2024年7月9日火曜日

一難去ってまた一難のフランス・・首相任命

 


 大波乱の国民議会選挙が終わり、大方の予想を覆して左派連合が勝利をおさめ、ガブリエル・アタル氏が首相を辞任、辞表を提出すると宣言して、翌日。勝利をおさめた左派連合の中から首相が任命されるかと思いきや、マクロン大統領は、依然として沈黙を続け、エリゼ宮は、マクロン大統領は、国の安定をはかるため、アタル氏の辞表を受け取らず、当面は首相を留任するように依頼したことを伝えています。

 考えてみれば、左派連合が勝利して第一党になったとはいえ、この党が過半数を占めているわけでもなく、大きく言えば、左派、右派、マクロン派(中間)に分断しているわけで、この国民議会を束ねていくのは、容易なことではないため、新首相の任命は、慎重を期す必要があります。

 基本的には、首相は、大統領の権限で任命できることになっているので、彼の采配で決定することができるとはいえ、この分断した国会の承認を得なければならないわけで、これがまた、下手を打つとまた大騒動になりかねないのは、必須で、この異なる政党の均衡をとりながら、国を動かしていくのは生易しいことではありません。

 欧州議会選挙の結果に対しては、驚くほど早い段階で、国民議会の解散・選挙を決定してしまったマクロン大統領も、今回は慎重に事を進める覚悟でいるようです。

 とはいえ、異例の若さで首相に就任したガブリエル・アタル氏も当初は、マクロン学校のミルク(哺乳瓶)で育った・・などと揶揄されるほど、マクロン大統領にビッタリだったにもかかわらず、わずか半年でマクロン大統領との間には距離が生まれているとも言われ、要は、彼の人気を利用して、新体制を整えたに見えたマクロン大統領はマクロン自身の不人気をカバーするには至らず、結果的にアタル氏の立場は微妙なものになってしまいました。

 フランスは、今週末にはパリ祭(革命記念日)、そしてオリンピックという一大イベントが控えているため、ここで、大暴動が起こりかねないようなことは避けようとしているという見方もあります。

 首相任命に法的な期限はありませんが、次回の国会開催は7月18日の予定になっているため、その前までには、新首相が任命されることが予想されています。

 いずれにしても、どの政党も過半数には達していないために、今後、どのような議決に対しても、すんなりとはいかないことが予想され、それを統治していく首相、そして大統領にとっては、茨の道となることが予想され、すでに一応勝利をおさめた左派連合にしても大統領陣営にしても、さらに連立を企てようとしているものの、どこがどこと連立するのか?また、すでに連立で成り立っている左派連合の中においても、常にバランスが問われる問題でもあります。

 これまでのマクロン政権では、様々な改革が行われ、強引などころがあったとはいえ、一応、議決、あるいは議決せずに決定してきたことなどもあり、黄色いベスト運動や年金問題などなど、大暴動のタネになることもいくつも起こりました。

 しかし、マクロン大統領自身が暴動など意に介さずに恐れず突き進む・・歴史に残るような問題をいくつも提供しようとしているとしか思えないようなところもありましたが、今後は、現時点では大統領陣営は第一党ではなくなったために、これまでのようにはいきません。

 とはいえ、マクロン大統領の支持者たちは、この分断された国会の中、右派あるいは左派の最も穏健派との連立を訴え続けていると言われていますが、現段階では、交渉が思うように進んではおらず、いわば「埃をしずめてはっきりと情勢を見えるようにしている」状態であると言われています。

 マクロン大統領と閣僚、国会の間の均衡をとりつつ国を統治していける人物とはどんな人物なのか? 一時は隆盛とみられた右派がほんの少し停滞したことで、なんとなくホッとしているものの、今後も目が離せない時が続きそうです。


フランス首相任命


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2024年7月8日月曜日

フランス国民議会選挙 予想外の結果と投票率の高さ

  


 よもや極右政党が政権を握りかねない事態に今回のフランスの国民議会選挙は、本当に心配していました。選挙権のない身としては、如何ともしがたく、「自分でなんとかできないことに心を煩わしても仕方がないと、もうなるようにしかならない・・」とまな板の上の鯉の気持ちでした。

