2021年6月25日金曜日

フランスでのインプラントの手術

    パンデミックのために、のびのびになっていたインプラントの手術が本当は、今週の始めに行われる予定でした。それが、手術のために取り寄せているものがまだ届かないからと日程がずれ、ようやく第一段階の手術の日がやってきました。 これまでも、その前段階の周囲の歯の治療や検査も、ロックダウンのために何度となく延期になったりしていたので、今回の手術の延期も「またか!」とは思っていました。 しかし、今回は、もう1ヶ月以上も前に予約を入れていたのに、(それでさえ、途中にワクチン接種の予定などが入ったために、ワクチンをしてから、少なくとも2週間は間隔をおいた方がいいというので、その予定も込みでかなり先にずらして予約を入れた)「なのに、必要なものがまだ届かないなんて、どういうこと??」と、ちょっとムッとしていました。 「1ヶ月以上も猶予があったのに、間に合わないってどういうことよ!」と家でボヤいていたら、あっさり娘に「ママ、それは、フランスだからだよ!」と言われて、イラついていた私も、「そうだった・・ここはフランスなんだった・・私としたことが、こんなことで腹をたてるなんて・・」と反省。 しかし、初めてのインプラントの手術、インプラントをやったことのある友人から少々、話は、聞いていたものの、普通の歯の治療とは、ちょっとレベルが違って、下準備や検査にも散々、時間がかかり、2日前から、抗生物質の薬を飲んで・・などと言われていたので、未知の経験にちょっとナーバスになっていたのでした。 手術の予約をした時点で、いつもの歯の治療とは違って、手術ということで、同意書にサインが必要だったりしたので、余計に身構えていたのです。 抗生物質の薬を飲み始めた翌日に、その歯医者さんから電話が入ったので、「またか?」と一瞬、うんざりしたものの、それは、「手術の予定と薬をちゃんと飲みましたね!手術当日の朝はしっかり朝食をとって来てください」という確認の電話でした。 当日、歯医者さんに行くと、コロナ禍だからか、いつもの歯の治療にも増して、厳戒な衛生体制、手術前の麻酔は別室で、麻酔を打っている間に、手術をする部屋には床にまでシートが敷かれ、頭から履いている靴にまでカバーをするという見たことのない光景に少々、ビビりました。 手術は、いつもの歯医者さん以外にもう一人の医者とアシスタントという3人がかりの体制で始まりました。私の顔には、口だけが開いたシートが貼り付けられ、私には、全く見えない状態で、声だけが聞こえてくるという怖さが軽減されたような、不安が掻き立てられるような奇妙な感じでした。 しかし、麻酔をしているために、手術中はあまり痛みは感じられませんでしたが、後でチェックのために撮られたレントゲン写真を見たら、「うわっ!」と思いました。   抜いた歯の後の部分の歯茎を切って、歯の根っこの部分となるネジのようなビスが埋め込まれ、切った後は糸で縫われているのです。話には聞いてはいたものの、これが私の歯茎に埋め込まれたんだ・・とちょっとギョッとしました。 ついつい身構えて、身を硬くしてしまうところを何度も「力を抜いて!」と言われ続けて、耐え続け、「もう少しで終わるから・・」と言われて、ホッとしたのも束の間、それからがまた長く、結局、手術は、1時間半ほどで終わりました。 「今日は、熱いものは食べないで!運動もしないように!アルコールもだめ!当分の間は、固いものも食べないように!」と言われて、口内消毒液と痛み止めの鎮痛剤の処方箋をもらって、術後のチェックのために3日後に予約を入れて、薬局に寄って、薬をもらって帰って来ました。 家に戻ってしばらくは、麻酔もまだ効いているために痛みもなく、「ようやく、半年以上も待った手術が進んだ・・」とちょっと放心状態でしたが、そのうち麻酔が切れてくると、これは痛い!!痛みというものは、この上なく不快で想像以上に疲れるものだったことを思い出しました。その上、歯だけではなく、頭痛もしてきて、なんだか微熱まで出てきます。「痛み止めも1日3錠までね!」と言われていたので、そうそう頻繁に飲むわけにも行きません。正直、どちらかといえば、先日受けたコロナウィルスのワクチン接種の副反応の方を恐れていましたが、そちらの方は、ほとんど何もなく、まさかのインプラントの手術で、この痛みと発熱、だるさ・・。 結構な費用がかかるものの、美味しいものを美味しく食べたいという私の食い意地からやることにしたインプラント。しかし、当面の間は、美味しいものどころか、満足なものも食べられないという試練の日がしばらくは、続きそうです。<関連記事>「コロナ禍中のフランスの歯医者...

