2020年9月7日月曜日

フランスのPCR検査 感染者を責めないフランス人のラテン気質

 



 フランスの新規感染者数は、8月に入って以来、ウナギ登りに上昇し、9月に入ってからは、さらに拍車がかかり、先週末には、9000人に迫る勢いになっています。毎日、8000人、9000人の新規感染者がいれば、自ずと身近なところにまで、感染の渦が迫ってきていることを感じずには、いられません。

 実際に、友人が・・または、友人の家族が・・などと言う話を頻繁に聞くようになってきました。このウィルスの厄介なところは、感染しても、最低5日間は、待たなくては、検査に陽性として表れずに陰性として判定されてしまうことが多く、例えば、自分の友人が感染したとして、その友人に会っていたとしても、一定の期間がたたなくては、検査を受けても無駄なわけで、その整合性も決して高くはないところです。

 フランスでは、PCR検査を広範囲で行うようになってからは、予約なしで費用もかからないことから、比較的、積極的に検査を受けようとする人が増えたため、パリ市内でも検査をしている試験場では、どこも長蛇の列で、検査が間に合わずに、本当に検査が必要な人が検査ができなくなっている状況が起こっています。

 ロックダウン中ならば、いざ知らず、通常の社会生活を送っていれば、今、感染していなくても、もうその次の日には、感染している可能性もあるわけで、それでも、このキリがないような検査をずっと続けなくてはならないことには、もどかしさを感じますが、それでも、検査を少しでも多くして、感染者を隔離していく以外は、方法がないのです。

 フランスでは、ここまで感染状況が悪化しているわりには、全体的に危機感が薄く、ここのところは、さすがにほとんどの人がマスクをするようになりましたが、それは、マスクが義務化され、マスクをしていないと罰金を取られるからであり、こんな状況になっても、まだ、マスクの必要性の有無を語り続けています。

 この時期の感染拡大の大きな原因は、バカンスであるのは、間違いないのですが、皆がバカンスに出ていたために、バカンスに出ていたことを非難するような風潮は全くなく、したがって、感染したからといって、感染した人を責めるようなことも全くありません。

 どんなに気をつけていても(大して気をつけていない人が多いのも問題ですが)、かかる時にはかかるもの・・長期戦になることを考えれば、息抜きは必要だから、バカンスにも行くし、カフェにも行く。ポジティブにコロナと付き合って行くしかない・・と、深刻になりすぎることは、ありません。

 良くも悪くもコロナによる閉塞感というものも、あまりありません。

 今回のコロナウィルスの大災害のさなかにフランスにいて、フランス人を見ていると、改めて、彼らはラテン気質の人たちなんだということをつくづく思い知らされます。

 3月から4月にかけての大惨事を経てきたにも関わらず、これだけ、切り替え?が早く、バカンスに出かけられるのも、ある程度、気をつけて、それでも感染してしまったら、その時は、その時のことだと思っているようなところがあり、たとえ感染してしまったとしても、それは、その人のせいではないと鷹揚な態度なところも、彼らの根っこには、ラテン気質が備わっていることをまざまざと感じるのです。

 これまで私は、ラテン系というと、どちらかといえば、イタリアとかスペインとか、南米とかのイメージがあり、フランス人は、ちょっと格好つけたがりで、一見、小難しいことを理屈っぽく、滔々と語って、ラテン系ど真ん中の感じとは、少し違うように感じていたのですが、今回のパンデミックを見ていると、この深刻な状況でも、お祭り騒ぎをしたり、怒りに震えてデモに集合したり、しかも、その感情の発散の仕方がまさに血が騒ぐという感じの桁違いのものであったり、なるようになるしかないと、深刻になりすぎることなく、あくまでも緩い感じでいるのも、彼らの根っこには、ラテンの血が流れていることを感じずにはいられません。

 フランス人は、よく、「C'est la vie(セ・ラ・ヴィ)(それが人生よね・・)」と、相手も自分をも納得させるように言うことがありますが、まさに、「セ・ラ・ヴィ」は、彼らのラテン系の気質を表す言葉であったことを今さらのように感じています。


<関連>「フランス人のプライド」

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2020年9月6日日曜日

娘のフランス人のDNAが活性化するとき・・生ハムの塊が消えた・・

消えた生ハムの塊

 

