2020年7月19日日曜日

拡張しているテラス席でのパリのレストランでのランチ


アントルコット(牛肉)と手前がアニョ(子羊)

 私は、日頃から、友人に会ったりする時も、ゆっくり時間を過ごしたくて、家においでよ!と、自分でお料理を作って、延々と食べて、飲みながら、おしゃべりすることが多くて、(もしくは、友人宅に押しかける・・)あまり外食はしないので、ロックダウンになっても、あまり、外食が恋しいとはなりませんでした。

 しかし、さすがに、これだけ、閉じこもりの生活が続くと、少しは、街の景色を眺めながら、誰かが作ってくれる食事をしたくなり、久々に友人とランチに出かけました。

 彼女は、庶民の私と違って、まことに優雅な暮らしをしていて、パリのマレ地区に、ここにこんな空間があるの??と思うようなアパートに住んでいるので、彼女と会う時は、マレ地区が多く、今回も彼女の馴染みのレストランでのランチになりました。

 マレ地区は、日頃から、デザイナーのアトリエや、アートのショールームのような場所も多く、比較的、お店の入れ替わりが激しいので、今回のコロナ渦によって、特に変わったな〜という感じは、ありませんでした。

 しかし、どこのカフェやレストランも大幅にテラス席を拡張し、自分のお店の前だけでなく道路を挟んで、向こう側の歩道沿いにまで、テラス席を作っているので、通り全体がテラス席のような印象の通りもあったりして、全くの通行止めになっている通りもありました。もともと、この辺りは、細い通りも多く、ピザ屋さんなども、「配達は、自転車でやっています」というお店などもあります。


通りの向こう側までテラス席

 私は、いつもなら、何となく落ち着かないし、人が行き交うテラス席は、あまり好きではないのですが、今は、さすがに店内の席は、やはりちょっと躊躇われて(店内も営業していましたが)テラス席を選びました。

 そのレストランは、普段は、狭い場所に小さめのテーブルと椅子がたくさん並び、かなり密になる店内ですが、(パリのレストランは、こんな感じが多いのです)その小さめのテーブルがそのまま外のテラス席に並べられ、相変わらず小さいテーブルでお皿の置き場がギリギリのテーブルでの食事です。

 お料理は、基本、フレンチですが、アジアティックのテイストが入ったアレンジになっています。私たちは、普段、あまり食べないからと、二人ともお昼から、ガッツリお肉を注文しましたが、メニューには、魚介を使ったブロシェット(串焼き)や、日本風生のまぐろのミルフィーユなんていうものもありました。

 アジアティックのテイストというだけあって、フレンチにしては、比較的、さっぱりとしたソースで、シンプルで何より素材が抜群で、付け合わせの野菜などもフランスにありがちなグニョグニョではなく、程よい茹で加減、私は、滅多に食べない子羊肉を注文しましたが、臭みもなく、あっさりしているわりには、しっかりと肉の味がひきたつように焼かれていて、バジルとガーリッククリームを使ったソースも、決して勝ちすぎておらず、肉にピッタリマッチしていて、しっかり堪能しました。

 その日は、朝、早くからついでに色々と用事を済ませるために歩き回ったこともあり、空腹で、出てきた、白と茶色のバゲットも全部、完食!友人とも久しぶりで、おしゃべりしながら、延々と長いランチタイムを過ごしました。お店の人にも、一番最初に来て、最後までいたわね!と言われてしまいましたが、全く嫌味がなく、楽しそうでだったね!美味しかった!と、笑って、また来るね!と言って、レストランを後にしました。

 狭いパリの中でも、地域によっては、行き交う人が、全く違うのですが、さすがに若い子でもおしゃれで可愛い子が多く、年配の人でも、ちょっと気の利いたおしゃれをしている人などが多いので、街行く人を眺めるながらの食事も楽しいものです。

 コロナ渦で、今まで敬遠していたテラス席が、思いの外、心地よく、開放的で自由でもあり、他のお客さんとも程よく距離が取れていて、まるで、コロナなどなかったように、外で、楽しそうに食事する人々の様子をちょっと離れたところから、心地よい風景のように眺めていました。

