2021年6月4日金曜日

緊急通報回線不通になる恐怖の一夜

  


  

 最近になって、ようやく静かになってきましたが、昨年からのパンデミック以来、ロックダウン中はもちろんのこと、家の中にいても、かなりの頻度で、救急車のサイレンが聞こえてきていました。

 とにかく、ロックダウン中は、ほとんど家にいるのですから、それだけ神経質になってもいるし、実際に家にいて、1日中、救急車のサイレンの音がほとんど途切れないというのも、それはそれでなかなかない体験でした。

 一時は、救急車のサイレンだけでなく、ヘリコプターや軍用機が飛んでいく音や姿がアパートの窓から見えていたりしていたので、その度に、ああ〜また誰かが運ばれていく・・と、ちょっと言いようのない不安にかられたりもしました。

 今や、救急車のサイレンの音の頻度で、感染状況がわかるといってもいいくらいで、ここのところ、ようやく感染が減少してきた今では、ずいぶんとサイレンの音が減ってきました。

 救急車のサイレンが途切れない状態も恐ろしい状況ですが、救急車を呼ぶことができないというのは、もっと恐ろしい状況で、そんなアクシデントが、水曜日から木曜日にかけて起こり、緊急電話回線が大幅に不通になったために、少なくとも4名の死者が出てしまうという最悪の事態にまで発展してしまいました。

 これは、オレンジ(フランステレコム)というフランスの公共通信システムのトラブルによるもので、このシステムダウンのために、緊急電話回線が繋がらないという信じられないことが起こってしまったようです。

 だいたい、救急車や警察、消防などを呼ぶということは、呼ぶ方にしてみれば、よほど差し迫った状況なわけで、それこそ一刻も早く来てもらえるようにと、かなり混乱状態にあるはずです。

 フランスの緊急電話回線は、15・17・18・112と、いくつかの番号がありますが、それが全て繋がらないとなれば、パニック状態に陥ってしまうのもわからないではありません。

 ネットなどで、落ち着いて探せば、何らかのアクセス方法は見つかると思われますが、子供の急病におろおろしてパニック状態に陥り、繋がらない電話をし続け、結局2歳の子供を死なせてしまった母親もいました。

 また、逆に実際に、同じような場面で、落ち着いてアクセス方法を探して、子供の命を救った母親もいました。

 実際には、緊急電話回線が繋がらないなどということがあってはならないのですが、この回線の不通は、フランスでも歴史的な事故です。

 ようやくフランスの集中治療室の占拠率は、50%台まで下がってきた途端に起こったこの緊急電話回線ダウン。これまで、フル稼働していたこの緊急電話回線の不通は、一応、現在は、回復していますが、未だ予断を許さない監視状態だと言います。

 もし、何かあっても、ようやく病院に行くことができるようになった・・と思い始めた途端にこれです。

 私自身は、フランスでは一度、もう20年くらい前に一度、家で夜、主人が具合が悪くなって、救急車を呼んだことがありましたが、まだ娘が小さかった頃で、救急隊が到着した際も娘を置いていくわけにも連れていくわけにもいかずに、主人が一人で運ばれて行って、不安な思いで一夜を過ごしたことがありました。

 結局は、その時は、主人の病状は深刻な状況に陥ることはなく、一週間ほどの入院ですみましたが、あの頃は、娘は、救急車を見ると「ヴォアチュー・ド・パパ(パパの車だ)!という言うようになり、小さかった娘にもかなりかなり印象的な出来事だったようです。

 しかし、不幸中の幸いと行っていいのか、これが、感染のピーク時に起こっていたら、死亡者は、こんなものではとてもすまなかっただろうと思います。

 この事故を踏まえて、フランスでは、全ての緊急電話を統合しない方法、(日本で言う警察は、110番・救急は119番というような番号の統一ではなく、違う番号にも振り分ける方法)新しい別の(地域ごとなどの)緊急電話番号を開設することを検討し始めるようです。

