今週、フランスは、木曜日が祭日(Assension 昇天祭)で、金曜日を挟んで、土日がお休み、このような場合はポンする・・(橋をかける)といって、金曜日も休んで4連休にする人が非常に多く、なんか、連休モードになります。
学校でさえも金曜日はポンで休み・・となってしまうところも多いので、夏には長いバカンスをとるフランス人にとっては、4連休など、なんのことはないと思いきや、この連休を利用して、本格的なバカンスのウォーミングアップがわりに、近郊にキャンプにでかけたりする人やスーツケースをごろごろ転がしている人も見かけます。
この連休に入ってしまう前に(土日・祭日はバスなども休日運行になるため)用事は済ませておこうと思って出かけたら、なんと、不覚にもパリではバスやトラムウェイのストライキをやっていて、バス停に行くと、ちょうど来ていたバスに乗ろうと思ったら、激混みでバスの扉も閉まらないほどでした。
このマスク義務化が撤廃されたばかりの交通機関にこの混み具合でバスに乗り込むということをちょっと躊躇っていたら、運転手さんが、「次のバスに乗った方がいいよ!もうドアが閉まらないから・・」と言われて、無理やり乗り込むことは諦めて、次のバスを待つことにしたのです。
この時点では、なんでこんなに混んでるんだろう?と、この激混みが、まだストライキであることに、私は気付いていませんでした。
仕方ない・・次のバスまで待つか・・とバス停のベンチに腰掛ける前にバスの表示版をチェックすると、表示版には、通常は次の○○行きのバスが車であと○分・・とか表示されているものが、「2本に1本」としか表示されておらず、この時点でようやくストライキであることに気が付いたのです。
そういえば、数日前に今週、フランステレビジョンがストライキをする・・というニュースは見かけたものの、RATP(パリ交通公団)のストライキはチェックはしていませんでした。
まぁ、待つしかない・・と、ベンチに座って、スマホをいじり出すと、あとから、ポツポツとバスを待つ人が溜まり始め、人が来るたびに、表示版を眺めては、ため息。
あと何分と表示されているなら、また表示版を見て、次のバスを確認することもできますが(ときには、あと5分が7分とかに増えていくことがある・・)、今回は2本に1本というまことに不親切な表示。それでも、また見てしまうのが人情というもの。
その場に居合わせたおばさんが、「ここからメトロの駅までは歩けないのかしら?あなた、この辺の道、わかる?」と言い出して、この見知らぬ女性とメトロの駅まで歩くことになったのです。歩いて10分くらいなのですが、バスに乗ってしまえば3分くらいで着いてしまうため、ついついバスに乗る習慣がついていました。
すると、そばにいた、また別のおじさんが、「一緒についていってもいいかな?」と、これに便乗、見知らぬフランス人2人を先導して、駅まで歩くことになりました。
幸いにも天気もよくて、「まあ、このくらいの距離なら、本当は歩いた方がいいんだけど・・」「いつ来るかもわからないバスを待っているのもバカらしいし・・」「この方が健康にもいいしね・・」などと言いながら、見知らぬ人々とおしゃべりをしながら、駅まで歩くことになりました。
私より、少し年上かな?と思っていた女性は、4人の子供がいて、「一番下の子ももう30を過ぎているとか・・みんなもう結婚していて、もう9人の孫もいるのよ・・」などと話ながら、平日の午後の見知らぬ人とほのぼのとした世間話をしながら、歩くハメになりました。
ストライキはフランスでは珍しいことはありませんが、その度に感じるのは、この交通機関などのストライキに対して、フランス人があまり腹をたてていないことです。これが、長く続けば、また話は別なのですが、ちょっとくらいのストライキでは、もう慣れたもので、日常では、文句があれば、決して黙っていないフランス人としては、このストライキの被害を黙って受け止めていることが不思議な気もしています。
考えてみれば、私も以前は、家が職場まで遠かったこともあり、ストライキの被害はもっとキツく感じられ、「RATPなど、私など、一般市民よりもずっと労働条件はいいのに、このうえ、何の文句があるのか!!ストライキをしたいのは、こちらの方だ!」などと真剣に腹をたてたこともありましたが、今はこうしてバスが使えない程度で、大した被害もないこともあり、あまり腹をたてることもなくなりました。
細かいことを言えば、1ヶ月単位で購入しているNavigo(パリ市内使える定期のようなもの)、使えなかった分、返してほしいと思いますが、これは、ストライキが、よほどの長期間に渡った場合でもない限り、返金はされません。
以前、1ヶ月近くストライキが続いた翌月には、次回の購入分が半額とかになった記憶があります。また、この際に、長く続いたストライキのあとに検札に回ってきたRATPの職員が「おまえ、あんなに長いことストライキをやっておいて、検札に回ってくるなんて、ふざけるな!」と周囲の乗客に袋叩きにあって、次の駅ですごすごと降りていったことを覚えています。
私は少し離れていたところから、その様子を見ていましたが、1ヶ月間ストライキに苦しめられた身としては、胸のすく思いでした。
しかし、通常のストライキに対しては、そこまで怒ることもなく、意外と大人しく受け入れているフランス人。
下手をすると、自分が被る迷惑以上に、一方では、ストライキやデモが盛んな国であることを誇りにしているようなところもあるフランス人に、長くフランスにいても、まだまだ理解しきれないことがたくさんあるな・・と思うのです。
そういう私も、「そういえば、以前はコロナ感染が怖くて、できるだけバスなどに乗るのも避けて、自転車にやたらと乗っていたし、歩けるところは歩いていたな・・」とか、「こうして、見知らぬおばさんとおしゃべりしながら歩くのも悪くないな・・」などと、ストライキを肯定的に受け止めようとしている自分の変化も感じながら歩いたのでした。
今日のところは、幸いメトロは通常運転でしたが、これからマクロン政権の第2期がスタートして、年金問題などの改革に着手すれば、ストライキはこの程度では済まなくなるかもしれません。
ストライキ
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1 コメント:
コメント失礼します。
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世界のニュースやトピックを現地に在住のライター様にお伝えいただくというコーナーに
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もしよろしければ下記アドレスにご返信頂き、詳細なご相談をさせていただきたく思います。
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mazuka.02@gmail.com
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