続くことは、もはや明らかで、彼女は、今の学校を卒業してから、さらに次の学校に進んで、就職の時期をずらした方が良いかもしれない・・と、複数の道を考えているようです。

 人生の岐路に、選択肢がある場合とない場合とがありますが、今は、多くの人が人生の岐路に立たされていることを、未だ、学生である娘を見ていても、しみじみと考えさせられます。思い描いていた人生とは、違う方向に軌道修正しなくてはならない状況でも、長い人生で見れば、それが、結果としては、良かったと思えるように、娘には、たくましく、この状況を乗り切って行って欲しいと思っています。


<関連>「学校選びは人生の岐路・娘の通った学校は、なかなか厳しい学校だった」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_54.html

 

2020年6月7日日曜日

ロックダウン解除・抑えきれないデモとレストラン・カフェの営業制限の矛盾


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  6月2日にパリで起こった、アメリカのジョージフロイドという黒人男性が警察の暴力によって死亡した事件から派生したデモは、未だ、続いていて、デモは禁止されているにも関わらず、今週末にも再び、パリ、マルセイユ、ボルドーなどを中心に、再び、多くの人が集まりました。

 パリでは、コンコルド広場から、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルス公園などに約5500人、マルセイユでは、約3500人、ボルドーでは、約2500人が集まり、人種差別と警察の暴力に反対して集まりました。

 もはや、このコロナウィルス感染のおさまりきっていない状態でのデモ、最初は、あまりにたくさんの人出を見たときには、開いた口が塞がらないほど仰天しましたが、もはや、1000人単位での集まりを、いつの間にか、前回のデモが20000人(パリだけで)という数字と比べたら、まだマシ・・と思うようになってきて、だんだんと、起こっている事態について、感覚が麻痺してきてしまっているような気がします。(週末のデモの人出は、フランス全土で23300人と発表されています)

 コロナウィルスによる被害についても、4月3日あたりから、一日の死者数(感染者数ではなく、死者数です)が1000人を超える異常な日が半月以上続き、一日の死者数が100人を切り始めた最近では、まるで緊迫感が違ってきてしまい、昨日(6月6日)の死者数が31人だったというニュースをみて、少しホッとしてしまっている自分に気付いてハッとさせられます。

 慣れというものは、怖いもので、考えてみれば、海外生活を最初に始めたロンドンで、(ずいぶん昔の話ですが・・)度々、起こるメトロなどでの爆弾騒ぎなども、最初は、戦々恐々としていたのに、周りがあまりにあっさりとしているのに驚いていましたが、次第に自分も驚かなくなってきて、今や、フランスでは、日常のようなデモや暴動のような騒ぎも、日常が戻ってきた・・ように感じるのですから、平和ボケならぬ、危機ボケ?の波に飲み込まれてしまいそうな自分に気付いて、時々、ハッとさせられます。

 とはいえ、今回は、目に見えぬ、得体の知れないコロナウィルスに、やはり気を緩ませるわけには、いきません。

 10人以上の集会が禁止とか、レストランは、店内の営業が禁止だったりして、営業がテラスだけに限られている中、テラスをかなり無理に拡張して、歩道や道路さえも通行止にまでして、なんとか営業を再開している人たち、横断歩道の脇に置かれたテラス席でも、意地でも(そんな無理矢理なテラスでも)カフェのテラスの場所を死守している人たちは、このデモの人出をどう感じているのでしょうか? この人出を回避せずに、レストランの営業に制限をかけられていることに、憤りを感じているに違いありません。

距離を取るために信号の先にテラス席を作っているビストロ


 確かに、人種差別は、フランスに根深く存在します。この問題に抗議の声をあげるのも理解はできます。しかし、今のタイミングは、いけない。フランスのマスコミも、このコロナの渦中のデモの是非ではなく、人種差別問題自体を取り上げています。多くの若者がこの問題に立ち上がって抗議をするということを讃える声も多く挙がっています。

