2020年9月25日金曜日

新規感染者1万6千人超えのフランス 全仏オープン・ローランギャロス2020は継続されるか?



 フランスの新規感染者数が1万人を突破したのは、9月12日(土)のことなので、それから、約一週間後に1万3千人を突破し、また一週間も経たないうちにさらに3千人増加の1万6千人も突破しました。

 一週間弱の間に3千人ずつ増えていく感染者数に、もはや、数字の感覚が麻痺してきました。昨日は、新規感染者数の大幅増加だけでなく、ICU(集中治療室)の患者数も1000人を突破し、ロックダウン解除以降の記録を伸ばしています。

 一昨日に政府から発表された69の地域の警戒地域指定や、特別警戒地域、最大特別警戒地域に対する行動制限政策は、大きな波紋を呼び、特に飲食店閉鎖が決まったマルセイユでは、飲食店経営者の怒りや、顧客側もレストランが閉鎖される土曜日の前に駆け込みで外食を楽しむ人が増加しています。

 ロックダウンが決まった際にも前日の夜には、まるでカウントダウンを楽しむかのように、レストランやバーなどが異常に賑わった時と同じ状況が再び起ころうとしています。

 思えば、ロックダウン解除後も最後まで、なかなか営業を許可されず、テラスのみの営業からようやく開店できるようになっていた飲食店が、どこよりも先に再び営業停止になることは、大変な憤りであり、大打撃であると思われます。

 ジャン・カステックス首相は、この飲食店の経営者の怒りと、なぜ?レストランだけが営業停止になるのかという質問にテレビ番組で、「公共の場所でどうしてもマスクをすることができない場所であるから・・」との理由を述べていましたが、駆け込みで外食を楽しんでいる人々は、レストランが閉鎖されれば、別の方法を探すしかない・・と、なんとか人と集おうとする懲りない様子をうかがわせていました。

 そんな中、フランスでは、9月27日(日)には、全仏オープンテニス・ローランギャロスが始まります。例年は5月末から6月の初旬に開催されるこの大会もコロナウィルスの影響で、延期されていました。

 すでに予選は、始まっていますが、27日(日)からのトーナメントは、今のところ、開催予定に変わりはありませんが、大会の行われるイル・ド・フランスの警察からの勧告で、トーナメント中のローランギャロスのスタジアムにアクセスできる観客の数を1000人に制限しています。

 5月末に延期した段階で、全仏オープンテニス協会は、強固に観客を入れての開催にこだわっており、チケットは、すでに7月からオンライン予約が開始され、今年は、当日券は発行されない予定です。

 一度、錦織選手を応援に行こうかと、チケットを取ろうとして、びっくり!ローランギャロスのチケットは、155€〜190€・・高いものだと300€を超える高額で、断念しました。

 協会は万全の対策を取っていることをアピールしており、選手は到着時及び72時間後にPCR検査を行うことが義務付けられ、以後5日おきに検査、指定されたホテルで隔離されています。

 つい先日、延期されていたツールドフランス(自転車のロードレース)が開催されて、終了したばかりですが、同様に延期されていたローランギャロスの開催。両者とも、当初の予定の日程時以上に感染状態が悪化した状態での強行開催に結果論ではありながら、より悪い結果をもたらすことばかりのタイミングの悪さがもどかしいばかりです。

 おまけにローランギャロスは長いこと、屋根の無い、クレーコートで雨が降るたびに試合が中断する事態に悩まされてきましたが、皮肉なことに今年からセンターコート「フィリップ・シャトリエ」には、開閉式屋根が設置されたばかり・・。

                          

            ローランギャロスのセンターコート「フィリップ・シャトリエ」


 屋内が敬遠されるこのタイミングに長いことできなかった開閉式屋根付きのセンターコート。コロナウィルス感染では、ことごとく、全てが裏目に出ているフランスでは、ローランギャロスのセンターコートの屋根までもがタイミングの悪いことに、嫌な予感しかしないのです。


<関連>

「ことごとくフランス人の習慣が裏目に出ているコロナウィルスの感染拡大」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/7000.html