 本当に、次から次へと思いも寄らないことが起こります。別の地域では、大雨による洪水で家が水浸しになっているニュースが流れています。

 緊急電話は繋がらない、洪水のために水浸し・・フランスは、一応、先進国だったはずだよね・・と、思ってしまいました。

 何か異例の事態が起こった時にパニック状態に陥りやすいフランス人の中で、パニックを起こさずに、落ち着いて行動しなければ・・と、肝に命じたのでした。


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2021年6月3日木曜日

6月15日から、12歳〜18歳のティーンエイジャーにもワクチン接種開始



 フランスは、5月31日から18歳以上の全ての成人がワクチン接種が可能になっていましたが、それから半月後の6月15日からは、12歳〜18歳のティーンエイジャーもワクチン接種が可能になることをマクロン大統領が発表しました。

 重症化するリスクが低いティーンエイジャーへのワクチン接種に関しては、必要があるかどうかという議論も出ていましたが、結果的には、ティーンエイジャーが感染した場合に、無症状のままに、他の人に感染させるリスクを含んでいることから、まだ時期尚早との声が一部にはありながらも、マクロン大統領は、「これは、真の集団免疫を可能にする次のステップである」とし、ティーンエイジャーのワクチン接種に踏み切りました。

 すでに先週末の段階で、欧州医薬品庁は、アメリカの研究所であるファイザーとドイツの企業バイオンテックによって開発されたワクチンのこの年齢層(ティーンエイジャー)への使用にすでに許可を出していました。

 それから、わずか数日後のフランスの決定は、かなり迅速なものでした。

 このワクチンキャンペーンの新たなステップ開始は、「クラスや大学の閉鎖を回避し、最も弱い人々を保護するための集団免疫運動」の一部である、とオリヴィエ・ヴェラン保健相もこの措置を説明しています。

 これまで、感染者が出れば、学級閉鎖になったり、大学の講義がリモートに切り替えられたり、クラスの人数制限をするために、一週間おきの登校になっていたりした状況に孤独感に苛まれ、精神的にも病んでしまう学生が急激に増えていたことなどからも、このティーンエイジャーへのワクチン接種で解消することができます。

 ティーンエイジャーへのワクチン接種に関しては、保護者の同意が必要になるため、最初に高齢者施設でワクチン接種に際しての家族の同意書が必要だったことで、当初はワクチン接種がなかなか進まなかった経緯などもありましたが、世界中でワクチン接種の効果が見られ始めている現在では、ワクチンへの懐疑的な見方もかなり薄れてきて、依然としてアンチワクチンの態度を崩さない人も一定数いるとはいえ、以前のように、ワクチンを拒否するという人は少なくなってきているのではないかと思われます。

 また、これに加えて、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、ワクチン接種キャンペーンを遅らせないことを目的として、数日以内に、ワクチンの2回の投与間隔を延長できる措置を取ることを発表しました。

 フランスでは、これまでに(6月2日現在)2,650万人以上が少なくともワクチンの初回接種を受けており、これは、全人口の39.7%、成人人口の50.6%のワクチン接種ができているということになります。

 そして、1,140万人以上が2回のワクチン接種を済ませており、これは全人口の17.1%、成人人口の21.8%に当たります。

 フランスは、とりあえずのワクチン接種の目標を全人口の60%を目標にしているので、これで、ティーンエイジャーのワクチン接種が学校・大学単位で進んでいけば、さらに一気にワクチン接種が拡大していくことが期待できます。

 次から次へと変異種が出現し、いつまでもホッとできない状況が続いてはいますが、フランス人は、夏のバカンスに出る前になんとかワクチン接種をして、安心してバカンスに臨みたいと思う人も多く、ワクチン接種を積極的に受けようとする雰囲気が高まっています。

 また、現在は、感染状況は、順調に減少してきていますが、これでワクチン接種が拡大し、さらに感染率も低下して、フランスが安全な国だという認知が広まれば、世界中からの観光客も戻ってきてくれるのではないかと期待しています。

 いつもは、どうしてフランスは、こうなんだろう??と思うことも多いのですが、ワクチン接種に関しては、結構、頑張っています。


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2021年6月2日水曜日

トゥールーズ スクワット(アパート乗っ取られ)事件 フランスの居住権

   



