2022年1月4日火曜日

厳戒体制での学校の再開

   


 一昨年前の年末あたりから、「学校の閉鎖は最終手段」という方針を貫き通しているフランス政府は、今回の感染爆発ともいうべく感染の急激な増加の中でも、学校を予定どおりの日程で再開しました。

 しかし、特にワクチン接種を受けていない小学生以下の学校再開には、特に感染対策が強化されています。

 この学校における感染対策の主な柱は、生徒たちの検査をより徹底したものにすることに焦点を当てられています。

 登校初日には、必ず検査(PCR検査・抗原検査)を受け、陰性であることが確認された生徒だけが登校、学校再開後には、陽性例が確認され次第、クラスの生徒全員が抗原検査またはPCR検査を受けなければならず、保護者からの「書面」での証明と、陰性であることが確認された場合にのみ授業に復帰することができます。

 また陽性になった者については、陽性が確認された当日から1日おきに、4日間で3回のテストを行う必要があるとしています。この対策は、ウイルスが感染してから症状が出るまでに3〜5日かかるという潜伏期間をより考慮したものです。

 この検査をスムーズに行うために最初に実施した検査の後は、各家庭で2回、薬局で無料のセルフテストを受け取れるようになっています。

 フランス政府は、昨年末の段階で、すでにこの検査を徹底して行うことを可能にするために、充分な検査キットを大量に発注済みであると説明しています。

 また、教員に関しても、生徒と同じルールが適用されることになっています。そして、保護者会などに関してもすべてリモートにすることが義務付けられています。

 この検査の増加に加え、「換気の必要性」をよりよく測定するために、できるだけ多くのCO2センサーを配備するよう学校に呼びかけています。

 政府によると、現在までのところ、この小さな箱を備えているのは小学校の「約20%」に過ぎないそうで、これは中学校よりも多いのですが、まだ全然足りない状態です。

 注意点として、保健当局は、ウィルスが浮遊できる空気を新しくするために、1日に少なくとも10分から15分、定期的に窓やドアを開けることを勧めています。

 また、教育現場でさらに心配されるのは、感染や陽性者との接触があった場合、他の人と同じように厳しい隔離ルールが適用される教員の欠勤です。科学委員会の試算によると、学年の始めに30%の教員が陽性であるか、感染した子供の世話をしている可能性があると想定しています。

 ジャン・ミッシェル・ブランカー教育相は、1月が「緊迫状態の月」になることを認め、「ワクチン接種を受けた大人(教員)は、子供と同じ、反復テストを適用する」ことを発表しました。

 また、大量欠勤のリスクを減らすための対策として、病気以外の欠勤原因、例えば「現任訓練」を停止することを挙げています。この施策は、「代理教員」の募集と連動して行われます。

 小学校では、これにより「9%から、学校によっては12〜15%」補充能力が高まると目論んでいます。

 また、学校でのワクチン接種キャンペーンの促進も視野に入れられており、昨年7月、10代に向けたワクチン接種キャンペーンが開始された時に、中学校では校内にワクチン接種センターが設置されたように、5歳からの全児童にワクチンが開放された今、「各学校と接種センターがペアになり、ワクチン接種を拡大していく予定になっています。

 小学校の子どもたちには、「学校長や教師に予防接種の手順を説明するメッセージが送られる」ことになっていますが、「ワクチン接種の予約や接種の際の付き添いは家族が行うもので、すべてのケースで「親の承認」が必要になると念を押しています。 

 このように、かなり厳しい制限下での学校再開も、やはり、蓋をあけてみると、最初の混乱は、教員の欠勤で、基本的に「教員不在のために生徒を他のクラスに割り振ることはできない」としているために、予め、連絡がないまま学校に行ってみると、子供のクラスの先生がおらずに、慌てて両親のどちらかがリモートワークに切り替えて、子供を家に連れ帰らなければならないようなケースが出たり、逆に教員の突然の欠勤に慣れている親にとっては、いつもと違って、代理教員が割り振られて、助かった・・などと様々な声が上がっています。

 中学生以上に関しては、小学生と違って、生徒たちにも、かなりワクチン接種が浸透しているため、同様の対策が取られているものの、小学生ほどには、緊迫した状況ではありません。

