2020年10月5日月曜日

どんなことがあっても、東京オリンピックやるの???



 

 「とにかく、どんなことがあっても来年は必ずやります」IOCとの共通の認識の上での発言なのかどうかは、わかりませんが、日本のオリンピック組織委員会は、来年に延期された東京オリンピックを是が非でもやろうとしているのには、思わず失笑してしまいます。

 少なくとも、今のフランスの状況、世界の状況から考えたら、あり得ないことです。フランスでは、毎日、1万人以上の新規感染者を記録し、経済に余裕があれば、ロックダウンをするであろう状態、ニューヨークのブルックリンやクィーンズの一部地域では、再び学校閉鎖や一般企業の営業停止の措置が取られているそうです。

 こんな世界の状況で、おそらく、多くの日本人も来年のオリンピックは無理だと思っていると思います。オリンピックを絶対にやる!と言っているのは、JOCの一部でしょう。

 ワクチンが開発されたとしても、その安全性の確保には時間がかかり、来年の夏のオリンピックには、有効とも思えません。

 日本の今のコロナウィルスの感染状況がここまで抑えられているのは、日本の日頃からの衛生観念の高さや独特な国民性によるところが大きいのです。もしも、日本だけでオリンピックを開催するならば、それは、可能なことかもしれませんが、それは、オリンピックではありません・・つまり無理です。

 衛生管理を日本人が担うとしても、どう考えても日本人レベルの衛生観念を外国からの観客やマスコミに向けて強制して統制管理を敷くことは、生半可なことではありません。

 外国人をなめてはいけません。

 以前、父が介護施設に入居する際に、日本で施設を下見に行った時にはすでに、入り口では、必ず手を洗い、アルコールジェルでの消毒が義務付けられていて、職員のほとんどの人はマスクをしていて、施設内は、ピカピカに掃除されていて、「そこまでするの??」とびっくりしたことがありました。コロナウィルスの影も形もないずっと以前のことです。

 今から思い返すに、現在のコロナウィルスが蔓延している状況でさえ、恐らくフランスの介護施設などは、あそこまで清潔な感じはないと思います。

 日本に行くと、どこも清潔で、駅も地下鉄もピカピカで、眩しく感じられるほどです。日頃、駅によってはアンモニア臭の漂うような国で暮らしていると、日本の清潔さが眩しくさえ感じられるのです。

 そのうえ、その悪臭漂うところを歩いた土足のままで家に上がったり、地べたに座り込んだりするのが当たり前の日常で、考えてみれば、コロナで衛生管理がされている今でさえ、フランスでは、日本の通常の(コロナ以前の)衛生状態以下かもしれません。

 おまけに規則があっても、罰則、罰金がなければ、多くの人は守りません。興奮すると手がつけられず、すぐにお祭り騒ぎになるラテン気質爆発で、飛沫を飛ばしまくります。

 ヨーロッパの中でもフランスは、特に感染状況が最悪ですが、衛生観念の欠如は、日本のそれとは、大きく隔たりがあることではヨーロッパは大概、共通しています。そんな外国人が大量に日本になだれ込み、世界中の人が集うオリンピックは、今の段階では、大きなクラスターになる可能性を含んでいます。

 現在の感染状況で、オリンピックのために入国する大量の外国人の統制は、簡単なことではありません。

 逆に言えば、日常から皆が清潔で、マスクをし、除菌シートを持ち歩き、皆が規則をきっちり守り、しかもお互いが監視しあう日本は、まさにコロナウィルス感染回避に最高の習慣をもち、同時に、かなり特殊な国であるとも言えます。

 今年のオリンピックを延期するときに、思い切って、なぜ4年後に延期しなかったのか? 安全性を確保するためには、4年に1回のオリンピックの1回分をすっ飛ばして、4年後の開催でギリギリなのではないか?と私は思っています。

 むしろ、海外では・・少なくともフランスでは、オリンピックの話題などは微塵も上がっておらず、こんなときに、何が何でも来年はオリンピックをやる!などと言っているのは、世界の状況が見えていないようで、恥ずかしい気がしています。