 場所にもよりますが、私も今後、テラス席にハマりそうです。

 
食事のあとのカフェに付いてきたのは、チョコレートではなくヌガーでした


<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」


<この話に出てくるレストラン>
 ★ Le Petit Marché
       9 Rue de Béarn, 75003 Paris



 

2020年7月18日土曜日

フランスと日本のコロナウィルスに対する危機感の大きな隔たり




 フランスのル・モンド紙(フランスの大手新聞)は、日本でのコロナウィルスの感染が増加していることを7月17日の紙面で報道しています。報道では、「日本のコロナウィルスの症例は、首都・東京や米軍基地で増加しており、病院は、財政的に追い詰められ、低所得に不満を抱く医療介護者の山に直面しています。」

 「7月17日金曜日、日本の首都は新規感染者数293と発表しました。これは1日の感染者数としては、パンデミックが始まって以来の記録的なものです。 5月と6月に停滞した後、7月の初めから毎日の感染が増加しています。東京感染症専門委員会のメンバーである大曲典男氏は、「感染経路が不明なケースは、1週間で2倍になった」と語っています。
 パンデミックの発生以来、死者数は、1000人を超えていません。

 東京都知事の小池百合子氏は、7月15日に、国民は、予防策が効果を発揮するために状況の緊急性を理解しなければならない・・と、レベル4の最高警戒態勢を敷きました。 住民は再び動きを制限し、距離の測定とマスクの着用を尊重し、外出を避けるように求められました。東京都は、現在3,000件に対して、毎日10,000件のテストをすることを約束しています。新たな汚染の多くは歌舞伎町と池袋の夜間地区のバーやナイトクラブで記録されており、当局は施設の入口で検温テストを受けることを勧めています。

 さらに、7月22日に開始予定の「Go Toキャンペーン」(割引で旅行するためのクーポン)は、地域で広がるリスクを減らすために、東京を除外することに決めました。」

 この報道を見て、どの口が言っているのか・・と私は、思いました。事実?を報道しているといえばそれまでですが、他国のことを言っている場合なのか・・と。

 フランスのコロナウィルスの死者数は、30152人(7月17日現在)、日本の死者数が1000人に迫ろうとしているとしても、30倍以上です。(ちなみにフランスの人口は、日本の約半分です)

 また、日本の新規感染者数がパンデミック以来の数字を記録したといっても、300人前後、フランスの新規感染者数は、836人(7月17日)で、全体の感染者数は、ロックダウン中のピークの期間の数字をすでに超えているのです。7月に入って以来、毎日の感染増加の度合いは、フランスの方が明らかにヤバいのです。

 それなのに、この事実を棚上げしての、日本の感染者数増加の報道には、何を余裕こいてんだよ!と思ってしまいます。

 日本は、この段階で、警戒態勢を敷くのは、賢明だと思います。フランスは、マスクが義務化となったものの、今日もパリのメトロには、スーツケースを持った人がたくさんで、バカンスに出る人の多さが伺えます。

 また、街中も、レストランなどは、テラス席がかなり拡張されて、外のスペースで食事をしている人がほとんどですが、これは、テラス席好きのフランス人にとっては、テラス席が増えただけで、ほとんど、いつもの日常で、レストランのスペースでは、食事をすることもあって、マスクをしているのは、店員さんだけです。

 現在は、多かれ少なかれ、どこの国も綱渡りの状態、特にフランスは、ほとんどサーカスのような状態です。

 早め早めの対応が大事なことは、多くの犠牲者を出したフランスがわかっていないはずはないのに、マスクが義務化されただけで、大騒ぎのフランス。300人の新規感染者で最高警戒態勢を敷く日本と836人の新規感染者が出ても、みんながバカンスに出かけるフランス。この危機感の違いに、もはや、ため息も出ません。

 まさか、また、国民のショックを考えて・・などとしていることなら、少しは、ショックを与えてもらいたいくらいです。

<関連>「バカンスを、何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html

 

2020年7月17日金曜日

来週から屋内でのマスク義務化へ フランス・マスク論争ふたたび


Illustration de l'obligation de porter le masque dans un centre commercial francilien.


