2020年7月5日日曜日

夏のバカンスに突入するフランス TGV予約状況は、ほぼ例年どおり


La SNCF attend 800.000 voyageurs dans les trains pour ce premier weekend de départs en vacances


 昨日、買い物に行ったら、魚売り場のコーナーにいるおばさん(お姉さん?)に、「Bon Vacance !」(ボン・バカンス!)と声をかけていた人がいたので、「どこに行くの?」と尋ねたら、「モンペリエ!」となんの躊躇いもなく、満面の笑みで、答えてくれました。

 「この迷いのなさは、やっぱり凄いな・・フランス人・・」と思う私は、やはり、フランスでは少数派なようで、この週末からフランスは、やっと再開された学校も年度末を迎えて、夏休みに突入し、早々に80万人の人がバカンスに出発します。

 それでも、今のところは、海外旅行は、二の足を踏んでいる人がいる分、国内でのバカンスに出る人が多いのか、SNCF(フランス国鉄)は、バカンス突入の最初の週末でのTGV(新幹線)の座席のほぼ、8割型埋まっているとのことで、コロナウィルス感染の影響で、予約は、減っていると思いきや、ロックダウン中に予約を躊躇っていた人が一気に予約を始め、現在、予約のペースは、非常に好調で、昨年の同時期とほぼ同じ状況なのだそうです。

 TGVの低価格のウィチケットの販売数は、急激な予約の増加により、歴史的な記録を塗り替えたと言います。

 フランスは、14日が革命記念日(パリ祭)で祝日のため、7月にバカンスを取らない人でも来週末は、月曜日の一日を休めば、ちょっと長めの週末になるため、150万人の旅行者が見込まれています。

 フランス人にとって、夏のバカンスは、一年のハイライトでもあり、多くの人が一ヶ月近いバカンスに出かけます。多くの会社が○千人解雇、失業者が溢れている状態でもバカンスに出るフランス人。フランスでは、失業者にもバカンスが認められており、バカンスに出かけている間も失業保険は支給されます。

 ロックダウン中に仕事をできなかったり、学校へ行けなかったのだから、その分、夏のバカンスを削って、補習をしたり、仕事をしてもいいのでは?とも思いますが、そんなことは、フランス人にとっては、ありえないことで、ロックダウンの宣言とともに、夏のバカンスは、予定どおりの日程で・・と、追加の項目があったほどです。

 そんな中、スペイン北東部、カタルーニャ地方のリェイダ市周辺の人口約20万人の地域は、感染拡大のため、再びロックダウンの措置が取られたというニュースが入ってきました。ヨーロッパの中では、一番最初にロックダウン解除を始めたスペインのこの状況がフランスに遅れて起こらないとは言えません。

 最もバカンスに出る人が多い、バカンスの本番は、8月ですが、その頃に、フランスは、どうなっているのでしょうか?



<関連>「二週間しか行かないの? フランス人のバカンス感覚」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_25.html









2020年7月4日土曜日

フランス内閣総辞職 フィリップ首相の退任 引き際の美学


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新任のジャン・カステックス氏を迎えるエドワール・フィリップ元首相


 フランスは、7月3日、エドワール・フィリップ首相率いる内閣総辞職を発表しました。フィリップ首相の後任として、官僚出身のジャン・カステックス氏が新首相として任命されました。

 フィリップ首相は、2017年、マクロン大統領就任時より、黄色いベスト運動や、コロナウィルスのパンデミックなどの危機的状況の対応に、国の屋台骨として当たってきており、特に、今回のコロナウィルス対応に関しては、より厳しい状況に陥ってきた段階からは、マクロン大統領は、登場しなくなり、フィリップ首相が矢面に立ち、苦しい状況の中でも、真摯に対応してきた結果、最近の世論調査では、マクロン大統領の支持率が35%なのに比べてフィリップ首相の支持率は43%で、彼の支持率の方がかなり高いことが報道されていました。

