2022年9月26日月曜日

パリのクラック(ドラッグ)常用者の溜まり場からの立ち退き要求デモ

   週末はいつも、なんらかのデモが行われていることが多いパリで、今回のデモは、クラック(コカインを含んだ違法薬物)の常用者の野営地の立ち退きを要求するデモが行われていました。約500人のデモ隊が、パンタンとオーベルヴィリエ(セーヌ・サン・ドニ県・パリ近郊)の通りを行進し、警察当局にクラック使用者の避難と保護を求めて、1年以上も放置されたまま泥沼化している事態を非難しました。 クラックは特にここ数年で、爆発的にフランス国内で拡大しているコカインの一種(中毒性が高く、喫煙可能なコカインの派生物)で、比較的安価に出回っていることから、貧乏人のドラッグなどとも呼ばれています。 パリ北部(...

2022年9月25日日曜日

日本の外国人観光客入国制限解除について

    日本の岸田文雄首相はニューヨーク証券取引所で、「10月11日から日本は国境管理を緩和し、再びビザなし渡航と個人旅行を可能にする」と発表しました。たしか、今年の5月の日本への入国制限緩和を発表したのも海外でのことで、G7のためにヨーロッパを訪問中、ロンドンのシティでの講演でのことでした。 わざわざ、海外訪問中にこれを発表するというのは、世界に向けての発信力を意識してのことなのでしょうか? しかし、前回の発表はほんとうに肩透かしをくった感じの内容でした。 というのも、5月の段階では、「G7(主要7カ国)並みに円滑な入国がとなるようにさらに緩和していく」「日本は今後とも世界に対してオープンだ」「みなさん日本にお越しください。最大限のおもてなしをします。」と宣言したにもかかわらず、実際には、全くG7並みの円滑な入国どころではなく、外国人に対しては、グループ(団体)での旅行のみという外国人からしたら、意味のわからない制限付き、個人旅行の場合は、ビザの申請が必要という状態で、日本へ行くという人の話は、ほとんど耳にすることはなくなっていました。 フランス人からしたら、バカンスに行きながら、旅行会社の見張り付きなどということは、考えられないことで、この規制緩和を楽しみにしていた人も、「グループ旅行なんて、ありえない・・だったら、日本へは行かない・・」というフランス人の話も聞こえてきていました。 パンデミック前の2019年には、日本は約3,190万人という過去最高の外国人観光客の受け入れと、それに匹敵する経済効果(同年は4兆8000億円)を記録し、フランス人にとってもアジアで最も人気のある旅行先の一つになりました。 世界第3位の基軸通貨である日本円は、悪い方向に進み、1年間でドルに対して30%以上価値が下がり、日本は、停滞している景気回復のためにも、この円安がメリットになる外国人観光客の入国制限解除によって、財政的な恩恵に預かることができるかもしれません。 しかし、フランスの業界専門家は、日本の観光業界が復活するには、まだまだ時間がかかるという見方をしています。日本でのパンデミック前の国際観光客による経済的スピンオフのほとんどは、大量の中国人観光客が、日本の電気製品や化粧品を持ち帰るために多額のお金を落としたためで、中国国内ではコロナウィルス対策の大幅な規制が続いているため、当面は日本への大量渡航は見込めません。 フランス(欧州)からの観光客に関しても、30%円安になろうとも、それ以上に航空運賃が大幅に値上がりしているうえに、バカンスシーズンはすでに終わっているという間の抜けたタイミングです。 それに加えて、一応、フランスからの入国は、ブースター接種をしていれば(3回のワクチン接種の証明書があれば)検査は免除ということになっていますが、フランスで最も多くの人がブースター接種を受けたのは、昨年の12月から1月にかけてのことで、ほとんどの人がワクチン接種の有効期間が下がっている状態に加えて、フランスでは、気温の低下とともに第8波が始まろうとしている感染者が再び拡大しているタイミングです。 それでも、気にせずバカンスにはでかけるフランス人ではありますが、これまで、ひたすら厳しいことを言って、外国人の入国制限をしてきた日本にとって、なんとも微妙なタイミングでの観光客の入国制限解除です。 とはいえ、フランスをはじめとして、ヨーロッパのほとんどの国では、とっくに入国制限など、ほとんどないも同然の状態なので、日本もこれで5月の段階で岸田首相が宣言していたG7並みの円滑な入国を受け入れてくれることになりますが、どうにもやっていることに一貫性が感じられずに、今まで、何をしたかったのか?と、首を傾げたくなります。 しかも燃料サーチャージがさらに値上げされた10月というタイミング。感染が持ち込まれることを過剰に心配しなくても、ヨーロッパからの観光客が簡単に復活することはないでしょう。外国人観光客入国制限解除 <関連記事>「中国とともに赤塗りされた日本の鎖国 6月にはようやくG7並みに水際対策緩和と発表」「日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと」「パリーロンドン経由日本行きの超長距離フライトの今」「フランス発の航空運賃 1年間で...

2022年9月24日土曜日

娘がコロナウィルスに感染しました

   朝、起きると、とりあえず、携帯をチェックするのが朝一番の日課です。まあ、そんなに急用はないのですが、なんとなく一応、チェックしてからおもむろに、少しずつ目が覚めていくのを待っている感じです。 娘が日本で就職してから、日本にいる娘とは、時々、連絡はとっていますが、そんなに毎日のようにではないので、朝、携帯のメッセージに娘から連絡が入っているのを見て、「へっ?なんだろう?朝から・・」(朝からと言っても、日本時間では朝ではないけど・・)と思ってメッセージをあけると、なんだか携帯のスクショ画面が送られて来ていて、すぐには読めずに、「ん??」となりました。 メガネを手探りで探して、ふむ...

