2021年8月1日日曜日

3回目のヘルスパス反対のデモ 参加者20万人超え

   


      

 「自由!自由!自由!」というスローガンを掲げて、フランス全土では、「ヘルスパス反対」の3回目のデモが起こっています。

 7月12日にマクロン大統領から発表のあった「ヘルスパス」については、その後、12歳から17歳に関しては、猶予期間が設けられることや、コマーシャルセンターのヘルスパス提示義務については、地域ごとの感染状況により、自治体の判断に任せることや、ヘルスパスの実施開始が、8月1日から8月9日に延期になったり(これは、正式には、この法律の有効性については、8月5日に決定される予定)、色々と刻々、変化しています。

 7月12日の発表直後は、ワクチン接種予約サイトがパンク寸前になるほどに、ワクチン接種にかなりの人が傾きましたが、依然としてアンチワクチンの人は、バカンス中にもかかわらず、毎週デモを行い、強く反対を続けています。

 政府としては、これはどうしても譲ることはできないはずで、現在のところは、ワクチン接種以外に救われる道はなく、デモがいくら行われたところで、変更することはあり得ないと思うのですが、デモは、週を追うごとに過激化しています。

 今週末のフランスのデモは20万人を超え、度を重ねる毎に拡大しています。



 パリでは、先週、大変な騒ぎになったシャンゼリゼは、今週は、厳戒態勢を敷き、警察車両がシャンゼリゼを囲み、シャンゼリゼの中央にもたくさんの警察車両が控え、この気候の良い時期のシャンゼリゼが物々しい雰囲気になりました。

 このデモは、なぜかいつも土曜日で、デモ隊の行進する近辺の商店などは、とても商売にはならないどころか、下手をすると、お店自体もメチャクチャに破壊される恐れがあるわけで、観光客がまだまだ通常のように戻ってきていないパリの店舗にとっては、バカンス中とはいえ、土曜日に閉店せざるを得ないことは、大変な痛手で、「ヘルスパス」云々以上に、本来ならばかき入れどきの土曜日のデモによる営業妨害でお店の存続に悲鳴をあげています。

 黄色いベスト運動が続いた時も、デモのコースにかかっていた近辺のお店が甚大な被害を受けており、高級食料品店フォションの倒産なども、テロに続いて、度重なったデモも原因の一つとして挙げられていました。

 パンデミックは、ロックダウンの末にこのデモによって、経済的な打撃も生んでいます。

 この現在の状況で、彼らが叫ぶ「自由」は、身勝手で、とんだ自由のはきちがえで、彼らに「ワクチンをしない自由」はあっても、人を感染させる「自由」はないはずです。

 デモに参加している人々は、これまでもワクチンをしなくても、深刻な状態には陥ってこなかったのに・・、自分は重症化してこなかった・・なのに安全性が確認できていないワクチンをなぜしなければならないのか? ワクチンをしない自由が自分たちにはある!と主張している人がほとんどですが、もしかしたら、自分は感染して、それを他の人に感染させている可能性があるにもかかわらず、自分が助かっているから良いという・・まるっきり周囲の人に対する思いやりを感じられない主張です。

 もう一度、ウィルスの性質を考え直し、感染してもなんともない人が、感染拡大媒体となって、人の命を危険に晒している、奪っていることに気付いてほしいと思っています。

 人の命を奪ってまで尊重される自由はないはずです。

 フランスでは、これまでに111,867人の方がコロナウィルスのために亡くなっています。


ヘルスパス反対デモ


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2021年7月31日土曜日

パリのラーメン一杯の値段 パリのラーメン屋さん


一見、ラーメン屋さんには、見えない小洒落たラーメン屋さん


 パリに旅行に来たときに、日本の食べ物が恋しくなって、思わず気軽に食べられるラーメン屋さんに入ったことのある人は、少なくないのではないか?と思います。

 私も以前、イギリスに住んでいた頃、当時は、イギリスにもそんなに日本食屋さんがたくさんあったわけでもなく、パリに旅行に来たときに、ラーメン屋さんに駆け込んだことがありました。

