フランスで、一番、季節感が味わえるのは、やはり、クリスマスから年末年始にかけての食事だと思います。
明らかにクリスマスが一年の一大イベントと見なされている様子がその食料の豪華さや、豊富さ、圧倒的な量からもわかります。
12月に入ると、スーパーマーケットやデパートの食料品売り場などは、莫大な量のフォアグラや、鴨肉、シャポン(普通の鶏よりもひとまわりもふたまわりも大きな去勢鶏)、キャビア、トリュフ、生ガキ、生ハム、スモークサーモン、テリーヌ、タラマ、いくら、オマールなどのエビやカニ、貝類が盛り合わせてあるシーフードのプレート、たくさんのチーズがのったプレート、シャンパン、ワイン、山積みにされたチョコレート、ブッシュ・ド・ノエルと呼ばれる丸太の形をしたケーキ、などなど、高級な食材で溢れかえります。
日頃は、スープにハムにチーズとパン・・などという、かなり質素な食生活を送っている家庭が多いフランス人も、クリスマスや、年末年始には、ここぞとばかりに贅沢な食事を楽しみます。
クリスマスイブとクリスマス当日、大晦日、元旦と続く、パーティーメニューに何を作るか? 何を食べるか?のテーマは、毎年のことながら、皆が楽しみながら、思考を凝らします。
日本だと、クリスマスには、チキンという印象があるかもしれませんが、フランスでは、クリスマスの時期にしか、あまりお目にかかれないシャポン(大きな去勢鶏)が登場します。
赤ワインの煮込みなどもありますが、多くは、栗やレバーなどをコニャックで風味付けしたものをお腹に詰め込んで、丸焼きにします。
チキンよりも見た目にも立派で大きく、食べ出もあり、テーブルを華やかに飾るので、カッコつけたがりのフランス人には、好まれます。
クリスマスは、家族で過ごし、大晦日から元旦にかけては、友人と過ごす人が多いのですが、どちらにしても、ただでさえ、食事に時間をかけるフランス人、ほぼ、数日、食べ続ける生活が続き、ほとんど、フォアグラのために飼育されている鴨のような状態になります。
しかし、このフォアグラ状態は、まだまだ続きます。
元旦もようやく終わり、クリスマスのバカンスも終わって、ヤレヤレという頃にまた、ガレット・デ・ロワという、アーモンドペーストを包んだパイ菓子を食べるという公現説(1月6日)の行事が控えています。
ガレット・デ・ロワは、中にフェーブと呼ばれる陶製の小さな人形が一つ入っており、家族で切り分けて食べ、フェーブが当たった人は、ガレット・デ・ロワを買うと、必ず付いてくる王冠をかぶり、祝福を受けて、一年間、幸運が継続すると言われています。
この時期になると、しばらくの間、家庭だけでなく、会社や友人などの間でも誰かしらが、ガレット・デ・ロワをシャンパンやシードルなどとともに買ってきては、王様ゲームのようにして食べるということが続きます。
これで、一区切りではあり、ようやく落ち着きますが、2月2日には、ラ・シャンドゥルール(キリスト教の行事)でクレープを食べる日もあります。
とにかく、年末年始にかけてのこの食事に、私たち、日本人は、海外在住といえども、大晦日の年越しそばや元旦のおせち料理やお雑煮をなんとか、挟み込みます。
おせち料理などは、揃えるのも難しいのですが、そこは、なんとか出来るものだけでもとお重箱に詰めたりもしてみます。
私は、今年は、誘惑に負けて、フライングで、年もあけていないのに、ガレット・デ・ロワを食べてしまいました。
こうして、毎年毎年、年明けには、深く深く、ダイエットを決意するのであります。