とうとうフランスの1日の新規感染者数が3万人を超え、30621人を記録してしまいました。そんな中、この状況下に、最も深刻なデモが行われています。
さすが、デモの国、フランス・・夜の外出禁止令が敷かれ、夜間ロックダウンの状態になるという時に、しかも、感染拡大を一番、身近に感じている医療介護者によるデモが起こり始めています。しかし、さすがに全員がマスクをしています。
フランスでは、デモは日常茶飯事で、中には、理解できないデモも少なくありませんが、この医療介護者の訴えは、気持ちは十分に理解できます。
3月のロックダウン時から、非常事態を迎えているフランスの医療機関で働く人々は、まさに命がけで働き続け、慢性的な人出不足、医療物資不足、低待遇に身体的にも精神的にも疲労や不満がマックス状態に達しています。
そして、今、コロナウィルス感染の第2波を迎え、再び、医療崩壊が心配されるような状況で、黙っていられないのも当然です。
コロナ以前から、問題になっていた病院の労働環境や労働条件の悪さは、コロナウィルス感染拡大によって、さらに深刻化し、介護者の57%が燃え尽き症候群、40%が転職を希望していると報告されています。
人手不足や医療物資不足は、犠牲者も出しながら、さらに感染しても症状のない人は働き続けなければならない悲惨な状況を生んでいるのです。
フランスの介護者の賃金は、ヨーロッパの中でも、数ある国々の中でも平均以下、介護者の賃金の低さは悪名高く、物価との対比を考えても、納得がいかないのも当然です。
しかも、労働条件のキツさやリスクを考えれば、リスクが少なく、割のいい仕事に転職したいと思うのもわかります。それなりの志を持って勉強し、介護士という仕事を選択し、経験を積みながら、働いてきた人々が離職しようとしているのは、とても残念なことです。
実際に離職してしまった人も少なくありません。
政府は、医療介護士の訴えに対し、昇給のために82億ユーロを割り当て、15,000人の追加雇用を提示していますが、これでも到底、ヨーロッパの平均賃金には及ばず、また多くの人が離職したい職に新たにこれだけの人がこの仕事に着くことは、考えにくい状況です。
また、政府は、病床は、まだまだ増やす余裕があると言っていますが、実際に、慢性的な人手不足のために現在すでにある病床も常に5%は使用できていない状況だと言われています。どうにも、政府の見解と現実には、隔たりがあるようです。
現在のところは、それでもまだデモだけで?済んでいますが、これがさらにエスカレートして、ストライキ・・なんていうことも、フランスではあり得ない話ではありません。
フランスは、デモだけでなく、ストライキの国でもあるのです。
コロナウィルス感染の第2波をまっしぐらに突き進んでいるフランスで、ただでさえ医療崩壊か?というところに、医療介護者のストライキ・・なんてことになったら、目も当てられません。
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「ストライキ大国・フランス」
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