 しかし、パリのラーメン屋さんは、意外な落とし穴でもあり、そんなに高級なラーメン屋さんでなくとも、二人でラーメンと餃子を食べて、それにビールでも頼めば、あっという間に1万円近くなることもあり、旅行中で通貨が違って金銭感覚が麻痺していることも手伝って、なんだか、後から考えてみたら、やけに高かったと思うこともあるかもしれません。

 私は、特にラーメンが好きというわけではありませんが、パリに来たばかりの頃は、今ほどラーメン屋さんもパリにたくさんあったわけではないので、何となく、ラーメン屋さんの近くに用事があったりすると、思わず食べに入ったりしたこともありましたが、最近は、ラーメンは、あっという間にフランス人の間で人気になり、昼時などは、並ぶのが嫌いなはずのフランス人がどこのお店の前にも行列を作っているので、並んでまでは行かなくてもいいかな・・と、逆にすっかり寄り付かなくなっていたのです。

 まだまだ今のような日本食ブームになる前までは、パリのサンタンヌ通りとその近辺にある数軒のみで、ひぐま、北海道、来々軒、サッポロラーメン、金太郎など、ごくごく限られたお店だけでした。

 中には、クォリティも今ひとつのところもあったりして、麺がこれ、ラーメンの麺?とか、スープもイマイチだったり、酷いところになると、猫舌のフランス人仕様になっているのか?湯気のたっていないラーメンだったりすることさえありました。

 ところが、今や、すっかり、ラーメンは定着し、本格的なラーメンの店舗がパリに進出するにつれ、パリのラーメン屋さんのクォリティも上がってきました。

 しかし、上がったのは、クォリティだけでなく、値段もうなぎのぼりで、先日、人気のラーメン屋さんの前を通ったので、ちょっと覗いて、メニューを見て、その値段にびっくり!ラーメン一杯で、13ユーロ〜19ユーロ(約1,700円〜2,500円)でした。

  


 もともとパリでの外食は、高いので、外食してこの値段で済むのは、決して高い方ではないのですが、それにしてもラーメン一杯の値段としては、ちょっと日本円に換算すると、なかなか抵抗のある値段です。

 それでもお客さんがひっきりなしに入るのですから、すごいものです。それは、他の外食の値段がそれにも増して高く、しっかりしたクォリティの、しかも、ちょっと小洒落たお店だったりすれば、フランス人はイチコロな訳で、物珍しいラーメンという食べ物は、この程度の値段のものであるという認識がフランス人には定着してしまったわけですから、日本でのラーメンのだいたいの値段を刷り込まれている私のような在仏邦人にとっては、なかなか抵抗があります。

 しかし、おそらくパリで最も古い部類に入るラーメン屋さん「ひぐま」などは、シンプルに塩、みそ、醤油ラーメンは8ユーロ(約1,000円程度)とまだ許容範囲内です。

 もともとケチなフランス人も、つまらない外食にも結構なお金を使う独特な文化に支えられ、パリのラーメン屋さんは、今や大繁盛の堂々たる地位を獲得しているのです。

 それでもフランスで育ったのに大の日本食党の娘(フランス料理が苦手)などは、この値段で必ず美味しいラーメン屋さんは、決して悪くない・・などと、かなり好意的です。

 私でさえも、生まれ育った日本ではどちらかというとお蕎麦派で、ラーメン屋さんというものには、数えるほどしか行ったことがなく、一時帰国で日本に帰った時も限られた食事の回数の中で、ラーメン屋さんは、私の食べたいものリストには、入ってはおらず、私の人生においては、結果的にパリでの方がラーメン屋さんに行った回数は多いという皮肉な結果です。


パリ ラーメン屋

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2021年7月30日金曜日

フランス領マルティニーク島・レユニオン島 再ロックダウン

   



 やはり、デルタ変異種を甘く見てはいけない・・と、このところ、つくづく思わされています。

 このところのフランスの感染状況は、悪化の一途を辿っており、しかも、見事にバカンスで人が賑わっている地域で地図はどんどん色濃くなっていっています。(感染状況を色分けして表示しているので、フランスのどの地域がヤバいのか一目瞭然)

 感染状態が悪化しているのは、見事にバカンスで賑わっているビーチ沿いで、デルタ変異種は、暑さにもめっぽう強いようなのが恐怖です。

 昨年の夏は、ワクチンがなかったにもかかわらず、気温の上昇とともにウィルスの感染も夏の間は、落ち着いていたのですが、どうやら確実にウィルスはパワーアップしているようです。

