フランスで日本の学校の先生の過労死についての報道されていて、なるほど、フランス人から見たら、日本の学校の先生の驚異的な忙しさと負担の多さは驚愕すべきことなのだろうと思いました。
私自身は、ほぼすべての教育を日本の学校で受けてきたので、先生というものは、こんなもんなんだろうな・・という感じがあったので、逆にフランスに来て、娘をフランスの現地校に通わせていて、逆に「え??フランスの学校ってそうなの?」とびっくりすることは、多々ありました。
今回、フランスで報道されている内容は、「日本の学校の先生の仕事は夜中まで終わらない・・」という説明から始まり、授業だけでなく、課外活動の指導などまでしなければならない・・」と説明しています。
Japon : le ras-le-bol des enseignants, victimes de surmenage #AFP pic.twitter.com/DzGZbrry7F
— Agence France-Presse (@afpfr) December 22, 2022 >私が娘をフランスの学校に通わせて、驚いたのは、まさにその逆の驚きで、フランスの学校は、日本人からするとびっくりするほど分業制で、先生は授業を担当し、勉強を教えるのが仕事で、例えば昼食の時間はキャンティーンに子供たちが移動して、食事の指導?監督をする先生は別にいるので、子供たちにも給食当番のようなものもありません。また、部活のような課外授業のようなものもありませんし、学校の掃除は掃除の仕事をしている人がやることなので、掃除当番のようなものもありません。
一般の授業が終わった後に、宿題などをするエチュードという時間がありますが、それは、生徒も希望者だけで、先生はまた別の先生が担当します。
だいたい、入学式とか、始業式、終業式、卒業式などのセレモニーもありませんし、日常は、父兄も校内には、気軽には入ることはできませんし、いわゆる日本のPTAのようなものもありませんでした。
以前、娘が小学生の頃に授業中に気分が悪くなった子供がいて、子供が申し出たら、先生が「私はあなたの医者じゃない・・」と言ったとかで、さすがにこれは、保護者たちが学校に苦情を申し立てたようですが、そんなことを言う教師がでてくるほど、全くの分業体制をとっているのです。
学校外で起こったことに対しては、基本的に学校は関知しないというのが基本的な姿勢で、よほどの深刻な問題が起こらない限り、学校の先生が解決に走るようなこともありません。つまり、フランスでは、金八先生はあり得ないことなのです。
そのうえ、公立の場合は学校でも、堂々とストライキをするので、日本のような教師の過労死などという問題がおこれば、教職員組合をはじめ、社会がそんなことは許されないと大問題になると思われます。
日本の先生のように授業以外にも関わりを持ってくれる体制は温かみがあって、よいところも多いにあるとは思いますが、しかし、その実、考えてみれば教師の負担というものは、大変なもので、もう少し分担したらよいのではないか?とフランスの学校を見ていると思います。
逆に自分たちの学校を自分たちできれいにする掃除当番のようなものは、あってもいいことではないのかとも思って、娘を日本の小学校に夏の短い期間、行かせてもらったときは、お客さん扱いしないで、そういうこともやらせてくださいと先生にお願いしたくらいです。
要は、教師の仕事を分業制にするには、そのための予算がないということや、そのような体制に変える原動力もないのかもしれませんが、子供の将来を担う教師というのは、日本にとっても大切な存在。子供の将来を考えても、もう少し、なんとかするべきではないか?と思うのです。
そんなフランスでも学校の先生は不足しています。
我が家の娘は、学生時代に私立校のエチュードの先生のアルバイトをしていて、話を聞いていて、なかなか厳しい先生だな・・と思ったものの、わりと向いているんじゃないかな?と思って、先生になったら?と言ったことがあったのですが、「有意義な仕事だとは思うけど、あまりにお給料が安くて、とてもできない・・」と言っていました。
フランスでの教師不足は、何よりも給料が安いのが原因なようです。
しかし、今回、フランスでも取り上げられている日本の先生の過労死問題、日本人の私でもびっくりするのですから、フランス人が聞いたら、狂気の沙汰と思うに違いありません。
日本の教師の過労死 フランスの教師
<関連記事>
「夏の一時帰国時の日本の学校への編入体験 バイリンガル教育の生体験」
「エチュードの講師のアルバイトをする娘とフランスの中・高校生」
「フランスの学校の先生の仕事は授業を教えることだけ フランスに金八先生はいない」