2020年9月24日木曜日

フランスの感染拡大対策 69の地域を警戒地域に指定 マルセイユはレストラン・バー営業停止へ


       Coronavirus. Les zones d'alerte en France


 フランスでは、ここ数週間のコロナウィルスの感染急拡大を受けて、ようやく政府が、具体的な対策を開始することを発表しました。

 フランスの新規感染者数は、昨日も1万3千人超え(13072人)、死者、入院患者、ICUの患者も確実に増加し、地域によっては、集中治療室の占拠率が危うくなり、病院内での他の病床との調整を開始している状況です。

 昨日、厚生大臣のオリビエ・ベランは、ロックダウンの第一段階とも見える感染拡大を阻止するための地域ごとの行動制限政策を発表しました。

 感染発生率(1週間での10万人あたりの陽性症例数)、陽性率、クラスター、有効R(感染した個人が感染する人数)、コロナウィルス患者による集中治療室の占拠率等を考慮して、フランス全土のうち、69の地域を警戒地域に指定しました。

 さらに、これらの数値からみて、より深刻な状況に至っているパリ、ボルドー、リヨン、トゥールーズ、ニース、サンテティエンヌ、レンヌ、モンペリエ、リール、ルーアンとグルノーブルの11の地域を特別警戒地域に指定しました。

 特別警戒地域では、今週の土曜日から1000名以上の集会禁止、地域の主要イベント禁止、ジム等のスポーツ施設の閉鎖、公共スペースでの10人以上の集まり禁止(冠婚葬祭、家族・友人の誕生日、パーティー等)そして、来週の月曜日からバーの22時閉店が義務付けられます。

 そして、さらに感染状況の深刻なマルセイユ、グアドループは、最大特別警戒地域に指定され、特別警戒地域での制限に加え、レストラン・バーの営業停止が義務付けられました。

 これには、マルセイユのレストラン経営者たちは、大変な怒りと憤りを示しており、「自分たちは、最大限、衛生管理をしながら営業しているし、感染拡大は、レストラン・バーだけから、起こっているわけではない!これは、市民全体の習慣や危機意識の問題で、公共交通機関や他の商店が営業しているのに、レストランやバーだけが営業停止になるのは、納得いかない!」と、突然の政府の発表に怒りを露わにしており、フランスのツイッターのトレンドには、一気に「マルセイユ」が上位に上がりました。

 実際に、一般の商店、博物館、映画館、教会等は、閉鎖の対象にはなっていません。しかし、これらの施設に関しても、厳重な衛生管理がされていない場合は、閉鎖とされています。

 これまでのコロナウィルスに関しての報道を見ていると、クロロキン(マラリアの治療薬)をコロナウィルスの治療薬に有効であることを発表し続けて、一時、ヒーロー扱いされていたマルセイユ大学のラウルト教授の影響もあり?やたらとマルセイユは、パリと張り合っているようなイメージがありましたが、ここにきて、マルセイユが格段に感染状況が悪化してしまいました。(多くのパリジャン・パリジェンヌがバカンスで南方に行ったことも影響していると考えられます。)

  ロックダウン解除以来、「コロナウィルスと共に生きる!(Vivre avec le virus!)」と強気の政策を通してきたフランスですが、たしかに全てを禁止して、引きこもってばかりはいられないのは、たしかですが、そのウィルスと共に生きる生き方に誤りがあったことを認めざるを得ない状況になっています。

 いみじくも、マルセイユのレストランのオーナーが怒りながら語っていた「感染拡大は、レストランだけで起こってるわけではない!これは、国民の習慣、危機意識の欠如が起こしているものだ!」と言っている内容が現実であると考えられます。

 だからと言って、ここまで感染が拡大してしまった現状況では、その中でも、どうしてもマスクをすることができない飲食店に影響が出るのは、致し方ない話です。

 出来るだけ、多くの商店や施設を閉めなくて済むようにするには、フランス人がもっと危機感を持って、生活習慣を変える必要があるのです。フランス人は、興奮すると収集がつかなくなり、家族や友人の集まりは例外と思っているようなところがあります。