 7月14日の革命記念日・パリ祭のセレモニーの後、テレビのインタビューに答えたマクロン大統領は、8月1日から「すべての閉鎖された公共の場所でマスクを必須にする」と発表しました。

 「なんで、8月1日なんだよ!明日からでも、さっさとしろ!」と思ったのは、私だけではなかったようで、来週の月曜日から、屋内での公共の場においてのマスクが義務化されることになりました。(コマーシャルセンター、店舗内、映画館、ジムなど・・)

 マスクに不慣れな国フランスは、マスクへの抵抗は根強く、コロナウィルスの流行が広まり始めた頃も、マスクをしているアジア人をコロナウィルス扱いして差別したり、ロックダウンになってからも、普通の日常生活を送る分には、マスクは必要ないとか、(そもそもマスクのストックが圧倒的に足りなくて、)医療従事者でなければ、マスクはいらないなどということを政府が発表していたくらいです。

 それでも、流行がピークに達していた頃は、医療従事者以外はマスクを買うことができなくて、(幸いにも、なぜか、家には、マスクがあったので、買い物の際はマスクをして出かけられたので、助かりましたが・・)その頃は、やはり、さすがのフランス人もマスクなしでは怖いのか、飛行機で配っているアイマスクをマスクがわりにしている人もいたくらいでした。

我が家に送られてきた紺色のマスク😷


 それが、ロックダウン解除を前後して、国民には、各市町村からマスクが配られ、薬局やスーパーマーケットでも、マスクが売られるようになり、最初は、奪い合うようにマスクを買って、マスクをして、恐る恐る外出していたフランス人も、時間が経つにつれて、気候も良くなって、感染も少しずつ減少していくにつれて、もはやマスクは、用無しとばかりに、街を歩く人でマスクをしている人は、どんどん減ってきて、道端には、使用済みのマスクがポイ捨てされ、買い物に行っても、マスクをしていない人が見られるようになってきていました。

 当然、大量のマスクを仕入れたスーパーマーケットでは、マスクが山積みになっていました。ロックダウン解除の時には、マスクの義務化は、公共交通機関利用の際のみで、その他の場所では、マスクの着用が推奨される・・という内容でしたが、「推奨される・・」程度で、フランス国民がマスクをし続けるはずは、なかったのです。

 ところが、ここ2週間ほど(7月に入ってから)バカンスに入ってからのフランスの感染状況は、感染者数が6万を超え、(64664名・7月16日現在)(ちなみに日本は、2979名です)グラフには、危険な上昇のカーブが現れているのです。

 ロックダウン時にも、国民のショックを考えて、段階的にロックダウンをしたというマクロン大統領は、今回のインタビューで、「コロナウィルスの第2波が少し始まりかけているという兆候が見えています」「私たちは、警戒して、第2波に向けて準備をしなければなりません、引き続きソーシャルディスタンスを!」という、比較的、ソフトな言い方をしています。

 そして、彼は、同時に「第2波に対する準備は、できています」とハッタリをかましていますが、医療の現場では、医療従事者用の安全性の高いマスクや防護服、医療物資等は、未だ十分とは、言えない状態なのです。医療従事者が革命記念日に行ったデモは、単なるベースアップ要求だけのデモではないのです。

 このコロナウィルス感染の経過、現状と、政府の発表には、隔たりがあることを感じずにはいられません。

 国民の混乱や反発を抑えるために、ロックダウン解除以降、強制事項は避けてきたフランスが、マスク着用の義務化を決定するということがどういうことなのか、事態をしっかりと見つめなければなりません。

 ハッタリをかましている政府の発表を鵜呑みにはできません。ロックダウン解除時に約束した週70万件の検査も、実際のところは、はるかにその数字には及ばない状況で、当時、隣国ドイツの検査数の5分の1だった数字が6分の1になっています。(ドイツの検査数が大幅に増えている割に、フランスは増えていない)

