2021年6月25日金曜日

フランスでのインプラントの手術

   


 パンデミックのために、のびのびになっていたインプラントの手術が本当は、今週の始めに行われる予定でした。それが、手術のために取り寄せているものがまだ届かないからと日程がずれ、ようやく第一段階の手術の日がやってきました。

 これまでも、その前段階の周囲の歯の治療や検査も、ロックダウンのために何度となく延期になったりしていたので、今回の手術の延期も「またか!」とは思っていました。

 しかし、今回は、もう1ヶ月以上も前に予約を入れていたのに、(それでさえ、途中にワクチン接種の予定などが入ったために、ワクチンをしてから、少なくとも2週間は間隔をおいた方がいいというので、その予定も込みでかなり先にずらして予約を入れた)「なのに、必要なものがまだ届かないなんて、どういうこと??」と、ちょっとムッとしていました。

 「1ヶ月以上も猶予があったのに、間に合わないってどういうことよ!」と家でボヤいていたら、あっさり娘に「ママ、それは、フランスだからだよ!」と言われて、イラついていた私も、「そうだった・・ここはフランスなんだった・・私としたことが、こんなことで腹をたてるなんて・・」と反省。

 しかし、初めてのインプラントの手術、インプラントをやったことのある友人から少々、話は、聞いていたものの、普通の歯の治療とは、ちょっとレベルが違って、下準備や検査にも散々、時間がかかり、2日前から、抗生物質の薬を飲んで・・などと言われていたので、未知の経験にちょっとナーバスになっていたのでした。

 手術の予約をした時点で、いつもの歯の治療とは違って、手術ということで、同意書にサインが必要だったりしたので、余計に身構えていたのです。

 抗生物質の薬を飲み始めた翌日に、その歯医者さんから電話が入ったので、「またか?」と一瞬、うんざりしたものの、それは、「手術の予定と薬をちゃんと飲みましたね!手術当日の朝はしっかり朝食をとって来てください」という確認の電話でした。

 当日、歯医者さんに行くと、コロナ禍だからか、いつもの歯の治療にも増して、厳戒な衛生体制、手術前の麻酔は別室で、麻酔を打っている間に、手術をする部屋には床にまでシートが敷かれ、頭から履いている靴にまでカバーをするという見たことのない光景に少々、ビビりました。

 手術は、いつもの歯医者さん以外にもう一人の医者とアシスタントという3人がかりの体制で始まりました。私の顔には、口だけが開いたシートが貼り付けられ、私には、全く見えない状態で、声だけが聞こえてくるという怖さが軽減されたような、不安が掻き立てられるような奇妙な感じでした。

 しかし、麻酔をしているために、手術中はあまり痛みは感じられませんでしたが、後でチェックのために撮られたレントゲン写真を見たら、「うわっ!」と思いました。

  



 抜いた歯の後の部分の歯茎を切って、歯の根っこの部分となるネジのようなビスが埋め込まれ、切った後は糸で縫われているのです。話には聞いてはいたものの、これが私の歯茎に埋め込まれたんだ・・とちょっとギョッとしました。

 ついつい身構えて、身を硬くしてしまうところを何度も「力を抜いて!」と言われ続けて、耐え続け、「もう少しで終わるから・・」と言われて、ホッとしたのも束の間、それからがまた長く、結局、手術は、1時間半ほどで終わりました。

 「今日は、熱いものは食べないで!運動もしないように!アルコールもだめ!当分の間は、固いものも食べないように!」と言われて、口内消毒液と痛み止めの鎮痛剤の処方箋をもらって、術後のチェックのために3日後に予約を入れて、薬局に寄って、薬をもらって帰って来ました。

 家に戻ってしばらくは、麻酔もまだ効いているために痛みもなく、「ようやく、半年以上も待った手術が進んだ・・」とちょっと放心状態でしたが、そのうち麻酔が切れてくると、これは痛い!!痛みというものは、この上なく不快で想像以上に疲れるものだったことを思い出しました。その上、歯だけではなく、頭痛もしてきて、なんだか微熱まで出てきます。

「痛み止めも1日3錠までね!」と言われていたので、そうそう頻繁に飲むわけにも行きません。正直、どちらかといえば、先日受けたコロナウィルスのワクチン接種の副反応の方を恐れていましたが、そちらの方は、ほとんど何もなく、まさかのインプラントの手術で、この痛みと発熱、だるさ・・。

 結構な費用がかかるものの、美味しいものを美味しく食べたいという私の食い意地からやることにしたインプラント。しかし、当面の間は、美味しいものどころか、満足なものも食べられないという試練の日がしばらくは、続きそうです。


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2021年6月24日木曜日

イル・ド・フランスの洪水被害 セーヌ川の排水網は、なぜ改善されないのか?