 第一回の投票では極右政党が有利な位置を占めており、充分に第二回の投票までぶっちぎりとなる可能性はありました。

 第一回の結果を受けて、左派政党と環境保護主義政党などが連合政党を組み、各政党は、票割れを防ぐために候補者の一部を撤退させる等の対策をとっていましたが、結果、新人民戦線(NFP)が最多数の議席を獲得するという大逆転というまさかの結果になりました。

 大手各紙もこぞって、「誰も予想していなかった大逆転!」と驚きを隠せない書き方をしています。たしかに、結果的には、極右政党は、過半数どころか1位でも2位でもなく、3位という結果になりました。

 私自身も、個人的には、この結果を予想していなかったので、言い方は悪いですが、作戦が功を奏したとはいえ、この連合政党の勝利は「漁夫の利」っぽい感じがしないでもありません。

 マクロン大統領は、この選挙にあたって、「フランス人が賢明な選択をすることを信じている」と、あくまで強気の声明を発表していましたが、さすがに民主主義の国と言われるフランスが極右に向けてまっしぐらに進むことはありませんでした。しかし、反マクロンの国民の感情が消失したわけではないことを彼はどの程度受け入れているのでしょうか?

 今回の極右政党は、SNS(特にTikTok)などを巧に使って、若い党首を前面に押し出し、ソフト路線イメージに移行しようとしていたのですが、それはあくまで広告的なイメージ戦略で、根本的なポリシーは、変わっていないのです。

 そのソフトイメージが盛り上がりを見せていたところに、マクロン大統領には、ガマンならない!という気持ちが拍車をかけた結果が当初の欧州議会選挙の結果に繋がったものと思われますが、そこで留まっておけばよかったものを国民議会解散・選挙などという暴挙に出たのですから、「またマクロン大統領!思いあがって、なにをやりだすのか!」という国民の気持ちが第一回の選挙結果に表れていたのかもしれません。

 フランスの国民議会の選挙は2回にわけて行われますが、多分に第一回の結果とは違った結果が第二回には表れると言われており、今回、多くの人が予想外だった!と語っている結果も、第一回の結果からはかけ離れたものです。

 しかし、後になって考えてみれば、「マクロン大統領は嫌だ!でも極右に偏るのも嫌だ!」となれば、左派連合に流れることは充分にあり得ることであったのではないかとも思われます。この投票を2回行うというやり方は、一回、投票してみて、その結果を踏まえて、あらためて熟慮して結果を出すという意味では、とてもよい方法なのではないか?と、今回、あらためて、思いました。

 時として、その時の流れに踊らされてしまう感情から、有権者側も次の投票までの間、多くの政党の討論会などを見ながら、本当のところを見つめて、本当に自分たちは何を求めているのか?候補者たちの本音を注意深く見極めていくのには、一度、立ち止まって、もう一度ゆっくりと考える・・そんな機会があるのはとても大切なことだと思うのです。

 なんなら東京都知事選挙ももう1回やってくれたら、違う結果が出るかもしれません。

 そして、もう一つ驚くべきことは、投票率の高さで、今回の第二回選挙は、学校も夏休みに入り、7月バカンス組の多くはバカンスに出てしまっているタイミングにもかかわらず、投票率は、おそらく67%を超えるであろうという投票率の高さです。ということは、多くの人がバカンス前に不在投票をして出かけたということだと思われます。

 フランス人は黙ってガマンするということはしない国民ですが、最低限、大多数の人々は、投票の義務は果たしているということは、さすがだな・・と思うのです。投票に行かないことは、恥ずかしいことだという感じです。

 この結果を受けて、ガブリエル・アタル首相(35歳)は翌日、大統領に辞表を提出することを発表しています。

 とりあえず、極右が政権を握らなかったことに移民の一人としては、ホッとしています。

 選挙の結果如何では、また大変な暴動でも起こりかねないと思っていましたが、少なくとも、その日の夜は喜びに沸きあがっていました。

🇫🇷 FLASH - Des milliers de personnes célèbrent la victoire du Nouveau Front Populaire à Paris. (via @LucAuffret) #legislatives2024 pic.twitter.com/jDFMHNtsLw

— Mediavenir (@Mediavenir) July 7, 2024 >

 


フランス国民議会選挙 


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2024年7月7日日曜日

オリンピック直前 パリ市内観光事情 五輪付きのエッフェル塔

  


 野次馬根性丸出しで、オリンピック五輪付きのエッフェル塔を見ておきたくて、エッフェル塔に行きました。エッフェル塔は言わずと知れたパリの観光地の一つですが、日常では、あまり訪れることはありません。