2022年9月23日金曜日

フランスには王室がないのだと実感したマクロン大統領夫妻のロンドン散歩

   先日のエリザベス女王の国葬に参加したマクロン大統領の服装がちょっとした話題を呼んでいます。正確に言えば、国葬に参加した際の服装ではなくて、前日に前乗りでロンドンに到着したマクロン大統領夫妻がお忍びでロンドンの街を歩いていた際の服装についてです。 これは、一瞬、デマ情報まで流れ出し、あたかもマクロン大統領夫妻がこの様相で国葬に参列したかのごとく、ネットを駆け巡りました。 実際には、前日、ロンドン到着後にエリザベス女王の棺とウェストミンスターで対面するまでの短時間にロンドンの街をお忍びで歩いていた時の映像です。お忍びとはいえ、SPを従えて、全世界に顔を知られているマクロン大統領は、サングラスをしているとはいえ、一目瞭然のうえ、記者にマイクを向けられて、彼はイギリス国民が行列している横で、「イギリス国民の悼みを分かち合う」と答えています。Emmanuel...

2022年9月22日木曜日

フランスのコロナウィルス第8波の始まり

   フランスのコロナウィルス感染者数は、夏の間は、減少を続け、むしろ、日本の方が酷いかも・・と思われる状況が続いていました。もはや、フランス人の生活は、ほぼほぼ、かつての日常に戻り、マスクをしている人も、あまり見かけなくなりました。 先日のエリザベス女王の国葬でも参列者はノーマスクでしたが、さっそく国葬に参列したデンマーク女王がコロナウィルスに感染したというニュースも流れてきています。 それでもその直前、WHO(世界保健機構)も「パンデミックの終焉は手の届くところにある」などと、かなり楽観的な声明を発表したりして、パンデミックもヤレヤレ・・ようやく一息つけるかと思いきや、今度はエ...

2022年9月21日水曜日

ストラスブール大学 節電のためにこの冬の15日間の臨時休校を決定

  ストラスブール大学の学長は、エネルギー価格の高騰に伴い、この冬の2週間を臨時休校とすることを発表しました。 一昨日、ストラスブール大学学長は、エネルギー価格上昇のためのコスト削減のために、1月初旬に3週目のクリスマス休暇(通常、クリスマスの休みは2週間)、そして、さらに、2月に1週間のリモートワーク期間を設けることを説明したビデオをYouTubeで公開しました。 「政府の発表を受けて、エコロジーへの移行において、大学もその役割を果たす必要がある」と述べ、「大学の機能をできるだけ維持しながら、エネルギー消費を10%削減する方法を模索しました」と学長はビデオの中で語り、これを正当化しようとしています。 同大学では、エネルギーコストが爆発的に上昇しており、電気、ガス、暖房費は2021年の1000万ユーロから、補正予算で150万ユーロが追加で認められ、2022年には1300万ユーロに上昇し、2023年には、2000万ユーロの予算が計上されています。 ちょっと一般的な家庭の金額とは規模が違うためにピンとこないのですが、大学がそもそもの本来最も優先すべきである授業を休講にしてしまうのは、ちょっと違ううえに、かなり乱暴な方法ではないかと思います。 案の定、さっそく、これには、組合から反対の声が上がっており、組合は声明で、「行政閉鎖は公共サービスの継続性の原則に違反するものである」と述べ、「この措置により研究室へのアクセスが減少し、研究活動に支障をきたす可能性がある」 そして、「この措置は学生や一部の職員に対する「リモートワークの押しつけ」に相当し、「雇用主が負担すべき暖房費と電気代」を学生や職員が負担することにつながる、「国が自らの雇用主の費用(暖房、(インターネット)接続、照明、ケータリングなど)を職員や学生に転嫁することは全く受け入れられない」と訴えています。 パンデミックのために、かなり普及したリモートワーク、リモート授業の習慣ではありますが、パンデミックの場合は、感染対策のためであり、まだ合点もいく話ですが、今回のエネルギーコスト削減のための場合、リモートワークによる個々人の家庭の電力消費に負荷がかかるわけで、負担を個人に押し付ける結果になるのは納得がいきません。 同大学組合はさっそく、「緊急の投資計画」を要求し、9月29日にストライキとデモを予定しています。また、デモです。 中には、休みが長くなるのを喜ぶ学生もいるかもしれませんが、学生にとっての本業である講義を犠牲にしてまでの節電はお門違いで、大学側は、他の方法を模索する必要があるような気がしています。ストラスブール大学節電のための臨時休校<関連記事>「電気料金値上げによるエネルギークーポン再び配布」「エネルギー危機が招くデュラレックスなどの工場での冬の間の時短勤務と部分的失業手当」「「私たちは豊かさの終焉の時を生きている」マクロン大統領閣僚理事会での厳しめのスピーチ」「省エネ対策のため、エッフェル塔のライトアップ時間短縮」「ロシア...

2022年9月20日火曜日

完璧だったエリザベス女王の国葬は世界中にイギリスを再評価させた

   エリザベス女王の国葬の日は熱狂し続けているフランスの報道も、いよいよピークを迎え、早朝6時過ぎからイギリスでの国葬の生中継が始まりました。「今世紀最大のセレモニー」と言われていたエリザベス女王の国葬は、どこを切り取っても完璧で美しい葬儀でした。 イギリスの威厳と品格をこれでもかと感じさせるセレモニーのどの場面も、どこを切り取っても美しい素晴らしい国葬でした。      そして、これを一層盛り上げたのは、数えきれないほどの一般市民で、それぞれに女王を見送る姿は、故意に演出しようとしても成し得ないものでした。 これを相変わらず、我が国のことのように前のめりに報道し続けるフランスは、報道だけではなく、この日は、パリのメトロの駅...