 そんな中、フランス領マルティニーク島は感染の急激な悪化により(特に今週に入ってからは、医療崩壊寸前)、島内の病院の集中治療室は、限りなく100%に近く、感染者数は先週の2,241件から3,537件に跳ね上がり、1週間で58%増で、バカンス中にもかかわらず、すでに実施されていた夜間外出禁止(午後9時〜朝5時)に加えて、週末から少なくとも3週間、再ロックダウンになることになりました。

 レユニオン島も2週間の再ロックダウンです。

 この真夏のバカンスの真っ只中に、再びロックダウンとは・・誰が予想していたでしょうか?

 住民及び旅行者は、住居から半径10キロを超えて移動するには、ワクチン証明書か、正当な理由を証明する何かがなければ、身動きが取れません。レストランやスポーツジムなど、マスク着用が不可能な場所は閉鎖されます。仕事もリモートワークが推奨されます。

 また、夜間外出禁止は、午後7時からに繰り上げられます。

 マルティニーク、レユニオンは、フランス領なので、フランス国内と同じ扱いです。

 バカンスシーズン突入の際には、「バカンスの旅行は海外ではなく、できるだけ国内で!」と呼びかけられていたために、マルティニークやレユニオンでバカンスを過ごしている人、これからバカンスに行く予定であった人も少なくないはずです。

 フランス本土からの旅行者も、ワクチン接種証明書かやむ負えない理由を提示する必要があります。

 すでにマルティニークで満床状態の集中治療室では、フランス本土への患者の移送も予定されています。この真夏のタイミングでの患者の移送です。

 この地域の問題点は、極端にワクチン接種率が低いことで、フランス全国でのワクチン接種は、2回の接種が51%以上に至っているのに比べて、この地域では20%を下回っています。

 重症化している患者の97%はワクチン未接種者で、このような地域が出てくれば、ワクチン接種がいかに急がなければならないものであるかがわかります。

 カステックス首相は、すかさず会見に登場し、このマルティニークを例に挙げ、ワクチン接種の緊急性、必要性を強く訴えています。

 またマルティニークだけでなく、他のフランスの海外領、グアドループでは感染者数が一週間で3倍、集中治療室の占拠率は1週間で30%以上アップの81.5%、ここでもすでに患者の移送計画を開始しています。ギアナでも2倍に増加しています。

 フランス本土内では、ここまでワクチン接種率が低い地域はありませんが、最後にワクチン接種が開始された12歳〜17歳の年齢層に加えて、若年層はワクチン接種率が低いことを考えると、ワクチンをしていなければ、あっという間にこれだけ感染拡大してしまうデルタ変異種に打ち勝つためには、9月に学校が始まる前までには、なんとしてでも、このティーンエイジャーのワクチン接種を広めることが必要です。

 ワクチンができていないこれらの若年層に加えて、「何が何でもワクチン接種をしない!」とマスクもせずにデモを続けている一定数の人が頑として存在し続けているのは、今やフランスにとって着火を待つ爆弾のような存在です。

 このパンデミックの中、日本でオリンピックが開催されることでの感染拡大を心配していましたが、フランス人のバカンスと日本のオリンピック、いったい、どっちが危険なんだろう?と、妙なことを考えています。

 フランス人のバカンスは、なんといっても8月がシーズンのピークを迎えます。パリは人が減ってくれて、大気汚染もこの間は一時解消され、空も心なしか青く見えるほど、清々しいのですが、このまま感染が悪化していけば、バカンス先でロックダウン・・なんていうこともあり得ないことではないかもしれません。

 これからバカンス先を選ぶには、その地域のワクチン接種率を調べてから・・なんていう方法も必要かもしれません。


マルティニーク・レユニオン 再ロックダウン


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2021年7月29日木曜日

日本のワクチンパスポートの不思議

   


 日本で、7月26日から「ワクチンパスポート申請受付」を開始したというニュースを見て、???と思いました。

 調べてみると、「ワクチンパスポート」の申請には、「申請書」「パスポート(旅券)」「接種券のうち(予診のみ)部分、(接種済証または接種記録書)」の4点セットが必要で、マイナンバーあるいは、本人確認のための書類が必要となるそうです。