 いずれにせよ、まだまだ始まったばかりの学校から、さらに大きな波がおこるかどうかは、これから数週間後に結果が表れてくると思われます。

 もはや、周囲にも感染者は珍しくなくなっている現在のフランスの状況から見ると、個人的には、オミクロン株は、どうやら潜伏期間が人によってはかなり長く、感染してからも、すぐに検査を受けても陽性とはならないところがややこしいところで、この感染してから、陽性反応が出るまでの間にさらに1人が10人は感染させるという勢いで感染を広げてしまうのに、その隙間の期間に隔離できないために、一体、いつ、どこで感染したのかもわかりにくいことも始末の悪いことです。

 しかし、年末年始には、本当に、どこから湧いてくるのかと思うほど、人で溢れていた場所がたくさんあったのに、いざ、新年が始まってみると、今度は、いたるところに感染、感染者との接触のための隔離による欠勤者が増え、現在のところ教員の10%程度が欠勤、フランス国鉄の長距離便などは、10%が欠便、いつもは渋滞しているところが、車もすいすい動いていたりして、明らかに人の動きが減少していることに、どうにもしっくりこないものを感じるのです。


学校再開のための感染対策


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2022年1月3日月曜日

感染者隔離期間の緩和 フランスの新しい隔離のルール

   


 フランスでの新型コロナウィルス感染が、爆発的に増加していますが、現段階でのオミクロン株に関する感染速度と感染力の強さは認められるものの、症状が悪化する割合が低いという比較的楽観的なデータに支えられ、政府は規則の一部を緩和することを選択しています。

 というのも、フランスの感染があまりにも急激に拡大したために、11月中旬から12月中旬にかけて、隔離を余儀なくされた人々による労働停止の数は、5763件から42541件へと7倍以上になり、12月後半から年末にかけてのさらなる感染拡大は、ちょうどノエルのバカンスに重なったために、実際の職場での隔離のための病欠は、大々的には表面化していませんでしたが、これまでどおりの隔離基準を継続した場合は、事実上のロックダウン状態に近い状況になることは必須。

 社会機能を停止させないために、社会生活継続と感染のリスクのバランスを計り直す必要がありました。

 これまで感染した場合には、変異型に関係なく、10日間の隔離が求められていましたが、ワクチン接種済み(2回)の場合には、7日間の隔離に短縮されました。また、5日目にPCR検査を受けて陰性であれば、その時点で隔離生活からは解除されます。ワクチン未接種者に関しては、10日間の隔離、7日目に検査の結果が陰性であれば、隔離は解除されます。

 また、感染者に接触した者については、ワクチン接種済みの者に対しては、「定期的に(即日、2日後、4日後)検査を受けることを条件に(検査結果が陰性の場合)隔離は不要となりますが、ワクチン未接種者については、7日間の隔離が求められます。

 そして、医療従事者については、さらに具体的な隔離のルールが検討されており、公衆衛生高等評議会は、医療従事者が 感染していても、症状がないか少ない場合は、一定の条件下で、仕事を続ける可能性を検証しています。

 この件に関して、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「医療従事者はもともとワクチンを接種しているうえ、健康に対する緊張感が非常に高く、職員や接触者の陽性例が多いことから、医療の継続を可能にすることが問題である 」「リスクは常にありますが、陽性でも無症状の医療従事者を働かせるのと、ベッドを閉鎖するのとでは、リスクが最小になるように戦略を立てています。」と語っています。

 医療従事者がたとえ感染していても、条件付きで働くことは、病院の人員不足という根本的な問題を解決するものではなく、「急性期を乗り切るための一過性のプラスター」だとしています。つまり、現在のフランスは、感染している医療従事者に働いてもらわなければならないほど、病院の医療体制が逼迫しつつあるということなのです。

 現在のフランスの病院でのコロナウィルスによる集中治療室の病床占拠率は70%にも達しており、いくら、オミクロン株が重症化する率が低いとはいえ、毎日のように20万人近い感染者が出ている状態では、病床が逼迫していくのは、必須であり、医療従事者の隔離のために病床をさらに閉鎖した場合のリスクは、他の職業に比べてあまりにリスクが大きいという判断の上のことだと思います。