 ロックダウン解除には、消極的で慎重であったフィリップ首相は、経済回復を急いでいたマクロン大統領との間に確執があったとも言われていますが、実際にその段階では、国民も学校再開には、疑念を持っている中で、国会での質疑応答で、「あなたの子供も学校へ行かせるのですか?」などと、詰め寄られ、苦しそうに、しかし、誠実に回答していたのが、とても印象的でした。

 言わば、あくまでマクロン大統領は、上から一方的な声明の発表の仕方で、困難な状況には、彼が前に押し出されて、直に説明するという苦しい立場に立たされてきました。しかし、そんな彼の態度が逆に国民には、評価されるという、マクロン大統領にとっては、皮肉な結果となっていました。

 先週末の統一地方選挙で、フィリップ首相は、ル・アーブル市長選に勝利しており、首相を辞任することは、決まっていたわけで、今回の首相交代については、彼の覚悟の上の決断であったのです。

 新首相を迎えるフィリップ首相は、むしろこれまで以上に頼もしさを感じられる悠然としたにこやかで晴れやかな表情で、彼の退任の挨拶には、さらに賞賛の声も上がり、彼の退任を惜しむ声も多く聞かれます。

 マクロン大統領は、2年後に控える大統領選の再選に向けて、内閣を一新して、まき直しにかかったとも言われていますが、コロナウィルスの感染も続いている中、経済も停滞し、毎週のようにおこるデモやストライキから、国民が混乱状態であることは、明らかな中、これを機に国の気運を一新することも必要なのかもしれません。

 しかしながら、国民に支持されているフィリップ首相を失うことは、リスクでもあり、(57%の国民が彼の首相継続を望んでいました)、新首相カステック氏がどのような人なのかは、現時点では、多くのフランス人もあまりよく知らない状況で、カステック氏の手腕が注目されています。

 今の段階では、彼がかなりのエリートであることは、わかっていますが、ちょっと見には、キツい南仏訛りのフランス語にどこか冴えないスーツ姿、彼が首相となって、これから洗練されていくのを見届けるのも楽しいかもしれません。

 それにしても、フィリップ首相の引き際?は、なかなか見事でした。もしかしたら、ル・アーブル市長に就任して、2年後には、大統領選挙に立候補するのでは?という声もありますが、ひとまず、現段階での首相退任に際して、特にここ数ヶ月間の彼の発言などを振り返ってみると、なかなか人間味の感じられる人であったと、そして、首相としての引き際もなかなか見事なものであったと、改めて、私も世論と同じように、彼の人間味あるところを好意的に感じています。

 引き際というのは、難しいものですが、やはり、なかなか大事なものだと彼の退任を見て、改めて思い知らされた気持ちです。

 しかし、もしかしたら、彼が2年後の大統領選に立候補すると考えるならば、これは、彼の新たなスタートであったのかもしれません。


<関連>「5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会」






















2020年7月3日金曜日

フランスでの日常の食料品の買い物 ① フランスの野菜

ナスもピーマンも唐辛子も何もかも大きい

 約2ヶ月間のロックダウン中は、感染が怖くて、2回しか買い物に行かずに過ごした私です。ちょうど、日本から帰国して、まもなくのことだったので、日本から山ほど運んできた食料品が潤沢にありましたし、ロックダウン直前に買い込んだものを冷凍してあったりしたからです。

 しかし、それでも買い物に行かざるを得なくなったのは、何と言っても野菜がなくなってきたからです。いつもは、日本から帰ってきた後に行くフランスのスーパーマーケットは、腹立たしく感じられるほど、魅力的なものがないように感じられる私ですが、その時ばかりは、新鮮な野菜にちょっと嬉しくなったのも、珍しい体験でした。

 周りの人は、どんな買い物をしているんだろう?と思うことはありませんか? 今日は、ごくごく庶民の私が日常でフランスで買っている野菜をご紹介します。なんだか、フランスに長くいると、当たり前になっている野菜ももしかしたら、日本の方にとったら、ちょっと珍しいかもしれないと思ったからです。

