2020年7月26日日曜日

テーマパークで12000人動員のスペクタクル フランス人は規則があっても罰則なければ守らない


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 ロワール地方にあるテーマパーク、ル・ピュイ・ド・フー(Le Puy du Fou)(ヨーロッパ中世の大規模テーマパーク)で、12000人を動員してのスペクタクルが行われました。このテーマパークは、宿泊施設も備え、古城にバイキングの村、魔法の槍の物語、幻想の中世の世界が広がり、次から次へと活気に満ちたスペクタクルが上演されるフランスでも有名なテーマパークです。

 フランスでは、現在のところ、8月31日までは、5000人以上の集会は禁止されているため、このテーマパークは、それを大幅に超えた12000人を動員したということで、非難の声が上がっています。

 これには、今のところ、厳重に警戒体制を取って、最大5000人という規則を遜守しているフットボールファンは、怒り心頭です。

 テーマパーク側は、観客には、体温チェックをし、マスク着用を義務化し、アルコールジェルを提供し、衛生管理には、注意を促したと弁明していますが、入場時の人数は、チェックできるはずのところ、人数に関しての規則を尊重することはありませんでした。

 当日の動員の様子を見ると、ほぼ満席で、観客を隔てるものは何もなく、ソーシャルディスタンスは、まるで取れていません。これまでにもデモなどで、数千、数万人単位の人混みの様子を見るたびにギョッとしてきたものの、もはや、なかば諦めのような、「またか・・」という気持ちになります。

 また、訪れている人も、まるで屈託がなく、「天気もいいし、バカンスだし・・」と、およそ危機感がないのにも呆然とさせられます。

 5000人以上の集会は、禁止となっているのに、全くルールを守らないフランス。罰則、罰金がなければ、規則は、あっても無いようなものです。このテーマパークのあるペイ・ド・ラ・ロワール県の自治体は、このテーマパークに対して、何の許可も下してはいないので、責任は、テーマパーク側にあるとしていますが、責任を取るといっても、集会禁止の規定に関しては、罰則も罰金も制定されていないため、責任の取りようがありません。

 クラスターになった場合に感染者の追跡を考えて、観客の連絡先を記録するといったことも一切されていません。

 ここ数日、新規感染者が1000人を超え、明らかに第2波の波に乗りかけているフランスですが、それに追い討ちをかけるように、毎日、このような絶望的なニュースが入ってきます。

 このような場所に足を運んだ人々がバカンスが終わって、それぞれの場所に散っていき、気温の下がる秋を迎えるのです。7月初旬までは、感染者が下がり続けたため、どうやら気温が影響していたとも言われていたコロナウィルスの感染拡大ですが、(実際、気温も関係はある)結局のところ、ここに来て、感染者がうなぎ上りに増加していることを見ると、どうやら、感染者数が一時、減少したのは、ロックダウンの効果であったと考えざるを得ません。

 せっかく、減少したウィルスの感染減少をこのバカンス期間で、台無しにしてしまいそうです。これまでの世界的なパンデミックでは、第2波の死亡率が最も高かったというデータもあります。

 フランスでは、ここのところ、新規感染者数の発表も土日は、休みで発表なしです。バカンス中は、土日くらいは、きっちり休むということでしょうか? コロナウィルスの感染に土日の休みはありません。

<関連>
「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスにGo To キャンペーンはいらない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html

 








2020年7月25日土曜日

コロナウィルスによる経済危機対応 フランスの若者への支援策




 コロナウィルスの感染が再拡大しつつあるフランスで、感染防止対策とともに、ここ数日、少しずつ経済支援策が発表されています。

 7月の初めに新内閣に変わってから、新首相ジャン・カステックス氏が、精力的に動いています。先日から、奨学金で通学している人に対しては、キャンティーン(学食)が1ユーロになるとか、18歳未満の未成年向けの Pass Imagine R(交通機関利用の際のパス・定期券)が9月から無料になるとか、若者に対する援助策が発表されています。

 中でも、「PLAN JEUNE」(ユースプラン)と銘打った政策は、若者の採用に対する援助を行うというかなり大掛かりなもので、2年間の長期計画で施行されます。

 ジャン・カステック首相は、「経済危機が激化した時に、最初に懸念するべきは、年少で最も脆弱な者であり、可能な限りの最善の準備をするべきだ」と述べており、25歳未満の若者を採用する際に(最低でも3ヶ月以上の契約)、政府が企業支援を行います。