 まさに隔離云々以前に、感染しても働けというのは、人道的にどうかという声も上がりそうですが、すでに、感染状況もアクセルがかかり続ける状態で、ノエル、年末年始を過ごした後に、学校も仕事も全て再開される1月は、さらなる感染の増加は不可避の状況で、社会生活と感染拡大のリスクの間のバランスを考えて、苦渋の選択をしたと言わざるを得ません。

 感染の爆発的な増加中に隔離のルールを緩和しなければならないのは、本来ならば真逆の対応で、大変リスキーなことに違いありませんが、スイス、スペイン、アルゼンチン、ポルトガル、イギリスなどの他の国々がすでに同様の理由から同様の措置を採用し始めているため、これらの国々よりも感染の増加は激しいフランスもこれまでの隔離措置を継続していくのは、困難であると判断したと見られています。

 ワクチン接種以外は、検査、隔離を原則としてきたルールがこの感染爆発の現状でのまさかの隔離期間を緩和させなければならない厳しい状況に、フランスは、まさに綱渡りの綱がさらに脆くなった状況に追い込まれていると言わざるを得ません。

 新年早々、非常に厳しい状況は、もう昨年末からわかってはいたこととはいえ、あまり幸先のよいスタートではありません。1月半ばには、ヘルスパスがワクチンパスになりますが、これを機に、なんとかこの間を持ち堪えている間に、ワクチン接種が進んでくれることを、もう、祈るような気持ちです。

フランスの隔離緩和


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2022年1月2日日曜日

花火は禁止でも車は燃えるフランスの年越し

 


 もはや、大晦日の行事ではないかと思われる節のある車の放火が、今年は若干、減少し、ジェラルド・ダルマナン内務大臣は、「大晦日の夜は、秩序のおかげで暴力が減少した」「警察力のおかげで暴力が減少した」と発表しています。

 しかし、減少したとはいえ、大晦日の夜に燃やされた車両は874台、441人が逮捕されています。2021年の年越しは感染対策のために、シャンゼリゼやエッフェル塔をはじめとする大掛かりな花火は禁止されていましたが、相変わらず、車は燃やされていたようです。

 昨年の大晦日は、夜間外出禁止だったために、比較の対象にならないとのことで、2019年末と比較していますが、(2019年末には、1,316台の車が燃やされています)昨年とて、861台の車が燃やされているので、車を燃やす輩には、夜間外出禁止などは、あまり関係ないものと思われます。

 実際に、私は、車が燃えている現場に出くわしたことはありませんが、燃やされた車の残骸を見かけたことは何回かあります。これは、日本では見たことがなかった光景の一つです。

 大晦日ではなくとも、フランスでは、デモなどで、人が暴れ出すところでは、ゴミ箱を燃やしたり、車を燃やしたりすることは、珍しいことではありません。酷い時には、フランス銀行に火がつけられたこともありました。

 血の気が多いというか、興奮すると手がつけられなくなる感の強い人が多いのも、日本とはかなり違うところです。

 今年の大晦日は、夜間外出禁止にはならなかったものの、人の集まりや公道でのアルコールなどの飲酒の禁止、マスク着用などの義務や制限もあり、10万人の警察官が動員されるという発表がありましたが、実際には、パリ市内の9,000人を含む約95,000人の警察官と憲兵隊、32,000人の消防士と市民警備隊が動員されていたようです。

 今年は例年の大晦日の警戒に加えて、人の集まりなどの衛生環境統制のために、通常より多くの警察官が動員されましたが、結果的には、人の集まりは、シャンゼリゼやエッフェル塔の近辺、モンマルトルなどなど、あらゆる場所で、目を覆いたくなるほどの人の海で、昨日で4日連続で1日の新規感染者数が20万人超えというのに、人が外に出たい!大勢で集まって騒ぎたい!発散したい!という気持ちは、フランス人を抑えつけることには繋がらないようです。

 それ以上に長引くパンデミックで、新年を迎えるお祝いの機会にこれまでの鬱憤をはらしたい気持ちが強いのだと思います。

 しかし、ヘルスパスが起用されて以来、ほぼフランス人は、多くの人がバカンスにもでかけ、ほぼ日常を取り戻した生活をしており、そこまで鬱憤がたまっているとも思えないのですが、やはり、それでも、いつまでも感染のやまないウィルスに圧迫感が募っているのは確かです。

