2020年8月2日日曜日

からっぽになるパリ パリから救急車のサイレンの音が消えた



 そういえば、ここ数日、救急車のサイレンの音が聞こえなくなった・・と思ったら、パリは、みんなバカンスに出かけているのでした。人がいなければ、病人も出ないし、事故も起こらないので、救急車やパトカーが出動することもないのです。

 逆に静かになった今になって、あれだけサイレンが一日中聞こえていた状況がいかに異常だったかを改めて感じさせられています。

 毎週土曜日に行われていたデモも、今は、バカンスのために休止中。静かで平和なパリです。あんなに凄い勢いで、人種差別問題や年金問題、病院の問題を叫んでいたのに、バカンスになるとピッタリ止まるところが、いかにもフランスです。

 実に、今年は、3月以来、家の中からでも四六時中、救急車のサイレンが聞こえ続けている状態だったので、なんだかサイレンが聞こえない静かな夜が久しぶりな気がしています。

 毎年、8月になると、パリはガランとして、メトロも空いていて、買い物に行っても素早く用事が済み、私の住んでいるアパートでも滅多に人に会うことはなくなり、家の駐車場もガラガラになるのです。晴天の中、外も静かでシーンとした街。

 この時期は、そんな静かなパリもなかなか良いもので、観光客が訪れるような場所は別として、パリは、ガックリと人が減り、大気汚染も少し解消され、空気まで浄化されます。今年は、コロナ渦のために、その観光客でさえ圧倒的に少なく、しかし、いつもほどは、パリから人が減らないのではないかと思っていましたが、果たして、大多数は、(海外旅行は控えるという人も多いですが)どこかしらにバカンスに出かけているようです。

 それでもバカンスに行けない人は、パリプラージュや近所のプールなどに行くのですが、我が家の近所は、夏にバカンスを取って閉めてしまうプールで、しかも、コロナとは、関係なしに現在、改装中のため、長いこと閉まったままです。

 2017年から閉まってしまったプールは、改装工事が始まったのが2018年、2021年春には、完成予定ということになっていますが、コロナ渦のために改装工事も遅れているでしょうから、完成は、きっと、さらに延期されることでしょう。工期どおりに工事が終わらないのは、フランスでは、普通です。

 近所のパスレール(陸橋)のエレベーター(以前は、エスカレーターだった)の工事もかれこれ5〜6年くらいかかり、ちょっといじっては、中断し、また工事を再開して・・を繰り返して、工期などあって無きの如しになっていたので、もう半ば諦めていたところに、ある日、久しぶりに通りかかったら、完成していてびっくりしたことがありました。恐る恐るエレベーターに乗ってみたら、これがまた、ちゃんと動いたので、ちょっと呆然とするほどビックリしました。

 しかし、つい先日、通りかかった時に、そのエレベーターに乗ろうとしたら、しっかり故障して動かなかったので、「まあ、普通だな・・」と、故障していることに、妙に納得しているような次第です。

 話は、逸れましたが、そんなわけで、すっかり静かになってきたパリ。皆、少なくとも2週間、だいたいは、3週間は、皆、帰ってきませんから、しばらくは、静かになると思います。

 ドイツのベルリンでは、コロナウィルス対策で行われている感染予防のための様々な行動制限措置に反対するデモが行われ、「マスクを外す」、「強制ワクチン接種反対」、「自由の復活」を叫び、約17000人が集まったというニュースを見て、「ドイツ人は、バカンスにも行かずに真面目だなぁ〜」と妙な感想を持つに至っている自分は、ずいぶんとフランスに侵されている・・と思います。

 しかし、バカンスから戻ったら、フランス人もしっかりと職務(デモ)に戻り、デモは再開されることでしょう。ヤレヤレ・・でも、今は、静かなパリを堪能したいです。


<関連>「基本、信用しないことで成り立つフランスでの生活」






2020年8月1日土曜日

本格的なバカンスに突入するとともに40℃の猛暑のフランス


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 7月に入ってバカンスシーズンを迎えたフランスも本格的なバカンスは8月。マクロン大統領でさえも、3週間のバカンスを取り、フランス南東部にあるブレガンソン城(バール県)(大統領用別荘)に、ブリジット夫人とともに滞在しています。