 実際に、ヨーロッパの第一波では、同程度やそれ以上に感染状況が深刻であったイタリアやイギリスなどの国々は、綱渡りを続けながらも、現在は、フランスほどの深刻な状況には陥ってはおらず、なんとかコロナウィルスとの共存の道を手探りしながら、生活しているのです。やりようによっては、感染を抑えながらの生活は可能なのです。

 今回の特別警戒地域での様々な制限については、今後、一週間ごとに見直され、最低でも15日間は続けられるということです。

 この政府に対する制限には、今のところ、罰則は、発表されていませんが、この政府の提示した特別警戒警報を国民がどれだけ重く受け止め、自らの行動を制限できるのか?この制限により、効果がない場合は、この先、フランスがさらに深刻な状況に陥ることは、避けようがありません。


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「ことごとくフランス人の習慣が裏目に出ているコロナウィルスの感染拡大」

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2020年9月23日水曜日

最近のパリのメトロ

 


 コロナウィルスの感染拡大が始まって以来、パリのメトロ、バスには、できるだけ乗らないようになりました。ロックダウンが解除になって以降ですから、5月からの夏にかけての気候の良い時期でもあり、それなら、それで、なんとかなるもので、できる限り、移動は、自転車か徒歩で、かなりの長距離でも移動するようになり、いたって健康的な生活になりました。

 それでも、どうしても自転車や徒歩では厳しい時には、メトロに乗るのですが、今日、久しぶりにメトロに乗って、ロックダウン解除当時の緊張感がなくなっていることに気付いて、びっくりしたのです。

 ロックダウンが解除になって、初めてメトロに乗った時は、私自身もドキドキで、駅やメトロの中に貼られた物々しい色のテープや人と人との間隔を取るための床や座席に貼られたステッカーなどを見つめながら、恐る恐るメトロに乗ったのを思い出します。

 スリやひったくりなど、日常も決して治安が良いとは言えないパリのメトロは、いつでも気を抜けない乗り物ではありますが、特別な緊張感が加わった気持ちでした。

 しかし、今日、久しぶりにメトロに乗ったら、また、別の意味で、びっくり!車内に乗り込んだ時に、やけにみんなが座っているな〜と思ったのですが、気がつけば、一人おきに座るように座席に貼られていたステッカーがなくなっており、なかなかの人混み状態です。

 緊張感というものは、そうそう長く続くものではありませんが、だからこその注意喚起。たとえ、守らずに間隔をおかずに座席に座る人がいたとしても、それなりに注意喚起には、なっていたのだ・・と、改めて思いました。

 路線によっては、座席のステッカーは貼られたままのようですが、この感染拡大が急上昇しているフランスで、ステッカーを外してしまう路線のあるRATP(パリ交通公団)の緩み方。これがフランス全体の傾向なのでしょう。

 おまけにパリのメトロにトラブルはつきものです。今日も駅で車内が真っ暗のまま止まっているメトロに乗るべきか否か少々、迷いながらも、ここで足止めを食いたくない・・いつ、いきなり発車するかもわからない・・とりあえず、車内に乗って待とう・・と乗り込むと、乗客は、慣れたもので、皆、平然と車内で待っています。

 ようやく動き出したメトロは、途中、何回も駅と駅の間で止まったり、車内が真っ暗になったりを繰り返して、なんとか無事に目的地に到着しました。こんなことは、いつものことなので、パリのメトロとしたら、普通のことなのですが、コロナウィルスの蔓延している中、車内に長時間、閉じ込められたら・・と思うとやはり恐怖です。

 いくら自転車を利用する人が増えたとはいい、極端にメトロの利用客が減ったわけでもありません。ソーシャルディスタンスのためのメトロの増便は追いつかないのかもしれません。

 かと言って、自転車にも危険がないわけではなく、ひとたび自転車で出かければ、今度は、自転車の盗難の心配があります。なんと、フランスでの年間の自転車の盗難は、40万件と言います。盗まれたら最後、まず見つかることはありません。

