2023年7月4日火曜日

子育ての恐ろしさ やっぱり親の責任は大きい

  


 このところのフランスの若者たちの暴動を見ていると、あらためて、子育ての恐ろしさと親の責任の重さを感じています。

 私はそんなに強い志を持って、子供を持ったわけではなく、漠然と、「やっぱり一度くらいは、自分の子供というものがほしいし、子育てというものをしてみたい・・」と思っていただけなのです。

 ただ、私の場合の子育ては、結果的には、さんざん自分のやりたいことをやってからのことになったので、もう、しばらくの間は子供に縛られる生活になっても、やりたいことをやってきたので、まあ、子育て期間は子供中心の生活でもいいかな?という、ある程度の覚悟はありました。

 ただ、娘が生まれた瞬間に、実際の子供をて最初に思ったのは、「これは大変なことをしてしまった!」「この子がどうにか、まともに育てるというのは大変な責任だ!」ということでした。

 もちろん、その子どもの性格や素質などもあるでしょうが、親の育て方、どんな環境で育てるかによって、その子は大きく変わっていくわけで、優秀な子供に・・とかいう以前に、「ひと様に迷惑をかけたり、犯罪者になってしまったら、大変なことだ・・」と思ったのです。

 その当時、日本でも金属バット事件とか、少年犯罪も増えている時期でもあったので、親戚の教育に携わる仕事をしている叔母などに「どうしたら、そういうことを避けられる?」などと相談してみたこともあり、その時は、「とにかく、身体を動かすこと、スポーツなどをさせて、発散させることよ!・・」などと言われて、常に娘にはスポーツをする習慣をつけさせたりもしました。

 今、フランスで起こっている若者による非道極まりない暴力、破壊、略奪、放火などの暴動を見ていると、やっぱりこの子たちの親は何をしているんだろう?と思ってしまいます。

 実際に破壊・略奪・放火などが行われている時間帯が夜中の2時3時だったり、そんな状況の中、最も被害の大きい地域などは、夜間〇〇時以降は外出禁止・・特に未成年は・・などというのも、考えてみればおかしな話だとも思うのです。

 そんなこと、別に市町村に決められるまでもなく、子供がそんな時間に出歩くことを放置しているというのも、正直言って、私には意味のわからない話。でも、子供が勝手に夜中に出歩くことが、その子たち(や家族)の間では、不思議なことではない生活をしているのかもしれません。

 フランスで子育てを始めたばかりの頃、周囲にいた先輩ママさんたちから、「フランスは、クズは限りなくクズ・・学校はちゃんと選ばなければダメよ! そういう仲間ができたらおしまいよ!」、「朱に交われば赤くなる・・」、とか、「水は低い方に流れる・・」などと、さんざん、脅かされ、事実、職場の近くにあった学校のどうしようもない生徒たちの行動を見ていると、うなずけることも多く、娘は小学校から私立の学校に入れたのでした。

 子供たち同志の関係、またその学校の教育方針、しいては、その家族の子供に対する向き合い方で、なにが、あたりまえなのか?ということは、自然と身についていくもので、また、娘が通っていた学校(小学校から高校まで)というのが、「これ?フランス?」と思うくらい、なかなか厳しい学校で、学業はもちろんのこと、言葉遣いから、先生に対する態度、目上の人に対する態度など、特に小・中学校はかなり厳しかったような気がします。

 しかし、実際には、この「自由」と「権利」をやたらと主張する国で、かなり厳しめに正しいことを教えようとする姿勢は大切なことだと思ったのも事実です。

 でも、そんなことを思ったのは、娘を学校に入れて、しばらくの間だけのことで、そんな学校が私たちにとっては、「あたりまえのこと」になってしまっていて、そのあとは、それこそ、「こんなにしっかりした教育をしているのにフランスってどうしてこうなんだろう?」と思ってしまったりもしたのですが、どちらかと言えば、娘の通っていた学校の方が例外的で、ごくごく一般的な公立の学校は全く違うのだということに気が付いた瞬間もありました。