 しかし、エッフェル塔に五輪が取り付けられたと聞いて、これは期間限定、今しか見られないエッフェル塔を見ておきたい!とエッフェル塔に行ってきたのです。

 エッフェル塔は、残念ながら観光地の中でも治安の悪い場所としても有名で、特に夜中のエッフェル塔近辺でのひったくりや強奪、レイプ事件などは事欠かない場所でもあり、日中とて、警察官や憲兵隊の数は相当なもの、数分に一度は、警備隊の一団とすれ違うといっても過言ではありません。


 特に憲兵隊の巡回などは、ライフルというのか?長い銃を抱えており、そんな武器を見るだけでも、ちょっと腰が引けるところだと思いますが、パリに来て以来、最初はギョッとしたものの、私の知る範囲では、リヨン駅などには、いつもこの銃を抱えた憲兵隊が巡回しているので、もう慣れたというか、むしろ、ここまで警戒が厳しいのだから、むしろ安心だと思うようにすることにしています。

 私は、とりあえずは外からエッフェル塔の姿が見られればいいので、登ろうとは思わないのですが、私のように、外から眺めるだけでも全然、OK!という人は多いです。

 目を輝かせてうれしそうにエッフェル塔を訪れる人が後を絶たないのを見るにつけ、エッフェル塔ってすごいもんだな・・と思います。

 当然、観光客が立ち寄るところには、観光客目当ての無認可の露天商(水やクレープ、エッフェル塔の置物やキーホルダーなどを売っている)、観光バスや観光客目当てのトゥクトゥクなど、パリ市内のふつうの場所ではあまり見かけないものにも遭遇します。

 一時はこの露店クレープの生地がマンホールに大量にストックされているのが発覚して大騒ぎになったこともありました。

 パリ市内を廻る観光バスはパリ市内、いくつかの地点を経由しながら、廻っているものが数種類、存在するのですが、どの観光バスにも必ずエッフェル塔は入っています。

 考えてみれば、パリ市内を廻る観光バスというものには、乗ったことがないのですが、この観光バスがあまりにしつこく観光客の家族をつかまえて客引きをしていたので、「今どきは、観光バスまで客引きをするのか?」とビックリして見ていると、「今日は時間がないから・・」と断っている家族連れに、「じゃあ、明日の分を今日、買っておいた方がいい・・明日、待ち時間を節約できるから・・」とかなりしつこく、ちょっと嫌な感じがしたのです。



 念のため、観光バスはいくらくらいするものなのか?聞いてみたら、なんと1周約2時間で一人45ユーロ(約7,800円)ということで、想像以上に高くてビックリしました!

 効率よくパリ市内を廻れるという意味ではよいかもしれませんが、パリはそんなに広くもないので、市内に普通に走っているRATP(パリ交通公団)のバスでも充分に廻れます。しかも自分のペースで・・。

 あとで、その観光バスを調べてみると、これは、「6月3日から9月8日の価格」となっており、まさにオリンピック?便乗価格。オーディオガイドがオリンピックスペシャルになっているということで、しかもネットでの価格は45ユーロが38.25ユーロになっています。

 例えば、これに家族4人で乗るとしたら、180ユーロ(約32,000円)もかかるわけで、パリ観光ってお金かかるなぁ~と、そう考えると、パリを訪れている観光客ってお金持ちなんだな~と見方が変わってきます。

 その他、エッフェル塔は外から眺めるだけなら無料ですが、登ろうとすると、一番上までのぼるには、一人 35.30ユーロ(約6,100円)、2階まででも 22.60ユーロ(約4,000円)、なんなら階段でのぼったとしても(2階まで)14.20ユーロ(約2,500円)です。

 治安の話に戻れば、なんだか先日、ベルサイユ宮殿で特別治安部隊が出動し、宮殿内の観光客に避難勧告が出される大騒ぎになったとのこと。治安部隊が動きだしたことから、俄かに「よもや!テロ?」とデマがSNSで流れ出したそうですが、結局のところは、露天商の間のケンカにナイフを持ち出した・・とか、そんなことだったようですが、現場は一時、騒然となったようです。

 今は、特に警戒が厳しいというよりも、警備はいつも厳しいのですが、なにか少しでも起こったときの反応の仕方が過敏な感じ・・今は、政情も少々?不安定、しかもオリンピック前ということで、少しでもなにかあれば、対応の動きが過激なようです。

