2020年1月31日金曜日

私はウィルスではない フランスでのアジア人差別

 世界中を騒がせている、新型コロナウィルスの広がりにより、ヨーロッパで、最初に感染者が確認されたフランスでは、中国人だけには、留まらずに、アジア系住民に対する人種差別が問題となっています。  アジア系の人間だとわかると、すーっと周囲の人が遠ざかったり、酷いものでは、罵声を浴びせられ、メトロから降ろされたりするケースもあると言います。  街中で、遠巻きに、「コロナウィルスが来た!」と騒がれたりしたという人もいます。  もちろん、まだ、正体も定かではない未知の病気に感染したくないという恐怖が引き金にはなっていますが、私は、もともと、フランス人の中には、アジア系の人間に対する差別意...

2020年1月30日木曜日

パリでのクレーマーがヤバい奴になるまで

 彼女は、とても、几帳面な人で、コツコツと地味な努力を重ねる人でした。  最初から、あまり、明るい印象は、なかったのですが、パリでの生活も私よりも長く、時たま、娘に手作りのアクセサリーを作ってくれたり、親切で、面倒見が良いところもありましたが、私よりもかなり年長でもあり、さほど親しくなることもなく、顔を合わせれば、時折、話をする程度の関係以上に踏み込むことはありませんでした。  彼女のご主人は、日本人のシェフで、フランスでレストランをやっていたらしいのですが、日本でお店をオープンすることになり、ご主人は、日本へ帰国、お子さんたちの希望で、彼女と子供たちは、パリに残りました。  と...

2020年1月29日水曜日

実践よりも、まず、理論のフランスの教育

 私が日本の小学生だった、はるか昔でさえ、区立の小学校でも、学校の音楽室には、一人一台のオルガンがあり、その他の楽器も色々ありました。  音楽の授業では、楽器を分担して合奏をしたり、皆で歌を歌ったり、文字通り、音を楽しむ授業で、私は、音楽の授業は、半分、遊びのような楽しいものでした。  それに比べると、フランスの学校の音楽の授業では、オルガンはおろか、楽器を演奏する機会は、ほとんどなく、授業は、いわゆるクラッシック曲の歴史や作曲家、その時代背景に関する、いわゆるアナリゼと言われる、理論的なことを学ぶ授業が主で、娘は、音楽の授業は、まるで、楽しくないと言っていました。  専門的...

2020年1月28日火曜日

決死のお迎えで、ある日、気付いたこと・・フランス人は、走らない

 フランスでは、小学生の間は、送り迎えをするのが普通です。小学校低学年のお迎えは、必須ですが、高学年になれば、保護者が承諾している場合は、一人で通学できることになってはいます。しかし、実際には、ほとんどの人は、小学校卒業までは、送り迎えをしています。  日本ならば、子供が小学校に上がった時点で、親は一段階、子供の送り迎えがいらなくなって、手が離れる感があると思います。  私立の小学校に通う小学生が、制服を着て、ランドセルを背負って、電車やバスに一人で乗っている姿は、今、思うに、日本独特の光景なのではないかと思います。  日本の感覚であれば、娘の小学校は、充分に、彼女が一人で通学できる距離ではあったのですが、やはり、皆が送り迎えをするのは、それだけの理由があるのだと思い、もし、何か起こってしまったら、後悔してもしきれないと思い、小学校卒業までは、送り迎えを続けたのでした。  朝は、主人が娘を送って行ってくれましたが、お迎えは、私がしていました。  仕事が終わって、お迎えに行くのは、本当に決死の覚悟で、業務終了後、お迎えの時間までは、ギリギリで、少しでも仕事が立て込んで、会社を出るのが遅れてしまったり、メトロがテクニカルプロブレム・・とかで、途中で止まってしまうことも少なくありません。その場合は、スゴい勢いで、走ることになるのです。  ものすごい勢いで駅を駆け抜け、エスカレーターを駆け上り、エスカレーターの途中で、転んで、無様な格好のままで、上に辿り着いたこともありました。  自分たちは、時間にルーズなくせに、学校のお迎えの時間だけは、やたらときっちりで、遅れてゼイゼイしながら行くと、怖い顔をした、子供の受け渡しをしている先生に、「C'est...