 本格的なバカンス突入するこの週末、バカンスに出かける人の車の渋滞とともに、フランスは、気温も一気に上昇し、40℃超えという予報に、エアコンのない我が家は、万全の態勢で臨みました。何と言っても、今年は、コロナウィルスが蔓延している中、外へ出るのもマスク。気温40℃でのマスクは、ちょっと拷問に近いものがあります。
 
 当然、外出しなくてもいいように前日に外出の用事は済ませ、朝、早起きして、一日分の料理を済ませ、朝の比較的涼しいうちに家の中の空気を入れ換えて、天気と気温を見ながら、午前10時半頃に、家中の窓を閉め、シャッターのある窓は、少しの光を残して全てシャッターを下ろし、シャッターのない窓には、使っていないテーブルの台でバリケード。ベランダの野菜には、早朝と窓を閉める直前に大量の水を撒き、昼の段階では、家の中は薄暗い状態にしました。

 首には、濡らしたタオルを巻きつけ、お風呂には、水をはり、冷凍庫には、ペットボトルを凍らせて、氷も大量にストックし、アイスキャンディーやスイカなども準備しました。

 なにせ、昨年は、パリでさえ42℃という記録的な猛暑ですっかり、暑さ対策にも磨きがかかりました。(こんな技術は、あまり他では役立ちませんが、フランスで生き抜くには今や必要な対策です)

 おかげで、当日の暑さは、思っていたよりもこたえずに、夕方になった頃には、「あれ?今日は、あんまり暑くならなかったね・・」と思ったほどでしたが、後から、気温をチェックすると、しっかり暑かったようです。育てている野菜に水をやるために置いてあったペットボトルの水は、お湯になっていました。

 ところが、フランス人は、さすがのバカンス中でもあり、全般的に、40℃に迫る暑さでさえも、太陽の光を享受し、楽しまなくちゃ損と思う人が多く、負けじと飲み物や簡単な食べ物を用意してピクニック・・なんていう人も少なくありません。この猛暑でさえも楽しもうという根性は、凄いです。とことん人生を楽しみたいエネルギーに溢れています。

 しかし、今年は、何と言ってもただの猛暑ではなく、コロナ渦の中の猛暑。屋内でのマスクは義務化されていますが、外でのマスクは推奨されているものの、さすがにこの暑さでは、マスクをしている人は、さらに少なく、だからといって、屋内の冷房の効いているところでは、食肉工場でのクラスターがいくつも発生していることを考えると、冷房で気温が下がっている屋内は、やはりさらに危険と考えざるを得ず、私としては、なるべく避けたいところなのです。

 この日の気温は、GEUGNON(グーニョン・フランス・ソーヌ・エ・ロワーヌ県)で、41.5℃を記録した他、数カ所で40℃以上、パリでは 39.3℃を記録しました。

 しかし、これはこれで、慣れてくると、外からの強い日差しが微かにブルーのカーテン越しに入ってくる部屋の中で、静かに読書などして過ごすのも、私としては、なかなか贅沢な時間のような気がしてきました。

 翌日のパリは30℃という予報。どんなに暑い日でも翌朝は、スッと暑さが引き、うそのような爽やかな朝。とりあえず40℃近い暑さを続けて引きずることはなさそうですが、このまま暑さがおさまるとも思いづらく、また、コロナウィルスの感染もおさまるとも思いづらく、今年の夏は、いかに家を涼しく保って、静かで快適な時間を過ごすことを楽しもうかと、私なりの夏を楽しみたいと思っています。

<関連>「パリで冷房なしで猛暑を乗り切る方法」













 

2020年7月31日金曜日

ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人




 心理学的には、あまりにも強い強制は、強い反発心を生みます。その反発心を露わにするのが、フランス人で、日頃からも、普通なら、なんのことはないことでも問題に発展させるところがあります。

 今回のコロナウィルスによる2ヶ月間のロックダウンは、まさに、フランス人にとっては、あまりにも強い強制でした。しかし、日本のようにロックダウンはせずに緊急事態宣言、外出は、控えて・・などということでは、国民は、全く従うことはなく、感染が減ることは、なかったのです。反発心を煽らないように感染症を封じ込めることは不可能だったのです。