  



 フランスには、地震というものがないからか? フランス人は、災害というものに対して、少々、弱いのかな?と思うことがあります。今回のパンデミックは、災害と言ってもよいような規模のものでしたが、これは、ちょっと例外的な出来事で、一般的な災害とは少し違っています。

 それでも、最近のフランスでの災害といえば、洪水で、しかも、街中が水浸しになるような、かなりの被害です。

 私がフランスに来たばかりの頃(20年以上前)は、大雨が続いたりすると、セーヌ川の水位が上がり、水位が上がるとバトームーシュ(パリ市内のセーヌ川の遊覧船)が橋の下を通れなくなって、欠航になっている・・などという話は時々、耳にすることはあったのですが、街中が水浸しになるなどということはありませんでした。

 しかし、ここ5〜6年は特に、洪水の被害の話を頻繁に聞くようになり、すぐにセーヌ川が溢れ、こんなに度々、川の水が溢れ出すのに、なぜ対策を取らないのか不思議に思ってきました。

 しかも、街中が水浸しになったり、床上浸水するほどの被害が出ているにもかかわらずです。山の中でもあるまいし、都会の街中での話です。

 つい先日もイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)のウイユ(イブリーヌ)という街が集中豪雨のために、通りが浸水し、排水網が水を捌き切れずに、街ごと水浸し状態になり、消防隊要請の電話が600件以上にも上り、終いには、「命の危険がない場合は電話しないでください」とまで言い出す始末に・・。

 セーヌ川はパリの真ん中をジグザグしながら、パリの北と南を分けるように約8㎞にわたって流れているので、パリの中心は、どこへ行ってもセーヌ川にぶち当たるような感じもあり、また、この街中を流れる水のある景色がこの街に風情を加えています。   

 RATP(パリ交通公団)のマークに入っているこのブルーのラインは、パリとパリに流れるセーヌ川を表したものであると言われています。

             

 パリの街に趣を与えてくれるセーヌ川は貴重な存在で、1991年には、世界文化遺産としても登録されています。逆に世界遺産などになると、余計に手を加えにくいところもあるのかもしれませんが、洪水被害がこう頻繁に起きては、このまま放置するわけにも行きません。

 以前は、6月にこんなに気温が上がることもなかったし、真夏の猛暑もパリにはありませんでしたが、ここ数年は、夏には40℃を超える異常気象。かと思うとアフリカのような豪雨。

 明らかに地球温暖化による気候の変化だと思われますが、フランスでは、対策として、自動車の規制やスーパーマーケットのレジ袋の廃止などのプラスチック問題や、冬場のカフェのテラス席に使われていた暖房器具の禁止や外気が30℃以上の場合の冷房使用時には、ドアを閉めるなどの規制も敷かれています。

 しかし、2014年、2015年に制定された地方分権法により、コミュニティ間(大都市圏、都市コミュニティ、自治体)が環境の管理と洪水の防止対策を取ることができるようになっているにもかかわらず、たくさん起こっている洪水被害に対する直接的な対策は何も取られていません。

 こう頻繁に水害のニュースが上がってくる映像を見ていたりすると、発展途上国でもないのに、なんでこんなことに??と思わずにはいられません。

 さらに被害が深刻になると予想される将来のための壮大な小さな一歩一歩的な対策は、進んでいても、すでに起こっている現実の被害に対する対策が取られていない状態です。

 2024年のオリンピックはパリだそうですが、夏場の異常気象とともに、オリンピック開催中に、大雨で洪水・・なんてことにならないように、これを機に何か対策を講じてくれることを願ってやみません。


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2021年6月23日水曜日

フランスが秋には第4波を迎えるリスク 政府から送られてきたSMSのメッセージ

  


 現在のところ、フランスのコロナウィルスの感染状況は、確実に減少してきています。これは、これまでのロックダウン等の数々の日常生活における規制とワクチン接種の拡大、気温の上昇によるものと思われます。