 冷蔵庫・冷凍庫というのは、厄介なもので、中のものが減ってくると、補充しなければと思うし、満杯になっていれば、なんとか、消費していかなければと食材に追い立てられるような気持ちになります。

 我が家の冷蔵庫は、きれいに整頓されてはおらず、そもそも冷蔵庫には、調味料に近い瓶詰めの調味料やお味噌、ピクルスやお漬物、佃煮等、また、冷凍庫にも日本から持ってきている大切な日本食の一部など(明太子や塩辛、しらす、うなぎなどなど)の長期保存の食料がかなりの割合を占めていて、まずまず大きな冷蔵庫でありながら、少し買い物をすれば、あっという間に満杯状態になってしまうのです。

 特に肉類などは、まとめて買って、小分けにして冷凍したり、作り置きしたお料理を冷凍してあったり、おまけに、たまにPICARD(ピカール・冷凍食品店)に行ったりすれば、場所を取ることはわかっていても、ついつい買ってしまうと、かなり、満杯状態であることが多いのです。

 約2年間、時々、バカンスの時期には、帰ってくることはあっても、しばらく家を出て、一人暮らしをしていた娘が帰ってきて、しかも、リモートワークで一日中、家にいて、我が家の食料のサイクルが大幅に崩れ、なんだか、冷蔵庫の中身を満たしたり、減らしたりするペースがせわしなくなって、日頃から乱雑な我が家の冷蔵庫は、ここのところますます酷いことになっていました。

 そんな言い訳をしつつ、我が家の冷蔵庫の中は、とても人様には、お見せできるような状態ではなく、しかも、夏の終わりに、ベランダで育てていたきゅうりも、もうそろそろ終わりに近づいて、去りゆく夏の日本のきゅうりを惜しむ気持ちから、パンとビールと昆布を使ってぬか床などまで作ったことから、ますます冷蔵庫は、混雑状態なのです。

 現地の食材をできる限り使いつつも、和食に偏りがちな我が家の食卓ですが、フランスのものが、全く嫌いなわけでもなく、ここのところ、しばらく食べていなかった18ヶ月のコンテ(チーズ)やカマンベール、ミモレット、サラミなどを買ったりしていました。

 そんな、俄かに起こっている我が家のフランス食品フェアの中でのハイライトは生ハムの塊でした。

 いつもは、生ハムは、薄切りになっているものを買うのですが、大きな生ハムの原木に憧れがあったものの、さすがにまるまる原木を買うのは少々ためらわれ、単行本ほどの塊を買ってきたのです。

 少しずつ自分で削るように切って食べる生ハムは、赤ワインにもよく合い、切りたてのものを食べられるので、風味もよく、しかも、薄切りのものを買うより、結局は割安なのではないか?と大変、満足していました。

 毎日、食べたくなる気持ちを抑えつつ、(ということは毎日、飲むことになるので・・)今日は、もう夜は、お料理したくないから、冷凍のピザでも焼いて、あとは、生ハムとサラダ、あとは、ミモレットがあったね・・と言いながら、ごちゃごちゃの冷蔵庫の中、生ハムの発掘作業に取りかかったのです。


             久しぶりのミモレット・・美味しい


 切りかけの少し小さくなった生ハムの塊は、ラップに包んで、ジップロックに入れて、冷蔵庫に入れておいたのです。ところが、どこに埋まってしまったのか? いくら探しても見つかりません。とにかく、満杯の冷蔵庫、もしかして、場所がなくて、野菜室に入れてしまった? と野菜室まで探しました。(だいたい、自分の記憶にも自信がない)

 まさか??と思って、娘に問いただしたところ、あの生ハムの塊は、いつの間にか全部、彼女が食べてしまったとのこと!「えっ??全部??」「ソースィソン(サラミ)もあったよね! あれも?全部、食べちゃったの??」

 楽しみにワインを用意していた私は、呆然・・娘は、少々、ばつが悪そうにしていましたが、あの塊をいつの間にか(といっても一週間もたってない)食べてしまった娘のガッつきぶりに、ちょっとヤバい主人のDNAを感じるわ、私自身、楽しみにしていた生ハムが消えていたことにあまりにガッカリして、動揺する自分の気持ちの持っていきように困った夜でした。

