2020年9月25日金曜日

新規感染者1万6千人超えのフランス 全仏オープン・ローランギャロス2020は継続されるか?

 フランスの新規感染者数が1万人を突破したのは、9月12日(土)のことなので、それから、約一週間後に1万3千人を突破し、また一週間も経たないうちにさらに3千人増加の1万6千人も突破しました。 一週間弱の間に3千人ずつ増えていく感染者数に、もはや、数字の感覚が麻痺してきました。昨日は、新規感染者数の大幅増加だけでなく、ICU(集中治療室)の患者数も1000人を突破し、ロックダウン解除以降の記録を伸ばしています。 一昨日に政府から発表された69の地域の警戒地域指定や、特別警戒地域、最大特別警戒地域に対する行動制限政策は、大きな波紋を呼び、特に飲食店閉鎖が決まったマルセイユでは、飲食店経営者の怒りや、顧客側もレストランが閉鎖される土曜日の前に駆け込みで外食を楽しむ人が増加しています。 ロックダウンが決まった際にも前日の夜には、まるでカウントダウンを楽しむかのように、レストランやバーなどが異常に賑わった時と同じ状況が再び起ころうとしています。 思えば、ロックダウン解除後も最後まで、なかなか営業を許可されず、テラスのみの営業からようやく開店できるようになっていた飲食店が、どこよりも先に再び営業停止になることは、大変な憤りであり、大打撃であると思われます。 ジャン・カステックス首相は、この飲食店の経営者の怒りと、なぜ?レストランだけが営業停止になるのかという質問にテレビ番組で、「公共の場所でどうしてもマスクをすることができない場所であるから・・」との理由を述べていましたが、駆け込みで外食を楽しんでいる人々は、レストランが閉鎖されれば、別の方法を探すしかない・・と、なんとか人と集おうとする懲りない様子をうかがわせていました。 そんな中、フランスでは、9月27日(日)には、全仏オープンテニス・ローランギャロスが始まります。例年は5月末から6月の初旬に開催されるこの大会もコロナウィルスの影響で、延期されていました。 すでに予選は、始まっていますが、27日(日)からのトーナメントは、今のところ、開催予定に変わりはありませんが、大会の行われるイル・ド・フランスの警察からの勧告で、トーナメント中のローランギャロスのスタジアムにアクセスできる観客の数を1000人に制限しています。 5月末に延期した段階で、全仏オープンテニス協会は、強固に観客を入れての開催にこだわっており、チケットは、すでに7月からオンライン予約が開始され、今年は、当日券は発行されない予定です。 一度、錦織選手を応援に行こうかと、チケットを取ろうとして、びっくり!ローランギャロスのチケットは、155€〜190€・・高いものだと300€を超える高額で、断念しました。 協会は万全の対策を取っていることをアピールしており、選手は到着時及び72時間後にPCR検査を行うことが義務付けられ、以後5日おきに検査、指定されたホテルで隔離されています。 つい先日、延期されていたツールドフランス(自転車のロードレース)が開催されて、終了したばかりですが、同様に延期されていたローランギャロスの開催。両者とも、当初の予定の日程時以上に感染状態が悪化した状態での強行開催に結果論ではありながら、より悪い結果をもたらすことばかりのタイミングの悪さがもどかしいばかりです。 おまけにローランギャロスは長いこと、屋根の無い、クレーコートで雨が降るたびに試合が中断する事態に悩まされてきましたが、皮肉なことに今年からセンターコート「フィリップ・シャトリエ」には、開閉式屋根が設置されたばかり・・。 ...