レチュ、バタビア、シコレ(チコリ)などのサラダ類

 まずは、サラダ。最近は、少しは、増えてはきましたが、フランス人は、野菜をあまり生では食べません。圧倒的に火を通して食べることが多いと思います。それでも、いつも売っているサラダ。サラダと言えば、日本では、レタスが主流だと思いますが、レタスもアイスバーグと呼ばれて売っていますが、主流は、Laitue, batavia, chicolee(レチュ、バタビア、シコレ)など、また、やたらとがさばる葉物です。
 
アンディーブ
 
 アンディーブも我が家はサラダにしますが、(オリーブオイルに塩・胡椒、ガーリックパウダー、ビネガー、マスタードをクリーム状に混ぜて、ザクザク切ったアンディーブと合えます。独特な歯ざわりが美味しいです。)フランス人は、おそらく、ハムと共にコンソメスープで煮て食べることが多いと思います。


 赤かぶは、日本のようにまん丸なものより、細長いものが多く、フランス人は、なんとバターをつけて食べます。

アーティーチョーク
 アーティーチョークは、茎の部分を切って、丸ごと塩茹でして、お皿にドンとのせて、一枚一枚、剥がしながら、茎に近い部分をソースをつけて、嬲りながら食べます。最後に残った芯の部分が柔らかいたけのこのような感じで、その部分だけが瓶詰めになって売っています。
 
生のホワイトアスパラは、春だけ
 他の多くの野菜にも、本来の季節があるにも関わらず、一年中、並んでいますが、ホワイトアスパラは、春先だけ、店先に並びます。皮を剥いてから茹でます。スープにする時は、茹で汁も使います。アスパラは、季節を感じられる野菜です。

ポアロ
 我が家において、ポアロは、もっぱら日本のネギの代用品ですが、フランス人は、ポトフに入れたり、ビネガーで煮たりします。ビネガーで煮るのもとろーっとして、美味しいです。あと、ポアロのタルトっていうのもあるな・・。

セロリとセルリラーブ(セリアック)
セロリは、日本でもおなじみの野菜ですが、セルリラーブ(セリアック)は、これ何?と思われる方も多いと思います。セロリに似た独特な風味の野菜で、フランスでは、千切りのセリアックがマヨネーズのようなもので合えたサラダが一般的で、出来合いのものが良く売られています。

 自分でお料理する場合は、皮を剥いて、スティック状に切り、バターで炒めて仕上げにビネガーとハチミツを垂らして、付け合わせに添えたりします。また、スープにする家庭も多いようです。
 
エシャロット
 エシャロットは、小さい細身の玉ねぎのような形をしていますが、生ガキを食べるときに、散らしたり、私は、フランス料理を作るときには、とても良く使います。玉ねぎとニンニクの中間のような味ですが、バターなどで炒めると玉ねぎとニンニクを合わせて炒めるよりも上品な風味があります。バターや生クリームとの相性がとても良いです。エシャロットをみじん切りにして、バターで炒めたものを小分けにして少量ずつ冷凍しておくと、少し入れると味が引き立ちます。

 冷凍といえば、きのこ類もフランスには、たくさんありますが、一番、お手頃なのは、シャンピニオン・ド・パリと呼ばれるいわゆるマッシュルームですが、マッシュルームをスライスして冷凍しておくと、生の時よりも香りがたって、とても良いです。

 以上、特に贅沢なものは、何もありませんが、私が日常、買っている野菜です。私がこれらの野菜にあまり喜びを感じないかというと、やはり、これらの野菜は、フランス料理に適した野菜であって、我が家は、ほぼ日本寄りのお料理が多いからだということに、今、気がつきました。