 この若者採用支援金は、8月から来年の1月までの採用に対して、最大で1年間、四半期ごとに1000ユーロ、つまり、最大4000ユーロの支援金が支給されます。現在、そうでなくとも、多くの企業で、現在の従業員でさえも大幅な解雇措置が取られている中、新卒、あるいは、若者の採用を躊躇っている企業を後押しする政策です。

 この計画に当てられるのは、2年間で65億ユーロ。1月までに45万人の採用を促進し、2年間で70万人から80万人の若者が労働市場に参入することを目標としています。

 また、若者のためのワークスタディプログラム支援や高等教育で失敗した若者のために新しい資格取得のためのトレーニングコースが提供されます。

 これらの計画が、実際にどのように機能していくのかは、注目されるところですが、問題も多いフランスで、私が感心しているところは、国が子供の教育費を大きく負担してくれていることです。フランスは、私立でさえも、日本に比べると学費がかなり安く、本人が真剣に勉強をしようと思えば、かなりの高等教育でさえも、少額で受けることができます。

 フランスは、少子化対策に成功していることからもわかるように、子供の扶養に際して税金の軽減措置があり、特に3人以上は、その割合が上がるそうで、娘の友人にも3人兄弟の人が多いです。

 年長者を蔑ろにして良いというわけではありませんが、こうした政策がまず、子供、若者への対策から始まるというところは、私がフランスに対して持っている好印象の一つでもあります。

 実際に、今年の新卒の就職は、何も対策が行われなければ、真っ暗闇な状況。これが、どれくらい良い結果を生むかはわかりませんが、少なくとも政府がこうして、大金を投入して対応してくれるだけでも、希望が持てるではありませんか?

<関連>「フランスの雇用問題」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_6.html










2020年7月24日金曜日

フランスでの一日の新規感染者数1000人突破と暴力事件増加


File d'attente devant un laboratoire à Paris pour un test coronavirus, le 18 juillet 2020


 ここ1〜2週間ほどで、フランスのコロナウィルス新規感染者数は、ぐんぐん増加して、一週間前までは、500人前後を行ったり来たりしていると思っていたら、今週に入って、800、900、1000と、とうとう1000人の王台に乗り、1062人になってしまいました。

 今は、バカンスに出ている人が多くて、思うように検査が捌き切れないと言いながら、この数字、近隣のヨーロッパの国々は、どうかな? と覗いてみると、イタリア306、ドイツ661、イギリス769、スペイン2615といずれも上昇中で、フランスは、スペインに続いています。

 スペインは、もうすでに、数カ所の地域でロックダウンの措置を取っているので、かなり危険な状態であると政府が判断していたと思われますが、フランスは、今のところ、屋内スペースのマスク義務化だけで、それ以上の措置は、取られていません。

 だいたい、一度、ロックダウンを解除したら最後、マスクを義務化するだけでも大変な騒ぎで、家族4人で一枚いくらのマスクを一ヶ月使うとこれだけの負担になる!などと騒ぎ出し、洗えるマスクが配布されることや、心臓疾患、糖尿病などの持病を抱えた人には、サージカルマスクが全額保険適用になることになりました。

 バカンスには、平気でお金を使うくせに、マスクとなると、途端にお金がかかって負担になると騒ぎ出す。要は、なんだかんだと難癖をつけては、マスクをしたくないのです。3万人以上の死者を出して、2ヶ月もロックダウン生活をして、さらに現在の一日1000人を超える感染者を出しても、まだ駄々を捏ねるフランス人には、呆れ返ります。

 1000人以上の新規感染者に加えて、一日で10件以上のクラスターも発生しているのです。また、感染者の増加とともに、これまで下がり続けてきた集中治療室の占拠率が下がらなくなったことが発表されています。つまり、一定の人数が毎日、亡くなったり、治癒して出て行くとともに、新しく、集中治療室に入る人が増え始めたということです。