2020年1月27日月曜日

エステルのパパの浮気

 「エステルのパパ、帰ってきたんだって!!」と娘から聞いて、私もびっくりしました。エステルは、娘の高校までの同級生の女の子で、フランス人にしては、おっとりとした、わりと裕福な家のお嬢さんなのです。  フランス人の家庭に多い、三人兄弟の長女で、若い頃は、モデルさんをしていたというスタイル抜群で美しいママは、今は、バリバリに、フランスの大手企業で管理職についています。才色兼備のパーフェクトウーマンで、どちらかというと、パパの方が冴えない感じでした。  エステルの家では、小さい子供のベビーシッターを雇っていましたが、お料理は、パパがやるの・・と言っていたし、フットワーク軽く、子供の...

2020年1月26日日曜日

フランスの学校の飛び級と落第

 娘が小学生の頃、主人は、度々、娘に飛び級をさせたいと言い出して、その度に私は、反対して主人を止めました。  飛び級というのは、成績が優秀で、一般的に定められている学年を飛び越して進級することで、フランスでは、学校と相談して、IQテストの結果や日常の学校の成績などを参考にして、希望する生徒は、飛び級をすることができるようになっています。  現に、娘の友人で、飛び級をしてきた子がクラスに何人かいましたので、彼らは、実際には、娘より一つ年下だったわけです。  また、希望者には、飛び級をさせてくれると同時に、落第の方も容赦なく、成績が芳しくない場合は、同じ学年を再びやることになります。  実際に、娘の口から、あの子は、ソテ(sauter...

2020年1月25日土曜日

娘の日本語教育と赤ちゃん言葉

 娘は、アフリカで産まれて、三ヶ月ほどで、主人の転勤で、フランスに引っ越して来て以来、ずっと、フランスで育ってきました。  私にとっても、初めての子育てで、赤ちゃんというものを触ったこともなかった私にとっては、手探りの子育てで、抱っこして、ミルクをあげるだけでも、今になって写真を見ると、私が娘にミルクを飲ませている写真は、かなり、どことなく、ぎこちなく、ミルクを飲む娘の方が苦労したのではないかと思われるような有様でした。  産まれたばかりの頃は、早く、首が座ってくれれば・・、座れるようになってくれれば・・、と、成長を見守っていましたが、ハイハイを始めたと思ったら、後ろにしか進ま...

2020年1月24日金曜日

フランス人の主人が突然、親友と絶交した理由

 主人には、エディという、とても親しくしている友人がいました。  主人が前の奥さんと離婚する前に住んでいたアパートの近所に住んでいたのですが、私が、フランスにやってきた時も、主人のお兄さん夫婦の次に、彼が紹介してくれたフランス人の友人でした。  彼が、外国に転勤になって、数カ国を渡り歩いて、フランスに戻ってきて、家が遠くなっても、彼らの関係は続いており、私も彼と一緒に娘を連れて、エディの家に招かれて、食事をしたりしたこともありました。  エディは、ごくごく一般的な、会社勤めをする中流階級のフランス人で、彼には、少し年上の幼稚園の先生をしている奥さんと、当時、中学生くらいだった...

2020年1月23日木曜日

やっぱりフランス人は、肉食だなと思わされるパリのスーパーの魚売場

 買い物に行くと、フランス人は、肉食人種だなと、つくづく思います。  我が家の近所には、マルシェがないので、買い物は、どうしても、スーパーマーケット頼りになってしまいます。  スーパーマーケットは、比較的、値段も安定していて、買い物もしやすいのですが、肉か魚かと言えば、圧倒的に肉になってしまいます。  なぜなら、ろくなお魚が売っていないからです。(マルシェに行けば、そこそこのものは、手に入ります。)  しかも、パリのスーパーのお魚コーナーには、季節感がなく、クリスマスの前になると、生牡蠣の箱が積み上げられて、売られていたり、オマールやエビや貝が盛り合わせになったものなどが売られてはいますが、それ以外は、ほぼ、一年を通して、ほぼ、同じものが並んでいます。  多分、彼らが一番、好きなのは、サーモンだと思いますが、サーモン以外だと、スズキ、ヒラメ、鯖、イワシ、茹でてあるエビ、ホタテ貝、ゴムのような肉厚のイカ、黒ずみかけたマグロの切り身、時にアンコウなどが、細かく砕かれた氷の上に、水と光を浴びて並べられています。  魚が恋しい私としては、ろくなものがないと知りながらも、恨みがましく、スーパーに買い物に行けば、一応は、魚売り場を一回りして、間違って、新鮮で、美味しそうな魚がおかれてはいないかと、一巡してみるのですが、いつも結果は、虚しく、やっぱりないな・・と、諦めて、お肉のコーナーに戻るのです。  日本のようにお刺身で生で食べるという習慣がなく、必ず火を通し、バターでソテーしたり、ムニエルにしたり、フランス料理のソースをかけて食べるので、新鮮さは、求められていないのかもしれませんが、日本なら、到底、売り物にはならないだろう代物が、しかも、結構な値段で売られているのです。  それでも、何回か、買ったことはありますが、ことごとく裏切られ、最悪だったのは、大きな舌平目を奮発して買ってムニエルにしたら、牛タンのような味がしたことがあり、それ以来、ほとんど、このスーパーで、魚は買わなくなりました。  我が家のお魚は、冷凍食品メーカーのPICARD(ピカール)頼り、ピカールの加工していないフィレになったお魚が唯一の頼みの綱です。特に、うちでは、鯖は常備しており、これは、なかなかの安定したクオリティーを保って、提供してくれています。  最初に、多分、フランス人が一番、好きなのは、サーモンだと書きましたが、おそらく、フランス人が一番食べているお魚は、poisson...

