2022年2月25日金曜日

フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la République

   


 昨日、フランス時間の午前6時にロシアのウクライナへの襲撃が本格的に開始され、ウクライナはもちろんのこと、フランスでも大騒ぎになっています。

 日本にも首相動静という、8時27分、官邸。48分、国会。50分、参院第1委員会室。9時2分、参院予算委員会、11時58分、官邸・・など首相の動向を分刻みで追う報道がありますが、分刻みの報道ではありませんが、フランスにも、共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la Républiqueというサイトがあり、その日、1日の大統領の主な動向が、要件によっては、その内容とともにエリゼ宮が発表しているサイトがあります。

 このところ、マクロン大統領は、2月7日のモスクワ訪問でのプーチン大統領との直接会談を前後して、常にウクライナ、ロシア、アメリカやヨーロッパのそれぞれの国との対話を続けてきました。

 2月に入ってからのマクロン大統領の日程を見ると、実に頻繁に、このウクライナ問題の主人公とも言える各国首脳と電話会談をしていることがわかります。

 マクロン大統領がプーチン大統領とバイデン大統領の会談を提案し、双方がこの会談に合意したと発表されていた数時間後、ロシアのプーチン大統領は、21日の夜、テレビで、ウクライナ東部のドンバスにある2つの分離主義者の領土を認めると発表しました。マクロン大統領はプーチン大統領に対する「失望感」をあらわにしています。

 マクロン大統領のアジャンダによると、

20日 11:00〜、 13:00〜 プーチン大統領と電話会談

    17:30 ドイツ ショルツ首相と電話会談

    20:30 ボリス・ジョンソンイギリス首相と電話会談

          21:45 ジョー・バイデン大統領と電話会談

          23:00 プーチン ロシア大統領と電話会談


21日 16:15 プーチン大統領と電話会談

          17:20 ゼレンスキー ウクライナ大統領と電話会談

          17:40 ドイツ ショルツ首相と電話会談

          18:00 シャルル・ミッシェル欧州理事会議長と電話会談

          18:20 ウルスラ・ヴォン・ダー・ライエン欧州委員会委員長と面会

          19:00 国防・国家安全保障会議 ウクライナ東部の分離主義地域を承認する決定を非難  

          21:00 ジョー・バイデン大統領アメリカ合衆国大統領と電話会談

       ドイツ ショルツ首相と電話会談

・・・そして、23日夜、21:30にゼレンスキー ウクライナ大統領と電話会談をしています。

 それからまもなく、翌朝6:00には、ロシアがウクライナへの攻撃を本格的に開始、8:00には、再び、ゼレンスキー大統領と電話会談、9:00には、ウクライナ情勢に関する国防会議を招集し、13:30 フランス国民に向けてメッセージを発信しています。



 そして、15:00 G7首脳によるビデオ会議

       20:00 ウクライナ情勢に関する欧州理事会臨時会合

 時々、ニュースに目を通すだけでも、一体、マクロン大統領の1日はどうなっているんだろうか? 一体、彼はいつ寝ているのだろうか? この目まぐるしいスケジュールの中、いつも健康でしゃんとして、眠れないとか・・そんなことはないのだろうか?などと下世話なことを思いながら、この大統領のアジャンダを覗いてみたのです。

 大統領選挙公示の締切(3月4日)が目前に迫る中、マクロン大統領は、正式に立候補を宣言する間もないのですが、彼の出馬は公然の事実。立候補を表明していなくても、今、大統領候補の中で最もヨーロッパをフランスを守ることができる人物であるという認識が広まりつつあります。

 実際に、ヨーロッパの各首脳とも、アメリカ大統領とも、ウクライナ大統領や、そしてプーチン大統領とも電話とはいえ、直接、話をすることができる人は、フランス大統領候補だけでなく、諸外国の中にも彼以外には、見当たらないのです。

 マクロン大統領は、国民に宛てたメッセージの中で「この戦争行為は、私たちの生活に深く、永続的な影響を及ぼす」「国連憲章にも欧州や世界の秩序の土台となる原理原則をも踏み躙るものである」と訴えています。

 なんだか、今回は、マクロン大統領のキャンペーンのようになってしまいましたが、あまりに忙しそうなマクロン大統領の1日って見てみたい・・と思って覗いてみたことがきっかけの野次馬根性からマクロン大統領の最近の動向を追ってみた次第です。


