コロナウィルスの急激な感染拡大が続いていることから、昨夜、厚生大臣のオリヴィエ・ヴェランが記者会見を行うというので、当然、パリが最大特別警戒地域に加えられるものだとばかり思っていました。
今週に入ってからのパリの感染悪化は著しく、マルセイユの現状を上回ってしまったのですから、当然のことだと思っていたのです。
しかし、記者会見での発表では、パリを最大特別警戒地域に指定するかどうかは、再度、今週末の数値を検討し、必要ならば来週月曜日からとしています。
先週の感染地域の区分けの段階では、マルセイユとグアドループが最大特別警戒地域に指定され、マルセイユでのレストランやバーの営業は禁止となっていましたが、レストラン業界からの突き上げを食って、感染予防対策を強化する条件で、部分的、もしくは完全な営業継続を可能にするための規則を検討するとし、最大特別警戒地域に指定されても、レストランを営業可能とする措置を取ろうとしていることを匂わせています。
あくまでも、週末に出る感染状況の数字を見て判断するとしていますが、この段階で、このようなことを発表するということは、最大特別警戒地域に指定されても、レストランは営業可能にする方向で進めていると思われます。仮に、数字が悪化しているからとやはり営業停止ということになれば、期待を抱かせた分だけ、反発は、余計に強くなります。
レストラン営業への道を模索することは、悪くはないのですが、これまで悉く失敗しているフランスでは、かなり具体的で細かい衛生管理が必要であり、何よりもお客さん側の自覚の問題が大きいので、フランスにおいては、なかなかハードルが高そうです。
また、PCR検査についても、これまでに1300万件以上の検査を行っており、検査結果も48時間以内に出るようになったことを発表しています。
しかし、この政府の方策では、肝心な検査後の感染者の追跡や隔離については、何も改善策が取られていません。せっかく、多くの検査をしても、陽性患者の追跡や隔離がしっかりとできていなければ、意味がありません。自主隔離を命じられても、特に監視や罰則なしに、それが厳密に守られているかどうかは甚だ疑問なのです。
だいたい、自主隔離の期間が長すぎると守れないからと隔離期間を1週間にしてしまったフランスです。どこまで甘々なのでしょうか?
確固とした決定ができずに、最大特別警戒地域指定をあと伸ばしにしている政府は、おそらくこの数日の間にレストラン営業への規則を煮詰めて、その規則制定の上での営業許可とともに最大特別警戒地域にパリを加えるのだと思いますが、レストラン営業に注意が偏りすぎて、肝心な隔離の問題を据え置きにしています。
これまでも、少しずつの対応の遅れと甘さで、被害を大きくしてきたことを半年以上経った今も学習していません。
一日の感染者数が余裕で1万人を超えているのですから、1日の遅れがどれだけ感染を広げるのか考えたらわかりそうなものです。
そして、相も変わらず、政府は国民を甘く見過ぎています。いい加減に目を覚ませ!と、私はいつも思っています。残念ながら、フランスは国民の自覚に頼れる国ではありません。色々な規制を敷くに当たって、此の期に及んで「問題なのは、フランスは自由の国であることだ・・」などと、言っている人がいるのには、もはや、ため息も出ません。
何より始末に悪いのは、国民の自覚が足りないことです。現在、パリのレストランでは、22時までの営業が認められていますが、場所によっては、22時の閉店をカウントダウンして大騒ぎ・・などというところもあり、なんのための22時閉店なのか?理解していないようです。
また、自分だけは大丈夫、家族同士なら大丈夫とでも思っているのか? 家族の集まりをやめません。これでは、いくらレストランを閉めても仕方ありません。
国際結婚をして、フランスにいる日仏家族で、夫の(あるいは妻の)家族の集まりに呼ばれて困惑している日本人は少なくありません。
我が家も類にもれず、親戚が家に来たがったりするのを「なんで、今?」と思いながら、丁重にお断りしています。
今年もすでに10月に入り、冬はもうすぐそこに来ています。パリ(イル・ド・フランス)の病院では、かなりの手術の予定が春に延期される事態が起こり始めています。
国民のご機嫌を伺いながら、確固とした決定を下せない政府の対応の遅れが感染をますます広げていきます。
自由の国も結構ですが、自由には責任が伴うものです。
フランスのコロナウィルスによる死亡者は、3万2千人(32019人)を突破しています。
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