 どんな環境にあっても、頑張れる子はいるのでしょうが、その環境によって、流されてしまうことは多いのです。結局は、ここでも分断とか、格差とかいう話になってしまうのですが、フランスの場合、私立といえども、そこまで極端にお金がかかるわけでもなく、我が家とて、それほど余裕のある家庭でもなかったので、親が子供をどのような環境におくのか? 親がどのように子供を見守るのか?ということを考えれば、さほど無理難題でもないような気もするのです。

 今回の暴動を起こしている子供たち、若者たちの詳しい背景は知りませんが、親、保護者の責任は大きいと思います。若者ゆえ、暴走することもあるとはいえ、今、彼らがやっていることは、立派な犯罪です。やってよいことと悪いことの区別もつかないように育てたのは、社会というよりも、親なのです。

 これまでも、私はかなりしつこく書いてきましたが、娘に関しては、本当に学校に助けられてきたし、あの学校に入れたことは、彼女にとって、大きな人生の分岐点だったような気がしています。

 こんなことが起こる国で、一歩、間違っていたら、もしかしたら、こんなことをする子になってしまったかもしれないと思うと、今になってから、よくも無事に育ってくれた・・と、今さらのようにヒヤヒヤする思いがしているのです。


子育てと親の責任


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2023年7月3日月曜日

暴動はもう別次元に発展 標的にされ始めた市長たち

  


 今回の暴動は、警察官による未成年射殺事件がきっかけで、当初はその事件に関する怒りが沸騰していましたが、もはやその怒りは、社会へのフラストレーションをぶつける行為に変化しつつあります。

 ここ数日は、毎晩のように警察官・憲兵隊が4万5千人動員され、普通は出動することのない RAID(Recherche Assistance Intervention Dissasion)や GIGN(Groupe d’Intervention de la Gendermerie Nationale)などの警察・憲兵隊の特殊部隊まで出動し、ヘリコプターまで飛ばしながら、監視、警戒を続けています。

 結果、暴力行為は若干、減少し始めたともいわれていますが、それとて一昨日の夜には逮捕者が719人に減ったというだけで、まったく安心できる状況ではありません。

 むしろ、この怒りが当初の原因を離れて、社会への不満の鬱憤晴らしになりつつあり、標的が一部の市町村の市役所や市長たちに向けられている地域も出はじめ、これはこれで、また、さらに、すぐに、簡単には根本的な解決の糸口がみつからない問題です。

 結局のところ、いつも行きつく先は、格差社会、分断された社会が問題になるのですが、今回ばかりは、この暴動を起こしている年齢層が低く、未成年も多いところが、さらに問題を厄介にしています。

 実際に、毎日のように1,000人近く逮捕されている若者たちの正確なプロフィールは分析されていませんが、未成年の場合は、逮捕されたところで、未成年ということで、一応、調書を取られる程度で、警察の要注意人物のリストにのるくらいで、早々に帰される人がほとんどでもあるし、そもそも彼らは警察を怖がるどころか、警察車両と見れば攻撃したりするわけで、また、できれば捕まりたくないとは思ってはいても、前科がつく(警察のリストに載る)ことなど、大して気にしておらず、「どうせ、失うものなど大してないんだ・・」と思っているとしか思えないきらいがあります。

 そもそも、この未成年の、本来は「人生はこれから・・」という将来が待っているはずの、この若い暴徒たちが、こんなに若い段階で「失うものなど何もない・・」と思ってしまう社会には、たしかに問題があるのだと思いますが、だからといって、彼らの行動を正当化するものは何もありません。

 これを移民問題と片付けるのは、また別の話で、暴動を起こしている若者たちは、かつて移民としてやってきていた人々の2世、3世で、フランスで生まれ、フランスで教育を受けて育ってきたフランス人が多数なのです。なので、その分だけ、もっと問題の根は深いのです。