 常日頃は、フランス料理嫌いで、フレンチと言えば嫌な顔をする娘ですが、美味しいフレンチ食材に、ひとたびスイッチが入った時には、一気に主人のDNAが活性化したような状態になることに、少々、恐怖を感じたのです。

 小さい頃には、幼稚園で夜中に冷蔵庫を漁る主人のことを「家にはねずみが出るんです!」と先生に言いつけた娘です。

 まさか彼女自身がねずみになるとは、DNAとは恐ろしいものです。しかし、考えてみれば、生ハム一つにこれだけ気持ちをかき回される私のガッつきぶりも相当なものなのです。


<関連>「パパのダイエット メガネをかけた大きなねずみ」

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2020年9月5日土曜日

新規感染者が9000人に迫るフランス フランスにやってきたバカンスのツケ


 

 昨日のパリは、マスクをしていると、少し汗ばむくらいの晴天で、朝のうちは、それでも涼しいので、今の季節は、真夏のようなサンダル履きの人から、早々にマフラーをしたり、ダウンを着ている人までいる、多分、一年のうちで一番、街を歩く人のファッションがちぐはぐで、様々な格好をしている人がいる季節です。

 銀行から頼んでおいた小切手ができたという連絡をもらったので、銀行の用事に加えて、いくつかの用事を済ませるために、久しぶりにパリの中心に出かけてきました。私もすっかり、最近は、今までバスに乗っていた区間も歩くようになり、メトロに乗らなければ行けない最低限の区間だけに限って、メトロを利用するようになりました。

 久しぶりのパリの街は、お天気がいいこともあってか、とてもきれいで、街中には、本当に自転車やトロチネット(キックボード)などがどこに行っても置いてあって、すっかり交通手段の一つとして、定着したな・・そして、ものすごく増えた・・しかも電動のものも増えた!!すごい!!と思いました。


                        前にはカゴ、後ろには子供が乗せられるママチャリベリブ


 昨日は、ベリブ(パリの貸出自転車)に、ハンドルの前にはカゴ、後ろの荷台には子供の座席?が備え付けられた、まさにママチャリ仕様のベリブまでできていて、ビックリしました。

 さすがに義務化されただけあって、街中はもちろんのこと、メトロの中は、ほぼ全ての人がマスクをしていました。メトロの中もあまり話をしている人はいなくて、皆、俯いて、携帯をいじっていて、なんだか、東京の地下鉄に似てきたな・・とも、思いましたが、やはり、東京の地下鉄のようなピカピカした清潔さは感じられません。

 ロックダウンが解除になってすぐには、RATP(パリ交通公団)は、一日、数回の消毒作業を行うと言っていましたが、車内の様子を見るに、とても、1日、数回の消毒作業をしているようには、見えません。

 その上、なんのつもりか、地べたに自分の荷物を置いてしまっている人をその日1日だけでも、何人も見つけて、やっぱり、フランス人の衛生観念・・やっぱり、まだ発達していない・・このご時世、地べたに荷物を置く神経がわかりません。土足で家に入るのと同じ感覚なのでしょうが、いくらマスクマスクと騒いでも、やっぱり、もともとの衛生観念が欠けていると思わざるを得ません。

 
                                    理解できない地べたに荷物を置く神経


 普段はバスに乗っていた道のりを歩きながら、気持ちの良い天気に映えるきれいな景色を眺めながら、これで、コロナさえなければ、どんなに気持ちが晴れ晴れとしたことか・・とちょっと思いました。

 夜になると、ニュースで1日の新規感染者が8975人というのが発表されていて、あまりの数字の上がり方にちょっと声を出しそうになるほど驚きました。だって、先週は、6000人を超えてビックリしていたばかりですから、それが一週間でほぼ9000人って・・。

 今やフランスは、1日の新規感染者に関しては、インド、アメリカ、スペインに次いで、世界第4位に跳ね上がってしまいました。さすがに1日に9000人も感染者がいれば、無症状の人ばかりではなく、入院患者も重症患者も確実に増えています。