 フランスでの権利の主張というのは、何においてもなかなかなもので、まず、物申す権利である「デモ」の権利は、第一回目の完全なロックダウン状態の時は、別として、それ以降のロックダウン下では、結局、デモの権利は、尊重され続けていました。

 また、しばしばデモにも発展するものでもありますが、フランスの労働者を守るための「労働者の権利」というものもかなりのもので、国自体がバカンスの権利や労働時間などについての雇用体系に関わる労働者の権利というものも(時には、行き過ぎのところも多々ありますが、)かなり厳格に守られています。

 この辺までは、まあ大目に見れば、まだ理解できないこともないのですが、フランスでの権利の中で、理解できないことの一つに居住権というものがあります。

 先月、トゥールーズに住む学生が、ロックダウン中に3カ月間、両親の住む実家にしばらく滞在している間に自分のアパートがスクワット(アパート乗っ取り)の被害にあい、自分のアパートに戻った時には、鍵が変えられていて、本人が自分のアパートに入ることができず、自分のアパートが乗っ取られて、他人が素知らぬ顔をして住んでいることを知り、愕然とし、途方に暮れるという事件が起こりました。

 彼は、留守中の3カ月間も家賃は遅れることなく払い続け、その彼が家賃を払い続けていたアパートには、知らない間に全く見ず知らずの人が住んでいたのです。

 スクワットをしようと狙っている人は、ポストなどの郵便物のたまり具合をチェックして、留守になっている家やアパートに目星をつけるのだそうです。

 考えてみれば、多くの学校や仕事がリモートワークに切り替わり、多くの人がパリから逃げ出し、同じアパートの人でも、並んでいるポストを見て、この人、ずっといないんだなぁ〜と思ったこともありました。

 彼は、警察に駆け込みましたが、警察は、自分で不法侵入者を追い出すことは、更なるトラブルを生む可能性があるとし、警察が不法侵入者を退去させるまで、それからさらに長い期間、自分のアパートを取り戻すまで待たなければなりませんでした。

 これは、彼がその時点の居住地としていた場所であったので、まだ、不法居住者を比較的、簡単に退去させることができましたが、それが、長い間、空き家として使用されていなかった家や別荘などの場合は、それが不法居住者とて、簡単に退去させることはできません。

 裁判沙汰になって、家をめちゃくちゃにされても、家を取り戻すのに、何年もかかることもあります。

 アパートの賃貸などにしても、長いこと家賃が滞納されていても、そこに住んでいる人には居住権というものが発生し、家賃を払わないからと言って、簡単に追い出すことはできません。

 私の知人にもパリにアパートを数軒持っている人がいますが、必ずアパートの賃貸には、代理店を介入させ、日本人にしか貸さないという条件を提示していると言います。

 日本の常識からいったら、このようなスクワットや家賃を滞納するなどということは、あまり考えられないことだし、日本人はアパートをきれいに使うし、あまりバカ騒ぎもしないし、礼儀正しく、きちんと家賃も支払うので、日本人に貸したがる人は多いのです。

 この居住権に関しては、全く始末の悪いもので、空き家のまま放置しておくことは、フランスでは、かなりのリスクを伴うことなのです。

 以前に、亡くなった両親が住んでいた家を放置していて、さて、家を売って処分しようとした人が、久しぶりに家に行ってみると、家はスクワットにあい、これでもかという人数の難民が住み着いていて、数年かかって家を取り戻したものの、家の中はめちゃくちゃになっており、改修工事をしなければとても売りに出すこともできないという悲惨な話がありました。

 今回のこのトゥールーズの学生にしても、「自分が家賃を払い続け、自分の居住証明があっても、一旦、スクワットされたアパートに直接、自分が介入できない意味がわからない」と語っています。