ウクライナ問題 マクロン大統領


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2022年2月24日木曜日

パリ16区での日本人が首を絞められる強盗事件発生

   


 在仏日本大使館から、「最近、在留邦人の方が、夜10時ごろ、パリ市内16区(メトロ10番線のミラボー駅付近)の路上(AVENUE DE VERSAILLES)を徒歩で移動中、近寄ってきた複数の男に首を絞められ、その間に所持品を奪われる強盗被害が発生し、被害者の方は、すぐに警察に被害届を提出するとともに、大使館の方にも連絡をいただきました」という注意喚起のメールが届きました。

 パリ16区といえば、パリの中でも高級住宅街として有名な地域。一見、治安は良さそうな気もしがちですが、お金を持っている人が多いということで、逆に狙われる地域でもあるという印象もあります。

 以前、パリ16区に住む知人が運転中、信号で車を停車した際に、突然、男が押し入ってきて、座席においていたバッグを奪い取られた知人がいました。運転中、不覚にもドアをロックしていなかったのです。

 今回の被害者は首を絞められて襲われたということで、金品を奪われた以上に、その恐怖はいかばかりのものであったかと恐ろしいばかりです。人生のうちで首を絞められる経験をしたことがある人など、そんなにいるものではありません。

 夜道、いきなり数名の男に囲まれたら、もう何も抵抗はできないし、むしろ、犯人がナイフなどの凶器を使わなかったことが救いであった気さえしてしまいます。

 私は16区に住んでいるわけではありませんが、日中、パリ市内のいつもは平和そのものの場所でいきなり男の人が近づいてきて、金のネックレスを引きちぎられたことがありました。大男が異様な目つきでいきなり近付いてきたその時の恐怖は今でも忘れることができません。

 暴力を振るわれたわけではなかったけれど、怖くて声を上げることもできませんでした。本当に恐怖にかられた時は、思わず、絶句してしまい、簡単に大声なんて出ないものです。恐ろしい目に遭った時、大声で叫ぶのは、訓練していないとできないかな?などと、へんなことを考えました。はっきり言えば、ネックレスを取られたのもショックではありましたが、それ以上に恐怖心が強く、それ以来、たとえ日中であっても、目立つネックレスをして出かけるのはやめています。

 ブランド物のバッグ等もまさにそれとわかるようなものは、決してパリでは持ち歩きません。

 また、私の同僚(若い中国人の女性)が、パリのメトロの駅付近で帰宅途中(夕方)、ボコボコに顔を殴られて、バッグを奪われたこともありました。また、別の知人は、バイクの二人乗りの男に後ろからつけられ、バッグをひったくられた者もいます。

 今回の首絞め強盗事件には、今のところ、フランスの一般のマスコミでは報道されていませんが、首を絞められるという手口は初めて聞いたことではあるものの、暴力によって金品を奪われる強盗事件は、特別にニュースとしてとりあげられるものではないほど、一般的なものであるのかもしれません。

 昨年、パリ17区で日本人が塩酸を顔にかけられるという傷害事件が発生し、それは、強盗事件ではなく、コロナ発生以来、エスカレートしていたアジア人をターゲットにした「アジア人狩り」とも言われる嫌がらせかもしれないとも言われていました。

 その時の事件は、フランスの新聞でも、一部、報道されたことから、17区の市長が「あれは、特別アジア人を攻撃したものではない。被害者本人が軽傷であるため、警察に訴えることを望んでいない。警察は捜査を続ける。」とコメントを発表したものの(犯人もつかまっていないのになぜ?そんなことがわかるのか?とおもったけど)、結局、被害者が被害届を提出しなかったことから、事件は風化してしまいました。

 今回の事件は被害者は警察に被害届を提出したようですが、強盗事件が日常茶飯事のように起こるパリで、警察が本格的に捜査にあたるとも考えづらく、はっきりしていることは、パリでは常に気を張って、目立たないように暮らさなければならないということです。

 フランス内務省の発表によれば、2021年第4半期(10月〜12月)の強盗件数は、10万件を超えているということで、先ほどのニュースでは、車の盗難事件の話をしており、フランスでは4分に1台の割合で車の盗難事件が起こっているそうです。