2020年9月24日木曜日

フランスの感染拡大対策 69の地域を警戒地域に指定 マルセイユはレストラン・バー営業停止へ

        フランスでは、ここ数週間のコロナウィルスの感染急拡大を受けて、ようやく政府が、具体的な対策を開始することを発表しました。 フランスの新規感染者数は、昨日も1万3千人超え(13072人)、死者、入院患者、ICUの患者も確実に増加し、地域によっては、集中治療室の占拠率が危うくなり、病院内での他の病床との調整を開始している状況です。 昨日、厚生大臣のオリビエ・ベランは、ロックダウンの第一段階とも見える感染拡大を阻止するための地域ごとの行動制限政策を発表しました。 感染発生率(1週間での10万人あたりの陽性症例数)、陽性率、クラスター、有効R(感染した個人が感染する人数)、コロナウィルス患者による集中治療室の占拠率等を考慮して、フランス全土のうち、69の地域を警戒地域に指定しました。 さらに、これらの数値からみて、より深刻な状況に至っているパリ、ボルドー、リヨン、トゥールーズ、ニース、サンテティエンヌ、レンヌ、モンペリエ、リール、ルーアンとグルノーブルの11の地域を特別警戒地域に指定しました。 特別警戒地域では、今週の土曜日から1000名以上の集会禁止、地域の主要イベント禁止、ジム等のスポーツ施設の閉鎖、公共スペースでの10人以上の集まり禁止(冠婚葬祭、家族・友人の誕生日、パーティー等)そして、来週の月曜日からバーの22時閉店が義務付けられます。 そして、さらに感染状況の深刻なマルセイユ、グアドループは、最大特別警戒地域に指定され、特別警戒地域での制限に加え、レストラン・バーの営業停止が義務付けられました。 これには、マルセイユのレストラン経営者たちは、大変な怒りと憤りを示しており、「自分たちは、最大限、衛生管理をしながら営業しているし、感染拡大は、レストラン・バーだけから、起こっているわけではない!これは、市民全体の習慣や危機意識の問題で、公共交通機関や他の商店が営業しているのに、レストランやバーだけが営業停止になるのは、納得いかない!」と、突然の政府の発表に怒りを露わにしており、フランスのツイッターのトレンドには、一気に「マルセイユ」が上位に上がりました。 実際に、一般の商店、博物館、映画館、教会等は、閉鎖の対象にはなっていません。しかし、これらの施設に関しても、厳重な衛生管理がされていない場合は、閉鎖とされています。 これまでのコロナウィルスに関しての報道を見ていると、クロロキン(マラリアの治療薬)をコロナウィルスの治療薬に有効であることを発表し続けて、一時、ヒーロー扱いされていたマルセイユ大学のラウルト教授の影響もあり?やたらとマルセイユは、パリと張り合っているようなイメージがありましたが、ここにきて、マルセイユが格段に感染状況が悪化してしまいました。(多くのパリジャン・パリジェンヌがバカンスで南方に行ったことも影響していると考えられます。)  ロックダウン解除以来、「コロナウィルスと共に生きる!(Vivre...

2020年9月23日水曜日

最近のパリのメトロ

  コロナウィルスの感染拡大が始まって以来、パリのメトロ、バスには、できるだけ乗らないようになりました。ロックダウンが解除になって以降ですから、5月からの夏にかけての気候の良い時期でもあり、それなら、それで、なんとかなるもので、できる限り、移動は、自転車か徒歩で、かなりの長距離でも移動するようになり、いたって健康的な生活になりました。 それでも、どうしても自転車や徒歩では厳しい時には、メトロに乗るのですが、今日、久しぶりにメトロに乗って、ロックダウン解除当時の緊張感がなくなっていることに気付いて、びっくりしたのです。 ロックダウンが解除になって、初めてメトロに乗った時は、私自身もド...