 現在、フランスのコロナウィルスによる入院患者は4653人、(そのうち1日に入院した患者は292人)ICU(集中治療室)には464人、1日に46件のクラスターが発生しています。

 始まったばかりの学校も、すでにこれまでに22校が閉校になっています。

 長引くパンデミックに失敗を繰り返しながらも、前に進んでいかなければいけないことはわかりますが、この感染拡大の仕方は、いくらなんでも酷すぎるのではないかと心配でならないのです。

 なんだかんだ言いながらも、結局、皆、盛大にバカンスに出かけていたツケが今、フランスには、来ているようです。おまけにバカンスも終わったからと、やたらと家族や友人と集まったり、ほんとうに、なめくさってるな・・と、私は、苦虫を噛み潰すような気分でいるのです。


<関連>「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_6.html

「フランスの駅とトイレの先進国とは信じ難い臭さ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_27.html

「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

2020年9月4日金曜日

日本は海外に住んでいても教科書を無料でくれる

 


 新年度に入って、学校が始まれば、フランスの学校でも、一年の始めには教科書が配布されます。しかし、それは、ほとんどの場合、一年間、教科書を借りるということで、新年度には、その一年間お借りする教科書のブックカバーをする仕事が待っています。

 借り物なので、汚したり、破損したり、紛失したりした場合は、弁償しなければなりません。一年の始めには、学校からクラスごとに揃えなければならないノートやファイル、ペン、定規、計算機などの細かいリストが配られ、そのリストに従って、一通りの買い物をしなければなりません。

 ノートの大きさ、ページ数、様式など、細かい指定で、だいたいカーフールなどのスーパーマーケットには、新年度の前になると、リストを片手に買い物をする人で溢れます。品切れのものや売っていないものなどが必ずあって、たいていは、一度の買い物では済みません。結構な手間と時間がかかります。

 さしずめ、日本ならば、同じものを揃えるならば、学校側が業者に委託して販売すると思われますが、学校側の仕事が増えるのが嫌なのでしょうか? この不思議なフランスの風習?は、毎年のように続いています。

 教科書をカバーする透明のシートも一緒に買ってきて、色々な持ち物に名前をつけるのと同時に一冊一冊、教科書にカバーをするのですが、以前、娘の友達が家に来て、一緒に教科書のカバーをするのを手伝っていたら、不器用なフランス人の本のカバーの無様なことにびっくりしたことがありました。

 同じく、娘の友人のお誕生日会に呼ばれていた時に、一緒に行こうと言っていたママ友が「ちょっと、まだ、プレゼント、買ってないから、付き合って!」と言われて、付き合って、彼女がプレゼントをプレゼント用の紙に包むのを見て、あまりの杜撰さに驚いたこともありました。フランス人は、概して、不器用な人が多いのです。というか、大雑把で、日本のようにきっちりしていないのかもしれません。

 話は、それましたが、そんな風にフランスでは、教科書は、一年間、お借りするもので、一年の終わりには、きっちりお返しすることになっています。教科書は、まあ、一年が終わってしまえば、手元にあっても、もう使わないことも多いので、フランスらしい合理的といえば、合理的なシステムです。

 そんな中、日本は、日本国籍を持っている子供には、海外に住んでいても、義務教育の間は、希望者には、教科書を無料で配布してくれます。教科書は、科目によっては、一年に2回、上巻・下巻と配布されるので、(前もって予約が必要ですが・・)私は、娘が小学校・中学校の9年間、年に2回、教科書を受け取りに通いました。(以前は、在仏日本人会が請け負っていましたが、今は、大使館で配布しています)

 たいていは、平日の時間帯なので、教科書をもらいに行くときは、昼休みをずらして取って、(昼休みは大使館は、休みなので)メトロで数駅、バタバタと大使館に駆け込んでは、仕事に戻る、そんなことを一年に2回ずつ、続けていました。

 きれいな新品の教科書を海外にいても、無料で配布してくれる国など、そうそうあるものではありません。私の職場には、色々な国からの外人もいましたが、そんな話は、聞いたことはありません。

 自分が育った頃とは違う、今の教科書は、なかなか自分自身が読んでも興味深いものですし、私は、特に娘に日本語をしっかり学んで欲しかったので、これは逃すものかと9年間分の教科書を全て頂いてきました。