 いよいよ、学校も夏休みに入り、本格的なバカンスシーズンに入り、パリを脱出する人は、この週末から少しずつ、消えていくはずですが、これから選挙が終わって、翌週にはパリ祭があり、パレードもオリンピックのために、いつもと違ってシャンゼリゼではなく、Avenue Fochで行われます。最初、フォッシュをオッシュと聞き間違えて、えっ?日本大使館前の通り?と思ったのですが、違いました・・(凱旋門を挟んで斜め反対方向の通り)。

 これからちょっと、特別なイベントが続くパリ、その中を観光するのは、けっこう大変そうです。


五輪付きエッフェル塔


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2024年7月6日土曜日

フランスも日本も選挙 どっちの選挙にも行けない・・

  

 フランスでは国民の政治への関心が高いために、選挙といえば、大概、投票率は日本では想像もできないほど高いのですが、今回は、皆、当然のことながら、思うところが激しくあるようで、もうこの2~3週間、選挙の話題ばかりです。

 私は、フランス国籍ではないので、いつものことながら、フランスでの投票には行けないのは仕方ありません。

 そして、日本でも東京都知事選挙を目前に控えているため、その報道は、少しずつYouTubeなどで見ています。東京都知事選挙は国政選挙ではないために、在外投票はできないため、こちらの方も私は投票ができません。

 フランスも日本も選挙で大騒ぎなのに、そのどちらにも行けないのがとても残念です。

 東京都知事は、国政選挙ではないとはいえ、日本の将来に大きく関わる大変な選挙です。海外から見ている日本のニュースや、海外で生活しながら、「いつのまにか、おやおや日本、いつのまにか、おかしなことになってる・・」、「フランスであたりまえのように進化していることが日本では昔のまんまだ・・」なんてことが増えてきて、「どう考えても、日本の政治、今のままでいいはずがない!と憤りのようなものを感じるようになっています。

 日本人は真面目でポテンシャルは高い国民性を持っているのに何が悪いのか?といえば、政治が悪いのです。賢く、健全な志を持った力強いリーダーが国を率いて行けば、日本は確実に生まれ変われると思うのです。しかし、もう時間的な猶予はありません。まったなしです。

 しかし、もう長い間、日本でそんな割に合わない政治家なんていうものを志す若い人はいないのではないかと思っていました。しかし、今回の選挙では、そんな志がありそうな人も存在しています。日本が今のままでいいはずはありません。

 長期にわたる権力は腐るといいますが、まさにそのとおりなのではないかと思いますし、また明らかに偏向報道をしているテレビなどの日本の大手マスコミも(私は日本のテレビは見られないので詳しくはわかりませんが・・)マスコミの役割を果たしておらず、腐りきっています。

 主要な候補者同士が討論・議論をしているところをテレビなどで流さないというのは、フランスでは信じられない光景です。

 東京都知事選挙は地方選挙とはいえ、日本の首都であり、日本の将来を大きく左右する立場にあり、重大な問題です。私は、できることならば、一時帰国して、住民票を一時、日本に戻してでも投票に行きたかったくらいです。

 私は生まれも育ちも東京都だし、もし、将来、日本に本帰国することがあるとすれば、東京に帰るので決して他人事ではありません。

 一般的には、現職の知事が優勢であろうと言われているようですが、東京都民?日本国民が日本を今のままにしておいていいと思っているとは思えないのに、どうしてそのような予想になるのか?よほど、利権の恩恵に預かって、それを守りたいと思っている人が多いのか?それともこのままの日本の状況が続いても未来の世代のことはどうでもいいと思っているのか?全く、理解しがたいです。

 海外から見るからこそ、そんなのおかしい!と思うことが浮き彫りに見えるということもあると思うのですが、「誰に入れたらいいかわからない・・」などという言い訳は通用しません。わからなければ、知る努力をして、どの候補者がどんな姿勢で選挙に臨んでいるか?どんな志を持っているのかを知ろうしなければなりません。それは国民の義務です。

 選挙権というものは権利であると同時に義務でもあると思っています。

 どうか、投票できずに悔しい思いをしている私の分も東京都民の方々はどうか選挙に行って投票してきてください。そして、日本が本来のポテンシャルを取り戻してくれることを切に願っています。