 パリで特に危険とされているのは、パリ北部の地域ですが、パリ16区は、昨年4月に死亡者も出る銃撃事件が起こっています。総じて言えば、パリに安全な地域はないということです。

 日々、起こる事件は時が経ち、風化していつの間にか忘れてしまいますが、こうして思い返してみると、身近なところでも色々な事件が両手にあまるほど起きてきて、今までよく無事でいられたものだ・・とも思うのです。

 これまで12月は犯罪が多いと思ってきましたし、実際、そうだとは思いますが、偶然にも、前回、日本人が塩酸を顔にかけられた事件が起こったのも2月、暴力的な事件は2月なのかもしれないと考えたりもしているのです。


パリ16区日本人首絞め強盗事件


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2022年2月23日水曜日

コマーシャルセンターの衰退

 

閉店のための在庫処分セール中のDARTY


 昨日、突然、湯沸かしポットが壊れてしまったので、近所にあるコマーシャルセンターにあるダーティー(DARTY)という家電製品のお店に行きました。我が家の電化製品のほとんどは、このDARTYで買ったもので、ある日、突然、故障して使い物にならなくなってしまう電化製品をすぐに急いで調達したいとなると、すぐに歩いて行ける近所のDARTYに駆け込んで買ってしまうことが多かったのです。

 そんなに頻繁に足を運ぶわけではないけれど、近くにあってくれれば、とりあえず安心できる・・そんなお店の一つでもありました。

 ところが、久しぶりに行ってみると、何やらお店の中の様子がいつもとは違い、何やら雑然とした様子。店内の一部にはつい立てがたてられ、商品の配置もごちゃごちゃしていて、最初は「改装中?」と思いましたが、お目当ての湯沸かしポットの姿はなく、たいていの電化製品ならひととおりはあるはずのお店でこれは一体どうしたことか?と思って、あらためて店内を見渡すと、積み上げられた商品のほとんどには、「在庫処分」の札が・・。

 フランスとて、どんどん変わる電化製品、詳しい商品の説明を聞きたくても、店員さんを捕まえるのがいつも大変なこのお店、(しかも捕まえたところで、まともに説明してくれる人にあたる確率も低い)、ようやくお店の人を捕まえて湯沸かしポットありますか?と聞くと、「もうありません」という回答。

 「このお店、改装中なの?」と聞くと、まさかの3月半ばに閉店とのこと。

 我が家の近所のコマーシャルセンターは、コマーシャルセンターとしては、中規模のもので、それでもワンフロアーに20店舗くらい入るスペースの3階建て(日本でいう4階建て)のもの。

 パンデミックの前から、雲行きはあやしい感じではありましたが、ロックダウンや感染対策の店舗の営業制限などから、いよいよ、一つ、また一つとテナントが減っていきました。

 私が今のアパートに引っ越してきた頃は、コマーシャルセンターはお店も満杯で、テナントに空きなどありませんでした。フランス人なら誰もが知っているような大手のファッションメーカーや子供服専用店などが何店舗も入り、メガネ屋さん2店舗、携帯などの通信機器の店舗、書籍、CD、DVD、文房具などを扱っているバージンメガストアーや、マクドナルドなどのファストフード、パン屋さんのPAULなどは2店舗もありました。

 それが大手チェーン展開をしている店舗はマクドナルドの閉店を皮切りにどんどん閉店していきました。かろうじて、スーパーマーケットのカーフールは存続していますが、それでさえも以前は2フロアにわたり、何から何まで揃っている感じであったものが1フロアに縮小されています。

 客足に翳りが見え始めて撤退する店舗が出始めることで、ますます客足が減少し、客足も減少していくから、さらに売上も減少し、次々と撤退する・・コマーシャルセンターの悪循環というのは、こういうものなのだということをまざまざと見せつけられている感じです。

 しかも、絶対に潰れはしないと思われる大手の店舗がこぞって撤退していくのには、ちょっと唖然とさせられます。しかし、大所帯を抱える大手のチェーン店舗だからこそ、不用な店舗は撤廃していくのは当然のこと。