 どうやら日本のワクチンパスポートは、「海外渡航者」の利用を前提としており、発行条件として、「実際に海外渡航予定がある人」に限定されているものであり、フランスで言う「ヘルスパス」「ワクチンパスポート」とは、性質が少し異なるようです。

 とはいえ、フランスでは、ワクチン接種をした時点で、すぐにその場でワクチン接種証明書を配布してくれるので、そのQRコードを自分の携帯に読み込めば、それがそのまま「ヘルスパス」にもなり、「ワクチンパスポート」代わりにもなるので、あらためて申請する必要もなく、あっという間に取得できます。

 日本での、ワクチン接種をして、さらにその証明書や他の書類を揃えて、再び申請しなければならないという方法は、渡航希望者の利用が前提とはいえ、ワクチンパスポートを多方面にも活用することを考えなかったのでしょうか?

 すでにワクチン接種が開始されて時間が経っている今からでは、遅いのかもしれませんが、今後、いつ終息するかわからないパンデミックにおいて、さらに多くの人出を介して、「ワクチンパスポート」の申請をしなければならないというのは、なんとももどかしい感じがします。

 本来の日本のパスポートは、世界一のパスポートと呼ばれていますが、現時点で、この「日本のワクチンパスポート」を受け入れる国は、イタリア、オーストリア、トルコ、ブルガリア、ポーランドの5ヶ国と、隔離免除書発行に必要な書類のうちの1つとして認めるという韓国、エストニア(現時点では、入国後の隔離やPCR検査の必要性がないため実質的には意味なし)だけです。

 フランスは、日本側がフランスのワクチン証明書を認めない(実質的にワクチンをしていても隔離期間が必要とされる)ために、不公平を理由に、現在のところは、日本のワクチンパスポートを認めないという姿勢をとっているようです。(もっとも、フランスでは、日本からの渡航に対して72時間以内のPCR検査の陰性証明書があれば、隔離期間は求めていません)

 日本側では、現在は、オリンピック・パラリンピック関連の入国者対応に追われているために、できるだけ、外国からの入国はしてほしくない、感染対策を強化しているために、たとえ、ワクチン接種済みの人でも、2週間の隔離を強制しているのだと思うのですが、フランスだけでなく、多くの国が日本のワクチンパスポートを受け入れないのは、フランス同様の理由だと思います。

 それにしても、ワクチン接種に際して、ワクチン接種券だのワクチン証明書やワクチンパスポートが紙の書類であったり、最新テクノロジーを誇る日本であったはずなのに、いつの間にか、手間暇も時間もかかるこんな方法を取るようになってしまったのか?と、日本の衰退ぶりが少々、ショックでもあります。

 フランスでは現在、「ヘルスパス(ワクチン2回接種証明書か48時間以内のPCR検査陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)」について、色々と揉めていますが、今後、日本は、これ以上感染が拡大し、ワクチン接種も進んでいった場合に、ワクチン接種をした人のみに入場を制限する場所や飲食店のためにワクチンパスポートとは別に、ワクチン証明書が必要になるのでしょうか?

 それとも、そんな制限を設けなくても、日本は再び感染を抑えていくことができるのでしょうか? 

 私は、フランスが「ヘルスパス」を作って、ロックダウンせずにワクチンをしていない人だけをロックダウン状態にして、経済を回していこうとしているやり方は良い方法だと思っていますし、もうそれでさえ、急がなければ、再び深刻な状況になってしまいそうなことも予測されています。

 私がフランスに来た20年前には、「日本だったら、なんでもさっさと色々なことが進むのに・・」とどれだけ思ったかわかりませんが(未だにどうしようもないことも多いフランスですが・・)、どうにも最近の日本、「どうしちゃったんだろう?」と思うことが増えました。

 ことに、ワクチン接種関連に着いては、オリンピックという大きなイベントが行われる、実際にもう始まってしまっているのに、なんで、こんな時間のかかることをやっているのでしょうか?