 ともかく、マスク着用を義務化してくれたことに、私は、少しホッとしています。マスク着用の義務を怠れば、罰金135ユーロが課せられます。罰が与えられなければ、統制が取れない、まことに民度が低いフランスであります。

<関連>
「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_20.html


「フランスのロックダウン解除 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_8.html






2020年7月16日木曜日

フランスのソルド・盛り上がらないバーゲンの初日




 革命記念日の祭日・パリ祭が終わって、延期になっていた夏のSOLDES(ソルド)(バーゲン)が全国、一斉に始まりました。例年ならば、夏のSOLDES(ソルド)(バーゲン)は、6月最後の週の水曜日から4週間と決められています。6月24日に始まるはずの夏のソルドが3週間延期になってしまったことで、その間に、お客さんの大半は、バカンスに出てしまいました。

 それにしても、ここ数年のバーゲンは、以前に比べるとすっかり盛り上がりがなくなり、そういう私も、もはや大して欲しいものもなく、今日は、フライパンが欲しくて、近所のコマーシャルセンターを覗きに行ったのですが、以前では、考えられないようなバーゲンの初日、お客さんも大したことないなら、お店側もバーゲンというのに、やる気あんのかよ?という感じです。

 だいたい、バーゲン時期は、お客さんもお店側も戦闘体制だったのは、昔の話で、お客さんも少なければ、店員さんさえもバカンスに出てしまって、通常よりも少ないくらいなのです。

 フランスでは、バカンスが最優先、ソルドの開始が延期になったからといって、バカンスの予定を延期する人は、いません。

 その上、ここ数年、ネットショッピングの割合が増加していたのに加えて、ロックダウンで、さらにこの傾向に拍車がかかり、何もソルドの時期に足を運んで買い物に行かなくてもネット上でもソルドは、やっています。「せめて、洋服くらい、自分で着てみてから買いたいじゃない!」という私に、娘は、「買ってみて、着てみて、気に入らなかったら、返品すればいい・・今は、それが簡単にできるようになってるの!」とバッサリ。

 ただでさえ、配送事情が悪く、全ての手続きがトラブルの素になるフランスで、ネットで買い物したものが、ちゃんと届くかどうかも心配な私と違って、さすがにフランスで育ってきた娘、そんなトラブルがあろうと、モノともしない逞しさです。

 ともかく経済再開のためにロックダウンを解除したものの、どうにも怪しげな感染状況(今もフランスは、1日の新規感染者数は、500人前後の日が続いています)のために、ソルドの開始日を延期したものの、バカンスは7月初めに解禁になり、国内移動のTGV(新幹線)は、ほぼ、満席状態。

 感染状況を鑑みて、押したり、引いたり、ワリを食ったのは、バーゲンを控えていた店舗のようで、すでにバーゲンを待つまでもなく、閉店に追い込まれた店舗も少なくはなく、第2波の心配は、当分、続きそうで、昨年末からのデモやストライキでお店を開けられなかったり、売り上げが伸びなかった上に、国民のネットショッピングへの移行。たくさんの在庫を抱えた店舗はさらに厳しい状況に追い込まれていくことでしょう。

 ビッグネームの老舗やブランドでさえも危機に立たされています。

 フランスのネット上では、ロックダウン解除とともに、国内のあちこちの店舗で行列ができたというZARAでさえ、今年のソルドは、1分で終わった・・最悪・・などと、ブーイングが上がっています。

 ショッピングのように、コロナとともに、変わっていく業界もこれから多々出てくることでしょう。コロナとともに、たくさんの人の暮らしも変わっていくのだ・・とソルドの初日に、またあらためて思うのでした。

<関連>
「フランス・夏のソルド(バーゲン)は、コロナウィルスの影響で7月15日に延期」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_23.html