 しかし、フランス政府は、9月から10月にかけて、コロナウィルス感染の第4波に襲われることを非常に懸念し続けています。

 政府の科学評議会の議長ジャン・フランソワ・デルフラシーは、秋にかけてフランスに第4波が到来することを警告しています。

 第一に懸念されているのは、インドで爆発的に感染拡大したデルタ株の存在で、ワクチン接種の拡大に成功したイギリスが、一度は、すごい勢いでロックダウンを解除し始めたにも関わらず、この変異株による感染拡大のために、日常生活に関わる全ての規制を解除することを延期したほどで、フランスにとってもこの感染力がこれまでのイギリス変異種などに比べて格段に感染力が強力な変異種をどれだけ抑えることができるのか?を非常に警戒しています。

 現在のところ、フランスでは、1日50〜150例のデルタ株による感染者が発見されていますが、実のところ、現在の一気に開放的になっているフランスでは、検査を受ける人もかなり減っていると考えられ、また、その検査で陽性になった人がどの変異種による感染なのかをきっちりと検査しきれているのかは、甚だ疑問です。

 昨年、一度、春から夏に向けて、感染が減少した段階で、一気にフランス人は、バカンスに出かけ、秋には、感染が再拡大したという苦い経験を持っています。昨年と大きく異なるのは、ワクチン接種が始まっているということで、これは大きな違いです。

 しかし、フランスにしては、かなり頑張って、これまで凄い勢いで進んできたワクチン接種もここへきて、予約が大幅に減少し始めており、一時は、1日35万人の予約が入っていたものの、現在の予約は、1日20万人ほどまでに減ってきており、当然、これまでにワクチン接種が済んでいる人は、予約しないわけですから、減少するのは、あたりまえといえば、あたりまえなのですが、それでもまだ、フランスでは、ワクチン接種を1回でもした人の割合は、全国民の半数には、至っておらず、まだまだワクチン接種をしなければならない人は、これまで以上に残っているのです。

 逆に以前のペースでワクチン接種が進んでいれば、現在は1回目と2回目のワクチン接種をする人が重なって、ワクチン接種の予約は、さらに混雑状態になっていたはずなのです。

 ここから先のワクチン接種が滞るのは、ワクチン接種を未だにためらっている人や、アンチワクチン論者の人たちで、この先のワクチン接種の拡大は、これまで以上の難題になります。

 そして、最も不安視されているのは、6月30日に再開する1000人以上のコンサートや7月9日に15ヶ月ぶりに再開されるナイトクラブやディスコでの感染拡大です。

 一応、コンサートやナイトクラブ・ディスコの再開に関しては、ワクチン接種証明書、あるいはPCR検査の陰性証明書、過去6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書のいずれかの提示が求められることにはなっていますが、収容人数の75%、マスク着用は推奨されますが、義務ではありません。

 コンサートやナイトクラブ、ディスコに行くような層のフランス人が義務化されてもいないマスクをするわけはなく、ある程度の実験データに基づく措置ではあるものの、実際にこの場が解放されることは、やはり、かなりリスキーなことであるに違いありません。

 現在、フランスで、ここまで感染が減少してきたのには、ワクチン接種の拡大と、かなりの生活制限や気温の上昇からの恩恵によるもので、日常生活がすっかり解放され、人々はバカンスに出かけ、ワクチンの接種もストップすれば、気温が下がり、ウィルスがより活発に飛び回る季節になり、ある一定数の人々がガンとしてワクチンを拒否し続ける状態であれば、再び感染が拡大することも充分に考えられるのです。

 昨日、政府からと思われるSMS(メッセージ)が私の携帯に入ってきました。政府からのメッセージが私個人の携帯に入るのは、昨年の3月に最初にロックダウンになった時以来のことです。

 「もしも、あなたがまだワクチン接種をしておらず、まだ予約もとっていないなら、こちらのサイトから予約してください。電話予約の場合は、0800730956(8時〜20時)、もしくは、かかりつけのお医者さんに相談してください。」

 最初のロックダウンの時にSMSが来た時は、「何で私の電話番号、知ってるんだろう?」とちょっと嫌な気分にもなったのですが、考えてみれば、税金の申告や健康保険証の登録などにも携帯の番号は記載してあるので、いくらでも政府側が持っている個人情報はあるわけです。