2021年6月24日木曜日

イル・ド・フランスの洪水被害 セーヌ川の排水網は、なぜ改善されないのか?

   フランスには、地震というものがないからか? フランス人は、災害というものに対して、少々、弱いのかな?と思うことがあります。今回のパンデミックは、災害と言ってもよいような規模のものでしたが、これは、ちょっと例外的な出来事で、一般的な災害とは少し違っています。 それでも、最近のフランスでの災害といえば、洪水で、しかも、街中が水浸しになるような、かなりの被害です。 私がフランスに来たばかりの頃(20年以上前)は、大雨が続いたりすると、セーヌ川の水位が上がり、水位が上がるとバトームーシュ(パリ市内のセーヌ川の遊覧船)が橋の下を通れなくなって、欠航になっている・・などという話は時々、耳にすることはあったのですが、街中が水浸しになるなどということはありませんでした。 しかし、ここ5〜6年は特に、洪水の被害の話を頻繁に聞くようになり、すぐにセーヌ川が溢れ、こんなに度々、川の水が溢れ出すのに、なぜ対策を取らないのか不思議に思ってきました。 しかも、街中が水浸しになったり、床上浸水するほどの被害が出ているにもかかわらずです。山の中でもあるまいし、都会の街中での話です。 つい先日もイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)のウイユ(イブリーヌ)という街が集中豪雨のために、通りが浸水し、排水網が水を捌き切れずに、街ごと水浸し状態になり、消防隊要請の電話が600件以上にも上り、終いには、「命の危険がない場合は電話しないでください」とまで言い出す始末に・・。 セーヌ川はパリの真ん中をジグザグしながら、パリの北と南を分けるように約8㎞にわたって流れているので、パリの中心は、どこへ行ってもセーヌ川にぶち当たるような感じもあり、また、この街中を流れる水のある景色がこの街に風情を加えています。    RATP(パリ交通公団)のマークに入っているこのブルーのラインは、パリとパリに流れるセーヌ川を表したものであると言われています。#PetitJeComprenaisPas...

2021年6月23日水曜日

フランスが秋には第4波を迎えるリスク 政府から送られてきたSMSのメッセージ

   現在のところ、フランスのコロナウィルスの感染状況は、確実に減少してきています。これは、これまでのロックダウン等の数々の日常生活における規制とワクチン接種の拡大、気温の上昇によるものと思われます。 しかし、フランス政府は、9月から10月にかけて、コロナウィルス感染の第4波に襲われることを非常に懸念し続けています。 政府の科学評議会の議長ジャン・フランソワ・デルフラシーは、秋にかけてフランスに第4波が到来することを警告しています。 第一に懸念されているのは、インドで爆発的に感染拡大したデルタ株の存在で、ワクチン接種の拡大に成功したイギリスが、一度は、すごい勢いでロックダウンを解除...

2021年6月22日火曜日

フランスで衰退しない商売の一つ フランスのメガネ屋 久しぶりにメガネを作りました

 来るたびに綺麗になっている気がするメガネ屋さん 私の生まれ故郷は東京で、2〜3年、行かないでいると、久しぶりに行った時には、何だかガラッと景色が変わってしまっていたりするところもあるのに比べて、パリはあまり変わらないなぁ〜と思ったりもするのですが、それでも、テロやデモや黄色いベスト運動などで騒々しくなり始めて以来、ダブルチョップで、パンデミックが覆い被さるように経済にも大きな被害を与え、街並み全体は変わることはなくとも、閉店に追い込まれた商店も少なくはなく、ロックダウン解除され、街が動き出すとともに、店舗の入れ替わりもなかなか激しく、もしかしたら、パリのガイドブックなどは、大幅な修正を強いられるのでは??などと思っていました。 そんな中、ここ数年来、これだけは衰えないな・・と思うのがメガネ屋さんです。 これは、フランスの保険のシステムとも関係があり、国民健康保険でもかなりカバーされる上に、ミューチュエルという国民健康保険ではカバーできない部分をカバーしてくれる保険の存在が大きいのです。 若い世代は、あまり健康に不安もなく、このミューチュエルという保険に入っていない人も結構いることにびっくりしたくらいですが、まあ、かなりの割合で、フランス人は、このミューチュエルの保険に加入しています。 私もフランスに来て以来、日頃は特に問題があるわけではなくとも、もしかして、入院・・手術・・なんてことになったら・・と不安に思って、ずっとこの保険に入ってきました。 このミューチュエルは、契約の内容によってカバーされる金額や内容が変わってくるのですが、この保険の中には、メガネを作る補償が含まれており、契約内容にもよりますが、1年あるいは、2年に1回はその保険でメガネを作ることができるのです。 私は、もともと視力が悪い方ではなかったのですが、加齢とともに視力が落ちて、近くを見るメガネが必要になってからは、定期的にメガネを作ってきました。 まず眼科に行って、視力のチェックをしてもらって、処方箋のようなものを作ってもらい、それを持ってメガネ屋さんに行けば、メガネ屋さんの方で保険でカバーされる分を計算して、見積もってくれます。 もう10年以上も毎年のようにメガネを作ってきたので、そんなにメガネばかりいらないか・・と思ってしばらく行かなかった時期もあったのですが、視力は衰える一方で、微妙に、メガネも合わなくなってきてしまうので致し方ないところもあります。 私が長いこと通っていた近所の眼科は、予約をとっても予約が予約ではないように時間がかかるので、正直、うんざりしていたのですが、最近になって、娘がチェーン展開のPOINT...