 その強制に対する反発が、外に向けられない場合に家庭内で起こった場合は、悲惨な結果になります。外にも逃げられず、家の中では暴力では、ほんとうに地獄です。フランスでは、ロックダウン中のDV被害の相談電話に45000件もの訴えがあったそうです。これは、フランスのコロナウィルスによる死者数よりも遥かに多い数字です。現実には、電話などできない状態の人もいたでしょうから、実際の数字は、もっと多いのだと思います。

 日頃から、DVは、少なくない国ではありますが、ロックダウン中には、前月までの3倍以上に跳ね上がっています。そのうち、警察等が駆けつけて解決したのは、15610件の約3分の1のみで、他者が介入しにくい問題でもあります。

 フランスには、日本のような大地震もなく、大洪水などの自然災害もあまりなく、現在のようなコロナウィルスによるあまりに大きな緊急事態に慣れていないということもあります。パニックに弱いというか、辛抱ができないというか・・。

 フランスでは、災害は起こっても、大抵、テロとかデモとか、人が起こす人災です。

 以前、日本で東日本大震災が起きた時に、フランス人から、「日本人はスゴいわね、避難所でもみんなが譲り合って、大人しく列に並んで・・フランスだったら、殺し合いが起こるわよ・・」と言われたことがありました。本人たちもわかっているのです。あのような状況が起こったら、フランスだったら大変なことになるということが・・。

 その大変なことが今、起こっているのです。震災のように、目に見える災害ではなく、じわじわと長期間にわたる災害が・・。だから、表面的には、見えづらくても、目立たないところで、強制からのストレスに耐えきれずに発散している場面があちこちにあるのです。

 それがデモだったり、強制に反発して反対のことをする行動(マスクをせずに大勢で集まって騒いだり、踊ったり・・)だったり、バカンスだったり、DVだったりするのです。マスクをするように注意したバスの運転手が殺された事件も起こりました。

 フランス人は、日本人のことを、日本人は黙って我慢すると思っており、それを馬鹿にするようなところがありますが、現在のような災害時においては、日本人の我慢強さ、辛抱強さは、尊いと思うのです。

 そんな中、今週末は、40℃に迫る猛暑、しかも、その暑さの中、マスクの義務化。そして、南仏ビアリッツ近くのアングレにあるピニャーダの森で大火災が発生し、50ヘクタールの松林が焼失し、周囲100ヘクタールに広がり、火は住居にまで迫る勢いで、周辺住民が避難所での生活を強いられる事態に陥る災害が発生しました。

 コロナウィルスの感染に怯える中、この猛暑、そして火災による避難所生活、これによる感染拡大も心配されますが、同時にフランス人が、このストレスにどこまで耐えられるのかを心配しています。


<関連>
「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」



 









2020年7月30日木曜日

フランス人があまり食べないもの





 日本には、ごくごく普通にあって、皆、わりと食べるであろうもので、そういえば、意外にも、フランス人があまり食べないな・・というものは、結構、あります。

 例えば、「コンビーフ」。今や日本人とて、そんなに食べているかと言えば、そうでもないかもしれませんが、まあ、普通にコンビーフを知らない人は、いないだろうし、まあ、たまには、食べるという程度かもしれません。

 先日、ツイッターで、「このコンビーフ、美味しいです」というツイートが回っていて、家の近くには、そのお店がないので、まあ、今度、出かけて通りかかったら買ってみよう・・と思っていて、この間、たまたま見つけて、「あ〜これこれこれ!」と思って買ってきたコンビーフを娘と二人で食べていました。二人でコンビーフを食べながら、そう言えば、コンビーフってフランス人、食べないね・・知らない人もいるんじゃない?・・なんて話になりました。

 普通のスーパーマーケットでも、コンビーフは、売っていることは売っているのですが、非常に存在感が薄く、ごくごく目立たない場所に追いやられていることが多いのです。我が家も何年かに一度、思い出したように買う程度で、しかも、これまで買ってみたコンビーフは大して美味しくもありませんでした。