 それよりも一斉に全国民宛にメッセージを送るという大々的なことをフランス政府がやるということにその深刻さを感じたのです。

 ですから、今回のメッセージは、マクロン大統領が「私たちは、今、戦争状態にある」と宣言した後のあの緊張感に満ちた時以来、政府が第4波回避のためのワクチン接種の拡大をどれだけ真剣に取り組んでいるのかをまざまざと感じさせられるものだったのです。



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2021年6月22日火曜日

フランスで衰退しない商売の一つ フランスのメガネ屋 久しぶりにメガネを作りました

 

来るたびに綺麗になっている気がするメガネ屋さん


 私の生まれ故郷は東京で、2〜3年、行かないでいると、久しぶりに行った時には、何だかガラッと景色が変わってしまっていたりするところもあるのに比べて、パリはあまり変わらないなぁ〜と思ったりもするのですが、それでも、テロやデモや黄色いベスト運動などで騒々しくなり始めて以来、ダブルチョップで、パンデミックが覆い被さるように経済にも大きな被害を与え、街並み全体は変わることはなくとも、閉店に追い込まれた商店も少なくはなく、ロックダウン解除され、街が動き出すとともに、店舗の入れ替わりもなかなか激しく、もしかしたら、パリのガイドブックなどは、大幅な修正を強いられるのでは??などと思っていました。

 そんな中、ここ数年来、これだけは衰えないな・・と思うのがメガネ屋さんです。

 これは、フランスの保険のシステムとも関係があり、国民健康保険でもかなりカバーされる上に、ミューチュエルという国民健康保険ではカバーできない部分をカバーしてくれる保険の存在が大きいのです。

 若い世代は、あまり健康に不安もなく、このミューチュエルという保険に入っていない人も結構いることにびっくりしたくらいですが、まあ、かなりの割合で、フランス人は、このミューチュエルの保険に加入しています。

 私もフランスに来て以来、日頃は特に問題があるわけではなくとも、もしかして、入院・・手術・・なんてことになったら・・と不安に思って、ずっとこの保険に入ってきました。

 このミューチュエルは、契約の内容によってカバーされる金額や内容が変わってくるのですが、この保険の中には、メガネを作る補償が含まれており、契約内容にもよりますが、1年あるいは、2年に1回はその保険でメガネを作ることができるのです。

 私は、もともと視力が悪い方ではなかったのですが、加齢とともに視力が落ちて、近くを見るメガネが必要になってからは、定期的にメガネを作ってきました。

 まず眼科に行って、視力のチェックをしてもらって、処方箋のようなものを作ってもらい、それを持ってメガネ屋さんに行けば、メガネ屋さんの方で保険でカバーされる分を計算して、見積もってくれます。

 もう10年以上も毎年のようにメガネを作ってきたので、そんなにメガネばかりいらないか・・と思ってしばらく行かなかった時期もあったのですが、視力は衰える一方で、微妙に、メガネも合わなくなってきてしまうので致し方ないところもあります。

 私が長いこと通っていた近所の眼科は、予約をとっても予約が予約ではないように時間がかかるので、正直、うんざりしていたのですが、最近になって、娘がチェーン展開のPOINT VISION(ポアン・ヴィジョン)という眼科を見つけてきて、Doctolib(ドクトリブ)というネットのサイトで簡単に予約が取れ、スムーズにすむ眼科を見つけてきてくれて、ロックダウンが解除になった時点で、その眼科に行って処方箋はもらってきてあったのです。


パリ市内にあるチェーン展開の眼科


 その眼科では、予約の時間も予約どおり(本当は、あたりまえのことなんですが・・)システマティックに検査が進むようになっており、今までよりもずっと細かい検査もしてくれて、実に満足のいく内容でした。

 そして、その後、いつも行くメガネ屋さんから、「営業再開しました!」のお知らせは度々、メールが来ていたのですが、何かと後回しになっていて、昨日、ようやく久しぶりにメガネ屋さんに行ってきたのでした。

 いつ行っても光り輝くような店内で、行くたびに設備が整って綺麗になるような印象のメガネ屋さんも、その店舗はコマーシャルセンターの中に入っていたために、ずっと営業ができずに閉店状態が続いていたのです。

 メガネを色々と試しながら、フレームを選んでから、色々な手続きをしてもらっている間に店員さんと世間話などしながら、メガネを数年ぶりに注文してきました。

 「ロックダウン中は、どうしてたの?」と聞くと、「1回目のロックダウンの時は、全く仕事はしてなかったけど、その後は、フルタイムではないけど、少しは仕事をしてたわ!」とのこと。