 フランスと日本では国民性も違い、これまでも日本は、フランスのようなロックダウンをせずに感染を抑えてきた実績があるので、日本には日本のやり方があって、それはそれで回っていくのかもしれませんが、どうにも、もどかしく思えてならないのです。


日本のワクチンパスポート


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2021年7月28日水曜日

柔道は意外とフランスに浸透しているスポーツ フランス人 女子柔道家 クラリス・アグベニェヌ金メダル <フランスの柔道>

  



 現在、開催中の東京オリンピックは、フランスでもライブ中継されていて、国営放送局のどこかで必ず、放送されていますが、当然のことながら、フランスでライブ中継されている競技は、フランス人が出場している種目が中心で、あまり日本人選手の活躍をオンタイムで追うことはできません。

 フランスからは、今回のオリンピックには、378人の選手が出場していますが、オリンピック競技には、33競技もあるうち、各国から全競技に出場するわけでもなく、こうやって海外でオリンピックをあらためて見ていると、国ごとのオリンピックの得意?競技というのは、なかなか違うものだなぁと思って見ています。

 昨日、放送されていたフェンシングや馬術などは、日本ではあまりポピュラーとは言い難いスポーツですが、フランスでは、きっと日本よりは、一般の人でも触れる機会のあるスポーツでもあります。

 東京オリンピックからスポーツクライミングとして新たに競技種目に加わったボルダリングなどもフランスでは、かなり一般的なスポーツで、多くの学校にボルダリングの施設?が備え付けられています。

 現に、娘が小学校に通っていた頃は、学校で乗馬の合宿のようなものがあったし、希望者には、フェンシングなども学校で習う機会もありました。

 逆にフランス(ヨーロッパは概して同じだと思いますが・・)では、野球はマイナーな存在だし、バレーボールをやっているとか、熱狂的に観戦するという話もあまり聞きませんし、フランスの学校には、日本の学校のようにどの学校にもプールがあるわけではありません(むしろ、学校にはプールがないのが普通)。

 ところが、意外なことに柔道というのは、フランスではかなり全国的に浸透しているスポーツで、小学生がお稽古事?にしているスポーツは、女の子は圧倒的にバレエですが、男の子は、サッカーか柔道が一般的なのです。

 実のところ、ご本家の日本よりもフランスの方が柔道人口は、圧倒的に多いのです。

 1933年にフランスに柔道が紹介されて以来、1946年にフランス柔道連盟が設立し、それほど歴史が長いわけでもないのに、柔道がフランスにこれほど浸透していることは、不思議なことでもあります。

 オリンピックの柔道では、見ることはできませんが、フランスの柔道は、帯の色も段階が細かく分かれていて、黄色、オレンジ、グリーン、ブルー、茶色などの日本にはない色も存在します。

 フランス語でも柔道はJUDOですが、競技としての柔道だけでなく、フランス語では、柔道の選手のことを柔道家(JUDOーKA)と呼ぶのも、フランスでの柔道の浸透具合がうかがえます。

 昨日、フランス人の柔道家クラリス・アグべニェヌが63キロ級で金メダルを取ったことは、もうその日の1日だけでも何度、彼女の映像がテレビで流れたか、数え切れないほどです。

 彼女は今回、フランスから東京オリンピックに派遣された選手の中でも、最も期待されていた選手だっただけに、開会式のフランス国旗の旗手にも選ばれていました。

 これまでに(7月27日現在)フランスが取ったメダル7つのうち、4つが柔道であることも恐らく日本が持つフランスのイメージとはかけ離れたものであると思われますが、フランスでの柔道人口の裾野の広さを考えれば、不思議なことではないのです。

 フランス人には、日本の伝統的な文化に対して、畏敬の念を持っている部分があり、○○道、と道のつくスポーツには、少し格別な印象があるようですが、今や柔道はJUDOで、その語源などは、あまり知らない人の方が多いと思います。

 しかし、その礼儀正しさや、いざとなれば護身にもなり、身体や精神を鍛えることができ、何よりもあまりお金がかからないところもフランスで身近な存在へと普及していった理由かもしれません。

 これまでも、全日本の柔道の選手なども、振興試合のためか、かなり頻繁にパリにいらしているのを見かけることも多かったです。

 日本の伝統的なスポーツがこれほど海外で広まり、小さい子供にまで浸透することは、なかなかないことかもしれませんが、柔道は、かなりフランスではメジャーな存在なのです。


フランス柔道


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2021年7月27日火曜日

ヘルスパス起用で映画館がガラガラになった・・

   