 イルドフランス、グランエスト、オードフランス、ガイアナでは、集中治療室の71%が埋まっている状態です。

 だいたい、コロナウィルスの第一波が来た時は、最初の症例は前年の11月に見られており、そこから全国に蔓延するまで3〜4ヶ月、それを考えると、5月のロックダウン解除から現在2ヶ月半が経っていますが、この数字の上昇の仕方は頷けるような気がするのです。

 おまけに、7月からヨーロッパ内の国境が、解禁していて、国外から来る、例えばフランス以上に感染が広まっているスペインなどからも毎日、たくさんの旅行者が入ってくるのに、空港では、なんの検査もせずに野放し状態なのです。

 さらに、バカンスに入って、デモも休暇状態に入ったと思ったら、フランス国内各地では、リヨンで通行中の若い女性が車で500メートルも引きずられて殺されたり、ニースでのドラッグを巡ってのいざこざから発砲事件が起こったり、高速を走行中の車が突如炎上したり、暴力事件、しかもかなり過激な事件が次から次へと起こっています。

 ロックダウンのストレスとバカンス突入の開放感からか、タガが外れたような人が増えているのです。

 ロックダウンの最中から、外から聞こえてくる救急車のサイレンには、ずいぶんと慣れましたが、今は、コロナウィルスの患者さんだけでなく、他の事故や事件もあるわけで、どうにも止まらないフランスの混乱状態、頼みの綱がマスクだけというのは、あまりにも心細いではありませんか?

<関連>
「マスク義務化のフランスは、コロナウィルス第2波を避けられるのか?」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_21.html

「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html

2020年7月23日木曜日

親子関係・家族関係 私が海外生活をしている理由





 私は、人が生きていく上でのその人の軸となる部分を作るものは、家族、主に親子関係だと思っています。それは、経済的に恵まれているとか、いないとか、そういう問題ではなく、絶対的な信頼感とでもいうのでしょうか? 自分は確かに愛されているという感覚を子供が成長過程において、感じることができるかどうか? そのことが、子供にとって、その子がどんな道に進んだとしても、その人の軸となる部分を強く持ち続けることができるかどうかを大きく左右すると思っています。

 家柄とか、経済的にとか、そういうことではなく、家族の絆がしっかりある家庭で育った人は、強いです。そして、それは、何よりの財産です。

 自分の恥部を晒すようで、躊躇いもあるのですが、私は、それを持たずに育ちました。一見、何不自由ない暮らしをさせてもらってきました。しかし、私の育った家庭では、父は、わがままで気分屋で、身体的な暴力を振るわれたことはありませんでしたが、気に入らないと暴言を吐く、家族中が父の機嫌を常に伺う、ピリピリした家庭でした。母の愛情は、感じていましたが、父には逆らえない母にしっくりしないものもありました。

 時代もあったのでしょうが、母も父に刃向かうことはできず、ただ、その場を凌いで紛らわせることを積み重ねてきたのです。

 表向きは、ごくごく普通の家庭に見えるし、母はもちろんのこと、私も弟もそれを特に他の人に深刻に訴えることもせずにいたので、親戚でさえも我が家の実情は、よく知りません。ただ、私と弟は、何度も母に離婚を勧めました。しかし、世間体やそこまでの勇気が母にはなく、そのまま、なし崩しに暮らしてきました。

 弟が大学に入った頃に、とうとう弟は父と衝突し、ほとんど家に帰らなくなりました。当然、家の中の雰囲気は最悪です。私は、自分の気持ちが不安定なことを逆に追求したくて心理学の勉強をしてきました。

 母が小さい頃から英語を教えてくれていたこともありますし、好きになった相手がたまたまフランス人であったり、弟も海外に出て仕事をしたいという目的も確かにありましたが、私も弟も海外で生活しているのは、そんな家族から少しでも遠くに離れたい気持ちがどこかにあったことも否めません。

 私も弟も独立して、それぞれの家族を作って、たまに里帰りするくらいになって、どうにか、自分の育った家庭を外から眺められるようになりました。しかし、ピリピリした環境で育った私の自分自身の軸が弱いこともよくわかっています。

 私が、心理学に続いて、死生学を学んでいた過程でイギリスのホスピスで働いていた時、そこで出会ったたくさんの患者さんたちと話をして、まさに死にゆく瞬間に思う人生にとって大切なものとは、何なのか?・・私が感じたのは、家族でした。