 「でも、国からの補償が出てたから、大丈夫だったんでしょ?」と聞いてみると、「全然、働けなかった時でも通常のお給料の80%はもらっていたから、全然、大丈夫。フランスってほんと、良い国だわ!」と言っていました。

 平日の昼間にもかかわらず、これまで来れなかった人が多いのか、意外とお客さんがいることにも驚きました。

 ミューチュエルの保険料は、使っても使わなくても定額を支払っているために、私のようになんか、ただでメガネを作れるのにメガネを作らないのは、なんだか損しちゃう気分・・なんとか、少しでも取り戻さなきゃ・・と思う人は少なくないのです。

 メガネにも、微妙に流行りすたりがあり、毎年、見ていると、なんとなく今年は、こんな感じのものが流行りなのかな?という印象も受けます。今年は、どうやら、少し丸みのある若干大きめのフレームが多いようでした。

  

今年のメガネのモードがなんとなくわかる

 今では、保険云々以上に、メガネがなければ、読み書きはできない状態の私。メガネをしないで済むのならばそれに越したことはないのですが、それには、レーシックの手術を受けなければなりません。それはそれでまたちょっとハードルが高いです。


メガネ屋さんの店内にも視力チェックの機械は設置されている


 新しいメガネを注文したのは、メガネが合わなくなってきたこともあるのですが、今年いっぱいでミューチュエルの保険の乗り換えをしようかと考えていて、保険を乗り換える前に今まで支払った分を少しでも取り返そうというケチな根性もあるのです。

 いずれにせよ、この保険制度のおかげで、定期的にメガネを作り変える人が少なくないために、フランスではメガネ屋は比較的、パンデミックの影響も少なく、潰れるお店もあまりないのです。

 それにしても、最近、思うのですが、お店で店員さんに何か頼む時、若い人の方が断然、感じがいいな・・と。


●POINT VISION PARIS Centre Médical Ophtalmologique

   13-15 boulevard de la Madeleine 75001 Paris (tel.01.84.16.39.44)

POINT VISION PARIS RDV


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2021年6月21日月曜日

海外から見ると日本人の食卓はとてもレベルが高い

  


 以前、会社の同僚が子供が小さい頃に日本に子供を連れて行ったら、実家で出てきた朝食を見て、「お母さん、晩御飯みたいな朝ごはんだね・・」と言ったという話を聞いて、「さもありなん」な話だな・・と思ったことがありました。

 現在の日本の家庭の食事というものは、よくわかりませんが、いわゆる、よくありそうな日本の朝ごはんというものは、フランス人から見たら、朝から信じられないような食事です。

 一般的なフランス人の朝食は、パンにバター、ジャム、チョコレートペーストのようなものにコーヒーかカフェオレ、または、シリアル、せいぜいフルーツぐらいですから、日本のようにご飯にお味噌汁、焼き魚に副菜、漬物などの食事など、ちょっとあり得ないほどの手のかかり方です。

 日本だったら、洋食にしても、サラダや卵、ハムなど彩り豊かな食事が目に浮かびます。

 我が家も例にもれず、フランスでの朝食は、シリアルかパンで済ませてきましたが、仕事が休みの日だけは、日本のような和食の朝食を食べるようにしていました。

 しかし、海外生活を続けていれば、日本にいたら、きっと自分で作ることは決してなかっただろうな・・と思うようなものまで、手作りをしたりもしています。

 例えば、小さなベランダで日本の野菜を育てたり、パンとビールでぬか床を作ってみたり、納豆を作ってみたり、スポンジケーキやロールケーキを焼いてみたり、お団子を作ってみたり、・・こちらで何とか手に入る食品で、簡単には買えないものを何とか作ろうと暮らしています。

 フランスでは、女性も働いている人がほとんどなので、日本人とて、フランスに住んでいれば、仕事に家事に育児にと忙しくしていると思いますが、皆、色々、工夫して、まめに色々なものを作っています。

 我が家は、餃子が好きで、よく作るのですが、ニラも自分で育てて、餃子の皮とて、どこにでも売っているわけではないので、餃子の皮を買いに行くのが面倒な時は、皮から自分で作ります。

 考えてみれば、日本では餃子を家で作る家庭は多いと思いますが、キャベツや白菜、ニラ、ニンニクなどを細かく刻んで、具を寝かして、一つ一つ包んで焼くというなかなか面倒なお料理です。これを日常的に自分の家で何のことはなしにやってのける日本の主婦はすごいと思うのです。