 しかし、警察の介入後、取り戻したアパートに彼はもう住む気にはなれずに、彼は、別のアパートに引っ越すことになりました。

 私は、今のところ、そこまで長期でアパートを留守にしたこともないし、ある程度、長く留守にしたとしても、ポニョ(猫)が一人で留守番しているために、毎日、ポニョの世話をしてくれる人を頼んでいて、毎日、アパートを覗いてくれているので、そのようなことはないとは思いますが、とにかく気を許して生活することはできないフランスの居住権問題でした。


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2021年6月1日火曜日

大坂なおみ 全仏オープン(ローランギャロス)トーナメント撤退発表


Naomi Osaka, la numéro 2 mondiale, a décidé de se retirer de Roland-Garros. (ROB PRANGE / SPAIN DPPI)


 昨年からのパンデミックのため、今年の全仏オープン(ローランギャロス)はどうなることやらと思っていたら、予定どおりの5月30日からスタートしていたことに、やはり、毎年の年中行事?とともに、日常が戻りつつあることが感じられ、どこか、ほっこりさせられた思いがしていました。

 今回のローランギャロスは、120回目の大会で、昨年の開催も延期の末に感染が悪化してからの開催など、色々と物議を醸してきましたが、今年は、様々な衛生管理の制限があるにせよ、フランスは、ロックダウンが解除され、今のところ順調に感染も減少しつつあり、ワクチン接種もフランスにしては、なかなかの速度で進み始めて、今週からは、18歳以上の成人は、全てワクチン接種が受けられるようになり、上向きのムードの中、始まった大会でした。

 さすがに、個人的には、現在のフランスの状況で、会場にまで行って、応援することは、ちょっと躊躇われるのですが、テレビをつければ、オンタイムで試合を見ることができるこの全仏オープンは、あまりスポーツ観戦をしない私でも、日本の選手を応援したくなる大会でもあるのです。

 昨日、「ああ〜そういえば・・ローランギャロスが始まっているんだ!」と気づいて、試合のスケジュールを確認してみたら、すでに一回戦が終わっていて、日本の錦織圭選手や大坂なおみ選手は勝ち抜いているのを確認して、「よしよし・・」と次の試合の日程などを見ていたら、急に「大坂なおみ トーナメント撤退」というニュースが入ってきてびっくりしました。

 この大会が始まる前から、彼女が試合後に行われる記者会見に応じないと発表していたことは、聞いていましたが、まさかそれがこんなことにまでなってしまうとは、思ってもみないことでした。


 彼女は、これまでも記者会見を苦痛に感じていて、全ての選手が試合に集中するため、精神衛生上、記者会見を行わないことを主張していましたが、これは大会規定に違反するため、15,000ドルの罰金を課せられることが報じられていました。

 現在、世界ランキング2位という彼女のステータスと影響力から、これまでも、彼女は、様々なことを主張し続けてきて、今回の記者会見に関しても、「現在の規則は古い、選手が試合に集中できる体制をとるべきである」と発表したのでした。

 彼女にとって、15,000ドルの罰金は大した金額ではないにせよ、大会の記者会見は、一般のマスコミとは違う大会運営の公式記者会見でもあり、この大会の大事な一部でもあるため、大会運営側も彼女の訴えを簡単に受け入れることはできません。

 それどころか、この全仏オープンだけでなく、他のグランドスラムと呼ばれる4大大会から、共同排除という脅威が逆に彼女を襲うことにまで発展してしまいました。

 彼女自身は、この彼女の発信が、「試合の内容以上に多くの人の気を逸らすものになり続けて欲しくない」として、結果的には、彼女は今回の全仏オープンのトーナメントを撤退することを発表しました。

 

 彼女は、今回の論争に関しては、「タイミングも、自分の発信の仕方ももっと明解な形にするべきで、最善のものではなかっったために、今回は、これ以上、テニス以外のことで、騒がしたくはなく、私自身が撤退することが一番だと思う。いつも私に親切にしてくれたテニスプレスに謝罪したい。しかし、人前で話すことは私の本質ではなく、それは私に計り知れない不安を引き起こします。今回の大会では、自分はナーバスになっていると感じ、マスコミを避ける方が良いと思いました。この記者会見のルールは古くなっていると思い、人々に知らせたかったので、事前に発表しました。」と語っています。