 これらの本を自分で調達するとなったら、個人としたら、相当な負担になるはずのものなので、とても助かりました。

 教科書は、今でもほとんど取ってあり、娘が日本語検定を受験したりした際には、日本語の勉強に使っていましたし、今、自分の専門分野である生物の教科書などは、日本語では、こういう言葉を使うんだ・・などと、中学校の教科書を開いたりもしています。

 日本の学校の様子や社会の仕組みなどもわかりやすく書いてあるので、今さらではあっても、大人になってから読んでも結構、勉強になります。

 私は、日本のそんなところは、やっぱり日本は、凄いな・・と、誇らしくもあり、ありがたくも思っています。海外にいても、日本人としての教育を配慮してもらえることがとても嬉しいのです。そんな国は、そうそうないのです。

 海外在住の方で、このシステムをご存知ない方は、ぜひ、せっかくの機会を利用しては、いかがですか?

 国によって、配布方法は違うと思われますが、フランスは、大使館がやっているので(もしかしたら、場所を提供しているだけかもしれませんが・・)大使館に問い合わせれば、わかると思います。


<関連>「フランス人は不器用なのか?」

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2020年9月3日木曜日

再婚・養子縁組・大学進学・就職 イレギュラーなママ友の人生

 


 学生時代の友人や昔からの友人が長続きして付き合いが続いていくのは、なかなか容易なことではありません。ましてや一生のうちには、自分の生活圏や生活環境がどんどん変わっていく中で、それを維持していくのは、よほどのことであると思っています。

 また、思わぬことで、なぜか、妙に縁がある人というのもいるものです。

 私など、海外に出てしまっているので、日本での学生時代からの友人などは、もう片手で十分に足りるほどで、また、真の意味での友人がいれば、それで十分、満足しています。

 また、海外に出たら出たで、そこでまた、新しい繋がりができるので、それはそれで良いのです。

 そんな友人関係の変化が娘にも見えてきて、私は、なるほど・・と遠くから娘の友人関係を眺めています。彼女は、小学校から高校まで同じ私立の学校に通っていたので、高校卒業までの12年間は、彼女の友人関係は、あまり変わることはありませんでした。それだけ強固な繋がりかと思いきや、もうすでにそれぞれが別の道に進めば、バラバラになっていきます。

 その中で、小学校からの仲良しで、バレエなどのお稽古事も一緒、高校卒業後に進学したプレパー(グランドエコール準備学校)も一緒、同じ理系の道を進みながらも選考は違い、グランドエコールは、別々の学校(それぞれ別の地方)へ進みましたが、彼女とは、今も付き合いが続いているようです。

 彼女は、小さい時から優秀で、小学校の時に飛び級をして、娘のクラスに入ってきてからの付き合いなので、本当は、娘よりも一つ年下です。

 私は、仕事で時間の自由が効かなかったこともあり、時間的にも余裕がなく、ママ友付き合いというものをほとんどしてきませんでしたが(内心、此れ幸いと思っていました・・)、それでも、彼女のママは、とても行動的でアクティブな人で、バレエのクラスの世話役や市役所のイベントに顔を出したりしていたので、そんな私でさえも、会えば、少しは、話をしたり、困ったことがあれば、アドバイスをしてくれたりしていたので、他のママたちよりは少しは、彼女のことを知っていると思っていました。

 彼女は、ご主人とは再婚で、しかもかなり年が離れていて、彼女の子供二人は、養子だということは知っていました。彼女のご主人には、前の奥様との間に子供がいて(すでに成人して、独立している)、その上、養子を迎えるということは、並大抵なことではないな・・それだけでも、彼女は、すごくバイタリティーのある人だと思っていました。

 フランスでは、子供のできない人が養子縁組するケースは、少なくなく、うちの主人の兄も養子です。

 しかし、そんなプライペートなことは、娘から話を漏れ聞くだけで、彼女と直接話したわけではありません。そして、つい最近、娘と留学費用の話をしていて、その友人が留学費用を借金したという話を聞いて、”えっ? なんで??”という話になり、”だって、彼女のママは、つい最近まで働いてなかったんだよ! おまけにパパはもう年金暮らしだし・・”という話を聞いて、びっくりしたのです。