<関連>

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

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「世界は、オリンピックどころではない 日本人は、世界のニュースを見るべき」

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2020年10月4日日曜日

フランスのコロナウィルス感染に関するCNNのニュース

 


 昨日、「仏パリの感染状況が悪化、来週初めにも全面封鎖の恐れ」というCNNのニュースが流れてきて、「・・・???なんだ?これ???」と、思ったのです。

 そのニュースには、「フランス政府は、 首都パリで新型コロナウィルスの感染状況が悪化しているとの認識を示し、来週初めにも再びロックダウン(都市封鎖)の措置が講じられる可能性がある」と書いてありました。

 フランスの感染状況が悪化しており、特にパリの状況の悪化が著しいことも事実で、感染者が10万人あたり250人に達すれば、最高警戒レベルと定めた基準や、パリがその基準値を超えてしまったのも事実です。

 しかし、そのニュースで最もインパクトのある「来週初めにも全面封鎖の恐れ」というのは、違います。保健相であるオリヴィエ・ヴェランからは、感染状況が、深刻な状況であることは、発表されていましたが、むしろ、最高警戒レベルに定めた場合に営業禁止としていたレストランやバーなどを、より厳格な衛生管理規制を敷くことで、一部あるいは、全面営業できるような方法を検討中であるという内容でした。

 しかし、週末の感染状況を踏まえて、来週からパリをはじめとした感染の悪化している地域に対して最高警戒レベルとして規制をどう敷くかについては、慎重に検討するとして、後日、発表されることになっていました。

 この発表の内容から、なぜ?「全面封鎖」とか、「ロックダウン」という報道になるのか?どうして、そんなに飛躍した記事になるのか? 全くわかりません。

 CNNといえば、誰もが知っているアメリカのメディアで、影響力の大きなメディア。まさか、このような、いい加減な報道が流れていることに驚いたのです。

 今回のニュースに関しては、たまたまフランスに関してのニュースで、私は、こちらの報道で、オリヴィエ・ヴェラン保健相の記者会見も見ていたので、その報道がおかしいことに気づきましたが、全く知らない人がこのCNNのニュースを見たら、「えっ??そうなの・・」と思ってしまいます。

 マスコミには、フェイクニュースもたくさんあり、全て信用できるものだとは、思っていませんが、これまで、ある程度のビッグネームの媒体からのニュースならば、ある程度は、信用できるものだと思ってきましたが、今回のこの報道で、このニュースソースの信憑性が私の中では、ガタ落ちです。

 来週からのパリは、取り敢えずは、レストランやバーが営業停止、あるいは、営業制限がかかることはあっても、全面封鎖、ロックダウンになることは、あり得ないと思います。

 しかしながら、フランスの感染状況は深刻で、昨日の新規感染者は、16972人、過去最高を記録し、PCR検査の陽性率は、7.9% 、一週間で4087人が入院し、そのうちの849人が集中治療を受けています。

 この数字だけ見たら、よもや「全面封鎖」「ロックダウン」と思っても不思議ではないとは思いますが、そう単純には、いかないのがフランスの現状です。


<関連>迷走するフランスのコロナウィルス対応」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_2.html

2020年10月3日土曜日

コロナウィルスの死亡者数にカウントされないコロナの犠牲者

 


 フランスもここまでコロナウィルスの感染者が増えると、さすがに身近なところでも誰かしらコロナウィルスに感染したという話をよく聞くようになりました。本人でなくとも、家族や親戚、友人など、どこかしらに感染者がおり、犠牲者の話も聞きます。

 しかし、犠牲者は、コロナウィルス感染者だけではないという話を身近な友人から聞きました。

 友人の連れ合いの妹さんが亡くなったというので、この時節柄?もしかして、コロナウィルスで?と聞くと、癌だったのだそうです。

 ところが、この彼女の場合は、コロナウィルスとあながち関係ない話でもなく、コロナウィルスのために手遅れになった話です。

 彼女は2年前に癌の手術を受けていました。その後、仕事にも復帰し、旅行をしたり、日常どおりの生活を送っていましたが、同時に不安の残る、首から鎖骨にかけての部分的な放射線、抗がん剤等の治療も続けていました。