 そして、「時が来たら、ツアーの関係者と話をして、選手、マスコミ、ファンの両方の状況を改善できることを願っています。」と締めくくっています。

 彼女は、日曜日にはすでに、一回戦のパトリシアマリアティグ(63位)(6-4、7-6 [7/4])に勝利したばかりでした。

 試合に集中するために記者会見を回避したいと言っていた彼女がそのトーナメントから撤退することになってしまったことは、大変、残念なことです。

 アメリカでは、アスリートはマスコミとの取引においてより多くの自由を望んでいると彼女のコーチは彼女を擁護していますが、どちらにしても、これはプロテニスの世界、しかも記者会見も大会の主催する公式記者会見の話。ファンとしては、試合同様、選手からの話を望んでいるのも事実で、この記者会見も含めてのトータルのイベントです。

 プレス側も余計な質問をすることもあるでしょうが、必ずしもネガティブなことばかり発信するわけでもありません。多くのプレス関係者やファンの人に支えられつつ存在している大会でもあるのです。

 スポーツもメンタルを整えることが難しいものではありますが、つい先日、彼女がラケットを折ったことがバッシングされていたりして、彼女自身のメンタルが揺らいでいることが伺えます。彼女自身は、長いことうつ病に苦しんできたと告白していますが、現在も、精神的に苦しんでいる状態ならば、もっとこんな騒動にならずに記者会見を避ける方法は別にあったのではないかと思っています。

 彼女の会見に対するストレスと同様、彼女の発信することの影響力は、彼女自身はより自覚する必要があり、このタイミングだったならば、とりあえずの会見拒否の意向は、ツイッターやインスタグラムではなく、まず大会主催者に直接、伝える必要があったのではないかと思います。

 世界のトップレベルにまで登りつめた彼女は、まだまだ若いのです。こんなことで、潰れて欲しくないと心から祈っています。


大坂なおみ


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2021年5月31日月曜日

数年ぶり?にギャラリーラファイエットに行って再確認したこと

         

ギャラリーラファイエットの天井はいつもどおりに綺麗でした


 私は、ズボラな性格で、買い物というものが好きではないので、デパートというものもあまり行きません。

 コロナとは関係なくとも、人混みというものが嫌いなので、大抵、混雑しているデパートというものもあまり好きではないのです。

 しかも、デパート(ギャラリーラファイエットやプランタン)で扱っているような高級ブランド品にも、もはやほとんど興味もないので、たまに行くとしても、食料品を扱うギャラリーラファイエットグルメなので、本体のデパートは、ラファイエットグルメに行く道すがら、地上階の店内をすり抜ける程度です。

 このパンデミックで、デパートも長いこと閉鎖状態だったために、どんな様子だろうか?と思いつつ、今は、こんなブランドがこんな商品を出しているのか・・とちょっと眺める程度で、いつもなら大行列ができているシャネルやルイ・ヴィトンのお店を横目に通りつつ、さすがに、あまり行列はないんだな・・と思いながら、通り過ぎたのでした。

 

私が用があるのは、こっち・・ラファイエット・グルメ(食料品館)


 ラファイエット・グルメとて、そんなにいつも贅沢な食品を食べているわけでもなく、たいていは、日本に一時帰国する際のお土産にする食料品などを物色する際に、あちこち、歩き回らずとも、美味しいものが揃っているし、また、これまで気がつかなかった良さそうな食品にも出会えたりするので、手っ取り早く買い集めるには、便利なのです。

 お店に入ると正面には、ピエール・エルメがドーンと店を構え、華やかなスイーツの店舗が軒を連ねています。また、アラン・デュカス、ジャン・ポール・エヴァン、ピエール・マルコリーニなどのショコラティエ、トリュフやフォアグラの専門店、スパイスを扱う店、マリアージュ・フレールなどの紅茶のお店などは、これまでとあまり変わることなく営業されていました。