2020年1月22日水曜日

フランス人のダンナはよく働く

 フランス人の男性は、家庭の中で、よく働くな・・と、よく思います。  家庭内で、女性が強いのか? フランス人のダンナさんは、奥さんの言うことをよく聞くな・・とも思います。これは、女性も、あたりまえにかなりの確率で、仕事を持っていることもあると思いますが、とにかく、旦那のフットワークが軽いのです。  家事や、育児、家庭内のことで、フランス人の家庭では、おそらく、家事や育児をダンナさんが手伝ってくれているという感覚は、ないと思います。  お互いがやるべきことをやっている・・そう言う感覚なのだと思います。  日本には、専業主婦も多いので、女性が家事をするのが当たり前のような風...

2020年1月21日火曜日

メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見る、やたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人

 あらためて、家の中を整理すると、いらないものは、数多くあり、買ったは、いいけど、使っていないもの、頂いたけど、使っていないもの、なぜかわからないけど、家にあるけど、使っていないもの・・に溢れていて、実際に、今、生活をするのに使っているものなど、ごくごくわずかなのに気がつくと唖然とさせられます。  現在、主のいなくなってしまった日本の実家の片付け中、パリのアパートでも断捨離中の私は、コンマリじゃないけど、もう、古くて、どうしようもないものは、「ごめんなさい、ごくろうさまでした。」と捨てさせていただき、それ以外は、少しでも有効に、と思い、知り合いに引き取ってもらったり、寄付したり、...

2020年1月20日月曜日

「さすがフランス!」の意味が逆転する日 日本人は、なぜフランスを美化するのか?

 私が最初にパリに来たのは、単なる観光旅行で、私の好きな井上靖の小説に度々出てくる、パリのチュイルリー公園や、ロダン美術館などを訪れて、初めて見るパリの街並みに感激し、どこを撮っても絵になると、写真を撮りまくり、うっとりとパリの街並みを眺めながら、もう、二度と来ることはないんだな〜と思いながら、うるうるしたりしたのを一緒に来ていた友人に笑われた記憶があります。  だからと言って、私は、特に、フランスに憧れていたわけでもなく、ましてや、住みたいと思ったことは一度もなく、それどころか、フランス語だけは、絶対に嫌だ!と思っていたくらいなので、逆に、まさか、フランスに住むことになろうなど...

2020年1月19日日曜日

フランス人にとっての夫婦の寝室

 主人は、大変な暑がりで、冬でも寝室の窓を開けて寝ようとするので、私は、寒くて寒くて、「じゃあ、違う部屋で寝るから・・」と、言ったことがありました。  すると、主人は、まるで、私が離婚を申し出たかのごとく、「違う部屋で寝ることは、ありえない!」と言って、血相を変えて、それを拒否したのでした。  私は、同じ部屋で寝るかどうかということよりも、同じ部屋で寝るということにそこまで、こだわっていた主人にビックリしました。  私たちは、日頃、別段、仲が悪いわけではありませんが、かといって、そんなにラブラブなわけでも、ベタベタしているわけでもなく、まあ、普通の感じの夫婦の関係だと思ってい...