 コロナウィルスが蔓延し出してからは、彼女は、2年前に手術を受けたり、放射線治療を受けたりしていたことから、かなり感染に注意した生活を送っていたそうです。

 しかし、彼女は、ロックダウン中に発熱し、その状態が数日、続いたためにコロナウィルス感染が疑われ、PCR検査を受けました。しかし、結果は陰性で、コロナウィルスには感染していないことがわかりました。

 病院では、コロナウィルスで手一杯な状態で、コロナウィルスに感染していなければ、まるで病気ではないような扱いで、ただの発熱など問題にされず、彼女の発熱の原因を追求するための検査は、行われず、そのまま彼女の容態も一進一退を繰り返していました。

 実際に、具合が悪い中、あの医療崩壊を起こしていた病院に出向くことも躊躇われただろうし、病院の方でも、とても他の検査など受けられられる状況ではなかったのです。

 いつまでも、スッキリしないどころか、彼女の体調は、どんどん悪化していき、体重も減少し始めて、再度、医者にかかった時には、「余命は、あと一週間です」という状態。

 彼女はあっけなく、一週間後に亡くなりました。55歳でした。彼女の娘はバカロレアの試験を控えた年齢、今年はバカロレアの試験は行われませんでしたが、わけのわからないうちにあっという間に母親を亡くしたショックは計り知れません。

 これは、マスコミのニュースには、上がって来ない話ですが、このような例は、きっと、たくさん起こっている話なのだと思います。どこにも持って行きようのないこの憤りに遺族は、未だに打ちひしがれています。

 コロナウィルスで亡くなった場合は、葬儀も不可能な状態でしたが、彼女の場合は、大々的にではないにせよ、葬儀はひっそりと執り行われたそうです。まだ現役で、しかもエネルギッシュに仕事以外の活動にも幅広く顔を出していた彼女の葬儀は、およそ彼女に似つかわしくない寂しいものだったそうです。

 毎日、コロナウィルスでの死亡者数は、公に発表されていますが、実のところは、その数字には、カウントされない、本来ならば、助かるはずだった命が失われていることを忘れてはなりません。


<関連>

「コロナウィルスによる医療崩壊の事実と社会の崩壊の危機に直面するフランス」

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2020年10月2日金曜日

迷走するフランスのコロナウィルス対応


  Et si les restaurants pouvaient rester ouverts, même en zone d'alerte maximale ?


 コロナウィルスの急激な感染拡大が続いていることから、昨夜、厚生大臣のオリヴィエ・ヴェランが記者会見を行うというので、当然、パリが最大特別警戒地域に加えられるものだとばかり思っていました。

 今週に入ってからのパリの感染悪化は著しく、マルセイユの現状を上回ってしまったのですから、当然のことだと思っていたのです。

 しかし、記者会見での発表では、パリを最大特別警戒地域に指定するかどうかは、再度、今週末の数値を検討し、必要ならば来週月曜日からとしています。

 先週の感染地域の区分けの段階では、マルセイユとグアドループが最大特別警戒地域に指定され、マルセイユでのレストランやバーの営業は禁止となっていましたが、レストラン業界からの突き上げを食って、感染予防対策を強化する条件で、部分的、もしくは完全な営業継続を可能にするための規則を検討するとし、最大特別警戒地域に指定されても、レストランを営業可能とする措置を取ろうとしていることを匂わせています。

 あくまでも、週末に出る感染状況の数字を見て判断するとしていますが、この段階で、このようなことを発表するということは、最大特別警戒地域に指定されても、レストランは営業可能にする方向で進めていると思われます。仮に、数字が悪化しているからとやはり営業停止ということになれば、期待を抱かせた分だけ、反発は、余計に強くなります。