 だいたい、フランスで盗難事件が起こって、警察に駆け込んだとしても、よほどの凶悪事件でない限り、警察は被害届を受け付けるだけで、犯人を探すことはありません。

 そんな中、先日、うちの娘がメトロで奇跡的な体験をしました。

 駅で、お財布を落として、後ろから歩いてきた人が、「落としましたよ・・」と、お財布を拾って、渡してくれたのだそうです。スリやひったくりの横行するパリのメトロで、落としたお財布を「落としましたよ・・」と渡してくれる・・こんな人もいるんだ・・こんなこともあるんだ・・と、一生分の運を使い果たしたかのごとく驚いて帰って来ました。

 スリにあってもビックリしますが、拾ってもらうともっとビックリすること自体に、いささか、苦笑してしまいますが、それが現実。とにかくも、盗難、コロナ・・と危険ばかりのメトロにも、こんな奇跡的なこともあるんだと、住みづらいパリでのわずかにほっこりとした出来事でした。


<関連>

「ロックダウン以来3ヶ月ぶりのパリのメトロ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_85.html

「パリで時々、目にする光景」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post.html

2020年9月22日火曜日

ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ②

L'usine Bridgestone de Béthune


 ブリヂストンがフランス・べチューン工場閉鎖を発表して、1週間が経ちました。

 ブリヂストンの発表同日にフランスのボルヌ労働相とパニエリュナシェ経済閣外相は連名で、「ブリヂストンは、欧州内の別の工場のためにべチューン工場への投資を長年怠ってきた、工場閉鎖は全く同意できない」と発表し、その姿勢を継続し、マスコミを巻き込んで、なんとか、工場閉鎖を回避する圧力ともいえる態度で従業員を守ろうとする姿勢を示しています。

 彼らが偽善ではなく、このようなことを主張し続けるのであれば、正気を疑いたくなるような内容です。

 ブリヂストンのこの工場は、自動車用の小口径タイヤを生産しています。10年間で40%生産性が低下したこの工場は、ヨーロッパの中でも最も効率の悪い工場なのです。付加価値の高い大口径タイヤを製造するための投資をこの工場ではなく、同社がポーランドの工場に行ったことをフランス政府は避難しています。

 そして、これから、フランス政府の援助を受けて、工場に再投資し、人を再教育し、工場存続することを要求しています。

 普通、会社が投資を考える場合、最もその効率の良い場所を選ぶのは、当然のこと、フランスのべチューン工場が投資対象に選ばれなかったのには、それなりの理由があってのことです。

 ヨーロッパのタイヤの品質は、格安なアジアの製品には決して劣ることはないなどと言っていますが、実際に売れないのだから、仕方がありません。極端に上質な製品は別として、この工場の製品が格段、アジアで作られる製品に比べて圧倒的に秀逸なものであるわけでもなく、コストや生産性を考えれば、工場は、より安くより良い製品を作れる場所にシフトしていくのは、当然のことです。

 ヨーロッパのタイヤ産業は、長いこと窮状に瀕しています。フランスでは、過去10年間に、Clairoixにあるコンチネンタルの工場、アミアンにあるGoodyearの工場、昨年には、La Roche-sur-Yonにあるミシュランの工場が閉鎖しており、会社全体としての生き残りは必死な問題です。

 ブリヂストンは、フランスで規定されているとおりのペナルティとも言える莫大な金額を従業員に支払い、従業員に対しても誠実に対応すると言っているのです。

 フランスの政府が一時凌ぎのために、この将来性のない工場に、国としてまで投資すると、正気で言っているのであれば、まことにヤバい国であるとしか言いようがありません。

 ここで引き合いに出すことではないかもしれませんが、カルロス・ゴーンが日産を再建した時にした人員削減は、数万人単位の削減でした。数でのみ比べられることではありませんが、863人の工場の閉鎖に政府までも乗り出して抵抗するフランスの資本主義とは、何なのでしょうか? これは、資本主義ではなく、全く自分勝手なご都合主義でしかありません。

 しかし、これが、あくまでも政府、政党の偽善であり、人気取りに利用していると見ている人もいます。これが、偽善で、あくまでポーズであるとしても、それはそれで、なんとも汚いやり方です。

 多くのマスコミを引き連れて、大臣が二人も現地に及んで、労働者を守る声明を発表して、ブリヂストンに圧力をかけていますが、これは、「ひとたび、フランスで会社や工場を作って、労働者を雇った場合は、ヤバいことになる」と全世界に向けて発信しているようなものです。

