2020年12月15日火曜日

フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ

  



 思い起こせば、2020年の年明けは、カルロス・ゴーンの日本からの逃亡劇から始まりました。シャンゼリゼのカウントダウンの様子をテレビで見ていた時に、カルロス・ゴーン逃亡のニュースが流れ始めたのです。

 それからしばらくして、年明け早々、カルロス・ゴーンがレバノンに世界中の記者を集めて、会見を開き、彼自身の行動の弁明と正当性を訴えました。

 しかし、間もなくして、世界は、コロナ禍に飲み込まれ、カルロス・ゴーンどころではなくなりました。

 日産とルノーにまたがる彼の事件は、日本とフランスの両国での追跡で、両国の対応の仕方を見比べられる意味でも、興味深い事件でもありました。

 カルロス・ゴーンの逃亡先のレバノンでは、今年の8月初めに比類のない湾岸倉庫の爆発事件が起こり、30万人が住む家を失ったことから、国民の45%が貧窮生活を送る経済危機状態にあります。

 レバノンは、一部の特権階級が支配する腐敗した政権に反発する動きが高まり、レバノンと関係の深いフランスは、翌日には、マクロン大統領が現地に赴きました。

 フランスでは、経済危機、混乱状態にあるレバノンに所有しているカルロス・ゴーンの資産価値が1億2千万ドルから7千万ドルに目減りしたなどと報道されていましたが、(彼は、レバノン北部にあるワイン畑の40%を保有しているほか、スキーリゾートやレバノン市内に広大な土地を所有しています)コロナウィルスを初め、次から次へと起こる事件に彼の存在も埋もれているかに思われていました。

 しかし、ここへ来て、フランス紙リベラシオンがフランスの税務当局が追徴課税金として、カルロス・ゴーン夫妻の資産、約1300万ユーロ(約16億4000万円)を差し押さえたことを報じています。

 彼は、税法上の住居を2012年にオランダに移していますが、これは、税金回避のためのもので、日本とフランスを行き来していた彼の生活の本拠はフランスにあったとフランスの税務当局が判断したものです。

 彼は、彼の収入に対しての税金は、オランダで支払っていることになっていますが、フランスの税務当局は、この動きは架空のものであると考えているようです。

 逃亡後、彼がレバノンで行った記者会見の際に、フランスの記者からの、「フランス政府に期待することはありますか?」との質問に、「全くありません」と即答していたカルロス・ゴーンですが、まさかのフランスでの資産差し押さえに、フランスも彼を容赦しない態度が公になったことになります。

 私のささやかな日常生活でも、日頃から、公的機関が円滑に回らず、トラブルの多いフランスですが、なぜか税務署だけはキッチリしていて、「ちゃんとできるところもあるんだ・・」と感心しているのです。

 この際、日本の分の恨みも募って、カルロス・ゴーンからも、キッチリと取り返すものは取り返して欲しい、「頑張れ!フランス!」という気持ちになっています。

 それでも、あれほどのことをしてきた彼が、あっさり引き下がるわけはなく、今日から、カルロス・ゴーンは1月18日に開かれる予定の公聴会の準備に入るようです。

 それにしても、世界各地に分散されている彼の資産や、あの有名なベルサイユ宮殿での結婚披露パーティーを見るにつけ、彼の強欲さと、ここまでして、一体、何が欲しいのか?と嘘だらけの人生を必死に生きている彼を虚しく感じるのです。


<関連>
「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

「100年に一度くらいのことが立て続けに起こる年 レバノンでの湾岸倉庫爆発事件」










2020年12月14日月曜日

他国の感染悪化を余裕で語るフランスに唖然とする

 


 フランスでは、ドイツをはじめとする他国の感染悪化の様子を盛んに伝えています。

 特に、ドイツは、これまでにない感染悪化から、13日、メルケル首相が会見を行い、1月10日までの「学校の閉鎖、生活必需品以外の店舗の営業停止 」のロックダウン(部分的)を発表しました。

 メルケル首相の会見からもいつになく、必死な感じが伝わってきます。このクリスマスの前の時期に学校やお店を閉めざるを得ないことは、大変な決断です。

 これまでドイツは、ヨーロッパ全体がコロナウィルス感染が拡大し、苦しんできた中、強固な医療体制と、先んじたテストや隔離の実施から、感染が広まりつつも、常にフランスなどよりは、遥かに余裕の優等生の状況で、フランスからの患者も多く受け入れてくださり、助けの手を差し伸べてくれていました。