2020年9月22日火曜日

ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ②

 ブリヂストンがフランス・べチューン工場閉鎖を発表して、1週間が経ちました。 ブリヂストンの発表同日にフランスのボルヌ労働相とパニエリュナシェ経済閣外相は連名で、「ブリヂストンは、欧州内の別の工場のためにべチューン工場への投資を長年怠ってきた、工場閉鎖は全く同意できない」と発表し、その姿勢を継続し、マスコミを巻き込んで、なんとか、工場閉鎖を回避する圧力ともいえる態度で従業員を守ろうとする姿勢を示しています。 彼らが偽善ではなく、このようなことを主張し続けるのであれば、正気を疑いたくなるような内容です。 ブリヂストンのこの工場は、自動車用の小口径タイヤを生産しています。10年間で40%生産性が低下したこの工場は、ヨーロッパの中でも最も効率の悪い工場なのです。付加価値の高い大口径タイヤを製造するための投資をこの工場ではなく、同社がポーランドの工場に行ったことをフランス政府は避難しています。 そして、これから、フランス政府の援助を受けて、工場に再投資し、人を再教育し、工場存続することを要求しています。 普通、会社が投資を考える場合、最もその効率の良い場所を選ぶのは、当然のこと、フランスのべチューン工場が投資対象に選ばれなかったのには、それなりの理由があってのことです。 ヨーロッパのタイヤの品質は、格安なアジアの製品には決して劣ることはないなどと言っていますが、実際に売れないのだから、仕方がありません。極端に上質な製品は別として、この工場の製品が格段、アジアで作られる製品に比べて圧倒的に秀逸なものであるわけでもなく、コストや生産性を考えれば、工場は、より安くより良い製品を作れる場所にシフトしていくのは、当然のことです。 ヨーロッパのタイヤ産業は、長いこと窮状に瀕しています。フランスでは、過去10年間に、Clairoixにあるコンチネンタルの工場、アミアンにあるGoodyearの工場、昨年には、La...

2020年9月21日月曜日

週末のパリ ジョルネ・ド・パトリモアンヌとツール・ド・フランス ファイナル

                                              新規感染者数が1万3千人を超えたフランス・パリの週末は、いつもの週末以上に人出が多く、街中も賑わっていました。 というのも、この週末は、毎年9月に行われているJournées du patrimoine(ジョルネ・ド・パトリモアンヌ)といって、フランスの国家遺産、公共施設の裏側など、日頃、足を踏み入れることができない場所を一般公開する週末で、エリゼ宮や大統領官邸、オテル・マティニョン(首相官邸)、パリ市役所、パレロワイヤル、ソルボンヌなどの大学などなど多くの施設が無料で解放される週末であった...