 ただし、現在のところは、イートインのコーナーは、屋内であるため、営業はテイクアウトのみでした。

 地下は、生鮮食料品を含む広いスペースになっていて、ここには、持ち帰りができるお惣菜や、チーズ、バター、生ハムなどに加えて、ある程度、保存の効くいわゆるお土産にもできそうな商品を数多く扱っています。

 ところが、今回、地下に降りてみて、そのスペースは、商品がいつものようには揃ってはおらず、どこかガランとしていて、ちょっと唖然としたのでした。

  

いつもなら、もっと多くの棚に加えて、台やバスケットが置かれていて商品はぎっちり


 「そうなんだ! ここのお客さんも、普段は、観光客がほとんどなんだ!」このガランとした地下の店内を見て、改めて、今はパリには観光客がほとんどいないことを再確認したのでした。

 「今は、観光客がいないから、ルーブルに行っても、オルセーに行っても、いつもでは信じられないゆったりした空間が楽しめる!」などという話を聞いて、これは観光客が戻る前にぜひ、美術館に行かなければ・・などと思いつつ、まだ行けてなかったのですが、観光客がいないことで影響を受けているのは、こういったデパートや高級食料品を扱うお店でもあったのだということを目の当たりにしたのです。

 今回は、私は、先日、従姉妹が色々と日本の食料品を送ってくれたので、お礼に何かこちらからも送ろうと思って、滅多には来ないラファイエットグルメにやってきたのですが、ここは、一般的な庶民が来るところではないのです。

 以前にノエル前にヴァンドーム広場のあたりに出かけて、お店は開いているものの、軒を連ねる高級ブランド品街は、見ているのも気の毒になるくらい、店内はガランとしていて、ああ、パリは観光地だったんだ・・と思ったことを思い出しました。

 高級食材を扱うこんなお店も、やっぱり観光客なしには、成り立たないのです。ましてや食料品、そんなに長くお店にストックを抱えるわけにもいかないのです。

 とはいえ、さすがに高級な店舗だけあり、お店の人もフランスなのに、感じの良いことこの上なく、色々、教えてくれたり、試食させてくれたり、マリアージュ・フレールなどでは、新製品の紅茶の香りを一つ一つ丁寧に説明しながら、香りを嗅がせてくれました。

 その際に、「マスクを取らなくても、充分、香ることができます!」と自信満々に言われたのには、恐れ入りました。

 もう現在のパリの街は、カフェでもどこでも、多くの人が行き来している様子に、すっかり日常を取り戻しつつあるなぁ〜などと思っていたのですが、パリは、観光地でもあり、観光客が戻ってくるようにならない限り、元のパリには、戻らないのだということをあらためて、再確認させられたのでした。

 フランス政府は、今年の夏以降のフランスへの観光客に対しての、「PCR検査は無料」と発表しています。それだけ、フランスは、パリは、海外からの観光客を心待ちにしているのです。


ギャラリーラファイエット


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⭐️2019年に撮ったものですが、ラファイエットグルメを紹介しています



 

2021年5月30日日曜日

パリ・ベルシーで5,000人参加の実験コンサート開催

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 パリで屋内コンサートが行われたのは、2020年3月以来、およそ14ヶ月ぶりのことでした。この1年以上の間に、もはや、この人混みの映像を見るだけで、思わずギョッとするようになってしまいました。

 このコンサートは、フランスの人気ロックバンド・アンドシーヌというグループのコンサートですが、感染状況が改善している傾向にあり、ワクチン接種も拡大していく中、このような屋内コンサートがどの程度、どんな状態ならば、開催可能であるかを実験するAP-HP(パリ公立病院連合)後援の実験コンサートでした。

 今回のパンデミックで甚大な被害を受けているエンターテイメント業界にとっては、この先、どのような状態で再開が可能なのかを知ることができる非常に期待されている実験です。

 コンサートは、感染した場合のリスクの少ない(肥満、高血圧症などのない人)年代18歳〜45歳の20,000人集められたボランティアの中から、3日間にわたるPCR検査の結果、陰性であった人7,500人が選ばれ、5,000人がコンサートに参加し、2,500人が在宅を義務付けられています。