 ここへ来て、ドイツは11日には一日の新規感染者数が2万9千人を超え、死者数も598人に上り、これまでにない第1波以上の感染の拡がりを見せています。

 スイスでも、第1波の際には、一日の感染者が数百件であったにも関わらず、現在は、5,000件を超える勢いになっています。ほんの少し前までは、スイスでは、このノエルのバカンスにリゾートで食事もリゾートも楽しむと豪語していたばかり・・バーゼル、ベルン、チューリッヒ、ローザンヌ、ジュネーブの5つの大学病院は、厚生大臣に向けて、病院の逼迫状態から、感染拡大を警告する書面を提出しています。

 また、スウェーデンのストックホルムでは、病床の占拠率が99%にまで達し、集中治療室の飽和状態が起こっています。

 フランスのニュースでは、これらの国々に加えて、日本まで例にあげて、一日の新規感染者数が3千人に迫る勢いで第3波が加速している様子を伝えています。

 フランスの新規感染者数は、ここのところ、1万2千人前後、決して良い状態ではないにも関わらず、なにせ、一時は、6万9千人まで上昇した時期があったばかりに、現在の状況を甘く考えているような気がしてなりません。

 これから、ロックダウンに入るというドイツも、フランスが2回目のロックダウンに突入した時(新規感染者数6万9千人)ほど状況が悪化しているわけではありません。

 たしかに現在のドイツの状況は深刻な状態ですが、かといってフランスの状況が改善しているわけではありません。ドイツやスイス、スウェーデンなどの状況を見ると、第2波は第1波の状況を上回っているのです。

 ましてや15日から、ロックダウン解除に向けて動き出すフランスは、次の波を迎えれば、一層深刻な状況を迎える可能性大な、危険極まりない状況なのです。

 そんな中、ノエルが近づき、ロックダウン解除を控えて、気も緩んでいるのか、一昨日は、マルセイユで500人を超える人が集まるパーティー、(マスクなしの上に大量の麻薬まで押収された)ロワール沿いのナント、ストラスブールでは、100人超えのパーティーが警察の介入により、解散させられたという事件が起こっています。

 第2回のロックダウン開始以来、私は、一度も外出制限の巡回を見かけたことはなかったのですが、実に290万件以上のチェックが行われており、そのうち違反として罰金を課せられたのは、28万5千件以上にのぼるとの報告が上がっています。

 これだけのパーティーやあれだけのデモが毎週のように行われている中、この数字が多いのか少ないのか、もはやよくわかりません。

 隣国の感染悪化に加えて、日本の新規感染者が3千人に迫る勢いで第3波を迎えているなどと伝えていることに私は、唖然とするのです。もし、今、フランスで1日の新規感染者数が3千人まで下がれば、あたかもコロナウィルスは消えたかの如くの扱いになることでしょう。

 自画自賛が得意なフランスは、第2回目のロックダウンをよく乗り切った、自分たちは、うまくやってきたと、現在、余裕をこいて、他国の感染悪化を伝えていますが、これから年末年始にかけてのフランスのロックダウン解除による結果は、火を見るよりも明らかなのです。

 他国の感染拡大に関する、どこか上から目線の報道に、「お前ら、余裕こいてる場合かよ!?」と、ため息が出るのです。


<関連>

「コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ」

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「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」

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2020年12月13日日曜日

驚異的な数の警察・治安部隊を配置してでもデモをする権利を守るフランス

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 金曜日の夜に、翌日のデモを知らせる通知が来て、「またか・・まだやるのか・・」とうんざりしていました。先週、先々週と続いて、パリ市内のデモは暴徒化し(デモ自体が暴徒化したというよりも、デモに乗じて暴れる集団・ブラックブロックの犯行)、多くのものが燃やされたり、破壊され、街がめちゃくちゃにされたからです。

 この前歴があるにも関わらず、まだ、デモを許可するのか?とちょっと呆れた気持ちになったのです。

 ところが、今回のデモには、一般の警察、憲兵隊だけではなく、先週までの3倍近い数のBRAV(Brigades de répression des actions violentes)(暴力行動抑止団)やCRS(Compagnies républicaines de sécurité)が動員されていました。