2020年9月20日日曜日

娘の留学ドタキャン コロナウィルスによる被害

  娘の留学が決まったのは、昨年末のことでした。グランゼコールの2年目が終わると、3年目の彼女の予定は、海外でのスタージュや留学で、1年間が、びっちり埋まっていて、本体の学校へは、もう行かないことになっていました。 彼女は理系専攻のため、エンジニアの資格取得のためには、一定期間のスタージュ(研修)が、必須で、今年の夏も彼女のクラスメートは、皆、漏れなくスタージュの予定が入っていました。 スタージュ自体は、個人がそれぞれに興味のある会社や大学に申し込み、契約をするので、フランス国内だけでなく、ヨーロッパやアメリカなど、個人の希望で先方が受け入れてくれさえすれば、特別な縛りはありません。 ところが、コロナウィルスのおかげで多くの学生がスタージュが取りやめになったり、行き先がアメリカだったりした人は、断念せざるを得なくなり、慌てて別のスタージュを探し回り、中には、コロナウィルスの検査を請け負っている会社でスタージュをしたり、それでも見つからなかった学生には、学校側がスタージュに代わる特別なプログラムを用意して、それを消化することで、その期間、スタージュをしたことにするという異例の措置が取られたりしました。 娘は、夏の間は、イギリスの大学でのスタージュが決まっていましたが、結局、イギリスに行くことはなく、しかし、幸いにも先方がリモートワークで受け入れてくださったので、夏の3ヶ月間のスタージュは、予定どおり?に終えることができました。 そして、9月の一ヶ月間をあけて、10月からは、今度は、スタージュではなくて、半年間、日本の国立大学の大学院に留学する予定になっていました。この留学は、こちらのグランゼコールからの留学なので、直接、日本の大学とも連絡が取れずに、しかも、このコロナ渦の中、どうなるかわからないまま、時間が過ぎて行きました。 コロナウィルスでフランスがロックダウンになって以降は、日本の大学からも、航空券の予約は、ギリギリまで、しないように・・との連絡が来ていましたが、8月の半ばになって、急に日本の大学の方から、10月からの滞在場所、寮の申し込みをしてくださいという連絡があり、到着日、到着便なども記入しなければならないことになっていたので、慌てて、日本行きの便を探し始めました。 彼女は、日本人なので、日本に入国することはできるのですが、留学先の大学が地方のため、パリからは直行便はなく、羽田での乗り換えの際に、そのまま乗り換えができるかどうかを悩んだ末、日本到着後の2週間の自粛は、東京の私の実家でおとなしく、引きこもり生活をし、2週間後に地方へ発つという方法を考えていました。 羽田からも公共交通機関は使えないということで、親戚や友人にも高齢者である家族を抱える人が多いので、迷惑をかけることは、絶対に避けたいので、彼女は、羽田から、荷物は、配送を頼んで送り、自分は、家まで歩いて行くと言っていました。 彼女は、運転免許を持っていないので、私が一緒に付いて行って、レンタカーを借りて、空港から実家まで送るという手も考えましたが、それも、あまりにバカらしく、彼女の健脚に任せることにしていたのです。 寮に入れるかどうかの返事が来るのは、9月に入ってからということだったので、もし、それがダメな場合は、別の滞在先を探さなくてはいけないから、ダメだった時は・・と、見当をつけたりもしていました。 ところが、9月に入って、こちらのエコールから転送されてきたのは、一ヶ月近く前に日本の大学から来ていた留学延期、あるいは、中止のどちらかを選んでくださいというメール。慌てて、日本の大学に確認のメールを送ったところが、検討の結果、渡航を伴う留学は、今期は受け付けられないとのこと。 8月の段階で、日本の大学から来ていたメールをバカンス中だったために、こちらのエコールの担当者にスルーされていたのは、フランスなら、大いにあり得ること、そのメールになぜ?Cc.をつけてくれなかったのか?...

2020年9月19日土曜日

新規感染者数1万3千人突破のフランス

     ここ数ヶ月のフランスは、少なくとも週に1回は、思わず変な声をあげてしまうほど、夜に新規感染者数が発表されるたびに驚かされます。昨夜もその1日でした。 前日には、1万人を超えていたものの、その数日前にも1万人を超えた日があったので、数日間、土日が入ったりして、検査数や検査の結果が出るまでの時間差で、減少してたものの、再び、1万人に達した時は、さすがに、また、戻っちゃった・・と思ったくらいで、もはや驚きませんでした。 しかし、一日あけて、1万3千人(13215人)という数字を聞いて、再び、息を呑みました。1日で、3千人増加とは・・さすがに、フランスは、本当に大丈夫だろうか?と、不安になってきました。 ラボ(検査所)に長蛇の列ができるほど、検査数が増えてはいますが、それは、検査の受け付け方が悪いので、悪目立ちしていますが、他のヨーロッパ諸国、ドイツ、イギリス、イタリア、スペインなどと比べてみると、この一ヶ月間のフランスの検査数は、フランスは、むしろ少ない方で、感染者数だけは飛び抜けているというのは、明らかにフランスの感染状況が飛び抜けて悲惨な状況であることを示しています。 はっきり言って、これだけ急激に感染者が増加している国とは思えないほどに、街の中には、危機感がまるでなく、義務付けられているので、マスクをしているものの、家族で集まったり、友人と食事をしたりすることに躊躇がまるでなく、緊張感のかけらもありません。 フランスでは、これまでに...