東京都知事選挙


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2024年7月5日金曜日

オルリー空港まで開通したメトロ14号線

 


 メトロ14号線は、パリに来た当初から私が一番利用することの多いメトロで、当初は、ほんの短い路線でマドレーヌから ビブリオテック・フランソワ・ミッテラン駅までの7駅だけしかありませんでした。


 それが少しずつ延長し、ついには、ここに来て、オリンピックのおかげ?なのか、オルリー空港まで開通し、反対側は、サンドニ(オリンピックのスタジアムがあります)まで通じる21駅を有する路線になりました。

 当初から比べると3倍の長さになり、平日は、2~3分に1本くらいの本数で、ほとんど待ち時間もなく、何よりもありがたいのは、自動運転のために他の路線がストライキをやっている時でも、まずストップしてしまうことがないことです。

 とにかくパリのメトロの中でも最もトラブルの少ない路線なのではないか?と思います。

 正直、私自身はオルリー空港を利用することは稀なのですが、それでも空港までとなると、これまでは、そこまで遠くはないのに(特にオルリーは)、とても行くのが億劫な感じがあったのですが、14号線が空港まで開通したことで、パリ中心部のシャトレから空港まで25分という便利さで、実際に空港まで乗ってみましたが、また空港の駅(メトロの駅)がきれいで、空港までのアクセスもラクラクで、ちょっと感動ものでした。



 気のせいかもしれませんが、このパリ中心部から空港まで25分というのを達成するためかわかりませんが、他の路線よりも若干、走行速度が速いような気もします。



 空港駅から空港までのアクセスの案内等もわかりやすく表示されていて、また、空港からパリに行く際のチケット売り場などは、かなり大きな駅のチケット売り場よりもさらに大きく、券売機などもたくさん用意されています。


 ただ、空港からの旅行者が大きな荷物を持って乗るための車両には、なっていないために(CDGシャルルドゴール空港から走っているB線などには、荷物置き場のようなスペースがあったりもする)、大量の観光客が大きなスーツケースなどを持って乗って、その乗客でいっぱいになった場合は、どんな感じになるのかな?とちょっと思いました。


行先を入力するとどうやって行ったらいいか教えてくれます


 しかし、パリにあるメトロの中では、14号線の車両は、比較的、ゆったりしている方ではあるうえ、オルリー空港からの便は比較的、国内線やヨーロッパ線が多いので、荷物も少なく見積もっているのかもしれません。

やっぱり五輪は人気みたいで、記念写真を撮る人が絶えない


 これが、いよいよオリンピック本番になって、オリンピック関係者やオリンピック観戦のためのお客さんで埋まるようになったとき、どんな感じになるのかは、想像がつきません。

 今のところは、電車も駅もピカピカで新しくてきれいで、大変快適で、どうせ、すぐに落書きだらけになったり、汚してしまったりするのだろうな・・と思いつつも、やっぱり新しくてきれいなものは、気持ちよくて、「パリも進化したなぁ・・長い間、工事のための閉鎖期間をガマンしたかいがあったな・・」などと思います。

 この拡張工事には、35億ユーロの費用が投じられているそうで、あまりに多すぎてピンとこないほどですが、どうやら、これで終了というわけではないらしく、将来的には、現在は建設段階の15、16、17、18号線との接続により、さらに延長していく予定になっているそうです。


メトロ14号線 オルリー空港開通


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2024年7月4日木曜日

アルカション(ボルドー)のビーチ近くの街 バカンスに向けて地域住民を守る罰則

  


 ボルドー南西にある人気のビーチがあるアルカション(Arcachon)(ジロンド県)の街では、この夏のバカンスシーズンに向けて、観光客の無礼な行為を避けるための対応を強めることを決定し、罰金付きの規則を制定しています。

 アルカション(Arcachon)は、ビーチだけでなく、デュヌ・ド・ピラ(Dune de Pyla)というヨーロッパ最大の砂丘がある場所でもあります。

 アルカション市は、住民の良好な共同生活と生活の質を維持したいと考えており、この規則は、住民の快適さと静けさを確保するために日常的に取り組んでいる自治体が守る価値観から成っていると説明しています。

 このビーチに近い街でのこの夏の禁止事項と罰金は、「上半身裸で街を散歩した場合は、罰金150ユーロ(約26,000円)」。「犬のフンを始末しなかったり、紙屑などを私有地に投げ込んだりした場合には、750ユーロ(約13万円)」、「夜中から午前4時にかけて騒音を発生させた場合、そのパーティーへの参加者には、450ユーロ(約7万8千円)」の罰金が課せられる可能性があるとしています。