 その後、私は、私自身の家族を作ろうと思い、実際に家族を持ち、子供も生まれました。私は、何よりも娘に対して、「何があってもママは自分を愛してくれている」と感じられるように接してきました。(だからと言って、娘が何をしてもいいというわけではありませんが・・)夫が娘に対して理不尽なことを言っても、決して黙って我慢することは、ありませんでした。とことん、話してきました。

 私は、そんなに口数が多い方ではありませんが、言うことはきっぱりと言います。これは、特に夫に対してだけというよりも、海外生活では、言うことは、はっきりと言わないと暮らしていけないということもありますが・・。

 私がこれまでで自分がすごく幸せだと感じた瞬間は、まだ娘が小さかった頃にお休みの日に朝、なかなか起きてこなかった夫を起こしに行って、3人でベッドでゴロゴロ戯れていた、なんのたわいもない時間でした。家族での心底リラックスした時間を感じた瞬間に私は、このまま死ねたらどんなに幸せだろうと思ったくらいです。

 海外での生活ということで、難しいことは、たくさんありましたし、特に娘は、自分が選択したわけでもないのに、フランスと日本と両方の国の間で生きることになったのです。そうでなくともアイデンティティーの所在が不確かになりかねません。

 それでも、結果、娘は、ちょっと鼻持ちならないほどの自己肯定感の強い、軸がしっかりした人になりました。それは、これから、彼女が生きていく上で、とても大切なことだと思っています。

 先日、三浦春馬さんという日本の俳優さんが自ら死を選んで亡くなったというニュースを見て、人の軸の強さと家族の関係について、少し考えたので、今日は、こんな話題になりました。

 人は、自らの意思で生まれてこられないように、自らの意思で命を断つことは、あってはなりません。少なくとも、娘は、彼女が自ら命を断つようなことがあったら、私が死ぬほど苦しい思いをすることを知っていてくれると思っています。


<関連>
「ハーフの娘の祖国 アイデンティティーの帰属」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_28.html

「ハーフだって楽じゃない・・・ハーフの子」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_4.html

2020年7月22日水曜日

まさかのパリ・プラージュとコロナウィルス検査

Paris Plages 2017 - Parc Rives de Seine © DR


 パリ・プラージュ(Paris-Plages)は、2002年にスタートしたパリのセーヌ川岸に、夏の間だけ、多くの人がバカンスに出る時期にバカンスに出られない人や、パリを訪れる観光客のために、川の土手にある車道が封鎖され、人工的なビーチが作られ、デッキチェアが置かれたり、様々なイベントを開催したりして、毎年、盛況で、パリの風物詩のようなものになっています。

 私もパリ・プラージュができた年に一度だけ、娘を連れて、行ったことがあります。その頃は、まだ、セーヌ川の右岸に設置したビーチだけでしたが、物珍しいこともあり、まだ、小さかった娘は、水着でビーチをスキップして歩き、砂で遊んだり、出くわした子供と水遊びをしたり、ボルダリングをしたりして、楽しいひと時を過ごしました。

 しかし、今年は、コロナウィルスがおさまっていない状況で、パリ・プラージュは、中止だとばかり思っていました。ところが、今年もパリ・プラージュがオープンしたというニュースを見て、ひっくり返りそうになりました。

 普通のビーチを解禁するのとは、わけが違い、人工的なビーチを作るのです。それをわざわざ、この状況でオープンするとは、やはり、フランス、侮れません。

 人混みを作りたくないのではないですか? 屋外だから、良いのですか? そもそも、ロックダウン解除以来、いくつも起こってきた数千人単位のデモなどの人出を考えれば、可愛いものかもしれませんが、どうにも理解しがたいことです。


Un village santé a été installé sur le parc des quais de Seine à l\'occasion de Paris-Plages
パリ・プラージュにあるコロナウィルス検査スペース


 しかし、今年のパリ・プラージュは、いつもと違う工夫もされているようです。
パリ・プラージュの中には、2カ所のコロナウィルスの検査が無料で受けられるスペースが設けられ、気軽にテストが受けられるようになっていて、行列ができているようです。
これは、とても良い試みだと思います。自覚症状のない人も気軽に明るい雰囲気で検査を受けることができて、結果、スクリーニングが可能です。


C'est une première à Paris
パリ・プラージュの一貫のセーヌ川の上で楽しめるシネマ
                     
 また、川岸のボートから、映画を楽しめるシステムなども導入しています。これなら、ソーシャルディスタンスを保ちながら、また、夕暮れ時のパリの景色の中で映画を楽しむことができます。これは、なかなかロマンチックではありませんか?