2020年1月18日土曜日

香水を楽しむフランス人

 我が家は、私だけでなく、弟も海外生活が長く、アメリカに長いこと駐在した後、今は、シンガポールに駐在しています。そんな海外にも慣れている彼が、初めてパリに来てくれた時、パリは、街中がDUTY FREE SHOP の匂い、つまり、香水の匂いに溢れているというのです。  私は、自分自身も香水(といっても、parfum(香水)ではなく、オードトワレか、せいぜい、オードパルファムですが、)を使うことが習慣になっているので、あまり、街中の香水の匂いが気になることは、ありません。  しかし、日本に比べれば、きっと香水を使っている人は、多いと思いますし、特に、男性の香水の使用率は、日本と比べたら、かなり高いのではないかと思います。  例えば、何か、プレゼントをするときに、日本人なら、香水は、好みもあるし、使わない人も多いので、避けることが多いと思うのですが、実際のところ、好みがあるのは、香水だけに限ったことではなく、単に、あまり使う習慣がないからだと思うのです。  好みがよくわからない人にプレゼントするなら、比較的、万人向けの、軽い香りのものを選べば良いわけで、フランス人に香水をプレゼントして、嫌な顔をされたことは、ありません。嫌な顔どころか、大仰に喜んでもらえます。  また、香水のフラコン(瓶)のデザインも楽しめて、コレクションをしている人などもいて、蚤の市などでは、空のフラコンでさえ、売られています。  実際に、香水メーカーも一流どころは、そのデザインにも、かなり力を入れています。  ニナリッチの...

2020年1月17日金曜日

フランス人は、意外とエシレバターを知らない

エシレバターの写真があるかと思ったら、なかったので、家にあった使いかけのエシレバターの写真で失礼!  日本に帰国する際に、一番、「買ってきて!」と頼まれるのが、エシレバターです。 帰国の際は、近所のMonoprix(モノプリ・スーパーマーケット)で、山ほど、エシレバターを買うので、レジのお兄さんに、「バター、好きなんですね・・」と唖然とされるほどです。  日本でのエシレバターの値段は、驚異的に高く、フランスで買う10倍近い値段です。 今どき、フランスと日本の間で、これだけ値段の違いがあるものも、そうそうありません。フランスの乳製品は、本当に日本で高く売られているので、一体、誰が買っているのか、一度、見てみたいと、いつも思います。  エシレバターを使ったクロワッサン、エシレのクリームを使ったソフトクリームなど、「ECHIRE」「エシレ」という名前がつくと、たちまち、行列ができるほど、日本では、確固たるブランドを築いています。  たしかに、エシレバターは、美味しいですが、それほど、フランスでも有名かというと、意外にも、それほどでもないのです。  フランスでは、1秒に、14.3...

2020年1月16日木曜日

フランス人は辛いもの、熱いもの、かたいものが嫌い

 私は、およそ、胃に悪そうなものが好きです。  熱いものは、アツアツで、冷たいものは、とことん冷たく、(例えば、グラスまで凍らせて、キンキンに冷えたビールを注いで飲む)そして、辛いものが好きです。  主人に関しては、その真逆です。  そして、それは、フランス人全般に共通する味覚の特徴のようです。  熱いものは、出来立てのアツアツで食べたい私ですが、主人は、熱いものが嫌い・・というより、苦手、つまり、ねこ舌です。  せっかく、出来立てのものを温かいうちにと思っても、わざわざ冷ましてから食べます。冷ましながら、待ちきれずに、「何とか、熱くしないで、お料理ができないのかな?」などと、言います。  最近は、パリにもラーメン屋さんがたくさんでき、オペラ近辺にある日本食屋さんが並ぶ、Rue...

2020年1月15日水曜日

フランスのソルド・バーゲン

 フランスでは、Soldes ソルド(バーゲン)の時期が決められていて、   2020年の冬のソルドは、1月8日(水)〜2月4日(火)まで、                 夏のソルドは、6月24日(水)〜7月21日(火)まで、となっています。  なぜか、毎年、水曜日に始まって、火曜日に終わります。  昨年のソルドは、黄色いベスト運動が加熱する中、デパートなども土曜日なのに、閉店したり、今年も年金改革反対のストライキやデモが現在進行形の中でのソルドになっています。  ですから、きっと、一年のうちのかなりの売り上げを占めるソルドがこう毎年、ストライキやデモに邪魔されては、経済的にも大打撃を受けていることと思います。  特に欲しいものがある場合は、1〜2日前に下見をして、品物と値段をチェックして、狙いを定めておきます。お店によっては、前日の夕方には、ソルドの札をつけ始めるので、前もって、はっきりした値段をチェックできます。  しかし、酷いお店だと、例えば、40%offなどとなっていても、定価をあげて、割引していて、実際には、それほど安くはなっていなかったりするので、注意が必要です。  また、同じ商品をネットで検索すると、意外とネット上の方が安かったりもするので、試着、あるいは、商品を見るだけはお店で見て、ネットで買う方が良いこともあります。  全部で4週間のソルドですが、ソルドの初日が当然、品物が揃っていますが、最初の土日には、お客さんの出足を見込んで、大抵のお店は、土日のために商品を取っておいて、追加しますから、最初の土日も狙い目です。  ソルドの2週目からは、2eme...