 7月21以降、フランスでは、50人以上を収容できる全ての文化施設、娯楽施設でヘルスパス(ワクチン接種2回接種証明書かPCR 検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)の提示が義務付けられています。

 これには、たとえ50人以上が入場していなくても、50人以上収容可能な映画館、劇場、コンサートホール、プール、スポーツジム、遊園地、展示会、見本市などが含まれています。

 フランス屈指の観光地であるルーブル美術館などでも、ヘルスパスのチェックが開始されています。

 ことさら、この中でもヘルスパスによる被害を被っているのが映画館で、このヘルスパス提示が義務付けられて以来、収益70%減という壊滅的な被害を被っています。

 不謹慎ではありますが、これを聞いて、今なら映画館はガラガラ・・ワクチン接種が済んでいる私は普段は映画館にはほとんど行かないくせに、「たまには、映画でも見に行こうかな?」と思ったほどです。

 しかし、この状況にフランス人が黙っているわけはありません。FNEF(Fédération National des éditeurs de Films)(フランス映画連盟)は、フランス政府に対し「映画館のための大規模な緊急援助」と、「部分的な活動メカニズムを含む援助」を求める声明を発表しています。

 とはいえ、美術館、プール、遊園地など、他にも同じ制限を課せられているのに、映画館ばかりがこれほどの壊滅的な被害を被るには、他にも理由があるに違いありません。

 現在は、バカンスシーズン中、観光先でわざわざどこでも見ることができる映画は、ワクチン未接種の人がわざわざPCR検査を受けてまで見にいく対象に選ばれていないということです。

 それでも、このヘルスパスによって、他の美術館やプール、遊園地などに行くことを断念している人もいるでしょうが、気候の良いシーズンに開放的に楽しむことができるプールや遊園地、ここでしか見ることができない美術館のためなら、検査を受けてでも、行きたいと思う人は多いのではないでしょうか?

 映画ならば、今は、ネットフリックスでもアマゾンプライムでも色々と映画を見る手段は手元にすぐにあるのです。

 ヘルスパスの発表があって、慌ててワクチン接種を受けた人も、2回の接種が終わり、さらに一週間の期間が必要となれば、まだまだ多くの施設でヘルスパスとしてワクチン接種証明書を使用することはできません。

 今後、ワクチン接種がさらに拡大されていけば、気軽に映画を見に行ける人も映画館に戻っては来るとは思いますが、現在の映画業界の別の問題も浮き彫りにしています。

 8月初旬からは、カフェ、レストラン、バーなどの恐らくもっともっと大勢の利用者がいるであろう場所でのヘルスパスの起用が控えています。

 ヘルスパスの起用に関しては、議会でも喧々轟々、議論されていましたが、カフェ・レストラン・バーに関しては、テラス席も含めて、ヘルスパスの提示がない限り、利用できないことになっています。

 これは、映画館以上に利用者が多く、日常的なことでもあるため、これで利用客が減り、減益になることが問題になるより先に、利用者の方が騒ぎ出す=ヘルスパス反対デモが拡大する懸念があります。

 バカンスシーズンでのこの規制は、キャンプや別荘滞在ならば、いざ知らず、ホテルに滞在する予定の人がヘルスパスなしには外食ができないとなれば、大変、不便なことです。

 ヘルスパスについての発表があったのは、7月12日ですから、その発表後、慌ててワクチン接種に走ったとしても、8月のバカンスには、ギリギリ間に合うかどうかのタイミングです。

 ましてや、頑としてワクチン接種に反対している人も一定数いる限り、8月1日以降のヘルスパス反対のデモは、さらに激化することが予想されます。

 しかし、フランスの感染状況は、悪化の一途を辿り続けています。地域別の感染状況を見ると、見事に人々がバカンスに出かけている地域に色濃く表れ始めています。

 つまり、ワクチン接種の拡大、ヘルスパスの起用は予断を許さない状況でもあるのです。

 バカンスシーズンだから、デモも起こりにくかったとも思われていたヘルスパスの起用は、バカンスだからこそ怒りを買うかもしれなかった一面が、これからさらに表れてくるかもしれません。


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2021年7月26日月曜日

「生きながら死んでいる」と言っていたフランスの若者を思う ワクチンで自由を勝ち取れ!