 やはり、是が非でも、バカンスを快適に楽しく過ごそうとするフランス。そのためには、なかなか、色々と知恵が回るものだと・・ちょっと、感心しました。
 
 これから当分の間、コロナウィルスと共存して生きていかなければならないのは、ただ、ダメダメというばかりではなく、こうした試みも必要なのかもしれません。


<関連記事>「夏にバカンスで閉めるフランスのプールとラーメンを出さないラーメン屋」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_29.html


 

 

 

 

2020年7月21日火曜日

マスク義務化のフランスは、コロナウィルス第2波を避けられるのか?


 

 フランスで、公共の屋内スペースでのマスクが義務化になって、もしかしたら、ロックダウンの時のように、警察がウロウロして、コントロールをしているのかも??と思いながら、買い物に出かけると、街中は、いつもどおりで、警察がコントロールしている場面には、出会いませんでした。

 しかし、コマーシャルセンターの中に入ると、ビックリするほど、みんながマスクをしており、135ユーロの罰金の威力、恐るべし!と思いました。(みんながマスクをしていてビックリするところが何なんですが・・)

 これも、初日のことですから、これが、いつまで続くのかは、甚だ疑問です。多くの人がコロナウィルスが怖くてというよりも、罰金が怖くて仕方なくマスクをしているからです。警察のコントロールが緩いとなれば、マスク率も一気に下がると思われます。何と言っても、今は、警察の人もたくさんの人がバカンスに出ていますから、どうしても警戒は、緩くなります。

 しかし、マクロン大統領をはじめ、政府の官僚たちも、これまでマスクなしで経済復興アピールをしているのかと思われるほど、公の場でも、マスクをしていなかったのに、一斉にマスク姿でそれぞれの場に登場して、マスク着用をアピールしていました。

 マスクを着用していない場合は、入店(もしくは入場)できないわけですから、また、それなりの軋轢も生まれそうで心配です。いみじくも、先日、マスクを着用していなかった乗客に注意して殺されたバスの運転手さんの埋葬がマスク着用義務化初日と重なったことは、とても皮肉なことです。

 これだけマスクの義務化の必要性を訴え、実際に罰則付きの義務化が施行されても、フランスでは、15%の人は、マスクの義務化に反対しています。(18歳〜34歳の人たちの間では、22%の人が反対)

 街に出てみれば、若い子でも、洋服と素敵にコーディネートして、マスクをファッションの一部として楽しんでいる人もいるし、ブティックなどでもおしゃれなマスクを売り始めているのですが、残念ながら、それは、ごく一部のことです。

 
ジャケットの赤とパンツとマスクとバッグの黒がいいな


 先日のバスの運転手さんが殺された事件や、注意すると逆ギレして、店員に食ってかかったりする人がいるフランスでは、マスクをするように注意することさえ、命がけです。店舗の人も、「これ以上、感染が広がって、再びロックダウンになっては堪らない・・マスクをするのは、仕方がない・・」と、渋々、受け入れているのがわかります。

 屋内でマスクをしていない人がいた場合は、当然、当人はもちろん、その店舗や商業施設等も管理責任を問われるわけで、注意をすること自体がリスクである国では、規制は、ありがたいはずは、ありません。

 そのような事態を予測してのことか、店頭に、「マスク着用は義務です」「納得いかない人は、下記にご連絡を!と、大統領官邸と首相官邸の電話番号を書いてあるお店もあるほどです。

 しかし、手段はいかにしても、これで少しでもマスクをする人が増えてくれるのは、少しでも感染の拡大を防げます。

 先日のパリ祭では、いつもどおりの軍事パレードは、行われず、いつもは目にすることのない戦車などの軍用機を見ることはできませんでしたが、今は、どんな勇ましい軍事兵器をもってしても勝つことができない目に見えないウィルスにマスクで立ち向かっているのは、力(チカラ)とは、何なのかを考えさせられます。

 実際に、フランスは、第2波を避けるためにと言っていますが、もはや、感染状況を見れば、第2波は、始まっている状態です。先週の週末は、3日間続けて、新規感染者数は、800を超えています。ですから、第2波は避けられなかったわけで、始まってしまった波をどれだけ低く抑えることができるのか? 