2020年1月14日火曜日

娘の真夏の成人式

 フランスは、18歳で成人を迎えます。  娘が18歳になった時は、6月生まれの彼女は、ちょうど、バカロレア(高校卒業認定試験)やプレパー(グランドエコールの準備のための勉強をする学校)の試験の真っ最中で、成人のお祝いどころではありませんでした。また、フランスでは、全国的に「成人の日」なるものもありません。  滅多に試験に動じることもない娘も、さすがにこの時ばかりは、緊張気味で、少なからず、ナーバスになっていて、とても、お誕生日のお祝いなどというムードではなかったのです。  しかし、私としては、少なからず、フランスにおいては、成人した、いうことで、ヤレヤレこれで、一応、法律的に...

2020年1月13日月曜日

食いしん坊の家系

 私の父は、とても、わがままな人でしたが、特に食べ物に関しては、うるさいことこの上なく、良く言えば、亭主関白というか、いわゆる昭和の時代の父親で、お膳をひっくり返したりすることは、なかったものの、家の中で、父が家事をしたりすることはなく、仕事?で夜が遅い事も多く、早く帰って来れば、母と私とが、せっせと、父のための食事を用意し、父は、晩酌をしながら、食事をするのが常でした。  父は、自分の口に合わないものは、たとえ、母が一生懸命に作ったものでも、ひと口、箸をつけただけで、クソミソにけなして、お皿をよけて、決して食べようとはしませんでした。  しかし、そんな父の味覚は、大した...

2020年1月12日日曜日

断捨離と帰国の憂鬱

 私が、初めて身近な人を亡くしたのは、私が二十歳のときでした。 私は、祖母が、亡くなってしまった祖父に触れながら、「まだ暖かい・・」と言った本当の意味を知ったのは、本当に冷たくなってしまった祖父に触れた時でした。  今から、考えると、私は、まだまだ子供でしたが、人の死というものに接して、充分に色々なことを感じたり、考えたりできる歳になってからのことでした。  あれから、祖母が亡くなり、母が亡くなり、父が亡くなり、実家には、誰もいなくなりました。  その間には、長い年月を経ており、親の介護の問題などで、色々と大変だった時期もありましたが、今、空き家だけが残されて、実際に、実家に帰っても、ひたすら、家の片付けと不用品となったものの処分をする帰国は、だんだんと気が重くなり、どこか憂鬱で、足が遠退きがちになります。  最後に亡くなった父にしても、あれほど、いざこざを起こして、喧嘩もずいぶんしましたが、いざ、いなくなってしまうと、やはり、虚しく、誰も住んでいない家に帰るというのは、こんなにつまらなくて、淋しいものだと実感しています。  また、まだまだ使えるものを捨てるのは、忍びなく、身内で、引き取ってくれる人があれば、使ってもらうようにしたり、メルカリに出品してみたり、買い取り業者の人にも、一体、何度、家に来てもらったかわからないほどです。  かといって、全てを業者に任せて、父や母のものを処分してしまうのは、あまりに忍びなく、また、片付けていると、母が大切に取っておいてくれたと思われる、私や弟の子供の頃のアルバムや、絵や、私が海外に出始めてから、両親に宛てて送った手紙などが、綺麗な箱にしまわれて、大事に取ってあるのを見つけたりするにつけ、熱い思いにかられます。  実家の片付けとともに、改めて感じる母の愛情をもう一度、かみしめることができるこの機会を、私は、どうしても、自分自身でやり遂げて、しっかりと胸に刻みたいと思っているのです。  と、同時に、人間は、生活していく上で、どれだけのゴミをため込むものかと、呆れるとともに、日頃からのシンプルな生活を心がけようと思うのです。  そして、祖父母、両親と亡くなってしまった今、次は、私の番だと、私も人生のラストステージにさしかかっていることを覚悟させられます。  そんなことを言うと、周囲には、まだ若いのに・・とか、また、言ってる・・とかいって、笑われるのですが、人生は、思っているほど長くはなく、自分が確実に死に向かっている存在であることや、残された時間をどのように生きるかを自覚して生きることは、とても大切なことだと思うのです。  なので、私は、最近は、パリに戻っても、少しずつ断捨離を始め、シンプルな生活ができるように心がけています。  leboncoin(ルボンカン)という、フランスのメルカリのようなものに出品したり、EMMAUS(エマウス)という不用品を引き取ってくれる団体(この団体は、チャリティーの団体で、不用品を引き取って販売してお金を集める慈善団体です)には、もうスーツケース何個分を運んだことか・・。  こうして、日本の実家に帰っても、パリに戻っても、ひたすら物を減らしていると、うっかりと、何か、新しいものを買いそうになっても、「待てよ!これも、また、捨てることになるのだ・・」と自分自身に歯止めをかけるようになりました。  奇しくも、母が私に宛てて、送ってくれた最期の手紙の「生活は、簡素に・・」どおりにしていることにハッとさせられるのです。 「お誕生日、おめでとう。◯◯年間、生きてきてくれてありがとう。世界のどこにいようが、存在しているというだけで、私にとっては、うれしいことです。あなたも、そろそろ人生の折り返し地点です。今までの生き方を見返して、ゆとりを持てる生活、時間と労力を簡素化していって下さい。私は、気がつくのが遅かったことを反省しています。でも、夢は持って下さい。”...