 デモの際に、これほどの驚異的な数の治安部隊が登場することは、珍しいことで、デモ開始時のシャトレ近辺の街路は、ギッシリと治安部隊でガードされていました。

 これらの治安部隊は、ポイントごとに武器が行列に持ち込まれることを防ぐために、デモ参加者の持ち物チェックを実施し、DIYツールなどの武器になりうる持ち物が多数、押収されました。

 結果、デモ開始後、1時間以内には、すでに81人が逮捕され、午後7時には、合計142人が逮捕されました。

 それでも、いくつかの暴力行為に走る人と治安部隊との間に衝突が起こり、放水車などが出動したりしていますが、先週までのような街が破壊されるような事態には、発展しませんでした。

 最終的にデモ隊の行列は、治安部隊にガードされる形で進み、最終目的地に辿り着いた時には、警察車両のブルーの回転灯がレピュブリック広場を囲む異様な光景になりました。

 今のフランスは、そこまでしないと暴力を抑えられないことも、深刻ですが、ここまでしてでもデモをする権利を守ろうとすることにも驚かされます。

 一日の終わりのニュースでは、デモ隊が訴えている内容ではなく、「今日のデモは、警察の勝利で終わりました」と報道していることに、勝ち負け? 何と戦っているのだろうか?と、ちょっと微妙な気持ちになりました。

 しかし、とりあえずは、今回は、警察、治安部隊の作戦勝ちのような形、まだまだノエルのバカンスに入るまでには、土曜日がもう一回あるので、この戦い?は、続くと思われます。

 デモは、パリだけでなく、リール、モンペリエ、ボルドー、ディジョン、リヨンなどフランス全土で起こっています。今回のパリの厳重な警戒により、このブラックブロックの集団が主な標的をパリ以外の都市に変更することも充分に考えられます。大規模な治安部隊を全国規模に拡大する必要が出てくるかもしれません。

 それにしても、そこまでしてでも物申す権利を守るフランスにもなかなか底知れぬものを感じるのです。


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「フランス人のプライド」

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「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

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2020年12月12日土曜日

ノエルに向けて治安の悪化するパリ

 

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  常日頃から、決して治安が良いとは言い難いパリも、ノエルが近づく頃になると、一段と治安が悪くなります。

 先日は、パリ6区のブルバード・サンジェルマンの高級衣料品店(モンクレール)に黒づくめの11人の男がお店になだれ込むように入店したと思ったら、大量の商品を持ち去るという強奪事件が起こりました。

 防犯カメラに映った犯行の様子は、万引きというには、あまりに堂々としていて、暴力などは、一切なかったのですが、大人数の黒づくめの集団に店員も圧倒された様子で、いささかの抵抗もしておらず、なだれ込んだ人々が商品を持ち去るのを遠巻きに眺めている様子が残されていました。

 一般的に高級店は、セキュリティーがキツいのですが、店員は、このような事件が起こった場合は、「犯人を捕まえようとしたり、抵抗したりはしない、犯人には接触しない」という教育がなされています。これもまた、フランスらしいところですが、「それは、セキュリティの仕事であり、店員の仕事ではない」ということです。安全性の面からも、これはあながち間違いでもないかもしれません。

 お店の方も当然、商品には、保険がかけてありますから、無駄な抵抗をして、暴力を振るわれたりするよりは、良いかもしれません。しかし、売れるはずの商品が失くなってしまうのですから、1カ月間、ロックダウンのために営業できなかったお店にとっては、ようやく営業再開したところにこの被害は、大きな痛手には違いありません。

 白昼堂々の犯行ながら、犯人は捕まっていません。まことに物騒なことで、こんなことが横行しては、たまったものではありません。今は、皆がマスクをしているために、このような人が街にいても目立ちにくいのかもしれません。

*犯行の様子

https://twitter.com/BFMTV/status/1337477830209376259


 年末の治安の悪さも、身近なところでは、郵便物の紛失、盗難が多くなり、日本からの荷物は特に狙われます。日本の郵便局では、「こちらの方が安全ですよ!」と勧められるらしいクロノポストは、フランスで一番、盗難に遭う可能性が高いのです。