 それでも、飽き足らずに日本の野菜を育てたりしていますが、これからは、フランス料理もちょいちょい作っていこうかな?と思っています。

 ごめんよ!娘!
 彼女は、半分フランス人なのに、フランス料理がお好みではないのです。

<関連>「チーズとバゲットが好き過ぎるフランス人の夫」

2020年7月2日木曜日

フランスで7月1日から変わること




 7月1日からEU諸国は、一部の国に対しての渡航制限を解除しましたが、7月1日から変わることは、フランスでは、他にもあるようです。

 現在、発表されているのは、主にコロナウィルスによる経済的打撃への一部の社会保証のような内容です。

・ガス代 規制料金の 6.8% 減額

・育児休暇 集中治療室に入院した赤ちゃんの親への連続30日の育児休暇

・救急および病院の医療スタッフに対する固定リスク保証100ユーロ
(約30000人の医療従事者が恩恵を受ける)

・パリ及びパリ周辺地域の一部での排気ガスを多量に排出する車両の禁止地域の設定

・失業手当給付金 0.7%アップ(例:最小割り当て給付金29.06→29.26/日)
(94%の失業者に該当する)

・銀行手数料 インシデントコストの上限は20ユーロ/月、200ユーロ/年
       経済貧窮者に3ユーロ/月の基本サービスを保証

・その他、不動産ローン、ゼロ金利のローンなど

 テレビのニュースで流れてくる、ルノーやエアバスなどの大規模な人員削減計画、老舗フォションの破産申請、医療従事者のデモ、6月というのに異様に暑かった気候・・などなどを考えれば、それらを反映している内容の発表であるとは、思います。

 しかし、「7月から変わること」と聞いて、私が何となくイメージしたものとは、大きくかけ離れていました。でも、考えてみれば、ロックダウンが解除になって間もないのに、そんなに多くを求めることは無理なのかもしれません。

 全く経済のストップした2ヶ月間の痛手は、あまりにも大きく、今後も当分は、回復が望めないことからも、今回発表になった内容で多くが変わるとは思えず、恩恵を受けると記されている100ユーロの保証も医療従事者が求めていることではないわけで、この経済危機が一体、どれほどのものなのか?いつまで続くのかは、本当に不安になります。

 このままだと、まず、回復するのは、デモの勢いくらいなものです。デモが起きれば人も集まり、また、感染も広まります。

 7月に入ってのフランスの新規感染者は、再び上昇し、一日で819人(7月1日)です。このような状況を見ていると、社会はどうあっても、自分は、自分で規範を作って、自分は、自分で守り、今できることを着実にやっていくしかありません。

 社会に期待するのではなく、たくさんの情報を得て、自分で考え、判断すること。社会が変わることよりも自分自身を強く持つことの大切さを、この発表を見て改めて思うのでした。

<関連>「子供に自分で考えることを学ばせるためにすること」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_95.html

 



























 




2020年7月1日水曜日

EU(欧州連合)7月1日からEU以外の14ヶ国からの渡航制限解除




 EU(欧州連合)は、7月1日から、コロナウィルスの感染状況が安全な状況であると判断したアルジェリア、オーストラリア、カナダ、ジョージア、日本、モンテネグロ、モロッコ、ニュージーランド、ルワンダ、セルビア、韓国、タイ、チュニジア、ウルグアイなど14ヶ国からの渡航制限を解除することを発表しました。光栄なことに日本も入れて頂いております。

 今回のコロナウィルスのパンデミックでは、アメリカに次いで、甚大な被害者を出したヨーロッパで、渡航制限を解除するのは、ある程度、感染状況も落ち着いてきたところで、7月からのバカンス時期を見込んでの、経済回復のためと考えられます。

 しかし、ヨーロッパは、イタリア、ドイツ、フランス、スペインだけでも、今回のコロナウィルスでは10万人以上(102009人・6月30日現在)の死者を出しており、現在でも、一日の新規感染者が(この4ヶ国の合計で)1280人(6月30日)もいるのです。

 そんなヨーロッパが同程度に安全が確認された国からの渡航を許可するというのは、何とも上から目線の身勝手な宣言と思えてなりません。しかも、何なら、日本とヨーロッパの感染状況は、同程度ではないし、(一緒にするなという感じ)ヨーロッパの方がよっぽど危険な状況なのです。