 これまで、5月19日以来、着席状態、一定のソーシャルディスタンスを配慮した屋内での催し物は再開できるようになっていましたが、このようなライブコンサートは、初めてのテストケースです。

 コンサートは、5,000人の観客が全員マスク着用を義務付けられたものの、通常のライブの感覚により近い着席しない(ソーシャルディスタンスを取らない)スタイルで行われ、場内のカメラでコンサート中のマスク着用も測定されています。

 この実験に参加した人々は、一週間後に再びPCR検査を行い、コンサートに参加できなかった(2,500人)のケースと比較されることになっています。このテストにはTousAntiCovid(フランスの感染者追跡アプリ)のテストも含まれています。

 これまでスペインやイギリスでも同様のテストコンサートが行われていますが、深刻な感染には至っていませんが、各国、感染状況もワクチンの接種状況も異なる中、フランスは、フランスでの実験が必要であったと思われます。

 それにしても、20,000人が集められて、結果5,000人+2,500人にも及ぶ壮大な人体実験には、驚かされますが、これも今後の日常生活再開に不可欠なリスクを最大限控えてのもので、個人的には、とても重要なものであったと思っています。

 結果は、6月に発表され、今後の衛生対策に反映されるということですが、このような科学的な実験結果の数字は、どちらに転んだとしても、国民に対しては説得力のあるものになると思われます。

 これまでパンデミック以来、禁止されているにも関わらず、いくつものコンサートが行われてきたフランスですが、人々がそうまでして参加したかったコンサートをどのようにすれば、開催することが可能になるのかをフランス政府も必死に模索しています。

 東京オリンピックはこのような実験が不可能なことを非常に残念に思います。


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2021年5月29日土曜日

フランス生活の修行の一つ 「届くはずの荷物を待つ」

   


 母は、生前(といっても元気だった頃)は、毎月、一回、日本の食料や娘の洋服など、何かしらの小包を送ってくれていました。平日の日中は仕事で留守なので、大抵は、すぐに受け取ることができずにいつも不在通知を持って、休みの日には郵便局に取りに行くことが多かったので、娘が小さい頃には、お休みの日に娘に「今日はどこへ行きたい?」と聞くと、「ゆうびんきょく!」というくらいでした。

 しかし、母も亡くなり、荷物を送ってくれる人もいなくなり、私自身もここのところは、年、1〜2回のペースで日本に帰国していたので、必要なものは(ほぼ食料品ですが・・)ほとんど、その際に買ってきているので、欲しいものを言えば、キリがありませんが、まあまあ、パリで買えるものを工夫して、併せて使いながら、なんとかそれらしいものを作りながら、次に日本へ行ける時まで凌いで生活しているのです。

 それが、今回ばかりは、日本に行けなくなってから、もう一年以上、私は、それでも奇跡的にパンデミックになる直前の昨年の2月後半に用事があって、日本に行っていたので、その時には、「今度は、いつ来れるかわからない?」と、いつも以上に気合を入れて食料を持ってきていたために、せこせことその食料を使いながら、何とか生き延びてきました。

 一時は、日本はおろか、フランス国内でさえも、ちょっと買い物に気軽に出かけるのも憚られるくらいだったので、ベランダで野菜を育てたりしながら、何とか食べ繋いできました。

 日本にいる友人や親戚などからも、さすがにもう日本の食べ物なくなったでしょ!いるものがあったら送るよ!と、言ってもらってはいても、もう言い出したら、キリがないし・・と特にお願いをすることもありませんでした。

 そうこうしているうちに、先日、心優しい私の従姉妹の一人が食料品を送ってくれたという連絡をくれて、内心、ワクワクしながらも、郵便事情のあまりよくない(それでも最近はずいぶんマシになった)フランスで、荷物がちゃんと届くかどうかが不安でもありました。