 パンデミックによるロックダウン生活で、ますますネットショッピングは拡大し、店舗を構えること自体がリスキーなことになっているのかもしれません。

 明らかにこのコマーシャルセンターの衰退にアクセルをかけたのは、パンデミックによるロックダウン、営業停止によるもので、そうでなければ、ここまで急激に衰退することはなかったと思います。目に見えるパンデミックによる経済的な打撃は、私のごくごく身近なところにもあらわれています。

 「どんどんコマーシャルセンター内の店舗が減っていく・・」とショックを受けている私ではありますが、考えてみれば、利用しているのは、スーパーマーケット(カーフール)と薬局、それに、年に1回行くか行かないかのDARTY(電化製品)のみ。

 DARTYでさえも、すでにフナック(fnac)(同じく電化製品を中心に書籍や文化的な製品などの広範囲の製品を扱うチェーン展開のお店)に買収されており、店舗数は縮小されていく方向に向かうのは、当然のこと。集約できないコマーシャルセンターは致命的です。

 人の流れというのは、正直なもので、人が集まるところには、行列ができるようなお店もある中、どう考えても、このままではこのコマーシャルセンターは、たち行かなくなります。

 今、パリで行列のできているお店と言えば、すぐに思い浮かぶのは、人気のラーメン屋さんなどで、この際、ここが、和食屋さんやアジア食材を扱うフードコートのようなものになってくれないものか?などと、悔し紛れに思っているのです。


コマーシャルセンターの衰退


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2022年2月22日火曜日

プーチン大統領の演説にフランスの大統領選挙報道が吹っ飛んだ!

  


 プーチン大統領がロシア国民に向けてテレビ公開で演説を行うというニュースに、ここのところ、ウクライナ問題には、かなり注目しつつも、フランスの大統領選挙のニュースが中心になっていた大統領選のニュースが、昨夜はこのプーチン大統領の演説に吹き飛ばされた感じでした。

 このプーチン大統領の演説をエリゼ宮は政府首脳を集めて見守りました。

 これまで、「戦争回避のために」奔走していたマクロン大統領の努力も虚しく、プーチン大統領は、「ウクライナの親ロシア派分離主義者の独立を認める」と発表、また、「ウクライナはロシアにつながるすべてを放棄して国家を築いた」と述べ、「腐敗と民族主義のために国は本当に形成されてはいない」、「また、ウクライナを「傀儡政権」(名目上は独立しているが、実態では事実上の支配者である外部の国家によって管理・統制・指揮されている)と説明した。彼ははまた、ウクライナの指導者が自国内で行っている「テロ政策」を非難しました。


 

 クレムリンのトップは、親ロシア派の分離主義者と「友好・相互援助協定」を締結し、仰々しくサインする模様が中継されました。

 これは、ロシア国民向けという名目でありながら、全世界に向けての発信です。

 このプーチン大統領の宣言は、マクロン大統領の仲介で、アメリカとロシアとの首脳会談が現実化しようとしていた中、プーチン大統領の先制攻撃であったに違いありません。アメリカとの首脳会談に合意したと言いつつ、話し合いを避け、戦争をも厭わない態度です。明らかに喧嘩を売っている感じです。

 ロシアは、コロナウィルスにより、すでに35万人近い犠牲者を出しています。このうえ、さらに犠牲者を出すことが明白な戦争をも厭わない態度には、閉口してしまいます。

 ロシアの大統領の発表をフランス政府首脳が集まって見守るという、異常な状態に、フランスのマスコミ記者もエリゼ宮を囲み、逐一、動向を伝えるほど緊迫していました。

 おそらく、ヨーロッパ諸国やアメリカも同様の姿勢であったに違いありません。

 イギリスのボリス・ジョンソン首相は、記者会見で、「親ロシア派地域の独立は、ウクライナの主権に対する明白な侵害であり、ミンスク和平合意の否認である」と糾弾、「ウクライナ情勢にとって「悪い前兆」である」と述べました。

 マクロン大統領は、エリゼ宮で国防・安全保障会議を招集し、EUは「断固」として対応し、「国際法の明白な違反」を糾弾すると発表しました。

 結局のところ、プーチン大統領には、他の欧米諸国との話し合いの意思はなく、これまでのマクロン大統領をはじめとする各国の首脳との会談にも一応は応対したものの、あくまでも一方通行であり、話を聞くふりはしていたものの、話し合いには応じておらず、自らのシナリオを推し進めている模様です。