 これまで、何十年もお世話になってきたフランスには、営業妨害になるようなことを書くのは、心苦しいところもありますが、ヨーロッパへの渡航(特にフランス)はお薦めできません。

 フランスは、言わずと知れた観光大国で、例年の観光収入は、国のGDPの10%にも及び、全体の雇用の10%以上の人が観光業に携わっています。ですから、安全と見なされた国からの渡航制限を解き、少しでも海外からの観光客に来て欲しい気持ちは、わかります。

 しかし、おそらく日本(彼らが安全と認めた国々)から見たら、おそらく依然として、フランスは、恐ろしいほどの新規感染者を叩き出しているにも関わらず、(ここ数日は、平均500人程度の新規感染者数です)フランス人は、すっかり解除モード満載で、マスクをしている人は、ほとんどおらず、毎週のように数万人単位のデモやら何やらで、大勢の人が三密状態を作り続けている国なのです。

 新規感染者が日本で今、500人を超えた状況だったら・・数万人単位のデモが起こったら・・と想像してみてください。間違いなく、大騒ぎでしょう。フランスは、そんな状況にも関わらず、平然とマスクもせずに皆が平然と暮らしている国なのです。

 今日、コロナウィルスで亡くなった方の遺族が莫大な金額の病院からの請求書を受け取り、途方に暮れて、弁護士を雇って訴訟を起こすというニュースを見かけました。たしかに、重症化した患者さんには、集中治療室で、多くの機械が取り付けられ、多くのスタッフが昼夜にわたり、治療に当たっている様子を見て、治療費は、一体、いくらくらいかかるのだろうか?と思ったこともありました。

 フランスは、比較的、健康保険制度がしっかりしていて、ある程度は、保険がカバーしてくれますが、健康保険でカバーしきれない分だけでも、相当な金額が個人の負担となるわけです。旅行者の場合は、万が一、フランスで感染しても、すぐに発症する可能性は、低いかもしれませんが、たとえ、他の病気にかかったとしても、現在のフランスの病院に入院・・なんてことになったら、大変なことです。

 EUが渡航制限を解除したからと言って、すぐにヨーロッパに行こう!と思う人もあまりいないとは、思いますが、当面のところ、ヨーロッパ、特にフランスへの観光は、絶対にお薦めできません。

 残念ながら、フランスは、日本とは、民度が違います。

<関連>
「フランスは、やっぱりダメだと、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_26.html

 





2020年6月30日火曜日

バイリンガルになった娘の日本語 複数言語を使う生活




 娘がパリに戻ってきて、約2ヶ月が経ちました。彼女は、2年間、彼女の希望の地方のエコールに通うために、生まれて初めて親元を離れて、一人暮らしをしていました。一人暮らしといっても、シェアハウスのようなところで、数人の同居人のいる中での生活でした。

 もちろん、周りはフランス人ばかりですから、フランス語一色の生活で、2年間を過ごしてきたのです。本来ならば、エコールは、もう一年あるのですが、残りの一年は、スタージュやら留学の予定が入っているために、パリの自宅に戻ってきたのです。

 とはいっても、大部分の彼女の荷物は、パリの自宅においたままだったので、バカンスのたびに、衣替えも兼ねて、何かと言えば、戻ってきては、一週間くらい、滞在し、夏休みなどの長い休みの間は、パリの自宅からスタージュに通っていました。

 私は、彼女が生まれた時から、彼女には、日本語がきちんとできるようになってほしいと、他の勉強については、うるさく言ったことは、一度もありませんでしたが、日本語については、かなり厳しく教えてきました。何しろ、フランスで普通に生活をしていれば、日本語は、全く必要のない言語、かなり意識的に強要しなければ、日本語ができるようにはなりません。