 しかし、社会への不満が爆発している状況で、いくつかの市庁舎や市長に対する個人攻撃も始まっているのには、本当に言葉がありません。中でも、レ・レ・ローズ(ヴァル・ド・マルヌ県)(パリ近郊)の市長は、暴動が始まって以来、市庁舎に滞在していたために、彼自身は襲撃にあうことはありませんでしたが、(この市庁舎はすでに有刺鉄線でバリケードが張られています)、自宅が襲撃され、妻と幼い子供2人が眠っている家に放火され、家が全焼してしまいました。

 また、ポントワーズ市長(ヴァル=ドワーズ)も車で移動中に襲撃を受け、火傷を負い、その他、襲撃に遭っている市長のリストは長くなるばかりです。

 マクロン大統領は、ドイツ訪問の予定をキャンセルし、この暴動に対する対策会議を招集し、対応に追われています。

 今回の暴動のきっかけは、たしかに警察官の暴挙ではありましたが、この事件が、日頃から社会から虐げられていると感じている若者たち、フランスの底辺に潜む怒りを呼び起こしてしまいました。しかし、今から考えれば、これは、いつ爆発してもおかしくなかった問題でもあったような気もしています。

 ネットをあけても、テレビをつけても陰惨な光景ばかり・・しかし、気晴らしに日曜日の午後、パリの街を歩いて、シャンゼリゼまで足をのばしたら、あの悲惨な光景とは想像もつかない平和な光景で、まるで何事もなかったように、にぎやかに「トロピカル・カーニバル」をやっていて、それこそ、違う世界みたいで、ちょっとホッとしました。



 しかし、この落差こそがフランスなのだ、同時に複雑な気もするのでした。


フランス暴動 市長襲撃


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2023年7月2日日曜日

大惨事となっているフランスの暴動とSNSの関係 

  


 今のフランスの状況は、現在のところ、ほとんど沈静化される様子はなく、日に日に、また、毎晩のように逮捕者が増加し、いたるところが破壊され、略奪行為、放火と信じがたい場面がどんどん増えていっています。木曜日の夜には917人、金曜日の夜には1,300人がこの暴動に関わり、逮捕されたそうです。

 個人的には、一昨日の夜、フランスに来たばかりの頃に住んでいたパリ郊外の地域のコマーシャルセンターがこの暴動のために全焼、全壊したというニュースを見て、愕然としました。

 7月に入り、そろそろバカンスシーズンに入り、またソルド(バーゲン)が始まった最初の週末は、本来ならば、普段は日曜日休業日にしているデパートなども特別に営業するくらい、多くの来客を期待できるかきいれ時の週末でもあります。

 しかし、フランス中の多くの都市では、この暴動による被害を恐れて、午後の早い時間には店じまいの準備を始めるどころか、ショーウィンドーにバリケードを張ったり、この暴徒たちの破壊行動に備えて営業ができなくなっています。

 商店(だけではないけれど・・)のウィンドーを壊して、中に入って強奪して、最悪、火を放つという、極悪非道な暴動をやっているのは、下手をすると12~13歳の子供まで混ざっているそうで、多くがティーンエイジャー、若者が中心で、しかも時間帯も夕方から、午前2時、3時という時間にまで及ぶので、いくら警察官が警戒しようとも、警戒しきれるものではありません。

 しかし、一方では、この暴動を起こしている若者たちのツールの一つとして、Snapchat(スナップチャット)やTikTokなどのSNSが使われていることが明らかになりつつあり、SNS上も警戒が強化され始めました。

 彼らはこのツールを暴動の人集めの呼びかけとして利用しているだけでなく、各地の暴動、破壊行為、強奪行為などをライブで、または録画動画で公開することで、その手段や方法を共有して、破壊行為、強奪行為などを模倣しあい、ついには、競いあうようなことになっているのです。

 大変、不謹慎な話で質も違うとは思うのですが、日本のスシロー事件とは、桁違いの狂暴さです。

 例えば、Snapchatでは、Snapmapといいう機能により、現在、起こっていること、公開されたコンテンツの数に応じて多かれ少なかれ赤い点で「ホット スポット」が表示され、そのポイントをタップすると、そこで起こっていることが見られるようになっています。