 この罰則と罰金の設定のバランスについては、どのように決めているのかはわかりませんが、バカンス先で開放的になっている観光客には、ありがちな迷惑行為なのかもしれないし、そこに住む住民にとっては、悩ましい迷惑行為であるに違いありません。

 この罰則・罰金がどのように街中に掲示されるようになるのかは、わかりませんが、バカンス客にとっては興ざめなことかもしれません。しかし、住民にとっては、それだけ見過ごせないほどマナーが悪化しているということかもしれません。

 これがどの程度、効力を発揮するのかどうか?この取り締まりだけでも大変な労力がいることだと思いますが、結局、パンデミックの時のマスク同様、規則は罰則なしには、守られず、しかも罰金つきでなければ効力を発揮しないということかもしれません。

 ビーチに近い街ならば、暑いなか、ビーチに出て、男性ならば、つい上半身裸のままで街に出てしまうということもありそうですが、せめてTシャツくらい着なさい!ということなのです。

 これに加えて、ビーチではすでに禁止されているタバコの喫煙に関しては、財政措置によりこの原則が強化され、パラソルの日陰でタバコを吸った場合は150ユーロ(約26,000円)の罰金、街の芝生に吸い殻を捨てた場合は750ユーロ(約13万円)の罰金が課せられます。

 これには、約40台のビデオ監視カメラが警察をサポートし、市がこれらの規則を執行できるようにしているということですから、なかなか力が入っています。

 バカンス地とはいえ、街に出るときには、Tシャツなどを着て、ゴミはゴミ箱に捨て、連れてきたペットのフンはきちんと始末し、夜遅くに騒音を発することなく、ビーチではタバコを吸わない・・という、ふつうに考えれば、そんなに難題でもありません。

 しかし、おそらく、こんなことでも、あらためて、罰金付きの罰則とされれば、窮屈な思いをする人も多いのかもしれません。


アルカション 人気ビーチのある街での罰金付き罰則事項


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2024年7月3日水曜日

この男 自分をトム・クルーズと勘違いしている? と話題のマクロン大統領の投票ファッション

  


 異例の急な展開での選挙の投票日、投票状況の雲行きの悪さにさぞかし心穏やかではないと思われたマクロン大統領がブリジット夫人を連れて投票に表れ、リラックスした様子で散歩中、周囲の人々の写真撮影の希望に応じたりていたことが一部、ネット上などで話題になっています。



 というのも、スーツ姿を見慣れている彼が違う服装をしているだけでも話題に上りそうなところが、黒いキャップにサングラス、革ジャン、スカーフと、これまたラフに見えながら、ブランド尽くしのブリジット夫人を伴ってのお散歩にSPがついて歩くわけですから、一目を惹くことは間違いありません。



 この彼の投票に向かう姿はあっという間にSNSで拡散され、「この男、自分をトム・クルーズと勘違いしている・・」、「トップガンかよ?」、「彼は今日、数少ないリラックスしたフランス人の一人だ!」などと評されています。

 全世界からも、このマクロン大統領の国民議会解散・選挙・極右勢力の躍進については、酷評をかっている今回の大混乱の成り行きには、その後、あまりマクロン大統領も前面で大きなコメント等を発していないことから、さすがのマクロン大統領もさぞかし、頭を抱えていることだろうと思いきや、この姿を見て、「さすがに大統領!ハートが強い!」と思いました。

 以前、エリザベス女王の国葬でイギリスを訪問した際に空き時間をやはりラフな服装でロンドンの街を散歩し、一部でひんしゅくを買っていたのを思い出します。

 彼がこのようなファッションが好みなのかどうかはわかりませんが、どうにもしっくり来ずに違和感が感じられるのは、うまく着こなしていない、とってつけたような感じが隠せない気がします。

 しかし、一方では、わざとこのような姿で街に投票に表れたのも、「選挙の行方には、ひるんだりしていない、リラックスしている姿」を逆にアピールしようとしたものなのかもしれません。

 ともあれ、さすが大統領、こんな大騒動になっても、やはり、ただものではない感じがこのファッションに表れている気がしてなりません。


マクロン大統領トム・クルーズファッション


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