 874台の車が燃やされつつも、「秩序のおかげで車の放火などの暴力行為が減少した」というのも、悲しい話で、これは、単に動員された警察官の数と、今や100万人以上の人が感染のために隔離中のために外に出られないということも、若干、大晦日の暴挙が減少している理由ではないかと思うのです。

 一方、ストラスブールの7つの自治体では、大晦日に16歳以下の夜間外出禁止令が県令で発令されていましたが、これは、アルザスの首都でしばしば見られるような、年越しパーティーの暴走を防ぐために、合意の上で採用された措置の一つでした。

 アルザスの首都では、大晦日は伝統的に爆竹や花火、時には迫撃砲で祝います。新年を迎えるにあたり、ゴミ箱、バスシェルター、車などが狙われ、放火され、法と秩序を守る警察でさえも暴力のターゲットになってしまうのです。

 このような16歳以下の夜間外出制限にもかかわらず、今年の大晦日もこの地域では、約30人が逮捕され、警察との衝突が起こり、花火を投げつけられた警察官が負傷しています。

 感染急増への対策として、屋外でもマスク着用を義務化したパリでは、「マスクをしていない」として779人が罰金を科され、そのうち少なくとも600人がシャンゼリゼで罰せられたと、警察筋は述べていますが、本来ならば、そんな人数なはずはなく、途中からは、もう警察でさえも手がつけられないほどの状態であったのが、正直なところだと思われます。

 また、ヨンヌ県(ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地域)では、禁止されているレイブパーティーが行われ、サン・フロランタンの工業用地に1500人を集めていたと、県と国家憲兵隊が発表しています。

 まことに警察の警戒・統制がないとどうにもならないフランスは、コロナ禍中でも全く変わらないのです。


車の放火


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2022年1月1日土曜日

マクロン大統領の年末の演説と大晦日のカウントダウン

   


 年末、大晦日の日に大統領が国民に向けて、一年の総括や来年への展望などを語る模様が放送されるのは、フランスの伝統的な行事の一つのようなもので、なぜだか、私は、マクロン大統領以前のオランド大統領やサルコジ大統領を飛び越えて、シラク大統領の年末の演説が印象に残っています。

 あくまでも、個人的な好みですが、私がフランスに来て以来のフランスの大統領の中で、シラク大統領が威厳もゆとりもオーラもあって、立ち振る舞いなども、どこか優雅でカッコよかったなぁと思っているのです。

 個人的な好みは、全くの余談ですが、この4人の大統領の中で、最もたくさんの演説を聴いたのは、マクロン大統領にほかなりません。

 なんといっても、もう2年近くも続くパンデミックのために、彼の演説は、おそらく、どの大統領よりも機会も多く、ロックダウンやロックダウン解除、ヘルスパスシステムの導入などなど、見逃せない内容でもありました。

 また、パンデミック以前もテロや黄色いベスト運動などで、フランスは荒れていましたので、彼が大統領に就任して以来、まさに苦難続き、その度にマクロン大統領は、国民に向けて、話をする必要が多々あったわけです。

 フランスの大統領選挙は2022年4月に行われますが、まだマクロン大統領は、立候補の声明を出していません。今回の演説でも、大統領選に出馬するということは、明言していませんが、「私は、今後もどんな立場にあっても、皆さんを支え続けることを約束します」と語っています。

 今回の演説が彼の任期中の最後の演説とは思えませんが、一貫して、彼の演説は、いつもフランスを称え、自信に溢れ、自画自賛を混じえながら、かなり楽観的なのが特徴です。

 今回も例に漏れない内容で、冒頭は、「現在、私たちは、再び感染拡大に直面し、今後、数週間は、非常に困難な状況が待っています。」と始まりましたが、これは、あたかも想定内のことであったと言わんばかりに、「しかし、昨年と違って、私たちには、ワクチンという武器がある」そして、「5300万人」のフランス人がワクチンを接種し、2400万人のブースターを注射したことを説明し、「この水準は、フランスを「世界のトップグループ」に位置づけるものである。」と語りました。

 しかし、残念ながら、毎日記録を更新しつづけている感染者数や感染率もまた、世界のトップグループでもあるのです。

 そして、2022年に向けて、自分は「楽観的」であると語り、エマニュエル・マクロンは、「2022年は流行が終わる年かもしれない、私はあなたとともにそれを信じたい」と述べました。