 今日、食べてみたコンビーフは、これまでフランスで食べたコンビーフの中では一番、美味しくて、いつも、すぐに成分を確かめる習慣のある娘が、「これは、牛のほお肉と心臓でできてるんだ・・」と不思議そうにしていました。

 フランスには、パテやテリーヌ、フォアグラなどがあるので、おそらくコンビーフには、目がいかないのかもしれないし、うちの夫のようにアメリカのものと言えば、目の敵にして、「身体に悪い!」と毛嫌いするような、ある一定以上の年齢の人がフランスには、少なからずいることも確かです。(パテやテリーヌ、フォアグラも、身体にいいとは、思えないけど・・)

 そして、スーパーマーケットのコンビーフの並んでいる棚の近くには、SPAM(スパム)が置いてあります。(日本では、スパムのおにぎりとか、今やコンビニなどでもあるほど人気のようですが・・)このスパムもフランスでは、コンビーフと同じような存在です。おそらく、コンビーフもスパムも、その存在さえ知らない人が少なくないと思われます。

 また、夏といえば、「とうもろこし」。私は、とうもろこしが大好きなのですが、フランス人は、缶詰のコーンをサラダに散らす程度にしか食べません。夫に言わせれば、「とうもろこしは、もともとブタのえさ」だと言います。

 だからかどうかは、わかりませんが、コーンスープというものもありません。フランス人は、スープが好きで、色々な種類のスープがあり、スーパーマーケットなどでも、スープ売り場は、相当なスペースを取っているのにも関わらず、コーンスープはありません。とても残念なことです。コーンスープに関して言えば、おそらく知らないだけで、食べてみれば、絶対にフランス人も大好きな味だと思います。うちの夫も日本のコーンスープが大好きです。

 あとは、アイスキャンディー。フランスにもアイスキャンディーがないことはありませんが、種類も乏しく、なかなか、これは!と思うものに出会いません。先日、モヒート味のアイスキャンディーを見つけました!)だいたい、フランス人は、アイスキャンディーよりも、圧倒的にアイスクリームが好きで、アイスクリームでなくとも、せいぜい、ソルベ(シャーベット)です。

 フランス人の好みで言えば、スイカよりもメロン、ゼリーよりもムースやクレーム類(クレームブリュレのようなものやヨーグルトやフロマージュブランなど)が圧倒的に好きなようです。ですから、日本のようにぷるぷるのゼリーなどもないし、ゼラチンでさえも、板状の使いにくいゼラチンが売られています。

 フランス人は、フランスのものが好きで、食べ物に関しては、かなり保守的です。(食べ物だけではないかも・・?)

 こうして見ると、コンビーフとパテは、どっこいどっこいとしても、つくづく、フランス人は、さっぱり味よりも濃厚な糖度の高いものがお好みのようで、この食生活で以外にも長生きなフランス人。彼らの健康維持は、食生活よりも、やはり長期間のストレスフリーなバカンスなのかもしれません。

<関連>「フランス人はとうもろこしをブタのえさだと思っている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_89.html

 

 

2020年7月29日水曜日

ヨーロッパ各国のコロナウィルス感染拡大への対応強化




 今回のコロナウィルスのパンデミックでは、被害も大きかったヨーロッパに、明らかに第2波が訪れつつあります。7月に入ってからの感染者の増加は、国によって、差はあるものの、どの国もかなりの割合で増加が認められるため、各国がその具体的な対応を始めました。

 現在、ヨーロッパの中でも一番、感染が増加しているのは、スペインで、イギリスもスペインを旅行をするのに安全な国のリストからスペインを外しましたし、フランスのジャン・カステック首相もスペインのカタルーニャ地方にはいかないようにと発言したりで、周囲のヨーロッパの国もスペインを警戒しています。

 スペインは、ここ一週間で90%近く感染者が増加しており、特にカタルーニャ地方、アラゴン州、ナバラ州のこの3つの地域は、特に深刻な状況になっています。この状況を受けて、スペインは、外でもマスク着用義務化、10人以上の集まりの禁止、ディスコやナイトクラブは1時半に閉店(カタルーニャ地方などでは、閉鎖)などの規制措置をとりました。