2020年1月11日土曜日

フランス人の熱量

 よく、血の気が多いとかいう言い方をしますが、「やっぱり、フランス人は、血の気が多いなぁ・・」と感じることがあります。  それは、単に激しやすいとか、怒りっぽいとかいうことではありません。  よく言えば、感情表現が豊かで、ストレートに感情を表現することが多いので、良い時は、賞賛の嵐、また、非常にロマンチックで情熱的な演出に繋がるのですが、好き嫌いをシンプルに顔に出すので、逆の場合は、冷たい態度の表現も強烈なので、感じ悪いこと、この上ありません。  血の気が多いというと、一見、いわゆるキレやすい性格のような印象がありますが、それは、ちょっとニュアンスが違います。  別に、彼ら...

2020年1月10日金曜日

フランス人の年金への思い入れ

1月9日、デモが加熱して炎が上がるパリの街中  昨年、12月5日に始まった、年金改革に反対するストライキやデモは、一向に収束の兆しが見えません。  年が明けた1月9日でも、未だ、RATP(パリ営団交通)やSNCF(フランス国鉄)のストライキも続いており、フランス全土で、452,000人、パリだけでも、56,000人がデモに参加し、夕刻には、過激化する者も現れ、街中には、物が燃やされて、炎が上がり、けが人や拘束される人まで出て、昨年からの勢いは、衰えては、いません。  一ヶ月以上も、メトロもバスも電車も満足に動かない、この不安定で、不便な生活を強いてまで、デモやストライキを続け...

2020年1月9日木曜日

カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方

                                               年末の、映画のような、派手な日本からの逃走劇から、年明け、仕事始め早々の機をてらったカルロスゴーンの記者会見を見て、日頃の私の周りのフランス人流の言い訳の仕方をいくつもを連想しました。  身振り手振りを交えながら、ひたすらに自分の非は、一切、認めないどころか、自分を優れた経営者であることを繰り返し、印象付けながら、自分の言いたいことをひたすら訴えるのです。  それは、規模もレベルも違いますが、私の日常に度々、遭遇する、自分の非は、おかまいなしに、ひたすら自分の言いたいことを言うフランス人と、基...

2020年1月8日水曜日

空港の荷物検査 異常につまらないことにこだわるわりには結構杜撰

 カルロス・ゴーンの一件で、再注目された、空港の荷物検査。  他国への旅行の場合は、荷物も大して多くないので、ロストバゲージ以外は、ほぼほぼ、問題は、ないのですが、日本から帰ってくるときだけは、それこそ死活問題とも言えるほどの大荷物なので、私にとっては、スーツケース一つあたり、23キロの荷物を娘と二人で、2個ずつをどれだけ、ギリギリに詰め込むかで、帰国前日から当日にかけては、大わらわになります。  だいたい、荷造りの時点で、家で計量するのですが、それが、家での計量どおりかどうか、ヒヤヒヤものなのです。  チェックインを担当してくれるスタッフによって、やたらと厳しい人と、そうで...

