結局のところ、フランスのノエルは死守されることになりました。「死守」という言葉を使うにあたって、意味を確認したら、「命がけで守ること」だそうです。
まさに今年のノエルは、命がけです。それでもフランスは、「ノエルを家族と過ごす権利」を最優先した決断を下しました。
15日からのロックダウン解除は、前回の段階的なロックダウン解除の発表よりも、若干、制限が厳しくなり、21時以降の外出禁止が20時に前倒しになり、12月31日の大晦日もこの夜間外出禁止令が敷かれることになりました。(ノエルの夜間外出禁止の制限はありません)
そして営業が再開されるはずだった劇場、映画館、美術館等の営業再開は、少なくとも3週間延期になりました。
これは、ロックダウン解除の条件にあげていた1日の新規感染者数が5000を下回っていた場合という条件をクリアすることができなかったためで、先週は、1日の新規感染者数の平均は、11,000程度で、大幅に目標数値を上回っているためです。
ロックダウン解除の制限が厳しくなったのは当然の結果ですが、とりあえずは、「ノエルを迎える権利」さえ守っておけば、大多数のフランス人は、納得するわけで、来週からのノエルに向けてのフランス国内の人々の大移動が始まります。
来週からは、さらにPCR検査数を拡大し、より多くの人に検査を受けるように呼びかけています。
映画館、劇場関係者等は、この結果は、概ね予想されていたものの、「これまでに映画館、劇場でクラスターは一度も起こっていないのに、理解できない」と憤りを露わにしています。
コロナウィルスの感染リスクだけを考えるならば、皆がマスクを着用し、おとなしく黙って鑑賞する映画館、劇場は、ノエルのための国内大移動や家族が集まっての会食に比べたら、感染拡大のリスクはよほど小さいはずなのです。
にもかかわらず、ノエルを最優先するフランスです。これまでもフランス人にとってのノエルは、大事なものだということは、わかっていましたが、これほどまでに優先されるということには、あらためて、驚かされています。
フランスでは、お正月よりもノエルの方が比重が大きく、年末年始のお休みも元旦1日だけで、1月2日からは、しれ〜っと仕事が始まります。日本でいうお正月をノエルに置き換えてみても、例えば、日本には、喪中の年は、お正月を祝わない習慣がありますが、フランスには、喪中という観念はありません。
もしも、喪中という習慣があれば、少なくとも5万人以上が亡くなっているフランスです。どれだけの家庭がノエルで集まらなくなるのだろうか?などとも思ってしまいます。
感染拡大を考えれば、明らかにノエルを禁止する方が有効でもあるにもかかわらず、ノエルを禁止することはできないことから、せめて映画館、劇場、美術館の営業再開はストップしておこうというところでしょう。
映画館・劇場・美術館は、ノエルの犠牲となりました。
また、ノエルの会食に際しては、6人以内が好ましいとしていますが、この6人には、子供はカウントしないことになっており、6人の大人プラス子供となれば、結構な人数になります。人数制限があることから、家族の集まりを数回に分けて行う予定にしているという家庭もあります。
とはいえ、大晦日の夜間外出が禁止になったことで、ノエルで感染した人がさらに別のコミュニティで集まり、さらに感染を拡大させるリスクは少し減りました。とはいえ、外出さえしなければ良いのですから、8時までに集まって、家でパーティーをして、翌朝帰るということになるのでしょう。
結局、ノエルを止められない甘々なロックダウン解除となりましたが、そんな弱くて緩いところもフランス人の人間らしさを感じられるところでもあるような、私の中にもそんな気持ちがどこかにあることも否定できません。あまりにキッチリしすぎることが苦しく感じ、緩い中で自分がきっちりするくらいが生きやすいような気もしているのです。
とりあえず、15日からは、外出証明書もいらなくなり、3時間以内という時間制限も20km以内という距離の制限もなく、自由に出かけられるようになることには、煩わしさがなくなり、少しホッとしています。
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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」
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