 ドイツは、感染者の増加率は、30%程度ですが、政府は非常に深刻な状況だと認識しており、人との間隔は、1.5m以上取ること、それが不可能な場合は、マスクをすること、スペイン(特に危険な3ヶ所の地域)には、行かないこと、旅行者には必ず検査をすること等の措置を発表しています。

 中でもベルギーは、非常に厳しく受け止めており、できる限りテレワークをすること、外でもマスクをすること、買い物は、できる限り一人で行くこと、バーやレストランは、23時30分から6時までは、営業禁止、クラスターが起こった場合に備えて、顧客の氏名と連絡先を保管することなどの措置を今後4週間続けるとし、これで状況が改善しない場合は、再ロックダウンを検討するとしています。

 フランスは、先週一週間の感染者数が6000人近くまで増加しており、一週間単位での増加率は50%ほどに上昇しています。ところが、フランスは、屋内でのマスク着用が義務化されたのみで、他の対策は何も発表されていません。

 テレビなどでも、ドイツでは・・スペインでは・・ベルギーでは・・と隣国の第2波の深刻な状況とその対策を紹介していますが、当の本人(国)も十分に危険な状況ながら、まるで、対岸の火事のような様子で、まるで自国は問題がないかの如く余裕でいるのがどうにももどかしくてなりません。この危機感の違いは、どこから来るのでしょうか?

 実際に今、ドイツやイギリスなどのヨーロッパの隣国が一番危険としているスペインのカタルーニャ地方、アラゴン州、ナバラ州は、スペインでもフランスと隣接している地域なのです。

 感染対策は、早め早めの対応が何よりで、今、まさにバカンスで皆、浮き足立っているフランスと、ドイツやベルギーなどの国々の対応を見ていると、アリとキリギリスのようだと思ってしまいます。

 緊張感は、長くは続きづらいものではありますが、フランスにももう少し、警戒体制をとってもらいたいと、「ちゃんとしようよ!」と、私は、学級委員のようなことばかり、思ってしまうのです。

<関連>
「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

2020年7月28日火曜日

2021年冬からのテラス席の暖房を禁止するフランス


 フランス人は、とてもカフェが好きで、さらにテラス席が大好きです。このテラス席が今回のコロナ渦の中、感染回避のためにスペースも、拡張され、大活躍しています。

 夏の間は、天気の良い中、日差しを浴びて、通り行く人を眺めながら、食事したり、ちょっとお茶を飲んだり、ビールやワインを飲んだりと、とても気持ちが良いもので、パリのカフェやビストロならではの、狭いテーブルが並んだカフェの光景は、フランスらしい街にとけ込んだ景色です。

 私自身は、このコロナ渦の前までは、テラス席というものは、あまり好きではなく、ざわざわした人通りも埃も多いところで、夏は、暑く、冬は寒く、しかも通り沿いで、排気ガスを吸いながらの飲食を楽しんでいるフランス人を理解し難く感じていました。

 今は、コロナウィルスの影響で、感染が心配される中、やはり、屋内は出来るだけ避けたくて、テラス席を利用するようになりましたが、やってみると、これが意外と楽しいもので、おそまきながら、つい先ごろ、テラス席デビューをしたばかりです。

 しかし、今は、天気も良く暖かいので、良いのですが、冬の間でさえ、彼らは、席の近くに置かれた暖房器具に当たりながら、寒い冬の景色を楽しみながら、やはり、テラス席を好むのです。

 ところが、先日、環境問題改善のため、2021年の冬から、このテラス席の暖房が禁止されることが発表されました。これには、テラス席での売上が莫大なものになっているカフェやレストランを経営する人にとっては、大きな痛手となります。

 実際にこの暖房の規制措置が施行される一年以上前から発表されたのは、このテラス席の暖房撤廃に対する代替案を模索するために猶予がおかれたものです。

 しかし、このコロナウィルスによる経済危機の中、これまで使用していたテラス席の暖房器具は、全て使えなくなり、さらに、このことによる売上減少を打開するためには、資金もかかります。すでに、コロナウィルスの感染回避のために多額の資金を投資しているカフェやレストランにとっては、さらに大きな痛手となることは、確実です。