 「私たちは、ワクチンのおかげでこの波を乗り越えることができる」と続け、「国の活動を維持するために可能な限りのことをする」「自由を圧迫するような制限を設けない」ことを約束しました。

 また、「フランスは試練を乗り越え、2年前よりも強くなっている」とマクロン大統領は強調し、自身が着手したいくつかの改革を振り返りました。

 「パンデミックの状況下では、すべてを先送りすることもできたが、私たちは決して諦めなかった。この数週間と今後数ヶ月の間だけでも、何十年も前から語られてきた決定がなされたし、これからもなされるだろう」と、「失業保険の改革」「購買力対策」「インフレ手当」「エネルギー券」「最も低所得であった公務員の給与の引き上げ」「環境対策」などを挙げて付け加えています。

 さらに、パンデミックにより、ヨーロッパの繋がりが証明されたとし、フランスが1月には、EU議長国就任することにより、2022年を「ヨーロッパの転機の年」にすると約束しました。

 彼のこの大統領として、フランスの一年を総括する演説とはいうものの、聞きようによっては、彼の業績を振り返り、印象付けるものであった演説であったとも思えるのです。相変わらず、自画自賛と楽観的な展望です。

 案の定、大晦日のカウントダウンの瞬間には、花火も何もないのに、(花火中止を知らなかった人も多かったらしい)シャンゼリゼは物凄い人・人・人・・。花火は禁止されても、人の集まりは、あまり変わらなかったようです。

 テレビでは、世界各国の年明けの花火の様子が繰り返し報道されていて、その時にジャーナリストの一人が、「色々な国に素晴らしい花火があるけど、やっぱり、僕が一番きれいだと思うのは・・」と話し出したので、当然、フランスが一番だと言うのだと思って、「うわっ!また出た!自画自賛!はいはい!パリの花火はきれいですよ・・」と鼻で笑ったら、「僕は日本の花火が一番きれいだと思うんです」と言ってくれたのには、ちょっとびっくりするやら、嬉しいやら・・。



 シャンゼリゼだけではなく、どこもかしこも、この感染爆発を恐れる様子は、まるで、ありません。大勢での集まりの禁止も屋外でのマスクの義務化もまるで、無視されています。取り締まりの10万人の警察官はどうしているのか?と思ってしまいます。

 

 2021年12月31日もフランスは、1日の新規感染者数の記録をさらに更新し、232,200人を記録しています。


フランス年越し マクロン大統領大晦日演説


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2021年12月31日金曜日

12月31日 大晦日年越しの規制

   


 1日の新規感染者数が20万人を超えても、結局は、大晦日の年越しの夜もロックダウンや夜間外出制限は行われないまま迎えることになります。

 しかし、その代わりに細かい禁止事項は、いくつかあり、当日は、10万人の警察官が動員されるそうです。1日20万人の感染者と、取り締まりのための10万人の警察官。どちらも数十万単位でダイナミックなことです。

 今年は、すでにパリ、イル・ド・フランス(パリ近郊の地域)では、屋外でもマスク着用が義務化されているほか、公道でのダンス、飲酒、パーティーが禁止されており、レストラン・カフェ・バーなども1月1日午前2時には閉店が義務付けられています。


 すでに、ディスコ、ナイトクラブなどの場所は閉鎖されているので、その他の施設でもダンスは禁止、つまり着席のみということ、ダンス・飲酒は、公道でも禁止。せめて、おとなしく座っていなさいということです。

 また、パリ市内のなにかと人の集まるいくつかの地域では、31日午後6時から土曜日の午前6時まで、アルコールの販売と消費が禁止されています。

 コントルスカルプ広場、アンヴァリッド広場、サン・マルタン運河、セーヌ川の右岸と左岸、ポン・デ・ザールとポン・ド・サリーの間、シテ島の岸辺、サンルイ島の岸辺」が対象となります。いずれも、パンデミック発生以来、度々、人が集まり、問題になったところばかりです。

 とはいえ、昨年の大晦日は、午後8時以降の外出は禁止、また、全てのレストランやカフェなどの飲食店は、閉鎖されていましたので、昨年に比べれば、格段に規制は緩くなっているのです。