 「宣戦布告」とも思えるプーチン大統領の発信に、おそらくフランスだけではないと思いますが、とりあえず、フランスは大騒ぎ。よもや、戦争か?という危機感が感じられます。

 マクロン大統領が就任してからというもの、大掛かりな「黄色いベスト運動」、「コロナウィルスによるパンデミック」と続き、今度は「ウクライナ×ロシア問題による、よもや戦争?」という状態。

 プーチン大統領はもちろんのこと、マクロン大統領もおそらく大きく歴史に名を残す大統領になるだろうな・・と、私はそんなことを考えていました。

 マクロン大統領は、次期、大統領選挙の出馬を正式に表明してはいないうちに、この騒ぎ。出馬届出の期限は3月4日。ギリギリまで表明しないのは、もともとの彼の大統領選挙戦の戦略で全ての準備は整っているものと思われますが、ここまでギリギリになり、まさか本当の戦争が立ちはだかることになろうとは、彼の想定外であったに違いありません。


プーチン大統領東部独立承認 国際法違反 宣戦布告


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2022年2月21日月曜日

マクロン大統領とプーチン大統領の電話会談の内容 ウクライナ問題の行方

  


 マクロン大統領とプーチン大統領は、1時間45分にわたる電話会談の結果、「停戦に向けた努力」、「現在の危機に対して外交的解決を優先し、すべての関係者から接触線上の停戦約束を得ることを目的とした3カ国接触グループの会合が数時間以内に開催できるよう集中的に取り組む」ことで合意したと、エリゼ宮(フランス)とクレムリン(ロシア)の双方が発表しました。


 

 また、フランス大統領府は、この電話会談の合意により、ジャン・イヴ・ルドリアン外相が数日間のうちに、ロシア側のセルゲイ・ラブロフ氏に会うと明言しています。

 そして、ウクライナの要請により(ウクライナは「即時停戦」を要求している)、欧州安全保障協力機構(Organisation for Security and Co-operation in Europe)は月曜日に常任理事会を開催し、危機の解決策を見出すための会議を開催することになりました。OSCEの監視員によると、ここ数日、親ロシア派の反政府勢力とウクライナ軍の戦闘が増加し、迫撃砲や大砲による攻撃が数百回行われたといいます。

 クレムリンは、2月10日から軍事演習のためにベラルーシに滞在している約3万人(米国調べ)のロシア軍を、日曜日の演習終了時に撤退させると発表しており、エリゼ宮によると、プーチン大統領は電話会談で、ベラルーシから「現在の演習の終了時に」軍隊を撤退させる意向をマクロン大統領に確約したと言われていますが、フランス大統領府は、「これらすべてを検証する必要があり、少し時間がかかるかもしれない」とも述べています。

 この両大統領府の発表にもかかわらず、世界の緊張状態は全く緩む兆しはありません。それだけ、プーチン大統領が油断ならない存在であると誰もが認識しているということでもあり、また、今や、多くの国を巻き込んだ状態から、些細なきっかけで一触即発の状態になりかねない事態であるということです。

 かねてよりのアメリカからの戦闘体制とも、威嚇とも思える発信はもちろんのこと、イギリスのボリス・ジョンソン首相はBBCとのインタビューで、ロシアが「1945年以来ヨーロッパで最大の戦争になるかもしれない」準備をしていると述べています。

 しかし、不思議なことに、当のウクライナとロシア、ロシアとアメリカは、話し合いをしている様子が聞こえてきません。

 ウクライナの大統領ウォルディミル・ゼレンスキーは、マクロン大統領との電話会談で、モスクワが支援する反政府勢力の「挑発的な砲撃」を非難し、プーチン大統領はこの砲撃の発生をウクライナの「挑発行為」のせいだと非難しています。

 これでは、マクロン大統領も子供の喧嘩の仲裁をしているようなところもあります。

 ここへ来て、ジョー・バイデン米大統領は、ロシア側と「いつでも、どんな形式でも、会う用意がある」と述べ、国務長官はCNNに対し、「戦車が本当に動き出し、飛行機が空を飛ぶまで外交ルートはまだ可能である」ことを再確認しています。