 クロノポストの小包は、配送状況の追跡ができるようになっていますが、いざ、追跡をしてみると、届いていないのに配送済みなどとなっていることも少なくありません。配送済みとされてしまえば、それ以上、追跡の仕様がありません。

 また、知人がこちらから日本へ送った荷物がいつまでも届かないので、おかしいと思っていたら、郵便局の窓口の女性が素知らぬ顔をして、彼女が送ったはずのマフラーをしていたのを見つけ、(限定商品であったために、同じものが出回っていないことから発覚)大騒ぎになったこともありました。

 スリ、置き引き、強奪なども、この時期になると、一段と多くなります。この手の?仕事をしている人もノエルに向けて、お金が必要な時でもあり、12月は、犯罪者にとっては、かき入れ時です。今年は、観光客がほとんどパリにはおらず、例年に比べると、街にもずっと少ないので、スリも随分と収入が少ないかもしれません。

 また、空き巣の被害も少なくありません。空き巣は、定期的に巡回を行っており、留守にしている家のポストなどには、(バカンスで長期間、家を空ける家庭も多いため)留守であることを確認した印として、小さなテープが印に張られていたりします。

 フランスの空き巣は、かなり大掛かりなものも多く、家の中身をごっそりと引っ越しのように持っていかれてしまうこともあり、家に帰ると家の中がからっぽだった・・などという話も聞きます。金目のものを狙うのではなく、かなりダイナミックです。

 自転車の盗難の様子などを見ていると、頑丈な鍵で繋がれた部分だけを残して、タイヤからサドルまで盗まれて、無惨に鍵で繋がれた部分だけが残っている様子を見ると、こんなものまで盗んでどうするの?と思うようなものも、何から何まで持ち去る空き巣がいることも頷ける気がします。

 コロナウィルスだけでなく、犯罪も蔓延するパリ、無事に生活できていることが奇跡のような気さえしてきます。


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「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」

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2020年12月11日金曜日

やっぱりノエルが最優先のフランス 12月15日以降のロックダウン解除の方法

  


 結局のところ、フランスのノエルは死守されることになりました。「死守」という言葉を使うにあたって、意味を確認したら、「命がけで守ること」だそうです。

 まさに今年のノエルは、命がけです。それでもフランスは、「ノエルを家族と過ごす権利」を最優先した決断を下しました。

 15日からのロックダウン解除は、前回の段階的なロックダウン解除の発表よりも、若干、制限が厳しくなり、21時以降の外出禁止が20時に前倒しになり、12月31日の大晦日もこの夜間外出禁止令が敷かれることになりました。(ノエルの夜間外出禁止の制限はありません)

 そして営業が再開されるはずだった劇場、映画館、美術館等の営業再開は、少なくとも3週間延期になりました。

 これは、ロックダウン解除の条件にあげていた1日の新規感染者数が5000を下回っていた場合という条件をクリアすることができなかったためで、先週は、1日の新規感染者数の平均は、11,000程度で、大幅に目標数値を上回っているためです。

 ロックダウン解除の制限が厳しくなったのは当然の結果ですが、とりあえずは、「ノエルを迎える権利」さえ守っておけば、大多数のフランス人は、納得するわけで、来週からのノエルに向けてのフランス国内の人々の大移動が始まります。

 来週からは、さらにPCR検査数を拡大し、より多くの人に検査を受けるように呼びかけています。

 映画館、劇場関係者等は、この結果は、概ね予想されていたものの、「これまでに映画館、劇場でクラスターは一度も起こっていないのに、理解できない」と憤りを露わにしています。

 コロナウィルスの感染リスクだけを考えるならば、皆がマスクを着用し、おとなしく黙って鑑賞する映画館、劇場は、ノエルのための国内大移動や家族が集まっての会食に比べたら、感染拡大のリスクはよほど小さいはずなのです。

 にもかかわらず、ノエルを最優先するフランスです。これまでもフランス人にとってのノエルは、大事なものだということは、わかっていましたが、これほどまでに優先されるということには、あらためて、驚かされています。

 フランスでは、お正月よりもノエルの方が比重が大きく、年末年始のお休みも元旦1日だけで、1月2日からは、しれ〜っと仕事が始まります。日本でいうお正月をノエルに置き換えてみても、例えば、日本には、喪中の年は、お正月を祝わない習慣がありますが、フランスには、喪中という観念はありません。