 フランスでは、だいたい、共働きが普通で、お母さんが仕事をしていない家庭というのは、極端に少ない上に、ましてや彼女を見ていれば、とてもバリバリ仕事をしていそうな感じだったので、てっきり、仕事を持っているのだとばかり勝手に思い込んでいたのです。

 それぞれの個人の事情には、余程、親しくなければ、立ち入らないフランスですし、私自身も、あまり他人のプライベートは、相手が自分から話さない限りは聞くこともありません。

 娘が高校を卒業してから、もう4年が経ち、それ以来、いや、それ以上に娘がバレエをやめて以来ですから、もう6年くらい、私は、彼女のママには会うことはありませんでした。

 この間の6年の間に彼女のママは大学に入り直して、つい最近、就職したばかりなのだそうです。

 私よりも若いママではありましたが、さりとて決してもう若いわけでもありません。そんな中、大学に通い直して、仕事に付いていたとは・・今さらながら、凄い人だったと思いました。

 色々な面で、順番が普通とは違いますが、年の離れたご主人と結婚して、子供二人を養子に迎え、子育てもそろそろ目処が付いたところで、大学に入って勉強しなおして、就職。

 かなりイレギュラーな人生ではありますが、自分の子供ではない子供を立派に育て、自分も勉強し直して、就職。話を聞いてみれば、人それぞれには、なかなか色々な事情があるものですが、まさに自分の人生をたくましく切り拓いて生きている彼女に、改めて、尊敬の意を抱いたのでした。


<関連>「義兄夫婦のフランス人の家族」

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2020年9月2日水曜日

新年度が始まったフランス 学校も再開・仕事も再開


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 長いバカンスも終わって、フランスは新年度が始まりました。子供は、学校へ、大人は仕事へとまるで仕事場に行く大人までが、新学期が始まるように感じられるのがフランスらしいところです。

 8月に入って、感染者が爆発的に増えたフランス。学校も仕事もリモートにしないのかな?と思うところですが、会社も学校もマスク着用を義務化して新年度に臨むところに、この先、長く続きそうなコロナウィルスと共存していこうとする姿勢が感じられます。

 会社内でのマスク着用義務に関しては、反対の声も上がっていますが、今のところ、フランスでは、大きな騒ぎにはなっていません。(ヨーロッパの中では、ドイツなどで、マスク義務化反対の大きなデモなどが起こっています。)

 とはいえ、学校も11歳以上の子供はマスク義務化、従わない場合は、それなりの制裁も考えているという強気な態度。義務化されない11歳以下の子供でも、マスクをしている子供は、少なくないと思います。

 はるか昔のことになりますが、娘が小学校に入学した9月1日のことを思い出します。娘は、小学校から私立の小学校に通うことが夏休みの間に急に決まったのです。

 フランスでは、日本でいうお受験のような入学試験がないので、我が家が申し込んだ時点では、定員オーバーということで断られ、ウェイティングリストに載せてもらっていたのですが、直近の成績が奇跡的にオールAという成績をもらってきたために、念の為に成績表を希望していた学校に送ったら、面接に来てくださいと学校から連絡をもらい、急遽、9月の最初から入学許可が下りたのです。

 ですから、急なことでもあり、周りのお友達のほとんどは、公立の学校への入学だったため、周りは知らない子供ばかり・・ましてや、なかなか厳しい学校で、娘はともかく、少なくとも私は、とてもドキドキしていました。

 9月1日の朝、夫婦揃って娘を学校まで送り、彼女の新しい学校生活のスタートを見届けるつもりでした。ところが、親が送っていけるのは門の前までで、そこから先は、保護者とて、中に入ることもできません。入学式もありません。

 娘は、私たちの方へ、「じゃあね!」と軽く一回手を振ると、意気揚々と学校へズンズン入って行きました。パパは、「一度も振り返らない!」と、グングン学校に入っていく娘が不満そうでしたし、私に至っては、たくましく学校生活に入っていく娘が心配なような、たくましく、頼もしいような、複雑な気持ちで、うるうるしてしまったほどです。