 しかし、アメリカとロシアの話し合いが必ずしも平和をもたらすどころか、最悪の結果をもたらすきっかけにもなりかねません。

 そんな懸念も感じているのか、バイデン大統領は、ロシア側と会う用意があると同時にマクロン大統領と話す必要があると述べています。

 マクロン大統領は、イギリスのボリス・ジョンソン首相とも電話会談を行い、今後数日間、外交の道を開き、優勢を保つためにあらゆる適切な行動をとるということを確認しています。

 マクロン大統領は、アメリカとロシアの首脳会談を提案し、日程調整ののち、この会談が実現されるものとみられています。

 今回のマクロン大統領の仲裁は、大統領選挙のための点数稼ぎという見方をしている人々もいますが、それにしても、あまりに荷が重い選挙活動に違いありません。


マクロンとプーチン 電話会談 ウクライナ問題


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2022年2月20日日曜日

フランス政府 ウクライナへの渡航回避から在ウクライナ フランス国民避難勧告と航空会社の対応

  


 緊迫状態が続くウクライナ問題に関して、これまでフランス政府は、「ウクライナへの渡航はすべて延期し、回避するように」と勧告するにとどまっていました。

 しかし、昨日(2月19日)、フランス外務省は、ウクライナ東部の最も危険な地域、「ハリコフ州、ルハンスク州、ドネツク州」およびドニプロペトロフスク州にいるフランス国民に対し、「直ちに退避する旨の避難勧告」を発令、同国東部の最も戦争の危険性が高い地域にいる人々に対して「遅滞なく」脱出するよう呼びかけています。

 これは、ロシアの攻撃への懸念が熱を帯びる中、フランスが単なる渡航回避勧告からウクライナに在住するフランス国民の退避勧告は、この緊張がさらに高まっていることを表しています。

 同日、ウクライナ東部の最前線を移動中だったデニー・モナスティルシキー内相及び政府関係者の近くで迫撃弾が爆発、この襲撃で、少なくとも2人のウクライナ人兵士が死亡、4人が負傷しています。

 ロシアからウクライナへの襲撃は、ドネツクで591回、ルハンスクで975回も確認されているようですが、今回のこの襲撃は、ロシア側の「停戦違反」の最も象徴的な出来事として、多くの国の非難の対象となっていると同時に危機感を一層、煽られる結果となっています。

 先んじて、すでに全ての国民に対して避難勧告を発令していたドイツも「緊急に」「遅滞なく」出国することを呼びかけ、ドイツの航空会社ルフトハンザは、21日から2月末まで、キエフとオデッサ(ウクライナの地域)への定期便を運休すると発表しました。


 つまり、ドイツは20日までに避難するように勧告しているということです。これは、北京オリンピックの閉会式の日程とも重なっています。

 これに対し、フランスの航空会社エールフランスは、当面の間、フライトを維持するとしています。これは、ギリギリまで粘り、退避しようとする国民を守ろうとするフランスの姿勢が感じられます。

 このルフトハンザとエールフランスのとりあえずの対応に、私は、オミクロン株が流行し始めた頃に、日本がただちに、日本国民さえ締め出す結果になる国際便の新規予約を停止した(その後、すぐに条件つきで解除されましたが・・)ことを思い出し、もしも、これが日本であったなら、どちらかといえば、日本はドイツに近いのではないだろうか?と思ったりもしました。

 EU(欧州連合)は、依然として、戦争回避のために、手を差し延べ続けると同時に、あらゆるシナリオに対応可能なウクライナを支援することを目的としたウクライナへの人道支援物資の搬入を調整しています。

 また、ウクライナの大統領ウォルディミル・ゼレンスキーは、ミュンヘン安全保障会議での演説で、欧米諸国に対し、ロシアへの宥和(ゆうわ)政策をやめるように求め、自国のNATO加盟について「明確かつ達成可能な」タイムテーブルを要求しています。

 マクロン大統領は、19日にウクライナ大統領との電話会談の後、20日、再び、プーチン大統領と会談する予定になっています。この電話会談は、フランス大統領府が「最悪の事態を避けるための話し合い」に言及したものだ発表しています。

 結果的にあまり効果が見られなかった、5時間にも及ぶマクロン大統領とプーチン大統領の直接会談から、マクロン大統領は、なんらかの方策を見出しているのでしょうか?