 しかし、今はまだ、多くの人が感染を控えるために仕事もできずにいるのです。

 カフェでの和やかな時間を大切にするのも、デモなどで自己主張するのも、どちらもフランスの文化の一部で、通常ならば、どちらもある程度のバランスを保って、なんとか共存しているフランスですが、現在は、どうにもそのバランスが歪(いびつ)な状態です。

<関連>「レイシスト・差別的な言動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_56.html

 

2020年6月6日土曜日

ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトでの人気商品




 ロックダウン中に、この際とばかりに、家の中を片付けた人も少なくないと思います。類に漏れず、私も少々、家の不用品を片付け、もう、この際、いらないものは、処分しようと一時、ストップしていたフランス版、メルカリのようなサイトを一つ増やして、出品してきました。サイトによって、得意分野が違うので、二つのサイトにそれぞれ違うタイプのものを出品しています。

 日本のメルカリのサイトは、日本の緊急事態宣言の最中も取引が続いていて、手に入りにくくなっていたマスクや食料品の一部などを買い占めて、高値で売買するというようなことも起こっていたようですが、フランス版メルカリサイトでは、出品は、できるものの、ロックダウン中の取引は、一切、中止されていました。

 たとえ、商品?が売れても、郵送するために出かけたり、手渡しに行ったりすることも不可能でしたし、衛生的にも問題とされていたのだと思います。タダでさえ、外出できずにネットで買い物をする人が増えた状態に、追い討ちをかけるような配送業者への負担も考えられたのだと思います。ロックダウンと同時に、すぐに「取引停止」のお知らせが届きました。

 ロックダウンが解除されて、取引も再開されましたが、ここのところ、ロックダウン中に出品しておいたものが、少しずつ売れ始めて、少しだけですが、思わぬ、お小遣い稼ぎができています。

 買ったまま、全く袖を通していなかった洋服や、娘が子供の頃にほんの少ししか使わなかったゲーム類、やたらと可愛すぎる日本の文房具類や、プリンターが壊れて、違う機種に買い換えたために使えなくなった買い置きしてあったプリンターのインク、主人が買い集めた訳の分からない世界各国の民芸品のようなものなどなど、我が家の中には、いらないものが山ほどあるのです。

 何かを買い集めるということは、楽しいことでもありますが、後になってみると、なんで、こんなものを??と思うことも少なくありません。日本の実家を数年に渡り、片付けている身としては、今や、何かを集めるとか、そういったことが、いかに虚しいことかと感じてしまうのです。

 そういう私もフランスに来て以来、かなりの香水を集めており、気に入った香水を見つけては、買っていた時期があり、それは、いつの間にか、おそらく、私の一生に使い切れないほどになっていました。

 娘は、あまり香水は、好きではなく、彼女はいらないと言うし、整理してみれば、同じものがいくつもあったり、もう飽きてしまった香りのものも多く、思い切って、サイトに少しずつ載せてみたところが、さすがの香水好きのフランス人、他のものに比べて反応が違います。

 最初は、これまでロックダウンで買い物ができなかったために、とにかく買い物をしたい人がいるんだな・・ぐらいに思っていましたが、今週末は、フランスでは、母の日ということもあって、「母の日のプレゼントにしたいから、急いで送ってください」などと、メッセージがついていて、ここのところ、頻繁に郵便局通いです。

 母の日に香水を送る・・しかも、出来るだけ安い値段で探す(フランスの場合、値切り交渉も半端ないです)・・なんか、いかにもフランスな感じです。しかし、今さらながら、やっぱり、フランス人って香水、好きなんだなぁとつくづく思います。

 ところが、我が家の近くの郵便局の業務の一部を請け負ってくれていたお店がコロナの煽りを受けて、なんと今週末で閉店。なんとも、残念なことです。こんなところにもコロナウィルスが影を落としていることを、これから、色々な場面に遭遇しながら、実感していくのだと感じています。

<関連>
「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見るやたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_60.html

「香水を楽しむフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_87.html