2020年7月15日水曜日

2020年 フランス革命記念日・パリ祭の光と影


コンコルド広場でのセレモニー


 2020年のフランス革命記念日は、コロナウィルスの感染が危惧される中、いつもと違うパリ祭となりました。例年は、シャンゼリゼの沿道には、大勢の観衆が集まり、凱旋門から、コンコルド広場へ向けての華やかなパレードが行われます。

 フランスの持ちもの全てがパレードすると言われるこの催しは、天候も良いこの時期に、シャンゼリゼの沿道に植えられているマロニエの木に、トリコロールのフランス国旗がたなびき、美しいパリのロケーションにそれぞれの隊が精悍な制服姿で行進する光景は、フランス国民ならずとも心を奪われるような光景です。

 このパリ祭のパレード(フランスでは、デフィレと言います)には、デフィレに参加する人は、もちろんのこと、フランスの国力と美しさに、多くのフランス人がフランスを誇りに思うような、国民の愛国心を強固にするような不思議な力があります。

今年は、シャンゼリゼではなかったので、マロニエのグリーンがないのは残念


 マロニエの木の緑、トリコロールの国旗、茶色い馬、白い馬に乗る深い紺を基調とし、ゴールドがあしらわれ、ところどころに差し色に赤が入った制服、制帽、ブーツなどでバッチリ決めた一団が束になって、次から次へと行進してくる様子は、圧巻です。

 今年は、コロナウィルスの感染が収まっていないこともあり、一般大衆は、シャットアウトされ、招待客のみで、コンコルド広場の小さい?スペースのみで、大幅に規模を縮小して行われました。それでも、演出は、なかなかなもので、数週間前から、政府は、このパリ祭は、コロナウィルスの危機と今も戦い続けている英雄のためのものと発表していました。

コンコルド広場でのセレモニー全景


 その言葉どおり、例年は行われない医療関係の隊もパレードに参加したり、医療従事者の一部も招待客に加えられていました。式の最後に、コロナに向かって国民が一丸となって戦おうという気持ちを込めて歌われたマルセイエーズ(フランス国歌)では、招待されていた医療従事者の複雑な表情がとても印象的でした。

 そんなデフィレは、正午には、終わり、マクロン大統領は、テレビのインタビューに答える形で、コロナウィルスの第2波が来たとしても我々には、充分な準備ができている。また、今後、(恐らく8月1日から)公共の場(屋内)でのマスク着用が義務化されることを発表しました。(マスク着用の義務化に対しては、なぜ、ロックダウン解除の際に試行しなかったのかと思いますが・・)

 そして、その日の午後、華やかなパレードとは裏腹に、フランス国内のいくつかの都市では、CGT(フランス労働組合)など、12の労働組合の呼びかけにより、数千人に上るデモが行われ、(黄色いベストによる政府に反対する人や、公立病院の医療従事者による医療に関わる職員の待遇を含む医療環境・物資の不足に対するデモ)、午後6時頃、パリ・バスティーユでは、催涙ガスまで発砲される警察との衝突が起こりました。

 パリ祭で、英雄と感謝され、奉り上げられた一部の医療従事者の複雑な表情の背景には、このデモがあったのだと思わずにはいられませんでした。

 そして、革命記念日・パリ祭の最後は、エッフェル塔での花火です。今年は、無観客で行われましたが、数ヶ月前までは、閑散として、皆がウィルスに震え上がっていたパリでの盛大な花火は、それは見事なもので、エッフェル塔からは、結構、離れた我が家の窓からでも、花火のど〜んという音まで聞こえ、充分に楽しめた見応えのある30分近い素敵なショーでした。



 家の窓から見える花火とテレビで中継されている花火、若干の時差を楽しみながら、今年の3月の時点では、こんな花火が見られることなど考えられなかった状況から、たとえ観客は、シャットダウンといえども、ここまでできるようになったという感慨が襲ってくるのでした。