 もしも、喪中という習慣があれば、少なくとも5万人以上が亡くなっているフランスです。どれだけの家庭がノエルで集まらなくなるのだろうか?などとも思ってしまいます。

 感染拡大を考えれば、明らかにノエルを禁止する方が有効でもあるにもかかわらず、ノエルを禁止することはできないことから、せめて映画館、劇場、美術館の営業再開はストップしておこうというところでしょう。

 映画館・劇場・美術館は、ノエルの犠牲となりました。

 また、ノエルの会食に際しては、6人以内が好ましいとしていますが、この6人には、子供はカウントしないことになっており、6人の大人プラス子供となれば、結構な人数になります。人数制限があることから、家族の集まりを数回に分けて行う予定にしているという家庭もあります。

 とはいえ、大晦日の夜間外出が禁止になったことで、ノエルで感染した人がさらに別のコミュニティで集まり、さらに感染を拡大させるリスクは少し減りました。とはいえ、外出さえしなければ良いのですから、8時までに集まって、家でパーティーをして、翌朝帰るということになるのでしょう。

 結局、ノエルを止められない甘々なロックダウン解除となりましたが、そんな弱くて緩いところもフランス人の人間らしさを感じられるところでもあるような、私の中にもそんな気持ちがどこかにあることも否定できません。あまりにキッチリしすぎることが苦しく感じ、緩い中で自分がきっちりするくらいが生きやすいような気もしているのです。

 とりあえず、15日からは、外出証明書もいらなくなり、3時間以内という時間制限も20km以内という距離の制限もなく、自由に出かけられるようになることには、煩わしさがなくなり、少しホッとしています。


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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

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2020年12月10日木曜日

リサイクルショップ・エマウスがノエル前に繁盛しているフランスの一面

 


 今日、買い物に行ったら、意外にも繁盛しているお店があってビックリしました。

 それは、エマウス(Emmaus France)というリサイクルショップでした。フランス人は、車などは、中古車の方が売れているくらい、中古品にあまり抵抗がないこともあり、また、蚤の市なども、盛んな文化的な背景もあり、時には、掘り出し物があったりもするので、この手のお店は、珍しくはありません。

 エマウスは、フランスでは有名なリサイクルショップで、その商品は、全て寄付された日用品、衣料品、装飾品から食器類、書籍、玩具、家具に至るまで広範囲のものを扱っています。売り上げは、全て生活困窮者に向けての寄付にまわされ、そこで働く人々も社会的弱者の社会復帰を目的としています。 

 寄付された衣料品などは、選別され、全てきれいにクリーニングされています。


季節柄クリスマスの飾りなども

             

   


 私も家の中を片付けて、不用品が出ると、このエマウスに寄付しています。家具などの大きなものに関しては、頼めば、取りにも来てくれます。

 リサイクルショップで不要なものを寄付という形で処分できる、また、買い物すれば、その分は、社会的弱者への寄付になる・・そんなシステムがフランスには、定着しています。もちろん、リサイクル品なので、値段も安いので、倹約家のフランス人には、人気があるのかもしれませんが、それが、寄付にまわるということが、彼らのハートを一段と満足させるのです。

 個人主義で利己的で身勝手なことを主張するイメージのあるフランス人ですが、意外にもフランス人は、困っている人には、とても親切な一面があります。弱い立場の人には、特に親切で、寄付をするということが日本よりも身近な行為であるような気がします。

 このエマウスというシステムは、倹約家でありながら、寄付ができるというフランスらしいシステムなのです。

 そんなリサイクルショップがこのノエル前の買い物をする時期に結構、繁盛しているところは、なかなかフランスの好ましいところでもあります。

 年末になると、土曜日などは、スーパーマーケットの前には、ビニール袋を持った人がいて、「生活に困っている人のために、何か買ったものを入れて寄付してください」という団体がいて、出口には、寄付される食料品を回収する人が待機していたりします。意外と品物は集まっています。

 

こんなものを買って寄付してくださいというポスター

 日頃は、やたらと権利を主張し、勝手だなぁと思うことも多いフランス人ですが、こんな一面があるから、どこか憎めない気もするのです。

 



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「フランス人はロックダウンでも着々とノエルの準備をしている」

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「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見る、やたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」