 もうこうなってくると、ライブのゲームのようです。警察の警戒の間をかいくぐって、器用に?破壊行動に及ぶことができるのも、彼らがこのツールを使って、警備体制の有無の連絡をとりあったりすることもできてしまうのです。

 このSnapchatやTikTokの公開映像は、多くのメディアなどもより新しいニュース映像収集のために利用したりもしているもので、必ずしも悪用されることばかりではないとも思いますが、今回ばかりは、フランス政府は、SnapchatとTikTokに対して「機密コンテンツ」を削除するよう呼び掛け、2つのソーシャルネットワークに「責任の精神」を期待すると要請を出しています。

 しかし、SnapchatとTikTokは、フランスのユーザーに関する限り、本社は英国にあるため、外国企業にはフランスの司法徴用に有利に応じる義務はありません。とはいえ、これらの会社は、今回のフランスでの暴動状況を重く受け止め、「フランス当局と常に連絡を取り合いながら、監視部隊を設置し、事前の検出によって、または当社に報告され、この種のコンテンツを見つけた場合、それらを削除し、適切な措置を講じる」と発表しています。

 このSNSの発達は、これまで考えられなかったようなことを起こし、警備している警察の側さえも一般大衆に監視されている妙な関係が生じています。

 今回の事件では、特に利用者が多すぎて、一つ一つの動画などのコンテンツを追跡することはとても困難です。

 フランス・デジタル移行省は、デジタルサービスの規制やデジタル空間の安全と規制の法案を通じて、問題を引き起こすプラットフォームを制裁するための法的手段が強化することを呼び掛け、フランス議会も木曜日、TikTok、Snapchat、Instagramなどのプラットフォームに対し、ユーザーの年齢確認と15歳未満の場合の親の同意を義務付けることを可決しています。

 今回の暴動のきっかけは、警察官が検問拒否した未成年を射殺したという、たしかに警察側に問題があると考えられる悲惨な事件でしたが、だからといって、こんな何もかもを破壊するような暴動が許されるわけはなく、このようなSNSを使った暴動の拡散には、早急に手立てを講ずる必要があります。

 さもないと、これから、たびたび、なにかきっかけがあるたびに、フランス中で破壊行為が横行することが常態化してしまいます。

 しかし、彼らはなぜ?こんなに狂暴なのでしょうか?また、窓の外ではサイレンの音が響いています。


フランスの暴動 Snapchat TikTok


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2023年7月1日土曜日

手がつけられなくなっているフランスの暴動に巻き込まれて、しばし、お店に閉じ込められた・・

  

急にお店のシャッターが閉まって、店内に閉じ込められた・・


 検問拒否のために17歳の未成年が警察に射殺された事件からもう4日経つというのに、暴動は一向におさまりそうにありません。むしろ、どんどん、酷くなっている気がします。

 中心となって暴れているのは、未成年や若者たちが中心で、とにかく暴力的で、これはもうすでに抗議ではなく、単なる破壊行動、大規模な放火、強奪行為になってきています。

 これは、フランス全土にわたるもので、とにかくその破壊の仕方が桁外れで、車やバスやトラムまで燃やすので、現在のところ、バスとトラムは全国的に21時で運行停止となっています。

 今回の暴動は、どうやら、いつもの暴動とは違うようで、もう破れかぶれというか、標的が一般の店舗から、市役所、図書館、學校、劇場など、ありとあらゆる場所に至っており、また、日常はさほど治安の悪くないと思われている場所でまで、破壊行為や放火などが起こるので、ちょっと制御不能で予測不可能、手が付けられない状態になっています。

 3日目の夜は1番で917人が逮捕されたとかで、しかも逮捕者の平均年齢は17歳というのですから、いつものデモに乗じて破壊行為を行うブラックブロックなどの破壊集団ともまた別なのか、低年齢化しているのか、はたまたその両方なのかは不明です。