 昨年でさえも、ずいぶん、甘々だな・・と思った記憶がありますが、今年は、さらに甘々です。状況が許せば、もちろん、シャンゼリゼ(凱旋門)の花火なども毎年、楽しみにしていた私ですが、今年は状況が悪すぎます。

 オミクロン株は重症化しにくいということで、いくら感染者がいても、それほど深刻になっていない感じがフランスにはありますが、実のところは、昨年の12月31日の1日の感染者は1万9千人程度、今年は、その10倍以上で、集中治療室の患者数も、昨年はこの段階で、2600人程度であったものが、今年は、3469人にまで上昇しています。

 感染者が10倍以上になっているのに、重症患者が10倍にはなっていないところはせめてもの救いですが、感染症の専門家によれば、この感染拡大の波は、少なくとも2〜3週間は続くと説明しています。

 フランス全国の10万人あたりの感染率は1049.5にまで上昇(100人に1人以上は感染)、パリに至ってはその倍の2000以上にまで達しています(50人に1人以上は感染)。

 フランスではすでに、オミクロン株の割合がデルタ株を上回ったそうなので、少なくとも毎日、10万人以上のオミクロン株による感染者がいるということです。

 何よりも1日20万人という感染者がいても、まるで危機感がないのが何よりも信じられないことで、この「ワクチンをしているから大丈夫」「若いから大丈夫」に加えて、「オミクロンは重症化しない伝説」も、さすがにこれだけの感染者が増えれば、確実に重症化し、死亡する人も増加していっていることに、あまりにも鈍感で、この期に及んで、まだ屋外でのマスク義務化を受け入れられないなどと言っている人がいることが信じられません。

 マスクに関しては、よく「あなたは、日本人だからいいでしょうけど・・」などと言われますが、正直、自慢ではありませんが、私は、日本でマスクをしたことなど一度もなかったし、マスクをする習慣などありませんでした。

 日本に住む日本人とて、皆が皆、パンデミック前も日常的にマスクをしていたわけではないと思うのです。しかし、こういう事態になれば、日本では、義務化されているわけではなくても、マスクをしていない人などいないと思います。

 マスクをしているだけで、少しでも感染が防げれば、良いではないか?と思うのですが、そんなことだけでも、抵抗する人がいるのです。

 数々の規制があっても、そんな規制を潜り抜けるのは、どうとでもできることです。

 意識の低さがこの感染者1日20万人を生んでいると思うと、ギチギチの罰金付きの規制以外にこれを乗り切る術はありません。

 さらなる規制は、どういうわけか、1月3日からで、週3日のリモートワークの義務化にも早くも、「無理だ!効率が悪い!(日頃からそんなに効率よく働いてもいない)」と従わなさそうな気配が見えていたら、リモートワークに消極的な企業は、従業員一人当たりにつき、最高1,000ユーロの罰金」だとか・・。

 もはや日本と比較にはなりませんが、フランスにいて、今年も、どうにも不安な年の瀬を迎えております。


2021年フランス大晦日 年越し カウントダウン


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2021年12月30日木曜日

フランス1日の新規感染者数20万人突破 連日新記録更新

   


 一昨日の新規感染者数が10万人から一気に17万9,800人を超えたと聞いて、絶句しましたが、昨日は、とうとう20万人のしきい値も軽々飛び越えた(208,000人)のには、もはやもう、大した驚きではなく、もう諦めのような気分です。

 10万人を超えたのが12月25日でしたから、たった4日間で、倍の20万を突破したのは、これまで、オミクロン株の感染の速度が異常に速く、2〜3日で倍に膨れ上がると言っていたとおりになっていますが、さすがに5人が10人になるのではなく、10万人が20万人になるということは、その衝撃は大きく、異様な気分です。

 現在のフランスは、大人数での集会などの制限などはあるものの、ヘルスパスを持っていれば、ほぼ日常生活が送れるのですが、実際には、パンデミックが始まって以来、こんなに感染者が街中に溢れたことはなく、ロックダウンになっていた頃よりも逆に怖いような状況です。

 私自身、もうちょっと出かけただけで、すぐに感染者追跡アプリのアラートが届くので、その度にドキドキしながら、検査を受けに行くのは、ウンザリなので、もう外出したり、人と会ったりすることは、当分、したくない気持ちになっています。