 

   東京五輪開会式の翌日、タヒチの病院を訪問してワクチン接種を呼びかけるマクロン大統領


 東京オリンピック開会式に出席するために来日していたマクロン大統領は、オリンピックに参加しているフランス選手に会ったり、菅総理との日仏首脳会談の他、マンガ作家を訪問し、フランスのカルチャーパスに見られる日本の文化とフランスの結びつきを語ったり、日本のビジネスリーダーに会ってフランスをアピールしたり、ほんの1日のスケジュールを精力的に動き回り、翌日には、ポリネシアに向けて旅立ちました。

 タヒチの病院を訪問したマクロン大統領は、「科学はウィルスに対抗する武器を与えてくれています!ワクチン接種を受けてください!」と訴えていました。

 フランス本土では、バカンスシーズンというのに、「ヘルスパス」反対の大きなデモが起こっていますが、マクロン大統領の叫びは、フランス本土にも届くでしょうか?

 ワクチン接種は、高齢者を優先に開始されたこともあり、若年層へのワクチン接種率が遅れている側面もありますが、感染しても重症化しにくいことや、ワクチン接種による後々の副作用がわかっていないことから、今は大丈夫でも、10年後にはこのワクチンによる影響が表れるかもしれない・・などの不安から、できれば先延ばしにしたいと思っている人も少なくありません。

 将来のある若者にとって、10年後のワクチンの副作用を不安に思う気持ちもわからないではありません。しかし、同時に、いつまでもワクチンをせずに、ウィルスの蔓延を止めないことが、いつまでも制限された生活を続けることであることも忘れてはなりません。

 これは、パンデミックですから、多かれ少なかれ、どの国のどんな世代の人も、やりたいことができない大切な時間も機会も奪われてきました。80歳の一年間も10代、20代の一年間も全然、意味合いは違うけれど、どちらも大切な時間です。

 ことに将来を大きく作用する大切な経験を積み重ねていく年齢である若者にとっては、パンデミックは、その年齢にしかできないことが、制限されてしまう、大変、残念な出来事でした。現に我が家の娘も、長年計画していた、この年齢にしかできなかった日本への留学を断念せざるを得なくなりました。

 私は、以前、学生を大学や学校から締め出すコロナウィルス対応に抗議する内容の手紙をマクロン大統領宛に送った学生の手紙を思い出しています。

「私は生きながら、死んでいるような気がする」「希望がない、自分の人生がないような気がする」と彼女は手紙で訴えていました。

 あの時は、マクロン大統領は、「19歳という年齢にこのパンデミックを迎え、どれだけの困難に直面しているか、多くのものを奪ってしまっているかを深く考え、理解しています。それでも、率直に言って、私たちはまだまだ頑張らなくてはなりません。もう一度、努力することをお願いします」と返事を送っていました。

 そして、現在は、ワクチン接種をすれば、かなりの自由が許されるようになりました。そして、今は、望めば、ワクチン接種は誰にでも受けられるものになっているのです。

 現在、フランスで大きなデモを呼び起こしている「ヘルスパス(ほとんどワクチンパスのような存在)」は、今後、まだまだ当分の間は、世界中でワクチン接種なしには、身動きができなくなる状態が続くでしょう。

 「自由」を叫んで、デモをする人々は、結果的に自分から、「自由」を放棄していることになります。

 私は、若者には、10年後の副作用の心配よりも、ワクチンをせずに失われ続ける時間を考えて欲しいと思っています。

 「ワクチンをしない自由」もたしかに、自由な選択肢の一つであるかもしれませんが、現状の世界中のウィルスとの戦いを見るにつけ、その自由は、誰かの命を危険に晒すものでもあります。

 周囲の人を尊重することができない自由は、身勝手なエゴです。現在のウィルスの拡大の勢いは、ワクチンでしか止めることはできません。

 ワクチン接種を受けることで「自由」を手に入れると考えることはできないでしょうか?

 マクロン大統領に手紙を送ったあの学生は、ワクチン接種を受けたのだろうか? 彼女がワクチン接種を済ませ、今は真に生きていると感じられる生活を送ってくれているといいなと思います。

 マクロン大統領がタヒチの人々に訴えていたように、科学はウィルスに対抗する武器を与えてくれたのです。



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