 レストラン営業への道を模索することは、悪くはないのですが、これまで悉く失敗しているフランスでは、かなり具体的で細かい衛生管理が必要であり、何よりもお客さん側の自覚の問題が大きいので、フランスにおいては、なかなかハードルが高そうです。

 また、PCR検査についても、これまでに1300万件以上の検査を行っており、検査結果も48時間以内に出るようになったことを発表しています。

 しかし、この政府の方策では、肝心な検査後の感染者の追跡や隔離については、何も改善策が取られていません。せっかく、多くの検査をしても、陽性患者の追跡や隔離がしっかりとできていなければ、意味がありません。自主隔離を命じられても、特に監視や罰則なしに、それが厳密に守られているかどうかは甚だ疑問なのです。

 だいたい、自主隔離の期間が長すぎると守れないからと隔離期間を1週間にしてしまったフランスです。どこまで甘々なのでしょうか?

 確固とした決定ができずに、最大特別警戒地域指定をあと伸ばしにしている政府は、おそらくこの数日の間にレストラン営業への規則を煮詰めて、その規則制定の上での営業許可とともに最大特別警戒地域にパリを加えるのだと思いますが、レストラン営業に注意が偏りすぎて、肝心な隔離の問題を据え置きにしています。

 これまでも、少しずつの対応の遅れと甘さで、被害を大きくしてきたことを半年以上経った今も学習していません。

 一日の感染者数が余裕で1万人を超えているのですから、1日の遅れがどれだけ感染を広げるのか考えたらわかりそうなものです。

 そして、相も変わらず、政府は国民を甘く見過ぎています。いい加減に目を覚ませ!と、私はいつも思っています。残念ながら、フランスは国民の自覚に頼れる国ではありません。色々な規制を敷くに当たって、此の期に及んで「問題なのは、フランスは自由の国であることだ・・」などと、言っている人がいるのには、もはや、ため息も出ません。

 何より始末に悪いのは、国民の自覚が足りないことです。現在、パリのレストランでは、22時までの営業が認められていますが、場所によっては、22時の閉店をカウントダウンして大騒ぎ・・などというところもあり、なんのための22時閉店なのか?理解していないようです。

 また、自分だけは大丈夫、家族同士なら大丈夫とでも思っているのか? 家族の集まりをやめません。これでは、いくらレストランを閉めても仕方ありません。

 国際結婚をして、フランスにいる日仏家族で、夫の(あるいは妻の)家族の集まりに呼ばれて困惑している日本人は少なくありません。

 我が家も類にもれず、親戚が家に来たがったりするのを「なんで、今?」と思いながら、丁重にお断りしています。

 今年もすでに10月に入り、冬はもうすぐそこに来ています。パリ(イル・ド・フランス)の病院では、かなりの手術の予定が春に延期される事態が起こり始めています。

 国民のご機嫌を伺いながら、確固とした決定を下せない政府の対応の遅れが感染をますます広げていきます。

 自由の国も結構ですが、自由には責任が伴うものです。

 フランスのコロナウィルスによる死亡者は、3万2千人(32019人)を突破しています。


<関連>

「フランスは、やっぱりダメだ・・と、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける」

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2020年10月1日木曜日

恐ろしく物騒になってきたフランス

 

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               殺された18歳の女性


 ここのところ、フランスでは、この深刻なコロナウィルスの感染状況を吹き飛ばすような物騒な事件が立て続けに起こっています。

 まさに、コロナウィルスのニュースを一掃したかのごとくの大ニュースになったパリ11区で起こったテロ事件からまだ一週間も経っていません。

 シャルリー・エブド(風刺週刊紙)(2015年のテロの標的になった会社)の元本社前で休憩中だった数人が肉切りナイフで襲われ、突然のテロ騒ぎに周辺の学校などは、その日の午後は、俄かにロックダウン状態になりました。

 主犯の二人はすぐに逮捕され、共犯者と見られる数名も後日、逮捕されており、彼らの供述から実際の事件以上に壮大なテロを計画していたことがわかっています。

 また、今週に入ってからは、オーヴェルニュ・ローヌのイゼール県で18歳の女性が行方不明になり、その2日後にヴィルフォンテーヌの小川で遺体で発見されるという痛ましい事件がありました。