2021年6月21日月曜日

海外から見ると日本人の食卓はとてもレベルが高い

   以前、会社の同僚が子供が小さい頃に日本に子供を連れて行ったら、実家で出てきた朝食を見て、「お母さん、晩御飯みたいな朝ごはんだね・・」と言ったという話を聞いて、「さもありなん」な話だな・・と思ったことがありました。 現在の日本の家庭の食事というものは、よくわかりませんが、いわゆる、よくありそうな日本の朝ごはんというものは、フランス人から見たら、朝から信じられないような食事です。 一般的なフランス人の朝食は、パンにバター、ジャム、チョコレートペーストのようなものにコーヒーかカフェオレ、または、シリアル、せいぜいフルーツぐらいですから、日本のようにご飯にお味噌汁、焼き魚に副菜、漬物などの食事など、ちょっとあり得ないほどの手のかかり方です。 日本だったら、洋食にしても、サラダや卵、ハムなど彩り豊かな食事が目に浮かびます。 我が家も例にもれず、フランスでの朝食は、シリアルかパンで済ませてきましたが、仕事が休みの日だけは、日本のような和食の朝食を食べるようにしていました。 しかし、海外生活を続けていれば、日本にいたら、きっと自分で作ることは決してなかっただろうな・・と思うようなものまで、手作りをしたりもしています。 例えば、小さなベランダで日本の野菜を育てたり、パンとビールでぬか床を作ってみたり、納豆を作ってみたり、スポンジケーキやロールケーキを焼いてみたり、お団子を作ってみたり、・・こちらで何とか手に入る食品で、簡単には買えないものを何とか作ろうと暮らしています。 フランスでは、女性も働いている人がほとんどなので、日本人とて、フランスに住んでいれば、仕事に家事に育児にと忙しくしていると思いますが、皆、色々、工夫して、まめに色々なものを作っています。 我が家は、餃子が好きで、よく作るのですが、ニラも自分で育てて、餃子の皮とて、どこにでも売っているわけではないので、餃子の皮を買いに行くのが面倒な時は、皮から自分で作ります。 考えてみれば、日本では餃子を家で作る家庭は多いと思いますが、キャベツや白菜、ニラ、ニンニクなどを細かく刻んで、具を寝かして、一つ一つ包んで焼くというなかなか面倒なお料理です。これを日常的に自分の家で何のことはなしにやってのける日本の主婦はすごいと思うのです。 今では、フランスでも餃子は脚光を浴びて、一般の普通のスーパーマーケットで買えるようにはなりましたが、フランス人がこれを上手に焼けるのだろうか?と甚だ疑問でもあります。 その餃子をフランス人が自分で家庭で作るようになるとまでは思いませんが、それにしても、フランス料理とて、ここまで手のかかる食事を日常的にフランス人が作っているとも思えません。 たいていのフランス人の家庭の食事は、簡単なもので、夕食とて、パンとスープにハム、肉をちょっと焼くか、簡単な茹で野菜などの副菜、デザートにチーズやヨーグルト、ムースなどの乳製品程度で、そこまで食事に手をかけません。美食の国と言われるフランスの実際の日常の食事は、なかなか質素なものです。 そこへ行くと、日本人の食卓は、健康に留意し、バランスよく、何品目もあり、季節の食材とともに、まことにレベルの高いものだと思います。 フランスでも、最近、健康志向で、5...