 逮捕者の中には若い子だと13歳、14歳などという場合もあるそうで、夜中に未成年が、しかもこのようなご時世にでかけることを放置している親も親だと思ってしまいます。

 とにかく、この騒ぎがおさまるまでは、バス(やトラム)が21時になくなってしまうというだけでも、この日が長く、気候も良い時期に大変、迷惑な話、バスもトラムも同じですが、自分たちの生活に必要な市役所や学校や図書館などを破壊するのは、どういうことなのだか、まるで意味がわかりません。

 たまたま、昨日、パリ郊外に用事ができ、用事が思ったよりも早く済んだために、時間がぽっかり空いたので、「そういえば、ソルドが始まったんだった!」と帰りに滅多に行く機会がない郊外(といってもメトロで行ける範囲のパリから近いところ)のコマーシャルセンターにソルドを覗いてみることにしたのでした。

 何回かは行ったことがあるものの、ここのところ、かなりご無沙汰していた場所で、郊外だけあって、広くて大きいコマーシャルセンターでお店もたくさん入っているし、店内もゆったり場所がとってあるので見やすかったりもするのです。

 久しぶりの買い物で、けっこう新しいお店に変わっているんだな~とか、こんなに安いお店があるんだ!などと、ちょっと夢中になって試着を繰り返したりしながら、買い物をしていて、そろそろ帰ろうとしていた時のことです。

 急にお店が騒がしくなって、店内はソルド期間中ということもあって、結構にぎわっているというのに、急にお店のシャッターが閉まり始めて、「危険だから出ないでください!」、「大丈夫ですから、落ち着いてください!」「現在、お店の外には出られなくなりました!」とスピーカーでお店のセキュリティの人がアナウンスを始め、お店がブロック状態、店内に大勢のお客さんとともに缶詰状態になりました。

 このご時世、なんとなく、「もしかしたら、あの暴動隊?がやってきたのかな?」と、思いながら、どうにも不安な気持ちになりました。フランス人はパニックを起こすと大変なので、セキュリティの人は「落ち着いて!落ち着いて!」を繰り返すばかりで、尋ねても、理由は説明してくれません。

 中には、不安で泣き出してしまうおばさんまでいて、泣き叫んでいるおばさんを店員さんが、必死になだめています。放火が相次いでいるというものの、ちょっと放火するにしては規模が大きすぎるコマーシャルセンターゆえ、この建物全体に火をつけるのはムリな話。私は、とりあえずは店内にいれば、大事には至らないだろうと思っていました。

 しばらくすると、「こちらの出口から外に出てください・・」と言われて、お店の外に出ると、もう中央の入口(出口)は閉鎖になっていて、コマーシャルセンターからすぐ近くのメトロの駅まで閉鎖になってしまいました。

 とにかく大きなコマーシャルセンターゆえ、出入口がたくさんあって、駐車場をつたって、敷地外に出る途中、数人の警察官がティーンエイジャーらしき男の子を後ろ手に手錠をかけて、連れていくところでした。

 なぜか、その一団には、覆面をした黒装束の若い男が一緒で、「暴れている奴らがいっぱいいるんだよ・・自分は違うけど・・」と言いながら、ポケットには催涙ガス?と思われるスプレーを携帯していて、その恰好で自分は違うって、他人事みたいによく言うな・・妙な人だ・・と思いましたが、それよりも、今度は「メトロの駅が閉鎖なら、どうやって帰ろうか?」と一瞬、途方に暮れました。

 バスやタクシーに乗ろうにも、もうコマーシャルセンターの周囲は警察車両や消防車両が次々と到着する中、大渋滞が起こっており、これは車はムリ・・と判断し、次のメトロの駅まで20分近く歩くことにしました。

 バスがなくなっちゃうから、夜9時前には帰らなきゃと思っていたのに、事件に遭遇したのは、夕方5時頃のことです。

 どうやら、今回の暴動は、色々なタイプの暴動が混在しているようで、どちらにしても、警察官の射殺事件という大義名分を掲げて、ただ暴れたい、破壊したい、これを機に強奪、強盗してやろうという人も多そうで、これはどうしたら、鎮まってくれるのか?ちょっと見当がつかずに実害にも遭い、もうウンザリしています。