 彼女は、事件当日、帰宅途中、午後7時頃に帰宅途中である旨を家族に電話を入れており、いつまでも帰宅しない娘を案じて、その夜のうちに家族が警察に通報しています。

 翌朝には、彼女の姉がフェイスブックで妹が行方不明になったことを投稿し、その後、すぐに警察や憲兵隊、地元の住民などによる大規模な捜索が開始され、2日後には、通常アクセスが困難な森林地帯の中の小川に沈んでいる遺体が発見されました。

 夜も早い時間にバスがなくなってしまったことから、いつもはバスに乗る道を彼女は歩いて帰宅しようとしていたと見られています。近隣は、夜になると、ひと気もなく、街灯もなく、監視カメラもないことから目撃者も今のところ現れていません。

 遺体は解剖され、直接の死因は第三者の介入による溺死であり、事故ではなかったことが発表されていますが、それ以外の詳細な解剖結果は、発表されていません。

 家族にとっては、ほんの数時間前に電話で話した娘が遺体となって発見されるなどとは、とても受け入れがたいことに違いありません。ごくごく普通の生活から、あまりに突然の家族の死、しかも殺されるなどということがどうして受け入れられるのでしょうか?

 敬虔なカトリックの家庭に育った彼女は、滅多に夜、外出することもなく、真面目な生活を送る明るく聡明な女性だったそうです。

 遺体の近くで発見された彼女の所持品は、犯人の手掛かりになるものを発見するために、パリの科捜研に送られ、詳細に調べられているそうですが、今のところ犯人は逮捕されておらず、今も逃走中です。

 捜査のためには仕方ないこととはいえ、被害者である彼女や彼女の家族の私生活も詳しく調べられ、その一部は世間にも公表されるという耐えがたいであろう二次被害に遭っています。

 我が家でも、つい最近、娘が地方の会社でスタージュのために一人暮らしを始めたばかりで、とても人ごととは思えず、不気味で恐ろしい事件に心穏やかにはいられません。

 そして昨夜、パリの20区でナイフで滅多刺しにされた二人の女性の遺体が発見されたというニュースが飛び込んできました。猟奇的な残酷な殺人で、ナイフは頭蓋骨にまで達していたというのですから、恐ろしいことこの上ないです。

 こちらの方は、精神科に通院歴もある男が逮捕されていますが、なんだかもう次から次へと物騒な話ばかり・・コロナウィルスの感染が警戒状態に達している上に、殺人事件がこう立て続けに起こる恐怖には、だんだん精神的にも疲弊してしまいそうです。

 しかし、逆に言えば、このような事件が多発するようになってきたのは、コロナウィルスによる様々な生活の制限や経済状態の悪化も影響しているとも考えられ、特に、ストレスに弱い、抑えつけらることに反発するフランス人(と勝手に私は、思っている)にとっては、コロナウィルスが他の病的かつ暴力的な事件を生む一端を担っているような気がしてなりません。

 このような負の連鎖を断ち切るためにも、コロナウィルス根絶への道は遠いとしても、政府には、上手にコロナウィルスと共存していく道をうまく導いてもらわないと困る!と強く思うのです。


<関連記事>

「ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人」

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2020年9月30日水曜日

パリは最大警戒地域に指定されるのか?