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「ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトの人気商品」
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2020年12月9日水曜日

フランスのコロナウィルスワクチン接種



 

 イギリスでヨーロッパ最初のコロナウィルスのワクチン接種が行われ始めたことで、フランスのワクチン接種はどうなるのかが注目されています。

 フランスでのコロナウィルスワクチン接種に対しては、政府は、15億ユーロ(約1900億円)を投じて、国民健康保険加入者には、全額無料、しかし、強制ではなく、希望者のみに行うとしています。

 フランスは、検査も無料なら、ワクチンも無料、そんなところは、とても助かります。

 ワクチン接種は、12月29日から、高齢者を優先に、まず高齢者施設の入居者100万人を中心に開始されます。その後、2月を目処に心臓疾患や糖尿病などのリスクの高い人1400万人への接種が開始され、一般の人に浸透していくのは、2021年春頃と、3段階にワクチン接種を進めていく予定にしています。

 ところが、世論調査によると、ワクチンを接種すると言っている人は、フランス人の53%のみ(ワクチン接種をしないと言っている人が61%)で、他国(日本69%、アメリカ64%、イギリス79%)と比べても、かなり低い数字です。

 フランスが使用するとされているファイザー社やビオンテック社のワクチンに関しては、このワクチンの元になっているRNA(遺伝物質)が非常に壊れやすいために、マイナス80℃での保管が必要で、解凍してから5日以内に投与できるようにする必要があり、その保管体制等にも厳重な管理が必要で、フランスにそれがきっちりとできるかと思うと、私自身も疑心暗鬼になってしまいます。(基本的に信用していない)

 フランスでは、一般の?ワクチンなどに関しては、処方箋をもらって、自分で薬局にワクチンを買いに行き、それを持って注射してもらいに行くという方法が取られていますが、コロナウィルスワクチンに関しては、保管の問題もあり、特定の病院などが、ワクチン接種に指定されるものと思われます。

 フランス人が容易に新しいものを受け入れないのは、国民的な気質でもあります。

 ましてや、コロナウィルスが登場してから、僅か1年足らずで開発されたワクチンです。その効果は、95%と発表はされていますが、副作用などに関しても、まだ、はっきりと明らかになってはいません。

 このワクチンは、RNAという遺伝物質を人工合成して作られているワクチンで、体内の細胞を抗ウィルス薬を製造する細胞として利用するというものです。

 このパンデミックの勢いで、すがるような気持ちで多くの国がワクチン獲得に躍起になっていますが、この後、ワクチンによる事故が起こらないとも限りません。

 以前、母が「薬を飲むなら、昔からある薬にしておけば、リスクは少ないわよ・・なぜなら、もう長い年月を経て、人体実験が行われてきたのだから・・」と言っていたことを思い出しています。一番、感染リスクの大きい高齢者を優先にワクチンの接種を行うのもわかりますが、ワクチン自体の安全性を考えると、高齢者に限ることも少々、疑問でもあります。

 いつまでも、現状が続くのもしんどいですが、とりあえずワクチン接種が始まって、少なくとも、しばらく様子を見てから・・という人も多いと思います。とりあえずは、マスクとある程度の衛生管理で回避できるのであれば、当分は、ワクチンには、尻込みする気持ちもわからないでもありません。

 どちらにしても、一般人にワクチンが廻ってくるのは、来年の春以降、それまでにワクチンの効果も問題もいやでも目にするようになると思うので、当分は、成り行きを見守りたいと思っています。

 ワクチンをしても、副作用もなく、以前のような生活ができるようになるのであれば、やはり、魅力的でもあります。

 ほんの一年前には、たとえ遠いとはいえ、行こうと思えば、明日にでも日本へも行けたのにと思うと、すぐにワクチンを打ってもらいたいとも思います。長い海外生活の間には、4〜5年、日本へ行けなかった時期もあるのですが、行けないと思うと、やたらと行きたいと思うのです。

 私は、日常生活であまり外出ができないことや、人と会えないことは、それほどストレスでもないのですが、気軽に旅行ができないことが、辛いのです。

 ワクチンの開始で、うっすらと明るい兆しが見え始めましたが、まだまだ普通の生活に戻れるには、長い道のりのようです。


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「無料で受けられるフランスのインフルエンザのワクチン」

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「フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方」

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