 さらに感染者が増加し、20万人を突破したことを受けて、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、記者会見を行いましたが、「1日の新規感染者数208,000人というのは、もう、ちょっとめまいがしそうな数字だ!これは、1秒に2名以上がコロナウィルス陽性と診断されているということである!」と述べ、未だにワクチン接種を一度も行っていない500万人の国民に向けて「現在の感染状況では、デルタ株とオミクロン株のはざまで、ワクチン接種なしに乗り切れる可能性はほんのわずかである・・これは脅しではない!」と語気を荒げて語りました。

 また、現在の1日の新規感染者数を鑑みれば、おそらく現在、100万人以上のフランス人がコロナウィルスに感染しており、全国民の10%が感染者との接触している状態であることも併せて説明しています。

 この現状を重く受け止めた政府は、ヘルスパスからワクチンパスへの移行を大幅に前倒しにし、5日には、決議、1月15日から施行されることを発表。また、このワクチンパスについては、チェックの際に同時に身分証明書の提示を要求できることになります。

 オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「この法案は、不正行為と戦うための措置をさらに強化するものである」と述べ、「偽のパスを使用することは無責任であるばかりでなく、何よりも自分も周囲の人をも危険に晒すことである」と説明しています。

 それにしても、この危機的状況に反して、街の様子は、一向に変わることのないのは、どういうことなのか? 政府と一般国民の温度差がこの驚くべき数字を叩き出しているような気がしてなりません。

 ノエルの時点で10万人を超え、そしてその4日後には、20万人を超えたというのに、相変わらずの街中の人出、これから大晦日のカウントダウンが待っているというのに、それでも、外出制限等をしない政府もまた、理解に苦しむところです。

 パリでは、12月31日から屋外でもマスク着用が義務化されることになりましたが、なぜ31日まで待つのか? 大晦日・年越しの規制・制限はそれだけなのか?と思います。

 おそらく、今回の感染爆発は、ノエル以前からのものではありますが、ノエルを境にさらに急増していることを考えれば、ノエルが影響していることは間違いありません。

 これに、さらに年越しのカウントダウンが加われば、ワクチンパス施行前に、さらにメガ級の感染爆発が起こるかもしれません。一部の専門家は、今後、1日の新規感染者数が40万人程度になっても不思議はないと話しています。

 数日前に、1月初旬には、1日の新規感染者数が25万人を超えるかもしれないという話を聞いたときは、まさか・・と思いましたが、今では、「まあ・・そうだろうな・・もしかしたら、もっとかもしれない・・」と、もう数字の感覚が麻痺してきました。


フランス1日の新規感染者数20万人突破 新記録更新


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2021年12月29日水曜日

感染者追跡アプリにアラート(注意)が来た! フランスの1日の新規感染者数17万9800人突破


慌てて検査に行ったところ、陰性でした・・


 フランスで現在、使用されているヘルスパスのアプリは、「TousAntiCovid」(トゥースアンチコヴィット)と言って、もともとは、ワクチン接種が始まる前に出来上がっていた感染者追跡アプリでした。

 感染者を追跡し、感染者との接触を回避する、また感染者と接触した場合に直ちに検査して、さらなる感染を回避するために作られたのですが、当初はあまり使用する人がおらずに、その効果は上がっていませんでした。

 現在は、ヘルスパス(ワクチン接種証明書など)として使用されているために、かなりのフランス国民が自分の携帯にダウンロードしているものと思われます。ヘルスパス以外にも、全国(フランス)の感染状況、ワクチン接種状況などのオンタイムの情報もこのアプリで情報を得ることができます。

 実際に、私も日常的には、ヘルスパスとして使用しているため、これが、感染者追跡アプリでもあったことを忘れていたくらいでした。

 ところが、先日、夜になって、そのアプリに「アラート」(注意)!と連絡が入っていて、「あなたが、もしワクチン接種をしていなければ、感染のリスクが高いです。直ちに隔離して、検査を受けてください」というお知らせ。

  


 そして、私が感染者と接触した可能性がある日付が記されていました。しかし、記されているのは日付だけで、一体、どこで感染者と接触したのか等は、記載されていません。もう、その日付から数日経ってのことなので、もしかしたら、アラートが来ているのに気付かずに数日経ってしまったのか?と思いながら、「明日、行けたら検査に行こうかな?」くらいにぼんやりと考えていました。