 

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 フランスのコロナウィルスの感染拡大により69の地域が警戒地域に指定され、13ヶ所のパリ、ボルドー、リヨン、ニースなどの地域が特別警戒地域に指定され、さらにマルセイユ、グアドループが最大特別警戒地域に指定されてから、一週間も経たないうちに、パリ(イル・ド・フランス)の感染状況に赤信号が灯り始めました。

 先週末から最大特別警戒地域に指定されたマルセイユでは、レストランの営業が禁止になり、パリでも22時以降の営業が禁止になりました。

 政府からのお達しにも関わらず、大人しく従う人ばかりではないのがフランスです。それでも強引に営業を続けるレストランの様子が報道されていました。

 先週の段階では、フランス本土内では、最悪の感染状況だったマルセイユですが、今週に入って、パリ(イル・ド・フランス)の感染状況がマルセイユを上回っています。

 感染発生率(10万人あたりの感染者数)がパリを含むイル・ド・フランス地域で、レッドゾーンのライン250例を超え、259.6例に突入しました。これは、警戒基準の5倍、フランスの全国平均の2.5倍の数字です。病院でも、この地域だけで、現在、2000人以上(2064人)がコロナウィルスのために入院しており、集中治療室でのコロナウィルスの患者の割合が32.1%を超え、増加が止まりません。

 先週、政府が出した指標により、レストランの全時間帯営業停止に追い込まれたマルセイユの例に習うならば、パリのレストランもいつ営業停止になってもおかしくない状況です。

 現在のところは、パリでは22時までの営業は認められていますが、22時閉店でさえも、受け入れられないと、一部のレストランのオーナーが集まって、お鍋を叩きながら、営業時間制限反対を訴えるデモが起こっています。

 感染状況から見ても、営業停止になっても不思議はない状態で、22時閉店に抗議するデモ。どうにも危機意識にズレがあるように思えてなりません。

 AP-HP(パリの病院の統括部門)は、先週末から、通常の病院操作プログラムを解除し、コロナウィルス患者増加への対応との調整に取り掛かり始めました。ロックダウン時にはなかった交通事故や他の病気の患者に加えて、これからインフルエンザの季節が到来すれば、コロナウィルスの患者と相まって、再び、一気に医療崩壊が起こってしまうことも大いにあり得ることなのです。

 現在のところ、フランスでのクラスターの発生している場所の一位は会社、次いで学校とされていますが、それは、レストランやバーでの感染者の追跡ができていないからです。

 コロナウィルスとの共存していくには、徹底的に検査を続けることと、感染源を追跡して、感染の拡大を防ぐしかありません。ロックダウン後には、治まりかけた感染が再びこのように悪化してしまったのは、この検査の徹底と感染者の追跡、隔離ができていないからです。

 感染が増えたからといって営業停止やロックダウンを繰り返すのは、愚かです。

 今ほどの感染状況になってしまえば、一時的にでも、感染を抑えるために、営業時間の制限や停止もやむを得ないかもしれませんが、本来ならば、感染の危険が考えられ、しかもマスクという武器が使えないレストランやバーの営業にあたっては、感染者の追跡が可能になるようにレストランを利用するお客さんに対して、利用した時間帯とともに連絡先を控える等の対策がなされるべきなのではないかと思います。

 それができれば、実際にどの程度、飲食店で感染が起こっているのかも測定することができるし、感染者を追跡できれば、むやみやたらに営業を停止する必要もありません。

 ただ、ソーシャルディスタンスを取れとか、マスクをしろとか、手を洗えとか、それだけをがなりたてても、フランスでのコロナ感染は止まりません。

 3月〜4月のような医療崩壊が起こるようなギリギリの状態にならなければ、フランスはロックダウンをすることはないように思います。ならば、感染者を徹底的に追跡できるシステムを作っていかなければなりません。せっかくお金をかけて作ったコロナウィルス感染者追跡アプリ「STOP COVID」もほとんど活用されていません。

 先日、テレビ番組でジャーナリストに「STOP COVID」のアプリをダウンロードしていますか?と聞かれたカステックス首相が、「していない・・」と答えて、皆、唖然となりました。

 感染者を追跡し、隔離するように厳しく警戒しなければ、フランス人はおとなしく自粛などしていません。

 フランスには、日本のように、自粛警察なる人々はいないのです。

<関連>

「フランスの感染拡大対策 69の地域を警戒地域に指定 マルセイユはレストラン・バー営業停止へ」https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/69.html



2020年9月29日火曜日

コロナウィルスの煽りを受けて、急遽、フランスの田舎暮らしが始まった娘

 