 ただ、今回は未成年や若者が中心ということで、SNSで集合をかけたり、また、スナップチャットなどで破壊行動の動画をあげては、その破壊ぶりを競いあったりしている動きもあるとかで、もう、あまりの愚かさに言葉もありません。このSNSの使い方もどうにか規制をしてほしいです。

 とにかく、やっとのことで家に帰りついて、家の近辺の平和ぶりにホッとさせられたのですが、この状態が続けば、もう出かけるのも億劫になってしまいそうです。

 先ほど、司法大臣がテレビのインタビュー番組で話をしていましたが、「フランス人にはたくさんの権利も認められているけれど、同時に義務もたくさんあるんだ!」、「特に未成年が暴動に参加している場合は親は子供を責任を持って指導してほしい!」「罰則も強化する!」と。

 とにかく、現在のフランスの暴動は度が過ぎます。

 4日目の夜は警察官・憲兵隊4万5千人が動員したそうです。


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2023年6月30日金曜日

フランスに住んでいる日本人の2回の成人式のステップ

  


 パリにいる友人の息子さんが20歳になり、成人になったという話を聞いて、そういえば、成人という区切りが我が家にも2回あったな・・ということを思い出しました。

 フランスでは18歳で成人となり、一応、大人として扱われるようになるので、日本のような成人式はないにせよ、家族や親戚を集めて、派手にお祝いをしたりする家もありますが、我が家では、たしかお兄ちゃんたちがお誕生日のお祝いに来てくれたくらいで、まだ、受験を控えていたこともあったりで、特別なことはしませんでした。

 日本人の私にとっては、どうしても成人=20歳というあたまがあって、18歳はフランスでは成人でも、20歳になるまでの2年間はまだ、どことなく、娘はまだ成人ではないような気分が半分以上ありました。

 とはいえ、フランスで18歳となれば、一番に思いつくのが犯罪などの際の扱いなど、日本よりも一足先に法的に成人です。同じ人がフランスでは成人、日本では未成年と妙な2年間です。

 しかし、日本で生まれ育った日本人の私としては、どうしても二十歳が成人という気持ちが強く、それが私の中では区切りではあったのです。

 とはいえ、フランスでの成人というのも、我が家にとっては大きなことでもありました。

 それは母子家庭であったということが関係しています。

 夫が亡くなったのが娘が10歳のときのことで、誰が通報したのか?夫が亡くなって、まもなくして、児童裁判所に呼び出されたことがありました。

 子供を取り上げられてしまうのでは?という懸念があり、夫の元同僚の女性が裁判所には付き添ってくれて、よく説明してくれたので、子供を取り上げられることはありませんでしたが、それから、成人するまでの間、私たち親子は一応、市の児童裁判所の監督下におかれることになり、私になにか落ち度があれば、娘は取り上げられてしまうという恐怖が私にはいつも付きまとい、娘が18歳になるまでは絶対死ねないし、絶対に子供を1人にして放置して出かけたりすることはできないし、うっかり病気をして入院もできないし・・と大変な気負いがありました。

 年に一度、裁判所から送られてくる、報告書のようなものを提出しなければならなかったし、私の中で、娘が18歳になるまでは・・という気持ちも大きくあったのです。

 一応、18歳になった時点で、児童裁判所からも解放され、私は大きく肩の荷を一つおろした気持ちになったものの、娘はまだ学生で、日本ではまだ未成年。成人式のために日本に帰国することはできなくても、一応、娘には振袖を着せて、写真屋さんでちゃんとした写真を撮ってもらい、私の大好きだった祖父母のお墓まいりに行き、ごくごく近い日本の親戚に挨拶に行き、それをもって、成人式の区切りとしたのでした。