 テラス席の暖房は、冬のパリのカフェの景色にとけ込んだ趣深い、パリの情緒を感じさせる外観でもあり、とても残念ですが、環境保護も切実な問題です。これから真夏を迎える季節に年々酷くなる暑さも異常で、このままではいけないとも思います。

 この規制は、冬のテラス席の暖房だけでなく、店舗等の夏の冷房に関しても、30度以上の気温の際には、ドアを閉めるなどの規制も含まれています。

 この規制に関しては、まさかデモやストライキということには、ならないとは思いますが、このコロナウィルスで、生活が制限される中、さらなる規制がフランス人をイラつかせることを私は、少々、心配しています。

 コロナウィルスのワクチンも治療薬もまだまだ開発には、時間がかかるようで、コロナと共存していくために色々と生活の仕方や習慣も変えなければいけないし、壊れかかってしまった地球を取り戻すために、やはり、これまで慣れ親しんだ生活の様々な場面を変えていかなければならない・・色々な意味で、今は、新しい生活に変えていかなければならない時なのかもしれません。


<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」

2020年7月27日月曜日

ファッションの国、フランスで服飾品が売れなくなった



 現在、絶賛進行中のフランスのSOLDES(ソルド・バーゲン)ですが、どうにも売れない現状に、財政難に喘ぐブランドが増え続けています。コロナウィルスのロックダウン以前から、すでにこの業界は、ここ数年、衰退しており、Camaïeu、Celio、さらにはNaf-Naf:困難なブランドのリストは日々増え続けています。

 2ヶ月にも渡るロックダウン生活で、今もリモートワークなどが続く中、たとえ外出の際でも、以前よりも、よりラフなスタイルに移行している傾向にあるようです。リモートワークなら、極端な話、上半身だけちゃんとしていれば、良いわけですから・・。

 以前は、出かける時には、もっと指輪やネックレスなどのアクセサリーもたくさんつけていたけど、長く、家にいる生活をしていて、外出する時もあまりおしゃれをしなくなってしまった・・そんな人が多いのです。

 これには、私も大きく頷くところです。通常でも、私は、家に帰って来た時点で、腕時計、指輪、ネックレス等の装飾品は、全て外し、解放されて、シャワーを浴びてスッキリして、部屋着に着替えてしまうのですが、その室内モードの生活をずっと送ってきてしまったので、さて、出かける時には、・・まず、マスクとアルコールジェルと・・などと考えていると、他のものは、ついつい億劫になってしまって、外出の際の一連の流れがすっかり変わってしまいました。

 ましてや、マスク姿でおしゃれをしても・・と、どうにも、おしゃれをする感が削がれます。お化粧でさえも、マスクをするために、口紅は、つけないし、顔の上半分というお粗末さで、先日、久々にフル装備?をして外出したのが新鮮に感じられたほどです。

 あらためて、おしゃれなフランス人にとって、マスクはまことに彼らの美的感覚にそぐわないものであることを実感します。中には、マスクでさえもファッションの一部としている人もいますが、それは、ほんの一部の人に限られています。

 おまけにロックダウン中に皆、家の整理をした人も少なくなく、家のクローゼットには、すでに売るほどのたくさんの洋服があることに気付いてしまったのです。

 そして、一般の店舗は、さらに悲惨な状態が加速し、顧客は、ロックダウン中にすっかり浸透したオンラインショッピングに大幅に傾いています。昨年の時点でフランスのネットショッピング売上高は、1000億ユーロを超えています。これは、10年前の4倍の数字です。

 もともと日曜日が閉店のフランスのお店でショッピングをするには、チャンスは、土曜日のみ、お店に行くには、マスクをしなければならないし、週末は、お店で買い物をするよりも田舎や自然の多い場所に行きたいフランス人なのです。

 もともとネットショッピングに抵抗のあった世代は、買い物を控え、若い世代は、素材に触れたり、試着したりする必要性を感じることなく、気軽にネットで買い物をして、気に入らなければ、返品します。

 元来、古いものを大切にし、中古品も喜んで使う国民性のフランス人、古着でさえも、メルカリのようなネットのサイトに溢れかえっています。

 そういう私も今年のソルドで買ったものは、ロックダウン中にやたらと傷んだスリッパだけです。

<関連>「フランス人のおしゃれの仕方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_71.html