 家の中でも、パパとはフランス語でも、私とは日本語だけ、小さい頃は、テレビは、日本語のDVDのみ、フランスの学校が始まって日本語の勉強をすることが億劫にならないようにと、2歳から公文に通わせて、鉛筆の持ち方から日本人に日本語で教えていただきました。

 夜寝る前には、毎日、必ず日本語の絵本の読み聞かせも欠かさずに続け、毎年、夏休みには、日本へ連れて行き、日本語ができない子は、日本へは連れていけないと、娘の鼻先に日本行きという人参をぶら下げていました。

 私もフルタイムでの仕事があり、送り迎えが大変で、公文は、週に一回しか行けませんでしたが、必ず一週間分の宿題をもらって、毎日、学校から帰ると私は食事の支度をしながら彼女の公文の宿題を見ていました。彼女には、日本語を話すだけでなく、ちゃんと読み書きもできるようになって欲しかったからです。

 10年くらい続けたでしょうか? 送り迎えも、夕方のバタバタした時間に宿題を見てあげるのも大変でしたが、おかげで彼女は、人並みに日本語ができるようになり、つい先日、CVに書き加えることを増やしたいからと日本語検定試験の一級を受験して合格しました。

 ところが、この3ヶ月間のロックダウンでパリに戻ってくることができず、たまに私と電話で話す以外は、全く日本語を使わない日が続き、パリに戻ってきたときには、日本語のレベルが明らかに落ちていました。「よく、それで日本語検定受かったね〜!」というほど、以前は、スラスラと言葉があとをついて出てきたのが、言葉に詰まってしまうことが増えてしまっていたのです。

 パリに戻って2ヶ月経って、彼女の日本語は、すっかり元どおりに戻りました。言語は、使っていないと錆び付くのをロックダウンでまざまざと思い知らされました。

 現在、彼女は、ロンドンの大学にスタージュに行くはずが、これまたコロナのためにロンドンには行けず、家でロンドンの大学の先生と連絡を取りながら、リモートワークをしています。彼女が小さい頃に日本語と並行して英語のカードなどを使って英語を教えようとしたこともありましたが、そのうち英語にまでは手が回らなくなって、彼女の英語は、どんななのか聞いたことがありません。

 一緒に旅行に行って、フランス語が通じない国に行くと、英語で話すしかないのですが、練習だから、話してごらん!と言っても、決して私の前で英語を話すことはありませんでした。今もロンドンとテレワークしている様子は見せてくれません。

 そんな生活なので、彼女は、パリで、私とは、日本語で、友達とはフランス語で連絡をとりながら、仕事は英語でしています。先日、英語での仕事中に私が日本語で声をかけたら、「Ah Oui(ア〜ウィ!)」と答えたので、思わず笑ってしまったら、なんだか、彼女も自分で「ア〜ウィー」と言ってしまったことが、わけがわからない様子でバツが悪い顔をしていました。

 複数言語を使っている場合、私も切り替えがうまく行かないことがあります。日本語を話していてもフランス語の単語を平気で混ぜて話していたり、特にフランス語と英語に関しては、似たような単語も多く、これ?フランス語だった?英語だった?と迷うことがあります。

 でも、私は、このいくつかの言語を使う生活が結構、気に入っています。使っている言語によって、自分のテンションも変わったりもします。そんな自分自身の変化も楽しんでいます。

 先日、テレビを見ながら、娘が、「フランス人は毛深い人が多いけど、日本人は毛浅いもんね・・」と言いました。「深い」の反対は、「浅い」と思って、使ったようです。また、「塵も積もれば・・何になるんだっけ??」とか言っています。私は、冗談で、「ゴミ!」と答えましたが、すぐに、「あ〜山だったね・・」と気付いたようです。

 すっかり元に戻ったと思った彼女の日本語、まだまだお勉強が必要なようです。


バイリンガル


<関連>
「バイリンガルに育てる方法」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_24.html

「フランスの教育・学校・バイリンガル教育」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_7.html

2020年6月29日月曜日

統一地方選挙当日のBFMTV(ニュースチャンネル)のストライキ


Des employés des chaînes BFM-TV, RMC et RMC Découverte ont manifesté devant le siège d’Altice, la maison mère, à Paris, le 24 juin 2020.


