3月10日〜11日の2日間にわたり、ベルサイユ宮殿でEU(欧州連合)首脳会議が開かれています。
今回のEUサミットは危機管理サミットとも呼ばれ、ロシアのウクライナ侵攻で浮き彫りとなったその弱点をより主権的なものにするための基礎作りと言われています。
このサミット開催に先駆けて、エリゼ宮は「プーチン大統領によって開始されたウクライナ戦争とそれに関する次のステップをこのサミットの夕食会で議論することを発表。
27カ国の首脳は、ウクライナ戦争がもたらす経済・安全保障上の課題について議論し、2月24日に始まったロシアの侵攻の衝撃に対する経済的・軍事的対応を図るために話し合いをし、欧州全体としての方針を統一し、ヨーロッパ全体の連帯を強めていくとしています。
マクロン大統領は、「ヨーロッパはパンデミックの打撃を受けて変化したが、戦争の打撃を受けてより速く、より強く変化するだろう」と宣言しました。
L'Europe doit changer. En termes de défense, d'énergie, d'agriculture, de santé, de technologie, nous, Européens, devons prendre des décisions historiques pour notre souveraineté, pour notre avenir. Voilà l'objet de ce sommet à Versailles. Soyons à la hauteur, soyons unis. pic.twitter.com/VAlIhTT3qt
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) March 10, 2022
2週間にわたる紛争の後、欧州諸国の制裁はロシアに降り注いでおり、ヨーロッパ諸国では、すべてまたは一部の関係を切断する企業が増えるなど、影響が拡大しています。 しかし、ウクライナのEU加盟が加速することはなく、ウクライナのEU加盟について、オランダのマーク・ルッテ首相は「迅速な手続きはない」と述べています。
キエフは「遅滞なく」加盟することを希望して申請していますが、欧州連盟は、「ウクライナと集中的に協力したい」ということを再確認するにとどまっています。
「戦争をしている国に、今すぐに、加盟手続きを開始することができるのか? それは現実的な話ではありませんが、この戦争によって、27カ国は「ヨーロッパの構造を完全に再定義するための「歴史的な決定」を下すことになるだろう」と、マクロン大統領は述べています。
プーチン大統領によって解き放たれた戦争は、冷戦終結後に27の加盟国が予算を大幅に削減したことによるヨーロッパの軍事力の欠如を浮き彫りにしています。
またロシアへのエネルギー依存についても、EUが消費の40%を占めるロシアの輸入ガスに極度に依存しており、モスクワに対して行動する能力が制限されていることも浮き彫りにしました。
現在のヨーロッパは、経済制裁を強める一方で、エネルギー購入を通じてロシアに資金を提供し続けているのです。
このロシアへのエネルギー依存の現状は、コロナウィルスによるパンデミックという歴史的にも強い衝撃を受けたヨーロッパが、さらに強固な経済基盤を必要としているEU加盟国にとっての脅威でもあります。
このサミットでは、今後数ヶ月の間に実施される政策ガイドラインが示される予定になっており、NATOの重要な役割を再確認した27カ国は、「軍事力により多く、より良く」投資する意志を強調し、防衛戦略は月末までに発表される予定です。
具体的には、今年からロシアのガスへの依存度を3分の2に減らし、供給元の多様化や再生可能エネルギー、水素などの代替エネルギーの開発により、ロシアからの石炭と石油の輸入を削減するという計画も検討されています。
ガス貯蔵の強化はもちろん、スペインやフランスが求める「電力市場の機能最適化」にも言及し、欧州消費者のエネルギー価格上昇の影響を緩和するための新たな緊急措置にも取り組むとしています。
現在、フランスでは、ガソリンが1リットル2ユーロ(約260円)を超え、過去?の「黄色いベスト」運動に見られたような社会不安が懸念されています。
しかし、このサミットの内容はもちろんのこと、このサミットが行われた場所がベルサイユ宮殿で、ちょっとこれは、反則・・と思われるほどの美しさ。このサミットに参加した欧州各国の首脳も圧倒されたであろうし、この映像が全世界に流れることを十分に意識した会場のセッティング。
フランスは、自国を美しく見せることにかけては天才的、パリ祭のパレードなどは、圧巻の美しさですが、このような全世界に発信されるイベント?の一つ一つにもその演出、ステージ作りはちょっとずるいくらい美しいのです。
そもそも、ベルサイユ宮殿という、存在そのものがすでに圧倒的に美しい場所を使用し、最高の美しさを演出することを怠らないのです。
おフランスのイメージは、こんな場面を見せつけられることの積み重ねで築かれ、保ち続けられているのだろうな・・とそんな下世話な感想も持ったのでした。
この報道とともに流されていたのは、2017年にベルサイユ宮殿を訪れた時の映像で、マクロン大統領とプーチン大統領がナポレオンが侵攻していた頃の大きな何枚もの絵画が壁面に飾られたベルサイユ宮殿の中を歩いている様子。
今回の侵攻にあたって、プーチン大統領の思考回路には、過去の歴史が根付いていることが語られている今、この空間を当時のプーチン大統領は、どんな気持ちで歩いていたのだろうか? などということまで考えてしまいます。
ベルサイユ宮殿EU首脳会談 EUサミット
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