 それが、昨日、朝8時頃にクロノポストから「あなた宛の荷物が今日、配達されます」というメッセージが入り、しかも、メッセージには、「今日の18時までに・・」というおまけ付き・・8時から18時まで・・という大雑把なお知らせに、もう今日は、荷物が届くまで、一歩も家を出まい!と心に誓うも、家にいても不在票を入れて行かれてしまう場合もあり、下まで降りて行って待っていようか??(我が家は8階なので)などとも思ったのですが、さすがに10時間の開きがあるお知らせにそういうわけにもいかず、家で用事を済ませつつ、耳を済ませて、配達の人が来るのをひたすら待っていたのでした。

 人一倍、食い意地の張った我が家では、その荷物を送ってくれた従姉妹は神のような存在で、私たちが日本に行った際に彼女が食べさせてくれるものや、お土産にと持たせてくれるものは、それはもう、選りすぐりの逸品ばかり、絶対に間違いのないもので、大変な貴重品に間違いないのです。

 彼女は、食べることを真剣に追求している人で、あらゆる場所の美味しいものを知っていて、旅行先などで美味しいものを見つけたら、そこに通い詰めて仲良くなったお魚屋さんだとかが全国にあって、パリでさえも彼女に美味しいお店を教えてもらったりするくらいな食通なのです。

 そんな彼女が高い送料を払って送ってくれたものは、絶対になくされたりするわけにはいかない!とこちらも、いざという時には・・などと、なくされる前から戦々恐々としていたわけです。

 これまで、フランスに来て以来、色々な人から色々なものを送ってもらってきましたが、なくされてしまった(盗まれた)荷物も数知れず、箱がボロボロになって、ようやく息絶え絶えになって、よくぞ、これで届いたな・・とか、もうダメだと思っていたら、忘れた頃になってやってきたこと・・など、トラブルは山のようにあったので、久しぶりの荷物到着に、何だか半分、戦闘態勢で待っていたのです。

 10時間でも待つつもりだった荷物は、難なく昼頃に到着し、ドアホンがなって、アパートの下のドアのロックを解除して、インターホンで、「お宅は何階ですか?」と聞かれたので、「8階です。セ・ボン?(大丈夫?)」と聞き返したら、「セ・パ・ボン(大丈夫じゃない)」というので、慌てて、「じゃあ、下まで降りましょうか?」と言った時には、もう応答なし・・それから、数分の間は、下に降りようか、どうしようか迷いながら、エレベーターの前でソワソワと待つことになりました。

 それから、ほんの2〜3分、待っていたエレベーターが開き、荷物は無事に到着しました。彼の「セ・パ・ボン」は、ほんのジョークだったようですが、お宝を前に余裕のない私には、通じない冗談でした。

 とはいえ、荷物は思ったよりもずっと早くに無事到着し、喜びを分かち合おうと娘が帰ってくるのを待って開封しました。

 海外とはいえ、パリは比較的、日本食は行くところに行けば、手に入るとはいえ、やはりそれは、限られたものであり、もうずっとフランスにいるのだから、いい加減、いつまでも未練がましく日本食品を諦めようと思いつつも、久しぶりにお目にかかったパリではお目にかかれない食品の山に我ながら、いつになく、ハイテンションなのが自分でもわかるくらいで、その日は、1日ウキウキで過ごしました。

 それにしても、これまでの郵便事情のトラブルの後遺症ともいうべく、手元に届くまで、一切、信用せずにギリギリまで最悪の事態に備えてしまうこの姿勢。以前、アマゾンの配送で、届くはずの荷物を待っていたら、いつの間にか、サイト上では、荷物が到着済みとなっていたので、慌てて外に出てみたら、隣の家の玄関の前に(地べたに)置かれていたこともあったのです。その時は、まだ、届いただけ、マシだと思いましたが・・。

 最近は、アマゾンやモンディアル・リレー(自宅ではなく中継地点に荷物の配送を委託するシステム)などができたためにフランスの郵便事情も以前よりはずいぶん、改善されてきました。

 とはいえ、トラブルがいつも隣り合わせの生活に、特に郵送品(特に日本からの荷物)というと、異常に警戒してしまう悲しい習慣がついてしまっているのです。


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