 今では、フランスでも餃子は脚光を浴びて、一般の普通のスーパーマーケットで買えるようにはなりましたが、フランス人がこれを上手に焼けるのだろうか?と甚だ疑問でもあります。

 その餃子をフランス人が自分で家庭で作るようになるとまでは思いませんが、それにしても、フランス料理とて、ここまで手のかかる食事を日常的にフランス人が作っているとも思えません。

 たいていのフランス人の家庭の食事は、簡単なもので、夕食とて、パンとスープにハム、肉をちょっと焼くか、簡単な茹で野菜などの副菜、デザートにチーズやヨーグルト、ムースなどの乳製品程度で、そこまで食事に手をかけません。美食の国と言われるフランスの実際の日常の食事は、なかなか質素なものです。

 そこへ行くと、日本人の食卓は、健康に留意し、バランスよく、何品目もあり、季節の食材とともに、まことにレベルの高いものだと思います。

 フランスでも、最近、健康志向で、5 fruits et légumes par jour(1日5種類の野菜と果物を食べましょう)などと呼びかけられていたり、Bio(オーガニック)の食品がやたらと増えたりはしていますが、だからと言って、家で手間暇かけた料理をしているというイメージはありません。

 時間をかけるといえば、ポトフのような煮込み料理か、何かオーブンに放り込んで焼くか、時間はかけてもさほど手はかけない・・そんな感じです。

 日本には、「医食同源」という言葉があるように、少しでも身体に良い食品を取ろうという意識が並外れて高いような気がします。テレビ番組である食品が身体に良いと放送されると、その食品がたちまち売り切れになったり、1日350g30品目の野菜が推奨されているとおりに、これ1本飲めば、1日に必要な野菜を摂取できるという野菜ジュースなどが、大ヒット商品になっていたりします。

 それに比べて、フランスは、野菜を少しでも食べようという気持ちはわかっても、日本人の私からしたら、その味覚を疑いたくなるような、茹でたグリンピースや人参の瓶詰め、缶詰などが結構、売れているのです。

 華麗なおフランスのイメージを持っていらっしゃる方には、誠にその夢を壊すようで申し訳ないのですが、実際のフランス人の食生活は、そんなものです。

 フランスでは、外食に関しては、非常にコスパが悪いものが多く、大したものでなくとも日本円に換算するとバカらしいほど高いものが多いのですが、うちの娘などは、「フランス人は、家で大した料理をしないからだよ・・」などと言います。

 実際に、フランス人にとっての外食は、そのお店の雰囲気を楽しみ、人と話し、集うことにも大きな意味があるので、また別のエッセンスが加わるので、単にその食事そのもののみの値段に換算することはできないのかもしれません。

 とはいえ、フランスにもたくさん美味しいものがありますが、日常的に手間暇かけて食事を作っているかといえば、それは日本のレベルには到底及びません。

 海外に出て、日本ではあたりまえだと思っていたことが、あたりまえではなかったと思うことはたくさんありますが、日常の食事も日本のレベルは、決して当たり前ではない、なかなかなレベルのものなのです。

 2013年に和食が世界遺産に登録されましたが、それも海外(フランス人)の食生活を見ていると、頷けるような気もするのです。

 にもかかわらず、フランスは、少子高齢化の国ではないために、あまり目立ちませんが、なかなかな長寿国でもあるのです。日本に比べると、決して健康的とは思えない彼らの食生活で、なぜ、彼らは長寿なのか?と、時々、不思議に思います。

 思い当たることがあるとすれば、彼らはストレスをためずに発散していることか? りんごをよく食べるということでしょうか?


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2021年6月20日日曜日

高齢者施設の介護者へのワクチン接種がびっくりするほど進んでいない!ワクチン接種義務化の是非

  


 フランスでの新型コロナウィルスのワクチン接種は、現在、全国民の47.40%が少なくとも1回は、ワクチン接種を受けている状態にまで進んできており(2回の接種が済んでいるのは、26.70%)、国民の約半数がワクチン接種を受けた状態になるまで、あともう一歩となりました。

 1回目のワクチンを受けたと言うことは、2回目も受けることを受け入れているのがまずは、前提で、現在は、1回目を受けた時点で2回目のワクチン接種の予約を入れることになっているので、少なくとも50%以上の人のワクチン接種は、ここ1ヶ月くらいの間に2回目も完了することになると思われます。