2020年1月7日火曜日

フランスの学校の集合写真

 フランスの学校では、毎年毎年、カメラマンが学校に来て、一人一人の個人の写真とクラスの集合写真を撮ってくれます。  撮影後は、しばらくすると、印刷された写真を子供が持って帰ってきて、希望者は、必要な分だけ、買い取ります。  個人の写真は、証明写真用のサイズのものや、カレンダーになっているものなどがあり、フランスらしくない、商売っ気たっぷりのサービスでしたが、毎年、プロのカメラマンの撮った写真を娘の成長として、日本の両親に送ったりもしていました。  個人の写真は、当然、一人一人、カメラマンの注文に合わせて撮るらしく、娘は、持って帰ってきた写真を見せながら、ちょっと微妙な日本語で...

2020年1月6日月曜日

ガレット・デ・ロワ ーフランスの新年の風物詩ー

 フランスでは、1月6日は、クリスマスから、年末年始と食べ続ける行事のとどめをさす、ガレット・デ・ロワ(galette des rois)(王様のパイ)というアーモンドペーストの入ったパイを食べる日で、もともと、キリスト教の公現祭に基づいたもので、年明けのフランスの風物詩でもあります。  シードルやシャンパンなどともよく合います。  最近は、いささかフライング気味で、スーパーなどでは、クリスマス前から売られたりしていて、売られているのを見つけてしまうと、ついつい手が出てしまったりもするのです。  もともと、私は、それほど、甘党というわけではないのですが、ねっとりとしたクリームなどを使っておらず、サクッとしたパイ生地と、甘すぎないアーモンドペーストとの相性もよく、非常に食べやすいお菓子です。  オーブンで軽く温め直すと、ふんわり、サクッとして、いっそう美味しく頂けます。  また、多少、フライングすることはあるとはいえ、一年で、この時期にしか売っていないので、せいぜい一ヶ月弱の間しか買えないとなると、ガレット・デ・ロワが登場した時には、「おっ!!今年も出てきた!!」という季節感と、今の時期だけしか食べられないという、「今だけ!今だけ!」という、希少価値を高めるような気分が巻き起こり、結果、毎年、欠かさずに食べるお菓子です。  ガレット・デ・ロワは、その名のとおり、王冠がパイに付いてきて、中に隠されたフェーブと呼ばれる陶製の小さな人形が一つだけ入っていて、切り分けて食べた時に、そのフェーブが当たった人が王冠を被り、その一年は、幸運に恵まれるという軽いお遊びを楽しめるようになっているのです。  我が家もこれまで、一体、いくつのガレット・デ・ロワを食べてきたことか、そのまま放って捨ててしまったものもあるだろうに、なんとなくテレビの前に置かれ続けたフェーブの数だけでも、間違いなく、一年に一個のペースではなかったことがわかります。  娘も小さい頃は、本気で真剣勝負のように、フェーブ獲得に挑み、大人気なくもまた、張り合って、フェーブの取り合いをする主人に、まんまと取られて、泣き出す娘を悟しながら、同時に、主人を睨めつけつつ、見つけたフェーブをもう一度、パイの中にもどして、娘の頭に王冠を被せたりしたこともありました。  我が家においても、娘がまだ、サンタクロースを信じ、ガレット・デ・ロワのフェーブを涙を流して欲しがっていた頃の家族の微笑ましい一場面でもあり、誰もがそんな家族の思い出を蘇らせるのか、大人になっても、ガレットを目の前にすると、一瞬、無邪気なワクワクしたような笑顔を隠しきれなくなります。  以下の映像は、マクロン大統領が大きなガレットを前にして、隠しきれない嬉しそうな少年のような笑顔でガレット・デ・ロワを切り分ける映像です。 https://www.youtube.com/watch?v=aqSFYjaiXNw  きっと、フランス人にとっては、子供の頃のそんな思い出をガレットとともに蘇らせ、笑顔にさせる不思議なパイなのです。  今では、フェーブの取り合いにこそならないまでも、見つけかけたフェーブをなぜか、最後の一切れに残しておくのが、我が家の妙な習慣になっています。  私にとっては、一月中には、職場で、何度となく、誰かしらが差し入れてくれて、シャンパンを飲みながら食べる習慣のせいで、ガレット→シャンパンが連想され、ガレットを見ると同時にシャンパンの味が思い浮かびます。  ちなみに、今年のフェーブは、Le...