 こんなことを続けていたら、今後、外国企業は、フランス進出には、二の足を踏むようになるでしょう。


<関連>

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/blog-post_17.html


  











2020年9月21日月曜日

週末のパリ ジョルネ・ド・パトリモアンヌとツール・ド・フランス ファイナル

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 新規感染者数が1万3千人を超えたフランス・パリの週末は、いつもの週末以上に人出が多く、街中も賑わっていました。

 というのも、この週末は、毎年9月に行われているJournées du patrimoine(ジョルネ・ド・パトリモアンヌ)といって、フランスの国家遺産、公共施設の裏側など、日頃、足を踏み入れることができない場所を一般公開する週末で、エリゼ宮や大統領官邸、オテル・マティニョン(首相官邸)、パリ市役所、パレロワイヤル、ソルボンヌなどの大学などなど多くの施設が無料で解放される週末であったためです。

 オテル・マティニョンなどは、先日、着任したばかりのジャン・カステックス首相自らが官邸内を案内したりして、首相自らこの日を盛り上げたようです。


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 本来ならば、普段、目にすることができない税金の使い道の一部に足を踏み入れることができるこの機会は、なかなか貴重な体験でもあり、いつもなら、天気もいいし、ちょっとどこかを見てみよう・・とも思うのですが、なにせ、今のフランスの感染状況を考えると、私は、どうにも腰が引けて、わざわざ、人の集まる場所へ足を運ぶ気にはなりませんでした。

 にもかかわらず、腰が引けないフランス人は、多くの人がこれらの施設に足を運び、この日を楽しんでいたのです。

 当然、各施設内の公開にあたっては、マスク着用はもちろんのこと、アルコールジェルの設置やソーシャルディスタンスが厳しく叫ばれていましたが、これらの催しがほぼ通常どおりに行われることに、フランスの強気の態度が垣間見えます。

 1万人を軽々超える感染状況で、ここまで強気の態度を貫くフランスを私は、正直、まったく理解ができません。

 それに加えて、例年7月に行われるツール・ド・フランスが延期されて行われたツール・ド・フランス(23日間にわたる自転車のロードレース)のファイナルを迎え、ロードレースが最終地点のシャンゼリゼに到着して、華やかにフィナーレを飾る日と重なり、当然、これにも多くの観客がツール・ド・フランスの最後の応援に集まりました。

 最終地点では、パリ祭の時のような、トリコロールの煙をはきながら飛ぶ航空ショーのような飛行機まで登場し、花火も上がり、大変な盛り上がり様でした。

 本来行われるはずだった7月よりもはるかに深刻な状況になっている状況でのこのツール・ド・フランスの強行も、・・なら、なんで延期したの??と思わずにはいられません。

                                          

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 それでも、コロナウィルスの影響で、人出は、例年よりも少なかったようではありますが、あくまで、コロナウィルス感染に注意しながら、例年どおりの行事を強行し、「コロナと共に生きる」のスローガンを掲げ、わざと国民を煽っているかのごときの、この週末の催し物の盛り上げ方に甚だ疑問を感じつつ、複雑な気持ちで家の窓から見えるトリコロールの煙を眺めていたのです。


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「ことごとくフランス人の習慣が裏目に出ているコロナウィルスの感染拡大 新規感染者7000人突破」

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2020年9月20日日曜日

娘の留学ドタキャン コロナウィルスによる被害

 


 娘の留学が決まったのは、昨年末のことでした。グランゼコールの2年目が終わると、3年目の彼女の予定は、海外でのスタージュや留学で、1年間が、びっちり埋まっていて、本体の学校へは、もう行かないことになっていました。

 彼女は理系専攻のため、エンジニアの資格取得のためには、一定期間のスタージュ(研修)が、必須で、今年の夏も彼女のクラスメートは、皆、漏れなくスタージュの予定が入っていました。

 スタージュ自体は、個人がそれぞれに興味のある会社や大学に申し込み、契約をするので、フランス国内だけでなく、ヨーロッパやアメリカなど、個人の希望で先方が受け入れてくれさえすれば、特別な縛りはありません。