 こうしてセレモニーや花火でパリの街を改めて見るにつけ、やはり、パリは、美しい・・と珍しくパリにいることを嬉しく感じた1日の終わりでした。


 しかし、朝からデフィレ、デモ、花火と盛りだくさんな一日でした。

 これに加えて、エソンヌ(イル・ド・フランス)で、火事だと通報を受け、駆けつけた消防士が襲撃を受けるという事件が起こったそうです。華々しい革命記念日の光と影、わけのわからない影の人がまだまだ、たくさん潜んでいるフランスなのです。


<関連>「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

 

 

 










2020年7月14日火曜日

一枚のお皿が思い出させてくれた小さい頃からの娘の食事




 私がフランスで仕事を始めたのは、娘がちょうど一歳になった頃でした。娘がアフリカで生まれてから、3ヶ月くらいで、フランスに引っ越してきて、当初は、右も左もわからない状態でした。しかも、娘は、まだ0歳児、初めての子育てで、ミルク探し、日用品の買い物、お医者さん通い、ごくごく普通の最低限の生活を送ることを少しずつ積み重ねていきました。

 当時は、主人の兄夫婦の家から比較的近い、パリからは、電車で40分ほどの郊外のアパートに住んでいたので、気軽にパリを散歩するということもできませんでした。パリに行けば、日本食品なども、わりと簡単に手に入るのですが、当時は、怪しげな多国籍の食料品を扱っているお店で、日本食を作れる食品を物色したりしたものです。

 その頃は、娘の国籍のことや、私の滞在許可証の申請などが、なかなかスムーズに進まず、ようやく少し目処がたったのは、半年以上経ってからのことでした。

 ですから、それまでは、私も仕事どころではなく、娘とベッタリの生活で、私は、娘と片時も離れることはありませんでした。それでも、娘が可愛くて可愛くて、子育ては楽しくて、特にストレスに感じることはありませんでしたが、初めて仕事に行く電車に乗った途端、想像していなかった開放感に自分自身が驚いたほどです。

 娘を保育園に送って行って、仕事をして、帰りに娘を迎えに行って・・と、娘といられる時間は、朝と夜の短い時間だけ、休みの日には、娘に日本語を教えながら、買い物や家事に追われて、時間はあっという間にすぎて行きました。

 仕事の都合上、私は、日曜日に仕事のことも多く、そんな時には、必ず、昼食の支度をして出かけました。主人と二人で、娘のお休みの日には、必ずどちらかが娘といられるように予定を調整していましたので、日曜日に私が仕事でも、主人がいてくれるので、私が食事の支度をしていかなくても、主人が何か娘のために作ってくれたのですが、娘は、主人の作る食事が嫌いで、嫌がっていたし、私は、私で、お休みの日に仕事に出かけてしまっても、「ママは、あなたのことを忘れていないよ・・」という意味で、出来るだけ、彼女が寂しい思いをしないように、必ず、彼女の好きそうなものを作って置いてきていました。

 忙しいお母さんでも、お弁当作りは、欠かさない・・そんなお母さんたちもきっと同じような気持ちなのかもしれません。

 当然、主人が作るものは、フランス料理?のできそこないのようなもので、日本食が好きな彼女の口には合わなかったので、せっかく作ってくれたパパに気の毒な思いをさせないためにも彼女に食事を作り置きしてくるのが習慣になっていました。

 とはいえ、カレーやシチュー、チャーハン、オムライス、ちらし寿司・・などなど、そんなに手の込んだものではありません。それでも、一応、彼女の気に入った食事があるだけでも、少しは、気持ちが和むだろうと思っていたのです。

 昼食とは別に、小さい頃から彼女は、ブロッコリーが大好きで、小・中学生になってからも、我が家の冷蔵庫には、必ず茹でたブロッコリーと人参が入っていました。学校から帰ってきて、お腹が空いたら、お菓子を食べずに茹で野菜をモリモリ食べていました。実に健康的な好みの娘です。(彼女は、サラダ用のソースやマヨネーズなどは、一切使わず、軽い塩で茹でたそのままで食べるのです)