 フランス人は、政治の話をするのが好きで、子供でさえも、家庭内での話題なのか、親の受け売りなのでしょうが、小さな子供同士で、政治について語ったりする様子は、なんともおしゃまな感じで、可愛らしい光景です。

 先週末は、コロナウィルス感染によるロックダウンにより、延期になっていた統一市長選挙の第二戦が行われ、日曜日は、テレビも選挙一色で、朝から晩まで選挙選挙選挙の一日でした。

 フランスは、選挙のシステムが日本とは、違い、一回戦で、一位の候補者が、過半数以上に達しなかった地区については、第二戦が行われるのです。

 前回の第一戦は、3月14日(日)のコロナウィルスの感染拡大が、かなりヤバい状態であることが、国民にも伝わり始めた時期でもあり、政府は、とうに学校の閉鎖やロックダウンを決めていた段階での、かなりの強硬に選挙を実施したせいもあり、フランスにしては、珍しいほどの投票率の低さでしたが、3月の第一戦の段階で、決まってしまっている地域も当然のことながら、あったわけですが、多くの地域では、今回の第二戦に至ったわけです。

 ロックダウンが解除になってまもなく、統一地方選、第二戦の日程が発表されていましたが、どちらかというと、ほんの直前までは、選挙の候補者などのことよりも、投票による感染拡大が心配される報道の方が多いくらいでした。

 ロックダウン中の国民へのマスク配布も、選挙を控えていたこともあり、各市町村に委ねられた形になり、各市町村は、フランスとは思えないような速さで、早々に国民への配布が決まっていたアベノマスクよりも、結果的には、ずっと早く配布されたのでした。
(しかし、せっかく配られたマスクも今となっては、あまり使用している人がいないのは、残念ですが・・)

 そんな中、フランスの大手、ニュースチャンネルであるBFMTV(ベーエフエムテレビ)は、業績悪化(広告収入の激減)のために従業員500名を解雇する会社の経営計画に反対するストライキを実施したのです。ニュースチャンネルにとって、政治への関心の高いフランスでの選挙速報は、なかなかのハイライト、高視聴率も期待できるタイミングです。そんな中のストライキとは、なかなかやってくれるものです。

 従業員のストライキにより、速報や中継の報道ができないBFMTVは一日中、選挙とは、何の関係もないドキュメンタリーフィルムの再放送を続けざるを得なかったのです。

 ニュースチャンネルでの再放送、しかもこの選挙の当日に・・何か事件が起これば、BFMTVの中継車を街で見かけることも多く、そんなチャンネルがこのタイミングでのストライキとは、さすが、フランス、やることが大胆です。

 しかし、ニュースチャンネルでありながら、選挙というイベントに放送をせずにストライキなどしたら、チャンネルとしての信用が失墜することも大いに考えられますが、ここはまた、ストライキと言えば、特定の割合の人は、「黙っていてはいけない、経営者の思うとおりにさせてはいけない、ストライキはするべきだ!」と理解を示す人々もいるのもフランスです。

 しかし、他のチャンネルは、当然のごとく、選挙速報から結果を見守る討論会状態と、各市町村の当選した候補者の中継などを次々と報道していましたが、地方のことは、あまりわからない私にとっては、パリ市長が続投・・フィリップ首相がルアーブル市長選再選ということくらい・・。

 気になるのは、当選した候補者を始めとして、マスクをしていない人がほとんどなこと・・これで、ますますフランスは、経済再開に向けての土台を固めて、コロナ色は薄れて、アクセルがかかっていくことでしょう。

 もう一つ、気になっているのは、フランスのコロナウィルスに関するデータ(新規感染者数、死亡者数等)が2日続いて発表されていないことです。もしかして、こちらの統計をとる機関もストライキ???と心配しています。

<関連>「ストライキ大国・フランス」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_46.html