在ウクライナ フランス国民非難勧告 エールフランス ルフトハンザ


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2022年2月19日土曜日

3月中旬の屋内でのマスク着用義務撤廃の基準

 


 すでに数日前から話題に上がっている「屋内でのマスク着用義務の撤廃」について、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、マスク撤廃に踏み切る具体的な基準値を発表しました。

 ワクチンパスの施行とともに始まった感染対策規制の緩和は、1週間後には、屋外でのマスク着用義務化とリモートワークの義務化が撤廃され、さらに、つい先日、ディスコやナイトクラブが再開され、カフェやバーでの立ち飲みの解禁と着々と進められてきました。

 フランスの感染状況は、劇的に改善し始め、1ヶ月前には、40万人を超えていた1日の新規感染者数も10万人を切り、現在は、8万人前後になりました。病院の集中治療室の占拠状態も非常に緩やかではありますが、減少し始め、一時は4,000人近かった集中治療室の患者数も3,000人を切り2,970人までになっています。

 この状況を受け、フランス政府は、3月中旬には「屋内でのマスク義務化」を撤廃できるかもしれない・・と言い始めていたのですが、今回は、コロナウィルスによる集中治療室の患者数が1,500人以下になったら・・」という、より具体的な数字をマスク撤廃の条件として発表したのです。

 元来は、大のマスク嫌いのフランス人にとって、これは朗報に違いありません。

 オリヴィエ・ヴェランは、「この3月中旬というタイミングは、決して無作為に選択された日程ではなく、現在の感染の減少の状況とリズムをもとに考慮されたものであり、無駄に過剰な目標を設定するのは意味がない」と説明しています。

 屋外でのマスク義務化が撤廃された後も、屋外でもマスクを着用している人が意外と多いことなども、現在の感染減少を後押ししているような気もします。

 彼は、「今後もウイルスはできるだけ循環させないようにしなければならないが、発症率は毎週ほぼ半減しており、このままの状態が続けば、4週間後には極めて低い発症率に戻り、流行が再燃するリスクを負うことなく、最後の手段を講じることができる」と述べています。

 これまで、フランスは、数ヶ月間にわたって、15日単位で段階的に感染対策を解除してきており、この段階的な対応は、感染にブレーキをかける対策の解除による悪影響がないことを確認するために必要な時間であったし、今後もそれだけの時間をかける必要があるということを説明しているのです。

 3月中旬の屋内でのマスク着用義務化撤廃には、病院が通常通り運営されていること、ウイルスの流行が非常に弱いことを条件にしています。

 そして、さらに次の段階では、ワクチンパスの解除が検討されるのですが、このワクチンパスの解除に関しても、一気に全廃という形をとらずに、特定の感染リスクの高い場所を最後まで残しつつ解除するという、もう一段階のステップを検討中のようです。

 いずれにしても、本当に一時は、ちょっと外出するだけでも、すぐに感染者追跡アプリのアラームが点灯し、「あなたは、感染者と接触しています。ただちに検査を行い、陽性の場合は、隔離してください」というメッセージが入り、その度にドキドキしながら検査に行くことを考えると、外出するのもちょっとウンザリしていたことを思えば、現在の感染状況の劇的な改善はうそみたいです。

 この現在の感染減少の状況がブースター接種によるものなのか?もしくは、もうひととおりの人々が感染して免疫を得たためなのかはわかりませんが、屋内マスクが撤廃されるという事実よりも、それだけ自由が戻ってくるという意味では、私にとっても嬉しい状況です。

 今や過去の映画などの映像を見ていても、マスクをしていない群衆などを見ると、思わずギョッとしてしまう奇妙な自分を発見したりもするのですが、一方、一部のメトロの駅や電車の中では、思わず「マスクがあってよかった・・」別の意味でマスクに助けられる(アンモニア臭など、あまりに匂いがキツいため・・)という場所もあるのが、パリでもあります。

 政府が屋内でのマスク義務化を撤廃しても、しばらくは、私は、やっぱり怖くてマスクをすぐには外せないような気がしています。そして、「やっぱり日本人は・・」などと言われるかもな・・と、そんなことまで考えています。


屋内でのマスク義務化撤廃


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