 真夏の暑さの中、私の希望で振袖を着せられる娘も気の毒でしたが、そのために私が成人式の時に来た着物は、その後、従妹のところを転々としたあと、行方不明になってしまっていて、実家をひっくり返したら、母が結婚式の時に着た振袖が出てきたので、それを娘には着てもらい、また別の意味で感慨無量でした。

 できることなら、母に見せたかったけど、私の中ではこの娘の真夏の振袖姿が娘の成人の区切りになりました。

 2回の成人式を通過する海外在住の日本人の子供、2段階の成人式も悪くないような気もしているのです。


フランスの成人式と日本の成人式


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2023年6月29日木曜日

燃え上がる警察への怒り 燃える炎は全国に飛び火

 


 警察官が服従拒否をした青年を射殺した事件に多くの人が怒りの感情を燃え上がらせ、本当にたくさんの車やバスが燃やされたりして、暴動のようになっています。

 事件の起こった当日の夜、事件現場となったナンテールの街は、手が付けられないほどに、多くの若者たちが街に出て車を燃やし、爆竹をばらまき、大荒れに荒れ、1,200人の警察官が出動する大騒動になりました。

 翌日のナンテールの街は厳戒態勢が敷かれ、前日に燃やされた車などの撤去作業とともに、2,000人の警察官が動員され、前日のような事態が起こることを警戒して、備えていましたが、この警戒体制が功を奏したのか、ナンテールでは、前日ほどの暴動には至りませんでした。

 しかし、この警察に対する怒りと抗議は、トゥールーズ、リヨン、リールなどなど、遠く離れた地域にまで飛び火し、それぞれの地で車が燃やされたり、ゴミ箱が燃やされたり、場所によっては、バスが燃やされたり、全国的な怒りに拡大しています。


 この青年を射殺した警察官(38歳男性)は、身柄を拘束されていますが、通常、24時間の拘束が48時間に延長されたそうです。しかし、この騒ぎでは、身の安全のためにも警察に拘束されていた方がよいのかもしれません。

 この事件を受けて、マクロン大統領もインタビューで、「若者の死を正当化できるものは何もない。言い訳ができるものではなく、許しがたい行為」と答えています。


 また、フランスの大人気サッカープレイヤーのムバッペ選手なども、この事件について、「僕のフランスが悲しい、受け入れがたい事件」とツイートしています。

 警察官が拳銃を発砲するのは、あくまでも非常手段の場合のみなはずで、撮影されていた複数の映像からは、一度、車を停車させて、押し問答している段階から、警察官は青年を拳銃で威嚇しています。

 青年が何らかの武器を携帯していたのならばともかくも、彼は武器を持ってはいませんでした。この車には、運転手の他、2名が同乗しており、1人は、逃走していますが、もう1人は事故後に身柄を拘束されているので、その際の警察官とのやり取りを間近で聞いていた目撃者でもありますが、この同乗者からの証言はかなり、重要な証言になりそうです。

 この事件への怒りがフランス全土に飛び火して、燃え上がるのも、治安の悪化により、警察との摩擦が増加していることもあるとは思いますが、射殺されるまでには至っていなくても、警察官の威圧的な態勢を多くの人々が体験したことがあるからだという人までいます。

 2022年には路上検問の際に服従しなかったために起きた警察官による射殺事件が13件も起こっていたことが明らかになりました。これは路上検問の際の服従拒否による射殺事件で、その他の事件は含まれていません。

 最初は服従拒否だけで射殺?と驚いていましたが、最近、時々、聞くな・・くらいに増えたような気がしていたのは、やっぱり異常なことです。

 この怒りを燃え上がらせ、車やバスを燃やして、ホンモノの炎を燃え上がらせる行為は間違っていると思いますが、警察官の拳銃の取り扱い方にも、明らかに問題はあると思います。

 せめて、100歩譲って、状況的に発砲が不可欠であったとしても、せめて発砲の際には、急所を外す訓練をするべきだと思います。

 これでは、死刑制度のある国を非難する一方で、裁判なしでの事実上の死刑を執行しているようなもの。しかも検問の際の服従拒否で・・。



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2023年6月28日水曜日

服従拒否で警察官発砲 17歳の青年死亡の後、警察官のウソがばれた・・

  