 ところが、コロナウィルスのおかげで多くの学生がスタージュが取りやめになったり、行き先がアメリカだったりした人は、断念せざるを得なくなり、慌てて別のスタージュを探し回り、中には、コロナウィルスの検査を請け負っている会社でスタージュをしたり、それでも見つからなかった学生には、学校側がスタージュに代わる特別なプログラムを用意して、それを消化することで、その期間、スタージュをしたことにするという異例の措置が取られたりしました。

 娘は、夏の間は、イギリスの大学でのスタージュが決まっていましたが、結局、イギリスに行くことはなく、しかし、幸いにも先方がリモートワークで受け入れてくださったので、夏の3ヶ月間のスタージュは、予定どおり?に終えることができました。

 そして、9月の一ヶ月間をあけて、10月からは、今度は、スタージュではなくて、半年間、日本の国立大学の大学院に留学する予定になっていました。この留学は、こちらのグランゼコールからの留学なので、直接、日本の大学とも連絡が取れずに、しかも、このコロナ渦の中、どうなるかわからないまま、時間が過ぎて行きました。

 コロナウィルスでフランスがロックダウンになって以降は、日本の大学からも、航空券の予約は、ギリギリまで、しないように・・との連絡が来ていましたが、8月の半ばになって、急に日本の大学の方から、10月からの滞在場所、寮の申し込みをしてくださいという連絡があり、到着日、到着便なども記入しなければならないことになっていたので、慌てて、日本行きの便を探し始めました。

 彼女は、日本人なので、日本に入国することはできるのですが、留学先の大学が地方のため、パリからは直行便はなく、羽田での乗り換えの際に、そのまま乗り換えができるかどうかを悩んだ末、日本到着後の2週間の自粛は、東京の私の実家でおとなしく、引きこもり生活をし、2週間後に地方へ発つという方法を考えていました。

 羽田からも公共交通機関は使えないということで、親戚や友人にも高齢者である家族を抱える人が多いので、迷惑をかけることは、絶対に避けたいので、彼女は、羽田から、荷物は、配送を頼んで送り、自分は、家まで歩いて行くと言っていました。

 彼女は、運転免許を持っていないので、私が一緒に付いて行って、レンタカーを借りて、空港から実家まで送るという手も考えましたが、それも、あまりにバカらしく、彼女の健脚に任せることにしていたのです。

 寮に入れるかどうかの返事が来るのは、9月に入ってからということだったので、もし、それがダメな場合は、別の滞在先を探さなくてはいけないから、ダメだった時は・・と、見当をつけたりもしていました。

 ところが、9月に入って、こちらのエコールから転送されてきたのは、一ヶ月近く前に日本の大学から来ていた留学延期、あるいは、中止のどちらかを選んでくださいというメール。慌てて、日本の大学に確認のメールを送ったところが、検討の結果、渡航を伴う留学は、今期は受け付けられないとのこと。

 8月の段階で、日本の大学から来ていたメールをバカンス中だったために、こちらのエコールの担当者にスルーされていたのは、フランスなら、大いにあり得ること、そのメールになぜ?Cc.をつけてくれなかったのか? なぜ?日本の大学は、寮の申し込みなどということを言ってきたのか? 考えれば考えるほど、まったく腹立たしいことばかりです。

 買ってしまった日本行きのチケットは、こんなご時世だからと変更可能なチケットにしたものの、一体、いつに変更すれば良いのかも現時点ではわからず、しかも、変更の際には、なかなかな追加料金がかかるため、さらなるリスクを負うことは、躊躇われ、結局、チケットを変更することもできずに10万近くがパーになってしまいました。

 娘は、娘で、慌てて10月からのスタージュ探しに必死・・見つからなければ、彼女が在籍しているエコールに通わなければなりません。

 このフランスの感染状況からしても、フランスからの学生の受け入れは、お断り・・というのは、わからないではありませんが、フランスのエコールはもちろん、日本の大学の不明瞭な対応のために、大金を捨てる羽目になり、まったくもって、私は怒りまくっています。

