最近になって、ようやく静かになってきましたが、昨年からのパンデミック以来、ロックダウン中はもちろんのこと、家の中にいても、かなりの頻度で、救急車のサイレンが聞こえてきていました。
とにかく、ロックダウン中は、ほとんど家にいるのですから、それだけ神経質になってもいるし、実際に家にいて、1日中、救急車のサイレンの音がほとんど途切れないというのも、それはそれでなかなかない体験でした。
一時は、救急車のサイレンだけでなく、ヘリコプターや軍用機が飛んでいく音や姿がアパートの窓から見えていたりしていたので、その度に、ああ〜また誰かが運ばれていく・・と、ちょっと言いようのない不安にかられたりもしました。
今や、救急車のサイレンの音の頻度で、感染状況がわかるといってもいいくらいで、ここのところ、ようやく感染が減少してきた今では、ずいぶんとサイレンの音が減ってきました。
救急車のサイレンが途切れない状態も恐ろしい状況ですが、救急車を呼ぶことができないというのは、もっと恐ろしい状況で、そんなアクシデントが、水曜日から木曜日にかけて起こり、緊急電話回線が大幅に不通になったために、少なくとも4名の死者が出てしまうという最悪の事態にまで発展してしまいました。
これは、オレンジ(フランステレコム)というフランスの公共通信システムのトラブルによるもので、このシステムダウンのために、緊急電話回線が繋がらないという信じられないことが起こってしまったようです。
だいたい、救急車や警察、消防などを呼ぶということは、呼ぶ方にしてみれば、よほど差し迫った状況なわけで、それこそ一刻も早く来てもらえるようにと、かなり混乱状態にあるはずです。
フランスの緊急電話回線は、15・17・18・112と、いくつかの番号がありますが、それが全て繋がらないとなれば、パニック状態に陥ってしまうのもわからないではありません。
ネットなどで、落ち着いて探せば、何らかのアクセス方法は見つかると思われますが、子供の急病におろおろしてパニック状態に陥り、繋がらない電話をし続け、結局2歳の子供を死なせてしまった母親もいました。
また、逆に実際に、同じような場面で、落ち着いてアクセス方法を探して、子供の命を救った母親もいました。
実際には、緊急電話回線が繋がらないなどということがあってはならないのですが、この回線の不通は、フランスでも歴史的な事故です。
ようやくフランスの集中治療室の占拠率は、50%台まで下がってきた途端に起こったこの緊急電話回線ダウン。これまで、フル稼働していたこの緊急電話回線の不通は、一応、現在は、回復していますが、未だ予断を許さない監視状態だと言います。
もし、何かあっても、ようやく病院に行くことができるようになった・・と思い始めた途端にこれです。
私自身は、フランスでは一度、もう20年くらい前に一度、家で夜、主人が具合が悪くなって、救急車を呼んだことがありましたが、まだ娘が小さかった頃で、救急隊が到着した際も娘を置いていくわけにも連れていくわけにもいかずに、主人が一人で運ばれて行って、不安な思いで一夜を過ごしたことがありました。
結局は、その時は、主人の病状は深刻な状況に陥ることはなく、一週間ほどの入院ですみましたが、あの頃は、娘は、救急車を見ると「ヴォアチュー・ド・パパ(パパの車だ)!という言うようになり、小さかった娘にもかなりかなり印象的な出来事だったようです。
しかし、不幸中の幸いと行っていいのか、これが、感染のピーク時に起こっていたら、死亡者は、こんなものではとてもすまなかっただろうと思います。
この事故を踏まえて、フランスでは、全ての緊急電話を統合しない方法、(日本で言う警察は、110番・救急は119番というような番号の統一ではなく、違う番号にも振り分ける方法)新しい別の(地域ごとなどの)緊急電話番号を開設することを検討し始めるようです。
本当に、次から次へと思いも寄らないことが起こります。別の地域では、大雨による洪水で家が水浸しになっているニュースが流れています。
緊急電話は繋がらない、洪水のために水浸し・・フランスは、一応、先進国だったはずだよね・・と、思ってしまいました。
何か異例の事態が起こった時にパニック状態に陥りやすいフランス人の中で、パニックを起こさずに、落ち着いて行動しなければ・・と、肝に命じたのでした。
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