2020年1月5日日曜日

フランスの美容院は、大雑把で雑・・

 ここ数年は、日本に行く用事が多く、年に2〜3回は、日本に行っているので、美容院は、日本へ帰国時に行くことにしています。  しばらく、日本へ行けなかった時期もあったので、その間は、ずっと、パリの家の近所の美容院へ行っていたのですが、ひとたび、日本の美容院の心地よさを思い出してしまえば、なるべく、パリの美容院には、行きたくないと思ってしまうのです。  日本の美容院は、私の帰国時の至福の時間でもあります。座り心地の良い椅子に、頭皮や手のマッサージまでしてくれて、帰国して、長いフライト疲れの私は、ついつい眠ってしまいそうになるくらいです。  それに比べて、パリの美容院は、自分の好み...

2020年1月4日土曜日

お国柄が現れるフランスの中華料理

 世界中、どこへ行ってもあると思われるチャイニーズレストラン。類にもれず、フランスにもチャイニーズのお店は、山ほどあります。  多分、一番多いのは、気軽に食べることができて、テイクアウトもできる中華とベトナム、タイ料理などのアジア系の料理がミックスされたようなお店です。最近は、その中に日本食と思われるものも混ざっていて、エビフライをTEMPURAなどという名前で売っていたりします。  フランスで、共通する一般的なチャーハン(Riz Cantonais / リ・カントネ)は、なぜか、味の素が大量に使われた、炒り卵とハムとグリンピースを入れて炒めてある、全体的に白いイメージのボヤッとした味のチャーハンで、パエリアと並んで、冷凍食品として売られていたり、学校の給食にまで登場するので、フランス人には、人気のメニューなのだと思われますが、はっきり言って、あまりおススメではありません。  私は、普段、出不精なので、あまり、外食はしないのですが、中華料理だけは、中華街に買い物に行くついでに、食事に行くことも多いのです。  何より、中華料理は、家庭の調理器の火力では、できない強火でサッと調理された野菜の炒めものなどが食べたいからです。  私がよく行く中華料理のレストランは、値段もお手頃で、頃合いを見計らって行かないと並ばないと入れない、中国人シェフが腕を振るう人気のお店で、中国人のお客さんが多い中、フランス人のお客さんも結構いて、入れ替わるお客さんや、お料理のオーダーや配膳の人が慌ただしく行き交う中、ロゼのワインなどを飲みながら、悠々と食事をしています。  フランス人が中華のレストランで必ずと言っていいくらい注文しているのは、鴨料理(Canard...

2020年1月3日金曜日

フランス人は、イタリアを下に見ている

 日本では、フランスもイタリアも、きっと似たような位置付けで、どちらも、おしゃれで、ヨーロッパの中では、きっと、比較的、印象の良い国の部類に入っているのだと思います。  フランス料理もイタリア料理も人気があり、フレンチやイタリアンのレストランも日本には、たくさんあり、ちょっとおしゃれなデートなどでは、フレンチやイタリアンは、きっと同じレベルで存在しているのではないかと思います。  日本人に人気の観光地としても、フランスは、安定の人気の国の一つですが、イタリアも同様に人気があり、どちらかというと、今や、イタリアの方が人気があるくらいです。  ところが、フランス人は、なぜか、イ...

2020年1月2日木曜日

お正月は、元旦のみ。フランスに、三が日はない

 フランスは、クリスマスをイブからクリスマス当日にかけて、盛大に祝いますが、祝日自体は、25日のみで、御用納めのような年末の区切りはなく、(実際には、クリスマスの期間にバカンス休暇を取る人は多いですが)31日には、新年へのRéveillon (レヴェイヨン)=カウントダウンは、あるものの、休日でもなく、年が明けて、1月1日の元旦のみが祝日で、2日からは、あっさりと仕事も始まります。  ですから、この時期に、バカンス休暇を取らない限り、この、主には、食べるのに忙しい行事を乗り切るのは、大変です。タダでさえ、日頃から、食べることばかり考えている私にとっては、この食の一大行事の年末年始...

2020年1月1日水曜日

パリの年越しと、シャンゼリゼのカウントダウン 日本語のオーシャンゼリゼ

 フランスの大晦日の年越しは、17時から、メトロなどの交通機関が無料で解放されることから、始まります。  昼過ぎにちょうど駅にいた私は、17時からパリ市内の交通機関が無料で解放されるというアナウンスを聞いていましたが、これは、毎年と同じことながら、今年は、一ヶ月近くものストライキが続いているため、今さら、ほんの一日、無料でメトロを解放することをどこか、シラけた思いで、聞いていました。  これだけ、一般市民を困らせておいて、今さら、偉そうに無料開放のアナウンスとは・・間引き運転で、通常では、考えられないような混雑したメトロに乗りながら、ますます、腹立たしい気持ちになりま...