 あの時の気持ちを思い出すと、今年、新入生として入学する子供を持つ親御さんたちは、通常の不安プラス感染のリスク・・どんなにか不安で心配かと思うとちょっと胸が痛くなります。

 フランスの学校は、低学年は、短縮授業ということもなく、いきなり、朝8時半から16時半(エチュード(宿題を見てくれる授業)も含めると18時までギッシリの授業が始まります。

 ただでさえ、慣れない学校生活でマスクや手洗い、ソーシャルディスタンスを取らなければならずに友達と触れ合うこともできないのです。それでも、きっと子供の方がそれなりの方法を見つけて、友達とも工夫をして遊んだりしていくのだと思います。

 しかし、感染者が出れば、たちまちクラスターが発生してしまうリスクもあります。しかし、恐れて逃げてばかりいては、前へ進めない・・今のところ、幸い重症化している人は、少ないため、いくつかの失敗を重ねながらでも、手探りでウィルスと共存していく道を歩まなければならないのかもしれません。

 3月のロックダウンから数えれば、約半年ぶりの学校に行けることを嬉しそうにしている子供たちを見ると、そんな風にも思えてくるのです。


<関連>

「学校選びは人生の岐路 娘の通った学校はなかなか厳しい学校だった」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_54.html


「入学式も卒業式もないフランスの学校」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_7.html

 









 

2020年9月1日火曜日

バカンス帰りの12台のTGV・最大20時間の遅延に見舞われた5000人の旅行者

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 9月の新年度に滑り込みで帰郷する人々で溢れかえる8月30日(日)の夜、フランス南西部からのTGVが電気系統のトラブルによりストップし、計12台の車両がブロック、5000人の旅行者が足止めを食い、翌日、夕方、最大、20時間遅延したTGVがパリ、モンパルナス駅に到着しました。

 この時期、ただでさえ、TGVという密閉空間でのコロナウィルスの感染拡大が心配される中、なぜ、電車が止まっているのか、復旧にはどれだけかかるのかなどの的確な情報もなく、また、時折、発表される情報もコロコロ変わり、水も食料もないまま、高齢者や子供も含む多くの人が電車内での夜明かしを余儀なくされました。下の写真は、乗客が、「水も何も支給されない中、コロナが蔓延する中、TGVで夜明かしする様子をツイッターに投稿していた写真です。

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 今さら誰もフランスのTGVに時間どおりの発着を期待してはいませんが、今、このタイミング(コロナウィルスの感染者が再拡大している、しかも、夏休み終わりの最終日)での遅れ、しかも20時間の遅延という記録的な遅れは、もうこれは事故です。

 しかし、この驚異的な遅れにも関わらず、乗客は、イライラは募りながらも暴れたりする人が出なかったことも、これまた奇跡的です。

 日頃からパリでもメトロが急に駅と駅の間で停車したり、駅で止まったまま発車しなかったりすることは、よくあることで、また、何の説明もないか、あるいは、テクニカルプロブレムの一言で終わり、また、しばらくこの電車は動きません・・と言った途端に発車・・などなど、電車のトラブルの例えをあげれば、キリがありません。

 この日常を考えれば、20時間遅延したTGVのアナウンスなどがどんな具合であったのかは、容易に想像がつきます。

 情報がない中、ましてや夜中に、電車の乗り換えや、諦めてホテルに泊まることも簡単ではありません。

 先週には、フランスのコロナウィルスの1日の新規感染者は7000人を突破している中でのこの事故でのTGVでの20時間の缶詰状態。この12台のTGVがクラスターになっている可能性は低くありません。

 日本の東海道新幹線は、年間13万本運行し、自然災害などによる遅延も含めて、平均遅延時間は、24秒だという話を聞いたことがあります。遅延時間を秒単位で測ること自体が驚きで、フランスから見れば、まるで違う時代か違う宇宙の話のようです。

 20時間といえば、パリから日本への直行便は、12時間弱、羽田に着いて、家に帰って寝ているほどの時間です。もはや遅延と言える時間なのか?疑問です。

 さすがの遅延大国フランスも20時間の遅延に対しては、遅延のために利用したホテルの費用など、旅行者向けの「追加費用の全額」とチケットの返金、3倍返しを発表しています。


<関連>「ストライキ大国・フランス」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_46.html