 10月からの娘の日本への留学が、コロナウィルスのために、ドタキャンになったのは、9月に入ってからのことで、私としては、日本への渡航のチケットがパーになってしまったことに憤慨していましたが、娘としては、10月から半年間の予定が急にパーになってしまったわけで、9月は、その留学するはずだった期間に入れるスタージュ(企業や大学での研修)探しに躍起になっており、その後の予定も含めて大幅に変更しなければならなくなったために、落ち込んでばかりもいられませんでした。

 10月からのスタージュを9月に探している人など、ほとんどなく、10月からのスタージュはすでにほとんどが決まってしまっているわけで、かと言って、それでも何もせずに半年間過ごすのは、あまりにもったいないことで、彼女の専門分野の研究をしている会社の募集を見ては、CVを10ヶ所以上も送り、ようやく正式にスタージュ先が決まったのが一週間ほど前のことでした。

 「最初から10月からのスタージュを探していれば、もっと理想的な会社が見つかったのに・・」と、こぼしながらも、会社もフランス国内では業界最大手、研究自体も興味深い内容なのだとかで、やれやれ、この土壇場の職探しの中では、上出来と言えるものなのかもしれません。

 しかし、問題は、その会社の研究所がパリではなく、自宅からは通えないブルターニュのど田舎にあることで、そのど田舎での半年間のアパート探しをしなければなりませんでした。

 彼女は、昨年までの2年間、ボルドーにあるグランドエコールに通うために、一人暮らし(といっても、シェアハウスでしたが・・)をしていましたが、それでもボルドーは、地方とはいえ、大都市で、田舎・・という感じではありませんでした。

 今回の研究所のある街は、Google mapで辺りを見てみると、まあ、のどかなこと・・最寄り?の駅も思わず見過ごしてしまうような駅舎で、最初に駅を見つけた時には、これが駅なのかと、しばし呆然としてしまったほどです。

 おそらく、近辺の人は、通勤などの移動には、車を使う人が多い場所なのでしょう。これまで、ことごとく、運転免許を取り損ねてきた娘にとっては、なかなか大変な場所です。

 9月の最終週からの勤務をと言われて、なんとか目安を付けたアパートの家主と連絡をとり、内見と家主との面会の約束が取れたのは、引っ越し当日、そのアパートがダメだった場合のために、到着当日から数日間は、ホテルを予約して、昨日、娘は田舎へと旅立って行ったのです。

 しかし、出発直前に、彼女はポツリと、「この数週間は、これまでの自分の歴史上、記憶にある限りで、最悪の数週間だった・・」と言ったのを聞いて、ハッとさせられたのでした。急な展開で少なからず痛手を受けていた彼女、表には見せなかった彼女の心情を思うと、それを充分に分かち合えていなかったことを申し訳ないような気持ちにさせられたのです。

 とはいえ、一先ず、なんとか落ち着き先も決まって、ヤレヤレでもあります。

 パリからの距離は、それほど遠くないにも関わらず、TGVの到着する駅から乗り換える電車のアクセスが悪く、とても時間がかかります。それでも、彼女は取り敢えず、一週間ほど分の荷物を持って出発し、休日には、電車が1日2本という、ど田舎暮らしが始まりました。

 しかし、考えようによっては、パリよりも余程、人は少なく、勤務先も研究所ということで、滅菌状態で最大限の衛生環境ゆえに、コロナウィルスの感染に関しては、危険も少なく、この期間にお給料を貰いながら、勉強ができることは、ラッキーだったかもしれません。

 そして、これまで大都市以外で生活をしたことのなかった娘の田舎暮らしの良い経験となることでしょう。

 ちなみに、この会社のキャンティーン・・フランスの田舎らしく、パンとチーズは食べ放題なのだそうです。パンはともかく、乳製品が苦手でごくごく限られたチーズしか食べない彼女にとっては、新しいチーズの魅力に出会えるチャンスにもなるかもしれません。


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「娘の留学 コロナウィルスによる被害」

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