24日クリスマスイブの夜 ガラガラのTGV |
現在、スタージュのためにブルターニュにある会社の研究所で働いている娘がノエルのために、クリスマスイブにパリに帰ってくることになっていました。当日は、少し早めに会社を退社して、そのまま、TGVでパリに戻ってくることにしていました。
その日の朝、彼女はまず家を出たときに、パリの家の鍵を忘れたことに気付いて、慌てて家に戻って、走って転び、それでも、その日の仕事を終え、予約してあったTGVに乗るために駅に向かいました。
TGVの出るレンヌの駅に行くまで、さらに電車で1時間半ぐらいかかるど田舎です。そのど田舎の駅で電車を待っていると、電車がなかなかやってきません。TGVの予約してある時間もあるため、彼女は焦っていたのです。
同じ電車を待っていた数人の人から、電車がキャンセルになったと聞き、慌てた彼女は、駅舎に本当にその電車がキャンセルなのかを確認に行きました。田舎の駅のことで、電車ごとの時間を知らせる電光掲示板もなく、駅のアナウンスもなく、電車がキャンセルになっても駅員は知らせてもくれないのです。
おまけに確認に行くと、あっさり、「電気系統の問題でキャンセルよ!」とあっさり・・慌てて、レンヌ行きのバスがあるらしいことを見つけて、バスについて尋ねても、「私は、SNCF(フランス国鉄)の職員だから、バスのことは知らない・・」と言う。
レンヌまでの電車がキャンセルならば、キャンセルになった電車の払い戻しについて尋ねても、「払い戻しはされるんじゃない?」とSNCFのことでさえ、他人事。
結局、自分で調べて、なんとかレンヌ行きのバスに乗り込み、TGVの時間には、間に合ったのですが、今度は、TGVが遅延、それでもTGVは、遅れたもののキャンセルにはならずに、パリに向けてようやく出発。
24日の夜のことで、TGVはガラガラに空いているということでした。
結果的にパリのモンパルナス駅に着いた時には、途中で遅れを取り戻したのか、「皆様には、3分も遅れてしまい、大変、申し訳ありません!」と、滅多に謝らないクセに、この時ばかりは、いかにも、3分しか遅れなかったのはすごいだろ・・と余裕の謝罪のアナウンス。
それでも、なんとかTGVは、パリに到着したのでした。
私は、家で久しぶりに帰ってくる娘のために、彼女の食事の支度をしながら、(TGVが遅れていると聞いていたので)「何時くらいになる?」とメッセージを送って、彼女からの返事を待っていました。
メッセージで返事が返ってくると思いきや、彼女から電話がかかってきました。「もしもし・・あのさ・・」との彼女の第一声で、何か様子がおかしいことがわかりました。
なんと、彼女は、TGVの中で、お財布をすられ、お金もカードも取られて、身動きが取れないのでした。「もうどうしたらいいかわからない!」と途方に暮れた様子。
なるほど、お財布を取られて、カードもお金もないとなると、メトロにもバスにも乗れません。おまけに慌ててカードをストップしたために、ウーバー(車)でさえも呼べません。
仕方なく、私のカードナンバーを知らせて、ウーバーを登録し直して、なんとか彼女は家に帰ってきました。せめて携帯があって良かった・・。
ノエルの時期の治安が悪くなることは、承知していましたが、まさか、ガラガラのTGVでお財布を擦られるとは・・呆れて、言葉もありません。
しかもクリスマスイブに・・。
聞けば、なんと彼女は、TGVの中でトイレに行った際に、荷物を座席の下に置いていったというのです。そんなフランスではあり得ないことをするなんて、全く信じられません。
お財布自体は、もうボロボロで、あまり現金を使う習慣のない彼女のお財布の中身は、10ユーロも入っていなかったようですが、クレジットカードやIDカードの再発行をしなければならず、ノエル明けにはさっそく手続きに走らなければなりません。
今回は、数日しかパリには滞在しないために、この更新手続きのために、彼女はまた、パリに来なければなりません。
しっかりしているようで、妙に抜けているところがある娘、前回、帰ってきた時には、家の鍵を忘れ、またその前には、お財布を家に忘れてきました。こんなことなら、家に忘れてきた方がどれだけ良かったか??
思ってもみなかったクリスマスイブの悲劇、少しでも気を抜けば、すかさず被害にあるこの治安の悪さ。改めて、気を抜くことは許されない・・そんなフランスを再確認させられたクリスマスになりました。
<関連>
「ノエルに向けて治安の悪化するパリ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/12/blog-post_12.html