 先日、長いこと使っていなかったお皿に、オムライスを盛って出したら、娘が、「このお皿、懐かしいなぁ〜、よくママが仕事の時に、このお皿にお昼ご飯がのせて置いてあった・・」と、当時のことを思い出してくれました。

 小さい頃のことでも、私が作った食事のことを覚えてくれていることを、何だかとてもほっこり嬉しく思いました。母親なんて、そんな些細なことが嬉しいんだな・・と、私は、私で、母の作ってくれたお料理のことを思い出していました。


<関連>「子供を預けて働くということ 子供を預けることは、育児放棄ではない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_20.html

2020年7月13日月曜日

ニースで5000人の屋外コンサートの惨状


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 先週末の土曜日の夜のニュースでは、ゲストの医者が「フランスは、ほんとうによく頑張っている・・公共交通機関でのマスク着用は徹底しているし、ソーシャルディスタンスを尊重した生活を送っている。」とフランス人を絶賛しているのを、半ば、呆れる感じで、「本当にフランス人は、自画自賛、自国を褒めることが大好きだ・・」と思いながら見ていました。

 ところが、ちょうど、そのニュースが放送されていた頃、ニースでは、屋外コンサートに5000人が熱狂状態になっていました。このコンサートが行われた場所は、通常ならば、36000人が収容できるスペースのところ、ソーシャルディスタンスを考慮して、5000人は超えない、マスクの着用を求めるという条件でニース市は、このコンサートの開催を許可したようです。

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 ところが、実際のところ、ソーシャルディスタンスなどをとっている人など誰もおらず、マスクをしている人も見当たりません。まあ、考えてみれば、感染を危惧する人は、現段階で、このようなコンサートには、行きませんから、マスクの着用など義務化し、かなりの警戒体制を敷かなければこのようになることは、明白だったのです。


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 いみじくも、前日の金曜日にフランスは、コロナウィルスによる死者3万人突破を記録したばかりでした。3万人という犠牲者を出しながらもこのウィルスの恐ろしさがまだわからない、コロナウィルス以来、何度となく、フランスは、どうしようもない・・と思ってきましたが、まだまだ、これでもかというくらいフランス人には、驚かされます。

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 一時的ではありながら、バカンスに入って、デモが沈静化してきて、とりあえず、よかったと思った矢先の出来事です。

 結局、ニース市では、屋外であったとしても、全てのイベントに際しては、マスクが義務化されることになりました。

 サッカーもmax 5000人でソーシャルディスタンスに配慮してという条件で、観客を入れての試合が開始されます。ニースの二の舞にならないかと大いに心配です。

 そんな中、フランスは、コロナウィルスが広く循環している危険国からの旅行者を対象に空港でのコロナウィルス検出のための無料テストを体系化することを発表しています。現在、フランス(ヨーロッパ)に入国できる13ヶ国の中にフランス以上にウィルスが蔓延している国があるのかは、疑問ですが、フランス領でもギアナなどのような場所からの入国者ということでしょうか?

 いずれにしても、外国からの入国者のチェックをするよりも、国内で、日々起こるこの惨状をどうにかするのが先決で、このままでは、(すでに)フランスは危険な国として認知され、フランスから海外に出たい人は、要注意扱いされるようになり、海外からの観光客も誰が好んで、こんな危険な国に来るでしょうか?

 フランスも、いい加減、自画自賛、自己満足に酔いしれるのではなく、周りからも安全な国として認知されるようになって、海外からの観光客が安心して来れるような国になってほしいものです。

 それにしても、今、世界の感染状況を見て、驚きました。アメリカは、もちろんのこと、ブラジル、インド、南アフリカ、南米などは、感染の勢いが物凄く、1日の新規感染者が余裕で1万人を超えています。

 世界的なパンデミックは、まだまだ、おさまりそうにありません。

 やはり、到底、今年のオリンピックは無理であったし、来年でさえ、絶望的です。

<関連>
「フェット・ド・ラ・ミュージックでまた群衆・飲んで踊って大騒ぎのフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_2.html

「フランスは、やっぱりダメだと、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_26.html