 しかし、ここへきて、EHPAD(エパッド)と呼ばれる高齢者施設の介護者のワクチン接種率があまりに低い事実が浮上し、高齢者施設で働く介護者に対するワクチン接種を義務化するべきではないか?という話題が持ち上がっています。

 一般の病院、医療施設でのワクチン接種率が85%にまで達しているにもかかわらず、高齢者施設で働く介護者のワクチン接種率は50%程度で、感染した場合に重症化するリスクの高い高齢者施設においては、非常に危険なことです。

 ワクチン接種開始にあたって、当初、マクロン大統領は、「ワクチン接種を希望する者に対しては、全て無料でワクチン接種を行う」と発表していましたが、この「希望する者」という文言が入っていたということは、義務ではないということでもあります。

 当初はワクチンに対して懐疑的であった人もかなり多かったフランスですが、世界各国でのワクチン接種による感染減少の様子を目の当たりにして、ワクチン接種を希望する人がたくさんいます。

 しかし、依然として、一定数のアンチワクチン論者は、常に存在し続けるわけですが、ワクチンをしなければ、自分が危険なだけでなく、他人をも危険に晒すという観点からも、特に高齢者施設で働く介護者がワクチン接種を受けることは、倫理的にも、仕事の一環であるとも言えます。

 ワクチンはすべての人が無料で利用でき、現在は、困難なことではありません。オリヴィエ・ヴェラン保健相は、現在のこの深刻なワクチン接種が進んでいない高齢者施設の介護者とその雇用主に対して、できる限りワクチン接種を受けるように呼びかけていますが、夏の終わりまでにこの状況が改善しない場合には、義務化することも検討すると語っています。

 特にデルタ株(インド)と呼ばれている変異種の感染拡大によって、気温が低下する新年度が始まる秋頃になった頃に第4波を迎えてしまうことをフランス政府は、とても警戒しているのです。

 フランス政府は、この第4波を回避するために、8月末までに全国民の85%へのワクチン接種完了を新たな目標としています。

 我が家の娘は、4月から、パリにある病院内にある研究所でスタージュをしていますが、仕事を始めてすぐに病院側から、すぐにコロナウィルスのワクチン接種を受けてくるように言われ、その当時は、彼女の年齢では、普通はワクチン接種は不可能だったので、「ラッキー!」とばかりにワクチン接種を受け、とっくにワクチン接種は、完了しています。

 一緒に仕事をしている周囲の職場の人々も100%ワクチン接種が済んでいて、最初は、病院でスタージュ?と聞いて、危険ではないのかな?と思った私も、むしろ、全員がワクチン接種が済んでいる職場など他にはなかなかないかも・・と思い直したのでした。

 また、彼女が病院内の研究所でスタージュを始める前の段階で、これまでに彼女が受けてきたワクチン接種(幼少期からフランスでは、いくつもの義務化されているワクチン接種があります)の履歴全てを提出しなければならなかったりで、コロナウィルスに関わらず、病院(研究所)での感染症や疾病等の危険へのチェックは、かなりきっちりしているんだなぁと感心したくらいです。

 フランスでの幼少期から義務化されているワクチン接種は、かなりたくさんあり、フランスで育ってこなかった私は、フランスで義務化されているワクチン接種の種類やタイミングがわからず、かかりつけのお医者さんに定期的に娘の Carnet de Santé (カルネ・ド・サンテ=生まれてからの医者の記録を綴っているノート)を持って通っており、このワクチン接種をそろそろしなければいけない年齢を度々チェックしてもらい、娘のワクチン接種は、滞りなく進められてきました。

 コロナウィルスワクチンに関しては、まだ開発されたばかりのワクチンで、義務化はされる段階ではないのかもしれませんが、ワクチン接種を義務化するということは、不可能ではない事象で、今後、医療従事者や介護者に関わらず、コロナウィルスのワクチン接種が義務化される日は来るかもしれません。

 コロナウィルスワクチン接種の義務化に関して、マクロン大統領は、「当事者への信頼と信念に賭ける方が義務化するよりも、効果的である」と述べています。確かに本人が自らその気になってくれることの方が好ましいことではありますが、その崇高な親心がわからない国民は、けっこう、少なくないのです。