 考えてみれば、夏のイギリス行きのユーロスターのチケットもキャンセルしたものの、返金ではなく、まさかの金券返し、予約していたホテルも返金すると言いながら、未だ返金されておらず、今度は、日本行きのチケットがパーになりました。

 コロナウィルスそのものに感染はしていませんが、我が家にとって、娘の留学にまつわる大損害、実際に留学した場合の出費なら、仕方ありませんが、連絡ミスのためのこの大出費。

 どうにも納得がいかないのです。


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「コロナウィルスのためのキャンセル料金 ANA変更手数料無料の航空券販売」

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2020年9月19日土曜日

新規感染者数1万3千人突破のフランス

  

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 ここ数ヶ月のフランスは、少なくとも週に1回は、思わず変な声をあげてしまうほど、夜に新規感染者数が発表されるたびに驚かされます。昨夜もその1日でした。

 前日には、1万人を超えていたものの、その数日前にも1万人を超えた日があったので、数日間、土日が入ったりして、検査数や検査の結果が出るまでの時間差で、減少してたものの、再び、1万人に達した時は、さすがに、また、戻っちゃった・・と思ったくらいで、もはや驚きませんでした。

 しかし、一日あけて、1万3千人(13215人)という数字を聞いて、再び、息を呑みました。1日で、3千人増加とは・・さすがに、フランスは、本当に大丈夫だろうか?と、不安になってきました。

 ラボ(検査所)に長蛇の列ができるほど、検査数が増えてはいますが、それは、検査の受け付け方が悪いので、悪目立ちしていますが、他のヨーロッパ諸国、ドイツ、イギリス、イタリア、スペインなどと比べてみると、この一ヶ月間のフランスの検査数は、フランスは、むしろ少ない方で、感染者数だけは飛び抜けているというのは、明らかにフランスの感染状況が飛び抜けて悲惨な状況であることを示しています。

 はっきり言って、これだけ急激に感染者が増加している国とは思えないほどに、街の中には、危機感がまるでなく、義務付けられているので、マスクをしているものの、家族で集まったり、友人と食事をしたりすることに躊躇がまるでなく、緊張感のかけらもありません。

 フランスでは、これまでに 3万人以上(31249人)の死者を出しているというのに、やっぱり、この人たちはバカなんじゃないかと思います。

 しかし、バカどころか、フランス屈指のグランゼコール(超エリート養成学校)パリ政治学院(通称シアンスポ・SciencesPo)でクラスターが発生し、感染経路を追ったところ、原因は、授業ではなく、学生同士のパーティーだということで、シアンスポは、2週間、閉校となることになりました。


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 このエリート集団のグランゼコールでさえ、授業自体は、ほとんどがリモートによる授業になっているにも関わらず、このような学生同士のパーティーから感染が広がってしまうのですから、なぜ、リモート授業になっているのか?この優秀な学生たちでさえ、理解できない・・というより、自粛できないのですから、フランス人の歯止めの効かなさは、どうしようもありません。

 しかし、他のヨーロッパの国は、これほどの感染状況になっていないことから、やはり、他のヨーロッパ諸国は、ロックダウンとは行かないまでも規制がかなり厳しいわけで、フランス政府の甘い対応が浮き彫りになっています。フランスは、確実にコロナウィルスに対する国民の舵取りができていないのです。

 マクロン大統領は、やたらとパニックを起こさないで!と言いますが、パニックどころか、この人たち・・危機感のかけらもありません。

 すでに、感染状況が深刻化しているニースなどでは、深夜には、営業停止になることをとても悲しい・・などと、此の期に及んでまだ言っているのを聞くと、その甘さの方が悲しくなります。

 先日、カステックス首相が感染者と車に同乗していて感染の疑いがあると、自粛に入りましたが、今度は、財務大臣自身が感染したことを発表。

 本当に、フランスは、感染の波がすぐそこまで迫っている、まさに、波打ち際にいるような、そんな感じなのです。


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「新規感染者が1万人に限りなく近づいたフランスの政府の対応」

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「新規感染者1万人突破・フランス人のコロナウィルスへの危機意識が低いのはなぜか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/09/blog-post_13.html