 ところが、翌朝になって、またアプリを確認すると、すると昨日の日付に加えて、さらにその翌日の日付でのアラートが入っていました。「これは、私が見過ごしていたわけではなかった」ことを悟った私は、「これでは、私は毎日のようにどこかで感染者と接触しているのではないか!」と、慌てて薬局に検査に行きました。

 実に私は、パンデミック以来、一度もこの検査を受けたことはなく、初めての経験でした。

 日頃、あまり出歩かない私にさえ、アラートが来るのだから、これでは薬局も混雑しているだろうと思って覚悟していくと、予想どおりに薬局は、検査を受けに来る人で溢れかえっていました。

 9月以来、ワクチン接種を拡大させるために、ワクチン未接種の人に対しての検査は有料になっていますが、ここでもワクチン証明書を提示すれば、検査は無料でやってくれます。

 薬局の検査対応の人は、大変、忙しそうで、「以前よりもずっと陽性の人が多いのよ・・」と、嘆いていました。検査に来るということは、症状がある場合とも限らないものの、私のように感染者と接触し、感染している可能性のある人が来ているわけで、しかも、その中から陽性者が多く見つかるようになったということは、この薬局に来ること自体、感染者との接触に繋がらないことにもなりかねないという事実に空恐ろしいものを感じました。

 一緒に生活している娘には、アラートは来ていなかったものの、数日前に会った友人から、「感染した」という知らせが入り、親子揃って検査にいくハメになりました。

 私は、12月の初旬に3回目のブースター接種を済ませ、娘もその翌週に済ませていますが、リスクがある限り、検査はしなければ、安心はできません。できるだけ、外出は控えていた私ではありますが、アラートが来ていた日付には、ノエルの買い物に結構な時間、パリの街をあっちもこっちもと出歩いていた日、外食したわけでも個人的に誰かと会ったわけではありませんが、ずいぶん、人出が多いなぁなどと思いつつも、マルシェ・ド・ノエルを覗いたりもしていました。

 しかし、その翌日のアラートが来ていた日は、家にアパートの管理人さんが来てくれたくらいで、外出はしていません。となると、彼女が感染していたのか?としか、考えられません。

 とにかく、感染者追跡アプリのアラートといい、娘の周囲での感染状態といい、もはや、少しでも誰かと接触すれば、かなりの確率で感染のリスクがあるのか・・と思わずには、いられない、これが1日の感染者10万人のフランスの現状なんだ・・と実感していました。

 幸い、親子ともども、検査の結果は陰性でしたが、娘の友人で、感染者と接触して、4日後に検査に行った時には、陰性で、そのさらに2日後に検査に行ったら、今度は陽性だった・・などという話も聞くので、感染者と接触しても、何日後に検査で陽性が出るのかもよくわからないため、現在、娘は念のため・・と家の中でもマスクをしてくれています。

 私は、「もしも、あなたから感染して死んでも、悔いはないよ・・」と言ったのですが、「そんな寝覚めの悪い、どれだけ、後で自分を責めることになるかわからない?」と娘から反対に怒られてしまいました。

 同じ家にいながら、半隔離状態のような生活・・あと、どれだけ娘と暮らせるのかもわからないのに、本当に悲しいことです。

 ますます、生き辛くなってきたこの感染状況、明日の朝もまた、アラートがついているかもしれないと、しばらく、毎日、検査に行かなければならないか?と覚悟しています。

 ここまで書いたところで昨日のフランスの1日の新規感染者数が17万人超え(ほぼ18万人)であったことがわかって、思わず絶句してしまいました。

 今日の薬局での「陽性者がとにかく多くて・・」という話からも、ありえない話ではないかもしれないとは、思ったものの、それにしても10万人から17万人とは、あまりの急増・・1月には、25万人を突破するかもしれないという昨日のオリヴィエ・ヴェラン保健相の話も現実的になってきたのかもしれません。

 このまま大した規制もなく、大晦日のカウントダウンを迎えるのでは、いくら、大統領選挙を前にして、マクロン大統領が国民に嫌われたくなくて、規制を控えているとしても、本当にこのままにするのかと思うと、彼の真意を逆に理解し難く感じてしまいます。


フランス1日の新規感染者数18万人 新記録更新


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