 しかも、医療介護者という仕事に付きながら、このような事態。

 しかし、このことで、ただでさえ人手不足のこのセクターがさらに人員不足になることも心配されているのです。



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2021年6月19日土曜日

フランスで日常が戻るとすかさず始まるのはストライキ



 5月の初旬にようやく10㎞以上の外出制限が解かれて以来、フランスは、あれよあれよという間に、レストラン・カフェのテラス席が再開し、美術館、映画館、デパートなどもオープンし、6月半ばにして、屋外でのマスク義務化が撤廃され、来週からは、夜間外出禁止もなくなり、ますますコロナ前の日常にグングン近づいていく感じです。

 もちろん、まだ、屋内ではマスクが義務付けられているし、人数制限なども行われているので、すっかり元の日常というわけにはいきませんが、かなり、これまで失っていた自由を取り戻しつつあります。

 それは、ワクチン接種も私が予想していた以上に、「これがフランス?」というほど、どんどん進んでいて、感染者も順調に減少し、一時は、集中治療室の占拠率が140%!と言っていたのがウソのように、現在は、50%ほどまでに下がっている現状に裏付けられています。

 しか〜し! 日常が戻り始めると、途端に戻ってくるのがストライキというのが、フランスです。ロックダウン解除の第4段階の繰上げ(夜間外出禁止撤廃や屋外のマスク義務化撤廃)が発表されたのとほぼ同時に、待ってましたとばかりに発表されたのは、SNCF(フランス国鉄)やパリ・シャルル・ド・ゴール空港、病院等のストライキの決行予定です。

 SNCF(フランス国鉄)は、6月21日(月)運転手がストライキを予定しています。これにより、大幅な減便になるため、SNCFは旅行者に対して、彼らの旅行を延期するように忠告しています。

 これは、経営者側がSNCFの過剰人員を整理しようとしていることに抗議するストライキです。SNCFの労働組合トップは、他のドライバーによる穴埋めを妨げるために、路線ごとに、要求は異なってはいても、ストライキを予定している路線は、全て同じスケジュールで同時にストライキを行うと発表しています。非常にタチが悪いです。

 彼らは、鉄道セクターを競争に開放することに反対し、将来の入札を視野に入れ、そのためにすでに開始されている会社側の人員整理の対応に、「鉄道労働者には保証がない」と抗議しているのです。

 ここがフランスのダメなところで、国営鉄道が一括して運営しているために、競争がなく、競争がないために、改善されるべきところも改善されず、「鉄道労働者には、保証がない」などと言うのは、一般市民からすると、「ふざけんな!」と言いたくなります。SNCFは、定年退職の年齢が著しく低かったり(特にドライバー)、一般の職業に比べて、特典もかなり多い職業なのです。

 しかし、彼らはこれまでの自分たちの権利が侵害されることに抵抗しているわけです。乗客という人質をとって・・。

 また、ストライキの予定は、国鉄だけではなく、パリ、シャルル・ド・ゴール空港も2日間のストライキを発表しています。

 彼らは、賃金低下に繋がる労働契約を締結させる計画に異議を唱えています。ストライキは、18日から3日間続く予定です。

 また、7月1日には、5日間にわたる別のストライキも計画されており、これは、夏のバカンスに出発する人で溢れる7月最初の週末にかかるため、影響はさらに大きくなります。

 これらの公共交通機関のストライキの場合、減便や人員不足のために必然的に屋内での混雑が起こり、現段階では感染悪化の危険も孕んでいますが、フランス政府は、ストライキやデモは国民の権利として尊重する態度を取らざるを得ないため、回避することはできません。

 これまで、ロックダウン中でもデモ活動は行われ続けていたフランスですが、営業していないセクターも多かったために、労働に対するストライキは影を潜めていました。

 しかし、一度、社会が動き出すと、パンデミックによる経営不振からの経営者側の対策として開始される賃金カットや人員削減が始まり、いよいよ労働者によるデモやストライキが始まるわけです。

 直に国民に影響を及ぼす公共交通機関や空港などの公共施設に加えて、救急隊、病院、ラジオ局、テレビ局など、ストライキの話は、次から次へと聞こえてきます。

 少しずつ日常が戻り始めて、経済も復興していくと思った途端にストライキ、感染が悪化して、営業停止になっていた時は、「このフランス人が働きたいと言っているんだ!」と営業再開を求める人が喚いていましたが、いざ再開すると、労働条件についてのストライキで途端にストップしてしまいます。

 フランスの経済復興の道のりは、長くて険しく、騒がしいものになりそうです。


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