2021年6月20日日曜日

高齢者施設の介護者へのワクチン接種がびっくりするほど進んでいない!ワクチン接種義務化の是非

   フランスでの新型コロナウィルスのワクチン接種は、現在、全国民の47.40%が少なくとも1回は、ワクチン接種を受けている状態にまで進んできており(2回の接種が済んでいるのは、26.70%)、国民の約半数がワクチン接種を受けた状態になるまで、あともう一歩となりました。 1回目のワクチンを受けたと言うことは、2回目も受けることを受け入れているのがまずは、前提で、現在は、1回目を受けた時点で2回目のワクチン接種の予約を入れることになっているので、少なくとも50%以上の人のワクチン接種は、ここ1ヶ月くらいの間に2回目も完了することになると思われます。 しかし、ここへきて、EHPAD(エパッド)と呼ばれる高齢者施設の介護者のワクチン接種率があまりに低い事実が浮上し、高齢者施設で働く介護者に対するワクチン接種を義務化するべきではないか?という話題が持ち上がっています。 一般の病院、医療施設でのワクチン接種率が85%にまで達しているにもかかわらず、高齢者施設で働く介護者のワクチン接種率は50%程度で、感染した場合に重症化するリスクの高い高齢者施設においては、非常に危険なことです。 ワクチン接種開始にあたって、当初、マクロン大統領は、「ワクチン接種を希望する者に対しては、全て無料でワクチン接種を行う」と発表していましたが、この「希望する者」という文言が入っていたということは、義務ではないということでもあります。 当初はワクチンに対して懐疑的であった人もかなり多かったフランスですが、世界各国でのワクチン接種による感染減少の様子を目の当たりにして、ワクチン接種を希望する人がたくさんいます。 しかし、依然として、一定数のアンチワクチン論者は、常に存在し続けるわけですが、ワクチンをしなければ、自分が危険なだけでなく、他人をも危険に晒すという観点からも、特に高齢者施設で働く介護者がワクチン接種を受けることは、倫理的にも、仕事の一環であるとも言えます。 ワクチンはすべての人が無料で利用でき、現在は、困難なことではありません。オリヴィエ・ヴェラン保健相は、現在のこの深刻なワクチン接種が進んでいない高齢者施設の介護者とその雇用主に対して、できる限りワクチン接種を受けるように呼びかけていますが、夏の終わりまでにこの状況が改善しない場合には、義務化することも検討すると語っています。 特にデルタ株(インド)と呼ばれている変異種の感染拡大によって、気温が低下する新年度が始まる秋頃になった頃に第4波を迎えてしまうことをフランス政府は、とても警戒しているのです。 フランス政府は、この第4波を回避するために、8月末までに全国民の85%へのワクチン接種完了を新たな目標としています。 我が家の娘は、4月から、パリにある病院内にある研究所でスタージュをしていますが、仕事を始めてすぐに病院側から、すぐにコロナウィルスのワクチン接種を受けてくるように言われ、その当時は、彼女の年齢では、普通はワクチン接種は不可能だったので、「ラッキー!」とばかりにワクチン接種を受け、とっくにワクチン接種は、完了しています。 一緒に仕事をしている周囲の職場の人々も100%ワクチン接種が済んでいて、最初は、病院でスタージュ?と聞いて、危険ではないのかな?と思った私も、むしろ、全員がワクチン接種が済んでいる職場など他にはなかなかないかも・・と思い直したのでした。 また、彼女が病院内の研究所でスタージュを始める前の段階で、これまでに彼女が受けてきたワクチン接種(幼少期からフランスでは、いくつもの義務化されているワクチン接種があります)の履歴全てを提出しなければならなかったりで、コロナウィルスに関わらず、病院(研究所)での感染症や疾病等の危険へのチェックは、かなりきっちりしているんだなぁと感心したくらいです。 フランスでの幼少期から義務化されているワクチン接種は、かなりたくさんあり、フランスで育ってこなかった私は、フランスで義務化されているワクチン接種の種類やタイミングがわからず、かかりつけのお医者さんに定期的に娘の...

2021年6月19日土曜日

フランスで日常が戻るとすかさず始まるのはストライキ

 5月の初旬にようやく10㎞以上の外出制限が解かれて以来、フランスは、あれよあれよという間に、レストラン・カフェのテラス席が再開し、美術館、映画館、デパートなどもオープンし、6月半ばにして、屋外でのマスク義務化が撤廃され、来週からは、夜間外出禁止もなくなり、ますますコロナ前の日常にグングン近づいていく感じです。 もちろん、まだ、屋内ではマスクが義務付けられているし、人数制限なども行われているので、すっかり元の日常というわけにはいきませんが、かなり、これまで失っていた自由を取り戻しつつあります。 それは、ワクチン接種も私が予想していた以上に、「これがフランス?」というほど、どんどん進んでいて、...