 それがフランスの課題=マスク着用義務化なのです。

<関連>
「マスクのポイ捨ては、罰金135ユーロ でも、フランス人はルールは、守らない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_9.html
 

 










 

2020年7月20日月曜日

ナント大聖堂の火災で思い出したナントの役所での娘の国籍申請



 フランスの西部、ロワール川湖畔に位置する Nantes(ナント)にあるサンピエール・サンポール大聖堂で18日、火災が発生し、ステンドグラスの窓やパイプオルガンなどが破損しました。

 大聖堂の中心から赤い火が登る光景には、誰もが、昨年に発生したパリのノートルダム寺院の火災を彷彿とさせるものを感じたことと思います。今回のナントの大聖堂の火災では、短時間での消火活動により、ノートルダム寺院ほどの被害には、至りませんでしたが、出火現場が3ヶ所に渡ることから、放火の疑いがあり、国家警察が捜査に加わることになりました。

 大聖堂は、15世紀建立のナント市民にとっては、シンボル的な存在であり、また、教会でもあることから、心の拠り所でもあり、大きなショックを受けています。

 この報道で、インタビューを受けている市民を見ていると、人の良さそうな、おっとりしている感じの人ばかり・・パリ・パリ近郊の人としか、接することのない私は、彼らの表情や話し方を見ていて、パリジャン・パリジェンヌが嫌われるわけだな・・と妙なことを考えていました。

 ナントといえば、まだ、フランスに来たばかりの頃に、娘の国籍などの手続きがなかなか進まず、夫と娘と義理の兄夫婦とで、車でナントのお役所に出向いたことがあったことを思い出しました。外国で生まれたフランス人の国籍等の管轄は、なぜか、全てナント扱いとなっていて、一日がかりで、長い道のりを車で手続きに出かけたのでした。

 結局、娘の出生証明書(アフリカ生まれなので、アフリカで発行してもらったもの)に不備があり、アフリカから、出生証明書を取り寄せ直して送るということで、方はついたのですが、せっかく来たのに、手続きがすぐに済まないことに、フランスのお役所仕事に慣れていなかった私は、大いにショックを受けたのでした。

 長い道のりになるので、ランチ用にと大人4人分のサンドイッチを山ほど作って、出かけるときは、ピクニック気分で出かけたのに、結局、事がうまく運ばずに、海辺に出て、暗い気持ちでサンドイッチを食べ、義理の姉に、時間がかかるけど、大丈夫だから・・と慰められたことを思い出しました。

 手続きにとても手間取ったこともあり、その上、どんよりとした天気で、なんだか、とても暗いイメージしか残っていないので、私にとっては、あまり良い印象がない場所で、ナントにこんな大聖堂があったことも全然、覚えていませんでした。

 今から思えば、何かとスムーズには、運ばないフランスのお役所仕事、ましてや、アフリカからの案件など、すんなり事が運ぶ方が不思議なくらいなことは、充分にわかるのですが、その頃は、かなり絶望的な気持ちになったものでした。

 せっかくナントまで行ったのに、観光も何もしなかったことを何も思わないほど、当時の私には、余裕がなかったのです。

 今の私だったら、たとえ、手続きが進まなくとも、せっかく来たのだから、ちょっと街を見ていこうくらいの図々しさがあるのに・・と、火災前の大聖堂を見れなかったことを残念に思うのでした。

 それにしても、最近のフランス、ノートルダムの火災や、ナント大聖堂の火災、規模は違いますが、先日は、オルリー空港でシャトルバスが炎上する火事が起こり、大騒動になりました。コロナ渦で警戒状態の中、火災までがあちこちで起こるって、何なんだ??


<関連>「フランス人の夫との離婚の危機」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_28.html