警察への抗議で街が荒れに荒れる様子


 ここ1~2年、警察官の発砲事件がすごく増えた気がします。警察官の発砲事件の全てが公になっているわけでもないと思うので、特にとりあげられているのは、被害者が死亡した場合の、それも一部のことだと思いますが、今回の事件は、特に発砲した警察官が虚偽の報告をあげていたことが、発覚してから、さらに騒ぎが大きくなっています。

 事件は、午前8時半頃の通勤時間帯のナンテール(オー・ド・セーヌ県)(パリ近郊)RERナンテール・プリフェクチュール駅付近でおこりました。

 事件直後の警察の説明によれば、「車両確認のために2人の警察官が車を停車させたものの、彼は警察官の命令に従わずに無理に車を発車させ、警察官の1人が轢かれそうになったために、もう1人の警察官が発砲した」つまり、発砲時に車は警察官に突っ込もうとしていたと説明。

 また、「運転手は複数の交通違反を起こしている人物であった」ことを付け加えています。

 しかし、その後、すぐに、防犯カメラや、警察官が車両を停めている様子などの模様を撮影していた複数の動画がSNSで次々に拡散され、この警察の説明がウソであったことが明らかになって、騒ぎは一層、大きくなりました。


 動画を見ると、2人の警察官が黄色い車を停車させている様子が映っています。 警察官の1人はフロントガラスにもたれて立っており、ピストルで運転手を狙っています。 運転手が車を再発車させると、警察官は車両の側面の至近距離から発砲しています。車が発車するタイミングと銃声は、ほぼ同時で、2人の警察官はどう考えても、車に轢かれそうな位置に立ってはいません。

 銃声のタイミングからも、かなりの至近距離で運転手が撃たれていることは明白で、銃弾は青年の胸に的中していました。


 そうでなくとも、被害者の青年は未成年、警察官の発砲により殺されたとなれば、物議を醸すところ、警察官の報告が虚偽の報告であったという証拠?の映像があっという間に、拡散されて、「たしかに服従拒否は違法ではあるが、それは死刑に値するものではない!」とか、「警察はこうして、殺人を正当化してきたのか?」など、政治家まで巻き込んでの大論争を引き起こしています。

 そして、この事件を受けて、警察への抗議の声が高まり、ナンテールの街は、ゴミ箱が燃やされ、車が燃やされ、爆竹がなり、黒煙があがり、騒ぎは夜まで続きました。

 ナンテール検察庁は、被害者となった運転手に対しての公権力を持った人物への服従拒否と殺人未遂の疑いで捜査を開始、そして、発砲した警察官に対しては、公権力を有する人物による意図的な殺人事件として捜査を開始しました。

 また、当然のことながら、被害者家族の怒りは激しく、この被害者側の弁護士は、3件の告訴状を提出したことを発表しています。1件目は、「警察官による故意の殺人」、2件目は、「同僚(加害者警察官と行動していた警察官)に対する殺人共犯」、そして3件目は「公の文書における虚偽」の3件についてです。

 どんな事件においても、そもそもの罪だけよりも、ウソがばれた時の叩かれ様は、火に油を注ぐ勢いになるのは、自明の理です。


 しかし、このような騒ぎになって、警察への怒りで街のあちこちが燃え上がっているときも、やはり、警察官は、この車での服従拒否に使われた拳銃よりも、さらに大きい銃を構えて警備している様子には、何の救いも感じられないのです。


警察官発砲17歳青年死亡


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「パリ18区で検問を拒否した車に警察官が発砲 1名死亡、1名重症 原因はシートベルト未着用」

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「パリ シャルルドゴール空港(CDG)でナイフを振り回した男 射殺」

「検問拒否で、また警察官発砲事件 同乗者死亡・運転手意識不明の重体」

「パリ12区で服従拒否の運転手に警察官が発砲 運転手死亡」